説明

内側スライド及び外側シェルを有する容器

この発明は、消費財を収容するための内側スライド(2)と内側スライド(2)の周りに少なくとも部分的に設けられた外側シェル(3)とを含む容器(1)に関する。異なる案内経路(10、11)を備えた第1の案内手段(4)及び第2の案内手段(5)が設けられ、第1及び第2の案内手段(4、5)は、所定の運動経路に沿った外側シェル(3)に対する内側スライド(2)の相対運動を可能にするようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費財のための内側スライドと内側スライドの周りに少なくとも部分的に設けられた外側シェルとを含む容器に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような容器は、外側シェルに対してピボット移動をするための内側スライドを外側シェルに装着したシガレットのためのパッケージが開示されている例えば米国特許US−A−3,881,599から「スライド及びシェル」容器として公知である。これは、パッケージの底部において内側スライドと外側シェルとをヒンジ式に接続する切り込み線によって可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US−A−3,881,599
【特許文献2】US−A−4,714,082
【特許文献3】US−A−5,692,525
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器を開ける新しい方法を消費者に提供する消費財のための新しいスライド及びシェル容器を提供することが望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、消費財を収容するための内側スライドと、内側スライドの周りに少なくとも部分的に設けられた外側シェルとを含む容器を提供する。本発明による容器は、異なる案内経路を備えた第1の案内手段と第2の案内手段とを更に含み、第1及び第2の案内手段は、所定の運動経路に沿って外側シェルに対して内側スライドの相対運動が可能になるようになっている。
【0006】
用語「案内経路」は、本明細書を通して、容器の開又は閉移動中に案内手段が取る所定の経路を指すように使用される。案内経路は、真っ直ぐな線、又は湾曲した線、又はそれらを組み合わせたものとすることができる。
【0007】
用語「異なる案内経路」は、本明細書を通して、2つの案内手段の2つの所定の案内経路が方向的に又は長さ的に又は方向及び長さ的に異なることを指すように使用される。
【0008】
用語「運動経路」は、本明細書を通して、容器の開又は閉移動中に外側シェルに対して内側スライドが取る所定の経路を指すように使用される。内側スライドの運動経路は、2つの案内手段の2つの別々の案内経路の畳み込みである。従って、2つの案内手段の異なる案内経路は、外側シェルに対して内側スライドの所定の平行移動及び回転移動を可能にする。案内手段の異なる案内経路の使用は、広範囲の異なる運動経路を可能にする。それによって容器を開いた時に消費者に対して驚くべき効果を作り出すことができる。更に、内側スライドの運動経路は、容器の開放位置で消費財が容易にアクセスされるように設計することができる。容器の閉鎖位置では、消費財が十分に保護される。更に、閉鎖位置から開放位置までの外側シェルに対する内側スライドの運動経路は、内側スライドが外側シェルにヒンジで接続される従来技術よりも多くの幾何学的可能性を用いて設計することができる。
【0009】
好ましくは、2つの案内手段の案内経路は、直線であり、互いに対して長さと方向が異なる。従って、一方の案内経路が他方よりも長く、かつそれと方向が異なるので、外側シェルに対する内側スライドの運動経路は、平行移動移動と回転移動の組合せということになる。
【0010】
好ましくは、第1の案内手段は、第2の案内手段の下に配置され、第2の案内手段の案内経路は、第1の案内手段の案内経路よりも長い。従って、内側スライドの上部側面で開く容器は、容器の開放位置で内側スライドの開いた上部側面が容易にアクセス可能であるように、回転及び平行移動の組合せが可能になる。容器の閉鎖位置では、内側スライドの上部側面が外側シェルの上部壁によって覆われる。
【0011】
本発明による容器の構成要素の相対位置を説明するのに使用される用語「前面」、「背面」、「上側」、「下側」、「側面」、「上部」、「底部」、「左」、「右」、「上方」、「下方」、及び他の用語は、そこを通って消費財が取り出される開口部が好ましくは上端に設けられ、運動経路の平行移動する構成要素が好ましくは実質的に容器の前面に向けられた場合の直立位置にある容器を意味する。
【0012】
好ましくは、外側シェルは、共通縁部を共有すると考えられる2つの側面で開いている。それによって回転する構成要素を備えた内側スライドの運動経路が可能になる。
【0013】
一実施形態では、第1の案内手段の案内経路と水平面の間の第1の角度は、第2の案内手段の案内経路と水平面の間の第2の角度よりも大きい。内側スライドは、開放位置と閉鎖位置の間で移行する間に外側シェル内でその上部の近くを移動することができる。
【0014】
好ましくは、外側シェルは、前部側面及び底部側面で開いており、内側シェルは、上部側面で開いている。従って、この実施形態では、外側シェルは、左側壁、右側壁、上部壁、及び背面壁を含む。同様に、内側スライドは、前面壁、左側壁、右側壁、背面壁、及び底部壁を含む。内側スライド及び外側シェルの開口部の配置により、内側スライドは、所定の運動経路に沿って移動可能になり、消費財は、容器の開放位置で容易にアクセス可能になり、容器の閉鎖位置で容器の内側に十分に保護される。
【0015】
本発明の一実施形態では、第1及び第2の案内手段の各々は、案内経路に沿って延びる案内凹部と、案内凹部に係合し、かつ案内凹部に沿って移動可能な案内突起とを含む。この実施形態により、案内突起と案内凹部の一方が内側スライドの外側側面に設けられ、他方が外側シェルの内側側面に設けられる。有利な態様では、案内手段は、内側及び外側シェルの間に設けられるので、案内手段が外側から見えず、損傷から保護される。
【0016】
本発明の他の実施形態では、第1及び第2の案内手段の各々は、案内経路に沿って延びる外側シェルの皿穴案内スリットと、内側スライドに接続し、かつ案内スリットに係合してそれに沿って移動可能である案内要素、例えば、案内ピンとを含む。案内スリットに皿穴にすると、案内ピンが外側シェルの外面に突出しないという利点がある。更に、案内ピンを内側スライドに接続すると、有利な態様では、容器の生産工程が容易になる。
【0017】
好ましくは、案内スリットを覆うために外側シェルにカバーパネルが設けられる。案内スリットが皿穴にされているので、カバーパネルは、案内ピンと悪く干渉することなく外側シェルに直接に適用することができる。従って、案内手段が十分に保護され、かつ外側から見えない。カバーパネルは、例えば、錫のような金属のシートとすることができる。
【0018】
好ましくは、第1及び第2の案内手段は、内側スライド及び外側シェルの左側壁又は右側壁に設けられる。代替的に、第1及び第2の案内手段は、内側スライド及び外側シェルの左側壁及び右側壁上に設けられる。内側及び外側シェルのために使用される材料の強度に応じて、案内手段は、1つの側壁にのみ要求される場合がある。
【0019】
好ましくは、容器が閉鎖位置にある間に消費者が内側スライドを把持することができるように、外側シェルの側壁の少なくとも1つに切り欠きが設けられる。このようにして、消費者は、容器の閉鎖位置から内側スライドの移動を始めるために内側スライドを直接掴んでそれに力を加えることができる。それによって内側スライドの移動が簡単になる。好ましくは、外側シェルの両側壁の前面端部に切り欠きが設けられる。好ましくは、内側スライドには、消費者の把持を簡単にするために外側シェルの切り欠きの区域に摩擦を大きくした区画が設けられる。摩擦を大きくした区画は、高摩擦カバー層又は突起及びノッチのアレイを含むことができる。
【0020】
好ましくは、容器が閉鎖位置の状態で内側スライドを外側シェル内に固定するために閉鎖手段が設けられる。従って、意図しない容器の開放を防止することができる。更に、閉鎖手段は、消費者に容器が確かに閉じているという触感又は可聴の表示を設けることができる。
【0021】
好ましくは、閉鎖手段は、容器の閉鎖位置で互いに係合するノッチ及び突起を含み、ノッチが内側スライドの外側側面に設けられ、突起が外側シェルの内側側面に設けられる。代替的に、突起が内側スライドの外側側面に設けられ、ノッチが外側シェルの内側側面に設けられる。ノッチ内での突起の係合により、容器の確実な閉鎖位置が可能になる。
【0022】
一実施形態では、完全に開いている容器のための完全停止位置を可能にする停止部分として第1及び第2の案内手段の端部が構成される。従って、外側シェルに対する内側スライドの運動経路が終了する位置で容器の開放位置が定められる。好ましくは、容器の開放位置は、内側スライドの開口部全体を露出する。このようにして、本発明による容器には、例えば、消費財の新しい束を簡単に補充することができる。
【0023】
内側スライドに設けられた情報を見ることを可能にするために、好ましくは、少なくとも1つの透明区画が外側シェルの壁の少なくとも1つに設けられる。更に、少なくとも1つの透明区画は、内側スライドに設けることができる。外側シェル及び内側スライドの透明区画は、それらが互いに相互作用するように、換言すれば、内側スライド及び外側シェルの透明区画が容器の閉鎖位置、開放位置、又は開及び閉鎖位置の間の位置で整列するように位置決めすることができる。容器の開放位置に応じて、外側シェルの透明区画を通して異なる情報が見える。この情報は、内側スライド内の又は内側スライドの外側側面上の消費財に印刷することができる。透明区画は、透明材料の区画又は開口部とすることができる。透明区画は、あらゆる幾何学形状を有することができ、例えば、透明区画は、矩形、円形、ロゴ、又は文字の形状を有することができる。内側スライド及び外側シェルの透明区画は、それらが容器の内容物を表示するように、例えば、内部に包まれた消費財の束の色のような消費財を表示することができる消費財の区画を示すことによって整列させることができる。更に、内側スライド及び外側シェルの透明区画は、内側スライドの運動経路に沿った移動中にそれらが動いている像を作り出すように整列させることができる。
【0024】
一実施形態では、消費財は、補充パッケージに設けられ、その場合、消費財は、好ましくは、消費財へのアクセスを可能にすることができる穿孔線を備えたライナに包まれる。従って、容器それ自体は、再使用することができ、一方それには補充パッケージを用いて補充される。補充パッケージは、消費財が環境の影響から保護されるように、ライナに包まれた消費財を含む。穿孔線により、消費財にアクセス可能なようにそれが容器に挿入されている時でさえも補充パッケージの開放が可能になる。
【0025】
本発明による容器は、直角縦方向及び直角横方向縁部を備えた直方体形状とすることができる。代替的に、容器は、1つ又はそれよりも多くの丸形縦方向縁部、丸形横方向縁部、斜面付き縦方向縁部、又は斜面付き横方向縁部、又はその組合せを含むことができる。例えば、本発明による容器は、以下に限定されるものではないが、
−側壁の少なくとも1つに1つ又は2つの縦方向丸形又は斜面付き縁部、及び/又は
−背面壁に1つ又は2つの縦方向丸形又は斜面付き縁部、
−側壁の少なくとも1つに1つ又は2つの横方向丸形又は斜面付き縁部、及び/又は
−背面壁に1つ又は2つの横方向丸形又は斜面付き縁部、
−側壁の少なくとも1つに1つの縦方向丸形縁部及び1つの縦方向斜面付き縁部、及び/又は
−背面壁に1つの横方向丸形縁部及び1つの横方向斜面付き縁部、
−側壁の少なくとも1つに1つ又は2つの横方向丸形又は斜面付き縁部及び前面壁に1つ又は2つの縦方向丸形又は斜面付き縁部、
−前面壁に2つの縦方向丸形又は斜面付き縁部又は前面壁に2つの横方向丸形又は斜面付き縁部、
を含むことができる。
【0026】
用語「縦方向」は、底部から上部の又はその反対の方向を意味する。用語「横方向」は、前面壁、背面壁、又は側壁の1つにわたって縦方向に垂直な方向を意味する。
【0027】
容器が1つ又はそれよりも多くの斜面付き縁部を含む場合、好ましくは、斜面付き1つ又はそれよりも多くの縁部は、約1mmと約10mmの間、好ましくは、約2と約6mmの間の幅を有する。代替的に、容器は、容器の縁部に生じる2つの異なる斜面によって形成された2重斜面を含むことができる。
【0028】
矩形横断面の容器の代替として、容器は、三角形、四角形、又は六角形のような多角形断面、又は長円形、半長円形、円形、又は半円形の断面を有することができる。
【0029】
容器は、以下に限定されるものではないが、厚紙、板紙、プラスチック、金属、又はその組合せを含むあらゆる適切な材料から形成することができる。好ましくは、容器の本体は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンテレフタレートから作ることができる。好ましくは、外側シェルは、更に錫カバー層を含む。
【0030】
本発明による容器は、様々な消費財のためのパッケージとして使用することができる。特に好ましい実施形態では、本発明による容器は、喫煙物品を包装するのに使用される。本発明による容器は、以下に限定されるものではないが、公知の着火端部シガレット、シガー又はシガリロ、可燃性燃料要素又は熱源及びエーロゾル発生基体を含む加熱式喫煙物品(例えば、US−A−4,714,082に記載のシガレット)、及び電気加熱式喫煙システムと共に使用するための喫煙物品(例えば、US−A−5,692,525に開示する種類のシガレット)を含む喫煙物品を包装するのに有利に使用することができる。
【0031】
その寸法の適切な選択により、本発明による容器は、異なる総数の喫煙物品、又は異なる配置の喫煙物品を保持するように設計することができる。例えば、その寸法の適切な選択により、本発明による容器は、総数が10と30の間の喫煙物品を保持するように設計することができる。
【0032】
本発明による容器は、消費財の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの別々の束を保持することができる。別々の束は、前面壁に対して及び背面壁に対して実質的に平行に又は前面壁に対して及び背面壁に対して実質的に垂直に配置することができる。
【0033】
束内では、喫煙物品は、喫煙物品の総数、喫煙物品の寸法、又は容器の断面形状に応じて異なる丁合で配置することができる。例えば、喫煙物品は、5、6、7、8,9、又は10の1列の束に配置することができる。代替的に、喫煙物品は、2列又はそれよりも多くの列に配置することができる。2つ又はそれよりも多くの列は、同じ数の喫煙物品を収容することができる。例えば、喫煙物品は、5、6、7、8、9、又は10の2列、又は5、6、7、8,9、又は10の3列、又は4、5、6、又は7の4列に配置することができる。代替的に、2列又はそれよりも多くの列は、互いに異なる数の喫煙物品を収容する少なくとも2列を含むことができる。例えば、喫煙物品は、5の列と6の列(5−6)、6の列と7の列(6−7)、7の列と8の列(7−8)、5の中央列と6の外側2列(6−5−6)、5の中央列と7の外側2列(7−5−7)、6の中央列と5の外側2列(5−6−5)、6の中央列と7の外側2列(7−6−7)、7の中央列と6の外側2列(6−7−6)、9の中央列と8の外側2列(8−9−8)、又は6の中央列、5の外側1列、及び7の外側1列(5−6−7)に配置することができる。
【0034】
本発明による容器は、同じ種類又は銘柄、又は異なる種類又は銘柄の喫煙物品を保持することができる。更に、フィルタなし喫煙物品及び広範なフィルタチップ付き喫煙物品の両方、並びに異なる長さの喫煙物品(例えば、約40mmと約180mmの間)及び異なる直径の喫煙物品(例えば、約4mmと約9mmの間)を収容することができる。更に、喫煙物品は、風味の強度、吸引抵抗、及び総粒子状物質送出量を異なるものにすることができる。容器が1つよりも多くの束を含む場合、同じ容器内の各束は、上に列挙したような同じか又は異なる種類の喫煙物品を保持することができる。
【0035】
好ましくは、容器の寸法は、喫煙物品の長さ及び喫煙物品の丁合に適合される。一般的に、容器の外寸は、容器の内側に収容された喫煙物品の束の寸法よりも約0.5mmから約7mmの間だけ大きい。
【0036】
好ましくは、本発明による容器は、約60mmと約150mmの間の高さ、より好ましくは、約70mmと約125mmの間の高さを有し、高さは、容器の上部壁から底部壁まで測定される。
【0037】
好ましくは、本発明による容器は、約12mmと約150mmの間の幅、より好ましくは、約20mmと約40mmの間の幅を有し、幅は、容器の第1の側壁から第2の側壁まで測定される。
【0038】
好ましくは、本発明による容器は、約6mmと約100mmの間の深さ、より好ましくは、約50mmと約70mmの間の深さを有し、深さは、容器の前面壁から背面壁まで測定される。
【0039】
本発明による容器の外部表面は、製作者又は銘柄ロゴ、商標、スローガン、及び他の消費者情報及び印しを用いて印刷、エンボス、デボス、打ち抜き、又はその他の方法で装飾することができる。代替的に又は追加的に、本発明による容器の外部表面は、ラッカー、金属化、ホログラム、蛍光の材料、又は容器の感触、匂い、又は外観を変えるいずれかの他の材料を用いて少なくとも部分的に覆うことができる。
【0040】
本発明による容器の内側スライドが喫煙物品の1つ又はそれよりも多くの束を収容する場合、喫煙物品は、好ましくは、例えば、金属箔又は金属化紙の内側ライナ内に包まれる。
【0041】
容器が喫煙物品を含む場合、容器は、廃棄物のための仕切り、又は例えばマッチ、ライター、消火手段、気分転換剤、又は電子機器のような他の消費財を更に含むことができる。他の消費財は、容器の外側に取り付けるか、喫煙物品と共に容器に収容するか、容器の個別の仕切りに収容するか、又はその組合せとすることができる。
【0042】
充填された状態で、本発明による容器は、例えば、高密度又は低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン、塩化ポリビニリデン、セルロースフィルム、又はそれらの組合せの透明なポリマーフィルムを用いて従来の方法で収縮包装するか又はその他の方法で上包装することができる。本発明による容器が上包装される場合、上包装紙は、開封テープを含むことができる。
【0043】
添付図面を参照して本発明を単に一例として以下に更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】閉鎖位置にある本発明による容器の実施形態の側面図である。
【図2】開放位置にある本発明による容器の実施形態の側面図である。
【図3】本発明による容器の実施形態の案内及びレール構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1に、内側スライド2及び外側シェル3を含む本発明による容器1が閉鎖位置に示されている。内側スライド2を外側シェル3に移動可能に接続する第1の案内手段4及び第2の案内手段5が設けられる。
【0046】
第1の案内手段4及び第2の案内手段5は、内側スライド2に接続された案内ピン6、7と、外側シェル3の案内スリット8、9とで構成される。案内スリット8、9は、図1に破線に示した案内経路10、11を形成する。
【0047】
第2の案内手段5の案内スリット9は、第1の案内手段4の案内スリット8の上に配置される。案内スリット9は、案内スリット8よりも長い延長部を有する。案内スリット9は、案内スリット8の水平面に対する角度よりも小さい水平面に対する角度で直線的に延びる。案内スリット8、9は、外側シェル3の背面壁12に向う方向に高くなる。
【0048】
図1に示す容器の閉鎖位置では、案内ピン6、7は、外側シェル3の背面壁12により近い案内スリット8、9の端部位置に配置される。
【0049】
外側シェル3は、更に、左側壁13、上部壁14、及び図1では見えない右側壁を含む。内側スライド2は、前面壁15、底部壁16、左側壁17及び右側壁、及び背面側壁を含む。
【0050】
案内ピン6、7は、内側スライド2の左側壁17及び右側壁の固定位置に挿入される。案内スリット8、9は、外側シェル3の左側壁13と右側壁に設けられる。
【0051】
外側シェル3は、更に、左側壁13に切り欠き18、及び右側壁に相応の切り欠きを含む。切り欠き18により、消費者は、左側壁17及び右側壁で内側スライド2を直接把持し、かつ内側スライド2を容器の開放位置に向けて移動することができるようになる。
【0052】
開放位置では、図2に示すように、案内ピン6、7が、案内スリット8、9の前面位置にある。案内スリット8、9はまた、図2に示す開放位置にある外側シェル3に対して内側スライド2が更に前部に移動できないように完全停止をもたらす。
【0053】
内側スライド2は、その右側壁及び左側壁17の上部部分に切り欠き19を有し、外側シェル2に収容された消費財に対するアクセスを容易にする。
【0054】
消費財は、好ましくは、内側ライナ及び包装フィルムに含まれた喫煙物品、特にシガレットである。内側ライナは、内側スライド2の切り欠き19の領域内の内側ライナの上端に取外し可能部分を形成する穿孔線を有する。取外し可能部分は、それが残りの内側ライナから引き裂かれて喫煙物品に簡単にアクセス可能なように消費者が引くことができる。好ましくは、包装フィルムは、穿孔に沿って包装フィルムを簡単に開封するために開封テープを含む。
【0055】
外側シェル3は、側壁13の内側側面において、容器の閉鎖位置で内側スライドの側壁17の外側側面に設けられたノッチ21内に係合する突起20を含む。ノッチ21と突起20の係合により、容器を図1の閉鎖位置に固定する閉鎖手段が利用可能になる。図2では、ノッチ21と突起20が互いに対して距離を置いている。しかし、更に別の相応の閉鎖手段が内側スライド2及び外側シェル3に設けられ、容器1を図2の開放位置に固定することができる。
【0056】
更に、透明区画22、23、及び24が外側シェル3に設けられ、更に別の透明区画25が内側スライド2に設けられる。透明区画22、23、及び25は、内側スライド2内の喫煙物品の束が外側から可視であるように容器の閉じた構成で互いに整列する。従って、喫煙物品の束の色に応じて、容器1内の喫煙物品の種類を容器の外側から判断することができる。
【0057】
更に、外側シェル3に対する内側スライド2の相対移動中に、透明区画24及び25は、外側シェル3に対する内側スライド2の相対位置を示すある一定の断面を有することを可能にされる。容器の開放中に、透明区画24及び25が重なった状態で移動の像が作り出される。図示の実施形態では、垂直透明区画25の下側区画が最初に見られ、次に更に上にある内側スライド2の内側の束の区画が見える。内側スライド内の束の設計次第で、これは、露出した区画内で可視の色変化を作り出すか、又は移動中にテキストメッセージが可読になるようにすることができる。
【0058】
図3には、第2の案内手段5の図1の線A−Aに沿った断面の拡大図が示されている。第1の案内手段4は、相応に設計される。
【0059】
案内手段5は、案内スリット9に移動可能に挿入され、かつ内側スライド2に接続された案内ピン7により、内側スライド2を外側シェル3と連結する。案内スリット9は、皿穴にされ、かつ定められた摺動運動を可能にするように突起27及び案内ピン7の側壁28と相互作用する突起26を含む。
【0060】
案内ピン7は、更に、案内ピン7を内側スライド2の定められた位置に固定することができるように内側スライド2のための当接面を可能にする凹部29を含む。これは、内側スライド2内で案内ピン7の位置が変わるような場合に案内手段5を無意識にロックすることができるので特に重要である。
【0061】
更に、容器は、図3には示したが図1及び2には省略したカバーパネル30を含む。カバーパネル30は、案内手段が外側から見えずかつそれらが保護されるように案内手段4、5を覆う。カバーパネル30は、外側シェル3の透明区画22、23、24の領域に開口部を含む。カバーパネル30は、好ましくは、容器1の外側シェル3の左側壁13、背面壁12、及び右側壁を覆う。
【0062】
カバーパネル30は、外面を平滑にすることができるように外側シェル3の凹部部分に受け入れることができる。カバーパネル30は、1つの一体部分とするか、又は外側シェルの各壁に設けられた3つの部分で構成することができる。特に、カバーパネル30は、湾曲した形状で設けられ、かつ固定手段31によって外側シェル3に固定された金属シートで作ることができる。外側シェルは、外側シェル3の縁部に丸形部分32を有し、その上にカバーパネル30が延びる。
【0063】
以下に容器の製作工程を説明する。最初に、内側スライド2及び外側シェル3の両方がプラスチック材料、特に、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンテレフタレートで成形される。次に、図1に示す閉鎖位置状態で内側スライド2が外側シェル3に配置される。案内ピン6、7が案内スリット8、9を通して内側スライド2に挿入されて固定される。案内ピン6、7の内側スライド2への固定は、内側スライド2のボアに接着するか又は単に摩擦接触するかのいずれかによって達成することができる。案内ピン6、7は、カバーパネル30によって案内スリット8、9に更に固定することができる。
【0064】
この発明は、補充カートリッジの消費財の周りの内側ライナ及び包装フィルムだけを廃棄すればよいので、材料節約によって環境問題を解決する補充可能な容器を提供する。
【0065】
内側スライドは、消費者コミュニケーションのために付加的な区域を提供する。
【0066】
消費財を含む補充カートリッジの製作は、従来技術の廃棄型容器の製作よりも廉価である。
【0067】
第1及び第2の案内手段によって可能になった外側シェルに対する内側スライドの移動機能のために、容器の補充操作は、内側スライドの上部側面を露出することができるので容易になる。
【0068】
カバーパネルは、好ましくは、付加的な構造的強度及び光学的効果をもたらす例えば錫のようなシートメタルで製作される。カバーパネルの開口部は、シートメタルに型打ち、エッチング、又はレーザカットすることができる。カバーパネルは、外側シェルの背面壁のスロットを貫通する金属フラップを用いて締結することができる。カバーパネルの開口部は、それらが整列する外側シェルの側壁の透明区画よりも小さくかつより繊細にすることができる。
【0069】
案内ピンは、低摩擦係数を有する材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレンから形成される。
【0070】
内側及び外側シェルは、好ましくは、射出成形される。
【符号の説明】
【0071】
1 容器
2 内側スライド
3 外側シェル
4 第1の案内手段
5 第2の案内手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費財を収容するための内側スライド(2)と、
前記内側スライド(2)の周りに少なくとも部分的に設けられた外側シェル(3)と、
を含む容器(1)であって、
第1及び第2の案内手段(4、5)が所定運動経路に沿った外側シェル(3)に対する内側スライド(2)の相対運動を可能にするようになった異なる案内経路(10、11)を備えた第1の案内手段(4)及び第2の案内手段(5)、
を特徴とする容器(1)。
【請求項2】
前記第1及び第2の案内手段(4、5)の前記案内経路(10、11)は、互いに対して長さ及び角度が異なることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第1の案内手段(4)は、前記第2の案内手段(5)の下に配置され、該第2の案内手段(5)の前記案内経路(11)は、該第1の案内手段(4)の前記案内経路(10)よりも長いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記第1の案内手段(4)の前記案内経路(10)と水平面との間の第1の角度が、前記第2の案内手段(5)の前記案内経路(11)と水平面との間の第2の角度よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記外側シェル(3)は、その前部側面及び底部側面で開いており、前記内側スライド(2)は、その上部で開いていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記第1及び第2の案内手段(4、5)の各々は、前記案内経路に沿って延びる案内凹部と、該案内凹部に係合して該案内凹部に沿って移動可能な案内突起とを含み、
前記案内突起及び前記案内凹部のうちの一方は、前記内側スライド(2)の外側側面上に設けられ、他方は、前記外側シェル(3)の内側側面上に設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記第1及び第2の案内手段(4、5)の各々は、前記案内経路(10、11)に沿って延びる前記外側シェル(3)内の皿穴案内スリット(8、9)と、前記内側スライド(2)に接続された案内要素(6、7)とを含み、
前記案内要素6、7は、前記案内スリット(8、9)に係合し、かつそれに沿って移動可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
カバーパネル(30)が、前記案内スリット(8、9)を覆うために前記外側シェル(3)上に設けられることを特徴とする請求項7に記載の容器。
【請求項9】
前記第1及び第2の案内手段(4、5)は、前記内側スライド(2)及び外側シェル(3)の左側壁(13、17)又は右側壁、又は該左側壁(13、17)及び該右側壁に設けられることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
切り欠き(18)が、閉じた容器内の前記内側スライド(2)へのアクセスを可能にするために前記外側シェル(3)に設けられることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
閉鎖手段が、前記内側スライド(2)を前記外側シェル(3)内の前記閉鎖位置に固定するために設けられることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の容器。
【請求項12】
前記閉鎖手段は、容器の前記閉鎖位置で互いに係合するノッチ(21)及び突起(20)を含み、
前記ノッチ(21)及び突起(20)のうちの一方は、前記内側スライド(2)の前記外側側面上に設けられ、ノッチ(21)及び突起(20)のうちの他方は、前記外側シェル(3)の前記内側側面上に設けられる、
ことを特徴とする請求項11に記載の容器。
【請求項13】
前記第1及び第2の案内手段(4、5)の端部が、完全に開いた容器のための完全停止位置を可能にする停止部分として構成されることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の容器。
【請求項14】
少なくとも1つの透明区画(22、23、24、25)が、前記内側スライド(2)又は前記消費財上に提供された情報が可視であることを可能にするために前記外側シェル(3)及び該内側スライド(2)の前記壁のうちの少なくとも1つに設けられることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の容器。
【請求項15】
前記消費財は、補充パッケージとして提供されることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−517998(P2013−517998A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550323(P2012−550323)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007398
【国際公開番号】WO2011/091828
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(596060424)フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム (222)
【Fターム(参考)】