説明

内外双方向開閉自在の門扉

【課題】 可及的に簡単な構造によって内外双方向に門扉本体を開閉できるようにする。
【解決手段】 吊元側門柱1aの戸先側門柱1bの対向面に開閉ヒンジ4の支軸41を固定し、門扉本体2の縦框21の上下端に面一に軸受46を突出配置し、該開閉ヒンジ4をピボットヒンジ形式として門扉本体2を吊支持する。門扉本体2の戸先と戸先側門柱1b間には個別突没自在に突出方向に付勢したラッチボルト63と、ハンドル3に連動してラッチボルト63を同時没入するプッシュプレート66を配置する。ハンドル3操作で開閉が可能となり、門扉本体2を閉鎖方向に押せば内外一方のラッチボルトが門扉本体2の通過を許容し、内外他方のラッチボルト63が門扉本体2のストッパーとなって、自動的に施錠がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷地側とその外側の通路側の双方に向けて押開きによって内外双方向に開閉自在とした内外双方向開閉自在の門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の押開きによって内外双方向に開閉自在とした門扉として、本発明者による下記特許文献記載のものが知られている。これによれば、門柱の内側面に配置した上下のベース金具と、該上下のベース金具から直線状に突出した直線アームと、門扉本体の吊元側に配置した軸受又は支軸による上下のヒンジ他方の金具を備え、上記ヒンジ一方の金具とヒンジ他方の金具による上下の開閉ヒンジによって門扉本体を内外双方向に向けて押開き開閉自在に支持したものとされ、このとき上記門柱は、その内側面を幅広に、外側面を幅狭の台形状に形成して、内外面間に傾斜スペースを配置し、該傾斜スペースによって、門扉本体の回動開閉角度をその閉鎖状態から内外にそれぞれ90度を上回る、例えば100±5度の角度としたものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−52323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、出入に際して門扉本体を内外双方向に押開きすることが可能となるから、例えば、門扉本体を敷地の内側に開閉する、従来の内開き門扉のように、門扉本体の戸先乃至上框を手前に引くようにして内側に引き開きして通路に出るといった動作を必要とせず、内外いずれからも門扉本体を押圧することによって出入が可能となり、従って、車椅子使用者や車椅子を押して出入する介助者が、例えばマンションの専用部分から共用部分の通路に出るときのように、比較的狭いスペースで、門扉本体の開錠操作、門扉本体の回動範囲からの移動、門扉本体の引寄せ閉鎖、再施錠操作といった煩雑な動作を必要とすることなく、門扉の出入を容易に行なうことができ、車椅子使用者、介助者、身体障害者、高齢者等にとって使い勝手を良好とした門扉とすることができるというメリットがある。
【0005】
しかし乍ら、この場合、門扉本体の回動開閉角度を確保するために、門柱を台形状として、傾斜スペースを、門柱と門扉本体の衝接を防止する緩衝部位とすることによって、門柱を特殊断面形状とする必要があり、一般に使用される断面四角形の門柱を使用することができず、特殊断面形状による成形の煩雑化、搬送スペースの拡大、現場工事の煩雑化、コストアップといった問題点を招く可能性が残されるとともに、例えば、マンションにおけるが如くにコンクリート壁に傾斜スペースを確保できず、また、この場合、門扉本体を持ち上げると、開閉ヒンジが分離して門扉門体を門柱から取り外すことができ、屋外設置を常態とする門扉にあって門扉本体の盗難の可能性が残されている。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、その解決課題とするところは、可及的簡易な構造によって、上記のようなメリットを有して使い勝手を良好とする一方、特殊断面形状の門柱を用いなくても、確実に内外双方に押開き開閉をなし得るようにするとともに門扉本体の盗難可能性を可及的に解消した内外双方向開閉自在の門扉を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って本発明は、吊元側門柱又はコンクリート壁に固定した上下のヒンジ一方の金具と、門扉本体の吊元側縦框に固定したヒンジ他方の金具によって開閉ヒンジを構成して門扉本体を吊支持するとともに該開閉ヒンジをピボットヒンジ形式とすることによって門扉本体を該開閉ヒンジ間に挟持するように吊支持して、例えば、マンションの専有部分と共用部分を仕切る場合を含めて、比較的狭いスペースに設置しても、該門扉本体の開閉を内外双方向になし得るようにするとともに該開閉ヒンジを容易に抜けないように保持して、門扉本体の抜き取りを防止し得るようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、吊元側門柱又はコンクリート壁の上下に固定した支軸又は軸受によるヒンジ一方の金具と、門扉本体の吊元側縦框の上下に固定した軸受又は支軸によるヒンジ他方の金具を備え、該ヒンジ一方の金具をそれぞれ上下外側に、ヒンジ他方の金具を上下内側に配置することによって形成したピボットヒンジ形式の開閉ヒンジにより上記吊元側門柱又はコンクリート壁に門扉本体を吊支持することによって該門扉本体を内外双方向に向けて押開き開閉自在としてなることを特徴とする内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、上記ピボットヒンジ形式の開閉ヒンジの回動中心を、上記吊元側門柱又はコンクリート壁から突出配置することによって、該開閉ヒンジの内外双方に門扉本体を煽り状に開閉する回動スペースを配置することによって、門扉本体の開閉に際して、その回動開閉角度を閉鎖状態から該回動スペースに至ることによって内外双方向に対して90度を上回る角度とすることによって、車椅子の出入を含めて広い開口を得られて使い勝手を更に良好なものとするように、これを、上記ヒンジ一方の金具を、上記吊元側門柱又はコンクリート壁から連結部を介して開口面内に突出するとともにヒンジ他方の金具を、門扉本体の吊元側縦框から開口端部側に向けて突出し、開閉ヒンジの回動中心を吊元側門柱又はコンクリート壁から開口面内に離隔配置することによって、開閉ヒンジの内外双方に門扉本体の煽り状の回動スペースを確保し、門扉本体の回動開閉角度を、その閉鎖状態から該回動スペースに至る内外にそれぞれ90度を上回る角度としてなることを特徴とする請求項1に記載の内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、門扉本体縦框と戸先側門柱との間で施錠を可能とする一方、該施錠を、門扉本体の閉鎖によって自動的に施錠可能とし且つハンドル操作によって自動的に施錠解除可能として使い勝手の良好なものとするように、これを、上記門扉本体戸先框と戸先側門柱又はコンクリート壁との間に施錠装置を配置するとともに該施錠装置を、門扉本体の閉鎖によって戸先を戸先側の門柱に自動保持自在とし且つ門扉本体のハンドル操作によって上記施錠保持を自動解除自在とした双方向開閉用としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記施錠装置を、可及的簡易な構造によって、上記自動的な施錠と施錠解除を確実に行なうに適した形態のものとするように、これを、上記施錠装置を、戸先側の門柱に配置した、個別突没自在として突出時に門扉本体の戸先を挟持する内外一対のキャッチャーと、門扉本体の戸先に配置した、上記内外一対のキャッチャーを同時没入することによってその戸先の挟持を解除自在としたハンドル操作連動の内外一対のプッシャーとを備えてなることを特徴とする請求項3に記載の内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0011】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、吊元側門柱又はコンクリート壁に固定した上下のヒンジ一方の金具と、門扉本体の吊元側縦框に固定したヒンジ他方の金具によって開閉ヒンジを構成して門扉本体を吊支持するとともに該開閉ヒンジをピボットヒンジ形式とすることによって門扉本体を該開閉ヒンジ間に挟持するように吊支持して、例えば、マンションの専有部分と共用部分を仕切る場合を含めて、比較的狭いスペースに設置しても、該門扉本体の開閉を内外双方向になし得るようにするとともに該開閉ヒンジを容易に抜けないように保持して、門扉本体の抜き取りを防止し得るようにするようにして、可及的簡易な構造によって、車椅子使用者、介助者、身体障害者、高齢者等にとっても、門扉の出入を容易になし得て、使い勝手を良好とする一方、特殊断面形状の門柱を用いなくても、確実に内外双方に押開き開閉をなし得るようにするとともに門扉本体の盗難可能性を可及的に解消した内外双方向開閉自在の門扉を提供することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、上記ピボットヒンジ形式の開閉ヒンジの回動中心を、上記吊元側門柱又はコンクリート壁から突出配置することによって、該開閉ヒンジの内外双方に門扉本体を煽り状に開閉する回動スペースを配置することによって、門扉本体の開閉に際して、その回動開閉角度を閉鎖状態から該回動スペースに至ることによって内外双方向に対して90度を上回る角度とすることによって、車椅子の出入を含めて広い開口を得られて使い勝手を更に良好なものとすることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、門扉本体縦框と戸先側門柱との間で施錠を可能とする一方、該施錠を、門扉本体の閉鎖によって自動的に施錠可能とし且つハンドル操作によって自動的に施錠解除可能として使い勝手の良好なものとすることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記施錠装置を、可及的簡易な構造によって、上記自動的な施錠と施錠解除を確実に行なうに適した形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】門扉の背面図である。
【図2】門扉の平面図である。
【図3】門扉本体吊支持の状態を示す拡大平面図である。
【図4】門扉本体の開閉角度を示す拡大図である。
【図5】門柱と門扉本体の関係を示す拡大背面図である。
【図6】門扉本体の施錠装置を示す拡大平面図である。
【図7】施錠装置の構造を示す横断面図である。
【図8】施錠装置による開錠状態を示す横断面図である。
【図9】施錠状態の構造を示す背面図である。
【図10】他の例を示す門扉の背面図である。
【図11】門扉本体吊支持の状態を示す拡大平面図である。
【図12】コンクリート壁と門扉本体の関係を示す拡大背面図である。
【図13】他の例の門扉本体の施錠装置を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、図1乃至図9においてAは内外双方向開閉自在の門扉であり、該門扉Aは、吊元側門柱又はコンクリート壁、本例にあっては吊元側門柱1aの上下に固定した支軸又は軸受、本例にあっては支軸42によるヒンジ一方の金具41と、門扉本体2の吊元側縦框21の上下に固定した軸受又は支軸、本例にあっては軸受47によるヒンジ他方の金具46を備え、該ヒンジ一方の金具41をそれぞれ上下外側に、ヒンジ他方の金具46を上下内側に配置することによって形成したピボットヒンジ形式の開閉ヒンジ4により上記吊元側門柱1bに門扉本体2を吊支持することによって該門扉本体2を内外双方向に向けて押開き開閉自在としたものとしてあり、このとき、該門扉Aにあって、上記ヒンジ一方の金具41は、これを、上記吊元側門柱1aから連結部44を介して開口面内に突出するとともにヒンジ他方の金具46を、門扉本体2の吊元側縦框21から開口端部側に向けて突出し、開閉ヒンジ4の回動中心を吊元側門柱1aから開口面内に離隔配置することによって、開閉ヒンジ4の内外双方に門扉本体2の煽り状の回動スペースを確保し、門扉本体2の回動開閉角度を、その閉鎖状態から該回動スペースに至る内外にそれぞれ90度を上回る角度としたものとしてある。
【0018】
門柱は、中空の断面四角形、特に方形の吊元側門柱1aと、中空の断面倒T字状の戸先側門柱1bの異なる断面形状のものとして、それぞれ下端を地中に埋込むことによって起立設置し、上端にキャップ11を被嵌配置してその中空部を閉塞したものとしてあり、門扉本体2は、対向する吊元側及び戸先側の縦框21と上下の横框22を框組みし、該框組み内に多数の横桟を配置した横格子のものとして、その吊元側縦框21を上記吊元側門柱1aに吊支持して、吊元側及び戸先側の一対の門柱1a、1b間に配置することによって門扉Aを形成したものとしてある。
【0019】
開閉ヒンジ4をなす、本例にあって支軸42によるものとしたヒンジ一方の金具41は、ネジ孔を透設した取付部43と、該取付部43から、例えば、該取付部43と平面T字状をなすように門扉Aの面内方向に短突出した連結部44と、該連結部44に対して垂直に配置した太径にして中央の軸穴に支軸42を嵌合して起立固定した台座部45とを備えて形成し、上記取付部43を吊元側門柱1aの側面、即ち、一対の門柱1a、1bの対向面上下に対接して上記ネジ孔からのネジによって該吊元側門柱1aに固定してある。
【0020】
同じく開閉ヒンジ4をなす、本例にあって軸受47によるものとしたヒンジ他方の金具46は、同じくネジ孔を透設した太径の台座部48と、該台座部48に上記支軸の外径に合せてその回動を許容する内径の軸受47を備えて形成し、該台座部48を門扉本体2の吊元側側面、即ち、吊元側門柱1aの側面に対向する対向面上下に対接して、同様に上記ネジ孔からのネジによって該門扉本体Aに固定してある。
【0021】
このとき、上記吊元側門柱1aに固定した、本例にあって支軸としたヒンジ一方の金具41は、その上下間隔、特に支軸を起立固定した台座部45の間隔を、門扉本体2の吊元側縦框21の高さと同等乃至これよりやや大きくして、該台座部45間に該縦框21を受入可能とし、また、上記取付部43から短突出した連結部44を有することによって、吊元側門柱1aの側面から、門扉Aの面内方向に、例えば数cm程度入り込んだ離隔位置にこれを配置する一方、門扉本体2の側面に固定した上下のヒンジ他方の金具47は、該門扉本体2の吊元側縦框21の上下端と面一乃至略面一に、その門扉本体2に対する固定を行なってある。
【0022】
このようにヒンジ一方の金具41とヒンジ他方の金具46をそれぞれ吊元側門柱1a及び門扉本体2に配置することによって、これらヒンジ一方及び他方の金具41、46によって形成する開閉ヒンジ4は、これをピボットヒンジ形式のものとして、吊元側門柱1aに対して門扉本体2の内外双方向に向けた開閉を可能とするとともに上記ヒンジ一方の金具41の門扉Aの面内方向離隔位置を門扉本体2の回動中心とすることによって、該ヒンジ一方の金具41の内外に門扉本体2が煽り状に開閉する回動スペースを確保し、門扉本体2は、その開閉角度を、門扉本体2の吊元側縦框21が吊元側門柱1aに接触する位置まで又は戸先側縦框21がコンクリート壁面1c等に接触する位置までの、閉鎖状態から該回動スペースに入り込んだ内外方向にそれぞれ90度を上回る角度、例えば100度程度の角度、内外双方の合計で200度程度の角度とすることができ、車椅子の通過等を含めて充分に広い開口を得ることができるようにしてある。
【0023】
図中6は、本例の門扉Aにあって、門扉本体2と戸先側門柱1b間に配置した双方向開閉用の施錠装置であり、該施錠装置6は、これを、門扉本体2の閉鎖によって戸先を戸先側門柱1bに自動保持自在とし且つ門扉本体2のハンドル3操作によって上記施錠保持を自動解除自在とした双方向開閉用としてあり、本例にあって、該施錠装置6は、これを、戸先側門柱1bに配置した、個別突没自在として突出時に門扉本体2の戸先を挟持する内外一対のキャッチャー61と、門扉本体2の戸先に配置した、上記内外一対のキャッチャー61を同時没入することによってその戸先の挟持を解除自在としたハンドル3操作連動の内外一対のプッシャー64とを備えたものとしてあり、これによって、上記門扉本体2の閉鎖による戸先同士の自動保持とハンドル3操作による自動解除を行なうようにしてある。
【0024】
本例のキャッチャー61は、内外一対の、例えば突出方向に付勢して個別突没自在とした、例えばラッチボルト63を用いて、その傾斜面を内側及び外側に露出し、垂直面を相互に対向するように、戸先側門柱1bの内外面に配置することによって、該ラッチボルト63の対向する垂直の対向面を保持部として、門扉本体2の戸先側縦框21を保持するようにしてあり、本例にあって該キャッチャー61は、ケース62に対してそれぞれ突出方向に付勢した一対のラッチボルト63を装着配置し、該ケース62を、上記断面倒T字状とした戸先側門柱1bの内外L字部に、該ラッチボルト63を戸先側門柱1bの側面、即ち、門扉Aの面内方向に向けて突出するように、それぞれネジ固定してある。
【0025】
これによって、一方のラッチボルト63の傾斜面に、閉鎖する門扉本体2の戸先側縦框21が衝接することによって、該ラッチボルト63がその付勢力に抗して没入し、これに対向して配置した他方のラッチボルト63、特にその垂直の対向面が、該縦框21を受止めて、門扉本体2を閉鎖定位置に受止めするとともに上記一方のラッチボルト63がその付勢力によって突出復帰して、該門扉本体2を戸先側門柱1bに施錠保持するようにしてある。
【0026】
本例のプッシャー64は、門扉本体2の戸先側縦框21に、上記内外一対のラッチボルト63を同時押圧するようにハンドル3の操作、本例にあってはレバーハンドルの押下げ操作によってラッチボルト63側に向けて突出するように、該レバーハンドル3の戸先側縦框21内の回転軸31に回動リンク67を介して連結したプッシュプレート66をケース65に装着配置し、該ケース65を、上記内外一対のラッチボルト63と同様に戸先側縦框21の内外面、即ち、正面及び背面に固定して、その突出時にプッシュプレート66が内外一対のラッチボルト63を没入し得るようにしてある。このとき、本例のレバーハンドル3は、ハウジングと回転軸との間にバネ68を介設して、該レバーハンドル3を水平配置するように付勢してあり、これによって、該レバーハンドル3の押下げ操作によって突出したプッシュプレート66を、該レバーハンドル3から手を離すことによって、レバーハンドル3の水平配置の復帰に伴ってケース65内に自動的に没入復帰するようにしてある。
【0027】
以上のように構成した本例の門扉Aは、敷地側及び通路側のいずれからも該門扉本体2を押開きしてその出入を行なうことが可能となり、例えば、車椅子利用者、車椅子の介助者、高齢者、障害者等を含めて、門扉Aの出入が極めて容易になる。また、吊元側門柱1aの内外に煽り状の回動スペースを配置して門扉本体2の回動開閉角度を内外にそれぞれ100度程度としたことによって、開口が広く得られて、従来の門扉におけるように、門扉本体が開口内に残存することによる開口狭小化とこれにより出入障害となることもない。
【0028】
更に、施錠装置6はハンドル3の操作によって門扉本体2の施錠保持を同時解除し得るから、レバーハンドル3を押下げるだけで、門扉本体2を開閉することができる上、出入後には押し開いた門扉本体2を押すだけで、キャッチャー61の内外一方が門扉本体2を受入れ、内外他方が門扉本体2のストッパーとなることによって、門扉本体2を自動的に閉鎖状態とすることができ、例えば敷地側から閉めた門扉本体2が通路側に飛び出して通行人に当ったりすることも有効に防止できる。
【0029】
図中5は、開閉ヒンジ4の支軸42と軸受47間に介装したワッシャーを示す。
【0030】
図10乃至図12は、他の例を示すもので、本例にあって上記内外双方に開閉自在とした門扉本体2は、これを、例えばマンションの専用部分と共用部分を仕切る場合に用いる如くに、ヒンジ一方の金具41をコンクリート壁1cの上下に固定し、該ヒンジ一方の金具41と、門扉本体2の吊元側縦框21の上下に固定したヒンジ他方の金具46とによって形成したピボットヒンジ形式の開閉ヒンジ4によりコンクリート壁1cに門扉本体2を吊支持することによって該門扉本体2を内外双方向に向けて押開き開閉自在とした例である。
【0031】
本例にあって該ヒンジ一方の金具41は、これを上記と同様に支軸42によるものとしてあり、本例にあって該ヒンジ一方の金具41は、上記取付部43と連結部44を除いた、垂直に配置した太径にして中央の軸穴に上記支軸42を嵌合して起立固定した台座部45によって形成してあり、該台座部45に透設したアンカー孔を介して配置して該台座部45を貫通したホールインアンカーによってコンクリート壁1cの壁面上下に固定してある。
【0032】
図13は、施錠装置6の他の例を示すもので、本例にあって該施錠装置6のキャッチャー61を、コンクリート壁1cに固定した例であり、本例にあってキャッチャー61は、コンクリート壁1cに、門扉本体2の戸先側縦框21と略同じ内外幅(厚さ)の取付枠8を配置し、該取付枠8の内外面に、同様にラッチボルト63のケース62をネジ止めすることによって、その固定を行ってあり、このとき該取付枠8は断面C字状とし、その開口に、ホールインアンカーによってコンクリート壁に固定した断面U字状の固定枠81を受入れ固定して、該固定枠81を介してコンクリート壁に対する固定を行なったものとしてある。
【0033】
図10乃至図13のその余は上記例と変らないので、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0034】
以上のように構成した本例の門扉Aも、コンクリート壁1cに対して、上記ピボットヒンジ形式の開閉ヒンジ4を用いて門扉本体2を吊支持するとともに該コンクリート壁1c又は戸先側門柱1bとの間に施錠装置6を配置して、同様に、押開きによる出入を極めて容易になし得るとともに門扉本体2の回動開閉角度を内外方向にそれぞれ100度程度とする広い開口を得られるものとなり、また、レバーハンドル3の押下げによって門扉本体2を開閉でき且つ出入後に押し開いた門扉本体2を押すだけで、同様に門扉本体2を受入れて自動的に門扉本体2を閉鎖状態とし、同じく、敷地側乃至専用部分から閉めた門扉本体2が通路側に飛び出すことも有効に防止できる。
【0035】
図示した例は以上のとおりとしたが、ヒンジ一方の金具を軸受によるものとし、ヒンジ他方の金具を支軸によるものとすること、コンクリート壁にキャッチャーを固定するとき、上記取付枠に代えて、短寸の取付用金具を用いて、これを介してコンクリート壁に対する固定を行なうようにすること等を含めて、内外双方向開閉自在の門扉、門柱、門扉本体、開閉ヒンジ、ヒンジ一方の金具、ヒンジ他方の金具、必要に応じて用いる施錠装置、キャッチャー、プッシャー等の材質、形状、構造、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0036】
A 内外双方向開閉自在の門扉
1a 吊元側門柱
1b 戸先側門柱
1c コンクリート壁
11 キャップ
2 門扉本体
21 縦框
22 横框
3 ハンドル
31 回転軸
4 開閉ヒンジ
41 ヒンジ一方の金具
42 支軸
43 取付部
44 連結部
45 台座部
46 ヒンジ他方の金具
47 軸受
48 台座部
5 ワッシャー
6 施錠装置
61 キャッチャー
62 ケース
63 ラッチボルト
64 プッシャー
65 ケース
66 プッシュプレート
67 回動リンク
68 バネ
7 ホールインアンカー
8 取付枠
81 固定枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊元側門柱又はコンクリート壁の上下に固定した支軸又は軸受によるヒンジ一方の金具と、門扉本体の吊元側縦框の上下に固定した軸受又は支軸によるヒンジ他方の金具を備え、該ヒンジ一方の金具をそれぞれ上下外側に、ヒンジ他方の金具を上下内側に配置することによって形成したピボットヒンジ形式の開閉ヒンジにより上記吊元側門柱又はコンクリート壁に門扉本体を吊支持することによって該門扉本体を内外双方向に向けて押開き開閉自在としてなることを特徴とする内外双方向開閉自在の門扉。
【請求項2】
上記ヒンジ一方の金具を、上記吊元側門柱又はコンクリート壁から連結部を介して開口面内に突出するとともにヒンジ他方の金具を、門扉本体の吊元側縦框から開口端部側に向けて突出し、開閉ヒンジの回動中心を吊元側門柱又はコンクリート壁から開口面内に離隔配置することによって、開閉ヒンジの内外双方に門扉本体の煽り状の回動スペースを確保し、門扉本体の回動開閉角度を、その閉鎖状態から該回動スペースに至る内外にそれぞれ90度を上回る角度としてなることを特徴とする請求項1に記載の内外双方向開閉自在の門扉。
【請求項3】
上記門扉本体戸先框と戸先側門柱又はコンクリート壁との間に施錠装置を配置するとともに該施錠装置を、門扉本体の閉鎖によって戸先を戸先側の門柱に自動保持自在とし且つ門扉本体のハンドル操作によって上記施錠保持を自動解除自在とした双方向開閉用としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の内外双方向開閉自在の門扉。
【請求項4】
上記施錠装置を、戸先側の門柱に配置した、個別突没自在として突出時に門扉本体の戸先を挟持する内外一対のキャッチャーと、門扉本体の戸先に配置した、上記内外一対のキャッチャーを同時没入することによってその戸先の挟持を解除自在としたハンドル操作連動の内外一対のプッシャーとを備えてなることを特徴とする請求項3に記載の内外双方向開閉自在の門扉。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−265699(P2010−265699A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119007(P2009−119007)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000222130)東洋エクステリア株式会社 (102)
【Fターム(参考)】