内容物放出機構，内容物放出機構を備えたポンプ式製品およびエアゾール式製品
【課題】操作部として回動式のトリガーレバーを備えた内容物放出機構において、当該トリガーレバーのロック機構を強固にすることで、流通時の破損による不良品発生の低減化と、利用者取扱時の耐故障性の向上化を図る。
【解決手段】回動位置によって可動通路部材２の下動を阻止・許容する誤操作防止部材７に、トリガーレバー１とカバー体６の間に割り込んでトリガーレバー１の回動を阻止する湾曲板状部７ｄを設けた。トリガーレバー１の操作阻止位置に誤操作防止部材７を回動設定した状態では、段部７ｃが縦方向リブ状部２ｃの下に位置し、湾曲板状部７ｄがリブ状部１ｃの端面と補強リブ状部６ｃの端面との間に割り込む。この状態で上方からトリガーレバー１に加わった衝撃力は、湾曲板状部７ｄおよび段部７ｃのそれぞれが分散して受ける。
【解決手段】回動位置によって可動通路部材２の下動を阻止・許容する誤操作防止部材７に、トリガーレバー１とカバー体６の間に割り込んでトリガーレバー１の回動を阻止する湾曲板状部７ｄを設けた。トリガーレバー１の操作阻止位置に誤操作防止部材７を回動設定した状態では、段部７ｃが縦方向リブ状部２ｃの下に位置し、湾曲板状部７ｄがリブ状部１ｃの端面と補強リブ状部６ｃの端面との間に割り込む。この状態で上方からトリガーレバー１に加わった衝撃力は、湾曲板状部７ｄおよび段部７ｃのそれぞれが分散して受ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、操作部として回動式のトリガーレバーを備えたポンプ式製品やエアゾール式製品の内容物放出機構に関し、特に当該誤操作防止部材を当該トリガーレバーの操作不可能なロック位置と操作可能なロック解除位置とに選択的に設定可能な誤操作防止部材を備えた内容物放出機構に関する。
【０００２】
これにより、利用者が内容物放出操作をしていない静止モードで容器が倒れたような場合にも吐出弁が確実に閉状態に保持されて、吐出弁より上流側の多量の内容物が放出口からこぼれるのを防ぐとともに、内容物放出操作時における吐出弁の開状態への切り換え動作をいわばシャープに、また確実にしたものである。
【０００３】
適用対象の液状内容物としては、例えば石けん，消毒剤，化粧品，乳液、シェービングフォーム，ヘアスタイリングフォーム，洗剤，染毛剤，シャンプー，リンス，殺虫剤など、後述のように各種のものがある。
【０００４】
なお、本明細書においては、
(11)容器は、液状内容物が収容された容器本体のみならず当該容器本体からノズルまでの全体構成も含む意で用い、
(12)静止モードは、トリガーレバーが操作されていない、操作初期の状態のことであり、
(13)作動モードは、トリガーレバーが操作されて、ノズルから外部空間に内容物が放出される状態のことであり、
(14)前は、ノズル側（図１などの左側）のことであり、
(15)後は、ノズルとは反対側（図１などの右側）のことをである。
【背景技術】
【０００５】
従来、操作部として回動式のトリガーレバーを備えた内容物放出機構の当該操作部の固定機構として、利用者によるトリガーレバーの操作によって往復動し内容物を放出するピストンやステムを駆動する可動通路部材の周囲に、当該可動通路部材の往復動を規制する回動式の誤操作防止部材を設けた噴射機構が提案されている（特許文献１参照）。
【０００６】
この噴射機構では、ストッパ部材２５（誤操作防止部材）がロック解除位置の場合、利用者の操作によるトリガーレバー２６の回動は、押下部材２７（可動通路部材）を下動させるとともに当該押下部材と連結されたピストン２１やステム６２を押し下げて、内容物を放出させる。このとき、押下部材２７の突き当て突部２７ｄはストッパ部材２５の逃げ凹部２５ｅに入り込む。
【０００７】
ストッパ部材２５がロック位置の場合には、突き当て突部２７ｄがストッパ部材２５の段部２５に当接し当該押下部材の下動が阻止されるので、利用者はトリガーレバー２６を回動させることができない。
【０００８】
そして、ストッパ部材２５を押下部材２７の回りに回動可能に設けてあるので、利用者は通常の噴射体勢のまま片手操作でロック位置・ロック解除位置の選択設定が可能であり、また、取り外し式ストッパ部材を備えた内容物放出機構にありがちなストッパ部材自体の紛失のおそれもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開２００３−２３０８５４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
このように、突き当て突部２７ｄがストッパ部材２５の段部２５ｄに当接することで押下部材２７がさらに下方に移動しないようにしている。
【００１１】
しかしながら、ストッパ部材２５がロック解除位置の状態のままで、製品自体の落下や重量物の積載によってトリガーレバー２６に操作と同じ方向の強い操作力が加わると、突き当て突部２７ｄがストッパ部材２５の段部２５ｄからはずれ、逃げ凹部２５ｅのない当該円筒部の内側に入り込んで、戻らなくなることがあった。
【００１２】
また、突き当て突部２７ｄが前記円筒部に入り込む・入り込まないに関わらず、このような強い操作力が加わると、突き当て突部２７ｄの下端部が段部２５ｄへの強い当接作用により潰れ広がってしまうので、その後、ストッパ部材２５がロック解除位置の状態で通常の操作をするときであっても、当該下端部と逃げ凹部２５ｅの内面とが摩擦で固着して押下部材２７が下動状態のまま戻らなくなることがあった。
【００１３】
そこで本発明では、回動式の誤操作防止部材（ストッパ部材）に可動通路部材（押下部材）の下動阻止機能だけではなく、トリガーレバーの回動阻止機能も併せ持たせることで、製品の落下や重量物の積載による故障を防止して、流通時の不良品発生を低減するとともに、利用者取扱時の耐故障性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１４】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
（１）外部空間へ放出される内容物を収納した容器本体に固定されるカバー体（例えば後述のカバー体６）と、
前記カバー体に回動可能に取り付けられた内容物放出操作用のトリガーレバー（例えば後述のトリガーレバー１）と、
前記トリガーレバーの内容物放出状態への回動操作と連動することにより、弁作用部を開状態に移行させるとともに、当該弁作用部から流入する前記内容物の放出通路を備えた可動通路部材（例えば後述の可動通路部材２）と、
前記可動通路部材に対して回動可能であって、前記トリガーレバーの回動操作が規制される操作不可の位置と、前記トリガーレバーの回動操作が規制されない操作可の位置とに選択的に設定される誤操作防止部材（例えば後述の誤操作防止部材７）と、を有する内容物放出機構において、
前記誤操作防止部材は、
前記カバー体と、前記トリガーレバーおよび前記可動通路部材と、の間に設けられて、
前記操作不可の位置に設定されたときには前記カバー体および前記可動通路部材の双方と係止して当該可動通路部材の移動が阻止され、かつ、前記操作可の位置に設定されたときには当該双方係止状態に移行せずに当該可動通路部材の移動が許容される形の、可動通路部材用の第１の移動可否設定部（例えば後述の縦方向溝状部７ｂおよび段部７ｃ）と、
前記操作不可の位置に設定されたときには前記カバー体および前記トリガーレバーの双方と係止して当該トリガーレバーの回動が阻止され、かつ、前記操作可の位置に設定されたときには当該双方係止状態に移行せずに当該トリガーレバーの回動が許容される形の、トリガーレバー用の第２の移動可否設定部（例えば後述の湾曲板状部７ｄ）と、
を備えた部材とする。
（２）上記（１）において、
前記誤操作防止部材は、
前記カバー体に回動可能な形で取り付けられて、周面部に前記第１の移動可否設定部が形成された筒状部と、
当該筒状部の外側に形成されて、前記操作不可の位置および前記操作可の位置を設定するための回動操作用片部（例えば後述のつまみ７ａ）と、
当該筒状部の外側に形成された前記第２の移動可否設定部と、
からなる。
（３）上記（１）または（２）において、
前記誤操作防止部材は、
前記第２の移動可否設定部（例えば後述の湾曲板状部７ｄ，７ｄ’）を、前記可動通路部材に対する回動軸を挟んで相対する位置に備える。
【００１５】
本発明は、以上の構成からなる内容物放出機構ならびに当該内容物放出機構を備えたポンプ式製品およびエアゾール式製品を対象としている。
【発明の効果】
【００１６】
本発明は、このように可動通路部材の回りに回動可能に設けられ当該可動通路部材の下動の阻止および非阻止を選択的に設定する誤操作防止部材に、トリガーレバーに当接して当該トリガーレバーの回動を阻止する規制部を設けているので、製品の落下などによる衝撃力がトリガーレバーに加わった場合に、可動通路部材と誤操作防止部材とに設けられた可動通路部材の下動阻止部への負担を低減し破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】内容物放出機構の誤操作防止部材がロック位置の静止モードで、（ａ）は平面状態を示し、（ｂ）は容器本体に取り付けられた当該操作機構の側面状態を示す説明図である。
【図２】内容物放出機構の誤操作防止部材がロック解除位置で、（ａ）は静止モードの平面状態を示し、（ｂ）は作動モードの容器本体に取り付けられた当該操作機構の側面状態を示す説明図である。
【図３】（ａ）は図１の可動通路部材２の斜視図を示し、（ｂ）は図１の誤操作防止部材７の斜視図である。
【図４】図１とは別の内容物放出機構の誤操作防止部材がロック位置の静止モードの側面状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
図１〜図４を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【００１９】
なお、各図で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素（例えば開口部１ａ）は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素（例えばトリガーレバー１）の一部であることを示している。
【００２０】
図１〜図４において、
１は作動モード設定操作用の回動式のトリガーレバー，
１ａは当該トリガーレバーの前側面上部分およびこれに続く天面前部分に形成されて後述のノズル３（可動通路部材２）の上下動を可能にするための開口部，
１ｂは当該トリガーレバー後側の両側面にそれぞれ形成されて後述の軸部分６ｂとの係合作用によりトリガーレバーの回動中心となる一対の孔部，
１ｃは誤操作防止部材７がロック位置のときに湾曲板状部７ｄの上端側に当接する態様で設けられたリブ状部，
１ｃ’は誤操作防止部材７がロック位置のときに湾曲板状部７ｄ’の上端側に当接する態様で設けられたリブ状部（図４参照），
２はトリガーレバー１の回動にともなって下動して作動モード位置に移動するＬ字状で筒状の可動通路部材，
２ａは内側の内容物通路，
２ｂは可動通路部材外周面に形成されて、トリガーレバー１の回動を当該可動通路部材の下方向への移動に変換するための周知の円柱状部，
２ｃは可動通路部材外周面に形成されて、後述の誤操作防止部材７の縦方向溝状部７ｂとの協働により誤操作防止（作動モード設定阻止）部材として作用する縦方向リブ状部，
３は可動通路部材２の先端側に嵌合状態で取り付けられたノズル，
３ａは内容物流出用の孔部，
４は液状内容物を収容した容器本体，
５は容器本体７の開口部に螺合しているネジキャップ，
６はハウジング（図示省略）と一体化して、可動通路部材２や内部に配設された周知のポンプ機構を保護する筒状のカバー体，
６ａは当該カバー体の上側小径部分から後部に延びた形のアーム状部，
６ｂは当該アーム状部の上端側外面に形成されてトリガーレバー１の孔部１ｂに入り込んだ状態で使用され、当該トリガーレバーの回動の中心軸として作用する一対の軸部分，
６ｃは誤操作防止部材７がロック位置のときに湾曲板状部７ｄの下端側に当接する態様で設けられた補強リブ状部，
６ｄは後述の環状溝部７ｆと係合する環状突部
６ｅは上方向に起立した態様で形成されて、後述の突状部７ｅの一つを挟持して誤操作防止部材７の意図しない回動を防止する一対の可撓性片部，
７はカバー体６の上側小径部分に上下動せずに回動可能な形で取り付けられて、その回動位置に応じて可動通路部材２の下動を阻止する、すなわち作動モード設定操作をできなくする誤操作防止部材，
７ａは当該誤操作防止部材の回動操作用のつまみ，
７ｂは可動通路部材２の縦方向リブ状部２ｃの進入を許容する縦方向溝状部，
７ｃは縦方向リブ状部２ｃの下端面を受けて可動通路部材２の下動を阻止する段部，
７ｄはつまみ７ａとは反対側に設けられた湾曲板状部，
７ｄ’はつまみ７ａの上部に設けた湾曲板状部（図４参照），
７ｅは当該誤操作防止部材の外周面に９０度の間隔で三箇所形成された突状部，
７ｆは、当該誤操作防止部材の下側小径部の外周面に設けられた環状溝部，
８は前記ポンプ機構の一部であって、押し下げによって自身の内部通路から内容物が流出するピストン，
をそれぞれ示している。
【００２１】
以上の各構成要素の中、トリガーレバー１，可動通路部材２，ノズル３，容器本体４，ネジキャップ５，カバー体６および誤操作防止部材７はそれぞれ、ポリプロピレン，ポリエチレン，ポリアセタール，ナイロン，ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【００２２】
図１〜図３のエアレスポンプ式製品における構成上の基本的特徴は、
回動位置によって可動通路部材２の下動を阻止・許容する誤操作防止部材７に、当該可動通路部材２の後ろ側のトリガーレバー１とカバー体６との間に割り込んで当該トリガーレバーの回動を阻止する湾曲板状部７ｄを、設けた、
ことである。
【００２３】
図１の静止モードでは誤操作防止部材７がロック位置となっていて、段部７ｃが縦方向リブ状部２ｃの下部に位置し、湾曲板状部７ｄがリブ状部１ｃの端面と補強リブ状部６ｃの端面との間に割り込んだ状態となっている。
【００２４】
この状態で、製品の落下などによる衝撃力がトリガーレバー１に加わって当該トリガーレバーが回動しようとした場合であっても、湾曲板状部７ｄがトリガーレバー１とカバー体６との間でいわば支え棒となって当該トリガーレバーそのものの回動を積極的に阻止するので、当該回動による可動通路部材２を下動させる力が低減され、当該力を支える縦方向リブ状部２ｃの下端面と段部７ｃとの当接面の負担が軽減される。
【００２５】
図２は、図１の静止モードの誤操作防止部材７を９０度回動したロック解除位置にしてからトリガーレバー１を引いた作動モードである。
【００２６】
誤操作防止部材７を前記ロック解除位置にすると、段部７ｃの代わりに縦方向溝状部７ｂが縦方向リブ状部２ｃの下部に位置し、湾曲板状部７ｄがリブ状部１ｃの端面と補強リブ状部６ｃの端面との間から外れ状態となって、トリガーレバー１の回動と可動通路部材２の下動とが自由になる。
【００２７】
この状態でトリガーレバー１を引いて図示反時計方向に回動させた図２の作動モードでは、ネジキャップ５やカバー体６などの内部に設けられた周知のポンプ機構（図示省略）が動作してその吸込弁が閉じて吐出弁が開く。
【００２８】
このポンプ作用により、吸込弁と吐出弁との間の貯留空間域に収容されていた液状内容物が「ピストン８の内部通路−可動通路部材２の内部通路−ノズル３の内部通路」を通って孔部３ａから外部空間に放出される。
【００２９】
トリガーレバー１の回動操作を止めると、周知のポンプ機構のコイルスプリング（図示省略）の作用により可動通路部材２が上方向に移動する。そしてトリガーレバー１は、この可動通路部材２の移動にともなうその円柱状部２ｂとのカム作用により図示時計方向に回動して、図１の静止モードと同じ位置に復帰する。
【００３０】
そして、誤操作防止部材７をロック位置に回動させると、段部７ｃが縦方向リブ状部２ｃの下部に位置し、湾曲板状部７ｄがリブ状部１ｃの端面と補強リブ状部６ｃの端面との間に割り込んだ状態となって、トリガーレバー１の回動が防止された図１の静止モードになる。
【００３１】
このように、誤操作防止部材７と湾曲板状部７ｄとは一体に成形されているので、利用者は通常の噴射体勢のまま片手操作でつまみ７ａを回動操作するだけでトリガーレバー１・可動通路部材２両方のロックの設定・解除が可能である。
【００３２】
図４の容物放出機構と図１〜図３のそれとの構成上の相違点は、つまみ７ａの上方に新たな湾曲板状部７ｄ’を追加したことと、当該湾曲板状部に対応するリブ状部１ｃ’をトリガーレバー１に設けたことである。
【００３３】
そのため、トリガーレバー１の天井面前側に上から衝撃力が加わった場合に、その衝撃力をほぼ真下に位置する湾曲板状部７ｄ’で積極的に受けるので、孔部１ｂを支点とした当該トリガーレバーのテコ作用で大きくなった衝撃力が円柱状部２ｂや湾曲板状部７ｄに加わることはない。
【００３４】
また、トリガーレバー１が回動しようとしたときに誤操作防止部材７が受ける、湾曲板状部７ｄを介した図示右回転の力と湾曲板状部７ｄ’を介した図示左回転の力とが相殺されるので、当該動作防止部材がこじれてカバー体６との係合部分（環状突部６ｄおよび環状溝部７ｆ）が破損することもない。
【００３５】
本発明は、エアゾール式製品にも適用することができる。その場合、ネジキャップ５を廃してカバー体６を周知のエアゾール容器本体に嵌合する態様にして、可動通路部材２によって当該エアゾール容器本体の放出弁（ステム）を押し下げるようにすればよい。
【００３６】
本発明が以上の実施形態に限定されないこと勿論であり、例えば、
(21)図４において、湾曲板状部７ｄを省略して湾曲板状部７ｄ’のみとする、
(22)図４において、つまみ７ａの下向き面をカバー体６に当接させる、
(23)誤操作防止部材７に縦方向リブ状部２ｃ相当の突状部または段部を設け、これ対応する縦方向溝状部７ｂ相当の溝状部またはスリットと段部７ｃ相当の当接面とを可動通路部材２に設ける
(24)誤操作防止部材７は可動通路部材２に対して上方向に当接する形で共に移動する態様にして、カバー体６の上側に縦方向溝状部７ｂ相当の溝状部またはスリットと段部７ｃ相当の当接面とを設けるとともに、これらに対応する縦方向リブ状部２ｃ相当の突状部または段部を当該誤操作防止部材に設ける、
(25)誤操作防止部材７は可動通路部材２に対して上方向に当接する形で共に移動する態様にして、カバー体６の上側に縦方向リブ状部２ｃ相当の突状部または段部を設けるとともに、これ対応する縦方向溝状部７ｂ相当の溝状部またはスリットと段部７ｃ相当の当接面とを当該誤操作防止部材に設ける、
ようにしてもよい。
【００３７】
本発明が適用されるポンプ式製品やエアゾール式製品としては、洗浄剤，清掃剤，制汗剤，冷却剤，筋肉消炎剤，ヘアスタイリング剤，ヘアトリートメント剤，染毛剤，育毛剤，化粧品，シェービングフォーム，食品，栄養補助食品（ビタミンなど）医薬品，医薬部外品，塗料，園芸用剤，忌避剤（殺虫剤），クリーナー，消臭剤，洗濯のり，ウレタンフォーム，消火器，接着剤，潤滑剤などの各種用途のものがある。
【００３８】
容器本体に収納する内容物は、液状，クリーム状，ゲル状など種々の形態のものを用いることができ、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物，油成分，アルコール類，界面活性剤，高分子化合物，各用途に応じた有効成分，水などが挙げられる。
【００３９】
粉状物としては、金属塩類粉末，無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク，カオリン，アルミニウムヒドロキシクロライド（アルミ塩），アルギン酸カルシウム，金粉，銀粉，雲母，炭酸塩，硫酸バリウム，セルロース，これらの混合物などを用いる。
【００４０】
油成分としては、シリコーン油，パーム油，ユーカリ油，ツバキ油，オリーブ油，ホホバ油，パラフィン油，ミリスチン酸，パルミチン酸，ステアリン酸，リノール酸，リノレン酸などを用いる。
【００４１】
アルコール類としては、エタノールなどの１価の低級アルコール，ラウリルアルコールなどの１価の高級アルコール，エチレングリコール，グリセリン，1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【００４２】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【００４３】
高分子化合物としては、メチルセルロース，ゼラチン，デンプン，カゼイン，ヒドロキシエチルセルロース，キサンタンガム，カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【００４４】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル，インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム，クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド，ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル，メントールなどの清涼剤、エフェドリン，アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース，アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂，ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン，アミノフェノールなどの染料，リン酸二水素アンモニウム，炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【００４５】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤，紫外線吸収剤，乳化剤，保湿剤，酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【００４６】
エアゾール式製品における内容物放出用ガスとしては、炭酸ガス，窒素ガス，圧縮空気，酸素ガス，希ガス，これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス，ジメチルエーテル，フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【００４７】
１：トリガーレバー
１ａ：開口部
１ｂ：一対の孔部
１ｃ：リブ状部
１ｃ’：リブ状部（図４参照）
２：可動通路部材
２ａ：内容物通路
２ｂ：円柱状部
２ｃ：縦方向リブ状部
３：ノズル
３ａ：孔部
４：容器本体
５：ネジキャップ
６：カバー体
６ａ：アーム状部
６ｂ：一対の軸部分
６ｃ：補強リブ状部
６ｄ：環状突部
６ｅ：一対の可撓性片部
７：誤操作防止部材
７ａ：つまみ
７ｂ：縦方向溝状部
７ｃ：段部
７ｄ：湾曲板状部
７ｄ’：湾曲板状部（図４参照）
７ｅ：突状部
７ｆ：環状溝部
８：ピストン
【技術分野】
【０００１】
本発明は、操作部として回動式のトリガーレバーを備えたポンプ式製品やエアゾール式製品の内容物放出機構に関し、特に当該誤操作防止部材を当該トリガーレバーの操作不可能なロック位置と操作可能なロック解除位置とに選択的に設定可能な誤操作防止部材を備えた内容物放出機構に関する。
【０００２】
これにより、利用者が内容物放出操作をしていない静止モードで容器が倒れたような場合にも吐出弁が確実に閉状態に保持されて、吐出弁より上流側の多量の内容物が放出口からこぼれるのを防ぐとともに、内容物放出操作時における吐出弁の開状態への切り換え動作をいわばシャープに、また確実にしたものである。
【０００３】
適用対象の液状内容物としては、例えば石けん，消毒剤，化粧品，乳液、シェービングフォーム，ヘアスタイリングフォーム，洗剤，染毛剤，シャンプー，リンス，殺虫剤など、後述のように各種のものがある。
【０００４】
なお、本明細書においては、
(11)容器は、液状内容物が収容された容器本体のみならず当該容器本体からノズルまでの全体構成も含む意で用い、
(12)静止モードは、トリガーレバーが操作されていない、操作初期の状態のことであり、
(13)作動モードは、トリガーレバーが操作されて、ノズルから外部空間に内容物が放出される状態のことであり、
(14)前は、ノズル側（図１などの左側）のことであり、
(15)後は、ノズルとは反対側（図１などの右側）のことをである。
【背景技術】
【０００５】
従来、操作部として回動式のトリガーレバーを備えた内容物放出機構の当該操作部の固定機構として、利用者によるトリガーレバーの操作によって往復動し内容物を放出するピストンやステムを駆動する可動通路部材の周囲に、当該可動通路部材の往復動を規制する回動式の誤操作防止部材を設けた噴射機構が提案されている（特許文献１参照）。
【０００６】
この噴射機構では、ストッパ部材２５（誤操作防止部材）がロック解除位置の場合、利用者の操作によるトリガーレバー２６の回動は、押下部材２７（可動通路部材）を下動させるとともに当該押下部材と連結されたピストン２１やステム６２を押し下げて、内容物を放出させる。このとき、押下部材２７の突き当て突部２７ｄはストッパ部材２５の逃げ凹部２５ｅに入り込む。
【０００７】
ストッパ部材２５がロック位置の場合には、突き当て突部２７ｄがストッパ部材２５の段部２５に当接し当該押下部材の下動が阻止されるので、利用者はトリガーレバー２６を回動させることができない。
【０００８】
そして、ストッパ部材２５を押下部材２７の回りに回動可能に設けてあるので、利用者は通常の噴射体勢のまま片手操作でロック位置・ロック解除位置の選択設定が可能であり、また、取り外し式ストッパ部材を備えた内容物放出機構にありがちなストッパ部材自体の紛失のおそれもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開２００３−２３０８５４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
このように、突き当て突部２７ｄがストッパ部材２５の段部２５ｄに当接することで押下部材２７がさらに下方に移動しないようにしている。
【００１１】
しかしながら、ストッパ部材２５がロック解除位置の状態のままで、製品自体の落下や重量物の積載によってトリガーレバー２６に操作と同じ方向の強い操作力が加わると、突き当て突部２７ｄがストッパ部材２５の段部２５ｄからはずれ、逃げ凹部２５ｅのない当該円筒部の内側に入り込んで、戻らなくなることがあった。
【００１２】
また、突き当て突部２７ｄが前記円筒部に入り込む・入り込まないに関わらず、このような強い操作力が加わると、突き当て突部２７ｄの下端部が段部２５ｄへの強い当接作用により潰れ広がってしまうので、その後、ストッパ部材２５がロック解除位置の状態で通常の操作をするときであっても、当該下端部と逃げ凹部２５ｅの内面とが摩擦で固着して押下部材２７が下動状態のまま戻らなくなることがあった。
【００１３】
そこで本発明では、回動式の誤操作防止部材（ストッパ部材）に可動通路部材（押下部材）の下動阻止機能だけではなく、トリガーレバーの回動阻止機能も併せ持たせることで、製品の落下や重量物の積載による故障を防止して、流通時の不良品発生を低減するとともに、利用者取扱時の耐故障性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１４】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
（１）外部空間へ放出される内容物を収納した容器本体に固定されるカバー体（例えば後述のカバー体６）と、
前記カバー体に回動可能に取り付けられた内容物放出操作用のトリガーレバー（例えば後述のトリガーレバー１）と、
前記トリガーレバーの内容物放出状態への回動操作と連動することにより、弁作用部を開状態に移行させるとともに、当該弁作用部から流入する前記内容物の放出通路を備えた可動通路部材（例えば後述の可動通路部材２）と、
前記可動通路部材に対して回動可能であって、前記トリガーレバーの回動操作が規制される操作不可の位置と、前記トリガーレバーの回動操作が規制されない操作可の位置とに選択的に設定される誤操作防止部材（例えば後述の誤操作防止部材７）と、を有する内容物放出機構において、
前記誤操作防止部材は、
前記カバー体と、前記トリガーレバーおよび前記可動通路部材と、の間に設けられて、
前記操作不可の位置に設定されたときには前記カバー体および前記可動通路部材の双方と係止して当該可動通路部材の移動が阻止され、かつ、前記操作可の位置に設定されたときには当該双方係止状態に移行せずに当該可動通路部材の移動が許容される形の、可動通路部材用の第１の移動可否設定部（例えば後述の縦方向溝状部７ｂおよび段部７ｃ）と、
前記操作不可の位置に設定されたときには前記カバー体および前記トリガーレバーの双方と係止して当該トリガーレバーの回動が阻止され、かつ、前記操作可の位置に設定されたときには当該双方係止状態に移行せずに当該トリガーレバーの回動が許容される形の、トリガーレバー用の第２の移動可否設定部（例えば後述の湾曲板状部７ｄ）と、
を備えた部材とする。
（２）上記（１）において、
前記誤操作防止部材は、
前記カバー体に回動可能な形で取り付けられて、周面部に前記第１の移動可否設定部が形成された筒状部と、
当該筒状部の外側に形成されて、前記操作不可の位置および前記操作可の位置を設定するための回動操作用片部（例えば後述のつまみ７ａ）と、
当該筒状部の外側に形成された前記第２の移動可否設定部と、
からなる。
（３）上記（１）または（２）において、
前記誤操作防止部材は、
前記第２の移動可否設定部（例えば後述の湾曲板状部７ｄ，７ｄ’）を、前記可動通路部材に対する回動軸を挟んで相対する位置に備える。
【００１５】
本発明は、以上の構成からなる内容物放出機構ならびに当該内容物放出機構を備えたポンプ式製品およびエアゾール式製品を対象としている。
【発明の効果】
【００１６】
本発明は、このように可動通路部材の回りに回動可能に設けられ当該可動通路部材の下動の阻止および非阻止を選択的に設定する誤操作防止部材に、トリガーレバーに当接して当該トリガーレバーの回動を阻止する規制部を設けているので、製品の落下などによる衝撃力がトリガーレバーに加わった場合に、可動通路部材と誤操作防止部材とに設けられた可動通路部材の下動阻止部への負担を低減し破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】内容物放出機構の誤操作防止部材がロック位置の静止モードで、（ａ）は平面状態を示し、（ｂ）は容器本体に取り付けられた当該操作機構の側面状態を示す説明図である。
【図２】内容物放出機構の誤操作防止部材がロック解除位置で、（ａ）は静止モードの平面状態を示し、（ｂ）は作動モードの容器本体に取り付けられた当該操作機構の側面状態を示す説明図である。
【図３】（ａ）は図１の可動通路部材２の斜視図を示し、（ｂ）は図１の誤操作防止部材７の斜視図である。
【図４】図１とは別の内容物放出機構の誤操作防止部材がロック位置の静止モードの側面状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
図１〜図４を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【００１９】
なお、各図で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素（例えば開口部１ａ）は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素（例えばトリガーレバー１）の一部であることを示している。
【００２０】
図１〜図４において、
１は作動モード設定操作用の回動式のトリガーレバー，
１ａは当該トリガーレバーの前側面上部分およびこれに続く天面前部分に形成されて後述のノズル３（可動通路部材２）の上下動を可能にするための開口部，
１ｂは当該トリガーレバー後側の両側面にそれぞれ形成されて後述の軸部分６ｂとの係合作用によりトリガーレバーの回動中心となる一対の孔部，
１ｃは誤操作防止部材７がロック位置のときに湾曲板状部７ｄの上端側に当接する態様で設けられたリブ状部，
１ｃ’は誤操作防止部材７がロック位置のときに湾曲板状部７ｄ’の上端側に当接する態様で設けられたリブ状部（図４参照），
２はトリガーレバー１の回動にともなって下動して作動モード位置に移動するＬ字状で筒状の可動通路部材，
２ａは内側の内容物通路，
２ｂは可動通路部材外周面に形成されて、トリガーレバー１の回動を当該可動通路部材の下方向への移動に変換するための周知の円柱状部，
２ｃは可動通路部材外周面に形成されて、後述の誤操作防止部材７の縦方向溝状部７ｂとの協働により誤操作防止（作動モード設定阻止）部材として作用する縦方向リブ状部，
３は可動通路部材２の先端側に嵌合状態で取り付けられたノズル，
３ａは内容物流出用の孔部，
４は液状内容物を収容した容器本体，
５は容器本体７の開口部に螺合しているネジキャップ，
６はハウジング（図示省略）と一体化して、可動通路部材２や内部に配設された周知のポンプ機構を保護する筒状のカバー体，
６ａは当該カバー体の上側小径部分から後部に延びた形のアーム状部，
６ｂは当該アーム状部の上端側外面に形成されてトリガーレバー１の孔部１ｂに入り込んだ状態で使用され、当該トリガーレバーの回動の中心軸として作用する一対の軸部分，
６ｃは誤操作防止部材７がロック位置のときに湾曲板状部７ｄの下端側に当接する態様で設けられた補強リブ状部，
６ｄは後述の環状溝部７ｆと係合する環状突部
６ｅは上方向に起立した態様で形成されて、後述の突状部７ｅの一つを挟持して誤操作防止部材７の意図しない回動を防止する一対の可撓性片部，
７はカバー体６の上側小径部分に上下動せずに回動可能な形で取り付けられて、その回動位置に応じて可動通路部材２の下動を阻止する、すなわち作動モード設定操作をできなくする誤操作防止部材，
７ａは当該誤操作防止部材の回動操作用のつまみ，
７ｂは可動通路部材２の縦方向リブ状部２ｃの進入を許容する縦方向溝状部，
７ｃは縦方向リブ状部２ｃの下端面を受けて可動通路部材２の下動を阻止する段部，
７ｄはつまみ７ａとは反対側に設けられた湾曲板状部，
７ｄ’はつまみ７ａの上部に設けた湾曲板状部（図４参照），
７ｅは当該誤操作防止部材の外周面に９０度の間隔で三箇所形成された突状部，
７ｆは、当該誤操作防止部材の下側小径部の外周面に設けられた環状溝部，
８は前記ポンプ機構の一部であって、押し下げによって自身の内部通路から内容物が流出するピストン，
をそれぞれ示している。
【００２１】
以上の各構成要素の中、トリガーレバー１，可動通路部材２，ノズル３，容器本体４，ネジキャップ５，カバー体６および誤操作防止部材７はそれぞれ、ポリプロピレン，ポリエチレン，ポリアセタール，ナイロン，ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【００２２】
図１〜図３のエアレスポンプ式製品における構成上の基本的特徴は、
回動位置によって可動通路部材２の下動を阻止・許容する誤操作防止部材７に、当該可動通路部材２の後ろ側のトリガーレバー１とカバー体６との間に割り込んで当該トリガーレバーの回動を阻止する湾曲板状部７ｄを、設けた、
ことである。
【００２３】
図１の静止モードでは誤操作防止部材７がロック位置となっていて、段部７ｃが縦方向リブ状部２ｃの下部に位置し、湾曲板状部７ｄがリブ状部１ｃの端面と補強リブ状部６ｃの端面との間に割り込んだ状態となっている。
【００２４】
この状態で、製品の落下などによる衝撃力がトリガーレバー１に加わって当該トリガーレバーが回動しようとした場合であっても、湾曲板状部７ｄがトリガーレバー１とカバー体６との間でいわば支え棒となって当該トリガーレバーそのものの回動を積極的に阻止するので、当該回動による可動通路部材２を下動させる力が低減され、当該力を支える縦方向リブ状部２ｃの下端面と段部７ｃとの当接面の負担が軽減される。
【００２５】
図２は、図１の静止モードの誤操作防止部材７を９０度回動したロック解除位置にしてからトリガーレバー１を引いた作動モードである。
【００２６】
誤操作防止部材７を前記ロック解除位置にすると、段部７ｃの代わりに縦方向溝状部７ｂが縦方向リブ状部２ｃの下部に位置し、湾曲板状部７ｄがリブ状部１ｃの端面と補強リブ状部６ｃの端面との間から外れ状態となって、トリガーレバー１の回動と可動通路部材２の下動とが自由になる。
【００２７】
この状態でトリガーレバー１を引いて図示反時計方向に回動させた図２の作動モードでは、ネジキャップ５やカバー体６などの内部に設けられた周知のポンプ機構（図示省略）が動作してその吸込弁が閉じて吐出弁が開く。
【００２８】
このポンプ作用により、吸込弁と吐出弁との間の貯留空間域に収容されていた液状内容物が「ピストン８の内部通路−可動通路部材２の内部通路−ノズル３の内部通路」を通って孔部３ａから外部空間に放出される。
【００２９】
トリガーレバー１の回動操作を止めると、周知のポンプ機構のコイルスプリング（図示省略）の作用により可動通路部材２が上方向に移動する。そしてトリガーレバー１は、この可動通路部材２の移動にともなうその円柱状部２ｂとのカム作用により図示時計方向に回動して、図１の静止モードと同じ位置に復帰する。
【００３０】
そして、誤操作防止部材７をロック位置に回動させると、段部７ｃが縦方向リブ状部２ｃの下部に位置し、湾曲板状部７ｄがリブ状部１ｃの端面と補強リブ状部６ｃの端面との間に割り込んだ状態となって、トリガーレバー１の回動が防止された図１の静止モードになる。
【００３１】
このように、誤操作防止部材７と湾曲板状部７ｄとは一体に成形されているので、利用者は通常の噴射体勢のまま片手操作でつまみ７ａを回動操作するだけでトリガーレバー１・可動通路部材２両方のロックの設定・解除が可能である。
【００３２】
図４の容物放出機構と図１〜図３のそれとの構成上の相違点は、つまみ７ａの上方に新たな湾曲板状部７ｄ’を追加したことと、当該湾曲板状部に対応するリブ状部１ｃ’をトリガーレバー１に設けたことである。
【００３３】
そのため、トリガーレバー１の天井面前側に上から衝撃力が加わった場合に、その衝撃力をほぼ真下に位置する湾曲板状部７ｄ’で積極的に受けるので、孔部１ｂを支点とした当該トリガーレバーのテコ作用で大きくなった衝撃力が円柱状部２ｂや湾曲板状部７ｄに加わることはない。
【００３４】
また、トリガーレバー１が回動しようとしたときに誤操作防止部材７が受ける、湾曲板状部７ｄを介した図示右回転の力と湾曲板状部７ｄ’を介した図示左回転の力とが相殺されるので、当該動作防止部材がこじれてカバー体６との係合部分（環状突部６ｄおよび環状溝部７ｆ）が破損することもない。
【００３５】
本発明は、エアゾール式製品にも適用することができる。その場合、ネジキャップ５を廃してカバー体６を周知のエアゾール容器本体に嵌合する態様にして、可動通路部材２によって当該エアゾール容器本体の放出弁（ステム）を押し下げるようにすればよい。
【００３６】
本発明が以上の実施形態に限定されないこと勿論であり、例えば、
(21)図４において、湾曲板状部７ｄを省略して湾曲板状部７ｄ’のみとする、
(22)図４において、つまみ７ａの下向き面をカバー体６に当接させる、
(23)誤操作防止部材７に縦方向リブ状部２ｃ相当の突状部または段部を設け、これ対応する縦方向溝状部７ｂ相当の溝状部またはスリットと段部７ｃ相当の当接面とを可動通路部材２に設ける
(24)誤操作防止部材７は可動通路部材２に対して上方向に当接する形で共に移動する態様にして、カバー体６の上側に縦方向溝状部７ｂ相当の溝状部またはスリットと段部７ｃ相当の当接面とを設けるとともに、これらに対応する縦方向リブ状部２ｃ相当の突状部または段部を当該誤操作防止部材に設ける、
(25)誤操作防止部材７は可動通路部材２に対して上方向に当接する形で共に移動する態様にして、カバー体６の上側に縦方向リブ状部２ｃ相当の突状部または段部を設けるとともに、これ対応する縦方向溝状部７ｂ相当の溝状部またはスリットと段部７ｃ相当の当接面とを当該誤操作防止部材に設ける、
ようにしてもよい。
【００３７】
本発明が適用されるポンプ式製品やエアゾール式製品としては、洗浄剤，清掃剤，制汗剤，冷却剤，筋肉消炎剤，ヘアスタイリング剤，ヘアトリートメント剤，染毛剤，育毛剤，化粧品，シェービングフォーム，食品，栄養補助食品（ビタミンなど）医薬品，医薬部外品，塗料，園芸用剤，忌避剤（殺虫剤），クリーナー，消臭剤，洗濯のり，ウレタンフォーム，消火器，接着剤，潤滑剤などの各種用途のものがある。
【００３８】
容器本体に収納する内容物は、液状，クリーム状，ゲル状など種々の形態のものを用いることができ、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物，油成分，アルコール類，界面活性剤，高分子化合物，各用途に応じた有効成分，水などが挙げられる。
【００３９】
粉状物としては、金属塩類粉末，無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク，カオリン，アルミニウムヒドロキシクロライド（アルミ塩），アルギン酸カルシウム，金粉，銀粉，雲母，炭酸塩，硫酸バリウム，セルロース，これらの混合物などを用いる。
【００４０】
油成分としては、シリコーン油，パーム油，ユーカリ油，ツバキ油，オリーブ油，ホホバ油，パラフィン油，ミリスチン酸，パルミチン酸，ステアリン酸，リノール酸，リノレン酸などを用いる。
【００４１】
アルコール類としては、エタノールなどの１価の低級アルコール，ラウリルアルコールなどの１価の高級アルコール，エチレングリコール，グリセリン，1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【００４２】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【００４３】
高分子化合物としては、メチルセルロース，ゼラチン，デンプン，カゼイン，ヒドロキシエチルセルロース，キサンタンガム，カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【００４４】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル，インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム，クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド，ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル，メントールなどの清涼剤、エフェドリン，アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース，アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂，ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン，アミノフェノールなどの染料，リン酸二水素アンモニウム，炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【００４５】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤，紫外線吸収剤，乳化剤，保湿剤，酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【００４６】
エアゾール式製品における内容物放出用ガスとしては、炭酸ガス，窒素ガス，圧縮空気，酸素ガス，希ガス，これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス，ジメチルエーテル，フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【００４７】
１：トリガーレバー
１ａ：開口部
１ｂ：一対の孔部
１ｃ：リブ状部
１ｃ’：リブ状部（図４参照）
２：可動通路部材
２ａ：内容物通路
２ｂ：円柱状部
２ｃ：縦方向リブ状部
３：ノズル
３ａ：孔部
４：容器本体
５：ネジキャップ
６：カバー体
６ａ：アーム状部
６ｂ：一対の軸部分
６ｃ：補強リブ状部
６ｄ：環状突部
６ｅ：一対の可撓性片部
７：誤操作防止部材
７ａ：つまみ
７ｂ：縦方向溝状部
７ｃ：段部
７ｄ：湾曲板状部
７ｄ’：湾曲板状部（図４参照）
７ｅ：突状部
７ｆ：環状溝部
８：ピストン
【特許請求の範囲】
【請求項１】
外部空間へ放出される内容物を収納した容器本体に固定されるカバー体と、
前記カバー体に回動可能に取り付けられた内容物放出操作用のトリガーレバーと、
前記トリガーレバーの内容物放出状態への回動操作と連動することにより、弁作用部を開状態に移行させるとともに、当該弁作用部から流入する前記内容物の放出通路を備えた可動通路部材と、
前記可動通路部材に対して回動可能であって、前記トリガーレバーの回動操作が規制される操作不可の位置と、前記トリガーレバーの回動操作が規制されない操作可の位置とに選択的に設定される誤操作防止部材と、を有する内容物放出機構において、
前記誤操作防止部材は、
前記カバー体と、前記トリガーレバーおよび前記可動通路部材と、の間に設けられて、
前記操作不可の位置に設定されたときには前記カバー体および前記可動通路部材の双方と係止して当該可動通路部材の移動が阻止され、かつ、前記操作可の位置に設定されたときには当該双方係止状態に移行せずに当該可動通路部材の移動が許容される形の、可動通路部材用の第１の移動可否設定部と、
前記操作不可の位置に設定されたときには前記カバー体および前記トリガーレバーの双方と係止して当該トリガーレバーの回動が阻止され、かつ、前記操作可の位置に設定されたときには当該双方係止状態に移行せずに当該トリガーレバーの回動が許容される形の、トリガーレバー用の第２の移動可否設定部と、
を備えた部材である、
ことを特徴とする内容物放出機構。
【請求項２】
前記誤操作防止部材は、
前記カバー体に回動可能な形で取り付けられて、周面部に前記第１の移動可否設定部が形成された筒状部と、
当該筒状部の外側に形成されて、前記操作不可の位置および前記操作可の位置を設定するための回動操作用片部と、
当該筒状部の外側に形成された前記第２の移動可否設定部と、
からなることを特徴とする請求項１記載の内容物放出機構。
【請求項３】
前記誤操作防止部材は、
前記第２の移動可否設定部を、前記可動通路部材に対する回動軸を挟んで相対する位置に備えている、
ことを特徴とする請求項１または請求項２記載の内容物放出機構。
【請求項４】
請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の内容物放出機構を備え、かつ、内容物を収容した、
ことを特徴とするポンプ式製品。
【請求項５】
請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の内容物放出機構を備え、かつ、噴射用ガスおよび内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。
【請求項１】
外部空間へ放出される内容物を収納した容器本体に固定されるカバー体と、
前記カバー体に回動可能に取り付けられた内容物放出操作用のトリガーレバーと、
前記トリガーレバーの内容物放出状態への回動操作と連動することにより、弁作用部を開状態に移行させるとともに、当該弁作用部から流入する前記内容物の放出通路を備えた可動通路部材と、
前記可動通路部材に対して回動可能であって、前記トリガーレバーの回動操作が規制される操作不可の位置と、前記トリガーレバーの回動操作が規制されない操作可の位置とに選択的に設定される誤操作防止部材と、を有する内容物放出機構において、
前記誤操作防止部材は、
前記カバー体と、前記トリガーレバーおよび前記可動通路部材と、の間に設けられて、
前記操作不可の位置に設定されたときには前記カバー体および前記可動通路部材の双方と係止して当該可動通路部材の移動が阻止され、かつ、前記操作可の位置に設定されたときには当該双方係止状態に移行せずに当該可動通路部材の移動が許容される形の、可動通路部材用の第１の移動可否設定部と、
前記操作不可の位置に設定されたときには前記カバー体および前記トリガーレバーの双方と係止して当該トリガーレバーの回動が阻止され、かつ、前記操作可の位置に設定されたときには当該双方係止状態に移行せずに当該トリガーレバーの回動が許容される形の、トリガーレバー用の第２の移動可否設定部と、
を備えた部材である、
ことを特徴とする内容物放出機構。
【請求項２】
前記誤操作防止部材は、
前記カバー体に回動可能な形で取り付けられて、周面部に前記第１の移動可否設定部が形成された筒状部と、
当該筒状部の外側に形成されて、前記操作不可の位置および前記操作可の位置を設定するための回動操作用片部と、
当該筒状部の外側に形成された前記第２の移動可否設定部と、
からなることを特徴とする請求項１記載の内容物放出機構。
【請求項３】
前記誤操作防止部材は、
前記第２の移動可否設定部を、前記可動通路部材に対する回動軸を挟んで相対する位置に備えている、
ことを特徴とする請求項１または請求項２記載の内容物放出機構。
【請求項４】
請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の内容物放出機構を備え、かつ、内容物を収容した、
ことを特徴とするポンプ式製品。
【請求項５】
請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の内容物放出機構を備え、かつ、噴射用ガスおよび内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１０−２５３４４３（Ｐ２０１０−２５３４４３Ａ）
【公開日】平成２２年１１月１１日（２０１０．１１．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１０９６１８（Ｐ２００９−１０９６１８）
【出願日】平成２１年４月２８日（２００９．４．２８）
【出願人】（０００１４４４６３）株式会社三谷バルブ (142)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１１月１１日（２０１０．１１．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年４月２８日（２００９．４．２８）
【出願人】（０００１４４４６３）株式会社三谷バルブ (142)
【Ｆターム（参考）】
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