説明

内密セキュリティ用途向け顔料フレークの周囲のフレームまたは境界の提供

【課題】内密セキュリティ用途向け顔料フレークを提供する。
【解決手段】顔料フレークは、複数の顔料タゲント・フレークであって、各フレークが壁によって画定された周縁のフレームと前記フレーム内の領域とを備えるものであり、前記フレームの壁の少なくとも1つの高さが少なくとも高さFhであり、前記フレーム内の前記領域がその内部に形成された1つまたは複数の溝によって画定された印を有し、前記溝がId未満の深さを有し、Fh>Idである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体として薄い顔料フレークに関し、特にコーティング組成物に使用されるタゲント(taggent)・フレークの周囲の境界またはフレームの提供、およびフレークのフレーム付き領域内の1つまたは複数の溝によって画定された印(しるし)の提供に関し、より具体的には本発明は、溝付きフレームが溝付き印よりも脆く、より容易に破砕可能である、フレームおよびフレーム付き印を提供する。
【背景技術】
【0002】
特殊顔料は、銀行券上に印刷された模造品・海賊版拡散防止デバイス、高額商品のパッケージ、コンテナ用シール、および市販商品への直接的な利用さえも含めたセキュリティの用途に使用されるために開発されてきた。例えば、米国の20ドル連邦準備券は現在、光学的可変インクを使用している。紙幣の表面の右下の隅に印刷された数字「20」は、視野角が変わると変色する。これは顕在的模造品・海賊版拡散防止デバイスである。カラーシフト作用は通常のカラー・コピー機では再現不能であり、紙幣を受け取る人はそれが真券であることを判定するために、カラーシフトのセキュリティ特徴部(feature)を備えているか否かを観察することができる。
【0003】
他の高価値の書類および物体も同様の手段を利用している。例えば、株券、パスポート、オリジナル製品のパッケージのような物品、または物品に張り付けられるシールに直接塗布される塗料およびインクに玉虫色の顔料または回折顔料が使用される。模造品・海賊盤はますます精巧になり続けているので、模造品・海賊版拡散をより困難にするセキュリティ特徴部が望まれる。
【0004】
1つの模造品・海賊版拡散防止手法は多層カラーシフト顔料フレーク上の微視的な記号を使用する。記号は、反射率のような光学特性(1つまたは複数)を局部的に変更することにより多層カラーシフト顔料フレークの層の少なくとも1つの上に形成される。多層カラーシフト顔料フレークは一般に、スペーサ層によって反射層から分離される吸収層を有するファブリ・ペロー・タイプ構造を含んでいる。反射層は典型的には、顔料フレークを基本的に不透明にする金属層である。これらの種の顔料フレークの大部分が他の顔料と混合されると、結果として生じる色はその顔料とは大幅に異なる色となり、他の顔料と混合されるこれらのフレークの量が少なすぎると、それらを識別することが困難になる。
【0005】
他の技術はポリエチレンテレフタレート(「PET」)のエポキシ封じ込め成形のフレークを使用する。反射層がPETのロール上に堆積され、次いで、PETが裁断される。反射層の耐久性を高めるために、フレークにはエポキシが被覆され、またはエポキシに封じ込められる。これらのフレークは正方形、長方形、六角形、および「アポストロフィー」形のような多様な形状、ならびに銀、白目、金および銅のような反射性金属の色合いの選択が可能である。しかし、エポキシ層、および(真空蒸着工程で使用され、典型的には最小限の厚みが約13ミクロン(0.5ミル)である)PET基板が比較的厚いので、典型的には14ミクロン超の比較的厚いフレークが生ずる。残念なことに、このように厚いフレークは、厚みがベース顔料よりもかなり厚い内密(covert)用途で使用するには望ましくない。同様に、このように厚いフレークはインク中で流れにくく、塗料中に塊を生成する。塗料が、粗い表面を生ずる厚いフレークを含んでいると、粗い表面上に典型的には比較的厚いはっきりした上被覆層が塗布される。
【0006】
上記の技術の限界を克服する隠された模造品・海賊版拡散防止デバイスで物体をマーキングすることが望ましい。
【0007】
本発明は機械的手段によりフレーク内部に刻印、エンボスまたはエッチング加工され、またはレーザー手段によって形成されたタゲントまたは内密記号を有するフレークであって、内密記号が顕微鏡で視認できるフレークの提供に関するものである。記号の完全性を保つために、内密記号の全部または一部の周囲のフレームが設けられることで、個々のフレークがその上に堆積されている支持構造から除去されると、フレークの大部分は、さもなければ記号を貫いて、かつ記号の周囲でより頻繁に破損線が生ずる制御されない予測できない態様で破損するのではなく、設けられたフレーム線に沿って破損する。破損が確実にフレーム線または溝に沿って生ずるようにするさらなる試みとして、フレーム溝は内密記号を画定する溝とは異なる輪郭を有していてもよく、その際にフレーム溝は内密記号の溝よりも破損し易く、または亀裂を生じ易いように設計される。場合によっては、フレークがリボン状に破損するように、平行なフレーム線を設けてもよい。本発明の好ましい実施形態では、フレーク、特にフレーク内の1つまたは複数の記号は、1つまたは複数の記号の周囲の4つを超える、またはそれ未満の側面にフレーム付きの溝付き境界線を有することにより、フレークはフレーム線に沿って均一な長方形または正方形に破損する。もちろん、フレークを下地から除去する前に、記号の3つの側面に事前にフレームを設けることによって同様に三角形または六角形のフレークを提供することもできる。フレークを下地または支持層から容易に除去できるように、また、除去後にフレークがフレーム線に沿って破損するように、従来の剥離層が設けられる。フレームは基板上のフィルムのレーザー、エッチングまたは刻印加工を利用して、記号が作製される態様と同様の態様で作製可能である。好ましい実施形態では、フレームは記号の形成と同じ工程で提供される。
【0008】
以下で用いられる「エンボス加工フレーク」は、エンボス工具でフレークに圧力を加えることによってエンボス加工されるフレーク、または基板の形態を取るエンボス加工基板にコーティングすることによりエンボス加工基板上に形成されるフレークを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の目的は、その上に記号を有するフレークを提供することにあり、フレークを暫定的な支持下地から分離する工程中に記号を保護するために、エンボス加工された暫定支持体からのフレークまたはモールドされたフレーク中に記号がエンボス、エッチングまたはレーザー加工されたフレームまたは境界を有し、または以前に有しており、かつフレーム溝がフレーム内の印または記号を画定する溝よりも深く、および/または破砕可能とされる。
【0010】
本発明の目的は、印の溝とは異なる断面輪郭を有するフレーム溝を提供するものであり、フレーム溝は印の溝よりも容易に破損し、または亀裂を生じ易いように設計される。
【0011】
本発明の別の態様では、基板は剥離層をそれに付加する前に事前に金属コーティングされる。フレークが剥離層から分離された後、エンボス加工された基板は再使用されずに反射性フレークへと裁断されて、コーティングされた別のバッチのフレークが得られる。金属コーティングされた基板は縦長のストリップへと切断されて、基板で製造されたフレークと同じ整合する設計を含む新たなセキュリティ・デバイス(すなわちスレッド)が作製される。
【0012】
本発明の別の態様では、成形され/記号化されたフレークを作製するために基板から除去され、適宜事後処理された後の「寸法付けされた」フレークは、印刷または塗装適用中にフレークの破損耐久性を高めるためにカプセルに封じ込められる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、複数の顔料タゲント・フレークであって、各フレークが壁によって画定された周縁のフレームとフレーム内の領域とを備えるものであり、フレームの壁の少なくとも1つの高さが少なくとも高さFであり、フレーム内の領域がその内部に形成された1つまたは複数の溝によって画定された印を有し、溝がI未満の深さを有し、F>Iである複数の顔料フレークが提供される。
【0014】
本発明の別の態様によれば、タゲント・フレークを形成するためのタゲント領域のシートであって、フレームを画定する深さがFである複数のフレーム溝と各フレーム内に印を形成する複数の印の溝とを有するエンボス加工された基板であり、印の溝の深さがI未満かつF>Iであり、それによりシートまたはシート上のコーティングがタゲント・フレークに分離されると、印の溝に沿ってよりもフレーム溝に沿って破損が生ずる可能性が高い基板を備えたシートが提供される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、キャリヤと、キャリヤ上に分散された複数の単層の無機誘電体内密タゲント・フレークとを含むコーティング組成物であって、フレークがフレームによって囲まれ、フレーム内側の領域に識別可能な記号が形成され、またフレームの壁が識別可能な記号を画定する溝の壁よりも深い、コーティング組成物が提供される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、印をその上に有するフレークを作製する方法が提供されるものであり、その方法は、剥離層が被覆された基板を備える工程と、剥離層上に1つまたは複数の層の光学コーティングを備える工程と、光学コーティング上の複数の領域に1つまたは複数の記号の形態の印を刻印し、その際に刻印された印は光学コーティング内に形成された1つまたは複数の溝の形態である工程と、各領域内で印の周囲に溝付きフレームを刻印し、その際に溝付きフレームは印を形成する1つまたは複数の溝よりも深い工程と、コーティングが溝付きフレームに沿ってフレーム付きの印の形態のフレークに破損されるように、光学コーティングを剥離層から除去する工程とを含む。
【0017】
本発明のさらに別の態様では、少なくとも1つの記号をその上に有するフレークが提供されるものであり、そのフレークは、エッチング、レーザーまたはエンボスにより加工された溝付きフレームまたは境界に沿ってフレークを分離して支持シートにすることによって、フレークを支持シートから除去する前にフレークが隣接のフレークから分離されており、フレークの周縁を画定するフレームまたは境界がその上の少なくとも1つの記号よりも破損し易いものである。
【0018】
別の態様によれば、本発明はフレーク内の溝の深さを低減する光透過性の非順応性(non−conforming)コーティングで被覆された、複数のエンボス加工された顔料内密タゲント・フレークを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ここで図面を参照して例示的な実施形態を説明する。
【0020】
I.はじめに
内密セキュリティ用フレークは典型的には普段の観察では視認されない。顕微鏡を使用した検査のようなある種の検査技術、または元素解析のような解析技術が利用される。一実施形態では、特定の形状のような印を含む不透明なフレークがバルク顔料、またはそれらが混合される他の物質の視覚特性がほぼ整合する。特定の実施形態では、選択された形状の単層の無機不透明フレークが玉虫色のマイカ系フレークまたはその他のベース顔料と混合される。説明目的のため、無機材料の「単層」には互いの上に積層される同じ無機材料の複数の層が含まれる。
【0021】
無機の内密フレークは、熱、溶剤、太陽光、またはその他の要因が有機フレークを劣化させる用途では特に望ましい。例えば、爆薬に使用される無機の内密フレークは、高温および/または高圧に曝した後でも検出可能であり、環境に強い。本発明の実施形態によるフレークも、従来の成形されたフレークよりも大幅に、典型的には約10ミクロン未満も薄いのでインク中の使用が可能であり、はっきりした上被覆層を使用する必要なく塗料の平滑な表面仕上げを作り出すことが可能になる。本発明の実施形態による薄い無機フレークはさらに、同様の技術を使用して作製されたベース顔料フレークの密度に近い密度を有している。有機基板を組み込んだ厚いフレークは薄膜のベース顔料フレークとは密度が異なる場合が多く、キャリヤが流体である間の塗布前、または塗布中に分離することがある。フレークが分離すると、組成物中の内密フレークとベース・フレークとの比率が一致せず、分離の結果、内密フレークの濃度が過度に高くなると内密フレークの内密の性質が劣化することがあるのでフレークの分離は好ましくない。
【0022】
II.例示的不透明フレーク
図1は本発明の実施形態によるセキュリティ特徴部12を有する書類10の一部の平面図である。セキュリティ特徴部12の少なくとも一部14は、バルク顔料フレークのようなバルク顔料と混合された印(以下「内密フレーク」)を有する不透明なフレークを含むインクまたは塗料で印刷される。一実施形態では、内密フレークは例えば正方形、長方形、台形、「菱形」、または円のような特定の形状を有している。別の実施形態では、内密フレークは形状が選択され、または選択されない格子パターンを含んでいる。好ましくは、暫定的な支持基板から除去されるとフレークがそれに沿って破砕するフレームまたは境界を作製するために、選択された形状はエンボス加工、エッチングにより、またはレーザーを用いて形成される。特定の実施形態では、格子パターンはスペクトルの可視領域で光学的に能動状態ではない格子間隔を有している。すなわち、これらの格子パターンは可視的な回折格子を形成しない。すべてのタゲント・フレークが必ずしも内密フレークではないが、内密フレークは場合によってはタゲント・フレークとも呼ばれる。
【0023】
一般に、バルク顔料フレークを含むバルク顔料粒子は不規則な形状を有している。一実施形態では、内密フレークはその形状によってバルク顔料フレークと区別される。あるいは、バルク顔料フレークは選択された第1の形状を有し、内密フレークは選択された第2の形状を有している。成形された顔料フレークの製造は、基板上にフレーク材料を堆積するためにパターン化された基板を使用し、次いでフレームまたは境界のようなパターンを得るためにフレークを基板から分離し、あるいはフレーク材料のシートからパターン化されたフレークを切断するためにレーザーまたはその他の手段を使用することなどの多様な技術によって達成される。選択される内密フレークの形状は、例えば製造設備、製造日、または書類10のその他の態様、または書類を製造するためのインクと関連することがある。
【0024】
ロール・コータは本発明の実施形態による選択的に成形され、または無作為に成形された内密フレークを製造するために使用可能な1つのタイプの装置である。ポリマー基板材料のシート・ロール(「ウエブ」としても知られている)が堆積ゾーン(1つまたは複数)を通され、1つまたは複数の薄膜層が被覆される。ポリマー基板のロールを堆積ゾーン(1つまたは複数)を往復して複数回通過させてもよい。次いで薄膜層(1つまたは複数)がポリマー基板から分離され、フレークに加工される。その他の装置および技術を使用してもよい。
【0025】
一般に、ポリマー膜基板のロールから堆積される、(ひいては除去される)薄膜層の総厚みを約10ミクロン未満に制限することが望ましい。PETはロール・コータで使用される1つのタイプのポリマー膜基板であり、PET膜基板の厚みは通常は少なくとも約13ミクロンである。PET膜がそれよりも薄いと、真空蒸着工程中に熱変形する傾向がある。ポリマー基板が堆積ゾーンを通過する際に、堆積ゾーン内の熱および堆積された薄膜層(1つまたは複数)の凝縮熱の双方がポリマー基板の温度を上昇させる。それ故、PET膜から切断され、これを組み込んだフレークの最小厚みは約13ミクロンである。
【0026】
好ましくはフレークがそれに沿って分離かつ破損される基板へとフレームがエンボス加工されることによって実現される選択された形状のフレークに加えて、内密フレークは好ましくは、1つまたは複数の記号、フレーム内の、およびフレームによって境界付けられた他の形態の印、ならびに/あるいは格子パターンを含んでいる。格子パターンは、フレークへと加工され、またはその他の態様で形成される薄膜層の堆積前に、ロール・コータで使用される基板上にエンボス加工される。さらに別の実施形態では、薄膜層が堆積基板から剥離され、フレークへと加工される際に選択された量の内密フレークを得るために、堆積基板表面積の選択された量(百分率)が格子パターンまたは形状パターンでエンボス加工される。この技術はベース・フレークと同じ光学的設計(薄膜層の組成および厚み)を有する内密フレークを提供する。例えば、堆積基板表面積の10%を格子パターンおよび/または形状パターンでエンボス加工すると、約10%の内密フレークを有する顔料混合物が生ずる。図10は成形された/記号が付されたフレーク用、および成形されない/平坦なフレーク用の2つの異なる光学的設計のブレンドを示している。同じ真空工程で2つの異なる光学的設計を実施可能であるが、これは好ましくない。好ましくは、異なる量の内密フレークを有する顔料混合物を得るために、異なる百分率のエンボス加工表面積を有する異なるロールの堆積基板が製造され、あるいは異なる形状および/または格子パターンを得るために、異なるパターンでエンボス加工される。
【0027】
図2Aはエンボス加工部分13と非エンボス加工部分15とを有する堆積基板11の一部の簡略図である。エンボス加工部分は説明目的で誇張されたフレームを有し、かつ代替として、またはオプションとして例えば格子または記号を有し、非エンボス加工部分は基本的に平滑である。あるいは、非エンボス加工部分は異なるフレーム、格子または記号でエンボス加工される。エンボス加工部分13の非エンボス加工部分15に対する表面積の比率によって、(非エンボス加工部分から作製された)ベース・フレークと同じ薄膜構造を有する(エンボス加工部分から作製された)選択された量のタゲント・フレークが作製される。堆積基板11はロール・コータ内の堆積ゾーン(図示せず)を通って1つのロール17から別のロール19へと移動するが、代替実施形態は異なるタイプの基板および堆積システムを使用する。図2Bはエンボス加工部分13’と非エンボス加工部分15’とを有する別の堆積基板11’の一部の簡略図である。
【0028】
識別印を有する顔料フレークは、容易に観察できるとしてもセキュリティ特徴部をもたらす。しかし、識別印を有する顔料フレークを容易に観察できない場合は、偽造者は内密フレークが存在することを知らないかもしれない。本発明の一実施形態は、ベース顔料と同じ光学特性を有する内密顔料フレークを使用する。内密顔料フレークは人の裸眼では視認されないが、約50倍から1000倍に拡大すると目視可能になる。基本的に同じ視覚特性を有する内密顔料フレークは、組成物の色にそれほど影響を及ぼさず広範な割合でベース顔料と混合可能である。ある実施形態では、内密顔料フレークは5から10重量%の内密顔料フレークと、同じ外見(例えば色および/または色移動)を有する95から90重量%のベース顔料フレークを有する組成物で容易に識別できる。多くの場合、成形された不透明の内密フレークは携帯顕微鏡(例えば「シャツ・ポケット」顕微鏡)を使用して現場で容易に識別可能であり、識別するのに記号を付した同じ寸法付けされたフレークよりも低い倍率しか必要としない。
【0029】
別の手法は、ベース・フレークとは異なる色の選択された形状の不透明内密フレークを使用することである。一実施形態では、不透明内密フレークはMgFのような誘電体材料層の間にアルミニウムまたはその他の反射体の薄膜層を有する光輝金属(「銀」)フレークである。光輝フレークは一般に広範囲の可視波長にわたって反射性が高く、特性色を有していないことが多い。金および銅製の光輝フレークは例えば黄色味がかって、また赤味がかって見える。着色されたベース顔料中の約0.25重量%から約5重量%の成形された(例えば「菱形」の)光輝フレークを加えても色には顕著な変化は生じないが、約50X(すなわち50倍の拡大)の露光拡大で容易に識別できることが見出された。露光拡大で、フレークの形状および高い輝度がフレークをベース・フレークから区別する。約0.25%未満の成形された光輝フレークが使用された場合は、ベース・フレークによる希釈の結果、視界内の成形された光輝フレークが少ないので、内密フレークを検知することが困難になる。
【0030】
光輝フレークの量が約5重量%を超えると、あるタイプのフレーク、特に暗色のフレークの色(例えば色相)が変化する。このような場合は、過剰な光輝フレークは基本的にベース顔料の色を「薄める」。しかし、カラーシフトする顔料を有する組成物中に成形された光輝フレークを使用することが極めて望ましいが、それは単一のタイプの成形された光輝フレークが多くの異なるタイプの(色および/または色移動)顔料フレークに少量だけ添加され、比較的少量の成形された光輝フレークによって内密セキュリティ特徴部がもたらされるからである。同様に、顔料と光輝フレークとを含む組成物を100%の顔料フレークを含む組成物と置き換えたり、またはその他の態様で区別できないようにしたりすることを意図しない用途では、色が薄まることは重要ではない。
【0031】
顔料は塗料またはインクを形成するためにキャリヤ内で混合されることが多い。キャリヤの例には、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリ(エトキシエチレン)、ポリ(メトキシエチレン)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(無水マレイン酸)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、アラビアガムおよびペクチンのようなポリ(サッカリド)、ポリビニルブチラルのようなポリ(アセタル)、塩化ポリビニルおよび塩化ポリビニレンのようなポリ(ハライド)、ポリブタジエンのような(ポリ)ジエン、ポリエチレンのようなポリ(アルケン)、ポリメチルアクリレートのようなポリ(アクリレート)、ポリメチルメタクリレートのようなポリ(メタクリレート)、ポリ(オキシカルボニルオキシヘキサメチレン)のようなポリ(カーボネート)、ポリエチレンテレフタレートのような(ポリ)エステル、ポリ(ウレタン)、ポリ(シロクサン)、ポリ(スルフィド)、ポリ(スルフォン)、ポリ(ビニルニトリル)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(スチレン)、ポリ(2,5ジヒドロキシ−1,4−フェニレンエチレン)のようなポリ(フェニレン)、ポリ(アミド)、天然ゴム、ホルムアルデヒド樹脂、その他のポリマー、ならびにポリマー混合物ならびに溶剤を伴うポリマーが含まれる。
【0032】
図3Aは図1に示されたセキュリティ特徴部14の一部14Aの簡略平面図である。セキュリティ特徴部の一部14Aは、典型的には幅が約5から100ミクロン、より典型的には幅が約20から40ミクロンであるフレークの形状を視認するために、典型的には約20倍から300倍の拡大で目視される。セキュリティ特徴部はベース顔料粒子16と、選択された形状、この場合は「菱形」の形状を有する内密顔料フレーク18とを含むインクを使用して印刷された。内密顔料フレークの光学特性および濃度は、ベース顔料粒子で作製された組成物の視覚的外見を損なわないように選択される。
【0033】
ベース顔料粒子16は不規則な形状のフレークとして図示されている。あるいは、ベース顔料フレークは選択された(すなわち規則的な)形状を有している。同様に、内密顔料フレーク18は格子を有することができよう。格子を加えることによって模造がさらに困難になる。ある実施形態では、内密顔料フレーク18はベース顔料粒子とほぼ同じ光学特性を有している。あるいは、内密顔料フレーク18はベース顔料粒子とは異なる光学特性を有しているが、ベース顔料粒子で作製された組成物の視覚的外見を損なわないような充分に少量である。
【0034】
特定の実施形態では、「菱形の」内密フレークは幅が約25ミクロン×35ミクロンの光輝フレークである。成形フレークは菱形のパターンをPET堆積基板材料のロールにエンボス加工し、次いで光輝フレーク用の標準の薄膜設計(例えば各々の厚みが約400nmのMgFの層間の約100から60nmのアルミニウム)を堆積して作製された。この光輝フレークの総厚みは約900nm、すなわち約1ミクロンである。エンボス加工されたパターンは(フレーク内に、またはフレーク上にパターンを作製することを意図した格子とは異なり)、「フレーム」としても知られており、ある実施形態では凸であり、別の実施形態では凹である。他の不規則な形状のフレークとのある所定の比率で配分される際に、菱形のフレーク自体がある程度の内密特徴部を提供することの他に、菱形のフレークに付加的な内密記号をエンボス加工することによって、デバイスを保護するために利用できる2つのレベルの内密特徴部がもたらされる。
【0035】
金属層と1つまたは複数の誘電体層とを組み合わせることによって、フレークを堆積基板から除去し易くなる。誘電体層だけを有する薄膜積層は脆く、堆積工程で残留応力が生ずることが多い。このような薄膜積層はより無作為に破損する傾向があり、成形フレークの数が少なくなる。金属は比較的延性が高いので、全金属積層または単層は堆積基板体のフレームに従ってパターン化されたフレークに加工することが困難である。特定の実施形態では、金属−誘電体および誘電体−金属−誘電体のフレークは総厚みが約0.5ミクロンから約3ミクロンであり、延性および脆性の特性の良好な組合せを提供し、その結果、フレークが基板から除去され加工される際にフレークの良好なパターン化が可能になる。特定の実施形態では、脆い誘電体層間に総厚みが約1ミクロンの延性の金属層を有する成形された光輝フレークは、エンボス加工された堆積基板から約90%の菱形フレークを産出した。
【0036】
薄膜層は従来の技術を利用して堆積基板から剥離され、フレークへと加工された。エンボス加工された菱形のパターンは、薄膜層がそれに沿って破損して選択された菱形のフレークにされる線をもたらした。別の実施形態では、菱形のフレークは約12ミクロン×16ミクロンであり、フレークの主面に格子が含まれていた。格子は公称2000本の線/mmであり、タゲントとして使用される際に顕著な組成物に回折効果は生じなかった。12×16ミクロンのフレークの形状は100倍の拡大で容易に視認できた。しかし、格子はこの拡大では容易に視認されなかった。格子は400倍の拡大では容易に見えた。別の実施形態では、格子はより粗く、タゲント・フレークの形状を識別するために用いられたものと同じ拡大(例えば50倍から100倍)で容易に視認された。このように、タゲント・フレークにセキュリティ特徴部を備えるために用いられる格子は、スペクトルの可視部分で光学的に能動状態にある必要はない。
【0037】
特定の実施形態では、ベース顔料粒子はTiOまたはその他の誘電体材料の層が被覆された雲母のフレークである。コーティング材は典型的には比較的高い屈折率を有している。雲母は比較的安価であり、フレーク基板へと加工し易い自然発生鉱物である。雲母フレークの基板が選択された厚みの屈折率が高い材料の層で被覆されると、真珠光の顔料フレークが得られる。雲母のフレーク基板は多様な工程を用いていくつかの代替材料で被覆されることができる。このような顔料は一般に「雲母ベースの」顔料として知られている。このような真珠光の顔料で印刷された画像のコピーはオリジナルのように見えず、それ故、顕在セキュリティ特徴部をもたらすための使用には、雲母をベースにした顔料フレークが望ましい。しかし、雲母フレーク基板を形成すること、または雲母フレーク基板上に記号を備えることは実際的ではない。本発明の実施形態による内密フレークは、雲母をベースにした顔料フレークで印刷した画像に内密セキュリティ特徴部を含めることができるように、雲母をベースにした顔料と混合される。単層のTiOまたはZnSのような無機誘電体材料から製造された成形顔料フレークは、内密顔料フレークが可視スペクトルの波長で1/4波長の光学膜厚(「QWOT」)の約5倍の厚みを有していれば、雲母ベースの顔料と同じ外見になる。典型的には、雲母ベースの顔料の外見と整合させることを意図する単層のZnS内密フレークの厚みは約60nmから約600nmである。エンボス加工された菱形パターンを有する堆積基板から全誘電体フレークを加工すると、相手方の金属−誘電体フレークよりも歩留りが低くなる傾向がある。
【0038】
図3Bは本発明の実施形態による光輝顔料フレーク20の簡略断面図である。反射層22が2つの誘電体薄膜層24、26の間にある。誘電体薄膜層24、26は光輝顔料フレーク20に剛性をもたらし、ロール・コータ基板から顔料フレークを除去し易くする。乾燥または硬化して平滑な表面になる組成物を得るには、光輝顔料フレークの厚みを10ミクロン未満に保つことが望ましい。特定の実施形態では、フレークの厚みは約1ミクロンから約3ミクロンである。フレークがそれよりも薄いと重量が軽すぎるので加工と取扱いがより困難になり、より厚いフレークは強度が強すぎてフレーム・パターンに沿って破損しにくくなる傾向がある。
【0039】
反射層22は典型的にはアルミニウム、プラチナ、金、銀もしくは銅のような反射率が高い金属、または鉄もしくはクロムのような反射率が中程度の金属の薄膜層である。反射層22は典型的にはスペクトルの可視部分で不透明(反射性)であるように充分に厚いが、基板からの薄膜層の分離、およびその後のフレークへの加工を妨げるような厚みではない。言い換えると、厚すぎる金属反射層は比較的脆い誘電体層24、26の間に延性の層をもたらし、堆積層をフレークへと加工する際の妨げになる傾向がある。誘電体層用の適宜な材料には特に、ZnS、MgF、SiO、Al、TiO、Nb、およびTaが含まれる。ある実施形態では、誘電体薄膜層24、26は反射層22に環境からの保護をも付与する。
【0040】
光輝フレーク20は選択された形状を有し、オプションとして、または代替として表面(格子)パターンまたは元素指紋のようなその他の印を有している。充分に低い濃度で光輝フレーク20が着色された顔料および着色された組成物(例えばインクおよび塗料)に添加される。成形された光輝フレームを内密セキュリティ特徴部としてベースの(すなわち無作為に成形された、または交互に成形された)光輝フレークに添加することができる。
【0041】
図3Cは元素インジケータ層28を有する光輝フレーク20’の簡略断面図である。光輝フレーク20’は誘電体層24’、26’と層28との間に反射層22’および22”を有し、元素インジケータをもたらす。元素インジケータ層28は、光輝フレームがともに使用されるベース顔料には見られず、二次イオン質量分析法(「SIMS」)、エネルギー分散型X線、(「EDX」)、およびオージェ分光法のような元素解析法を用いて容易に検知可能である材料層である。その上、元素インジケータは内密フレークには存在するがベース・フレークには存在せず、マイクロSIMS、マイクロEDXまたはマイクロオージュ分光法がこの差を容易に検知する。顔料混合物にインジケータ元素を添加するだけでは(例えばインジケータ元素を含む少量の化合物をキャリヤに添加する)、このセキュリティ特徴部は破られない。
【0042】
元素インジケータ層28は、2つの不透明反射層22’と22”との間にあるので光学的な能動状態にはない。反射層22’、22”は、アルミニウムのようなベース・フレークで使用されるものと同じ材料であるように選択される。元素インジケータ用の適宜の材料には特に、プラチナ、イリジウム、オスミウム、バナジウム、コバルト、ならびにタングステンが含まれる。当業者は選択される元素インジケータ材料はそれがともに使用されるベース顔料によって左右されることを理解しよう。代替実施形態では、光輝顔料の反射層は元素インジケータ材料製である(図3Bの参照符号22を参照)。例えば、反射層としてプラチナを使用した内密光輝、または着色された顔料フレークが、反射層としてアルミニウムを用いてベースの光輝フレークまたは着色された顔料フレークと混合される。さらに別の実施形態では、顔料混合物内の選択された元素比(例えばアルミニウム対プラチナ)になるように、顔料混合物または組成物に組み込まれる元素インジケータを有するフレーク量が選択される。代替の、またはさらに別の実施形態では、誘電体薄膜層24’、26’の材料(図3Bの参照符号24、26)は元素インジケータを与えるように選択される。
【0043】
図3Dは本発明の別の実施形態によるカラーシフト顔料フレーク30の概略断面図である。カラーシフト顔料フレーク30は一般に対称の5層ファブリ・ペロー干渉フレークとして知られている。薄膜積層32は反射金属層34、2つのスペーサ層36A、36B、および2つの吸収層体38A、38Bを含んでいる。吸収体層は典型的にはクロム、カーボン、またはその他の材料の極めて薄い半透明層である。反射体、スペーサ、および吸収体層はすべて光学的な能動状態にあり、すなわちカラーシフト顔料フレークの光学性能に貢献する。フレークの両面は入射光に対して同じファブリ・ペロー干渉構造をもたらし、それ故、フレークは光学的に対称である。あるいは、カラーシフト顔料フレークは全誘電体顔料フレーク、または吸収体/誘電体/吸収体のような3層フレークである。
【0044】
カラーシフト顔料フレークの色および色移動は、光学的可変顔料の分野でよく知られているように、フレークの光学的設計、すなわち薄膜積層32内の層の材料および厚みによって決定される。カラーシフト顔料フレーク30の光学的設計は典型的には、混合されるベース顔料フレークの光学特性と整合するように選択される。カラーシフト顔料フレーク30は成形され(図3Aの参照符号18を参照)、オプションとして、または代替として表面格子パターンおよび/または元素インジケータのようなその他の印を含んでいる。
【0045】
例えば、反射層はベース顔料フレークとは異なる反射性金属である元素インジケータを含むか、または光学的な能動状態にあってもなくてもよい付加的な元素インジケータ層(1つまたは複数)を含んでいる(図3C、参照符号28を参照)。代替として、または追加として、スペーサ層36A、36Bおよび/または吸収体層38A、38Bは元素インジケータを含んでいる。例えば、ベース顔料フレークがスペーサ層材料としてMgF、SiO、またはAlを使用する場合は、内密顔料フレーク30はTiOまたはZnSのような異なるスペーサ層材料を使用する。スペーサおよび/または吸収体インジケータ材料は元素解析を用いて容易に検知される元素を含んでいる。
【0046】
ある実施形態では、異なるスペーサ材料および/または反射体材料を使用すると、ベース・フレークとは異なる光学特性を有する内密顔料フレーク30が生ずる。例えば、内密フレークとベース・フレークとが垂直入射で同じ色を有している場合でも、色移動は異なるかもしれない。一般に、(MgF、およびSiOのような)屈折率が低いスペーサ材料は(ZnSおよびTiOのような)屈折率が高いスペーサ材料よりも色移動が多い(「迅速シフト」顔料)。しかし、通常の観察者のほとんどは本発明の実施形態による混合物と100%のベース・フレークとの差を検知することができないので、色移動がベース・フレークの色移動とは正確に整合しない場合でも、このような内密フレークを比較的高い濃度でベース顔料フレークに添加可能である。
【0047】
図4は、本発明の実施形態によるキャリヤ44内に分散された内密フレーク42を含むワニス40の断面図である。キャリヤは透明または着色されており、内密フレーク42は普段の視覚的検知を避けるために選択された濃度にある。オプションのカラー・コートまたは光輝(例えば「クロムめっきされた」)コーティング46がワニス40の下の物体48に塗布されている。ワニス40は物体の外見を損なわずに物体に内密セキュリティ特徴部を付与する。特定の実施形態では、オプションのカラー・コート46は物体に顕在セキュリティ特徴部を付与するために真珠光またはカラーシフトの顔料で印刷されている画像である。物体は例えば書類、製品、パッケージ、またはシールである。ワニス40によって、物体の外見をそれほど損なわずに、すでに内密セキュリティ特徴部を備えている物体に内密セキュリティ特徴部を付与することが可能になる。例えば、株券に顕在セキュリティ特徴部が印刷されており、その後株券に内密セキュリティ特徴部を付与することが望ましくなった場合は、顕在セキュリティ特徴部にワニス40または同類のインク組成物(すなわち内密フレークを含む基本的に透明なインク組成物)が重ね印刷される。別の実施形態では、すでに1つまたは複数の内密セキュリティ特徴部を有する物体に付加的な内密セキュリティ特徴部が付与される。特定の実施形態では、内密フレークはワニスの2%以下を占める。
【0048】
図5は本発明の別の実施形態による結合材またはキャリヤ52内に分散されたベース顔料フレーク16および成形された内密フレーク18を含む組成物50(例えばインクまたは塗料)の断面図である。内密フレーク18は選択された形状、または元素インジケータもしくは表面格子パターンのようなその他の印を有している。組成物50はラベル、製品パッケージ、銀行券、または消費者向け商品のような物体48に塗布されている。
【0049】
既存のインクまたは塗料組成物に内密フレークを添加することで、インクまたは塗料からなる画像に内密セキュリティ特徴部が付与される。例えば、銀行券またはその他の物体に顕在セキュリティ特徴部としてカラーシフト画像を付与するために、カラーシフト顔料を含むインクが使用される。本発明の実施形態による内密フレークがインクに添加され、結果として生じた混合物を使用して元のインクで印刷されたものとほぼ同様に見える画像が印刷される。このように、銀行券の普段の観察者は、内密セキュリティ特徴部が加えられた後も顕在セキュリティ特徴部の外見の変化(すなわちカラーシフト画像)には気付かない。内密フレークの印は例えば製造日、印刷場所、および/またはインクの発売元(メーカー)を表示する。
【0050】
III.実験結果
マゼンタ−グリーンが100%の光学的可変インタグリオ(「OVI」)顔料フレークを使用したテスト基準が製造され、測定された。光輝タゲント・サンプルおよび光学的に可変のタゲント・サンプルの双方とも2000本の線/mmの格子パターンを有しており、それによってタゲント・フレークはベース顔料フレークと区別し易くなり(すなわち位置の探知)、模造が一層困難となった。格子パターンは約400倍で明瞭に目視可能であり、テスト組成物で印刷された画像に可視的な回折特性を生じなかった。観察者に対して充分に配向されないことと合わせて、タゲント・フレークの比率が低いことが回折効果の発生を防止したものと考えられる。代替実施形態では、成形されたタゲント・フレークにより微細な格子パターンが含められる。形状は第1の拡大で顕微鏡により識別できるが、格子パターンはこの第1の拡大では容易には視認されない。格子パターンはより高い拡大で視認される。選択された形状または記号を有するタゲント・フレークにこのような格子パターンを含めることでタゲント・フレークの内密の性質がさらに強まるが、その理由は模造者は顕微鏡実験では形状または記号を視認するが、格子パターンを視認せず、それ故、それを模造品に含めないからだと考えられる。
【0051】
第1のテスト・サンプル(「サンプル1」)は格子を有する10%のマゼンタ−グリーンOVI顔料フレーク(「タゲント・フレーク」)を混合した(重量比)90%の従来の(ベース)マゼンタ−グリーン顔料フレークを含んでいた。タゲント・フレークはルーチンの顕微鏡検査で容易に検知され、タゲント・フレークの色がベース・フレークの色と充分に整合したので、混合物の色再現性はテスト基準のものと同様であった。色の厳密な整合にはタゲント・フレーク製造の入念な監視が含まれ、かつベース・フレークの各色を整合させるために、一般にタゲント・フレークのそれぞれの色の新規の光学的設計が用いられよう。
【0052】
別の手法は、ベース・フレークの多くの異なる色とともに利用できる標準のタゲント・フレーク設計を用いるものである。アルミニウム反射体層(フレークに「シルバー」の外見を与える)を使用した光輝タゲント・フレークの評価もなされた。光輝フレークの製造は比較的簡単であり、これらのフレークは、着色されたベース顔料フレークと混合されると5%の濃度で極めて検知し易かった。内密セキュリティ特徴部を付与するために、光輝タゲント・フレークは多色のベース顔料とともに使用される。組成物中の光輝タゲント・フレークの量は所望の結果に依存する。例えば、マゼンタ−グリーンOVIベースと混合された5%の光輝タゲント・フレークを含むインタグリオ・ブレンドの色再現性は、100%のマゼンタ−グリーンOVIフレークの組成物との対照比較で区別できる。100%のマゼンタ−グリーンOVIフレークとは基本的に区別できない組成物は、マゼンタ−グリーンOVIフレーク中に約0.25重量%から3重量%の光輝タゲント・フレークを含む濃度の組成物のように5%未満の光輝フレークを使用している。濃度が5%超の光輝フレークを顔料フレークに添加すると、組成物の外見が知覚できるほど変化せずにより明るい、または飽和度が低い色が得られるものと考えられる。光輝タゲント・フレークは1%未満の濃度でも中程度の拡大で容易に検知されるが、それは選択された形状を有することと、異なる色であることと(例えばマゼンタの代わりに「シルバー」)の組合せによるものである。
【0053】
IV.実験方法
図6は本発明の実施形態による顔料フレークの製造方法600のフローチャートである。ロール基板の堆積表面積において選択された比率でエンボス加工されない(「平坦な」)部分とエンボス加工された部分とを有するロール基板が用意される(ステップ602)。一実施形態では、エンボス加工された部分は選択された形状を有するフレークを製造するためにフレームでエンボス加工される。代替実施形態では、エンボス加工された部分は格子パターンまたは記号でエンボス加工される。代替実施形態では、レーザー・アブレーションのようなエンボス加工以外の工程を用いて基板にパターン化される。少なくとも1つの薄膜層がロール基板上に堆積され(ステップ604)、堆積された薄膜層(1つまたは複数)がフレークへと加工され(ステップ606)、選択された量のタゲント・フレークを有するフレーク混合物が生ずる。タゲント・フレークの歩留りは、加工される薄膜層のタイプ、フレーム、格子パターン、または記号の性質、および加工パラメータなどの要因によって左右される。
【0054】
例えば、図2Aおよび2Bを参照すると、ロール基板の表面の10%に格子または記号でエンボス加工されると、格子パターンまたは記号を有する約10%のタゲント・フレークの歩留りが予期される。ロール基板の表面の10%に菱形フレームでエンボス加工されると、薄膜積層のパターン化された部分が成形されたフレークへと加工される際の10%の歩留り損により、約9%の誘電体−金属−誘電体フレークの歩留りが予期される。同様に、成形された全誘電体フレークの場合は、薄膜積層のパターン化された部分が成形されたフレークへと加工される際の50%の歩留り損により、約5%の歩留りが予期される。
【0055】
本発明を様々な特定の実施形態に関連して記載してきたが、ここで重要な利点を与える本発明の態様を記載する。
【0056】
例えば重要な利点を提供する本発明の実施形態は、上にコーティングを形成するために使用される基板材料上にフレームまたは境界を用いて、これらの境界によって囲まれる記号または印を囲む態様である。
【0057】
ここで図7に転じてこれを参照すると、複数のユーロ記号が付されたシートの写真が示されており、シート上の各

記号は周囲にエンボス加工された境界を有している。これは一般に、PET基板のような有機基板にフレームが付けられた

記号をエンボス加工し、その後基板に除去可能なコーティングを被覆することによって達成される。図8は下地もしくは基板から分離した後のフレークの写真である。この写真は僅かな亀裂が記号内に、または記号を貫いて見えているが、ほとんどの記号に損傷がないことを明瞭に示している。本発明を利用することによって、図面中、

記号を不明瞭にするように破損しているフレークは極めて少ない。しかし、図示されているのは、フレークが堆積された基板からフレークを剥離した後はすべてのフレークの全側面に沿ってフレームが存在しないことである。あるフレークには境界がなく、別のフレークには1つから4つの境界がある。しかし、このことは理解できる。フレーム境界はフレークを最も隣接したフレークから分離するので、フレークが分離すると境界は一般に1つのフレークに付着した状態を保つが、そのフレーム境界の反対側では隣接するフレークには付着しない。しかし、フレームまたは境界が存在することで、フレームの一方の側または他方の側のフレーム線上でほとんどのフレークが破損し、比較的真っ直ぐなエッジを有する比較的均一なフレークが得られる。記号を付した各フレークはしばしば、フレークが堆積されたウエブまたは基板から分離した後、フレークに付着した少なくとも1つの境界またはフレームの区分を有している。好ましくは、フレームはフレークの他の部分よりも分離し易い。
【0058】
図9はμ記号を付したMg−Gnの複数のフレークの写真であり、このフレークは無作為に破損しており、応力による亀裂および、フレームが存在しない結果として明らかに無作為な破砕線により、いくつかの記号を保持し、他の記号を破壊している。図9は、フレーク全体に及ぶ応力亀裂が、フレークをそれらの亀裂に応じて分離させていることを示している。さらに、亀裂は継続してフレーク内に現れ、それによって記号を不明瞭にしている。本発明によるフレームの提供は応力亀裂を完全には防止するものではないが、これらの亀裂がフレーム線に沿って生ずるか、または優先的にそれに沿った経路を辿るように、これらの亀裂をより広範囲に制御できる手段を提供する。図9とは対照的に、図7および8に関連した示された本発明の実施形態は、フレークが所定の境界に沿って分離され、それによってフレーク上の記号の形状および完全性を大幅に高程度に保存し、フレーム内の内密記号を全体的に不明瞭にしない態様を提示している。
【0059】
フレームで囲まれない記号中に発生する亀裂は、より脆いガラス状の誘電体材料内で発生し伝播するが、図7に示されたフレーム付き記号のシートに設けられたフレーム線で伝播が止まり、それに沿った経路で伝播が継続される。フレームを設けることでフレーム線に沿ったフレークの優先的な破裂が生ずる。図8のフレークに観察される亀裂のほとんどはフレークの厚み全体を貫いて最後まで進まず、当初エンボス加工された記号の読み取りにとって有害な陰影を生ずる、フレークのより弾性が高い金属コア(Al/Ni/Al)のレベルで止まる。
【0060】
図8および9の双方のフレークは厚みが約1300nmすなわち1.3ミクロンであり、層の構造は10nmのCr/480nmのMgF/80nmのAl/480nmのMgF/10nmのCrである。顕在機能のための磁性層を設けるためにNiが含まれている。
【0061】
ここで図10に転じてこれを参照すると、内密記号またはフレームがないより多数のフレーク内の複数のフレーム付き記号の写真であり、フレーム付きの記号と他のフレークとの比率は1:10である。この実施形態には2つの興味深い態様がある。第1のレベルの検知では、100倍の携帯顕微鏡を備えていればユーロ記号が上に付された内密フレークの存在を検知可能であり、さらに、内密記号と非内密記号との比率が約1:10であることを速やかに概算できる。さらに、方形の記号と無作為の形状のフレークとの比率を比較して、ある程度の真贋確認を得ることができる。したがって、フレーム付きの形状内の記号の形状、分布および識別を用いて、コーティングがある範囲の確実さで信用できるか否かを判定できる。
【0062】
境界またはフレームによって囲まれた記号を有するフレークは、図10のフレーム付きユーロが示すように、フレーム線または溝に沿って所望の形状に破損することが多いが、記号を形成するエンボス加工された線に沿ってフレークが不要に破損する例がある。
【0063】
ここで図11aを参照すると、アレイの一部だけを画定する基板110の切開断面が示されており、より具体的には、1つの完全なフレークとその近傍にあり他のフレークが形成される部分領域とに関する基板が見える。この例示的実施形態では、フレークの形状が正方形になるように、「JDSU」の語が付された境界付きまたはフレーム付きのフレーク、および付随するロゴがフレームの境界111に沿って破損することが望ましいので、境界またはフレーム111を形成する溝111の深さは、ロゴ112またはテキスト113を形成する溝よりも大幅に深い。フレークがフレーム境界に沿って、すなわちフレーム溝内で破損、分離することを確実にするため、フレームとロゴまたはテキストの深さの比率は少なくとも10:8であり、より好ましくはそれ以上であることが好ましい。図11bは基板上のエンボスの相対的深さを示す部分解析である。フレームを画定する溝はU字形であり、V字形でより狭い、ロゴおよびテキストを画定する溝よりも幅広い。基板を被覆し、フレークを形成するコーティング材料は、フレームの溝よりもテキストおよびロゴの溝のほうに多く充填されることが好ましい。それによってフレームの破砕可能性が高まり、テキストまたはロゴを画定する溝に沿った破砕可能性が低くなる。図11cは図11aおよび11bと対応し、基板の垂線方向図である。
【0064】
図11aとは対照的に、図11dは鏡像レリーフの基板であり、フレームは壁によって画定され、テキストとロゴとは基板の底部から突出している。図11eはこれらの壁の相対的高さを示し、図11fは基板の垂線方向図である。フレークのシートが基板から除去されても、ロゴおよびフレームは未だに壁によって画定されている。
【0065】
図12aは従来技術のフレーム付きフレークの断面図であり、文字またはロゴの形態の印を画定する溝とフレームを画定する溝とは同じ深さである。図12aと12bとの相違を示すために完全な二重壁のU字形フレームが示されているが、フレークが基板から分離された後は、フレークはフレームの経路溝に沿って破砕するので、典型的には二重壁のU形フレームを有さないであろう。フレークが基板から分離される際のフレークが断切すると予測される個所を示すために点線が示されている。しかし、図12aの溝の深さは溝と記号とで同じなので、いくつかのフレークが記号の溝に沿って断切する可能性がある。図12bを見ると分かるように、記号を画定する溝の深さはフレームを画定する溝の高さまたは深さの約1/2である。すなわち、フレームは記号よりも深い。それによってほとんどのフレークが記号の溝に沿ってではなくフレームの溝に沿って断切することが確実にされる。一般に、記号の溝に対するフレームの溝の比率は少なくとも3:2、好ましくは4:2以上であることが好ましい。
【0066】
図12aおよび12bのフレークは均一のコーティングを有するものとして示されており、フレークの厚みは上部、底部および側壁ともほぼ同一である。
【0067】
コーティングの物理的蒸着(PVD)技術を用いると、すなわち基板に対して垂直な、またはほぼ垂直な軌道で基板に当たる材料の蒸着またはスパッタリングによって、上部、底部および側壁に同じ厚みを有する堆積層が生ずる。しかし、実際には、PVD蒸着は図13bに示すように基板に斜角で入射する原子を生じ、これらの斜角の軌道は変則性を生じ、その結果厚みが変動する。軌道が極端に斜めである場合は、より深い溝内の溝の入口は底部よりもコーティングが薄くなり、それは目的が溝に沿ったフレークの破砕であるこの例では望ましい。
【0068】
アスペクト比が高いほど、その形体の底部、上部および側壁の差が大きくなる。この現象はアスペクト比が高い形体を有する半導体デバイスの製造ではよく知られている。
【0069】
フレークの破損は異なるメカニズムで発生し得る。
【0070】
摩耗はフレークの表面に平行な力が加わることにより生ずる破損である。破断はフレークに対するせん断力が加わることによる破損である。圧縮または衝撃はフレーク面に対して垂直な力が加わることによる破損である。頻繁に破損はこれらのメカニズムの組合せによることがあり得る。これらのメカニズムはフレークの後処理およびコーティング被覆工程中に発生することがあり得る。例えば、インクおよび塗料の均一性を高めるために必要な液相での混合動作中に材料の粉砕(粒子と粒子の相互作用および/または摩耗)が生ずることがある。
【0071】
機械的に誘発される摩耗および機械的せん断による破断は、ある印刷の用途でフレークをスクリーンに通過させるときに発生することが多い。その例は、フレキソまたはグラビア印刷の用途中、または圧搾によりインクのフレークがスクリーンに押し込まれる回転シルクスクリーンの用途中のアニロックス・システムでインク中のフレークがブレードと相互作用することであろう。この相互作用は「ナイフ・ミリング」と呼ばれる粉砕方法で用いられるものと同様である。この方法では、粉砕動作は粒子を切断するためのナイフまたはブレードを使用する回転アセンブリによって得られる。
【0072】
衝撃ミリングは、他のフレークとの、または後処理およびコーティングで使用される装置との高速の機械的相互作用によって行うことができる。
【0073】
それにもかかわらず、表面の不規則性はフレークに加わる負荷を集中させ、不均一な負荷配分状態を生ずる。
【0074】
このような不均一な負荷配分が図14aに示されている。フレーク上の破裂ポイント(領域)の位置に応じて、印加されるエネルギーに局部的な差がある。例えば、摩耗による破損を検討すると、領域1で示されている深い形体の底部に生ずるせん断応力は、図14bの領域2で示されている名ばかりの形体の底部のせん断応力よりも大きい。さらに、上記の説明のように、深い形体の底部での微細構造は名ばかりの形体の微細構造よりも脆いと予期される。
【0075】
本発明は印の線または溝に沿ってではなくフレーム線に沿ったフレークの破損を促進する方式を提供するものであるが、以下に記載の実施形態は、フレークがさらに不要に破損することを防止するために、フレークが基板から分離された後にこれを保護するものである。図15は保護コーティングに封じ込められたフレークを示している。
【0076】
この実施形態では、フレークはZnS、TiO、SiOx、Alなどのような誘電率の高い材料で被覆可能であり、または誘電体層/金属層の多層フレークを記号の観察を容易にするゾル−ゲル(SiOx)のような半透明材料で被覆可能である。フレークが屈折率の低い材料n<1.65で製造され、屈折率が高い材料、すなわちnが1.65以上の材料でフレークを封じ込めると、誘電特性を有する微細構造のフレークを製造することが可能である。この実施形態は基本的に高/低/高の交互の積層であり、すべての誘電体層が内密機能、および真珠光顔料と同様の視覚的な光学効果をも有する成形され/記号が付されたフレークを形成する。
【0077】
有利なことに、封じ込め工程はフレークの耐久性を高めるだけではなく、微細構造のフレークに付加的な機能をも付与する。真空蒸着技術(PVDまたはCVD)とは異なり、ゾル−ゲルまたはその他の湿式化学法による封じ込めは表面と適合しないことがよく知られている。例えば、これはレンズの鋳造工程中に掻き傷またはその他の表面欠陥をマスキングするための眼科用光学コーティングに使用される。
【0078】
湿式化学工程での非順応性コーティングによる封じ込めはエンボス加工されたフレーク内にある溝のような空洞を充填する傾向があり、破損特性を高めるためのフレークのすでに脆い領域への不均一な負荷が少なくなる。これに対して、適合コーティングは、層(1つまたは複数)が堆積される基板の微細構造とは関わりなく、どの個所もほぼ同じ厚みを有するコーティングである。例えば湿式化学コーティングのような非順応性コーティングは微細構造の空隙を埋め、ひいてはフレークを「平坦化」する傾向がある。視覚的効果を視認できるようにフレークがエンボス加工されるという利点を与え、次いでフレークは視覚効果を維持し、または強化するように平坦化されるので、このことは極めて有利である。
【0079】
このようにしてエンボス加工されたフレークのコーティングは例えば、製薬および食品産業で使用されるための「食用フレーク」に特に利用可能性がある。「食用フレーク」に使用される、消費には多くがFDA認可される材料は、SiOx、TiOx、AlOx、FeOxのような誘電体材料が含まれている。しかし、これらの材料は金属またはポリマー材料よりも脆く、本発明の教示によって、より一般に知られている「食用のチャーム」または「食用のフレーク」を製造することを発見した。その際に、フレームはフレーク内の印よりも破砕可能であり、これらのより脆いフレークをゾル−ゲルまたはその他の保護コーティングで被覆することは、そうしないと事後処理中に発生するかもしれないある種の破損を防止するので極めて有利である。
【0080】
破損特性の向上は封じ込め方法による半透明の延性材料でのフレークのコーティングにも認められる。この場合、フレークは真空下で軟らかい半透明のポリマー材料を薄層に蒸着することによって被覆される。適当な堆積工程の1つは、いわゆるプラズマ重合化である。この工程は、SiO、TiOおよびカーボンのようなダイアモンドのプラズマ強化CVDの改変形態である、SiOxHy、TiOxHyまたはCOxHyのコーティング用によく知られている。加えて、微細構造の内密タゲントの機能を生み出し、耐久性を高めるため、ある種のポリマーを物理的蒸着、またはスパッタリングすることさえ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】セキュリティ特徴部を有する書類の一部の平面図である。
【図2】図2Aは、エンボス加工部と非エンボス加工部とを有する堆積基板の一部の簡略図である。図2Bは、エンボス加工部13’と非エンボス加工部15とを有する別の堆積基板11’の一部の簡略図である。
【図3A】図1に示されたセキュリティ特徴部14の一部14Aの概略平面図である。
【図3B】光輝顔料フレークの簡略断面図である。
【図3C】元素指紋をもたらす光輝フレーク20’の簡略断面図である。
【図3D】本発明の別の実施形態によるカラーシフト顔料フレーク30の簡略断面図である。
【図4】本発明の実施形態によるキャリヤ内に分散された不透明内密フレークを含むワニスの断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態による結合材内に分散されたベース・フレークと不透明内密フレークの断面図である。
【図6】本発明の実施形態による顔料フレークの製造方法のフローチャートである。
【図7】各々が基板にエンボス加工された正方形のフレームまたは境界によって囲まれた複数のユーロ記号が付されたシートの写真である。
【図8】各々がユーロ記号を付され、ほとんどが記号を囲む全部または一部のフレームを有している複数のMg−Gnカラーシフト・フレークの写真である。
【図9】フレーク上のμを付したMg−Gnの複数の記号の写真であり、このフレークは無作為に破損しており、フレームが存在しない結果の破砕線により、いくつかの記号を保持し、他の記号を破壊している。
【図10】内密記号もフレームもないより多数のフレーク内の複数のフレーム付き記号の写真であり、フレーム付き記号と他のフレークとの比率は1:10である。
【図11】図11aは、基板内のフレーム溝の深さを示す、エンボス加工された基板の破断された等角投影図である。図11bは、図11aに示された基板の部分分析図である。図11cは、図11aの基板の垂線方向図である。図11dは、基板から突出したフレームの壁およびロゴの壁の高さを示す、エンボス加工された基板の破断された等角投影図である。図11eは、図11dに示された基板の部分解析図である。図11fは、図11dの基板の垂線方向図である。
【図12】図12aは、均一なコーティングの従来技術のフレークの断面図である。図12bは、フレームの深さが記号の深さの約2倍である、本発明によるフレークの断面図である。
【図13】図13aは、壁上のコーティングが底部でのコーティングよりも薄い、本発明によるフレークの断面図である。図13bは、本発明によるフレークの断面図である。
【図14】図14aは、溝の谷の底部よりも上壁部でのほうがコーティングが厚く、溝に沿ったフレークの破損を便利に補助している、フレークの溝の断面図である。図14bは、均一なコーティングの厚みを示す、フレークの記号を画定する溝の図である。
【図15】フレークが光透過性の保護コーティングに封じ込められた、本発明によるフレークを示す図である。
【符号の説明】
【0082】
10 書類
11 堆積基板
12 セキュリティ特徴部
13、13’ エンボス加工部分
14 セキュリティ特徴部
14A セキュリティ特徴部の一部
15、15’ 非エンボス加工部分
16 ベース顔料粒子、ベース顔料フレーク
17 ロール
18 内密顔料フレーク
19 ロール
20、20’ 光輝顔料フレーク
22、22’、22” 反射層
24、24’ 誘電体薄膜層
26、26’ 誘電体薄膜層
28 元素インジケータ層
30 カラーシフト顔料フレーク
32 薄膜積層
34 反射金属層
36A、36B スペーサ層
38A、38B 吸収体層
40 ワニス
42 内密フレーク
44 キャリヤ
46 光輝コーティング
48 物体
50 組成物
52 キャリヤ
110 基板
111 フレーム
112 ロゴ
113 テキスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の顔料タゲント・フレークであって、各フレークが壁によって画定された周縁のフレームと前記フレーム内の領域とを備えるものであり、前記フレームの壁の少なくとも1つの高さが少なくとも高さFであり、前記フレーム内の前記領域がその内部に形成された1つまたは複数の溝によって画定された印を有し、前記溝がI未満の深さを有し、F>Iである複数の顔料フレーク。
【請求項2】
各フレークが実質的に平坦な上表面を有し、前記壁が前記平坦な表面から下方に延びており、および前記1つまたは複数の溝が下方に延びている請求項1に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項3】
前記印が記号またはロゴである請求項1に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項4】
各フレークが同じ記号またはロゴを有する請求項1に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項5】
前記F/Iが少なくとも1.5である請求項1に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項6】
各フレークがコーティングに封じ込められる請求項1に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項7】
前記コーティングが金属、金属化合物、酸化物、窒化物、ポリマーおよびサーメットの群から選択される請求項6に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項8】
前記1つまたは複数の溝がV字形の溝である請求項1に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項9】
前記1つまたは複数の溝がU字形の溝である請求項8に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項10】
前記印が拡大によってのみ視認できる請求項1に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項11】
前記各フレークが目視可能な光学効果をもたらすための多層コーティングを備える請求項2に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項12】
タゲント・フレークを形成するためのタゲント領域のシートであって、
a)深さがFであるフレーム溝と各フレーム内の複数の印の溝とを有するエンボス加工された基板であり、前記印の溝の深さがI未満かつF>Iであり、それにより前記シート上のコーティングがタゲント・フレークに分離されると、前記印の溝に沿ってよりもフレーム溝に沿って破損が生ずる可能性が高い基板、または、
b)高さがFであるフレーム壁と各フレーム内の複数の印の壁とを有するエンボス加工された基板であり、前記印の壁の高さがI未満かつF>Iであり、それにより前記シート上のコーティングがタゲント・フレークに分離されると、前記印の壁に沿ってよりも前記フレーム壁で破損が生ずる確率が高い基板、を備えるタゲント領域のシート。
【請求項13】
前記フレーム溝の断面は前記印の溝の断面とは異なる輪郭を有し、または前記フレーム壁の断面は前記印の壁の断面とは異なる輪郭を有する請求項12に記載のタゲント領域のシート。
【請求項14】
前記フレーム溝および前記印の溝の一方が先細りであり、前記フレーム溝および前記印の溝の他方が平行な側壁を有する請求項13に記載のタゲント領域のシート。
【請求項15】
前記シートがコーティングで被覆されたウエブを備え、前記タゲント・フレークが前記コーティングから形成される請求項12に記載のタゲント領域のシート。
【請求項16】
複数の顔料タゲント・フレークであって、各フレークが壁によって画定された少なくとも2側面のフレームと前記フレーム内の領域とを備えるものであり、前記フレームの壁の少なくとも1つの高さが少なくとも高さFであり、前記フレーム内の前記領域がその内部に形成された1つまたは複数の溝によって画定された印を有し、前記溝がI未満の深さを有し、F>Iである複数の顔料フレーク。
【請求項17】
複数のエンボス加工顔料内密タゲント・フレークであって、前記フレークが前記フレーク内の溝の深さを低減する光透過性の非順応性コーティングで被覆された、複数のエンボス加工フレーク。
【請求項18】
前記非順応性コーティングが前記フレークを効果的に平坦化する請求項17に記載の複数のエンボス加工フレーク。
【請求項19】
前記非順応性コーティングがゾル−ゲル・コーティングである請求項17に記載の複数のエンボス加工フレーク。
【請求項20】
前記フレークが前記溝の前記深さを浅くする非順応性コーティングで被覆され、前記印が前記コーティングにより覆い隠されない請求項1に記載の複数の顔料タゲント・フレーク。
【請求項21】
前記非順応性コーティングが前記印と背景とのコントラストを強め、それにより前記印がより目視可能になる請求項20に記載の複数の顔料タゲント・フレーク。
【請求項22】
前記顔料タゲント・フレークが食用フレークである請求項20に記載の複数の顔料タゲント・フレーク。
【請求項23】
前記顔料タゲント・フレークが食用フレークである請求項17に記載の複数の顔料タゲント・フレーク。
【請求項24】
基板を含むフォイルであって、前記基板から一旦除去されるとフレークを形成する剥離可能に堆積された1つまたは複数の薄膜層を有し、前記1つまたは複数の薄膜層が溝または隆起を形成する複数のフレーム付き記号を有しており、前記記号のフレームが、前記1つまたは複数の薄膜層の前記基板からの除去に沿って分離する前記フレークのための線を提供するものであり、前記フレームが前記記号よりも深い溝を有するフォイル。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−126977(P2009−126977A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−304976(P2007−304976)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】430 N. McCarthy Boulevard, Milpitas, California, 95035, USA
【Fターム(参考)】