説明

内燃機関における燃費向上装置

【課題】 内燃機関における安定した高効率の燃費向上装置を提供する。
【解決手段】
(1)内燃機関の燃料タンクとエンジンの燃焼部との間の燃料供給管路に、同管路内の燃料を加熱又は冷却する温度制御手段を設けること、(2)燃料タンク内外又は燃焼用空気の通過部分の内外に放射性物質を含むセラミック材料を配設すること、(3)車両のラジエター内に注入する液体に表面張力低減化材料を接触・配置すること、のうち、
(1)と(2)の組み合わせ、(1)と(3)の組み合わせ、(2)と(3)の組み合わせ、あるいは(1)と(2)と(3)の組み合わせ、を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を燃焼して動力、発電、ボイラー、焼却等を行う場合、燃料の節減、省エネを実現させる実用的な装置、特にエンジンの燃費向上を図るための内燃機関における燃費向上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関における液体燃料を燃焼させる際、燃料に放射線を当てたり(特許文献1)、燃料ガスの温度を調整したり(特許文献2)、空気に放射線を当てたり(特許文献3)、磁界を通過させ空気中の酸素を活性化したり(特許文献4)等する装置が開発され、一部販売されてきた。
また、キャブレターの冷却水を処理して冷却能力を上げ(特許文献6)、省エネに結びつけるという方法も実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表WO−00/32922号公報
【特許文献2】特開2010−169087号公報
【特許文献3】登録実用新案3131022号公報
【特許文献4】特開2001−65416号公報
【特許文献5】特許第4402484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の省エネ技術は燃料に作用させるもの、空気等に作用して燃焼を改善させるもの、キャブレター等の冷却水を改善して結果的に省エネに結びつける装置等が開発されている。
これらは個々に使用され、各々5〜15%程度の燃費削減に寄与しているといわれるが、使う車の車種や気候、道路状況により異なり、大きな省エネとなる場合と、通常(省エネ装置を装着しない)と殆ど差がない場合がでてしまう。
特に、夏場と冬場、高速の時と混雑時等で省エネ効果が左右される。
したがって、これらの省エネ製品を使用して省エネ実績を実証するのは難しい状況となっている。
まず、先行している省エネ技術を分類すると、1は燃料に作用する方法、2は空気中の酸素に作用する方法、3はキャブレターの水に作用する方法に分かれる。
これらの省エネ技術は各々良く利く場合と殆ど利かない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は省エネ技術を鋭意研究の結果、前記2つ又は3つの方法を組み合わせると効き方が向上し、かつ安定的に効果が発揮されることを知見した。 例えば1の方法で燃料に放射線を当て、C−H結合、C−C結合の分解により燃費を改善する場合通常の空気で酸化するより、空気を放射線又は磁気により酸素を活性化させた方が燃費は更に向上することが判った。
エンジンを回転させる場合、燃料と空気の急激燃焼(爆発)によりエンジンを動かすわけであるが、短時間に効率良く燃焼させればエンジンの出力は増加する。すなわち、短時間に爆発すればエネルギーのピークが高くなり、エンジンの効率は良くなる。
従って1の方法で燃費向上効果を(ア)とし、2の方法での燃費向上効果を(イ)とすると、1の方法に2の方法を同時に行うと(ア)+(イ)+αの燃費向上効果が出来上がる。
この+αの効果は予期し得なかった効果である。
例えば省エネ技術を燃料に使用する方法をA、空気中の酸素に作用する技術をB、キャリブレター等に作用する方法をCとすると、各自各々対象が異なっているので、各々独自に燃費削減効果があり、結果としてはA+B+Cとなる。 しかし、前述の様にA+Bの場合には更に燃焼時間の短縮(爆発ピークの上昇)という+αの効果があり、更にCのキャリブレター等に作用する冷却効果は燃焼温度が上がれば、冷却によるプラス効果が増加するので、+β効果となり、全体から見るとA+B+α+C+βという効果となる。すなわち本発明はA,B,C全部を同時に使用することによりα+βという複合効果を追加的に生ずることとなる。
【0006】
すなわち本発明は以上の知見に基づいてなされたものであり、下記構成の内燃機関における燃費向上装置である。
(1) 内燃機関の燃料タンクとエンジンの燃焼部との間の燃料供給管路に、同管路内の燃料を加熱又は冷却する温度制御手段を設け、また、燃料タンク内外又は燃焼用空気の通過部分の内外に放射性物質を含むセラミック材料を配設してなることを特徴とする内燃機関における燃費向上装置。
(2) 内燃機関の燃料タンクとエンジンの燃焼部との間の燃料供給管路に、同管路内の燃料を加熱又は冷却する温度制御手段を設け、また、車両のラジエター内に注入する液体に表面張力低減化材料を接触・配置してなることを特徴とする内燃機関における燃費向上装置。
(3) 内燃機関の燃料タンク内外又は燃焼用空気の通過部分の内外に放射性物質を含むセラミック材料を配置し、また、車両のラジエター内に注入する液体に表面張力低減化材料を接触・配置してなることを特徴とする内燃機関における燃費向上装置。
(4) 内燃機関の燃料タンクとエンジンの燃焼部との間の燃料供給管路に、同管路内の燃料を加熱又は冷却する温度制御手段を設け、また、燃料タンク内外又は燃焼用空気の通過部分の内外に放射性物質を含むセラミック材料を配置し、更に車両のラジエター内に注入する液体に表面張力低減化材料を接触・配置してなることを特徴とする内燃機関における燃費向上装置。
(5) 放射性物質を含むセラミック材料が、放射性トリウム又は放射性ラジウムを含むものであることを特徴とする前記(1)、(3)又は(4)のいずれか1項に記載の内燃機関における燃費向上装置。
(6) 表面張力低減化材料が、トルマリン又は界面活性剤であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれか1項に記載の内燃機関における燃費向上装置。
【発明の効果】
【0007】
従来燃料の改質活性化、燃料用空気の改質活性化、冷却水の改質による冷却機能の強化は各々単独に行われているが、車種や気温等によって燃費の削減率が変わり、普及に足かせとなっている。本発明はこれらの方法を2〜3種類複合化して実施することにより各々単独の効果の和に加えて、複合効果が実現した。また車種や気候等により燃費削減効果の差が大きかったが、本発明の複合効果により車種や気候等による差が少なくなった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】車の燃料装置の説明図である。
【図2】車の吸気装置の説明図である。
【図3】車の冷却装置の説明である。
【図4】車の冷却装置の詳細説明である。
【図5】燃料装置、吸気装置及び冷却装置を総合配備した車の説明である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は自動車の燃料系の流れを示した図である。
燃料の燃費削減はこの燃料系の配管に取付ける場合が多いが、インジェクター近くで取付ける方が効果的である。
方法としては放射線により燃料を分解して酸化し易くする方法、燃料を加熱する方法、燃料に近赤外線を当てる方法等が一部実用化されているが、本発明は燃費節減に寄与する安全な方法であれば、方法は問わない。
本発明は燃料に作用する燃費削減と空気(酸素)に作用する燃費削減と冷却器に作用する燃費削減を複合して実施し、各々の削減効果にそれらの複合によるプラス効果を加味すると共に単一の方法ではバラツキが多く信頼性が薄かったのが、複合によるとバラツキが減り信頼性が増加するという効果が生ずる。
図1には燃料の流れを示す。自動車本体を1,燃料供給孔2,とすると燃料は2から燃料タンク3に入り、燃料配管4を通ってインジェクター5で噴射、エンジン6で動力となる。燃料に作用して燃費削減を図るには燃料タンク3か燃料配管4に設置するが、特に場所は特定しない。
【0010】
図2には吸気装置を示す。
空気は吸気孔7より吸気し、エアクリーナー8を通って塵を取り、サージタンク9よりエンジンに供給する。
空気の活性化(酸素の活性化)方法は放射線(β線が主体)による方法や磁気による方法があるが、本発明では方法は特定しない。
また、取付け位置についても特定しないが、吸気孔7かエアクリーナー8の付近が適当と考えられる。
図3には冷却装置を示す。
エンジン6は熱エネルギーを運動エネルギーに変換することで動力を生み出している。しかし熱エネルギーの一部は運動エネルギーにならず、発熱し、エンジンを高温状態にしてしまう。この状態を「オーバーヒート」という。オーバーヒートになると着火前に混合気が自然発火する「プレイグニッション」や「ノッキング」などの現象が起り、エンジンにダメージを与えてしまう。
冷却装置は従って大変重要な役割を背負っている。図3を詳細に図解したものが図4である。冷却水はウォーターポンプ14により冷却水はエンジン6内に入り、エンジンを冷却し暖まった水はラジエータ10に入り、冷却ファン13で冷却される。冷却された冷却水はウォーターポンプ14で再びエンジン6の冷却に使われる。この冷却水に特許第4402484号公報(久留米工業大学渡辺孝司教授の開発:特許文献5)に記載の特殊ガラスを入れることによって、冷却水の親水性が高まり熱の伝導性が良くなることから、燃費の節減に大きな効果が認められた。
図5は図1〜図3を総合配備して現した説明図であり、
燃料系(燃料供給孔2,燃料タンク3、燃料配管4、インジェクター5)、
吸気系(吸気孔7、エアクリーナー8、サージタンク9)及び冷却装置系(ラジエータ10、リザーバータンク11,ウォータージャケット12、冷却ファン13、ウォーターポンプ14)の3種を図示したものである。
すなわち、本発明ではそれら燃料系、吸気系及び冷却系から選択される2種又は3種に対して、(1)燃料を加熱又は冷却する温度制御手段、(2)放射性物質を含むセラミック材料を配置、又は(3)液体に表面張力低減化材料を接触・配置、のうち、(1)と(2)の組み合わせ、(1)と(3)の組み合わせ、(2)と(3)の組み合わせ、(1)と(2)と(3)の組み合わせて配置する。
【0011】
本発明は図1に示す燃料の改質による燃費の向上、図2に示す吸気(酸素)の改質による燃費の向上、図3(図4)に示す冷却水の改質による燃費の向上のうち2種又は3種の方法を組み合わせて同時に行うことによって、各々の効果に加えて複合効果を生み出し、更に1つの方法では車種により燃費削減の効果が良い場合と余り利かない場合と差が大きかったのに対し、2種又は3種の方法を複合すると、複合効果の他に車種による燃費削減効果の差が減少した。
【実施例】
【0012】
「オルティア」2000cc(本田技研工業社製の乗用車)平成8年登録13万キロ走行済み、平均燃費8.60km/Lを使用し、「エアチェンジネット」(商品名:セラテックジャパン(株)製の実用新案登録第3131022号(特許文献1)による空気の活性化装置)及びエンジンの冷却を早めて、燃費を向上させる「カーアップ」(商品名:株式会社創生製)(特許第4402484号(特許文献5)による製品)を同時に着装して本発明に基づき燃費を向上させる試験を行った。
「エアチェンジネット」の燃費向上率は表1の通りで10車平均で15%の燃費向上であった。
【0013】
【表1】

【0014】
また、冷却水の親水性を増加し、エンジンの冷却機能を高めて、燃費改善を図る方法は、「カーアップ」(商品名:株式会社創生製)(特許第4402484号(特許文献5)による製品)を採用して実施できる。
「カーアップ」の燃費向上率は第2表に示すごとく9車平均で16.5%の向上率となっている。
これらの表で目につくのは燃費向上率のバラツキである。表1の「エアチェンジネット」の燃費向上率は12〜21%のバラツキであり、表2の「カーアップ」でも11.2〜22.4%のバラツキがあり車により燃費向上率の変化は倍近くになっている。
【0015】
【表2】

【0016】
この「エアチェンジネット」及び「カーアップ」を同時に装着した場合の燃費向上率を表3に示す。
【表3】

【0017】
「エアチェンジネット」及び「カーアップ」を同時装着すると37.8%の燃費向上率が得られた。「エアチェンジネット」単独での平均燃費向上率は15%、カーアップでの燃費向上率16.5%でこの合計では31.5%に対し、同時装着した場合には37.8%と6.3%の増加となった。
この6.3%の増加が「エアチェンジネット」(空気中の酸素の活性化)と「カーアップ」(冷却機能の改善)による複合効果と考えられる。また、この二つの機能を同時に装着することによって燃費の向上に加えて、バラツキが減少したことも大きな効果である。
【符号の説明】
【0018】
1:自動車本体
2:燃料供給孔
3:燃料タンク
4:燃料配管
5:インジェクター
6:エンジン
7:吸気孔
8:エアクリーナー
9:サージタンク
10:ラジエータ
11:リザーバータンク
12:ウォータージャケット
13:冷却ファン
14:ウォーターポンプ





【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃料タンクとエンジンの燃焼部との間の燃料供給管路に、同管路内の燃料を加熱又は冷却する温度制御手段を設け、また、燃料タンク内外又は燃焼用空気の通過部分の内外に放射性物質を含むセラミック材料を配設してなることを特徴とする内燃機関における燃費向上装置。
【請求項2】
内燃機関の燃料タンクとエンジンの燃焼部との間の燃料供給管路に、同管路内の燃料を加熱又は冷却する温度制御手段を設け、また、車両のラジエター内に注入する液体に表面張力低減化材料を接触・配置してなることを特徴とする内燃機関における燃費向上装置。
【請求項3】
内燃機関の燃料タンク内外又は燃焼用空気の通過部分の内外に放射性物質を含むセラミック材料を配置し、また、車両のラジエター内に注入する液体に表面張力低減化材料を接触・配置してなることを特徴とする内燃機関における燃費向上装置。
【請求項4】
内燃機関の燃料タンクとエンジンの燃焼部との間の燃料供給管路に、同管路内の燃料を加熱又は冷却する温度制御手段を設け、また、燃料タンク内外又は燃焼用空気の通過部分の内外に放射性物質を含むセラミック材料を配置し、更に車両のラジエター内に注入する液体に表面張力低減化材料を接触・配置してなることを特徴とする内燃機関における燃費向上装置。
【請求項5】
放射性物質を含むセラミック材料が、放射性トリウム又は放射性ラジウムを含むものであることを特徴とする請求項1、3又は4のいずれか1項に記載の内燃機関における燃費向上装置。
【請求項6】
表面張力低減化材料が、トルマリン又は界面活性剤であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の内燃機関における燃費向上装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−225325(P2012−225325A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96104(P2011−96104)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(511102619)株式会社創循ホールディングス (2)