説明

内燃機関の冷却システム及び冷却方法

【課題】冷却ファンの回転を停止している時には、走行風を取り込み易くして、エンジンルーム内の昇温を抑えて熱害を防止できるようにして、冷却ファンを回転する頻度を減少して、冷却ファンの駆動のために消費するエネルギーを節約することができ、しかも、制御が単純な内燃機関の冷却システム及び冷却方法を提案する。
【解決手段】車両搭載のエンジン4の冷却液を外気との熱交換により冷却する熱交換器6の後部に配置され、外気を冷却ファン7に導くファンシュラウド8に開閉自在な第1のシャッタ12と、前記熱交換器6を通過させずに車両のエンジンルーム内に取り込む通風部11に開閉自在な第2のシャッタ13を設けると共に、冷却液の検出温度Tcmと、温度調整手段9による冷却液の前記熱交換器6への通路の開閉状態と、前記冷却ファン7の回転を制御する電子制御ファンクラッチ7a用のオンオフ信号とを用いて、前記第1のシャッタ12と前記第2のシャッタ13の開閉制御を行うように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両搭載の内燃機関の冷却システム及び冷却方法に関し、より詳細には、外気を取り込む冷却ファンの周囲の走行風の流れを制御することにより、エンジンルーム内の昇温を抑えると同時に、冷却ファンの回転頻度を減少して、ファン駆動で消費するエネルギーを節約できる内燃機関の冷却システム及び冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却液を内燃機関(エンジン)の内部に循環させて冷却する水冷式の内燃機関(エンジン)を搭載した車両においては、内燃機関を冷却するために、冷却液をウォーターポンプにより、シリンダ壁面のウォータージャケットに流し、この冷却液の温度が低いときはサーモスタットによる流路切り替えによりラジエータを経由させずにウォータージャケットに循環させ、冷却液の温度が高いときはサーモスタットの流路切り替えにより、ラジエータを経由させて冷却液を冷却してからウォータージャケットに循環させている。
【0003】
このラジエータは、外気によりエンジンの冷却液と熱交換を行う熱交換器であり、冷却液の熱は外気に伝熱され、冷却液の温度は低下する。このラジエータを冷却する外気は、車両が停止している場合には、ラジエータの後方に配置された冷却ファンの駆動によって、車両が走行している場合は走行風と冷却ファンの駆動によって、ラジエータに吸い込まれる。この吸い込まれた外気はエンジンルームのアンダーカバーの開口部から車両の外に流出する。
【0004】
また、冷却ファンは、ファンの駆動力にエンジン回転を用いるエンジン駆動式の冷却ファン(エンジン駆動ファン)と直流モータを用いる電動式の冷却ファン(電動ファン)とがある。このエンジン駆動式の冷却ファンでは、エンジンの回転軸との間に粘性式ファンクラッチ(オートファンカップリング)あるいは電子制御式ファンクラッチ等のファンクラッチを設けて、ラジエータを通過する空気の温度を検出して、この検出温度に基づいてクラッチをオンオフして冷却ファンの回転を制御している。
【0005】
この粘性式ファンクラッチの場合には、エンジンの冷機始動時等の、冷却液の温度が低くてラジエータに関して、冷却ファンの駆動が不要な状態であっても、完全にクラッチを切らずに、数百回転程度のつれ回りが冷却ファンに生じるように設定して、外気を冷却ファンにより吸引してエンジンルームを換気してエンジンルーム内の温度上昇を抑えている。
【0006】
また、電子制御式ファンクラッチ(又は電動式の冷却ファン)を採用した場合には、電子制御により、エンジン冷却液の水温や車速等に応じて適切な回転数となるように冷却ファンへの回転伝達量(又は電動モータの回転量)を調節している。これにより、冷却に必要なときにだけ必要な回転数で冷却ファンを駆動し、燃費の向上、エンジンの暖機性能の向上、エンジン出力の向上を図っている。この場合においても、冷却液の温度が上昇しなくてもエンジンルームの換気用に冷却ファンを駆動する必要がある。
【0007】
一方、ラジエータとその近傍の外気の流れを制御するために、シャッタを設けて、車速や冷却水の温度で、シャッタの開閉制御を行う内燃機関の冷却システムも提案されてある。
【0008】
例えば、ラジエータのコア部の後面の一部を覆うファンシュラウドを介して、ラジエータとエンジンの間に電動ファンを配置し、このファンシュラウドに覆われたファンシュラウド領域の前方に第1のシャッタを、このファンシュラウドに覆われない通風領域の前方に第2のシャッタを配置して、第1のシャッタを所定の車速以下でかつ冷却液の温度が所定の温度以下の場合に閉とし、第2のシャッタを所定の車速以下では閉とすると共に、第1のシャッタと第2のシャッタを所定の車速以上でかつ冷却液の温度が所定の温度以下の場合に閉とする自動車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
この自動車では、冷却液の温度が低い場合にファンシュラウド領域の第1のシャッタを閉じることにより、冬季における暖房性能の確保と、ラジエータ通風による車両空気抵抗の増大を防止し、燃費の向上を図っている。また、アイドリング等の所定の車速以下の時に、フロントグリルとラジエータの間に配置した第2のシャッタを閉じて、電動ファンに吸引された排出風が、エンジンに衝突した後に反転してファンシュラウドに覆われない開口部から、コンデンサあるいはラジエータの前面に吹き戻されるために、冷却効率が低下するという問題の解決を図っている。
【0010】
また、車両搭載の燃料電池の冷却に用いるものではあるが、ラジエータ本体と冷却ファンとを連絡するファンシュラウドにラジエータを通過した外気の風圧の大小によって開閉する開口部を設けて、高車速時には開口部を開いてラジエータ本体を通過する風量を多くして冷却媒体を十分に冷却し、低車速時には開口部を閉じてファン効率を高くする燃料電池車用のラジエータ装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
しかしながら、冷却ファンの回転を停止している時には、走行風を取り込み易くして、エンジンルーム内の昇温を抑えて熱害を防止できるようにして、冷却ファンの回転の頻度を減少して、冷却ファンの駆動のために消費するエネルギーを節約することができるようなシャッタの配置と制御については、適切なものが提案されていない。
【特許文献1】特開2000−130167号公報
【特許文献2】特開2005−199972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却ファンの回転を停止している時には、走行風を取り込み易くして、エンジンルーム内の昇温を抑えて熱害を防止できるようにして、冷却ファンを回転する頻度を減少して、冷却ファンの駆動のために消費するエネルギーを節約することができ、しかも、制御が単純な内燃機関の冷却システム及び冷却方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための内燃機関の冷却システムは、車両搭載の内燃機関の冷却液を外気との熱交換により冷却する熱交換器と、外気を車両のエンジンルーム内に前記熱交換器を通過させずに取り込む通風部と、前記熱交換器の後部に配置され、外気を前記冷却ファンに導くファンシュラウドと、このファンシュラウドに囲まれて前記熱交換器を通過した後の外気を吸い込む、電子制御式ファンクラッチを用いた冷却ファン又は電動式の冷却ファンと、この冷却ファンへの内燃機関の回転の伝達を制御するファン回転制御装置とを備えた内燃機関の冷却システムにおいて、前記ファンシュラウドの部分に開閉自在な第1のシャッタと、前記通風部の部分に開閉自在な第2のシャッタとを設け、更に、これらの第1のシャッタと前記第2のシャッタの開閉制御を行うシャッタ開閉制御手段を設けると共に、前記シャッタ開閉制御手段を、前記冷却液の温度と、前記冷却液の前記熱交換器への通路を開閉する温度調整手段による前記熱交換器への通路の開閉状態と、前記電子制御ファンクラッチのオンオフ信号又は電動式の冷却ファンの駆動のオンオフ信号とを用いて、前記第1のシャッタと前記第2のシャッタの開閉制御を行うように構成する。
【0014】
この構成によれば、冷却ファンの回転を停止している時には、走行風を取り込み易くして、エンジンルーム内の昇温を抑えて熱害を防止できるようにして、冷却ファンを回転するオン回転の頻度を減少して、冷却ファンの駆動のために消費するエネルギーを節約することができる第1のシャッタと第2のシャッタの配置構成となる。
【0015】
また、第1のシャッタと第2のシャッタの開閉を、内燃機関(エンジン)の冷却液の温度と、温度調整手段(サーモスタット等)に冷却液の熱交換器(ラジエータ等)への通路の開閉状態と、電子制御ファンクラッチ用のオンオフ信号又は電動式の冷却ファンの駆動のオンオフ信号とを用いて行うので、車両及び内燃機関の状況に的確に対応した、第1のシャッタと第2のシャッタの開閉制御を比較的単純な装置構成と比較的単純な制御で行うことができる。
【0016】
上記の内燃機関の冷却システムにおいて、内燃機関の暖機運転及び低負荷運転では、前記電子制御ファンクラッチ又は電動式の冷却ファンの駆動をオフにして前記冷却ファンの駆動を停止すると共に、前記シャッタ開閉制御手段が前記第1のシャッタと前記第2のシャッタを閉じるように制御するように構成する。なお、低負荷運転とは、内燃機関を低トルクの状態で運転することである。
【0017】
この構成によれば、機関始動後から低負荷運転のような暖機を要する状況下、即ち、内燃機関の暖機運転及び低負荷運転では、冷却ファンの駆動を停止すると共に、第1のシャッタを閉じて熱交換器を通過する冷却風の自然通風を妨げて冷却液の冷却を回避する。更に、第2のシャッタを閉じて熱交換器を通過しない通風部からのエンジンルーム内への通風による換気を妨げて、エンジンルーム内に配置された内燃機関の冷却を回避する。この自然通風と換気の両方を抑制することにより内燃機関の暖機性能を向上させる。
【0018】
上記の内燃機関の冷却システムにおいて、前記温度調整手段により前記熱交換器への冷却液通路が閉じている間は、前記電子制御ファンクラッチ又は電動式の冷却ファンの駆動をオフにして前記冷却ファンの駆動を停止すると共に、前記シャッタ開閉制御手段が前記第1のシャッタと前記第2のシャッタを開くように制御するように構成する。
【0019】
この構成によれば、内燃機関の暖機運転の後から冷却液の温度が上昇して温度調整手段が熱交換器への冷却液通路を開くまでの間は、冷却ファンの駆動を停止する。それと共に、第1のシャッタを開いて熱交換器を通過する冷却風の自然通風を発生させ、また、第2のシャッタも開いて熱交換器を通過しない通風部からのエンジンルーム内への通風を発生させてエンジンルーム内の換気を行う。この自然通風と換気の両方によるエンジンの冷却を行って、冷却ファンの駆動エネルギーを節約しつつ、冷却液の温度上昇を抑制する。
【0020】
上記の内燃機関の冷却システムにおいて、前記温度調整手段により前記熱交換器への冷却液通路が開いているが、冷却液の温度が予め設定した温度以下の場合には、前記電子制御ファンクラッチ又は電動式の冷却ファンの駆動をオフにして前記冷却ファンの駆動を停止すると共に、前記シャッタ開閉制御手段が前記第1のシャッタを開いて、前記第2のシャッタを閉じるように制御するように構成する。
【0021】
この構成によれば、冷却液の温度が更に上昇して、熱交換器による冷却液の冷却をしている場合には、冷却ファンの駆動を停止する。それと共に、第1のシャッタを開いて熱交換器を通過する冷却風の自然通風を発生させ、また、第2のシャッタを閉じて、熱交換器の前後の差圧を上昇させて、熱交換器を通過する自然通風の通風量を増加して、冷却ファンの駆動エネルギーを節約しつつ、冷却液の温度上昇を抑制する。
【0022】
上記の内燃機関の冷却システムにおいて、前記温度調整手段により前記熱交換器への冷却液通路が開いており、かつ、前記冷却液の温度が予め設定した温度より高い場合には、前記電子制御ファンクラッチ又は電動式の冷却ファンの駆動をオンにして前記冷却ファンの駆動を行うと共に、前記シャッタ開閉制御手段が前記第1のシャッタと前記第2のシャッタを閉じるように制御するように構成する。
【0023】
この構成によれば、冷却液の温度が更に上昇して、熱交換器による冷却液の冷却の要求が強い場合には、冷却ファンの駆動を行うと共に、第1のシャッタと第2のシャッタを閉じて外気の通路を冷却ファンの部分に集中させて強制通風を行い、熱交換器を通過する多量の冷却風により冷却液の温度の上昇を抑制する。これにより、エンジンのオーバーヒートを防止する。
【0024】
そして、上記の目的を達成するための内燃機関の冷却方法は、車両搭載の内燃機関の冷却液を外気との熱交換により冷却する熱交換器と、外気を車両のエンジンルーム内に前記熱交換器を通過させずに取り込む通風部と、前記熱交換器の後部に配置され、外気を前記冷却ファンに導くファンシュラウドと、このファンシュラウドに囲まれて前記熱交換器を通過した後の外気を吸い込む、電子制御式ファンクラッチを用いた冷却ファン又は電動式の冷却ファンと、この冷却ファンへの内燃機関の回転の伝達を制御するファン回転制御装置とを備えた内燃機関の冷却方法において、前記ファンシュラウドの部分に開閉自在な第1のシャッタと、前記通風部の部分に開閉自在な第2のシャッタとを設け、更に、これらの第1のシャッタと前記第2のシャッタの開閉制御を行うシャッタ開閉制御手段を設けると共に、前記シャッタ開閉制御手段を、前記冷却液の温度と、前記冷却液の前記熱交換器への通路を開閉する温度調整手段による前記熱交換器への通路の開閉状態と、前記電子制御ファンクラッチのオンオフ信号又は電動式の冷却ファンの駆動のオンオフ信号とを用いて、前記第1のシャッタと前記第2のシャッタの開閉制御を行うことを特徴とする。
【0025】
この方法によれば、冷却ファンの回転を停止している時には、走行風を取り込み易くして、エンジンルーム内の昇温を抑えて熱害を防止できるようにして、冷却ファンを回転するオン回転の頻度を減少して、冷却ファンの駆動のために消費するエネルギーを節約することができる第1のシャッタと第2のシャッタの開閉制御を、冷却液の温度と、冷却液の熱交換器(ラジエータ等)への通路の開閉状態と、オンオフ信号とを用いて、車両及び内燃機関の状況に的確に対応させて、比較的単純な装置構成と比較的単純な制御で行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る内燃機関の冷却システム及び冷却方法によれば、冷却ファンの回転を停止している時には、走行風を取り込み易くして、エンジンルーム内の昇温を抑えて熱害を防止することができるようにして、冷却ファンを回転する頻度を減少して、冷却ファンの駆動のために消費するエネルギーを節約することができる。
【0027】
また、第1のシャッタと第2のシャッタの開閉を、冷却液の温度と、冷却液の熱交換器への通路の開閉状態と、冷却ファンの駆動用のオンオフ信号とを用いて行うので、車両及び内燃機関の状況に的確に対応させた開閉制御を、比較的単純な制御で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施の形態の内燃機関の冷却システム及び冷却方法について、吸い込みタイプの内燃機関の冷却システムを例にして、図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1に示すように、この第1の実施の形態のエンジン冷却システム1では、車両2の前方の開口部3とエンジン4の間において、この開口部3に面して、エアコン用コンデンサ5と、ラジエータ(熱交換器)6と、冷却ファン7と、ラジエータ6の背面と冷却ファン7の周囲を覆うファンシュラウド8とが設けられる。
【0030】
このエアコン用コンデンサ5は、車両で使用されるエアコン(空調機)のためのコンデンサであり、外気により冷媒を冷却して凝縮(コンデンス)させる。
【0031】
ラジエータ6は、外気とエンジン4の冷却液との間で熱交換する熱交換器であり、上部のアッパータンクと下部のロアタンクと、その間のラジエータコアとで形成される。あるいは、左右のタンクと、その間のラジエータコアとで形成される。このラジエータコアは、プレートフィン型やコルゲートフィン型等の冷却液の通る細いパイプで形成される。冷却液が両タンク間を移動する際にラジエータコアを通過し、このラジエータコアに外気の冷却風を当てることにより、外気との間で熱交換する。
【0032】
このラジエータ6は、エンジン4からラジエータホース6a経由で送られてくる冷却液を、ラジエータコアにおける冷却液の放熱により冷却し、温度が低下した冷却液をラジエータホース6a経由でエンジン4に戻している。なお、このエアコン用コンデンサ5とラジエータ6とを一体成形したUCRと呼ばれる熱交換器もある。
【0033】
また、冷却液の温度制御を行うために、冷却液のラジエータ6への通路を開閉する温度調整手段として、サーモスタット9が設けられている。このサーモスタット9は、ベローズ型やワックスペレット型等のサーモスタットで構成され、エンジン4の冷却液の出口又は入口に取り付けられる。このサーモスタット9は、冷却液の温度Tcmが予め設定された開弁温度通常(70℃〜80℃)T3より低い時には、ラジエータ6への通路を閉じたままにして冷却液の温度Tcmの上昇を促進し、暖機性能を向上させ、エンジン4のオーバークールを防止する。また、冷却液の温度Tcmが高くなって、予め設定された開弁温度T3になった時には、ラジエータ6への通路を開いて、冷却液をラジエータ6に供給し、外気で冷却してエンジン4のオーバーヒートを防止する。
【0034】
冷却液は、エンジン4の本体に取り付けられたウォーターポンプ10により、エンジン4のシリンダ壁面のウォータージャケットを通過し、冷却液の温度Tcmが低いときは、サーモスタット9の流路切り替えにより、サーモスタット9から空調用の熱源となるヒータコア(熱交換器)14とウォーターポンプ10を経由してエンジン4のウォーターポンプ10に戻る。また、冷却液の温度Tcmが高いときは、サーモスタット9の流路の切り替えにより、サーモスタット9からラジエータ6を経由して冷却されてからウォーターポンプ10に戻る。なお、この場合でも、冷却液の一部は、サーモスタット9からヒータコア14経由でウォーターポンプ10経由に戻る。
【0035】
冷却ファン7は、外気を車両2の開口部3から吸い込んで、エアコン用コンデンサ5とラジエータ6を通過させるためのものであり、ラジエータ6とエンジン4の間に配置される。この冷却ファン7はエンジン回転を駆動力にするエンジン駆動ファンで構成され、冷却液の温度Tcmが予め設定された駆動開始温度T4以下のときはその駆動をオフし、冷却液の温度Tcmが予め設定された駆動開始温度T4より大きくなったときはその駆動をオンするように構成される。この冷却ファン7の駆動のオンオフは電子制御ファンクラッチ7aを用いたエンジン駆動ファンの場合には、この電子制御ファンクラッチ7aのオンオフで行う。また、冷却ファン7を電動モータで駆動する電動式ファンの場合は、電動モータの駆動のオンオフで行う。
【0036】
この冷却ファン7は、本発明では、車両が走行し、冷却液の温度Tcmが予め設定された駆動開始温度T4より高い時に、走行風による自然通風に冷却ファン7の駆動による強制通風を加えて、コンデンサ5とラジエータ6を冷却する。
【0037】
更に、ファンシュラウド8が、外気を冷却ファン7に導くために、ラジエータ6の背面と冷却ファン7の周囲を覆って設けられる。このファンシュラウド8の外側が、外気を車両のエンジンルーム内にエアコン用コンデンサ5とラジエータ6を通過させずに車両のエンジンルーム内に取り込む通風部11となる。
【0038】
本発明においては、このファンシュラウド8に開閉自在な第1のシャッタ12を設けると共に、通風部に開閉自在な第2のシャッタ13を設けて構成する。また、これらの第1のシャッタ12と第2のシャッタ13の開閉制御を行うシャッタ開閉制御装置(シャッタ開閉制御手段)15aを設ける。
【0039】
この第1の実施の形態の第1のシャッタ12の構造は、図1〜図4に示すように、傾斜したファンシュラウド8の背面が四方に展開可能に構成され、図3の通路閉鎖状態から、図4の四方に展開した通路開放状態となる。第1のシャッタ12の四方への展開と閉鎖は、テッピングモータなどの電動モータで行うが、その他の、ソレノイドなどの直動機構、油圧シリンダ、空気圧シリンダなどを用いてもよい。
【0040】
第2のシャッタ13は、外気を車両のエンジンルーム内にラジエータ6を通過させずに車両のエンジンルーム内に取り込む通風部に設ける。図2〜図4及び図6〜図12の構成では、第2のシャッタ13は、ファンシュラウド8の上側の通風部に配置しているが、第2のシャッタ13の位置は、上側に限らず、特に限定されず、外気を車両のエンジンルーム内にラジエータ6を通過させずに取り込む通風部に設ける。なお、ラジエータ6に孔を開けたり、2つのコアを並べてファンシュラウド8を共通化したりする場合には、孔や隙間に、この第2のシャッタ13を設ける。例えば、商用車のトラック等の場合には、ラジエータ6の上方と左右に運転席の下にある箱であるキャブ(キャビン)との間に隙間があり、この部分に第2のシャッタ13を設けることができる。
【0041】
この第2のシャッタ13は、回転軸周りに回転するように構成し、この回転をテッピングモータなどの電動モータや、ソレノイドなどの直動機構、油圧シリンダ、空気圧シリンダなどを用いて回転させるように構成する。この第2のシャッタ13を開閉することで、エンジンルームの換気を促進し、冷却ファン7の回転の頻度を減らす。
【0042】
このシャッタ開閉制御装置15aは、エンジン4の運転制御を行うECUと呼ばれるエンジン制御装置15に組み込む。エンジン4の冷却液の検出温度Tcmと、エンジン4の冷却液のエンジン4への流入を調整するサーモスタット9の開閉状態と、冷却ファン7の回転を制御する電子制御ファンクラッチ7a用のオンオフ信号とを用いて、第1のシャッタ12と第2のシャッタ13の開閉制御を行うように構成する。
【0043】
本発明においては、この第1のシャッタ12と第2のシャッタ13との開閉制御を次のように行う。この開閉制御では、図5に示すように、横軸にエンジンの負荷を、縦軸に冷却液の温度をとって、負荷と冷却液の温度との関係を示す。
【0044】
ここでは、縦軸に関しては、エンジン4の運転開始時の冷却液の温度をT1とし、エンジン4の暖機運転が終了したとみなす時の冷却水の温度をT2とする。サーモスタット9がラジエータ6への冷却水通路を開にしてラジエータ6に冷却液を流し始めるときの冷却水の温度(開弁開始温度)をT3とする。また、電子制御ファンクラッチ7aをONにして冷却ファン7を駆動し始めるときの冷却水の温度(駆動開始温度)をT4とする。この各温度T1,T2,T3,T4を用いて、温度T1〜T2を第1温度領域Rt1、温度T2〜T3を第2温度領域Rt2、温度T3〜T4を第3温度領域Rt3、温度T4以上を第4温度領域Rt4とする。なお、この冷却液の温度Tcmと制御に関係する温度T3,T4は、サーモスタット9の設定温度やファン回転開始の温度であるので、車両やエンジンの種類等によって異なる。
【0045】
この冷却液の温度と負荷との関係を示すと、エンジン4が始動してから、暖機が終了して低負荷運転が継続されて間の第1負荷領域Rq1では、冷却液の温度Tcmは温度T3に留まっている。更に、負荷が上昇し第2負荷領域Rq2に入ると、冷却液の温度Tcmは上昇し始める。更に負荷が上昇して第3負荷領域Rq3に入ると、冷却液の温度Tcmは温度T3となり、サーモスタット9がラジエータ6への冷却液の供給を開始するので、走行風により冷却され、冷却液の温度Tcmは安定して、温度T3に留まる。
【0046】
更に、負荷が上昇して、第4負荷領域Rq4に入り、冷却液の温度Tcmが第4温度領域Rt3に入っても、ラジエータ6の冷却液を、走行風の自然通風のみで冷却しているので、冷却液の温度Tcmは上昇する。更に、負荷が上昇して、第5負荷領域Rq5に入り、この冷却液の温度Tcmが上昇して、第4温度領域Rt4に入ると、電子制御ファンクラッチ7aがONにされて、冷却ファン7が駆動されて、強制通風により冷却する。これにより、冷却液の温度Tcmをほぼ温度T4近傍に維持する。
【0047】
第1のシャッタ12と第2のシャッタ13の開閉制御は、図5の右側に示してあるように、第1温度領域Rt1では、第1のシャッタ12と第2のシャッタ13は共に閉とし、第2温度領域Rt2では、第1のシャッタ12と第2のシャッタ13は共に開とする。また、第3温度領域Rt3では、第1のシャッタ12は開とし、第2のシャッタ13は閉とし、第4温度領域Rt4では、第1のシャッタ12と第2のシャッタ13は共に閉とする。
【0048】
この第1のシャッタ12と第2のシャッタ13の開閉制御により、エンジン4の始動から冷却液の温度Tcmの上昇中(第1温度領域Rt1)では、冷却ファン7の駆動を停止すると共に、第1のシャッタ12と第2のシャッタ13は共に閉とし、第1のシャッタ12を閉じて、ラジエータ6を通過する冷却風の自然通風を妨げて冷却液の冷却を回避する。更に、第2のシャッタ13を閉じてラジエータ6を通過しない通風部からのエンジンルーム内への通風による換気を妨げて、エンジンルーム内に配置されたエンジンの冷却を回避する。この自然通風と換気の両方を抑制することによりエンジンの暖機性能を向上する。
【0049】
冷却液の温度Tcmが上昇せず排気損失で安定中(第2温度領域Rt2)は、即ち、エンジン4の暖機運転後から冷却液の温度Tcmが上昇してサーモスタット9がラジエータ6への冷却液通路を開くまでの間は、冷却ファン7の駆動を停止すると共に、第1のシャッタ12を開いてラジエータ6を通過する冷却風の自然通風を発生させると共に、第2のシャッタ13も開いてラジエータ6を通過しない通風部からのエンジンルーム内への通風を発生させてエンジンルーム内の換気も行う。この自然通風と換気の両方によるエンジン4の冷却を行って、冷却ファン7の駆動エネルギーを節約しつつ、冷却液の温度Tcmの上昇を抑制する。
【0050】
冷却液の温度Tcmが更に上昇して、ラジエータ6による冷却液の冷却をしている場合(第3温度領域Rt3)には、冷却ファン7の駆動を停止すると共に、第1のシャッタ12を開いてラジエータ6を通過する冷却風の自然通風を発生させると共に、第2のシャッタ13を閉じて、ラジエータ6の前後の差圧を上昇させて、ラジエータ8を通過する自然通風の通風量を増加して、冷却ファン7の駆動エネルギーを節約しつつ、冷却液の温度Tcmの上昇を抑制する。
【0051】
更に、冷却液の温度Tcmが更に上昇して、ラジエータ6による冷却液の冷却の要求が強い場合(第4温度領域Rt4)には、冷却ファン7の駆動を行うと共に、第1のシャッタ12と第2のシャッタ13を閉じて外気の通路を冷却ファン7の部分に集中させて強制通風を行い、ラジエータ6を通過する多量の冷却風により冷却液の温度Tcmの上昇を抑制する。これにより、エンジン4のオーバーヒートを防止する。
【0052】
次に、第1のシャッタ12の動きとその作用効果、及び、第2のシャッタ13の動きとその作用効果について説明する。
【0053】
第1のシャッタ12は、ラジエータ6を後方から覆って、冷却風を冷却ファン7に導くファンシュラウド8に設けた通路の開閉構造であり、この第1のシャッタ12を、エンジン始動時など暖機が必要な場合等では、従来技術の冷却液の温度制御を用いて冷却ファン7を停止すると共に、第1のシャッタ12を閉じて冷却液の冷却を回避する。
【0054】
また、冷却液の温度Tcmが高くなり、予め設定された温度T2になると、第1のシャッタ12を開いて、サーモスタット9によりラジエータ6に冷却液が供給されるまでの間は、ラジエータ6を通過する自然通風を促進して、エンジンを冷却し、冷却液の温度Tcmが高くなり、予め設定された温度(開弁開始温度)T3になると、冷却液が供給されているラジエータ6を通過する自然通風を促進して、冷却液を冷却する。つまり、冷却液の温度Tcmが予め設定されている温度(駆動開始温度)T4以下の場合では、冷却ファン7を駆動しない状態で第1のシャッタ12を開き、ラジエータ6を通過する自然通風を促進して冷却液の冷却を行う。
【0055】
また、冷却液の温度Tcmが予め設定されている温度(駆動開始温度)T4よりも高くなった場合には、冷却ファン7を駆動した状態で第1のシャッタ12を閉じ、冷却ファン7による冷却風の吸い込みにより、冷却液の冷却を促進する。
【0056】
第2のシャッタ13は、ラジエータ6を通過しない外気の通路である通風部11に設けた通路の開閉構造であり、この第2のシャッタ13を、エンジン始動時など暖機が必要な場合等では、従来技術の冷却液の温度制御を用いて、第2のシャッタ13を閉じてエンジンルーム内の換気を止めてエンジン4の冷却を回避し、暖機性能を向上する。
【0057】
また、冷却液の温度Tcmが高くなり、予め設定された温度T2になると、第2のシャッタ13を開いて、サーモスタット9によりラジエータ6に冷却液が供給されるまでの間は、エンジンルーム内の換気を促進して、エンジンを冷却する。
【0058】
冷却液の温度Tcmが高くなり、予め設定された温度(開弁開始温度)T3になると、第2のシャッタ13を閉じて、エンジンルームの換気を停止、換気用の外気を冷却液が供給されているラジエータ6を通過させるようにして、冷却液の冷却を促進する。この冷却液の冷却の促進は、冷却液の温度Tcmが予め設定されている温度(駆動開始温度)T4以下の場合では、冷却ファン7が駆動されないので自然通風の促進し、駆動開始温度T4よりも高くなった場合には、冷却ファン7が駆動されているので、冷却ファン7による強制通風を促進する。
【0059】
この第1のシャッタ12と第2のシャッタ13の閉から開への制御は、冷却液の温度Tcmが予め設定した温度T2になったか否かで行う。また、冷却液の温度Tcmが高い領域での第1のシャッタ12の開から閉への制御は、冷却ファン7の駆動のオフからオンと同じであるので、電子制御ファンクラッチ7aのオンオフ信号又は電動式の冷却ファンの駆動のオンオフ信号を利用して行うことができ、制御を単純化できる。一方、冷却液の温度Tcmが高い領域での第2のシャッタ13の開から閉への制御は、サーモスタット9のラジエータ6への冷却液の通路の閉から開と同じであるので、これを利用して行うことができ、制御を単純化できる。
【0060】
次に、第2の実施の形態の内燃機関の冷却システムと冷却方法について説明する。この第2の実施の形態では、ファンシュラウド8に設けた第1のシャッタ12の構造が、第1の実施の形態の第1のシャッタ12の構造と異なるだけで、他の構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0061】
この第2の実施の形態のファンシュラウド8は、図6の背面がフラットなタイプにおいて、図7及び図8に示すように、第1のシャッタ12を設ける。この第1のシャッタ12と第2のシャッタ13の開閉の機構は、図9〜図12に示すように、ステッピングモータ16aによって回転駆動する回転軸に設けられたカム16bと、第1のシャッタ12と第2のシャッタ13のそれぞれに設けられたリンク機構とによって構成される。
【0062】
この構成においては、カム16bの回転位置によって、図10に示すように、第1のシャッタ12と第2のシャッタ13を共に閉じ、また、図11に示すように、第1のシャッタ12と第2のシャッタ13を共に開き、図12に示すように、第1のシャッタ12を開くと共に、第2のシャッタ13を閉じる。
【0063】
この第1のシャッタ12と第2のシャッタ13を制御して、第1の実施の形態と同様に、図5の第1の温度領域Rt1の場合は、図13と図14に示すように、両方のシャッタ12,13を閉じ、図5の第2の温度領域Rt2の場合は、図15と図16に示すように、両方のシャッタ12,13を開く。更に、図5の第3の温度領域Rt3の場合は、図17と図18に示すように、第1のシャッタ12を開いて第2のシャッタ13を閉じ、また、図5の第4の温度領域Rt4の場合は、図19と図20に示すように、両方のシャッタ12,13を閉じる。これにより、第1の実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0064】
上記の第1及び第2の実施の形態の内燃機関の冷却システム1及び冷却方法によれば、冷却ファン7の回転を停止している時には、走行風を取り込み易くして、エンジンルーム内の昇温を抑えて熱害を防止することができる。これにより、冷却ファン7を回転する頻度を減少して、冷却ファン7の駆動のために消費するエネルギーを節約することができる。
【0065】
また、第1のシャッタ12と第2のシャッタ13の開閉を、冷却液の温度Tcmと、冷却液のラジエータ6への通路の開閉状態と、冷却ファン7の駆動用のオンオフ信号とを用いて行うので、車両及びエンジン4の状況に的確に対応させた開閉制御を比較的単純な制御で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のエンジン冷却システムの構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の第1のシャッタの構成を示す斜視図である。
【図3】図2の第1のシャッタが閉じた状態を示す側面図である。
【図4】図2の第1のシャッタが開いた状態を示す側面図である。
【図5】冷却液の温度とエンジンの負荷と、第1のシャッタと第2のシャッタの開閉状態を示す図である。
【図6】第1のシャッタが無いファンシュラウドを示す斜視図である。
【図7】第2の実施の形態のエンジン冷却システムにおける第1のシャッタの閉じた状態を示す斜視図である。
【図8】図7の第1のシャッタの開いた状態を示す斜視図である。
【図9】図7の第1のシャッタと第2のシャッタの開閉構造を示すファンシュラウドの背面図である。
【図10】図7の第1のシャッタと第2のシャッタを共に閉じた状態を示すファンシュラウドの側面図である。
【図11】図7の第1のシャッタと第2のシャッタを共に開いた状態を示すファンシュラウドの側面図である。
【図12】図7の第1のシャッタを開いて、第2のシャッタを閉じた状態を示すファンシュラウドの側面図である。
【図13】図5の第1温度領域で、第2の実施の形態の第1のシャッタと第2のシャッタを共に閉じた状態を示す側面図である。
【図14】図5の第1温度領域で、第2の実施の形態の第1のシャッタと第2のシャッタを共に閉じた状態を示す正面図である。
【図15】図5の第2温度領域で、第2の実施の形態の第1のシャッタと第2のシャッタを共に開いた状態を示す側面図である。
【図16】図5の第2温度領域で、第2の実施の形態の第1のシャッタと第2のシャッタを共に開いた状態を示す正面図である。
【図17】図5の第3温度領域で、第2の実施の形態の第1のシャッタを開いて第2のシャッタを閉じた状態を示す側面図である。
【図18】図5の第3温度領域で、第2の実施の形態の第1のシャッタを開いて第2のシャッタを閉じた状態を示す正面図である。
【図19】図5の第4温度領域で、第2の実施の形態の第1のシャッタと第2のシャッタを共に閉じた状態を示す側面図である。
【図20】図5の第4温度領域で、第2の実施の形態の第1のシャッタと第2のシャッタを共に閉じた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 エンジン冷却システム
2 車両
3 開口部
4 エンジン
5 エアコン用コンデンサ(熱交換器)
6 ラジエータ(熱交換器)
6a ラジエータホース
7 冷却ファン
7a 電子制御式ファンクラッチ
8 ファンシュラウド
9 サーモスタット(温度調整手段)
10 ウォーターポンプ
11 通風部
12 第1のシャッタ
13 第2のシャッタ
14 ヒータコア(熱交換器)
15 エンジン制御装置
15a シャッタ開閉制御装置(シャッタ開閉制御手段)
16a ステッピングモータ
16b カム
Rq1 第1負荷領域
Rq2 第2負荷領域
Rq3 第3負荷領域
Rq4 第4負荷領域
Rq5 第5温度領域
Rt1 第1温度領域
Rt2 第2温度領域
Rt3 第3温度領域
Rt4 第4温度領域
T1,T2,T3,T4 冷却水の制御用温度
Tcm 冷却液の検出温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両搭載の内燃機関の冷却液を外気との熱交換により冷却する熱交換器と、外気を車両のエンジンルーム内に前記熱交換器を通過させずに取り込む通風部と、前記熱交換器の後部に配置され、外気を前記冷却ファンに導くファンシュラウドと、このファンシュラウドに囲まれて前記熱交換器を通過した後の外気を吸い込む、電子制御式ファンクラッチを用いた冷却ファン又は電動式の冷却ファンと、この冷却ファンへの内燃機関の回転の伝達を制御するファン回転制御装置とを備えた内燃機関の冷却システムにおいて、
前記ファンシュラウドの部分に開閉自在な第1のシャッタと、前記通風部の部分に開閉自在な第2のシャッタとを設け、更に、これらの第1のシャッタと前記第2のシャッタの開閉制御を行うシャッタ開閉制御手段を設けると共に、
前記シャッタ開閉制御手段を、前記冷却液の温度と、前記冷却液の前記熱交換器への通路を開閉する温度調整手段による前記熱交換器への通路の開閉状態と、前記電子制御ファンクラッチのオンオフ信号又は電動式の冷却ファンの駆動のオンオフ信号とを用いて、前記第1のシャッタと前記第2のシャッタの開閉制御を行うように構成したことを特徴とする内燃機関の冷却システム。
【請求項2】
内燃機関の暖機運転及び低負荷運転では、前記電子制御ファンクラッチ又は電動式の冷却ファンの駆動をオフにして前記冷却ファンの駆動を停止すると共に、前記シャッタ開閉制御手段が前記第1のシャッタと前記第2のシャッタを閉じるように制御するように構成したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の冷却システム。
【請求項3】
前記温度調整手段により前記熱交換器への冷却液通路が閉じている間は、前記電子制御ファンクラッチ又は電動式の冷却ファンの駆動をオフにして前記冷却ファンの駆動を停止すると共に、前記シャッタ開閉制御手段が前記第1のシャッタと前記第2のシャッタを開くように制御するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の冷却システム。
【請求項4】
前記温度調整手段により前記熱交換器への冷却液通路が開いているが、冷却液の温度が予め設定した温度以下の場合には、前記電子制御ファンクラッチ又は電動式の冷却ファンの駆動をオフにして前記冷却ファンの駆動を停止すると共に、前記シャッタ開閉制御手段が前記第1のシャッタを開いて、前記第2のシャッタを閉じるように制御するように構成したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の内燃機関の冷却システム。
【請求項5】
前記温度調整手段により前記熱交換器への冷却液通路が開いており、かつ、前記冷却液の温度が予め設定した温度より高い場合には、前記電子制御ファンクラッチ又は電動式の冷却ファンの駆動をオンにして前記冷却ファンの駆動を行うと共に、前記シャッタ開閉制御手段が前記第1のシャッタと前記第2のシャッタを閉じるように制御するように構成したことを特徴とする請求項1、2、3、4記載の内燃機関の冷却システム。
【請求項6】
車両搭載の内燃機関の冷却液を外気との熱交換により冷却する熱交換器と、外気を車両のエンジンルーム内に前記熱交換器を通過させずに取り込む通風部と、前記熱交換器の後部に配置され、外気を前記冷却ファンに導くファンシュラウドと、このファンシュラウドに囲まれて前記熱交換器を通過した後の外気を吸い込む、電子制御式ファンクラッチを用いた冷却ファン又は電動式の冷却ファンと、この冷却ファンへの内燃機関の回転の伝達を制御するファン回転制御装置とを備えた内燃機関の冷却方法において、
前記ファンシュラウドの部分に開閉自在な第1のシャッタと、前記通風部の部分に開閉自在な第2のシャッタとを設け、更に、これらの第1のシャッタと前記第2のシャッタの開閉制御を行うシャッタ開閉制御手段を設けると共に、
前記シャッタ開閉制御手段を、前記冷却液の温度と、前記冷却液の前記熱交換器への通路を開閉する温度調整手段による前記熱交換器への通路の開閉状態と、前記電子制御ファンクラッチのオンオフ信号又は電動式の冷却ファンの駆動のオンオフ信号とを用いて、前記第1のシャッタと前記第2のシャッタの開閉制御を行うことを特徴とする内燃機関の冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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