説明

内燃機関の弁用のガスケット

【課題】内燃機関の弁用のガスケットを提供する。
【解決手段】軸(B)に関して管状のサポートエレメント(26)と;
弁(12)とサポートエレメント(26)との間に設置されるようになっている弾性変形可能なエレメント(25)と;
を備えているガスケット(18)において、
サポートエレメント(26)が第一部分(42)及び第二部分(41)を備えていて、第一部分(42)は軸(B)に直交して延伸し、そして弁へのガスケット(18)の取り付けを容易にするために、軸(B)に平行なコンポーネントによる作用を受けるようになっていて、第二部分(41)は第一部分(42)を起点として軸(B)に沿って細長くなっていて、そして第一部分(42)に向かって半径寸法が大きくなってゆく少なくとも一つのセグメント(45)を備えていて、弾性変形可能なエレメント(25)の体積を低減するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の弁用のガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドを含んでいる車両用の内燃機関は公知なものであって、ヘッドは複数の燃焼室とそれぞれのシリンダとを画成していて、ヘッドの内部においては燃焼可能なガスと空気との混合体における化学的エネルギを機械的エネルギに変換するエンジンサイクルが行なわれている。さらに、ヘッドが給気ユニットと排気ユニットとを画成していて給気ユニットは燃焼可能なガスと空気との混合体を燃焼室の中へ流入するようになっていて、排気ユニットは燃焼ガスと空気とを燃焼室から排出させるようになっている。
【0003】
給気ユニットが複数の吸気管と複数の給気弁とを備えていて、吸気管は燃焼可能なガス及び燃焼空気をそれぞれの燃焼室供給するようになっていて、吸気弁は各燃焼室への燃焼可能なガスと燃焼空気との流れを制御するために、それぞれのシャッタ区画を介して、かつ所定の規則時間でそれぞれの吸気管に係合している。
【0004】
排気ユニットが複数の管と複数の排気弁とを備えていて、管は燃焼ガス及び燃焼空気をそれぞれの燃焼室から外気に排気するようになっていて、排気弁は各排気管への燃焼ガスと燃焼空気との流れを制御するために、それぞれのシャッタ区画を介して、かつ所定の規則時間でそれぞれの排気管に係合している。
【0005】
詳しくは、吸気/排気弁各々が、一般にガイドエレメントとステムとを備えていて、ガイドエレメントはヘッドに作られたキャビテーの中に取り付けられていて、ステムはガイドエレメントにより画成された貫通シートの中で反対方向に摺動するようになっている。
【0006】
前述のタイプの弁には通常シールガスケットが取り付けられていて、そのシールガスケットは通常エンジン内を循環している潤滑油のためのものであって、吸気/排気ユニットから燃焼室に流れる油の量を制御するようになっている。
【0007】
そのようなガスケットは燃焼室に向かって、動的タイプのシールと静的タイプのシールを画成していて、動的タイプのシールはステムとガイドエレメントとの間のカップリングを潤滑するために必要とされる油の最小流れだけを可能にするものであって、静的タイプのシールは燃焼室への油の第二流路を防止するためのものである。
【0008】
通常ガスケットは、前述の機能を達成するために、ステム及びガイドエレメントとに押しつけられたエラストマー部分と、ステム及びガイドエレメントとに押しつけられたエラストマー部分に取り付けられたサポートエレメントと、を含んでいる。
【0009】
より詳しくは、エラストマー部分の内面の第一小部分が直接ステムと協働していて、ステムとガイドエレメントとの間のカップリングを潤滑するのに必要とされる油の最小流れを可能にしていて(動的シール)、前述の内面の第二小部分は、第一小部分と燃焼室との間に配置されていて、ガイドエレメントと協働していて、燃焼室への潤滑油のリークを防止するようになっている(静的シール)。
【0010】
セクターにおいて、静的シール及び動的シール機能を効果的に達成する必要があり、同時に運転状態におけるエラストマー部分の正しい位置決めのメンテナンスを保証する必要がある。さらに、セクターにおいて、エラストマー部分の体積を必要とし、そして弁へのガスケットの取り付けを容易にする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、前述の必要性を満足する簡単で対コスト効果のある内燃機関の弁用のガスケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は請求項1に規定する内燃機関の弁用のガスケットにより達成されている。
【0013】
本発明の理解を深めるために、これに限定するものではないが好適な実施形態を添付図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明により作られた弁用ガスケットを備えた内燃機関の部分断面図である。
【図2】図2は、図1における弁及びシールの拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、全体として符号1で付番された内燃機関は、燃料に含まれた化学的エネルギを機械的エネルギに変換するものであって、本発明に係わる部分だけが図示されている。
【0016】
より詳しくは、図1において、内燃機関1は軸Aに関して対称的に延在しているヘッド2に限定して図示されている。
【0017】
ヘッド2は燃焼室3(一部を図示)とシリンダ4(一部を図示)とを画成していて、燃焼室3の内部には燃焼可能なガスが燃焼空気の存在により酸化され、可燃ガスに含まれている化学的エネルギを圧力エネルギに変換していて、シリンダ4の軸Aは流体的に燃焼室3に接続されていて前述の圧力エネルギを機械的エネルギに変換するようになっている。
【0018】
さらに、ヘッド2が給気ユニット(図示せず)及び排気ユニット5を収容するようになっていて、その給気ユニットは可燃ガスと燃焼空気との混合体を燃焼室3の中へ流入するようになっていて、その排気ユニット5は燃焼ガス及び空気を燃焼室3から内燃機関1の外部に排出するようになっている。
【0019】
より詳しくは、シリンダ4がライナ6及びピストン7を備えていて、ピストン7は軸Aに沿った往復運動によるライナ6の内部における燃料の圧力の作用によりスライドしていて、そしてエンジン部材(図示せず)に接続され圧力エネルギを機械的エネルギに変換するようになっている。
【0020】
燃焼室3は、端部壁面8により軸方向に区切られていて、軸方向に関して端部壁面8の対向部分においてシリンダ4に向かって開口している。
【0021】
燃焼室3の端部壁面8は、軸Aに関して対称的に配置された一対の円形貫通開口部(その一方だけが符号9で付番され図示されている)を備えている。より詳しくは、図示していない開口部は可燃ガスと燃焼空気との混合体が給気ユニットから燃焼室3の中へ通過することを可能にしていて;開口部9は燃焼ガス及び空気が燃焼室3から排気ユニット5へ通過することを可能にしている。
【0022】
排気ユニット5及び給気ユニットが完全に同一なものであるので、排気ユニット5のみを説明する。
【0023】
より詳しくは、排気ユニット5が排気管11と弁12とを備えていて、排気管11は開口部9から内燃機関1の外部へ向けて延伸しており、弁12は所定の時間規則で開口部9と係合し、燃焼室3から排気管11への燃焼ガスと空気との流れを調節するようになっている。
【0024】
図2に図示する弁12がシート14に収容されていて、そのシートはヘッド2上に作られており通常潤滑油を含んでいる。
【0025】
より詳しくは、シート14は軸Aに対して交差している軸Bに関して対称に延在していて、管11に対して軸方向終点部分15において開口している。
【0026】
さらに詳しくは、弁12が管状ガイドエレメント16と、一つのステム17と、ガスケット18とを備えていて、管状ガイドエレメント16はシート14の終点部分15の内側に差し込まれており、ステム17はガイドエレメント16内部において軸Bに沿って反対方向に摺動的に可動であって、そしてガスケット18はステム17とガイドエレメント16とを同軸に囲んでいて、シート14から燃焼室3への油の流れを防止するようになっている。
【0027】
さらに詳細には、ステム17はガイドエレメント16から反対方向に突出している。さらにステム17が軸方向の対向している両端部に、シャッタ区画20及び区画19を備えていて、シャッタ区画20は流体気密的に開口部9と係合するようになっており、そして区画19は制御機構21(カム及びタペットタイプとして図示されている)を介して駆動力を受けるようになっている。
【0028】
さらに、弁21がばね22(渦巻型として図示されている)を備えていて、そのばね22はお互いに対向している軸端部においてシート14の境界壁面と区画19とに取り付けられていて、かつステム17の往復運動中にステム17に対し弾性復元力を発生するようになっている。
【0029】
図2において、ガスケット18が組立状態で軸Bに一致する軸に関して環状構造となっている。
【0030】
より詳しくは、ガスケット18が環状のエラストマー製エレメント25及びサポートエレメント26を備えていて、サポートエレメント26はエラストマー製エレメント25、ステム17及びガイドエレメント16と同軸に取り付けられエラストマー製エレメント25を軸Bに関して半径方向に押し付けるようになっている。
【0031】
エラストマー製エレメント25は、軸Bに沿って燃焼室3に向かって、第一に動的タイプのシールをそして静的タイプのシールを画成していて、動的タイプのシールはステム17とガイドエレメント16との間のカップリングを潤滑するのに必要とされる油の最小流れを可能にするようになっていて、静的タイプのシールは燃焼室3への油の第二流れを防止するようになっている。
【0032】
より詳しくは、エラストマー製エレメント25がお互いに対向している円盤状端部区画27及び軸方向端部区画28と、内部円周面29と、外部円周面30とを備えていて、内部円周面29は前述のシールを形成するために、一部分がステム19と協働し一部分がガイドエレメント16と協働するようになっており、外部円周面30は内部円周面29をステム17及びガイドエレメント16とに押しつけるためにサポートエレメント26及び環状カラー31に連結するようになっている。
【0033】
組立状態において、区画27は制御機構21に対面し、そしてステム17により横切られていて;組立状態において、区画28は燃焼室3に向かって対面していて、そしてステム17及びガイドエレメント16により横切られている。
【0034】
エラストマー製エレメント25の内部円周面29が最小半径の区画33を備えていて、その区画33は区画27に続いて配置されていて、そしてカラー31によりステム17に対して半径方向に押しつけられており、動的タイプのシールの円周シールラインを画成していて、そしてその区画33はステム17と区画27との間の摺動カップリングにより油の最小流れのリークを可能にしている。
【0035】
エラストマー製エレメント25の内部円周面29がさらにほぼ円筒状の部分32を備えていて、その部分32は区画28に続けて配置されていてサポートエレメント26により流体気密のガイドエレメント16に対して半径方向に押し付けられるようになっていて、従って静的タイプの円筒状シール領域を画成するようになっている。
【0036】
エラストマー製エレメント25の外部円周面30が区画27の近傍における凹部36(その作用については後述する)を備えていて、その凹部36は外部円周面30をカラー36の収容シート34と、区画28に向かって延伸しサポートエレメント26に連結するようになっている細長い部分35とに分割している。
【0037】
利点のあることに、サポートエレメント26が部分42と部分41とを備えていて、部分42は軸Bに直交的に延伸し、そして弁12へのガスケット18の取り付けを容易なものとするべく、軸Bに平行なコンポーネントの作用を受けるようになっていて、部分41は部分42を起点として軸Bに沿って伸長していて、そして部分42に向かって半径が大きくなってゆく区画45を有していて、エラストマー製エレメント25の体積を低減するようになっている。
【0038】
より詳しくは、部分41はエラストマー製エレメント25のセグメント35と協働するようになっていて、セグメント43と、セグメント43より大きな半径寸法のセグメント44とを備えていて、そのセグメント43及び44は部分41の対向している軸方向端部を画成している。
【0039】
セグメント43及び44は円筒状構造であって、円錐状構造であるセグメント45に接続されている。
【0040】
図示例において、セグメント43及び44は軸方向Bにセグメント45より大きく延伸している。
【0041】
さらにセグメント43は軸Bに向かって折り曲げられている自由な軸方向端部46を提供していて、エラストマー製エレメント25を軸方向に保持するようになっている。
【0042】
部分42は円盤形状であって、そしてサポートエレメント26をエラストマー製エレメント25に取り付けるために凹部36の内部に収容された小部分50を備えていて;部分42が小部分51も備えていて、その小部分51は小部分50に対して半径方向に外側にあって、区画28の側においてエラストマー製エレメント25と軸方向に協働するようになっており、そして軸方向に反対側で自由になっていて、組立状態において軸方向Bに沿った作用に適合するようになっている。
【0043】
本発明により作られたガスケット18は以下の利点を有している。
【0044】
詳しくは、ガスケット18には二つの利点があって:セグメント45が部分42に向かって半径寸法を減少しているので、必要とされるエラストマー材料の量がより少なくて、そしてサポートエレメント26がエラストマー製エレメント25に取り付けられる際に、軸方向Bに平行な力を小部分51に作用するが可能であるので、弁12へのガスケット18の組立が容易なものとなっている。
【0045】
さらに、ガスケット18はエラストマー製エレメント25を正確な取り付け位置に入れることを可能にしている。というのは端部46が軸Bに向かって折り曲げられているからである。
【0046】
特許請求範囲を逸脱することなく、説明し、図示したガスケット18を変更し修正できることは明らかである。
【0047】
特に、ガスケット18は全く同様に給気ユニットの吸引弁に使用することができる。
【0048】
さらに、サポートエレメント26の部分42は軸方向セグメント43及び44の一方又は両方から完全に自由であって、従って、後者の場合軸Bに関して完全に傾斜パターンとなる。
【符号の説明】
【0049】
1 内燃機関
2 ヘッド
3 燃焼室
4 シリンダ
12 弁
18 ガスケット
25 弾性変形可能なエレメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(1)の弁(12)用のガスケット(18)であって:
軸(B)に関して管状のサポートエレメント(26)と;
前記弁(12)と前記サポートエレメント(26)との間に設置されるようになっている弾性変形可能なエレメント(25)と;
を備えているガスケット(18)において、
前記サポートエレメント(26)が第一部分(42)及び第二部分(41)を備えていて、前記第一部分(42)は前記軸(B)に直交して延伸し、そして前記弁(12)への前記ガスケット(18)の取り付けを容易にするために、前記軸(B)に平行なコンポーネントによる作用を受けるようになっていて、前記第二部分(41)は前記第一部分(42)を起点として前記軸(B)に沿って伸長していて、そして前記第一部分(42)に向かって半径寸法が大きくなってゆく少なくとも一つのセグメント(45)を備えていて、前記弾性変形可能なエレメント(25)の体積を低減するようになっていることを特徴とする;
ガスケット。
【請求項2】
前記第二部分(41)が、半径寸法が大きくなってゆく前記セグメント45によりお互いに接続され前記軸(B)に平行に延伸している、第一軸端部セグメント(43)と第二軸端部セグメント(44)とを備えていることを特徴とする、請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記サポートエレメント(26)が軸方向端部(46)を備えていて、前記軸方向端部(46)は前記第一部分(42)と対向していて、前記弾性変形可能なエレメント(25)を軸方向に保持するべく前記軸(B)に向かって折り曲げられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記第一部分(42)が第一小部分(50)及び第二小部分(51)を備えていて、前記第一小部分(50)は前記弾性変形可能なエレメント(25)に取り付けられており、前記第二小部分(51)は前記第一小部分(50)に対し半径方向に外側にあって、少なくともその一部分が前記軸(B)方向に自由であって、前記軸(B)に平行な前記コンポーネントにより前記作用を受けるようになっていることを特徴とする、請求項1−3のいずれか一項に記載のガスケット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−211593(P2012−211593A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−156674(P2012−156674)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【分割の表示】特願2006−210200(P2006−210200)の分割
【原出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(506262818)コルコス インドゥストリアレ ソチエタ アコマンディタ センプリチェ ディ エクステルナ イタリア ソチエタ レスポンサビリタ リミテ (2)
【Fターム(参考)】