説明

内燃機関の燃焼効率向上方法及びこれに用いられるパルス発生装置

【課題】蓄電池にパルスを印加することにより内燃機関の低燃費化を可能にする
【解決手段】高周波パルス発生回路20では、昇圧型チョッパーコンバータに内包する高周波パルス発生回路においてスイッチングトランジスタ23がワンチップマイクロコンピュータ21により制御されオンすることでインダクタ24が磁気エネルギーを蓄え、スイッチングトランジスタ23を直ちにオフとすることで磁気エネルギーを高周波高電圧のパルス電圧に変換し、抵抗器27とダイオード26の直列回路を介して適切な電流として蓄電池に供給することにより該磁気エネルギーの一部を電磁気界へ変換し、さらに蓄電池から反射する電磁界を被低燃費化車輌等の内燃機関へ供給することにより低燃費化を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に接続された蓄電池にパルスを印加して内燃機関の燃焼効率の向上を達成する方法及びこれに用いられるパルス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池を放電させると、その電極面にサルフェーション(硫酸鉛)の絶縁性結晶が析出するため、電池容量が次第に低下して再生不能に至る。
【0003】
鉛蓄電池に対する従来の直流パルス印加は、鉛蓄電池の延命を目的としていた。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、電源の正極をトランスの一次側の一端に接続し、他端をスイッチングトランジスタのアノード側に接続、更にスイッチングトランジスタのカソード側を電源の負極に接続した直列回路において、スイッチングトランジスタのゲートへ一定周期で繰り返されるパルスを印加し、該トランスの二次側の一端をダイオードのアノードへ接続し、他端を電源の負極へ接続した回路を有する電源を、鉛蓄電池の正極に電源の正極を、また鉛蓄電池の負極を電源の負極へ接続することにより鉛蓄電池のサルフェーションを分解し、該鉛蓄電池の延命を図ることが開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、電源の正極と負極との間に充電用スイッチングトランジスタと放電用トランジスタとを直列接続し、これらトランジスタ間のノードを鉛蓄電池の正極に接続し、電源の負極を鉛蓄電池の負極に接続し、両トランジスタのゲートへ交互にパルスを供給することにより、直流パルスで充放電を繰り返して、サルフェーションを分解し、使用済み鉛蓄電池を再生することが開示されている。
【0006】
また、下記特許文献3には、エンジンの着火装置および方法で示されているとおり、内燃機関の燃焼室内へ交流電界を印加することにより、燃焼促進がなされることが開示されている。
【0007】
一方、内燃機関においては、点火プラグの特性を向上させたり、筒内への霧状燃料噴射機構を改善したり、筒内燃料濃度を変えたりすることにより、筒内での失火を低減して燃焼効率の向上が出来ることは知られている。
また、失火を低減させればトルクが向上して、アクセルを踏み込んだときのエンジンの応答性は向上することが知られている。
【0008】
失火を低減して燃焼効率を向上させれば燃費特性も良くなり、たとえ数パーセントでも燃費特性が向上すれば、有限である石油資源を効率よく利用できるとともに、大気汚染防止にも寄与でき、また京都議定書に基く温暖化排出ガスを低減でき、好ましい。
【特許文献1】US PAT.5063341
【特許文献2】特開2001−118611
【特許文献3】特開2000−73929
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
内燃機関において、例えばイグニッションコイルの電源として用いられる鉛蓄電池に対して直流パルスを印加することにより、燃焼効率の向上を図ることについては、従来、まったく着目されなかった。
【0010】
本発明は、本発明者の発見に基くものであり、その目的は、例えばイグニッションコイルが接続された蓄電池にパルス電流を印加することにより該内燃機関を含む金属部分へ電界伝播を通してパルスエネルギーを燃焼室内へ送り込むことにより燃焼室内にプラズマを発生させ、燃焼効率を向上させることを可能にする方法及び、これに用いられるパルス電流発生装置を提供することにある。
【0011】
また、例えばイグニッションコイルを持たない内燃機関においては、該内燃機関に接続された蓄電池にパルス電流を印加することにより該内燃機関を含む金属部分へ電界伝播を通してパルスエネルギーを該内燃機関の燃焼室内吸気マニホールドへ送り込むことにより該内燃機関の燃料吸気空気に高エネルギーを与え、燃焼効率を向上させることを可能にする方法及び、これに用いられるパルス電流発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1態様では、出力端子間から切り返し高周波パルスを出力するパルス発生装置において
400Hz以上の繰り返しパルスを発生する繰り返しパルス発生回路と、
抵抗器と整流素子とが直列接続された直列接続回路と、
該繰り返しパルス発生回路から該直列接続回路を介して該出力端子から直流パルスを繰り返し発生させる制御回路とを備え、該抵抗器が、内燃機関で駆動される発電機に蓄電池と該パルス発生装置とを並列接続し該発電機が駆動されている場合に該内燃機関の燃焼効率を向上させることができる所定の範囲内の値に定められている。
【0013】
本発明によるパルス発生装置の第2態様では、第1態様において、該パルス発生回路は昇圧型チョッパーコンバータ回路であり、
該制御回路は、
オン時に該昇圧型チョッパーコンバータ回路のインダクタに電力を磁力線の形で蓄積させ、オフ時に磁力線を電力の形に変換しオン時に加えた電圧よりも高い電圧を発生させるスイッチング素子と、
該スイッチング素子を周期的にオン・オフさせるオン・オフ制御回路とを有する。
【0014】
本発明によるパルス発生装置の第3態様では、第2態様において、該スイッチング素子は、電流路と該電流路を開閉する制御入力端子とを有するトランジスタであり、
該パルス発生回路は、一端が該電流路の一端に結合されたコンデンサと、一端が該電流路の他端に結合され他端が該コンデンサの他端に結合されたインダクタとを有し、
該直列接続回路は、その一端が該電流路他端に結合され、その他端が該パルス発生装置の正極に結合され、該正極端子に対し該整流素子が順方向である。
【0015】
本発明によるパルス発生装置の第4態様では、第3態様において、該コンデンサの容量が1マイクロファラド以上である。
【本発明の効果】
【0016】
前記第1態様の構成によれば、パルス発生回路から抵抗器と整流素子との直列接続回路を介して取り出されるパルスのエネルギーが、該抵抗器の抵抗値を所定範囲内の値とすることにより、該内燃機関の金属表面を電界伝播により伝達されるエネルギーを利用して該内燃機関の燃焼室内へ電界を与え、供給混合気をプラズマ様状態とすることにより燃焼効率を向上させることとなり、低燃費化も達成できるという効果を奏する。換言すれば、この効果が得られるように該抵抗器の抵抗値が定められる。
【0017】
上記第2又は第3態様によれば、スイッチング素子を周期的にオン・オフ制御して昇圧型チョッパーコンバータを作動させれば良いので構成が簡単であるという効果を奏する。
【0018】
上記第4態様の構成によれば、該コンデンサの電気容量は、該昇圧型チョッパーコンバータの構成を成すものであり、該昇圧型チョッパーコンバータの出力を安定化させるために必要な最低限の電気容量以上であれば経済的に見合うサイズで良いので構成が簡単であるという効果を奏する。
【0019】
本発明の他の目的、構成及び効果は以下の説明から明らかになる。
【実施例1】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0021】
図1は、本発明のパルス発生装置20を、内燃機関を用いる自動車等に適用した場合の回路を示す概略ブロック図である。
【0022】
蓄電池10は、その容器内に正電極11と負電極12とがセパレータ13を介して配設され、これらが電解液14内に浸漬されている。蓄電池10の端子間電圧は、例えば12Vである。
【0023】
蓄電池10の正電極11と負電極12との間には、負荷16と、内燃機関で駆動される発電機17と、パルス発生装置20とが並列接続されている。負荷16には少なくとも一般的なガソリンを燃料とする内燃機関においては、点火プラグのイグニッションコイルを含み、自動車としては、これにライトとホーンとラジオとエアコン等が並列接続されたものである。
【0024】
図2は、パルス発生装置20の回路図である。
【0025】
この回路では、ワンチップマイクロコンピュータ21のデータ出力端子214から、高周波パルス発生回路22のスイッチングトランジスタ23のゲートに、図3のTGに示すようなパルスを印加することにより、スイッチングトランジスタ23をオン・オフさせて、高周波パルス発生回路22から急峻な電圧パルス波形Vpを発生させている。
図3のパルス波形Vpは、次のようにして観測されたものである。すなわち、自動車用公称電圧DC12Vの鉛蓄電池の負電極12にパルス発生装置20の負極端子46Mを接続し、該鉛蓄電池の正電極11とパルス発生装置20の正極端子46Pとの間に1ミリΩの無誘導抵抗器を接続し、この抵抗器の端子間電圧をオシロスコープで観測したものである。パルス波形Vpのピーク電圧は、165ミリボルトであった。
【0026】
図2の高周波パルス発生回路22では、インダクタ24に必要に応じてエネルギーを蓄積するために正極端子からダイオード28および抵抗器29をダイオード28の向きが順方向となる直列に接続した回路を通してコンデンサ25の一端とインダクタ24の一端に接続されており、該コンデンサ25に電荷が蓄えられる。抵抗器29はコンデンサ25に電荷を蓄える速度を調節している。またインダクタ24の他端は、スイッチングトランジスタ23のドレインとダイオード28のアノードとの間に抵抗器27とパルス発生装置20の正極端子46Pの方向へ電流が流れる様に接続されたダイオード26が直列に接続された回路を通して接続されている。
【0027】
このような構成の高周波パルス発生回路22は、一方ではそのダイオード26のカソードが過電流保護ヒューズ31と並列に接続されたコンデンサ32を介して正極端子46Pに接続され、スイッチングトランジスタ23のソースが負極端子46Mに接続されている。
【0028】
ダイオード28は、万が一パルス発生装置20の正極端子46Pと負極端子46Mが本来とは逆に接続された場合にコンデンサ25へ逆電圧がかかり破損することを防止するために挿入されており、抵抗器38は、スイッチングトランジスタ23のゲートとソース間に接続されており、パルス発生装置が動作状態でない場合にスイッチング回路214のインピーダンスが高インピーダンスとなることでスイッチングトランジスタ23が静電破損する事を防ぐための保護回路として機能する。
【0029】
ワンチップマイクロコンピュータ21のデータ出力端子214を高レベルにすると、スイッチングトランジスタ23がオンとなり、コンデンサ25と抵抗器28とダイオード28の直列回路をとおしてインダクタ24に負極端子46Mへ電流が流れ、磁気エネルギーの形でインダクタ24にエネルギーが蓄積されて行く。
【0030】
次にワンチップマイクロコンピュータ21のデータ出力端子214を低レベルにすると、スイッチングトランジスタはオフとなり、インダクタ24から負極端子46Mへ流れていた電流が急激に0となるのでインダクタの特性により逆起電圧eが生じ、インダクタ24から抵抗器27、ダイオード26、過電流保護ヒューズ31とこれに並列に接続されたコンデンサ32、及び正極端子46Pを介して蓄電池10の正極板11へ電流が流れる。
【0031】
この逆起電圧eの大きさは、インダクタ24を流れている電流Iの時間微分値に比例する。抵抗器27の値が大きいほど抵抗器29に流れ難くなるので、上記急減時の逆起電圧eが大きい。一方、抵抗器27の値が小さいほど抵抗器27で消費されるエネルギーが大きくなるので、逆起電圧eは小さくなる。この抵抗器27の値は、燃焼効率と低燃費化率を最大の効果をもたらす範囲に調整されなければならない。
【0032】
インダクタ24の磁気エネルギーにより発生した逆起電圧eはパルス的であり、放出されたエネルギーにより発生した電気エネルギーは、抵抗器27により一部が消費され適度な値に調整され、また、ダイオード26の整流作用により負パルスがカットされ、直流パルスとして蓄電池10の正極板11へ充電電流として還元される。
【0033】
上記の充電電流は抵抗器27のインピーダンスを通して行われることとなり、この抵抗器27の値は蓄電池10の内部抵抗に比べて十分大きい値となっているため、蓄電池10へパルス発生装置20より充電電流が流れたとしても蓄電池10の正極板11と負極板12の間の電圧上昇をほとんど招かない。これは一般的なオームの法則により、
R=E/I (Ω)
上式でE(電圧)が極めて0に近いとすると、R(抵抗値)も極めて0に近いことが直ちにわかるので、本パルス発生装置20から充電電流を蓄電池10へ流し込むと、蓄電池のインピーダンスが仮想的に0に極めて近くなったと見なせる。
【0034】
さらに本発明のパルス発生装置20と蓄電池10とは比較的短い距離で直接接続されている。これは直流パルスを効率良く蓄電池10へ注入すると共に、この直流パルスの周波数から求められる電磁波の波長よりも十分に短い距離で接続されていることも意味する。さらに図4のような該内燃機関を搭載する自動車においてもこの直流パルスの周波数から求められる電磁波の波長よりも十分に短いことがわかる。一般的には電磁波の波長λは、次の式で簡単に求められる。
λ=c/f (m)
ここでcは、真空中での光速度をあらわす。
本発明では請求項1及び課題を解決するための手段に記したとおりfの値は400(Hz)以上なので上記の式により波長(λ)は、750(km)以下であると求まる。これは図4の自動車15の寸法のどれよりも遥かに長い。
【0035】
資料1によれば、電磁波の発生は電荷の加速度運動が源であると言っており、本発明のパルス発生装置20から発生する直流パルス電流は、パルス発生装置20から蓄電池10への電子、つまり電荷の移動をともなっており、電磁波の発生要因であることは明らかである。さらに資料1によれば、電磁波の波長に比べて導体が十分に短い場合特に通常定在波アンテナ(ダイポールアンテナ)としての機能を持つ電磁波の波長(λ)の4分の1以下の場合には電磁波の放射はこのアンテナ長(1/4λ)に対する長さの比の2乗に比例して放射エネルギーが小さくなることが示されている。
【0036】
資料2によれば、電磁波として放射できない電磁エネルギーは、電磁波の発生源を一端とした場合他端に進行波として進むものの、対する他端から電磁波の反射が発生し、これは電磁波放射に関して言えば通常なら伝送ロスとして非常に嫌われる性質のものである。しかし一方で、反射波と進行波が混在すると定在波にうねりが生じることも資料1に示されている。このパルス発生装置を搭載した自動車は、図4のとおりパルス発生装置20から発生する電磁波の波長に比べて十分に短いので、資料2に示されたとおり、電圧定在波比VSWRが相当大きくなるため、反射波の電圧が電磁波の発生源である電圧よりも数千倍以上もの高電圧となることがうねり波の中に存在することを示している。
【0037】
しかし資料3によると、定在波アンテナ(ダイポールアンテナ)ではない長さの導体に電磁界を与えると常に一定した位置に腹と節を持った電圧定在波が生じることとなり、内燃機関への電磁界エネルギーを効果的に与えることはできない。これを解決するためにパルス発生装置20の回路図にあるワンチップマイクロコンピュータ21により、常にデータ出力端子214から発生させるスイッチング周波数を変化させて一定した位置に腹と節を持たない電圧定在波を発生させている。
【0038】
一定した位置に腹と節を持たない電圧定在波を発生させる他の手法として、パルス発生装置20または、高周波パルス発生回路22を多数設置し、時間的なずれやオン・オフ時間周期のずれを伴ってスイッチングトランジスタ23を駆動すれば、同様の効果が得られる。それは定在波には一定した位置に腹と節を持つという特徴が資料3に示されているが、時間的ずれはそれを一定にしない効果を持つからである。これは波動の原理から明らかである。
【0039】
上記のスイッチング周波数を変化させて一定した位置に腹と節を持たない電圧定在波を該内燃機関を搭載する自動車15に適用すると、自動車15全体が高電位の電界の中に置かれることとなる。しかし電磁波であるなら同様に高磁界に置かれるはずと思われるが、これは資料1で示される交流ダイポールから発生する近傍界の電磁界であるため、実際には電磁波ではなく、静電界と誘導電磁界となるため、効果としては極めて高い電位をもった静電界が自動車15全体を取り囲むと考えられる。
【0040】
この極めて高い電位をもった静電界があれば十分にプラズマを誘導する原因となりうることは資料4に示されている。極めて高い電位をもった静電界は自動車15の金属部分であればくまなく行き渡っており、いかなる空間やすき間においても発生しているので、該内燃機関の燃料や燃焼用に使用される空気にも電界エネルギーを与えることとなり、これが該内燃機関の燃焼効率を向上させる要因となる。また、点火プラグを持った内燃機関であれば内燃機関に取り付けられている点火プラグに点火スパークを起こすイグニッションコイルを通して高電位のエネルギーが与えられるので、更に高効率的に電界エネルギーによるプラズマ発生をもたらし、それが燃焼効率の向上になることは、特許文献3に示されていることは背景技術の中ですでに述べたとおりである。
【0041】
本発明者は、パルス発生装置20内の高周波パルス発生回路22においてインダクタ24と抵抗器27が該内燃機関の燃焼効率やトルク・馬力特性に大きく影響することを実験により確かめた。具体的には図5で示すシャシダイナモによる自動車の出力性能試験結果のグラフと図6の実走行試験結果により調整し求め、それを数値化することにも成功している。この数値は以下に述べる簡単な式により求めることが可能であると実験的に結論付けた。
(27)=k・VB/Li (Ω)
ここで、Rはパルス発生器20の高周波パルス発生回路22における抵抗器27の値であり、VBはパルス発生器と該内燃機関を含む自動車で使用する蓄電池10の公称電圧であり、Liはパルス発生器20の高周波パルス発生回路22におけるインダクタ24の定格電流値を代入すれば良く、またkの値は実験により黄金比(約1.618)が最も適切であると判断した。この式により求められる値に対して50%の値から200%の値まで効果が顕著に見られ、更にこの値以外においても効果が認められる。この式により求められた値より小さな値を抵抗器27の値としてパルス発生器20を該内燃機関に用いると、低回転におけるトルクアップが顕著に現われるものの高回転においては該内燃機関のノッキングの発生を非常感じる。また、この式により求められた値より大きな値を抵抗器27の値としてパルス発生器20を該内燃機関に用いると、低回転時のトルクアップ感は薄れるが、高回転時の回転に関する摩擦抵抗があたかもまったく無い様な印象を感じる。
【0042】
また、スイッチングトランジスタに与えるワンチップマイクロコンピュータ21のデータ出力端子214のオン・オフ信号を連続的に多数にすると前項のパルス発生器20の高周波パルス発生回路22における抵抗器27の値を大きくしたのと同じ効果が得られることも判明した。この効果は1秒間当たり10個を超えたあたりから変化を見せ、同様に500個を超えたあたりから顕著な変化を見せる。実験では1秒間あたり10万個まで行なってみたが、1秒間あたり5千個を超えてからの該内燃機関の出力特性の変化の割合は、体感上少なくなった感覚であった。電磁界伝播を考えると、このスイッチングトランジスタに与えるワンチップマイクロコンピュータ21のデータ出力端子214のオン・オフ信号を連続的に多数にするには1秒間当たり100万個程度が上限であると考えられる。これより多くなると電波としての放射エネルギーが多くなり、送信機として働いてしまうため電波法令に触れる可能性がある。
【0043】
一方、ワンチップマイクロコンピュータ21にはA/D変換機が内臓され、A/D変換入力端子213にパルス発生装置20の正極端子46Pと負極端子46Mに加わる電圧Vbを抵抗器33と抵抗器34の直列接続で分圧される電圧が入力され、この電圧とワンチップマイクロコンピュータ21に印加される基準電圧源40の電圧を比較し、高周波パルス発生回路22のスイッチングトランジスタ23のゲートへ加えるオン・オフ信号を制御している。これは該内燃機関を搭載する自動車15を運転しているときにのみパルス発生装置20を作動させるための方法の1つである。またここで分圧用で使用される抵抗器33と抵抗器34は、この動作が最適に行われるよう予め設計時に調整された値が用いられている。
【0044】
基準電圧回路40は、Reg41と言われる三端子レギュレータと該三端子レギュレータの動作を安定させるためのノイズ吸収コンデンサ43と同コンデンサ44からなる回路が基本であり、ダイオード42は、ツェナーダイオードといわれるものであり、パルス発生装置20に接続される蓄電池10が発生する起電力Vbや、該内燃機関が作動時に駆動される発電機17で発生する電圧に対しても基準電圧発生回路40の三端子レギュレータ41が確実な動作を行うためと使用可能最大電圧を超えないようにするために設計された値のものが挿入されている。
[資料1]九州東海大学 井手口健 電磁波の放射
URL:http://www2.ktokai−u.ac.jp/tideguti/pdf/emission%20ppt.pdf
[資料2]東京工業大学 広川二郎 伝送線路 URL:
http://www.ocw.titech.ac.jp/index.php?module=General&action=DownLoad&file=2006−7150−20061006−7−8.pdf
[資料3]フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 定常波
URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9A%E5%B8%B8%E6%B3%A2
[資料4]微小空間へ高効率電力注入を実現する回路技術とその応用 研究代表者 石井彰三(東京工業大学 大学院理工学研究科)
URL:http://plasma.kuee.kyoto−u.ac.jp/tokutei429/2004−report/A01−01.pdf
【0045】
図5において、本発明のパルス発生装置20を図1のように取り付け接続した場合と、取り付けなかった場合の自動車の内燃機関の出力変化を調べたものであり、測定はシャシーダイナモと呼ばれる測定装置に被測定自動車の駆動軸を乗せて被測定自動車の内燃機関を運転させて測定を行う、駆動軸出力測定機である。なお、測定時には危険を伴うので自動車整備士資格を持った専門家に被測定自動車の運転を行ってもらった。被測定自動車は、レンタカー会社より借用した自動車であり、多数の中からレンタカー会社の従業員にて準備戴いた車両であるので、公平な測定結果であると考えている。使用した自動車は、トヨタ社製のアリオン、排気量1500ccの車両である。
【0046】
測定の結果はグラフを見ても明らかなとおり、本発明のパルス発生装置20を図1のように取り付け接続した場合の方が出力向上していることが見られる。特に内燃機関の毎分回転数が5200回転以下の場合において軸出力としての馬力値、トルク値共におおよそ20%の向上が見られる。また最高回転数付近で本発明のパルス発生装置20を図1のように取り付け接続しなかった場合に比べて軸出力が上回っていることが見られる。内燃機関の毎分回転数が5200回転を超えてから最大回転数付近の軸出力が均衡しているのは、元々この測定に使用した自動車に搭載されている内燃機関を制御するECUと呼ばれる装置で内燃機関の燃焼特性を決めているコンピュータのプログラムが、本発明のパルス発生装置20が作動した状態に対応し切れないものと考えられる。これは内燃機関の点火プラグの点火時期、燃料と吸入空気の比率を本発明のパルス発生装置20を図1のように取り付け接続した場合に対応できるようにECU装置の燃焼特性を決めているコンピュータのプログラムを修正することで改善されるものと考えられる。
【0047】
図6において、45項と46項と同一の車輌において、本発明のパルス発生装置20を図1のように取り付け接続した場合と、取り付けなかった場合の自動車の内燃機関から排出される各排気ガスの濃度と時間的な変化を調べたものである。なお、装着されているセンサーの都合で一酸化炭素濃度(CO)の濃度測定は出来なかった。写真画像からもわかるとおり、上段のパルス発生装置を装着前の排気ガスの状態を見ると炭化水素濃度が内燃機関運転1分後に上昇しており、二酸化炭素濃度が減少している。これは内燃機関の状態が不完全燃焼状態であることを示しており、特に炭化水素が排出されると各種公害の元凶となることは資料5に示されている。
【0048】
同様にのパルス発生装置を装着後の排気ガスの状態を見ると炭化水素濃度が内燃機関運転1分後に下降しており、二酸化炭素濃度が若干上昇している。これは内燃機関の状態が完全燃焼していることを示しており、公害防止の観点からも大変好ましい。また、排出される二酸化炭素濃度も若干しか増加しておらず、このことは排気ガスからみても該内燃機関の消費する燃料の量も少なくなっていることが伺え、本発明の目的を達成していると言える。
[資料5]フリー百科事典『ウィキペディア(wikipedia)』 排気ガス
URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%92%E6%B0%97%E3%82%AC%E3%82%B9
【0049】
図7において、本発明のパルス発生装置20を図1のように取り付け接続した場合と、取り付けなかった場合の自動車の内燃機関の燃料消費量の変化を日常使用する時間をかけて測定したものである。時間をかけて測定する理由は、日ごとに異なる交通量や運転状況の変化を取り除くものであり、相当の期間をかけて調査した。図6の第1項から第3項まではディーゼルエンジンの大型トラックを用いて測定したものであり、パルス発生装置の概要等一切伝えずブラックボックスとして取り付け接続し測定を行った。図6の第4項は、ガソリンエンジンの普通自動車を、第5項は、ガソリンエンジンの小型自動車を用いた測定結果である。
【0050】
図6の各項を見ても明らかなとおり、すべての項において燃料消費量が減少しており、その省燃費化は低燃費化率項目に記載したとおり、13.5%から18.9%となっている。また、それぞれの測定に用いた自動車は、本発明のパルス発生装置20を図1のように取り付け接続した直後より効果を発揮し、それぞれの自動車の運転手は発進加速時のアクセルの踏み込み量が減り、加速感が向上したと証言しており、これは本発明のパルス発生装置から発生する高電界が内燃機関の筒内燃焼性能を向上させたことによる筒内失火が減少した効果によるものと考えられる。
また、データとしては取得中ではあるが、本発明のパルス発生装置20を図1のように取り付け接続しなかった状態に比べ、取り付け接続すると30%以上もの低燃費化率が見られる車両もある。
【0051】
各種条件の下で、図6のような結果が得られたことから、これは実験に用いたパルス発生装置20は請求項1に記載する請求内容を十分に満たしていると言える。
【0052】
なお、本発明には種々の変形例が含まれる。
【0053】
例えば、本発明の適用範囲は自動車に限定されず、内燃機関で何らかの電池が該内燃機関に接続されているのであれば建設機械、農業機関、船、航空機、ロケットエンジンなどに適用できることは勿論である。また電池の種類に関係なく適用できることも勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のパルス発生装置を内燃機関を用いる自動車等に適用した場合の回路図を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明のパルス発生装置の回路図である。
【図3】本発明のパルス発生装置動作を示す電圧波形図である。
【図4】道路運送法による一般的な自動車の寸法図である。
【図5】本発明のパルス発生装置を内燃機関を用いる自動車等に適用した場合と適用しなかった場合の差異をシャシーダイナモにて測定した結果をグラフ化したものである。
【図6】本発明のパルス発生装置を内燃機関を用いる自動車等に適用した場合と適用しなかった場合の差異を排気ガス検査装置で測定した結果の測定器に表示されている内容を撮影した写真画像である。
【図7】本発明のパルス発生装置を内燃機関を用いる自動車等に適用した場合と適用しなかった場合の低燃費化率の差異を実験調査したデータである。
【符号の説明】
【0055】
10 蓄電池
11 正電極
12 負電極
13 セパレータ
14 電解液
15 自動車の車体
16 負荷
17 発電機
20 パルス発生装置
21 ワンチップマイクロコンピュータ
211 電源電圧入力端子
212 電源電圧入力端子
213 A/D変換電圧入力端子
214 データ出力端子
215 動作状態データ出力端子
22 高周波パルス発生回路
23 スイッチングトランジスタ
24 インダクタ
25、32 コンデンサ
26、28 ダイオード
27、29、33、34、36、38、39 抵抗器
31 過電流保護ヒューズ
35、43、44、45 ノイズ吸収コンデンサ
37 表示用発光ダイオード
40 基準電圧発生回路
41 三端子レギュレータ
46P 正極端子
46M 負極端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子間から繰り返し高周波パルスを出力するパルス発生装置において、400Hz以上の繰り返し周波数を有する昇圧形チョッパーコンバータと抵抗と整流素子とが直列接続された直列接続回路と、該昇圧形チョッパーコンバータ回路から該直列接続回路を介して該出力端子間から直流パルスを繰り返し発生させる制御回路とを備え、該抵抗が内燃機関で駆動される発電機にイグニッションコイルと蓄電池と該パルス発生装置とを並列接続し、該発電機が駆動されている場合に該内燃機関の低燃費化を5%以上達成できる所定範囲内の値に定められていることを特徴とするパルス発生装置。
【請求項2】
該昇圧形チョッパーコンバータ回路は該蓄電池間に制限抵抗を有することと該昇圧形チョッパーコンバータの出力を安定させるための出力安定化コンデンサと該昇圧形チョッパーコンバータをスイッチングするスイッチング素子を周期的にオン・オフさせるオン・オフ制御回路を有することを特徴とする請求項1に記載のパルス発生装置である。
【請求項3】
該スイッチング素子は電流路と該電流路を開閉する制御入力端子等を有するトランジスタであり該昇圧形チョッパーコンバータ回路は一端が該電流路他端に結合されたインダクタ等を有し該制限抵抗回路はその一端が該電流路他端に結合されその他端該パルス発生装置の正極出力端子に結合され該正極出力端子に対し該整流素子が順方向であることを特徴とする請求項2に記載のパルス発生装置。
【請求項4】
該出力安定化コンデンサの容量が10マイクロファラッドであることを特徴とする請求項3に記載のパルス発生装置。
【請求項5】
内燃機関で駆動される発電機にイグニッションコイルと蓄電池とを並列接続し該発電機が駆動されている状態で整流素子と該内燃機関の低燃費化を5%以上達成できる所定範囲内の値に定められている抵抗との直列接続回路を介して該蓄電池に充電パルスを繰り返し供給することを特徴とする内燃機関の低燃費化方法。
【請求項6】
該充電パルスを400Hz以上の繰り返し周波数を有する昇圧形チョッパーコンバータ回路から生成することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の低燃費化方法。
【請求項7】
図2で示す回路図または同様の動作をする該パルス発生装置を単体で、または多数個を並列または直列に接続して使用することができる回路としたパルス発生装置を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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