説明

内燃機関用の点火コイル

【課題】逆バイアスをかけるための磁石をより効果的に使用し且つ構造や生産工程の簡略化を可能とした点火コイルを提供することを目的とする。
【解決手段】内燃機関用の点火コイルにおいて、中心鉄芯14の軸方向端部の少なくとも一方の端部の延長部に第1の磁石22aを備えるとともに、中心鉄芯14の積層面に対して平行または垂直方向の少なくとも一方向であって且つ当該積層面の外端の少なくとも一方に第1の磁石22aとは別の第2の磁石22bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の点火コイルに収容される中心鉄芯に装着される磁石の配置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりケースに1次コイル、2次コイル、中心鉄芯が収容されている部分がプラグホール内に挿入されるタイプの点火コイルには逆バイアスをかけるために中心鉄芯の一端、もしくは両端に磁石を備えているものがいくつか提案されており、さらにより良い磁気効率を目指すための発明も提案されている。代表的な例として特開平11−233356号公報(以下「特許文献1」)が提案されている。当該特許文献1の実施例1として中心鉄芯、2次コイル、1次コイル、外装鉄芯を収容したケースからなる点火コイルの前記中心鉄芯及び外装鉄芯の少なくとも一方に磁石を備え、前記磁石の各磁極は前記中心鉄芯の軸方向に対して垂直の方向に配置されている。前記磁石が設けられていない前記中心鉄芯及び前記外装鉄芯の他方の両端部に磁性体を設けていることが提案されている。また、特許文献1の実施例2として中心鉄芯、2次コイル、1次コイル、外装鉄芯を収容したケースからなる点火コイルの前記中心鉄芯及び外装鉄芯の少なくとも一方に磁石を備え、前記中心鉄芯の外周側であり且つ前記外装鉄芯の内周側に前記両コイルよりも前記中心鉄芯の端部側に位置する磁性体を配置している。前記磁性体は前記磁石が設けられていない前記中心鉄芯及び前記外装鉄芯の他方側に突出するようにして前記両磁石の内側近傍に設けられていることが提案されている。
【0003】
また別の例として、特開2001―110656号公報(以下「特許文献2」)では中心鉄芯、2次コイル、1次コイル、外装鉄芯を収容したケースからなる点火コイルの前記中心鉄芯の少なくとも一方の端部に磁石を備え、前記外装鉄芯の少なくとも一方の端部に磁石を備えられている。前記外装鉄芯に装着される前記磁石は環状でひと続きであり、シリコンやフッ素系のゴム材などの緩衝材で覆われているものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−233356号公報
【特許文献2】特開2001−110656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1の点火コイルでは、実施例1及び実施例2ともに外装鉄芯の少なくとも一方の端部に磁石を備え、尚且つ当該磁石は前記外装鉄芯の内側で中心鉄芯の軸方向へ備えられるため、プラグホール内に中心鉄芯、2次コイル、1次コイル、外装鉄芯を収容するタイプの点火コイルではケース内のスペースに余裕が無いので構造や製造工程が複雑になる。
【0006】
また、特許文献2の点火コイルでは、中心鉄芯及び外装鉄芯に備えられる磁石は軸方向端部の延長部に装着されるため、磁束を誘導し効率よく磁力線を結ぶためとしては理想的の配置にはなっていない。本発明は上記課題に鑑みなされたもので、逆バイアスをかけるための磁石をより効果的に使用し且つ構造や生産工程の簡略化を可能とした点火コイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。すなわち、請求項1の発明においては、円筒状のケースに外装鉄芯と1次コイルと2次コイルと中心鉄芯を収容し、当該ケースの開口部にモールド樹脂を充填し、前記中心鉄芯は幅の異なる複数の種類の薄板を積層し略円周形状を保つ棒状にした点火コイルにおいて、前記中心鉄芯の軸方向端部の少なくとも一方の端部の延長部に第1の磁石を備えるとともに、前記中心鉄芯の積層面に対して平行または垂直方向の少なくとも一方向であって且つ当該積層面の外端の少なくとも一方に第1の磁石とは別の第2の磁石を備えたことを特徴とする点火コイルとする。 上記構成においては、前記第2の磁石の外側にヨークコアを配置してもよいし、前記ヨークコアはフェライト等で形成してもよい。
【0008】
また別の発明としては、円筒状のケースに外装鉄芯と1次コイルと2次コイルと中心鉄芯を収容し、当該ケースの開口部にモールド樹脂を充填し、前記中心鉄芯は幅の異なる複数の種類の薄板を積層し略円周形状を保つ棒状にした点火コイルにおいて、前記中心鉄芯の軸方向端部の少なくとも一方の端部の延長部に第1の磁石を備えるとともに、前記中心鉄芯は円周上内側の軸方向長さをL1寸法の薄板と、当該L1寸法から少なくとも一方の端部に装着される第2の磁石の軸方向長さのa寸法を引いた円周上外側のL2寸法の薄板から構成されており、前記中心鉄芯に第2の磁石を埋め込んで外形形状を軸方向中心部分と端部の径寸法を一定とし略円周形状を保っていることを特徴とする点火コイルとしてもよい。
【0009】
さらに別の発明としては、円筒状のケースに外装鉄芯と1次コイルと2次コイルと中心鉄芯を収容し、当該ケースの開口部にモールド樹脂を充填し、前記中心鉄芯は幅の異なる複数の種類の薄板を積層し略円周形状を保つ棒状にした点火コイルにおいて、前記中心鉄芯の端部を覆うようにした形状のラバーマグネットを装着したことを特徴とする点火コイルとしてもよい。
【0010】
また閉磁路を形成している鉄芯については次のような構成としてもよい。すなわち、ケースに1次コイルと2次コイルと鉄芯アッセンの少なくとも一部を収容し、前記鉄芯アッセンは薄板を積層し棒状にしたもので構成されている閉磁路型の点火コイルにおいて、前記鉄芯アッセンの外周鉄芯の少なくとも1箇所には中心鉄芯の端部を挿入するための中心鉄芯挿入部が形成されており、前記中心鉄芯の少なくとも一端部の積層面に対して平行または垂直方向の少なくとも一方向であって且つ当該積層面と前記外周鉄芯との間に磁石を介在させたこと点火コイルとしてもよい。
【0011】
また、前記鉄芯アッセンはコの字型に形成された薄板を積層して構成した外周鉄芯と、 前記外周鉄芯の少なくとも一方の端部の延長部に磁石を備えるとともに、平板状の薄板を積層して構成された中心鉄芯の少なくとも一方の端部の積層面に対して垂直方向の少なくとも一方の端部と接続してもよい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成通り、中心鉄芯の軸方向端部の少なくとも一方の端部の延長部に第1の磁石を備えるとともに、前記中心鉄芯の積層面に対して平行または垂直方向の少なくとも一方向であって且つ当該積層面の外端の少なくとも一方に第1の磁石とは別の第2の磁石を備えたことで逆バイアスをかける構造ができる。さらに、第2の磁石の外側にヨークコアを配置することで磁束を誘導し効率よく磁力線を結ぶこともできることで点火コイルの性能向上且つ構造や生産工程の簡略化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例とする点火コイルの側面断面図を示す。
【図2】本発明の第1の実施例とする中心鉄芯の側面断面図及びA-A断面図を示す。
【図3】本発明の第2の実施例とする中心鉄芯の側面断面図及びB-B断面図を示す。
【図4】図3の中心鉄芯の斜視図を示す。
【図5】図3の中心鉄芯の薄板の寸法図を示す。
【図6】本発明の第3の実施例とする中心鉄芯の側面断面図及びC-C断面図を示す。
【図7】本発明の第4の実施例とする中心鉄芯の側面断面図及びD-D断面図を示す。
【図8】従来の中心鉄芯の側面断面図及びE-E断面図を示す。
【図9】本発明の第5の実施例とする閉磁路型点火コイルの鉄芯概要上面図を(a)図、(a)図の矢印B方向から見た正面図を(b)図、点線Aの上面から見た部分断面図を(c)図に示す。
【図10】本発明の第6の実施例とする鉄芯アッセンの上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の第1の実施例による本発明の第1の実施例とする点火コイルの側面断面図を図1に示す。本発明の点火コイルは、図示しないエンジン上部に形成されたプラグホール内に収容され、この高圧出力側は点火プラグに接続され、高電圧を点火プラグへ供給している。
【0016】
図1において、点火コイルの外形を形成しているケース18はプラグホールに挿入される部分を円筒形状とし、プラグホール外に突出している部分は前記円筒形状の断面積よりも広い形状で一体樹脂成形で形成されている。前記ケース18の円筒形状部分には2次ボビンの円筒空間に配置されるため前記円筒空間に沿うように略円筒形状に形成するために幅の異なる複数の種類の珪素鋼板等を積層し略円周形状を保つ棒状の中心鉄芯14と、当該中心鉄芯の外側には2次ボビンの外周に2次巻線を1万ターン前後巻き回した2次コイル12と、当該2次コイル12の外側には1次ボビンの外周に1次巻線を200ターン前後巻き回した1次コイル10と、当該1次コイルの外側には筒状の外装鉄芯16を収容している。
【0017】
また、前記ケース18の開口部には点火コイルの点火動作を制御するイグナイタが配置されると共に、1次電源の供給と当該イグナイタに制御信号を入力する1次端子を備えており、前記円筒部分と突出空間には点火コイルの電気的絶縁と各部材の物理的固定を実現するために熱硬化性のモールド樹脂20が充填されている。
【0018】
次に本発明の第1の実施例とする中心鉄芯の側面断面図及びA-A断面図を示す図2に基づき説明する。図1と図2において本実施例では、前記中心鉄芯14は2次ボビンの円筒空間に配置されるため前記円筒空間に沿うように略円筒形状に形成するために幅の異なる珪素鋼板等を30枚程度積層し形成されている。また図2に示すように、前記中心鉄芯14の軸方向端部の両端部の延長部に上記1次コイル10により誘起される磁界の向きと逆向きの極性を有する円柱形状のネオジム磁石(以下「第1の磁石22a」という)を備えている。前記中心鉄芯14の端面の全面が接触するように配置されている。また前記中心鉄芯14の積層面に対して平行及び垂直方向の両方向であって且つ当該積層面の外端の両方に前記第1の磁石22aとは別のネオジム磁石(以下「第2の磁石22b」という)を備えている。さらに前記第1の磁石22aと前記第2の磁石22bを備えた前記中心鉄芯14を軸方向に垂直面に対してモールド樹脂のクラックを効果的に抑制するための絶縁テープを巻き回して前期第1の磁石22aと前記第2の磁石22bを固定している。さらに図1に示すように第1の磁石22a及び第2の磁石22bを備え絶縁テープを巻いた前記中心鉄芯14は前記2次ボビンの円筒空間に配置される際、前記中心鉄芯14に備えられる第2の磁石22bの突出部と前記2次ボビンの円筒空間の側面に1ミリ弱の隙間を設けてモールド樹脂を充填した際には前記中心鉄芯14の絶縁を保つように構成されている。
【0019】
なお上記実施例1の変形例として、前記中心鉄芯14に積層される珪素鋼板の枚数は要求性能に応じて適宜変更可能である。また前記珪素鋼板の代わりに鉄を用いてもよい。また前記中心鉄芯14の軸方向端部のどちらか一方向の端部の延長部に前記第1の磁石22bを備えてもよい。また前記中心鉄芯14の積層面に対して平行または垂直方向のどちらか一方向であって且つ当該積層面の外端の両方向に前記第2の磁石22bを備えてもよい。さらに前記中心鉄芯14の積層面に対して平行及び垂直方向の両方向であって且つ当該積層面の外端のどちらか一方向に前記第2の磁石22bを備えてもよい。さらに前記中心鉄芯に備えられるネオジム磁石の代わりにアルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石を用いてもよい。
【実施例2】
【0020】
次に、第2の実施例を第2の実施例とする中心鉄芯の側面断面図及びB-B断面図を図3、当該図3の中心鉄芯の斜視図を図4、当該図3の中心鉄芯の薄板の寸法図を図5に基づき説明する。当該第2の実施例においては前記第1の実施例で説明した中心鉄芯14の積層面に対して平行または垂直方向の少なくとも一方向であって且つ当該積層面の外端の少なくとも一方に備えた第2の磁石22bを中心鉄芯14に埋め込んでいる点を除いた他の構造は第1の実施例と同一であるため説明は省略する。
【0021】
図3と図4と図5において本実施例では中心鉄芯14は2次ボビンの円筒空間に配置されるため前記円筒空間に沿うように略円筒形状に形成するために幅の異なる珪素鋼板等を30枚程度積層し形成されている。図3に示すように、前記中心鉄芯14の軸方向端部の両端部の延長部に逆バイアスをかけるための円柱形状のネオジム磁石(以下「第1の磁石22a」という)を備える。図4と図5に示すように、前記中心鉄芯14は円周上内側の軸方向長さをL1寸法の薄板と、当該L1寸法から両端部に装着される第2の磁石22bの軸方向長さのa寸法を引いた円周上外側のL2寸法の薄板から構成されており、前記中心鉄芯14の両端に前記第1の磁石22aとは別のネオジム磁石(以下「第2の磁石22b」という)を埋め込んで外形形状を軸方向中心部分と端部の径寸法を一定とし略円周形状を保っている。さらに図4に示すように前記第1の磁石22aと前記第2の磁石22bを備えた前記中心鉄芯14を軸方向に垂直面に対してモールド樹脂のクラックを効果的に抑制するための絶縁テープを巻き回して前記第1の磁石22aと前記第2の磁石22bを固定している。さらに第1の磁石22a及び第2の磁石22bを備え絶縁テープを巻いた前記中心鉄芯14は前記2次ボビンの円筒空間に配置される際、前記中心鉄芯14の側面と前記2次ボビンの円筒空間の側面に1ミリ弱の隙間を設けてモールド樹脂を充填した際には前記中心鉄芯14の絶縁を保つように構成されている。
【0022】
なお上記実施例2の変形例として、前記中心鉄芯14に積層される珪素鋼板の枚数は要求性能に応じて適宜変更可能である。また前記珪素鋼板の代わりに鉄を用いてもよい。また前記中心鉄芯14の軸方向端部のどちらか一方向の端部の延長部に前記第1の磁石22bを備えてもよい。さらに前記中心鉄芯14は円周上内側の軸方向長さをL1寸法の薄板と、当該L1寸法からどちらか一方の端部に装着される第2の磁石22bの軸方向長さのa寸法を引いた円周上外側のL2寸法の薄板から構成されており、前記中心鉄芯14のどちらか一方の端子に第2の磁石22bを埋め込んで外形形状を軸方向中心部分と端部の径寸法を一定とし略円周形状を保ってもよい。さらに前記中心鉄芯14の積層面に対して平行または垂直方向のどちらか一方向であって且つ当該積層面の外端のどちらか一方向に前記第2の磁石22bを備えてもよい。さらに前記中心鉄芯に備えられるネオジム磁石の代わりにアルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石を用いてもよい。
【実施例3】
【0023】
次に、第3の実施例を第3の実施例とする中心鉄芯の側面断面図及びC-C断面図を図6に基づき説明する。当該第3の実施例においては第1の実施例で説明した中心鉄芯14の積層面に対して平行または垂直方向の少なくとも一方向であって且つ当該積層面の外端の少なくとも一方に備えた第2の磁石22bの外側にヨークコアを配置している点を除いた他の構造は第1の実施例と同一であるため説明は省略する。
【0024】
図6において本実施例では中心鉄芯14は2次ボビンの円筒空間に配置されるため前記円筒空間に沿うように略円筒形状に形成するために幅の異なる珪素鋼板等を30枚程度積層し形成されている。前記中心鉄芯14の軸方向端部の両端部の延長部に逆バイアスをかけるための円柱形状のネオジム磁石(以下「第1の磁石22a」という)を備える。前記第1の磁石22aは前記中心鉄芯14の端面の全面が接触するように配置されている。また、前記中心鉄芯14の積層面に対して平行及び垂直方向の両方向であって且つ当該積層面の外端の両方に前記第1の磁石22aとは別のネオジム磁石(以下「第2の磁石22b」という)を備えている。また、当該第2の磁石22bの外側に磁束を誘導し効率よく磁力線を結ぶためのフェライトで形成されたヨークコア26を備えている。当該ヨークコア26は前記第2の磁石22bの外側をさらに前記第1の磁石22aと前記第2の磁石22bを備えた前記中心鉄芯14を軸方向に垂直面に対してモールド樹脂のクラックを効果的に抑制するための絶縁テープを巻き回して前記第1の磁石22aと前記第2の磁石22bと前記ヨークコア26を固定している。
【0025】
なお上記実施例3の変形例として、前記中心鉄芯14に積層される珪素鋼板の枚数は要求性能に応じて適宜変更可能である。また前記珪素鋼板の代わりに鉄を用いてもよい。また前記中心鉄芯14の軸方向端部のどちらか一方向の端部の延長部に前記第1の磁石22bを備えてもよい。また前記中心鉄芯14の積層面に対して平行または垂直方向のどちらか一方向であって且つ当該積層面の外端の両方向に前記第2の磁石22bを備えてもよい。さらに前記中心鉄芯14の積層面に対して平行及び垂直方向の両方向であって且つ当該積層面の外端のどちらか一方向に前記第2の磁石22bを備えてもよい。さらに前記中心鉄芯に備えられるネオジム磁石の代わりにアルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石を用いてもよい。
【実施例4】
【0026】
次に、第4の実施例を第4の実施例とする中心鉄芯の側面断面図及びD-D断面図を図7に基づき説明する。当該第4の実施例においては第1の実施例で説明した中心鉄芯14の軸方向端部の少なくとも一方の端部の延長部に上記1次コイル10により誘起される磁界の向きと逆向きの極性を有する円柱形状の第1の磁石22a及び前記中心鉄芯14の積層面に対して平行または垂直方向の少なくとも一方向であって且つ当該積層面の外端の少なくとも一方に第2の磁石22bを前記中心鉄芯14をラバーマグネットで覆う点を除いた他の構造は第1の実施例と同一であるため説明は省略する。
【0027】
図7において本実施例では中心鉄芯14は2次ボビンの円筒空間に配置されるため前記円筒空間に沿うように略円筒形状に形成するために幅の異なる珪素鋼板等を30枚程度積層し形成されている。図7に示すように、前記中心鉄芯14の軸方向端部の両端部に前記中心鉄芯の端部を覆う形状をしたゴムに磁石の粉末を混ぜて形成した逆バイアスをかけるためのラバーマグネット28を装着した。さらにラバーマグネット28を備えた前記中心鉄芯14を軸方向に垂直面に対してモールド樹脂のクラックを効果的に抑制するための絶縁テープを巻き回してラバーマグネット28を固定している。
【0028】
なお上記実施例4の変形例として、前記中心鉄芯14に積層される珪素鋼板の枚数は要求性能に応じて適宜変更可能である。また前記珪素鋼板の代わりに鉄を用いてもよい。さらに前記中心鉄芯14の軸方向端部のどちらか一方の端部に前記中心鉄芯の端部を覆う形状をしたゴムに磁石の粉末を混ぜて形成した逆バイアスをかけるためのラバーマグネット28を装着してもよい。
【実施例5】
【0029】
上記実施例1乃至実施例4では中心鉄芯と外装鉄芯とが離れている開示路型鉄芯の構造について述べたが、他の例として閉磁路型の点火コイルに適用してもよい。以下に本発明の構成を閉磁路型点火コイルに用いた例を図9を参照して述べる。第5の実施例を図9に示す。図9において、(a)図は閉磁路型点火コイルの鉄芯概要上面図を示し、(b)図は前記(a)図の矢印B方向から見た正面図、(c)図は点線Aの上面から見た部分断面図を示す。
【0030】
図9の(a)において本実施例では閉磁路型点火コイルの鉄芯アッセン30は珪素鋼板等を30枚程積層し棒状に形成し口の字に繋ぎ合わせた外周鉄芯32と、珪素鋼板を30枚程積層し棒状に形成した中心鉄芯34の端部を前記外周鉄芯32に挿入して日の字型に構成されている。また図9の(b)及び(c)において前記外周鉄芯32には前記中心鉄芯34の端部を挿入するために外周側の鉄芯の積層面の両外側から2枚を残し、前記中心鉄芯34を挿入する中心鉄芯挿入部が形成されている。さらに前記中心鉄芯34の積層面の向きは前記外周鉄芯32の積層面と平行の向きに挿入している。さらに前記中心鉄芯34の両端部の積層面に対して平行且つ垂直方向であって且つ当該積層面と前記外周鉄芯32との接触部にネオジム磁石22を挟み込ませるように備えている。
【0031】
なお上記実施例5の変形例として、前記外周鉄芯32及び中心鉄芯34に積層される珪素鋼板の枚数は要求性能に応じて適宜変更可能である。また前記珪素鋼板の代わりに鉄を用いてもよい。また前記外周鉄芯32には前記中心鉄芯34の端部を挿入するために外周鉄芯32の積層面の両外側に残す枚数は設計事項により他の任意の枚数に変更してもよい。また前記中心鉄芯34の積層面の向きは前記外周鉄芯32の積層面と垂直の向きに挿入してもよい。さらに前記鉄芯アッセン30に備えられるネオジム磁石22の代わりにアルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石を用いてもよい。
【実施例6】
【0032】
次に、第6の実施例を第6の実施例とする鉄芯アッセンの上面図を図10に基づき説明する。図10において本実施例では閉磁路型点火コイルの鉄芯アッセン30はコの字型に形成された珪素鋼板を30枚程積層した外周鉄芯32を2個と平板状の薄板を30枚程積層し棒状に形成した中心鉄芯34で構成されている。また前記外周鉄芯32の両端部の延長部にネオジム磁石22を備え、前記中心鉄芯34の両端部の積層面に対して垂直方向の両端部に挟み込むように接続し日の字型に構成されている。
【0033】
なお上記実施例6の変形例として、前記外周鉄芯32及び中心鉄芯32に積層される珪素鋼板の枚数は要求性能に応じて適宜変更可能である。また前記珪素鋼板の代わりに鉄を用いてもよい。また前記外周鉄芯32の一方の端部の延長部にネオジム磁石22を備え、前記中心鉄芯34の一方の端部の積層面に対して垂直方向の両端部に挟み込むように接続し日の字型に構成してもよい。さらに前記鉄芯アッセン30に備えられるネオジム磁石22の代わりにアルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石を用いてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10:1次コイル
12:2次コイル
14:中心鉄芯
16:外装鉄芯
18:ケース
20:樹脂
22:磁石
22a:第1の磁石
22b:第2の磁石
24:薄板
24a:円周上内側の薄板
24b:円周上外側の薄板
26:ヨークコア
28:ラバーマグネット
30:鉄心アッセン
32:外周鉄芯
34:中心鉄芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のケースに外装鉄芯と1次コイルと2次コイルと中心鉄芯を収容し、当該ケースの開口部にモールド樹脂を充填し、
前記中心鉄芯は幅の異なる複数の種類の薄板を積層し略円周形状を保つ棒状にした点火コイルにおいて、
前記中心鉄芯の軸方向端部の少なくとも一方の端部の延長部に第1の磁石を備えるとともに、
前記中心鉄芯の積層面に対して平行または垂直方向の少なくとも一方向であって且つ当該積層面の外端の少なくとも一方に第1の磁石とは別の第2の磁石を備えたことを特徴とする点火コイル。
【請求項2】
円筒状のケースに外装鉄芯と1次コイルと2次コイルと中心鉄芯を収容し、当該ケースの開口部にモールド樹脂を充填し、
前記中心鉄芯は幅の異なる複数の種類の薄板を積層し略円周形状を保つ棒状にした点火コイルにおいて、
前記中心鉄芯の軸方向端部の少なくとも一方の端部の延長部に第1の磁石を備えるとともに、
前記中心鉄芯は円周上内側の軸方向長さをL1寸法の薄板と、当該L1寸法から少なくとも一方の端部に装着される第2の磁石の軸方向長さのa寸法を引いた円周上外側のL2寸法の薄板から構成されており、
前記中心鉄芯に第2の磁石を埋め込んで外形形状を軸方向中心部分と端部の径寸法を一定とし略円周形状を保っていることを特徴とする点火コイル。
【請求項3】
請求項1に記載の点火コイルにおいて、前記第2の磁石の外側にヨークコアを配置したことを特徴とする点火コイル。
【請求項4】
請求項3の点火コイルにおいて、前記ヨークコアはフェライト等で形成されたことを特徴とする点火コイル。
【請求項5】
円筒状のケースに外装鉄芯と1次コイルと2次コイルと中心鉄芯を収容し、当該ケースの開口部にモールド樹脂を充填し、
前記中心鉄芯は幅の異なる複数の種類の薄板を積層し略円周形状を保つ棒状にした点火コイルにおいて、
前記中心鉄芯の端部を覆うようにした形状のラバーマグネットを装着したことを特徴とする点火コイル。
【請求項6】
ケースに1次コイルと2次コイルと鉄芯アッセンの少なくとも一部を収容し、
前記鉄芯アッセンは薄板を積層し棒状にしたもので構成されている閉磁路型の点火コイルにおいて、
前記鉄芯アッセンの外周鉄芯の少なくとも1箇所には中心鉄芯の端部を挿入するための中心鉄芯挿入部が形成されており、
前記中心鉄芯の少なくとも一端部の積層面に対して平行または垂直方向の少なくとも一方向であって且つ当該積層面と前記外周鉄芯との間に磁石を介在させたことを特徴とする点火コイル。
【請求項7】
ケースに1次コイルと2次コイルと鉄芯アッセンの少なくとも一部を収容した閉磁路型の点火コイルにおいて、
前記鉄芯アッセンはコの字型に形成された薄板を積層して構成した外周鉄芯と、
前記外周鉄芯の少なくとも一方の端部の延長部に磁石を備えるとともに、
平板状の薄板を積層して構成された中心鉄芯の少なくとも一方の端部の積層面に対して垂直方向の少なくとも一方の端部と接続していることを特徴とする点火コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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