説明

内燃機関用点火コイル

【課題】内燃機関用点火コイルのコネクタ部の成型法を見直し、成型効率および品質を向上する。
【解決手段】内燃機関用点火コイル1Aの絶縁ケース11におけるコネクタ部12内側の端子収容部12aを、端子収容部分からコネクタ部12内側底面へかけて傾斜状に肉盗みするようなインサート成型を行い、端子収容部12aの周囲に奥行き方向に凹んだ被呼込み部12bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車のエンジン等の点火プラグへ高電圧を供給する内燃機関用点火コイルに関し、インサート成型の効率向上および品質向上を可能にする内燃機関用点火コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のエンジン等の点火プラグへ高電圧を供給する内燃機関用点火コイルについては、下記特許文献1に提案のものを含め、いくつかの構成のものが知られている。
【0003】
図5および図6は、それぞれ従来の内燃機関用点火コイルの一例を説明する概略縦断面図であり、内燃機関用点火コイル10A、10Bでは、熱可塑性樹脂製の絶縁ケース11に鉄心−コイル組立体2が収容され、この鉄心−コイル組立体2の構成部品間を絶縁しながら固定する絶縁樹脂としてのエポキシ樹脂24が注入されるとともに、絶縁ケース11のコネクタ部12内側の端子収容部12aに、外部のバッテリ等の電源やコントロールユニット等と一端3aにて電気的に接続する端子としての低圧端子3がインサート成型により収容され、低圧端子3の他端3bが、鉄心−コイル組立体2とともに絶縁ケース11に収容されるパワースイッチ25と電気的に接続されている。また、絶縁ケース2の下部の高圧タワー部13には、エンジンのプラグに高電圧を供給する高圧端子4が取り付けられている。
なお、鉄心−コイル組立体2は、一次コイル21と、この一次コイル21と同心状に巻回された二次コイル22と、一次コイル21内を挿通することにより一次コイル21および二次コイル22との間で磁気的に結合する鉄心23とで構成されている。また、二次コイル22と高圧端子4とは、高圧接続ピン26を介して電気的に接続されている。
【0004】
また、従来の内燃機関用点火コイルは、図5に示すような、絶縁ケース11のコネクタ部12の角度が取り付け方向に対し垂直(すなわち、水平方向)であるもの、図6に示すような、絶縁ケース11のコネクタ部12の角度が取り付け方向に対し傾斜しているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3631707号公報
【0006】
ここで、従来の内燃機関用点火コイル10A、10Bは、上述の通り、絶縁ケース11のコネクタ部12の端子収容部12aに低圧端子3がインサート成型されて構成されている。具体的には、絶縁ケース11の内部を形成するための成型金型の所定の位置に低圧端子3の他端3bを挿入するとともに、低圧端子3の一端3aを、図5および図6に示すような、コネクタ部12を成型するためのコネクタ部内側用金型Aで迎えに行って被挿入部A1の所定の位置まで挿入し、その後、インサート成型して構成されるものである。
しかし、このようなインサート成型時において、低圧端子3の多くのものが一箇所以上の屈曲部を有するために、迎えに行ったコネクタ部内側用金型Aの金型壁に低圧端子3の一端3aが衝突してしまい、低圧端子3が変形するという問題がしばしば確認されている。このため、低圧端子3がコネクタ部12の内側から所望の長さまで突出していない内燃機関用点火コイルや、低圧端子3が完全に押し潰されている内燃機関用点火コイル等が製造されるという問題がある。さらに、このような低圧端子3の一端3aの衝突によりコネクタ部内側用金型Aが破損する場合もある等の問題がある。
【0007】
また、従来の内燃機関用点火コイル10A、10Bでは、絶縁ケース11から突出しているコネクタ部12の全長に比べ、コネクタ部12の内側の深さが浅いため、絶縁ケース11の内壁からコネクタ部12の内側底面までの肉厚が厚くなる一方、絶縁ケース11の成型に用いる熱可塑性樹脂が、均一な肉厚であるほど成型収縮によっても寸法安定性が優れる性質を有するため、コネクタ部12の内側底面の肉厚が影響して、成型後の絶縁ケース11の寸法安定性が害されるという問題がある。このほか、コネクタ部12の内側底面の肉厚は、他の箇所と均一になればよく、余分な熱可塑性樹脂が使われているという問題もあった。
【0008】
なお、図6に示すような、例えば、コネクタ部12が45度の方向に向いた内燃機関用点火コイル10Bでは、図5のものに比べ、コネクタ部12の全長が長くなり、低圧端子3の全長も長くなるので、成型時の低圧端子に係る問題のほか、コネクタ部12の内側底面の肉厚も厚くなって寸法安定性が害される問題、無駄な熱可塑性樹脂が発生しているという問題等が顕著となっている。
【0009】
また、低圧端子がコネクタ部にインサート成型されつつ、一部が絶縁ケースの外壁と一体化している他の内燃機関用点火コイル、絶縁ケースとコネクタ部とを別体にて構成しこれらを組み合わせた更に他の内燃機関用点火コイルが公知であるものの、上述した問題は解決されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の通り、従来の内燃機関用点火コイルでは、コネクタ部12の端子収容部12aに低圧端子3がインサート成型されて構成されることに基づいて、成型時の低圧端子に係る問題のほか、コネクタ部12の内側底面の肉厚も厚くなって寸法安定性が害される問題、無駄な熱可塑性樹脂が発生しているという問題がある。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑み提案されたもので、コネクタ部の端子収容部に低圧端子をインサート成型する方法等を見直し、一箇所以上の屈曲部を有する低圧端子をコネクタ部内側用金型が迎えに行っても金型壁に衝突させないで、低圧端子を所望の長さまで突出させるとともにコネクタ部内側用金型が破損しないようすることができ、さらに、絶縁ケースの肉厚をより均一に近付けて寸法安定性が優れ、熱可塑性樹脂の無駄をなくことができて、インサート成型の効率向上および品質向上を可能にする内燃機関用点火コイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、絶縁ケースに設けたコネクタ部内の端子収容部に、外部と電気的に接続する端子が収容された内燃機関用点火コイルにおいて、前記絶縁ケースには、前記コネクタ部内の端子収容部の周囲に、奥行き方向に凹んだ被呼込み部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
特に、上記内燃機関用点火コイルにおいて、上記コネクタ部は、前記絶縁ケースに対して上方を指向するように延出して設けられるとともに、上記被呼込み部は、端子収容部の周囲に位置する第一呼込み部と、この第一呼込み部の周囲に位置し、第一呼込み部よりも凹み量が大きな第二被呼込み部とからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る内燃機関用点火コイルでは、絶縁ケースのコネクタ部内の端子収容部の周囲に、奥行き方向に凹んだ被呼込み部が形成されているので、このようなコネクタ部をインサート成型するためのコネクタ部内側用金型は、おのずと端子挿入箇所の開口面積が拡大されたものとなるため、端子の一端が仮に位置ズレを起こしていたとしても、端子の一端を正確に端子挿入箇所に導くことができ、これにより、端子をコネクタ部内側用金型の金型壁に衝突させないで、端子を所望の長さまで突出させるとともにコネクタ部内側用金型が破損しないようすることができる。さらに、絶縁ケースのコネクタ部内の端子収容部の周囲に、奥行き方向に凹んだ被呼込み部が形成されることにより、絶縁ケース内壁からコネクタ部の内側底面までの肉厚を抑えることができるため、絶縁ケースの肉厚をより均一に近付けて、寸法安定性が優れ、熱可塑性樹脂の無駄をなくことができる。したがって、本発明では、インサート成型の効率向上および品質向上を可能にする内燃機関用点火コイルを提供することができる。
【0015】
特に、上記被呼込み部は、端子収容部の周囲に位置する第一呼込み部と、この第一呼込み部の周囲に位置し、第一呼込み部よりも凹み量が大きな第二被呼込み部とからなるので、コネクタ部内側用金型に設けられた端子挿入箇所の開口面積を拡大しつつ、絶縁ケース内壁からコネクタ部の内側底面まで肉厚をより抑えることができるため、インサート成型の効率向上および品質向上をさらに可能とした内燃機関用点火コイルを提供することができる。
【0016】
また、コネクタ部を、絶縁ケースに対して上方を指向するように延出して設け、具体的には、絶縁ケースの一側面にコネクタ部を備えさせる角度を、取り付け方向に対して零度から90度まで傾斜させて設けたので、外部のバッテリ等の電源やコントロールユニット等と電気的に接続させるためのコネクタを取り付けやすい構成となって、作業性が向上するため、インサート成型の効率向上および品質向上とともに、作業性の良さという価値が付加された内燃機関用点火コイルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明(実施例1)に係る内燃機関用点火コイルの概略縦断面図に、コネクタ部内側用金型の概略断面図を加えた説明図である。
【図2】本発明(実施例2)に係る内燃機関用点火コイルの概略縦断面図に、コネクタ部内側用金型の概略断面図を加えた説明図である。
【図3】図2の内燃機関用点火コイルに係る要部拡大斜視図である。
【図4】図2の内燃機関用点火コイルに係る要部拡大正面図である。
【図5】従来の内燃機関用点火コイルの一例を示す概略縦断面図に、コネクタ部内側用金型の概略断面図を加えた説明図である。
【図6】従来の内燃機関用点火コイルのまた他の一例を示す概略縦断面図に、コネクタ部内側用金型の概略断面図を加えた説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のいくつかの実施形態を図に基づいて説明する。なお、図5及び図6に示した内燃機関用点火コイルと同一または相当部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0019】
(実施例1)
本発明に係る内燃機関用点火コイル1Aは、図1に示すように、熱可塑性樹脂製の絶縁ケース11に、鉄心−コイル組立体2が収容され、この組立体の構成部品間を絶縁しながら固定する絶縁樹脂としてのエポキシ樹脂24が注入されるとともに、絶縁ケース11のコネクタ部12内側の端子収容部12aに、端子としての低圧端子3がインサート成型により収容されて構成されている。
特に、絶縁ケース11には、コネクタ部12内側の端子収容部12aの周囲に、さらに詳しくは、端子収容部12aの周囲の端子収容部分からコネクタ部12内側底面へかけて、それぞれ奥行き方向に傾斜状に凹んだ被呼込み部12bが形成されている。この被呼込み部12bは、インサート成型時に、端子収容部12aの端子収容部分からコネクタ部12内側底面へかけて傾斜状に肉盗みされることにより形成されるものである。
【0020】
上述した本実施例1に係る内燃機関用点火コイル1Aに関し、絶縁ケース11のコネクタ部12内側の端子収容部12aに低圧端子3をインサート成型する際の作業を具体的に説明すると、従来と同様、絶縁ケース11の内部を成型するための成型金型の所定の位置に低圧端子3の他端3bを挿入し、さらに、コネクタ部12を成型するためのコネクタ部内側用金型Aで低圧端子3の一端3aを迎えに行って被挿入部A1に挿入し、その後、インサート成型するものである。
ただし、このようなインサート成型時において、コネクタ部内側用金型Aには、図1と図5との比較から明らかなように、従来のものに比べ全長が長く、低圧端子3の一端3a側が挿入される被挿入部A1の周囲に、被挿入部A1に向かって傾斜状に縮閉した凹状の呼込み部A2を形成したものを用いる。そうすると、インサート成型されて形成されたコネクタ部12内側の端子収容部12aの周囲が端子収容部分からコネクタ部12内側底面へかけて傾斜状に肉盗みされるため、コネクタ部12内側の端子収容部12aの周囲には、端子収容部分からコネクタ部12内側底面へかけて奥行き方向に傾斜状に凹んだ被呼込み部12bが形成される。
【0021】
すなわち、本実施例1に係る内燃機関用点火コイル1Aのインサート成型時には、コネクタ部内側用金型Aの呼込み部A2の存在により、低圧端子3を迎える開口面積が拡大しているので、低圧端子3の一端3aが仮に位置ズレを起こしていたとしても、低圧端子3の一端3aを正確に被挿入部A1に導くことができる。したがって、低圧端子3をコネクタ部内側用金型Aの金型壁に衝突させないで、低圧端子3を所望の長さまで突出させるとともにコネクタ部内側用金型Aが破損しないようすることができる。さらに、従来に比べ、絶縁ケース11の内壁からコネクタ部12の内側底面までの肉厚が抑えたられたものとなり、絶縁ケース11の肉厚がより均一に近付いて、寸法安定性が優れ、熱可塑性樹脂の無駄をなくことができる。
【0022】
(実施例2)
また、本発明に係る他の内燃機関用点火コイル1Bは、図2に示すとおり、コネクタ部12内側の端子収容部12aの周囲に、奥行き方向に傾斜状に凹んだ被呼込み部12bが、インサート成型時に端子収容部12aの端子収容部分からコネクタ部12内側底面へかけて傾斜状に肉盗みされることにより形成されている。さらに、この被呼込み部12bの周囲であって上側に、第二被呼込み部としての深凹部12cが被呼込み部12bより奥行き方向に深く凹んで形成され、また、被呼込み部12bの周囲であって下側に、また他の第二被呼込み部としての凹部12dが形成されているものである。なお、この凹部12dの凹んだ深さは、被呼込み部12bと同程度である。
このほか、コネクタ部12は、絶縁ケース11に対して上方を指向するように延出させ、取り付け方向に対して零度より大きく、90度よりも小さい、例えば、45度でインサート成型されて絶縁ケース11に備えられている。
【0023】
ここで、図3から理解されるように、端子収容部12aの周囲の被呼込み部12bのさらに周囲であって上側に形成された深凹部12cは、コネクタ部12が取り付け方向に対して45度でインサート成型されていることに基づいて、絶縁ケース11の肉厚をより均一に近付けるために設けられている。
また、被呼込み部12bのさらに周囲であって下側に形成された凹部12dについても、コネクタ部12が取り付け方向に対して45度でインサート成型されることに基づいて、コネクタ部12の底面下側が絶縁ケース11のコネクタ部12側の壁から離れることを利用しつつ、絶縁ケース11の肉厚をより均一に近付けるために設けられている。
【0024】
上述した本実施例2に係る内燃機関用点火コイル1Bに関し、絶縁ケース11のコネクタ部12の端子収容部12aに低圧端子3をインサート成型する際の作業は、実施例1と同様、絶縁ケース11の内部を成型するための成型金型の所定の位置に低圧端子3の他端3bを挿入し、さらに、コネクタ部12を成型するためのコネクタ部内側用金型Aで低圧端子3の一端3aを迎えに行って被挿入部A1に挿入し、その後、インサート成型するものである。
このとき、図2と図6との比較から明らかなように、コネクタ部内側用金型Aには、従来のものに比べ全長が長く、低圧端子3の一端3a側が挿入される被挿入部A1の周囲に、被挿入部A1に向かって凹んだ略凹状の呼込み部A2を形成したものを用いる。
【0025】
特に、この略凹状の呼込み部A2には、低圧端子3の一端3a側が挿入される被挿入部A1の周囲に、被挿入部A1に向かって縮閉した凹状の端子呼込み部A21が形成されているほか、この端子呼込み部A21の周囲であって上側に、端子収容部12aの周囲の被呼込み部12bのさらに周囲のうちの上側を奥行き方向により深く肉盗みする長い突出片A22が形成され、また、端子呼込み部A21の周囲であって下側に、端子収容部12aの周囲の被呼込み部12bのさらに周囲のうちの下側を端子呼込み部A21と同程度の深さで肉盗みする突状片A23が形成されている。
そうすると、図3および図4に示すように、インサート成型されて形成されたコネクタ部12の内側の端子収容部12aには、端子収容部分からコネクタ部12内側底面へかけて奥行き方向に傾斜状に肉盗みされた被呼込み部12bが形成されるとともに、これらの被呼込み部12bのさらに周囲であって上側に、奥行き方向に深い深凹部12cが形成され、これらの被呼込み部12bのさらに周囲であって下側に、絶縁ケース11の肉厚がより均一に近付く程度に深い凹部12dが形成される。
【0026】
すなわち、本実施例2に係る内燃機関用点火コイル1Bのインサート成型時にも、実施例1と同様、低圧端子3の一端3aが仮に位置ズレを起こしても、コネクタ部内側用金型Aの呼込み部A2の存在、特に、端子呼込み部A21の存在により、低圧端子3を迎える開口面積が拡大しているので、低圧端子3の一端3aを正確に被挿入部A1に導くことができるなどの有利な効果を備えている。
さらに、端子収容部12aの上端側には、深い深凹部12cが形成されるため、コネクタ部12を取り付け方向に対して45度でインサート成型した場合にも、絶縁ケース11の肉厚をより均一に近付けることができ、また、端子収容部12aの下端側に、絶縁ケース11の肉厚がより均一に近付く程度に深い凹部12dが形成されるため、コネクタ部12の底面下側の肉厚も抑えることができる。
【0027】
したがって、本発明では、実施例1、実施例2にて説明したとおり、一箇所以上の屈曲部を有する低圧端子3をコネクタ部内側用金型Aが迎えに行っても互いに衝突させないで、低圧端子3を所望の長さまで突出させることができるとともに、コネクタ部内側用金型Aを破損しないようすることができ、さらに、絶縁ケース11の肉厚をより均一に近付けることで寸法安定性に優れ、熱可塑性樹脂の無駄についてもなくことができて、インサート成型の効率向上および品質向上を可能にする内燃機関用点火コイル1A、1Bを提供することができる。
特に、実施例2に係る内燃機関用点火コイル1Bでは、絶縁ケース11にコネクタ部12を備えさせる角度が、上方を指向するように延出させて設けられ、具体的には、取り付け方向に対して零度より大きく、90度よりも小さい、例えば、45度で設けられているので、外部のバッテリ等の電源やコントロールユニット等と電気的に接続させるためのコネクタを取り付けやすい構成となって作業性が向上するため、インサート成型の効率向上および品質向上とともに、作業性の良さという価値が付加された内燃機関用点火コイルを提供することができる。
【0028】
以上、本発明の一実施形態を詳述したが、本発明は、上記一実施形態に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【0029】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱しなければ、内燃機関用点火コイルの形状を変えることも可能である。また、本発明の内燃機関用点火コイルの各構成物品に使用する材質等は、公知または周知の素材を使用できることはいうまでもない。
【0030】
例えば、本発明に係る内燃機関用点火コイルでは、絶縁ケースにコネクタ部を備えさせる角度が、取り付け方向に対して零度、すなわち、鉛直方向に取り付けるものでない限り、低圧端子をコネクタ部内側用金型が迎えに行っても互いに衝突させないで、低圧端子を所望の長さまで突出させることができるとともに、コネクタ部内側用金型を破損しないようすることができ、さらに、絶縁ケースの肉厚をより均一に近付けることで寸法安定性に優れ、熱可塑性樹脂の無駄についてもなくことができて、インサート成型の効率向上および品質向上を可能にするとともに、外部のバッテリ等の電源やコントロールユニット等と電気的に接続させるためのコネクタを取り付けやすい構成となって作業性が向上するため、作業性の良さという価値が付加して提供することができる。
【符号の説明】
【0031】
1A・・内燃機関用点火コイル(実施例1)
1B・・内燃機関用点火コイル(実施例2)
10A・従来の内燃機関用点火コイル
10B・従来の内燃機関用点火コイル
11・・絶縁ケース
12・・コネクタ部
12a・端子収容部
12b・被呼込み部
12c・深凹部(第二被呼込み部)
12d・凹部(第二被呼込み部)
13・・高圧タワー部
2・・・鉄心−コイル組立体
21・・一次コイル
22・・二次コイル
23・・鉄心
24・・エポキシ樹脂(絶縁樹脂)
25・・パワースイッチ
26・・高圧接続ピン
3・・・低圧端子
3a・・一端
3b・・他端
4・・・高圧端子
A・・・コネクタ部内側用金型
A1・・被挿入部
A2・・呼込み部
A21・端子呼込み部
A22・突出片
A23・突状片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ケースに設けたコネクタ部内の端子収容部に、外部と電気的に接続する端子が収容された内燃機関用点火コイルにおいて、
前記絶縁ケースには、前記コネクタ部内の端子収容部の周囲に、奥行き方向に凹んだ被呼込み部が形成されている、
ことを特徴とする内燃機関用点火コイル。
【請求項2】
前記コネクタ部は、前記絶縁ケースに対して上方を指向するように延出して設けられ、
前記被呼込み部は、前記端子収容部の周囲に位置する第一呼込み部と、この第一呼込み部の周囲に位置し、前記第一呼込み部よりも凹み量が大きな第二被呼込み部とからなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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