説明

内燃機関用点火コイル

【課題】イグナイタのリード部と外部端子との溶接、半田付け等による接続を確実に実行し、品質向上に寄与することができる内燃機関用点火コイルを提供する。
【解決手段】イグナイタケース4におけるイグナイタ収容部42のリード部収納部分422の、イグナイタ3が収納された状態におけるイグナイタ3のリード部3aに挟まれる位置に突部4Xを設け、この突部4Xにより、イグナイタケース4におけるコネクタケース部41が備える外部端子4aとの接続部の極近傍でリード部3aを位置決めして内燃機関用点火コイル1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の内燃機関の点火プラグに高電圧を供給し、火花放電を発生させるための内燃機関用点火コイルに関し、特に、イグナイタのリード部の位置がずれることがなくなって、イグナイタのリード部と外部端子との溶接、半田付け等による接続を確実に行うことができる内燃機関用点火コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関用点火コイルは、一般に、一次コイル、二次コイルおよび鉄心で電磁気回路を形成し、イグナイタにより一次コイルへの導通、遮断を制御することにより、形成した電磁気回路に発生する磁束の励磁方向を大きく変化させて電磁誘導を引き起こし、この電磁誘導により発生した逆起電力を一次コイルと二次コイルとの巻回数比で昇圧し、二次コイルに高電圧を発生させて、この高電圧を二次コイルから内燃機関の点火プラグへ供給するものである。
【0003】
このため、図3に示す通り、従来の内燃機関用点火コイル1は、絶縁ケース2内に、電磁気回路を形成するための、図示しない一次コイルと、この一次コイルの外側に配設される図示しない二次コイルと、この二次コイルおよび一次コイルの内側に配設され、これらのコイルを磁気的に結合する図示しない鉄心と、が少なくとも収容されている。さらに、一次コイルへの導通、遮断を制御するイグナイタ3を収容したイグナイタケース4が、絶縁ケース2に嵌め込まれ、絶縁ケース2内に図示しない絶縁樹脂が注入されて硬化し、絶縁ケース2内の必要な絶縁が維持されている。
イグナイタ3は、三つの端子で構成されるリード部3aおよびモールド部3bを有し、リード部3aの三つの端子のうちの一の端子が一次コイルの一端に接続され、リード部3aがイグナイタケース4のコネクタケース部41が備える外部端子4aに接続されて、イグナイタケース4のイグナイタ収容部42に収容されるものである。イグナイタケース4は、上記コネクタケース部41と、このコネクタケース部41に連設され、イグナイタ3のモールド部3bを収納するモールド部収納部分421、および、イグナイタ3のリード部3aを収納するリード部収納部分422からなるイグナイタ収容部42とで構成されている。
【0004】
なお、上記イグナイタ3と、混合気の燃焼によって生じるイオン電流を検出するイオン電流検出回路、および、このイオン電流検出回路によって検出されたイオン電流を示す信号を処理する処理回路が形成された回路基板とが一体的に絶縁ケース内に収容され、イオン電流の確実な検出により、内燃機関の失火を判断する精度を向上させた内燃機関用点火コイルに係る発明が、下記特許文献1にて提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−83220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、従来の内燃機関用点火コイル1では、イグナイタ3がリード部3aを外部端子4aに接続させながらイグナイタケース4のイグナイタ収容部42に収容される際、モールド部3bがイグナイタケース4の、特に、イグナイタ収容部42のモールド部収納部分421の内面に当てるようにして収容されることにより、イグナイタ3の位置決めを行っている。このため、図4に示す通り、イグナイタ3のリード部3aは、公差等部品のガタつきにより、外部端子4aとの接続がずれて溶接、半田付けされる場合が生じ、接続不良を起こす恐れがあるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み提案され、イグナイタのリード部と外部端子との接続を確実なものとするようなイグナイタの位置決めを行うことにより、イグナイタのリード部と外部端子との溶接、半田付け等による接続を確実に実行することができ、接続不良を起こす恐れがなくなって、品質向上に寄与することができる内燃機関用点火コイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、イグナイタのモールド部を収納するモールド部収納部分、および、前記イグナイタのリード部を収納するリード部収納部分からなるイグナイタ収容部と、このイグナイタ収容部に連設され、前記イグナイタを外部電源と接続するための外部端子を備えたコネクタケース部と、を有し、前記コネクタケース部から前記イグナイタ収容部の前記リード部収納部分へ前記外部端子の一端を突出させて、この一端に前記イグナイタの前記リード部を接続させるイグナイタケースを備えた内燃機関用点火コイルにおいて、前記イグナイタケースの、前記リード部収納部分に収納される前記リード部に挟まれる位置に突部を設け、この突部により前記イグナイタのうち、前記外部端子に接続される前記リード部分を位置決めした、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る内燃機関用点火コイルでは、イグナイタケースにおけるイグナイタ収容部のリード部収納部分に収納されるリード部に挟まれる位置に突部を設け、この突部によりイグナイタのうち、外部端子に接続されるリード部分を位置決めしたので、イグナイタのリード部とイグナイタケースにおけるコネクタケース部が備える外部端子との接続部に近い位置にてイグナイタを位置決めすることができるため、イグナイタのリード部とイグナイタケースが備える外部端子との接続の位置がずれることを抑えることができ、イグナイタのリード部と外部端子との溶接、半田付け等による接続を確実に実行することができ、接続不良を起こす恐れがなくなって、品質向上に寄与することができる。
【0010】
特に、上記突部を、リード部収納部分に収納されるリード部に挟まれる位置に設けたので、イグナイタのリード部とイグナイタケースにおけるコネクタケース部が備える外部端子との接続部の極近傍にてイグナイタを位置決めすることができるため、イグナイタのリード部とイグナイタケースにおけるコネクタケース部が備える外部端子との接続の位置がずれるということを最小限に抑えることができ、イグナイタのリード部と外部端子との溶接、半田付け等による接続を確実に実行することができ、接続不良を起こす恐れがなくなって、品質向上に寄与することができる。
【0011】
したがって、本発明により、イグナイタのリード部と外部端子との接続を確実なものとすることが可能で、イグナイタのリード部と外部端子との溶接、半田付け等による接続を確実に実行することができて、接続不良を起こすことのない、品質が向上した内燃機関用点火コイルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】参考例に係る内燃機関用点火コイルにおける、イグナイタケースにイグナイタが収容された状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る内燃機関用点火コイルにおける、イグナイタケースにイグナイタが収容された状態を示す説明図である。
【図3】従来の内燃機関用点火コイルの概略を示す概略平面図である。
【図4】従来の内燃機関用点火コイルにおける、イグナイタケースにイグナイタが収容された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、参考例に係る内燃機関用点火コイルにおける、イグナイタケースにイグナイタが収容された状態を示す説明図、図2は、本発明の実施形態に係る内燃機関用点火コイルにおける、イグナイタケースにイグナイタが収容された状態を示す説明図である。なお、図3および図4に従来例として示した部分と同一又は相当部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0014】
参考例に係る内燃機関用点火コイルは、図1に示す通り、イグナイタケース4におけるイグナイタ収容部42のリード部収納部分422に突部4Xを設け、この突部4Xによりイグナイタ3を位置決めしたものである。特に、上記突部4Xは、イグナイタケース4のリード部収納部分422の対向する内面423に設けられている。換言すれば、本発明に係る内燃機関用点火コイルは、イグナイタ3のリード部3aとイグナイタケース4におけるコネクタケース部41が備える外部端子4aとの接続部の極近傍であるイグナイタ3のリード部3aにてイグナイタ3を位置決めするため、イグナイタケース4におけるイグナイタ収容部42のリード部収納部分422の対向する内面423に、上記突部4Xを設けたものである。
【0015】
そうすると、参考例に係る内燃機関用点火コイルでは、イグナイタ3のリード部3aとイグナイタケース4におけるコネクタケース部41が備える外部端子4aとの接続部の極近傍にて、イグナイタ3が位置決されるため、イグナイタ3のリード部3aとイグナイタケース4におけるコネクタケース部41が備える外部端子4aとの接続の位置がずれることがなくなる、若しくは、最小限に抑えられる。したがって、イグナイタ3のリード部3aと外部端子4aとの溶接、半田付け等による接続が確実に実行され、接続不良を起こす恐れが解消される。
【0016】
また、本発明に係る内燃機関用点火コイルは、図2に示す通り、イグナイタケース4におけるイグナイタ収容部42のリード部収納部分422の、イグナイタ3が収納された状態におけるイグナイタ3のリード部3aに挟まれる位置に突部4Xを設けたものである。換言すれば、本発明の他の実施形態に係る内燃機関用点火コイルは、イグナイタ3のリード部3aとイグナイタケース4におけるコネクタケース部41が備える外部端子4aとの接続部の極近傍であるイグナイタ3のリード部3aにてイグナイタ3を位置決めするため、イグナイタケース4におけるイグナイタ収容部42のリード部収納部分422に収納されるリード部3aに挟まれる位置に、上記突部4Xを設けたものである。
【0017】
そうすると、本発明に係る内燃機関用点火コイルでは、イグナイタ3のリード部3aとイグナイタケース4におけるコネクタケース部41が備える外部端子4aとの接続部の極近傍にて、イグナイタ3が位置決されるため、イグナイタ3のリード部3aとイグナイタケース4におけるコネクタケース部41が備える外部端子4aとの接続の位置がずれることがなくなる、若しくは、最小限に抑えられる。したがって、イグナイタ3のリード部3aと外部端子4aとの溶接、半田付け等による接続が確実に実行され、接続不良を起こす恐れが解消される。
【0018】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、上記実施形態に限定されることなく、種々の設計変更を行うことが可能である。
【0019】
すなわち、本発明は、イグナイタケースのリード部収納部分に収納されるリード部に挟まれる位置に突部を設け、この突部によりイグナイタのリード部を位置決めした構成であって、イグナイタのリード部とイグナイタケースが備える外部端子との接続部の極近傍にてリード部を位置決めをするものである限り、イグナイタのリード部とイグナイタケースが備える外部端子との接続の位置がずれるということをなくし、若しくは、最小限に抑え、イグナイタのリード部と外部端子との溶接、半田付け等による接続を確実に実行することができ、接続不良を起こす恐れがなくなって、品質向上に寄与することができるので、本発明の範囲に属する内燃機関用点火コイルとなる。
【符号の説明】
【0020】
1 内燃機関用点火コイル
2 絶縁ケース
3 イグナイタ
3a リード部
3b モールド部
4 イグナイタケース
41 コネクタケース部
42 イグナイタ収容部
421 モールド部収納部分
422 リード部収納部分
423 リード部収納部分の内面
4a 外部端子
4X 突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イグナイタのモールド部を収納するモールド部収納部分、および、前記イグナイタのリード部を収納するリード部収納部分からなるイグナイタ収容部と、このイグナイタ収容部に連設され、前記イグナイタを外部電源と接続するための外部端子を備えたコネクタケース部と、を有し、前記コネクタケース部から前記イグナイタ収容部の前記リード部収納部分へ前記外部端子の一端を突出させて、この一端に前記イグナイタの前記リード部を接続させるイグナイタケースを備えた内燃機関用点火コイルにおいて、
前記イグナイタケースの、前記リード部収納部分に収納される前記リード部に挟まれる位置に突部を設け、この突部により前記イグナイタのうち、前記外部端子に接続される前記リード部分を位置決めした、
ことを特徴とする内燃機関用点火コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−147025(P2012−147025A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96215(P2012−96215)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【分割の表示】特願2008−121790(P2008−121790)の分割
【原出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000174426)日立オートモティブシステムズ阪神株式会社 (291)
【Fターム(参考)】