説明

内臓の洗浄方法

【課題】 表面に粘膜を有する食用の内臓を低コストかつ鮮度を維持しながら洗浄する方法を提供する。
【解決手段】 食用の内臓を中空容器に投入し、該中空容器内に設置されている円盤に前記内臓を接触させながら、該円盤を回転させて前記内臓の表面を削り取った後、水流を用いて洗浄し、好ましくは、前記内臓は、魚の内臓であり、前記中空容器は、キッチン用ディスポーザーであることを特徴とする内臓の洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食用の内臓に洗浄方法に関し、具体的には粘膜を持つ内臓の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば魚の内臓は不要な部位として捨てられており、内臓を処理する場合には、塩や手作業で洗う方法が採られ、多くの塩や水を使用し多くの時間を要するため、食品の原料にならず普及されていなかった。魚はフィーレ(3枚おろし)で流通する時代であり、そのため粘膜を持つ魚の腸や胃袋は、生産地での廃棄物として多く排出されている。
【0003】
また、牛や豚などの食肉の内臓の処理は近代的な施設で行なわれているが手作業で洗浄を行っているため、内臓でありながら高価な食材となっていた。
【0004】
魚体の洗浄装置に関しては、従来から種々の提案がなされており、例えば、特開2003−18954号公報(下記特許文献1)には、脱頭され内臓が除去された魚体が、背骨方向に串刺しにするように差し込まれる洗浄管と、この洗浄管の上方及び下方にそれぞれ設けられ、洗浄管に差し込まれた魚体を上・下より狭持して搬送する上・下コンベアと、洗浄管に孔設され、差し込まれた状態で搬送される魚体に内周側から洗浄水を噴射して洗浄する水噴射孔とを備えることにより、魚体の内周側を十分に洗浄し魚体を十分に清潔にできる魚体洗浄装置が記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1の洗浄方法は、内臓が除去された魚体の洗浄方法であり、表面に粘膜を有する食用の内臓の洗浄方法には適用できなかった。
【0006】
また、特開2000−157940号公報には、ディスポーザーの粉砕処理室内に粉砕処理室内の粉砕装置により粉砕可能な塊粒状洗浄材及び水を投入し、粉砕することにより、ディスポーザーの粉砕処理室に付着した生ゴミを除去することのできるディスポーザーの洗浄方法が記載されている。
【0007】
しかし、特許文献2はディスポーザーの洗浄方法であり、本発明が対象とする食用の内臓の洗浄には適用できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−18954号公報
【特許文献2】特開2000−157940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、表面に粘膜を有する食用の内臓を低コストかつ鮮度を維持しながら洗浄する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述の課題を解決すべく、試行錯誤の結果なされたものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)食用の内臓を中空容器に投入し、該中空容器内に設置されている円盤に前記内臓を接触させながら、該円盤を回転させて前記内臓の表面を削り取った後、水流を用いて洗浄することを特徴とする内臓の洗浄方法。
(2)前記内臓は、魚の内臓であることを特徴とする(1)に記載の内臓の洗浄方法。
(3) 前記中空容器は、キッチン用ディスポーザーであることを特徴とする(1)または(2)に記載の内臓の洗浄方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来食用化されなかった部位である内臓を短時間洗浄することにより安価に食用化でき、なお且、衛生的に処理ができるうえ、1匹の魚の歩留りが向上し、今までの食用部位を安価に提供することができるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の内臓の洗浄方法の実施形態を例示する図である。
【図2】本発明に用いるキッチン用ディスポーザーの上面図である。
【図3】本発明に用いるキッチン用ディスポーザーのハンマーまたはカッターの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図1および図2を用いて詳細に説明する。 図1および図2において、1は原料(内臓)、2は洗浄ディスポーザー、3はディスポーザー開口部、4は円盤回転部位(洗浄接地面)、5は上部投入口、6は上部開口部ロック部分の凹部分、7は上部開口部の蓋凸部分、8は上部開口部の蓋を示す。
図1は、本発明の内臓の洗浄方法の実施形態を例示する図である。図1(a)に示すように、原料(内臓)1を洗浄ディスポーザー2の開口部3から投入し、図1(b)に示すように、原料(内臓)1を円盤回転部位(洗浄接地面)4と接触させながらこの円盤を回転させる。
【0014】
本発明の内臓の洗浄方法は、食用の内臓を中空容器に投入し、該中空容器内に設置されている円盤に前記内臓を接触させながら、該円盤を回転させて前記内臓の表面を削り取った後、水流を用いて洗浄することを特徴とする。
【0015】
本発明は、食用の内臓を中空容器に投入し、該中空容器内に設置されている円盤に前記内臓を接触させながら、該円盤を回転させて前記内臓の表面を削り取るので、腐敗し易い内臓を短時間で処理することができるうえ、無水状態と水中での回転によっての洗浄を同時に行うことができるうえ、従来のように手作業での表面洗浄を行う必要がない。
【0016】
魚や牛、豚などの生物の胃袋や腸は内側に強い粘膜を持ち、衛生上にも配慮して洗浄する必要がある。従来、マグロ類の胃袋は食用として供給されているが、殺菌はするものの粘膜を削りとることができず決して衛生上良いものではなかった。従来の手作業で行われるものについては3kgの成魚の魚の胃袋を1人で400枚処理するのに2時間を要し、この為に要する塩と水についても多くの費用を費やしコスト高になっていた。
【0017】
そこで、本発明は、食用の内臓を中空容器に投入し、該中空容器内に設置されている円盤に前記内臓を接触させながら、該円盤を回転させて前記内臓の表面を削り取った後、水流を用いて洗浄することにより、このような粘膜を有する原料(内臓)を中空容器内に設置されている回転盤に接触させながら回転すると同時にランダムに振れることで、粘膜や余分な部位を洗浄することができる。具体的には、処理される原料(内臓)は生の状態で供給され、機器にそのまま投入するが、内側を裏返し機器に投入することが好ましい。また回転時間は15秒〜1分が好ましいが、原料(内臓)の大きさにより5秒〜5分で処理するものもある。また、回転洗浄後は水道水を流し込み水流で洗浄を同時に行うことを特徴としている。
【0018】
本発明に用いる中空容器は、回転する円盤を備えていればその形式は問わないが、本発明では繊維質の粉砕には適さないディスポーザーを使用する。キッチン用ディスポーザーを用いることが好ましい。
【0019】
図2は、本発明に用いるキッチン用ディスポーザーの上面図である。図2(a)に示す上部開口部ロック部分の凹部分6には、図2(b)に示す上部開口部の蓋凸部分7が勘合する。
【0020】
ここにキッチン用ディスポーザーとは、家庭の台所で発生する生ゴミを粉砕処理する電化製品であり、中空容器からなる破砕部に円盤回転部位(洗浄接地面)が備えられており、このターンテーブルをモータにより回転させることにより、生ゴミを粉砕処理して下水や浄化槽に流す装置をいう。
【0021】
本発明では繊維質の粉砕には適さないディスポーザーを使用することが好ましく、内臓の粘膜を削る為の部分は、ハンマーまたはカッターのいずれでもかまわないが、ハンマーについては配置されてる個数を選ばず回転数を調整し洗浄時間を調整し洗浄後の状態を変化させることができ、洗浄する際の円盤の回転数は、毎秒10回転以上5万回転以内が洗浄効果が高く好ましい範囲である。ディスポーザーでの洗浄を行うことで、この作業に掛かる作業を同様の時間だと30分で可能となり、衛生的な粘膜洗浄が素早く可能となり魚の胃袋や腸の普及拡大を実現することができる。
【0022】
図3は、本発明に用いるキッチン用ディスポーザーのハンマーまたはカッターの詳細図である。図3に示すように、キッチン用ディスポーザーの回転円盤4の上面には、複数のハンマーまたはカッター9が回転軸に対して対象な位置に設置されており、円盤が矢印の方向に回転するとハンマーまたはカッター9が原料(内臓)1の表面の粘膜を削り取ることができる。
【0023】
洗浄時の水量は家庭用ディスポーザーの場合、毎分1リットル〜5リットルが安定的に流れてる環境が好ましいが無水でも可能である。
【0024】
本発明によれば、胃袋などの内臓の洗浄前に切開しても、切開しなくても同様の効果を得られるので原料の状態を選ばない。従来、類似する洗浄として蛸の滑りを取る為に回転する洗濯機を使用する場合があるが大量の水を使用し、さらにこの方法は洗浄槽の裏側に汚れが溜まり衛生上に良くないが、本発明は回転円盤上部で洗浄されて水で下に流される為に衛生的にも遥かに適切な洗浄が可能となり短時間に洗浄するので、品質の劣化も殆ど発生しない。
【0025】
即ち本発明によれば、従来、一部の飲食店では提供されているものの商業的には洗浄方法のコスト高で普及がなされていなかった魚の内臓を食用として普及させることができるうえ、魚1匹辺りの歩留りが向上し刺身原料の価格を安価に提供もできるようになる。
【符号の説明】
【0026】
1 原料(内臓)
2 洗浄ディスポーザー
3 ディスポーザー開口部
4 円盤回転部位(洗浄接地面)
5 上部投入口
6 上部開口部ロック部分の凹部分
7 上部開口部の蓋凸部分
8 上部開口部の蓋
9 ハンマーまたはカッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用の内臓を中空容器に投入し、該中空容器内に設置されている円盤に前記内臓を接触させながら、該円盤を回転させて前記内臓の表面を削り取った後、水流を用いて洗浄することを特徴とする内臓の洗浄方法。
【請求項2】
前記内臓は、魚の内臓であることを特徴とする請求項1に記載の内臓の洗浄方法。
【請求項3】
前記中空容器は、キッチン用ディスポーザーであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内臓の洗浄方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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