説明

内装パネル及び内装パネルの取付構造

【課題】装飾性が高く衝撃への耐久性が高い内装パネルを、容易に交換すること。
【解決手段】建物の内装となるパネル部10と、パネル部10の裏面に接着しパネル部10を補強する補強紙20と、パネル部10の裏面を貼付するための面ファスナー30とを有し、面ファスナー30は、補強紙20に形成された溝21の内部に配設されることを特徴とする内装パネルP。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能な建物の内装パネル及び当該内装パネルの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の内壁に貼り付けて内装を形成するパネルがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のパネルは、タイルの裏面にポリウレタン等の粘着体を部分的に付けることで、パネルを内壁に粘着固定させる構成となっている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−295449
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タイルの重量を支持するためには、粘着体の量を多くしなければならない。このため、特許文献1のようにタイルの裏面に直接粘着体を付帯する構成とした場合には、粘着体の厚みが厚くなり、タイルと内壁との間に隙間が空く。このように隙間が空くと、まず、内壁にタイルを装着した後の厚みが厚くなり、装飾性を低くするおそれがある。また、外部から衝撃が加わった場合に、粘着体と粘着体との間の部分でタイルの割れが生じるおそれがある。
【0005】
また、粘着体は一度使用すると粘着力が低下するため、タイル表面が汚れた場合、タイルを外して清掃し再び貼り付けるというような、何度も貼りなおす使用方法には適さない。また、交換する場合にタイルを外し、タイル側の粘着体の一部が内壁面に残留する場合がある。この場合、その上からは新たなタイルを貼り付けることができない。この場合には、残留した粘着体を除去してから新たなタイルを貼り付けねばならず、交換作業に手間がかかるといった問題もある。
【0006】
そこで本発明の目的は、装飾性が高く衝撃への耐久性が高い内装パネルを、容易に交換することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内装パネルは、建物の内装となるパネル部と、前記パネル部の裏面に接着し該パネル部を補強する補強紙と、前記パネル部の裏面を貼付するための面ファスナーとを有し、前記面ファスナーは、前記補強紙に形成された溝の内部に配設されることを特徴とする内装パネルである。
【0008】
本発明の内装パネルの取付構造は、前記内装パネルの面ファスナーの接着層を壁面に対して当接させることで、前記内装パネルを前記壁面に取付けてなることを特徴とする内装パネルの取付構造である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る内装パネルは、補強紙に形成された溝の内部に面ファスナーを配設する構成である。このため、まず、粘着材を使用せず面ファスナーを使用することで内装パネルの厚みを薄くすることができ、装飾性を高めることができる。また、面ファスナーが緩衝材となることで内装パネルの割れを防止し、耐久性を高めることができる。また、面ファスナーを使用することで、粘着材のように糊残りなどの問題が発生せず、容易に交換することができる。
【0010】
本発明に係る内装パネルの取付構造は、内装パネルに配設される面ファスナーの裏面の接着層を当接させることで壁面に設置する。このため、面ファスナーは互いに係合した状態で、内装パネルが壁面に設置されることとなる。このような構造であるため、内装パネル側のファスナー材層と壁面側のファスナー材層とが確実に係合された状態で壁面に設置され、内装パネルは確実に壁面に取付けられることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図を用いて本発明の一実施形態を具体的に説明する。図1は内装パネルPの斜視図であり、図2は内装パネルPを壁面Wに取付ける状態の側面図であり、図3は内装パネルPを交換するときの状態説明図であり、図4は本実施形態と従来例とを比較した側面図である。
【0012】
(内装パネルPの構成)
図1に示すように、本実施形態の内装パネルPは、表面に模様が形成されたパネル部10と、パネル部10の裏面の略全面に補強紙20と、内装パネルPを壁面Wに貼り付けるための面ファスナー30と、を有する。
【0013】
パネル部10は、表面に模様が形成され、建物の内装となる。材質は特に限定するものではないが、木材、プラスチック樹脂、陶器、コンクリート等を用いることができ、調湿機能、臭いの吸着機能等、建物内部の環境を調節する機能を付することもできる。
【0014】
補強紙20は、軽量で硬いパネル部10の場合、強度を保つためにパネル部10の裏面の略全面に貼付される。これにより、運搬中、施工中及び設置後のパネル部10の割れや欠け等のおそれを低減することができる。
【0015】
また、補強紙20には、面ファスナー30を固定する部分に溝21が形成される。溝21の深さは、面ファスナー30のファスナー材層32が補強紙20よりも裏面側に若干突出する程度の深さにすることが好ましい。ファスナー材層32の貼付機能を十分に発揮しつつ、内装パネルPの厚みを薄くすることができるからである。
【0016】
尚、本実施形態においては、補強紙20に溝21を形成して、溝21の窪んだ箇所にパネル側接着層31を接着したが、これに限るものではない。即ち、補強紙20をくり抜いて、面ファスナー30のパネル側接着層31を直接、パネル部10の裏面に接着させる構成としてもよい。
【0017】
面ファスナー30は、無数の微細な係合により、互いに貼り合わされる貼付手段である。図1の拡大断面図に示すように、面ファスナー30は、パネル部10側から、粘着材で構成されるパネル側接着層31、ファスナー材層32、ファスナー材層33、壁側接着層34、離型層35によって構成される。
【0018】
面ファスナー30として内装パネルPに貼り付けられた初期状態においては、図1(a)に示すように、面ファスナー30はパネル側接着層31から離型層35まで全てを有する構成である。一方、使用状態においては、図1(b)に示すように、離型層35を剥がして壁側接着層34を壁面に貼付する。詳細については後述する。
【0019】
(内装パネルPの取付構造)
図1及び図2を用いて内装パネルPの取付構造について説明する。
【0020】
まず、図1(b)及び図2(a)に示すように、内装パネルP裏面の面ファスナー30における離型層35を剥がす。これにより、壁側接着層34が露出する。
【0021】
次に、図2(b)に示すように、壁面Wの所望の場所に内装パネルPを押圧する。これにより、壁側接着層34が壁面Wに対して粘着し、内装パネルPが壁面Wに対して取付けられる。
【0022】
また、図2(c)に示すように、内装パネルPの交換時には、内装パネルPを壁面Wから離す。すると、ファスナー材層32とファスナー材層33との間の係合が外れ、内装パネルPを壁面Wから容易に離間させることができる。ここで、面ファスナー30のうちファスナー材層33は壁側接着層34の粘着力により壁面Wに貼付されたままになる。
【0023】
新たな内装パネルPに交換し、壁面Wに設置する場合には、次のように行う。
【0024】
まず、図3に示すように、内装パネルPの面ファスナー30のうち、離型層35のみならず、ファスナー材層33までも剥がす。これにより、ファスナー材層32が露出する。
【0025】
次に、図3に示すように、内装パネルPのファスナー材層32が露出した状態で、ファスナー材層32と交換時に壁面Wに貼付されているファスナー材層33とが重なるように、内装パネルPを壁面W方向に押圧する。すると、ファスナー材層32とファスナー材層33とが係合し、新たな内装パネルPが壁面Wに設置されることとなる。
【0026】
(内装パネルPの作用・効果)
以上のような内装パネルPの構成、内装パネルPの取付構造によって、次のような作用及び効果が得られる。
【0027】
まず、耐久性面で次のような作用効果を得ることができる。
【0028】
内装パネルPは、パネル部10の裏面に補強紙20が略全面に貼付されている。このため、パネル部10が軽量で薄い素材であっても、割れや欠けといった問題を低減することができる。
【0029】
補強紙20の面ファスナー30を設置する位置に溝21を形成した。すると、パネル部10と壁面Wとの隙間を少なくすることができる。パネル部10と壁面Wとの隙間を少なくすると、外部から衝撃が加わった場合でも、パネル部10が撓んで壁面Wに当接しやすくなる。パネル部10が壁面Wに当接すると、パネル部10の撓みはそれ以上大きくならないため、撓みすぎることによる割れが起こりにくくなる。また、前記隙間が少なくなると、パネル部10が広い面積で内装パネルPに当接し、パネル部10に加わる単位面積あたりの圧力を和らげることができ、割れ等の問題を更に低減することができる。
【0030】
内装パネルPは壁面Wへの貼付手段として面ファスナー30を用いている。面ファスナーは、微細な係合により構成されているため、衝撃に対する緩衝作用がある。このため、外部から衝撃が加わったとしても、内装パネルPと壁面Wとの間に介在する面ファスナー30が衝撃力を緩衝し、割れ等の問題を更に低減することができる。
【0031】
次に、取付性、交換性の面で次のような作用効果を得ることができる。
【0032】
内装パネルPは、貼付手段として面ファスナー30を用いている。面ファスナー30は上述のように無数の係合により貼付されるため、粘着材と異なり、糊残りの問題が発生せず、また貼付するための力が劣化するおそれが非常に少ない。このため、何度でも貼り替えることができ、取付性や交換性に優れている。
【0033】
内装パネルPは、複数のパネルを上下左右に連続して設置することで内装を成すものである。このため、1つの内装パネルPは軽量かつ小さいため、持ち運びに便利で、取付け・交換も容易である。
【0034】
内装パネルPの面ファスナー30は、予めファスナー材層32及びファスナー材層33を係合した状態で構成される。このため、内装パネルPを初めて壁面Wに設置するときには、確実にファスナー材層32とファスナー材層33とが係合する。
【0035】
また、内装パネルPを新たに交換する場合であっても、ファスナー材層32とファスナー材層33との間隔は同様であるため、確実に係合する。このように、内装パネルP側のファスナー材層32と壁面W側のファスナー材層33とが確実に係合する構成であるため、粘着材を塗る位置等を考慮しなくともよく、取付・交換を容易に行うことができる。
【0036】
本実施形態の内装パネルPは、面ファスナー30を取付ける溝21の位置を、パネル部10の端部よりも内側にしている。これにより、内装パネルPを壁面Wから離間する作業を容易に行うことができる。これは、内装パネルPを壁面Wから離間させる際には、パネル部10の端部から工具を入れて離間させるが、面ファスナー30が内側にあることで、内装パネルPの端部に隙間が形成され、当該隙間から前記工具を入れることが可能であるからである。
【0037】
最後に、装飾性の面で次のような作用効果を得ることができる。
【0038】
内装パネルPに使用する面ファスナー30は、同じせん断力を有する粘着材よりも薄い。このため、内装パネルPの厚みを薄くすることができる。また、面ファスナー30を設置する補強紙20に溝21を形成した。このため、内装パネルP全体の構成を更に薄くすることができ、壁面Wに内装パネルPを設置した後の厚みが薄くなり、装飾性を高くすることができる。
【0039】
また、貼付手段として面ファスナー30を用いることで、内装パネルPと壁面Wとの隙間を小さくし、釘N等を打つ場合の強度を高めることができる。この状態を図4に示す。図4(a)は本実施形態の内装パネルPと壁面Wとの関係を示す図で、図4(b)は従来の構造を示す図である。
【0040】
従来の構成では、図4(b)に示すように、パネル部10と壁面Wとを厚い粘着材130にて粘着固定していたため、パネル部10と壁面Wとの間に隙間が空いていた。このため、建物の内壁に何かを掛けて装飾を施す等の目的から壁面Wに釘Nを打つ場合、釘Nが壁面Wに入り込む量が少なく、釘Nを保持する強度が弱かった。しかし、本実施形態では、図4(a)に示すように、パネル部10と壁面Wとの隙間が小さいので、釘Nが壁面Wの深くまで到達する。このため、釘Nを保持する強度が強くなり、より重量のあるものを釘Nに掛けることができ、建物内部の装飾性を向上させることができる。
【0041】
尚、内装パネルPの面ファスナー30には、上述のように緩衝作用があるため、運搬時の梱包が容易であるという効果もある。運搬時に内装パネルPを重ねると、内装パネルPと内装パネルPとの間に面ファスナー30が介在することとなるので、緩衝材の量を少なくすることができる。このため、運搬時の梱包が容易となる。
【0042】
〔他の実施形態〕
前述の実施形態においては、面ファスナー30を縦方向に3本に配置したがこれに限るものではない。内装パネルPのバリエーションを図5に示す。即ち、例えば図5(a)に示すように、縦方向に2本のみ面ファスナー30を配置してもよいし、図5(b)や(c)に示すように、パネル部10の4隅付近(図5(b)参照)又はそれに加えて中央部(図5(c)参照)に面ファスナー30を配置してもよい。もちろん、Xの字張りや全面張りでもよい。
【0043】
前述の実施形態においては、補強紙よりも面ファスナーを上下方向に小さくするように構成したが、これに限るものではなく、補強紙の端部まで配置するとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、複数のパネルにより構成された内装パネルに一般的に使用することができる。即ち、パネル部の材質は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】内装パネルPの斜視図。
【図2】内装パネルPを壁面Wに取付ける状態の側面図。
【図3】内装パネルPを交換するときの状態説明図。
【図4】内装パネルPと壁面Wとの関係を比較する図。
【図5】他の実施形態の説明図。
【符号の説明】
【0046】
N…釘、P…内装パネル、W…壁面、10…パネル部、20…補強紙、21…溝、30…面ファスナー、31…パネル側接着層、32…ファスナー材層、33…ファスナー材層、34…壁側接着層、35…離型層、130…粘着材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内装となるパネル部と、
前記パネル部の裏面に接着し該パネル部を補強する補強紙と、
前記パネル部の裏面を貼付するための面ファスナーとを有し、
前記面ファスナーは、前記補強紙に形成された溝の内部に配設されることを特徴とする内装パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の内装パネルの面ファスナーの接着層を壁面に対して当接させることで、前記内装パネルを前記壁面に取付けてなることを特徴とする内装パネルの取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−56517(P2007−56517A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241995(P2005−241995)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】