説明

内装パネル装置

【課題】パネル体の取り付け及び取り外しが容易で且つ安定的にパネル体を保持できる内装パネル装置を提供する。
【解決手段】壁の取付面9に上下に間隔を空けて配置され固着される上枠材2及び下枠材3と、該上下枠材間に着脱自在に取り付けられる矩形のパネル体4とを備えた内装パネル装置1であって、前記上枠材及び前記下枠材は、前記パネル体の上縁部40及び下縁部41の幅寸法と略同じ幅寸法を有しており、前記上枠材は、前記取付面に固着される固定部11と、該固定部に対して上下にスライド自在に取り付けられ下方向への押圧力を付勢して前記パネル体の前記上縁部を拘束する可動係止部12とを有し、前記下枠材は、前記パネル体の下縁部を下方から受けて拘束することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の壁に取り付けて用いられる内装パネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内装パネルは壁の構造体として間柱や壁下地にビス止めされるため、取り外しを行うことを前提にしておらず、取り外しが容易にできる構成にはなっていない。一方、既設の壁に後付けされるような内装パネルの場合は、模様替えなどで内装パネルを取り外すことがあり、スピーカなど電気機器を内蔵したパネル体においては、メンテナンスなどで取り外しがなされることもある。
よってパネル体の取り外しが容易にできる内装パネル装置が求められる。
【0003】
ところで、下記特許文献1には、矩形の鏡の上端部を固定支持する鏡用止め具と、下端部を固定支持する下部受け具が開示されている。ここに開示されている鏡止め具は、固定部材、可動部材及びばねを組み合わせて構成されており、この鏡止め具は、可動部材を手で上方向に持ち上げると可動部材が持ち上がり、可動部材から手を離すとばねの弾発力が作用して可動部材が元の位置に戻るよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−241231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のものは内装パネルではなく鏡の設置方法に関するものであり、また鏡の上縁部の2ヶ所と下縁部の2ヶ所を固定支持するよう構成されているので、取り付け或いは取り外しを行う際に、上縁部の2ヶ所の鏡止め具を片側ずつ順に可動部材を手でつまんで引き上げる必要がある。
よって、上記特許文献1の止め具で内装パネルのような大きいサイズのものを止めようとした場合は、内装パネルを持つことで両手がふさがってしまうので、2ヶ所の止め具を片側ずつ順につまんで引き上げる作業が困難になる。
また上記特許文献1のものは、鏡の上縁部及び下縁部を部分的に保持するものであるから、内装パネルのように大きいサイズのものになればなるほど、止め具による保持力が不足してしまう。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、パネル体の取り付け及び取り外しが容易で且つ安定的にパネル体を保持できる内装パネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る内装パネル装置は、壁の取付面に上下に間隔を空けて配置され固着される上枠材及び下枠材と、該上下枠材間に着脱自在に取り付けられる矩形のパネル体とを備えた内装パネル装置であって、前記上枠材及び前記下枠材は、前記パネル体の上縁部及び下縁部の幅寸法と略同じ幅寸法を有しており、前記上枠材は、前記取付面に固着される固定部と、該固定部に対して上下にスライド自在に取り付けられ下方向への押圧力を付勢して前記パネル体の前記上縁部を捕捉し拘束する可動係止部とを有し、前記下枠材は、前記パネル体の下縁部を下方から受けて拘束することを特徴とする。
これによれば、上枠材及び下枠材が、パネル体の上縁部及び下縁部の幅寸法と略同じ幅寸法を有し、上枠材及び下枠材がパネルの上縁部及び下縁部のそれぞれと全幅に亘って強固に保持するので、例えばパネル体が内装パネルとして用いる比較的大きなパネル体であった場合でも強固に壁への固定ができる。
また上枠材の可動係止部を上方向に移動させれば、パネル体の上縁部及び下縁部を上枠材及び下枠材から着脱しやすい状態となるので、パネル体の取り付け及び取り外しが容易にできる。
【0008】
本発明において、パネル体が電気機器を内蔵している場合は、パネル体の下端部に、前記電気機器が接続された受電用コネクタを設け、前記下枠材に、前記受電用コネクタと接続される供電用コネクタを設けるようにしてもよい。
これによれば、下枠材とパネル体とを電気的に容易に接続することができる。また、例えば下枠材を充電器として使用することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る内装パネル装置によれば、パネル体の取り付け及び取り外しが容易にできる。また本発明に係る内装パネル装置によれば、パネル体の大きさ(サイズ)に関わらず、安定的にパネル体を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る内装パネル装置の一実施形態を示す断面図であって、パネル体の取付状態を示す図である。
【図2】同内装パネル装置の断面図であって、パネル体の着脱過程の状態を示す図である。
【図3】同内装パネル装置の全体斜視図である。
【図4】同内装パネル装置の上枠材の分解斜視図である。
【図5】同内装パネル装置の下枠材の斜視図である。
【図6】同内装パネル装置の変形例を示す図であり、下枠材とパネル体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
まずは本発明の実施形態の一例について図1〜図5を参照しながら説明する。
図1は上下枠材2、3間にパネル体4が取り付けられている状態を示しており、図2は上下枠材2、3間にパネル体4が取り付けられる状態或いは上下枠材2、3間からパネル体4が取り外される状態を示している。
図に示すように内装パネル装置1は、壁の取付面9に上下に間隔を空けて配置して固着される上枠材2及び下枠材3と、該上下枠材2、3間に着脱自在に取り付けられる矩形のパネル体4とを備えている。
上枠材2及び下枠材3は、金属材や樹脂材などからなる薄肉形成された成型品であり、図3に示すようにパネル体4の上縁部40及び下縁部41の幅寸法と略同じ幅寸法に形成されており、パネル体4の上縁部40及び下縁部41を全幅に亘って上下方向から挟み込むように強固に保持している。
【0012】
上枠材2は、取付面9に固着される固定部11と、上下にスライド自在に取り付けられ下方向への押圧力を付勢してパネル体4の上縁部40を捕捉し拘束する可動係止部12とを有している。
固定部11は、取付面9にねじ6で固着される固定片16と、固定片16から略水平に前方向に突出するように延出形成されたリブ片17と、リブ片17から略垂直に起立するように延出形成された支持片18とを備えている。固定部11のリブ片17が前方向に突出して形成されていることにより、支持片18と取付面9との間に空間が形成され、この空間に可動係止部12及び支持片18に固着される連結部13が設けられる。
【0013】
可動係止部12は、取付面9に対して平行に配され固定部11に対して上下にスライド自在とするための縦長のスライド孔14aが形成された規制片14と、パネル体4の上縁部40を捕捉し拘束するように庇状に形成されたパネル押さえ部15とを備えている。
規制片14の下方には、パネル体4の上縁部40を拘束した際に下方向への押圧力を付勢する付勢手段が設けられている。
ここでは付勢手段としてバネ5を用いた例を示しており、バネ5の上下端部50、51はフック状になっており、バネ5の上下端部50、51は規制片14及びリブ片17に形成された係止孔14a、17aに係止される。
そしてこの付勢手段としてのバネ5は、上方向への押圧力がかかるとバネ5が上方向に伸び、上方向への押圧が解除されると可動係止部12の自重と上方向に伸びていたバネ5の復元作用で下方向への押圧力を付勢するよう機能する。
【0014】
固定部11の固定片16には、ねじ6が挿通されるねじ孔16aが形成されており、取付面9に対して固定片16の面全体が接した状態でねじ6で固着され、支持片18には、連結部13と連結するためのねじ22が挿通されるねじ孔18aが形成されている。
固定部11を取付面9に固着した際には、固定片16及び支持片18は取付面9に対して略平行に配置されることになり、パネル体4も取付面9に対して略平行に精度よく取り付けることができる。
可動係止部12のスライド孔14aには、連結部13の突起部20が挿通され、該突起部20が挿通された状態で上下動するように形成され、パネル押さえ部15は、規制片14の上端部から前方に水平に突出した後、下向きに略直角に屈曲形成されており、上枠材2に取り付けられたパネル体4の上縁部40が前方に倒れこまないよう捕捉し拘束できる構成となっている。
【0015】
固定部11に固着される連結部13は、横長の板状体からなる本体片19と、筒状の突起部20とを備えている。連結部13は可動係止部12の上下動を許容するとともに、その動作範囲を規制するように(左右に動いたりしないように)スライド孔14aに挿通された状態で固定部11に連結される。
連結部13の突起部20は、本体片19に形成された挿通孔19aに挿通されためねじのボス部分であり、本体片19にねじ止めされている。突起部20(めねじのボス部分)の長さは、可動係止部12及び固定部11と組み合わせたときに、スペーサ材10(図4参照)によって所定の間隔を保ちながらスライド孔14aを貫通し、固定部11の支持片18のねじ孔18aに至るように形成されている。突起部20の先側20aは円筒状に刳り貫かれており、この円筒部分の内面側にはねじ溝が形成されている。これにより、支持片18のねじ孔18aに挿通されるねじ22が突起部20の先側20aに螺入され、連結部13と固定部11とが螺着されて、連結部13と固定部11とを連結することができる。
なお、ここでは突起部20としてめねじを用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、本体片19と一体に形成されるものであってもよい。また突起部20は本体片19にかしめ固定されるものであってもよい。
【0016】
図4に示すように上枠材2を構成する固定部11、可動係止部12、連結部13のそれぞれの間にはスペーサ材10が介在する。
スペーサ材10は樹脂材などからなり、突起部20に挿嵌されるよう孔部10aを備えた円環状とされ、その径寸法は、可動係止部12のスライド孔14a内に落ち込まないようにスライド孔14aの幅方向の大きさより大きく形成される。
スペーサ材10の厚みは、適宜設定され、これにより固定部11と可動係止部12との間、及び可動係止部12と連結部13との間の間隔が決まる。
このように可動係止部12と連結部13との間、及び固定部11と可動係止部12との間にスペーサ材10を介在させることにより、それぞれの間隔を一定に確保するとともに、間隔を一定に保ったまま、可動係止部12を上下方向に可動自在とすることができ、上下方向に可動する際の摺動性の向上も図ることができるので、動きがスムーズになる。
【0017】
下枠材3はパネル体4の下縁部41を下方から受けて拘束するよう形成されており、図5に示すように下枠材3は、取付面9にねじ7で固着される垂直な固定片30と、パネル体4の下縁部41を下方から係止するように形成された水平なパネル受け部31とを備えている。
固定片30は、取付面9に固定片30の面全体が接するように配置され、ねじ7が挿通されるねじ孔34が形成されている。
パネル受け部31は、固定片30の下端部から前方に水平に突出した後、上向きに略直角に屈曲形成されている。
パネル受け部31には、パネル体4の裏面と固定片30との間にできる隙間を埋めるクッション部材8が貼着されており、このクッション部材8の前方に溝部32が形成され、この溝部32にパネル体4の下縁部41を嵌め入れることにより、パネル体4のがたつきを抑制することができる。
【0018】
次に上下枠材2、3へのパネル体4の着脱要領を説明する。
内装パネル装置1の上下枠材2、3にパネル体4を取り付ける際には、パネル体4の左右端部を持って、まず図2に示すように、パネル体4を斜めにして上縁部40をパネル押さえ部15に嵌め入れ、その状態で可動係止部12を上方向に押し上げる(図2の太字矢印方向参照)。上方向への力が作用するとバネ5が伸びて可動係止部12が上方向に移動し、上枠材2と下枠材3の間の空間が広くなり、下枠材3の溝部32にパネル体4の下縁部41を嵌め入れやすい状態となる。上枠材2のパネル押さえ部15にパネル体4の上縁部40を嵌め入れた状態で、パネル体4の下縁部41を下枠材3に向けていき、パネル体4を起立させた状態でパネル体4の下縁部41を溝部32に嵌め入れる。
パネル体4の上下縁部40、41が上下枠材2、3によって保持され、可動係止部12の上方向への押圧が解除されると、可動係止部12の自重と上方向に伸びていたバネ5の復元作用によって、可動係止部12はパネル体4の上端部40を係止する位置に保持される(図1参照)。このとき、パネル体4が保持されている状態(取付状態)においても、バネ5が若干伸びている状態を維持できれば、バネ5の力が下向きに作用するので、パネル体4が上下枠材2、3で挟み込まれた状態となり、パネル体4を強固に保持することができる。
【0019】
上下枠材2、3からパネル体4を取り外す際には、上下枠材2、3によって保持された(図1の状態)のパネル体4の左右端部を持ち、上方向に力をかけパネル体4の上縁部40で可動係止部12を押し上げる。すると、可動係止部12に上方向の力が作用するとバネ5が伸びて可動係止部12が上方向に移動し、上枠材2と下枠材3の間の空間が広くなり、下枠材3の溝部32に嵌め入れられたパネル体4の下縁部41が取り外しやすい状態となる。
パネル体4の上縁部40で可動係止部12を押し上げながら(図2の状態)、パネル体4の下縁部41を溝部32から取り外し、その後、パネル体4の上縁部40をパネル押さえ部15から外せば上下枠材2、3からパネル体4を取り外すことができる。
【0020】
以上によれば、パネル体4の左右端部を持ってパネル体4の上縁部40で可動係止部12を押し上げれば、上下枠材2、3間の間隔を広げることができ、パネル体4の取り付け及び取り外しが容易にできる。
よってパネル体4のサイズ、重さに関わらず、パネル体4の左右端を持つことで両手が塞がった状態でも上下枠材2、3間への着脱が容易にできる。
なお、パネル体4の着脱要領は、上述の例に限定されるものではなく、例えば可動係止部12は手で引き上げてもよく、上述のようにパネル体4の上縁部40で押し上げる方法に限定されるものではない。また可動係止部12の保持状態の位置も図1に限定されるものではない。
【0021】
図6は上述の実施形態の変形例を示す図であり、下枠材3とパネル体4の一部を示す斜視図である。上述の例と共通する部分には共通の符号を付し、共通する部分の説明を省略する。
本例は上述の例と異なり、パネル体4に電気機器が内蔵されている。また、パネル体4の下端部には受電用コネクタ42が設けられており、さらに下枠材3には、受電用コネクタ42と接続される供電側コネクタ33が設けられている。
なお、ここでは下枠材3に供電側コネクタ33が設けられているので、上述のクッション材8をこの図では示していないが、供電側コネクタ33が設けられていない場所に、クッション材8を配してもよい。
【0022】
図6に示すパネル体4はスピーカ機能を有するものであって、パネル体4の内部にはスピーカとして機能する電気機器として加振器43が内蔵されており、該加振器43がパネル体4の表面材に振動を付与して音を発生させる。
またパネル体4内にはバッテリー(不図示)が搭載されており、パネル体4を取り外したときには該バッテリーが駆動し、パネル体4がコードレスで使えるよう構成されている。
下枠材3には、電力を供給するための配線35が設けられ、コンセント(不図示)に接続することができるので、先行配線を行い、壁内に配線35を這わせるようにしてもよい。
パネル体4を取り付ける際において、下枠材3の溝部32にパネル体4の下縁部41を嵌め入れるとともに、パネル体4の受電用コネクタ42と下枠材3の供電用コネクタ33とを接合する以外は、上述の例と同様の要領でパネル体4の着脱を行うことができる。
【0023】
これによれば、パネル体4と下枠材3とが電気的接続され、パネル体4に電力を供給することができ、下枠材3を充電器として使用することができる。またパネル体4の着脱が容易なので、メンテナンスがしやすくなり、さらには充電完了後、取り外せば好きな場所に持っていって音楽を楽しむことができる。
なお、ここでは電気機器が内蔵されているパネル体4の例としてスピーカ機能を備えた内装パネルに適用した例について説明したが、これに限定されるものではない。
【0024】
以上の説明では、矩形のパネル体4の例として縦長方形の例を図示して説明したが、横長方形のパネル体4にも適用可能であり、上枠材2、下枠材3の構成及び形状も図示した例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0025】
1 内装パネル装置
2 上枠材
11 固定部
12 可動係止部
3 下枠材
4 パネル体
40 上縁部
41 下縁部
9 取付面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁の取付面に上下に間隔を空けて配置され固着される上枠材及び下枠材と、該上下枠材間に着脱自在に取り付けられる矩形のパネル体とを備えた内装パネル装置であって、
前記上枠材及び前記下枠材は、前記パネル体の上縁部及び下縁部の幅寸法と略同じ幅寸法を有しており、
前記上枠材は、前記取付面に固着される固定部と、該固定部に対して上下にスライド自在に取り付けられ下方向への押圧力を付勢して前記パネル体の前記上縁部を捕捉し拘束する可動係止部とを有し、
前記下枠材は、前記パネル体の下縁部を下方から受けて拘束することを特徴とする内装パネル装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記パネル体には、電気機器が内蔵されており、
前記パネル体の下端部には、前記電気機器が接続された受電用コネクタが設けられており、前記下枠材には、前記受電用コネクタと接続される供電用コネクタが設けていることを特徴とする内装パネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−26886(P2011−26886A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175244(P2009−175244)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】