説明

内視鏡の採光式光源ユニット

【課題】予備電池の準備や交換、管理が煩雑となる電池の使用をなくし、室内の光を被観察体の照明光として利用できるようにする。
【解決手段】集光スタンド11は、室内の光を集光するための大型集光レンズ14(放物面鏡でもよい)、この集光レンズ14の焦点位置に光入射端部材15を介して配置された光ファイバーケーブル12、この光ファイバーケーブル12の光出射端にカップリング光学系18を取り付けたコネクタ17を有する。このコネクタ17は、カップリング光学系23を有する内視鏡20のコネクタ受け22に着脱自在に接続でき、このような構成で、集光レンズ14で集めた室内の光が被観察体照明用光として内視鏡20へ供給される。また、上記コネクタ受け22には、上記集光スタンド11のコネクタ17と電池式光源アダプタとが選択的に接続可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡の採光式光源ユニット、特に携帯用内視鏡等に使用可能となり、内視鏡先端部から被観察体を光照明するために必要となる光源部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置は、内視鏡(スコープ)の先端部から被観察体へ照明光を照射し、この照明された被観察体を光学的に、又は固体撮像素子等を用いて電子的に観察するものであり、この照明光の供給源として、一般に、ハロゲンランプやキセノンランプを商用電源で点灯させる光源装置が用いられる。
【0003】
また、近年では、設備の整った施設以外の各種場所での使用、ベッドサイドでの使用、緊急時の使用等を可能にするため、内視鏡装置の携帯化が進められている。この携帯用内視鏡装置では、下記特許文献1に示されるように、内視鏡に、光源ランプと電池を収納したアダプタを設け、電池電源にて光源ランプを点灯させるように構成することが行われる。
【特許文献1】特開2003−319906号公報
【特許文献2】特開平2−96109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の光源の電源として電池を用いる内視鏡は、電池の寿命が比較的短いため、常に予備の電池を用意していなければならず、この予備電池の準備や交換、管理が煩雑であるという問題がある。また、商用電源とは異なった電気的安全性を維持しなければならないという問題もある。
【0005】
一方、内視鏡装置を使用する室内には、照明器具等の光が満たされており、この光を内視鏡用の被観察体の照明光として利用できれば、経済的であり、利便性の高い光源装置が得られることになる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、予備電池の準備や交換、管理が煩雑となる電池の使用をなくし、室内の光を被観察体の照明光として利用することが可能になる内視鏡の採光式光源ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る内視鏡の採光式光源ユニットは、室内の光を集光するための大型集光光学系(集光レンズや凹面鏡)と、この集光光学系の焦点位置に光入射端が配置され、この集光光学系にて集められた光を伝送する光ファイバー線と、この光ファイバー線の光出射端に配置され、内視鏡に配置されたライトガイドへ光を伝送するためのカップリング光学系と、を設け、室内の光を被観察体照明用光として内視鏡へ供給することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、電池電源によって光源の光を出力する電池式光源アダプタが、着脱自在となる接続部に接続される内視鏡においては、上記カップリング光学系を有し上記内視鏡接続部に着脱自在に接続可能となる接続部を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明の構成によれば、室内の光が集光レンズ又は凹面鏡(放物面鏡)によって集められ、この室内光が光ファイバー線を介しカップリング光学系から内視鏡内のライトガイドへ供給される。例えば、上記集光レンズとして、直径100mm程度のものを用いると、500lx程度の室内光が集められ、内視鏡先端部から、300lx程度の照明光を被観察体へ照射することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の内視鏡の採光式光源ユニットによれば、電池を光源電源として用いる必要がなく、煩雑となる予備電池の準備や交換、管理が不要になる。また、電力を使用せずに、室内の光が被観察体の照明光として有効に利用され、経済性、利便性の高い光源装置が得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図4には、第1実施例に係る内視鏡の採光式光源ユニットの構成が示されており、図示されるように、実施例の光源ユニットは、集光スタンド(レンズスタンド)11と光ファイバーケーブル(線)12を備えている。この集光スタンド11は、例えば直径100mm程度の大型集光レンズ14を上部に設け、内部が逆円錐形空間とされた集光部11a、支持柱11b、例えば直径100mm以上とされた円形底部板11cからなる。
【0011】
図1に示されるように、上記集光スタンド11の集光レンズ14の焦点位置となる集光部11aの円錐形頂点部に、光ファイバーの光入射端部材15が配置され、この光入射端部材15に、上記光ファイバーケーブル12が接続される。この光ファイバーケーブル12は、支持柱11bの内部に配設され、この支持柱11bの下部から外側へ出される。
【0012】
また、上記光ファイバーケーブル12の光出射側には、コネクタ(接続部)17が設けられ、このコネクタ17内に、光ファイバーケーブル12の光出射端に接続される形で集光スタンド側のカップリング光学系18が取り付けられる。一方、内視鏡20には、その先端部20Aから操作部20Cまで光ファイバーからなるライトガイド21が配設されており、この操作部20Cには、上記コネクタ17を着脱自在に連結するコネクタ受け22が設けられ、このコネクタ受け22内に、内視鏡側のカップリング光学系23が取り付けられる。このコネクタ17とコネクタ受け22は、着脱自在となる接続構成とされており、この構成として、例えば嵌合する雄部と雌部からなる単なる差込み嵌合式や回転リングを受け部に螺合結合させる形式等を採用することができる。
【0013】
図3及び図4には、回転リングを用いた螺合結合式の構成が示されており、各図に示されるように、内視鏡20(操作部20C)のコネクタ受け22の外周に雄ネジ部22aが形成される。一方、集光スタンド11側のコネクタ17には、内周に雌ネジ部25aが形成された回転リング25が回転自在に取り付けられる。従って、この回転リング25を回転させ、その雌ネジ部25aをコネクタ受け22の雄ネジ部22aへ螺合結合させることによって、光ファイバーケーブル12が内視鏡操作部20Cに接続される。
【0014】
また、実施例では、上記操作部20Cに対し、従来の電池式光源アダプタも着脱自在に接続できるようになっている。即ち、従来と同様に、電池式光源アダプタ27は、電池28、ランプ29及びカップリング光学系30を有しており、そのコネクタ31に、内周に雌ネジ部32aが形成された回転リング32が回転自在に取り付けられる。従って、この回転リング32の雌ネジ部32aがコネクタ受け22の雄ネジ部22aに螺合結合することで、電池式光源アダプタ27が内視鏡操作部20Cに接続される。
【0015】
このような第1実施例の構成によれば、図1及び図2に示されるように、室内の光が集光レンズ14で集められ、この集められた光は、光入射端部材15から光ファイバーケーブル12を通り、コネクタ17のカップリング光学系18を介して内視鏡側へ伝送される。一方、内視鏡20では、カップリング光学系23を介して伝送された光が受光され、この光は、ライトガイド21を通り、先端部20Aから被観察体へ照明光として照射される。そして、上記集光レンズ14が直径100mm程度の場合には、500lx程度の室内光が集められ、内視鏡先端部20Aから、300lx程度の照明光が被観察体へ照射される。
【0016】
また、集光スタンド11の集光レンズ14に、蛍光灯スタンド等を近づけて集光量を増やすこともでき、これによって、1800lx程度の明るさの光を集めることもできる。
【0017】
そして、実施例では、図3及び図4に示したように、上記の集光スタンド11と電池式光源アダプタ27のいずれかを選択することができ、携帯式内視鏡装置を使用する室内環境に合わせ、最適な形式の光源装置を用いることが可能になっている。
【0018】
図5(A),(B)には、第2実施例に係る内視鏡の採光式光源ユニットの構成が示されており、この第2実施例は、集光光学系として、凹面鏡(放物面鏡)を用いたものである。図5(A)に示されるように、第2実施例の光源ユニットは、第1実施例と同様の集光スタンド等に設けられた放物面鏡34と光ファイバーケーブル35を備えている。この放物面鏡34には、その焦点位置に、光ファイバーの光入射端部材36が設けられ、この光入射端部材36に光ファイバーケーブル35が接続される。このような図5(A)の光源ユニットによれば、放物面鏡34で集光された光が光入射端部材36から光ファイバーケーブル35を介して内視鏡側へ供給される。
【0019】
図5(B)には、第2実施例の変形例の構成が示されており、この変形例は、放物面鏡34Gの中心部に開口37が形成されると共に、焦点位置に反射鏡38が設けられる。そして、上記開口37に、光ファイバーケーブル35が接続された光入射端部材36が配置される。このような図5(B)の光源ユニットによれば、放物面鏡34で集光された光が反射鏡38で反射された後、光入射端部材36へ入射し、この光入射端部材36から光ファイバーケーブル35を介して内視鏡側へ供給される。これらの第2実施例の構成によっても、集められた室内光によって、被観察体の照明が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施例に係る採光式光源ユニットを内視鏡に接続したときの構成を示す断面図である。
【図2】第1実施例の採光式光源ユニットを内視鏡に接続したときの構成を示す斜視図である。
【図3】第1実施例の採光式光源ユニットと内視鏡との接続構成を示す図である。
【図4】第1実施例の内視鏡と電池式光源アダプタとの接続構成を示す図である。
【図5】第2実施例の凹面鏡を用いた採光式光源ユニットの二つの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
11…集光スタンド、 11a…集光部、
11b…支持柱、 12,35…光ファイバーケーブル、
14…大型集光レンズ、 15,36…光入射端部材、
17…コネクタ、 18,23,30…カップリング光学系、
20…内視鏡、 20A…先端部、
21…ライトガイド、 22…コネクタ受け、
34,34G…放物面鏡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の光を集光するための大型集光光学系と、
この集光光学系の焦点位置に光入射端が配置され、この集光光学系にて集められた光を伝送する光ファイバー線と、
この光ファイバー線の光出射端に配置され、内視鏡に配置されたライトガイドへ光を伝送するためのカップリング光学系と、を設け、
室内の光を被観察体照明用光として内視鏡へ供給する内視鏡の採光式光源ユニット。
【請求項2】
電池電源によって光源の光を出力する電池式光源アダプタが、着脱自在となる接続部に接続される内視鏡においては、上記カップリング光学系を有し上記内視鏡接続部に着脱自在に接続可能となる接続部を設けたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡の採光式光源ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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