説明

内視鏡側方照明光学系

【課題】曲げ成形したライトガイドが不要で、内視鏡先端の硬質部の長さを短縮化して操作性を向上でき、配光を均一化し、近接観察においても照野と視野とのパララックスを極力抑え、伝送効率の良い照明ができ、しかも、全体にコンパクト化が可能な内視鏡側方照明光学系の提供。
【解決手段】内視鏡の先端側を向く射出開口11a1を有する光源部11と、光源部の射出開口から射出した照明光を側方に反射する反射面12aと、側視観察光学系20の外周に配置され、断面が略U字状に形成されるとともに、外側面13aが内視鏡の長手方向に沿う所定軸Oを中心としたシリンドリカル形状に形成され、反射面で反射された照明光を側方の観察対象側に向けて導光する光伝送光学部13を有し、光伝送光学部の射出端13cが、内視鏡の長手方向に沿って細長形状に形成され、且つ、側視観察光学系の観察窓21の側方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用の側視型内視鏡の本体部と一体的に又は着脱式に構成されている、先端部から側視観察光学系の視野に位置する観察対象を照明する内視鏡側方照明光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の側方照明光学系としては、例えば次の特許文献1〜3に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−287851号公報
【特許文献2】特開2010−194191号公報
【特許文献3】特開平06−138400号公報
【0004】
特許文献1に記載の側方照明光学系51は、図5に示すように、観察対象を照明するための発光体51aと、発光体51aの先端に設けられた照明レンズ51bを備えている。図5中、52は側視観察光学系、52a,52bは夫々、側視観察光学系52に備わる対物レンズと撮像素子である。発光体51aは、図示しない光源とライトガイド51a1を備えている。照明レンズ51bは、対物レンズ52aよりも内視鏡の先端側に配置されている。ライトガイド51a1は、照明レンズ51b1に射出端が向くように曲げられている。
【0005】
また、特許文献2に記載の側方照明光学系61は、図6(a)に示すように、ライトガイドファイバ束61aと、照明範囲変換部61bを有している。図6中、62は側視観察光学系、62a,62bは夫々、側視観察光学系62に備わる観察窓と側視方向に光路を折り曲げるプリズムである。ライトガイドファイバ束61aは、照明範囲変換部61bに射出端が向くように曲げられている。また、ライトガイドファイバ束61aは、観察窓62aよりも内視鏡の先端側に配置されている。
照明範囲変換部61bは、図6(b)に示すように、第1反射面61b11と第2反射面61b12を有する反射板61b1と、変換部本体61b2を有している。変換部本体61b2は、側視観察光学系62の観察窓62aやライトガイドファイバ束61aを内部に配置可能な透明円筒形状に形成され、さらに、観察窓62aを外部に露出させるための開口61b21を備えている。
そして、特許文献2に記載の側方照明光学系61は、ライトガイドファイバ束61aの射出端から射出した光を第1反射面61b11で変換部本体61b2の外周方向に反射し、変換部本体61b2内を進んだ光をさらに第2反射面61b12で変換部本体61b2の外部に向けて反射するようになっている。
【0006】
また、特許文献3に記載の一例としての側方照明光学系71は、図7に示すように、ライトガイド71aと、光学素子71bを有している。図7中、72a,72bは側視観察光学系72に備わる側視方向に光路を折り曲げるプリズムと対物レンズ、73はイメージガイドである。
ライトガイド71aは、側視観察光学系72及びイメージガイド73を取り巻くようなU字型(図7(c))或いはカマボコ型(図7(d))に形成されている。光学素子71bは、ライトガイド71aの射出端に当接する入射面71b1と入射面71b1から入射した光を反射する球面状の反射面71b2と、反射面71b2で反射された光を射出する射出面71b3を有し、側視観察光学系72よりも内視鏡の先端側に配置されている。
そして、特許文献3に記載の一例に記載の側方照明光学系71は、ライトガイド71aの射出端から射出した光を、光学素子71bの入射面71b1から取り込み、球面状の反射面71b2で反射することによって一旦集光させた後に拡散させて、射出面71b3から射出するようになっている。
【0007】
また、特許文献3に記載の他の例としての側方照明光学系71’は、図8に示すように、ライトガイド71a’と、光学素子71b’を有している。図8中、72a’,72b’は側視観察光学系72’に備わる側視方向に光路を折り曲げるプリズムと対物レンズ、73’はイメージガイドである。
光学素子71b’は、側視観察光学系72’の外周を覆う中空円筒を円筒の軸方向に平行に上部を切断してなり、断面がU字型に形成されている。そして、光学素子71b’は、ライトガイド71a’の射出端に当接する入射面71b1’と、入射面71b1’に対向する他方の面を側視観察光学系72’のプリズム72a’の反射面に沿って傾斜する反射面71b2’と、入射面71b1’に垂直な射出面71b3’を有している。ライトガイド71a’は、光学素子71b’の入射面71b1’に合せてU字型に形成され、或いはライトガイド束の集合体としてU字型に配置されている。
そして、特許文献3に記載の他の例に記載の側方照明光学系71’は、ライトガイド71a’の射出端から射出した光を、光学素子71b’の入射面71b1’から取り込み、反射面71b2’で反射し、射出面71b3’から射出するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1、2に記載の側方照明光学系のように、ライトガイドを曲げて、その射出端を側視観察光学系の観察窓よりも内視鏡先端側に配置すると、その分、内視鏡先端の硬質部が長くなってしまい、操作性が悪くなる。
また、内視鏡先端部の長手方向に沿って側方照明光学系の射出端と側視観察光学系の観察窓を配置すると、照野と視野が離れ易い。このため、側視観察系の視野と照明光学系の照野とのパララックスによる配光ムラを生じ易く、特に近接観察の場合、観察画像における先端側の視野範囲だけが明るくなってハレーションを生じ易い。
内視鏡先端部の長さを短くするためにはライトガイドを曲げる部位の曲率半径を小さくすることが望ましいが、小さい曲率半径でライトガイドを曲げるとファイバーが折れ易くなり、光が漏れて光量損失を生じ、伝送効率が悪くなる。
【0009】
これに対し、特許文献3に記載の側方照明光学系は、ライトガイドを曲げていない。
しかし、図7の例の側方照明光学系71のように、光学素子71bを側視観察光学系72の側視方向に光路を折り曲げるプリズム72aよりも内視鏡の先端側に配置すると、その分、特許文献1、2に記載の側方照明光学系と同様に、内視鏡先端の硬質部が長くなってしまい、操作性が悪くなる。
また、図7、図8のいずれの例の側方照明光学系のように、ライトガイド71a,71a’をU字型や半円型に形成、或いはライトガイド束を集合体としてU字型や半円型に配置する構成では、ライトガイドの加工や配置が煩雑化する。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、曲げ成形したライトガイドが不要で、内視鏡先端の硬質部の長さを短縮化して操作性を向上でき、配光を均一化し、近接観察においても照野と視野とのパララックスを極力抑え、伝送効率の良い照明ができ、しかも、全体にコンパクト化が可能な内視鏡側方照明光学系を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明による内視鏡側方照明光学系は、内視鏡先端部の側方に位置する観察対象からの光を取り込む観察窓を有する側視観察光学系を備えた内視鏡において該内視鏡先端部の側方に位置する観察対象を照明する側方照明光学系であって、前記内視鏡の先端側を向いた射出開口を有する光源部と、前記光源部の前記射出開口から射出した照明光を側方に反射する反射面と、前記側視観察光学系の外周に配置され、断面が略U字状又は略J字状に形成されるとともに、外側面が内視鏡の長手方向に沿う所定軸を中心としたシリンドリカル形状に形成されていて、前記反射面で反射された照明光を前記内視鏡先端部の側方に位置する観察対象側に向けて導光する光伝送光学部を有し、前記光伝送光学部の射出端が、内視鏡の長手方向に沿って細長形状に形成され、且つ、前記観察窓の側方に配置されていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、前記光伝送光学部の前記射出端の近傍に、散乱面を備えるのが好ましい。
【0013】
また、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、次の条件式を満足するのが好ましい。
1.45<nIN
但し、nINは前記光伝送光学部の屈折率である。
【0014】
また、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、次の条件式を満足するのが好ましい。
0.4<r/R
但し、Rは前記光伝送光学部の前記外側面におけるシリンドリカル形状をなす円弧の半径、rは前記円弧の中心から前記光源部の前記射出開口の中心までの距離である。
【0015】
また、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、次の条件式を満足するのが好ましい。
1.4<nIN/nOUT
但し、nINは前記光伝送光学部の屈折率、nOUTは前記光伝送光学部の前記外側面に接する物質の屈折率である。
【0016】
また、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、前記光伝送光学部の前記外側面に、反射膜を備えるのが好ましい。
【0017】
また、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、前記反射面は、前記光源部の射出光軸と前記光伝送光学部の前記外側面におけるシリンドリカル形状をなす円弧の中心とを含む仮想平面内において前記射出光軸に対して垂直な仮想直線と、前記反射面の反射光軸とのなす角度が90°±20°となり、且つ、前記反射面の法線と、前記光源部の射出光軸とのなす角度が45°±20°となる向きに配置するのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、曲げ成形したライトガイドが不要で、内視鏡先端の硬質部の長さを短縮化して操作性を向上でき、配光を均一化し、近接観察においても照野と視野とのパララックスを極力抑え、伝送効率の良い照明ができ、しかも、全体にコンパクト化が可能な内視鏡側方照明光学系が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる内視鏡側方照明光学系の要部構成を示す説明図で、(a)は内視鏡側方照明光学系を光源部側からみた正面図,(b)は(a)の側面図、(c)は(a)を上方から見た図、(d)は内視鏡側方照明光学系を内視鏡先端側からみた斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかる内視鏡側方照明光学系の要部構成を示す説明図で、(a)は内視鏡側方照明光学系を光源部側からみた正面図,(b)は(a)の側面図、(c)は(a)を上方から見た図、(d)は内視鏡側方照明光学系を内視鏡先端側からみた斜視図である。
【図3】本発明の第3実施形態にかかる内視鏡側方照明光学系の要部構成を示す説明図で、(a)は内視鏡側方照明光学系を光源部側からみた正面図,(b)は(a)の側面図、(c)は(a)を上方から見た図、(d)は内視鏡側方照明光学系を内視鏡先端側からみた斜視図である。
【図4】本発明の上記各実施形態の内視鏡側方照明光学系を用いた内視鏡先端部の外観を示す説明図で、(a)は先端部が本体部と一体的に構成されたタイプの側視型内視鏡に用いた例を示す図、(b)は先端部が内視鏡本体部と着脱可能に構成されたタイプの側視用内視鏡先端部に用いた例を示す図である。
【図5】特許文献1に記載の側方照明光学系の要部構成を示す側視内視鏡先端部の断面図である。
【図6】特許文献2に記載の側方照明光学系の要部構成を示す説明図で、(a)は側視内視鏡先端部の断面図、(b)は側方照明光学系の斜視図である。
【図7】特許文献3に記載の側方照明光学系の一例の要部構成を示す説明図で、(a)は側視内視鏡先端部の光軸に沿う断面図、(b)は側視内視鏡先端部の平面図、(c)は側方照明光学系を内視鏡先端側から見た側面図、(d)は(c)の変形例を示す側面図である。
【図8】特許文献3に記載の側方照明光学系の他の例の要部構成を示す説明図で、(a)は側視内視鏡先端部の光軸に沿う断面図、(b)は側視内視鏡先端部の平面図、(c)は側方照明光学系を内視鏡先端側から見た側面図、(d)は側方照明光学系を構成する光学素子の斜視図である。
【図9】特許文献1,2に記載の側方照明光学系のように、先端部を曲げ成形したライトガイドを備えたタイプの側方照明光学系の基本的な構成例を示す説明図である。
【図10】図9に示すタイプの側方照明光学系による側視観察光学系の視野での照明光の配光状態を示す説明図で、(a)は通常観察時での配光状態を示す図、(b)は近接観察時での配光状態を示す図である。
【図11】図8の例の側方照明光学系において、光学素子71b’の入射面71b1’の形状に合せることなく一つのライトガイドを備えた場合の構成を示す説明図で、(a)は側方照明光学系を内視鏡先端側から見た側面図、(b)は側視内視鏡先端部の光軸に沿う断面図である。
【図12】本発明の内視鏡側方照明光学系を構成する光伝送光学部の外側面におけるシリンドリカル形状をなす円弧の半径と、円弧の中心から光源部の射出開口の中心までの距離との関係を示す説明図で、(a)は光源部の射出開口が外側面から離れた位置に配置された構成例を示す図、(b)は光源部の射出開口が外側面に近い位置に配置された構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態の説明に先立ち、従来技術の問題点を図面で詳しく示しながら、本発明の作用効果について説明する。
図9は特許文献1,2に記載の側方照明光学系のように、先端部を曲げ成形したライトガイドを備えたタイプの側方照明光学系の基本的な構成例を示す説明図である。この基本構成と同様の構成例は、特許文献1における図15に従来技術として示されている。
内視鏡先端部81は、内視鏡本体部82と一体的に構成またはアダプタ式に着脱可能に構成されている。図9では、内視鏡先端部81をアダプタ式に構成した例で示してある。
側視観察光学系83は、対物レンズ83aと、反射面83b1を備えたプリズム83bを有している。図9中、83c,83dはレンズ、83eは撮像素子である。図9の例では、対物レンズ83aが観察窓を兼ねている。
側方照明光学系84は、図示しない光源と、ライトガイド84aと、照明レンズ84bを有している。ライトガイド84aは、射出端84a1が照明レンズ84bに向くように曲げられており、これによって、側視観察光学系83の視野方向に光を伝送することができるようになっている。
このような構成において、側視観察光学系83の対物レンズ83aと側方照明光学系84の照明レンズ84bは、それぞれ所定の大きさの径を有している。このため、その分、側視観察光学系83の入射光軸と側方照明光学系84の射出光軸との間隔dが、大きく離れ、これに伴い内視鏡先端部81の長さLも長くなる。
【0021】
ところで、内視鏡観察において、曲がった細い管の内部などの狭い空間を観察するためには、内視鏡先端の硬質部は極力短くすることが、操作性の向上のために必要である。
しかるに、内視鏡先端部81の長さLが長くなると、その分、内視鏡先端の硬質部が長くなって、その分、操作性が悪くなり、観察できる部位が限定されてしまう。
【0022】
また、側視観察光学系83の入射光軸と側方照明光学系84の射出光軸との間隔dが離れれば離れるほど、側視観察光学系83の視野と側方照明光学系84の照野とのパララックスが大きくなる。その結果、例えば図10(a)に示すように、近点(内視鏡の先端側)から遠点に行くに従って暗くなるような配光ムラを生じ易く、特に近接観察においては、図10(b)に示すように、側視観察光学系83の視野における内視鏡の先端側領域が明る過ぎてハレーションを生じる一方、反対側領域が暗くなり、得られる観察画像に悪影響を及ぼし易い。
【0023】
また、内視鏡において、狭い空間を観察できるようにするためには、内視鏡先端部の長さを短くすることに加えて、内視鏡先端部の径を極力小型化する必要がある。このため、図9の例のように、ライトガイド84aを曲げ成形するとしても、極力小さい曲率半径で曲げることが望まれる。
【0024】
しかし、ライトガイドを曲げる曲率半径を小さくして成形するのは、非常に困難であり歩留まりが悪くなる。また、曲率半径を小さくして曲げ成形しようとすると、成形したライトガイドが折れて光が漏れ、伝送効率が低下し易い。この点に関し、図5に示した特許文献1の例では、観察光学系の対物系の先端面から撮像面までを真っ直ぐに配置して、ライトガイド51a1を曲げる曲率半径を大きくしているが、それでは、内視鏡先端部の径が大型化し、狭い空間を観察することができない。
【0025】
さらに、図9に示すように、内視鏡先端部81を内視鏡本体部82に対し着脱可能なユニットで構成する場合には、内視鏡本体部81に備わるライトガイド84a1にさらに内視鏡先端部81のライトガイド84a2が加わることになり、その分、光の伝送効率が低下してしまう。
【0026】
また、特許文献3に記載の側方照明光学系は、上述したように、図7、図8の例のいずれも、光学素子71b,71b’の入射面71b1,71b1’の形状に合せて、ライトガイド71a,71a’をU字型や半円型に成形、あるいはライトガイド束を集合体としてU字型や半円型に配置しており、ライトガイドの加工や配置が煩雑化する。ここで、例えば、図8の例の側方照明光学系において、図11に示すように、光学素子71b’の入射面71b1’の形状に合せることなく一つのライトガイドを備えるのでは、反射面71b2’で反射した光が偏り易く、配光状態が偏るとともに伝送効率が悪くなる。
【0027】
さらに、図7の例の側方照明光学系では、上述したように、光学素子71bにおける反射面71b2及び射出面71b3の一部を、観察光学系72の側視方向に光路を折り曲げるプリズム72aよりも内視鏡の先端側に配置した構成であるため、その分、内視鏡先端の硬質部が長くなってしまい、操作性が悪くなる。
【0028】
しかるに、本発明の内視鏡側方照明光学系は、内視鏡先端部の側方に位置する観察対象からの光を取り込む観察窓を有する側視観察光学系を備えた内視鏡において、内視鏡先端部の側方に位置する観察対象を照明する側方照明光学系であって、内視鏡の先端側を向いた射出開口を有する光源部と、光源部の射出開口から射出した照明光を側方に反射する反射面と、側視観察光学系の外周に配置され、断面が略U字状又は略J字状に形成されるとともに、外側面が内視鏡の長手方向に沿う所定軸を中心としたシリンドリカル形状に形成されていて、反射面で反射された照明光を内視鏡先端部の側方に位置する観察対象側に向けて導光する光伝送光学部を有し、光伝送光学部の射出端が、内視鏡の長手方向に沿って細長形状に形成され、且つ、観察窓の側方に配置されている。
このため、本発明の内視鏡側方照明光学系によれば、曲げ成形するライトガイドが不要となり、伝送効率良く明るい側方照明をすることができる。また、側視観察光学系から入射する光軸と光伝送光学部の細長形状に形成された射出端から射出する光軸との間隔dを極力短くすることができるので画像の配光ムラや近接観察時のハレーションを極力低減できる。さらに、内視鏡先端部の長さLを短くすることができ、操作性が向上し、より狭い空間を観察することができるようになる。
【0029】
なお、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、光伝送光学部の射出端の近傍に、散乱面を備えるのが好ましい。
このようにすれば、照明光の配光ムラをなくすことができる。
【0030】
また、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、次の条件式(1)を満足するのが好ましい。
1.45<nIN ・・・(1)
但し、nINは光伝送光学部の屈折率である。
条件式(1)を満足すれば、臨界角が小さくなって光伝送光学部の内部に入射した光を外側面で全反射し易くなり、伝送効率を上げることができる。
【0031】
また、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、次の条件式(2)を満足するのが好ましい。
0.4<r/R ・・・(2)
但し、Rは光伝送光学部の前記外側面におけるシリンドリカル形状をなす円弧の半径、rは円弧の中心から光源部の射出開口の中心までの距離である。
光伝送光学部を省スペース化して、その内部に入射した光を伝送するには、光源部の射出開口と光伝送光学部の外側面とが互いに極力近づくような配置構成とするのが望ましい。
【0032】
図12は本発明の内視鏡側方照明光学系を構成する光伝送光学部の外側面におけるシリンドリカル形状をなす円弧の半径と、円弧の中心から光源部の射出開口の中心までの距離との関係を示す説明図で、(a)は光源部の射出開口が外側面から離れた位置に配置された構成例を示す図、(b)は光源部の射出開口が外側面に近い位置に配置された構成例を示す図である。
図12(a)に示すように、光源部の射出開口Aを外側面Bから離れた位置に配置すると、その分、側視観察光学系を配置するための内側領域Cのスペースが狭くなる。また、光源部を射出し、図示しない反射面で反射された照明光の外側面Bへの入射角が小さくなるので、その分、外側面Bで全反射されないで外側面Bを透過して外部に漏れ出てしまう光が多くなって、伝送効率が低下し易い。また、外側面Bに反射膜を設ければ、外部への光の漏れ出しを阻止できるが、外側面Bへの入射角が小さいと内側面Dの方向へ反射され、内側面Dと外側面Bとの間で反射を繰り返すことで反射膜に吸収されてロスする光量が多くなり、その分、伝送効率が低下し易い。
【0033】
これに対し、図12(b)に示すように、光源部の射出開口Aを外側面Bに近い位置に配置すると、その分、側視観察光学系を配置するための内側領域Cのスペースを広く確保することができる。また、光源部を射出し、図示しない反射面で反射された照明光の外側面Bへの入射角が大きくなるので、その分、外側面Bで全反射され易くなって、外側面Bの外部に漏れ出てしまう光量が減少し、外側面Bに沿って全反射されながら光線が移動し、伝送効率が向上する。また、照明光束を全反射しながら伝搬する殆どの領域が、外側面Bに沿った領域となるので、内側面Dを外側面Bに近づけることができ、内側領域Cのスペースを大きく確保できる。また、内側領域Cのスペースを側視観察光学系を配置するのに必要な最小限度確保して外側面Bを内側面Dに近づけることもできる。このようにすれば、内視鏡先端部の径をより一層コンパクト化できる。
【0034】
しかるに、本発明の内視鏡側方照明光学系において、条件式(2)を満足すれば、内側の観察光学系を配置するスペースを確保でき、しかも伝送効率を良好なものとすることができる。
【0035】
また、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、次の条件式(3)を満足するのが好ましい。
1.4<nIN/nOUT ・・・(3)
但し、nINは光伝送光学部の屈折率、nOUTは光伝送光学部の外側面に接する物質の屈折率である。
条件式(3)を満足すれば、光伝送光学部の外側面に接する物質の屈折率に対する光伝送光学部の屈折率の比率が大きくなるので、光源部を射出し反射面で反射された光を外側面で全反射し易くなり、その結果、伝送効率を上げることができる。
【0036】
また、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、光伝送光学部の外側面に、反射膜を備えるのが好ましい。
このようにすれば、屈折率が条件式(1)を満足せず、光源部を射出し反射面で反射された光が外側面に臨界角よりも小さい角度で入射するような構成の光伝送光学部であっても、反射面の外部への光の漏れ出しを阻止でき、伝送効率を良好なものにすることができる。
【0037】
また、本発明の内視鏡側方照明光学系においては、反射面は、光源部の射出光軸と光伝送光学部の外側面におけるシリンドリカル形状をなす円弧の中心とを含む仮想平面内において射出光軸に対して垂直な仮想直線と、反射面の反射光軸とのなす角度が90°±20°となり、且つ、反射面の法線と、光源部の射出光軸とのなす角度が45°±20°となる向きに配置するのが好ましい。
このような範囲の向きに反射面を配置すれば、光伝送光学部の外側面を介して良好な伝送効率を維持して照明光を伝送することができる。
【0038】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態にかかる内視鏡側方照明光学系の要部構成を示す説明図で、(a)は内視鏡側方照明光学系を光源部側からみた正面図,(b)は(a)の側面図、(c)は(a)を上方から見た図、(d)は内視鏡側方照明光学系を内視鏡先端側からみた斜視図である。
本実施形態の内視鏡側方照明光学系10は、光源部11と、反射面12aと、光伝送光学部13を有する。
光源部11は、ハロゲンやキセノン、或いはLED等の光源(図示省略)と、ライトガイド11aを有し、内視鏡の長手方向に沿って配置されている。
ライトガイド11aの射出端11a1は、光源部11の射出開口をなし、内視鏡の先端側を向いている。
反射面12aは、図1(c)に示すように、Vの字状に切りかかれた楔形状部12における楔面を構成する夫々の面に設けられており、光源部11の射出開口から射出した照明光を2つに分割して夫々の側方に反射する。
【0039】
光伝送光学部13は、側視観察光学系20の外周に配置されている。図1(a)中、21は対物レンズ、22は側視方向に光路を折り曲げる偏向部材である。図1の例では、対物レンズ21の入射面21aは、側視観察光学系20における観察窓をなしている。
また、光伝送光学部13は、楔形状部12と相俟って断面が略U字状に形成され且つ外側面13aが内視鏡の長手方向に沿う軸O1を中心としたシリンドリカル形状に形成されている。そして、光伝送光学部13は、反射面12aで反射された照明光を内視鏡先端部の側方に位置する観察対象側に向けて導光するようになっている。光伝送光学部13の内側面13bは、凹状に形成されている。外側面13aの円弧は、軸O1を中心として180度以上の角度を有している。
光伝送光学部13の射出端13cは、内視鏡の長手方向に沿って細長形状に形成され、且つ、側視観察光学系20の観察窓21aの側方に配置されている。
また、光伝送光学部13は、1.45以上の屈折率を持つプラスチックや高屈折率ガラスなどの材料を用いて成形されている。
【0040】
また、第1実施形態の内視鏡側視照明光学系10は、光伝送光学部13の外側面13aにおけるシリンドリカル形状をなす円弧の半径をR、円弧の中心O1から光源部11の射出開口(ライトガイド11aの射出端11a1)の中心O2までの距離をrとするとき、次の条件式(2)を満足している。
0.4<r/R ・・・(2)
また、光伝送光学部13の外側面13aは空気に接しており、光伝送光学部13の屈折率をnIN、光伝送光学部13の外側面13aに接する物質(空気)の屈折率をnOUTとするとき、次の条件式(3)を満足している。
1.4<nIN/nOUT ・・・(3)
なお、光伝送光学部13は、外側面13aに反射膜を備えてもよい。
また、反射面12aは、図1(a)に示すように、光源部11の射出光軸と光伝送光学部13の外側面13aにおけるシリンドリカル形状をなす円弧の中心O1とを含む仮想平面内(不図示)において、光源部11の射出光軸に対して垂直な仮想直線(図1(a)における円弧の中心O1と光源部11の射出開口の中心O2とを結ぶ直線)と、反射面12aの反射光軸とのなす角度αが90°±20°となり、且つ、図1(c)に示すように、反射面12aの法線と、光源部11の射出光軸とのなす角度βが45°±20°となる向きに配置されている。
また、光伝送光学部13の射出端13cの近傍の射出光軸上には、散乱面14aを備えた細長矩形状の光学部材14が備えられている。散乱面14aは、細長矩形状の光学部材14を構成する2つの光学部材141,142の間に挟まれている。なお、散乱面14aは、2つの光学部材141,142の間の代わりに、細長矩形状の光学部材14の入射面141a又は射出面142aに備えてもよい。
【0041】
このように構成された本実施系形態の側方照明光学系10では、光源部11の射出開口から射出した照明光は、反射面12aで2つに分割されて夫々の側方に反射され、夫々の外側面13aに入射する。夫々の外側面13aは、入射した照明光を全反射又は反射しながら細長形状に形成された射出端13cに導光する。射出端13cを射出した照明光は、光学部材14に入射し、散乱面14aで散乱されて光学部材14を射出する。光学部材14を射出した照明光は、側視観察光学系20の視野範囲を照明する。
【0042】
本実施形態の内視鏡側方照明光学系10によれば、曲げ成形するライトガイドが不要となり、伝送効率良く明るい側方照明をすることができる。また、側視観察光学系20に入射する光軸とライトガイドの射出端から射出する光軸との間隔dを極力短くすることができるので、観察画像の配光ムラを極力低減し、特に、近接観察時のハレーションを低減できる。さらに、内視鏡先端部の長さLも短くすることができるので、より狭い空間を観察することができる。
【0043】
また、光伝送光学部13の射出端13cの近傍に、散乱面14aを備えたので、照明光の配光ムラをなくすことができる。
また、条件式(1)を満足するので、臨界角が小さくなって光伝送光学部13の内部に入射した光を外側面13aで全反射し易くなり、伝送効率を上げることができる。
また、条件式(2)を満足するので、側視観察光学系20を配置する内側領域のスペースを大きく確保でき、伝送効率を良好なものとすることができる。
また、条件式(3)を満足するので、光伝送光学部13の外側面13aに接する物質の屈折率に対する光伝送光学部13aの屈折率の比率が大きくなり、光源部11を射出し反射面12aで反射された光を外側面13aで全反射し易くなる。その結果、伝送効率を上げることができる。
また、光伝送光学部13の外側面13aに反射膜を備えたので、仮に、光伝送光学部13の屈折率が小さくても、光源部11を射出し反射面12aで反射された光を外側面13aで反射し易くなり、伝送効率を良好なものにすることができる。
また、光伝送光学部13の反射面13aを、光源部11の射出光軸と光伝送光学部13の外側面13aにおけるシリンドリカル形状をなす円弧の中心O1とを含む仮想平面内において、光源部11の射出光軸に対して垂直な仮想直線と、反射面12aの反射光軸とのなす角度αが90°±20°となり、且つ、反射面12aの法線と、光源部11の射出光軸とのなす角度βが45°±20°となる向きに配置したので、光伝送光学部13の外側面13aを介して良好な伝送効率を維持して照明光を伝送することができる。
【0044】
第2実施形態
図2は本発明の第2実施形態にかかる内視鏡側方照明光学系の要部構成を示す説明図で、(a)は内視鏡側方照明光学系を光源部側からみた正面図,(b)は(a)の側面図、(c)は(a)を上方から見た図、(d)は内視鏡側方照明光学系を内視鏡先端側からみた斜視図である。
本実施形態の内視鏡側視照明光学系10’では、光伝送光学部13’は、外側面13aと内側面13bが、軸O1を中心とする同心円上に位置する円柱面に形成され、肉厚が光源部11の射出開口(ライトガイド11aの射出端11a1)の直径と略同じ大きさを有しており、光源部11の射出開口は、外側面13aに近い位置に配置されている。
その他の構成は、第1実施形態の内視鏡側視照明光学系と略同じである。
【0045】
本実施形態の内視鏡側方照明光学系10’によれば、光源部1の射出開口を光伝送光学部13’の外側面13aに近い位置に配置したので、側視観察光学系20を配置するための内側領域のスペースを大きく確保できる上、反射面12aで反射された光を外側面13aの全範囲にわたって全反射しやすくなり、伝送効率をより一層良好なものとすることができる。
その他の作用効果は、第1実施形態の内視鏡側方照明光学系10と略同じである。
【0046】
第3実施形態
図3は本発明の第3実施形態にかかる内視鏡側方照明光学系の要部構成を示す説明図で、(a)は内視鏡側方照明光学系を光源部側からみた正面図,(b)は(a)の側面図、(c)は(a)を上方から見た図、(d)は内視鏡側方照明光学系を内視鏡先端側からみた斜視図である。
本実施形態の内視鏡側方照明光学系10”では、光伝送光学部13”は、外側面13aと内側面13bがそれぞれ異なる第1の軸O11、第2の軸O12を中心とする非同心の半径R1,R2を持つ円柱面に形成され、肉厚が反射面12aに対向する部位から射出面13cに向かうに従って薄くなっている。内側面13bの円弧は、第2の軸O12を中心として180度の角度にとどめている。
散乱面14aを備える光学部材14は、第1及び第2実施形態に比べて、入射面141aから射出面142aまでの厚みが大きくなっている。また、入射面141a及び射出面142aのまわりの側面には、反射膜が備えられている。
その他の構成は、第1実施形態の内視鏡側方照明光学系と略同じである。
【0047】
本実施形態の内視鏡側方照明光学系10”によれば、側視観察光学系20を配置する内側領域のスペースを確保しながら、側視観察光学系20の外周に配置する光学部材の外径を極力小さくすることができ、より一層狭い空間を観察することができる。また、全体のコンパクト化を達成しがなら、外側面13aの円弧の曲率半径を大きくすることができるので、反射面12aで反射された光を外側面13aで全範囲にわたって全反射しやすくなり、伝送効率をより一層良好なものとすることができる。
その他の作用効果は、第1実施形態の内視鏡側方照明光学系と略同じである。
【0048】
このように構成される上記各実施形態の内視鏡側方照明光学系は、図4に示すように、内視鏡先端部が本体部と一体型の内視鏡、内視鏡先端部が本体部に着脱可能な内視鏡のいずれにも適用できる。
図4は本発明の上記各実施形態の内視鏡側方照明光学系を用いた内視鏡先端部の外観を示す説明図で、(a)は先端部が本体部と一体的に構成されたタイプの側視型内視鏡に用いた例を示す図、(b)は先端部が内視鏡本体部と着脱可能に構成されたタイプの側視用内視鏡先端部に用いた例を示す図である。図4中、1は側視型内視鏡、1aは側視型内視鏡先端部、1a1は側視用内視鏡先端部、1a2は前方観察用内視鏡先端部、1bは内視鏡本体部、20’は前方観察用観察光学系、21’は前方観察用照明光学系である。
【0049】
以上、本発明の実施形態の内視鏡側方照明光学系について説明したが、各実施形態の内視鏡側方照明光学系においては、光伝送光学部は、図1〜図3に示したような断面がU字状のものに限定されるものではなく、例えば断面がJ字状に形成されたものでもよい。その場合、反射面12aは、光源部11からの光を一方に反射させるように構成したものを用いるとよい。
また、図1〜3に示した上記各実施形態の内視鏡側方照明光学系では、光伝送光学部13(13’,13”)の外側面13aに空気が接する構成としたが、外側面13aは、接着剤を介して内視鏡先端部筐体に固定されていてもよい。その場合において、光伝送光学部13(13’,13”)の屈折率と接着剤の屈折率とに関し、条件式(3)を満足することができないときは、光伝送光学部13(13’,13”)の外側面13aに反射膜を備えるとよい。また、上記各実施形態においては、反射面12aを、Vの字の楔形状部12の楔面を構成する夫々の面に設けたが、楔形状部を介在させずに直接備えても良い。
また、反射面12aを有する楔形状部12と光伝送光学部13(13’,13”)は、互いを一体成形又は接合のいずれでもよい。
また、上記各実施形態の内視鏡側方照明光学系では、光伝送光学部13(13’,13”)の射出端13cを、内視鏡の長手方向に沿う細長形状に形成したが、例えば、ある程度の幅を持たせた矩形状に形成してもよい。
また、本発明の内視鏡側方照明光学系は、工業用の側視型内視鏡に用途が限定されるものではなく、例えば、医療用の側視型内視鏡に用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の内視鏡側方照明光学系は、例えば、スペースの狭い観察空間において側方に位置する観察対象を観察することが求められるあらゆる分野に有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 側視型内視鏡
1a 側視型内視鏡先端部
1a1 側視用内視鏡先端部
1a2 前方観察用内視鏡先端部
1b 内視鏡本体部
10、10’、10” 内視鏡側方照明光学系
11a ライトガイド
11a1 射出端
12 Vの字状に切りかかれた楔形状部
12a 反射面
13、13’、13” 光伝送光学部
13a 外側面
13b 内側面
13c 射出端
14、141、142 光学部材
14a 散乱面
141a 入射面
142a 射出面
20 側視観察光学系
20’ 前方観察用観察光学系
21 対物レンズ
21a 入射面(観察窓)
21’ 前方観察用照明光学系
22 偏向部材
51 側方照明光学系
51a 発光体
51a1 ライトガイド
51b 照明レンズ
52 側視観察光学系
52a 対物レンズ
61 側方照明光学系
61a ライトガイドファイバ束
61b 照明範囲変換部
61b1 反射板
61b11 第1反射面
61b12 第2反射面
61b2 変換部本体
61b21 開口
62 側視観察光学系
62a 観察窓
62b プリズム
71 側方照明光学系
71a ライトガイド
71b 光学素子
71b1 入射面
71b2 反射面
71b3 射出面
72 側視観察光学系
72a プリズム
72b 対物レンズ
73 イメージガイド
71’ 側方照明光学系
71a’ ライトガイド
71b’ 光学素子
71b1’ 入射面
71b2’ 反射面
72’ 側視観察光学系
72a’ プリズム
72b’ 対物レンズ
73’ イメージガイド
81 内視鏡先端部
82 内視鏡本体部
83 側視観察光学系
83a 対物レンズ
83b プリズム
83b1 反射面
83c、83d レンズ
83e 撮像素子
84 側視観察光学系
84a ライトガイド
84a1 射出端
84b 照明レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡先端部の側方に位置する観察対象からの光を取り込む観察窓を有する側視観察光学系を備えた内視鏡において該内視鏡先端部の側方に位置する観察対象を照明する側方照明光学系であって、
前記内視鏡の先端側を向いた射出開口を有する光源部と、
前記光源部の前記射出開口から射出した照明光を側方に反射する反射面と、
前記側視観察光学系の外周に配置され、断面が略U字状又は略J字状に形成されるとともに、外側面が内視鏡の長手方向に沿う所定軸を中心としたシリンドリカル形状に形成されていて、前記反射面で反射された照明光を前記内視鏡先端部の側方に位置する観察対象側に向けて導光する光伝送光学部を有し、
前記光伝送光学部の射出端が、内視鏡の長手方向に沿って細長形状に形成され、且つ、前記観察窓の側方に配置されていることを特徴とする内視鏡用側方照明光学系。
【請求項2】
前記光伝送光学部の前記射出端の近傍に、散乱面を備えたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡側方照明光学系。
【請求項3】
次の条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡側方照明光学系。
1.45<nIN
但し、nINは前記光伝送光学部の屈折率である。
【請求項4】
次の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内視鏡側方照明光学系。
0.4<r/R
但し、Rは前記光伝送光学部の前記外側面におけるシリンドリカル形状をなす円弧の半径、rは前記円弧の中心から前記光源部の前記射出開口の中心までの距離である。
【請求項5】
次の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内視鏡側方照明光学系。
1.4<nIN/nOUT
但し、nINは前記光伝送光学部の屈折率、nOUTは前記光伝送光学部の前記外側面に接する物質の屈折率である。
【請求項6】
前記光伝送光学部の前記外側面に、反射膜を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内視鏡側方照明光学系。
【請求項7】
前記反射面は、前記光源部の射出光軸と前記光伝送光学部の前記外側面におけるシリンドリカル形状をなす円弧の中心とを含む仮想平面内において前記射出光軸に対して垂直な仮想直線と、前記反射面の反射光軸とのなす角度が90°±20°となり、且つ、前記反射面の法線と、前記光源部の射出光軸とのなす角度が45°±20°となる向きに配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内視鏡側方照明光学系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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