説明

内視鏡収納ケース

【課題】少なくとも仕切り蓋部材で仕切られた下段側収納部に収納された装置、或いは付属品等の取り出しをスムーズに行える内視鏡収納ケースを提供すること。
【解決手段】内視鏡収納ケース1は、操作部24から挿入部20が延出するスコープ部2、スコープ部2にユニバーサルケーブル29を介して接続される装置本体3、及び付属品を収納する複数の収納部11−19を有するケース本体1bと、ケース本体1bに開閉自在に設けられた上蓋1aとを備える。複数の収納部11−19のうち少なくとも1つは、下段側収納部12Dと上段側収納部12Uとに区分けする仕切り部材と、下段側収納部12Dの開口を閉塞する蓋部材とを兼ねる開閉自在な仕切り蓋部材50を用いて構成され、仕切り蓋部材50の一端面51b、及び一端面51bが当接する水平面43cに仕切り蓋部材50の開状態の保持と、保持状態の解除とを繰り返し可能にする面ファスナー71を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡、及び内視鏡に接続された内視鏡装置本体等を収納する内視鏡収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、医療用分野及び工業用分野において広く利用されている。医療用分野において使用される内視鏡は、細長な挿入部を体腔内に挿入することによって、体腔内の観察すること、或いは、挿入部に設けられた処置具チャンネルを介して処置具を体腔内に導入することによって各種処置等を行える。
【0003】
一方、工業用分野において使用される内視鏡は、細長な挿入部をジェットエンジン内、工場の配管等に挿入することによって、被検部位の傷の有無、或いは腐蝕の有無等の検査、或いは各種修理等を行える。
【0004】
例えば、特許文献1には内視鏡と、装置本体と、収納ケースとを備える内視鏡システムが示されている。この内視鏡システムにおいて、内視鏡及び装置本体は、収納ケースに収納される。したがって、ユーザーは、内視鏡及び装置本体を収納ケースに収納した状態で観察場所近くまで持ち込むことができる。そして、ユーザーは、収納ケースの上蓋を開状態にして、例えば、操作部、挿入部が巻回されている挿入部巻回部材、装置本体の順に取り出し、その後、ベルトを例えば肩に掛けることにより、装置本体、内視鏡及び挿入部巻回部材を肩から提げた状態で持ち運べる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−204854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された内視鏡システムにおいて、ユーザーは、上蓋を開状態にした後、装置本体を装置本体収容凹部から取り出す。その際、ユーザーは、先ず、挿入部巻回部材を収容する緩衝部材を兼用するドラム収容バックを、上蓋の保護部材側に移動させ、その後、この収納ポケットを上蓋に預けた状態にして装置本体を装置本体収容凹部から取り出している。このため、装置本体を取り出し中に、上蓋側に預けられているドラム収容バックが装置本体収納凹部側に倒れてしまった場合、倒れたドラム収容バッグによって装置本体のスムーズな取り出しが妨げられる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、収納部収納された装置、或いは付属品、及び仕切り蓋部材で仕切られた下段側収納部に収納された装置、或いは付属品等の取り出しをスムーズに行える内視鏡収納ケースを提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡収納ケースは、操作部から挿入部が延出する内視鏡、該内視鏡にユニバーサルケーブルを介して接続される装置本体、及び前記内視鏡の付属品を収納する複数の収納部を有するケース本体と、該ケース本体に開閉自在に設けられた蓋体とを備える内視鏡収納ケースであって、
前記複数の収納部のうち少なくとも1つの収納部を、下段側収納部と上段側収納部とに区分けする仕切り部材と、前記下段側収納部の開口を閉塞する蓋部材とを兼ねる開閉自在な仕切り蓋部材を用いて構成され、該仕切り蓋部材の一面、及び該一面が当接する前記収納空間の一面に前記仕切り蓋部材の開状態の保持と、該保持状態の解除とを繰り返し可能にする保持解除部材を設けている。
【0009】
この構成によれば、収納部に開閉自在な仕切り蓋部材を設けることによって、収納部の少なくとも1つが仕切り蓋部材を有して構成される。そして、仕切り蓋部材の一面、及び該一面が当接する収納空間に保持解除部材を設けたことによって、開閉自在な仕切り蓋部材を保持解除部材によって開状態を保持して、下段側収納部に収納されている装置、或いは付属品の取り出しを良好に行える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、収納部収納された装置、或いは付属品、及び仕切り蓋部材で仕切られた下段側収納部に収納された装置、或いは付属品等の取り出しをスムーズに行える内視鏡収納ケースを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】内視鏡システムを説明する図
【図2】ユーザーが収納ケースを運搬している状態を示す図
【図3】収納ケースの上蓋を開いた状態におけるケース本体を説明する図
【図4】ケース本体から挿入部巻回ケース、操作部及び充電器を取り外した状態を示す図
【図5】図4のY5−Y5線断面図であって、第1仕切り蓋部材の構成及び作用を説明する図
【図6】第1仕切り蓋部材を開状態にしたケース本体を説明する図
【図7】図4のY7−Y7線断面図であって、第2仕切り蓋部材の構成及び作用を説明する図
【図8】第2仕切り蓋部材を開状態にしたケース本体を説明する図
【図9】第1仕切り蓋部材の他の構成例を説明する図
【図10】第1仕切り蓋部材の別の構成例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように本実施形態の内視鏡システム10は、内視鏡収納ケース(以下、収納ケースと略記する)1と、スコープ部2と、内視鏡装置本体(以下、装置本体と略記する)3とを備えて構成されている。装置本体3とスコープ部2とは、ユニバーサルケーブル29によって接続される。
【0013】
収納ケース1は、蓋体である上蓋1aとケース本体1bとを備えている。上蓋1aは、ケース本体1bに対して開閉自在に設けられている。収納ケース1には開閉機構である複数のラッチ1cが設けられている。符号1dは、取手である。
【0014】
スコープ部2は、例えば挿入部20の先端部21内に撮像素子(不図示)を設けた工業用内視鏡である。先端部21には光学部材、発光素子等を内蔵した複数種類の光学アダプター9が用意されており、必要に応じて先端部21に着脱自在に取り付けられるように構成されている。
【0015】
光学アダプターとしては、例えば直視観察用、或いは側視観察用、或いは立体観察用などが用意されている。これら光学アダプター9は、光学アダプター用ケースに納められ、その光学アダプター用ケースは後述する収納凹部(図6の符号17)に収納されるようになっている。
【0016】
装置本体3は、画像処理部(不図示)、表示装置であるモニター31、電力を供給するバッテリー(不図示)を備えて構成されている。画像処理部は、外装筐体32内に設けられ、撮像素子の駆動及びこの撮像素子から出力される画像信号から映像信号を生成する等の処理を行う。
【0017】
モニター31は、装置本体3を構成する外装筐体32にヒンジ(不図示)等を介して回動自在に保持されている。本実施形態において、モニター31は、外装筐体32に回動自在であって、収納状態においては画像表示面31aを有するモニター面31bの裏面が、外装筐体32の図中、背面側に配置される構成になっている。バッテリーは、撮像素子、発光素子、モニター31等に電力を供給する。
【0018】
符号33はカバーであり、内視鏡装置が未使用の際、画像表示面31aを覆って保護する。符号34は脚部であり、例えばNBR等のゴムにより形成され、外装筐体32の角部に取り付けられている。
【0019】
スコープ部2は、細長で可撓性を有する挿入部20と、この挿入部20の基端部に連設する操作部24と、この操作部24から延出する可撓性を有するユニバーサルケーブル29とを備えて構成されている。
【0020】
挿入部20は、先端側から順に、先端部21、例えば上下左右方向に湾曲自在な湾曲部22、および可撓性を有する可撓管部23を連設して構成されている。
【0021】
ユニバーサルケーブル29内には、発光素子へ電力を供給する電気ケーブル(不図示)、撮像素子へ駆動制御信号を伝送する信号線及び撮像素子で光電変換された画像信号を伝送する信号線を備えた信号ケーブル(不図示)等が内挿されている。
【0022】
操作部24は、操作部本体25と、操作ワイヤ配設部26と、把持部27と、側部構成部28L、28Rとを備えて構成されている。操作部本体25の天面(上面ともいう)25uには、湾曲部22を湾曲動作させる操作指示機構である、湾曲操作指示レバー(以下、湾曲レバーと略記する)35が設けられている。
【0023】
湾曲レバー35は、傾倒方向および傾倒角度を変化させる傾倒操作を行うことによって挿入部20内および操作部24内に挿通されている図示しない操作ワイヤを移動させて、湾曲部22を所望の方向に所望の湾曲量だけ湾曲させる。湾曲部22は、湾曲レバー35が直立状態のとき、略直線状になるように構成されている。
【0024】
操作部本体25の正面部36には、挿入部20を保持する保持孔37を備えた保持部材38が設けられている。保持孔37の内径は、挿入部20の外径より所定寸法だけ大きく形成されている。保持部材38は、操作部本体25に対して別体であって、例えば、接着剤、ネジ等によって操作部本体25に一体的に固定される。
【0025】
この固定状態において、保持部材38の上端側は、操作部本体25の上面25uから所定量、突出する。保持部材38は、上面25uから突出する湾曲レバー35を保護するガード部材を兼ねている。
【0026】
本実施形態のスコープ部2及び装置本体3は、収納ケース1に収納された状態で、図2に示すようにユーザー4によって観察場所の近くまで運搬される。
【0027】
図3−図8を参照して収納ケース1の構成を具体的に説明する。
図3に示すように収納ケース1の上蓋1aを開状態にすると、ケース本体1bに収納された操作部24、充電器5、挿入部巻回ケース6、装置本体3、付属品収納袋7等が露出する。符号40は蓋用緩衝部材であり、上蓋1aの内部に設けられている。
【0028】
ケース本体1bには操作部24、充電器5、装置本体3を収納するための収納部として収納凹部11、12、13等が設けられている。第1収納凹部11は、装置本体3の最大外形形状脚部34に倣って凹んで形成され、第2収納凹部12は操作部24の外形形状に倣って凹んで形成され、第3収納凹部13は充電器5の外形形状に倣って凹んで形成されている。
【0029】
各収納凹部11、12、13は、緩衝部材41、42、43にそれぞれ彫り込んで形成されている。第2緩衝部材42は、後述する第1仕切り蓋部材50の第1蓋体本体51を構成している。第3緩衝部材43の第3収納凹部13は、後述する第2仕切り蓋部材60によって上段側収納部13Uと下段側収納部13Dとに区分されている。
なお、各収納凹部11、12、13を、複数の緩衝部材の組み合わせによって形成するようにしてもよい。
【0030】
挿入部巻回ケース6は、扁平なボビン形状であって、図示しない周方向凹部に挿入部20が巻回されている。挿入部巻回ケース6は、緩衝部材で形成された巻回ケース収納部材8の環状凹部8aに嵌め込まれた状態で、第1収納凹部11に収納されている装置本体3上に載置されている。符号8bは、切り欠き部であり、切り欠き部8bから挿入部20が延出される。
【0031】
付属品収納袋7は、ケース本体1bと、第1収納凹部11が形成された第1緩衝部材41と、第2収納凹部12が形成された第2緩衝部材42である後述する第1蓋体本体51等とで構成される空間内に収納される。付属品収納袋7内には、本体ACアダプター、画像出力接続ケーブル等が収納される。
なお、符号71は後述する面接合体である第1面ファスナーである。
【0032】
図4に示すように操作部24を第2収納凹部12から取り出すことにより、この操作部24が収納されて凹部である第2収納凹部12が露出する。また、充電器5を第3収納凹部13から取り出すことにより、この充電器5が収納されていた凹部であるの上段側収納部13Uを構成する第2仕切り蓋部材60が露出する。また、巻回ケース収納部材8をケース本体1bから取り出すことによって第1収納凹部11に収納されている装置本体3が露出する。
なお、符号72は、後述する面接合体である第2面ファスナーである。
【0033】
図5に示すように本実施形態において、第1仕切り蓋部材50は、第1蓋体本体51と、蓋体支持部材52と、固定用シート53とで構成されている。
第1蓋体本体51は、所定形状、例えば直方体に形成された第2緩衝部材42で構成され、該本体51にはその表面側に開口を有する第2収納凹部12が形作られている。蓋体支持部材52は、板部材であって、操作部24が収納された状態の第1蓋体本体51を支持する剛性を有する。蓋体支持部材52の一面側は、第1蓋体本体51の裏面に例えば接着によって一体的に固定されている。蓋体支持部材52の他面側には固定用シート53が一体的に固定される。
【0034】
固定用シート53は、粘着テープ等であって、例えば布製で一面側に接着部を備える。該シート53の一端側部は、蓋体支持部材52の端面から所定量はみ出されて固定しろ53aとして構成されている。固定しろ53aは、第1蓋体本体51の一端面51bが対向する例えば第3緩衝部材43の一側面43aに接着固定される。
【0035】
このように構成された第1仕切り蓋部材50によれば、第1蓋体本体51及び蓋体支持部材52は、一体で引き上げられ、矢印Y51に示すように移動されて破線に示すような開状態になる。また、第1蓋体本体51及び蓋体支持部材52は、矢印Y51と逆方向に移動されて、再び閉状態になる。つまり、第1蓋体本体51及び蓋体支持部材52は、固定用シート53によって、第3緩衝部材43の一側面43aに回動自在に固定される。
【0036】
なお、図4の符号51aは指掛け孔であり、指掛け孔51aにはユーザーの人指し指等が挿入して配置されるようになっている。ユーザーが、例えば人指し指を指掛け孔51aに配置することによって、第1仕切り蓋部材50を引き上げることが可能になる。
【0037】
本実施形態の第1蓋体本体51の一端面51b、及び第3緩衝部材43の一面側段部43bの水平面43cには、それぞれ第1面ファスナー71が設けられている。第1面ファスナー71は、保持解除部材である、いわゆるマジックテープ(登録商標)である。
【0038】
第1蓋体本体51及び一面側段部43bの当接面である所定位置に第1面ファスナー71を設けたことによって、第1仕切り蓋部材50を一面側段部43bの水平面43c上に例えば直立させた状態で保持すること、及びその保持状態を解除することを繰り返し行うことができるようになっている。言い換えれば、第1仕切り蓋部材50を開状態にしたとき、一端面51bの第1面ファスナー71と水平面43cの第1面ファスナー71とが固定状態になることよって、第1仕切り蓋部材50が水平面43cに対して直立状態で保持される。
【0039】
第1仕切り蓋部材50を開状態にすると、図6に示すように第1仕切り蓋部材50の下面側に設けられていた付属品を収容するための下段側収納部12Dである第4収納凹部14、第5収納凹部15、第6収納凹部16、第7収納凹部17、第8収納凹部18、第9収納凹部19が露出される。これら収納凹部14−19は、それぞれ表面側に所定形状の開口を有するように第4緩衝部材44に形作られている。なお、第1仕切り蓋部材50は、第4緩衝部材44の表面に対して略直立して配置されている。
【0040】
第1仕切り蓋部材50の第2収納凹部12は、前記下段側収納部12Dに対して上段側収納部12Uであり、該第1仕切り蓋部材50は上段側収納部と下段側収納部とを区分する仕切り部材と、これら収納凹部14−19の開口を閉塞する蓋部材とを兼用している。
【0041】
なお、第1仕切り蓋部材50の下面側に設けられる収納凹部の数、及び形状は、図6に示す数及び形状に限定されるものではなく、ユーザーが使用する内視鏡の仕様に合わせて適宜、変更可能である。
【0042】
また、第4収納凹部14及び第5収納凹部15にはバッテリーが収納され、第6収納凹部16には補助モニタークランプ部材が収納され、第7収納凹部17には光学アダプター用ケースが収納され、第8収納凹部18にはクリーニングキットが収納され、第9収納凹部19には例えば計測治具が収納される。
【0043】
一方、第2仕切り蓋部材60は、図7に示すように第2蓋体本体61と、第1緩衝部62と、固定用シート63と、第2緩衝部64とで構成されている。
固定用シート63は、前記固定用シート53と同様な作用を構成する粘着テープ等であって、該シート53とは形状が異なっている。固定用シート63も、該シート63の一端側部に固定しろ63aを有している。固定しろ63aは、第3収納凹部13の上段側収納部13Uを構成する第1緩衝部62に対向する第3緩衝部材43の立ち上がり面である第1内側面43d1の当接面である所定位置に接着固定される。
【0044】
第2蓋体本体61は、前記蓋体支持部材52と略同様、若しくは、それより高強度な板部材であって、前記充電器5が載置可能な剛性を有し上段側収納部13Uの底面を構成する。第2蓋体本体61は、第3緩衝部材43に形成されている第3収納凹部13を充電器5が収納される上段側収納部13Uと、例えば図8に示す補助モニター31A1収納される下段側収納部13Dとに区分する。
【0045】
即ち、第2蓋体本体61は、第3緩衝部材43に形作られている第3収納凹部13の深さ方向を複数の空間に区分けする仕切り部材と、下段側の空間の開口を閉塞する蓋部材とを兼用している。
【0046】
第1緩衝部62は、緩衝部材であって、前記上段側収納部13Uの一側部を構成する。第1緩衝部62は、第2蓋体本体61の所定位置に例えば接着固定される。第1緩衝部62には、第2仕切り蓋部材60を引き上げる際に使用される指掛け孔62aが形成されている。
【0047】
第2緩衝部64は、緩衝部材であって、前記下段側収納部13Dに収納された補助モニター31A1の一面に当接して該モニター31Aを保持する。第2緩衝部64は、第2蓋体本体61に固定された固定用シート63に対して、例えば接着によって固定される。
【0048】
このように構成された第2仕切り蓋部材60によれば、ユーザーが、例えば人指し指を指掛け孔62aに配置して第2仕切り蓋部材60を引き上げると、第2蓋体本体61、緩衝部62、64が、一体で引き上げられ、矢印Y71に示すように移動されて破線に示すような開状態になる。
【0049】
本実施形態の第2蓋体本体61の上面である一面61a、及び第3緩衝部材43の第2内側面43d2には、それぞれ第2面ファスナー72が設けられている。第2面ファスナー72は、保持解除部材である。
【0050】
第2蓋体本体61の一面61a及び第3緩衝部材43の第2内側面43d2の所定位置に第2面ファスナー72を設けたことによって、第2仕切り蓋部材60を第3緩衝部材43の第2内側面43d2に略平行な状態で保持すること、及びその保持状態を解除することを繰り返し行うことができるようになっている。言い換えれば、第2仕切り蓋部材60を開状態にしたとき、一面61aの第2面ファスナー72と第2内側面43d2の第2面ファスナー72とが固定状態になることよって、図8に示すように第2仕切り蓋部材60が略直立した状態で保持される。
符号43e、43fは、載置面であって、第2蓋体本体61の他面が載置される。
【0051】
このように、第1面ファスナー71及び第2面ファスナー72を設けたことによって、仕切り蓋部材50、60を開状態にしたとき、面ファスナー71、72によってその開状態を保持することかできる。このことによって、仕切り蓋部材50、60によって塞がれていた下段側収納部12D、13Dに収納されている装置、或いは付属品等の取り出しを該蓋部材50、60によって妨げられることなくスムーズに行える。
また、内視鏡収納ケース1が地面等に傾いた状態で置かれた場合でも、仕切り蓋部材50、60を開状態にしたとき、面ファスナー71、72によってその開状態を安定した状態で保持することかできる。
【0052】
なお、上述した実施形態においては、第1仕切り蓋部材50の第1蓋体本体51を直方体形状としている。しかし、第1蓋体本体51は、直方体形状に限定されるものではなく、第1蓋体本体51を図9、図10に示すように構成するようにしてもよい。
【0053】
図9に示す第1仕切り蓋部材50A1において、第1蓋体本体51の一端面51bは、上段側収納部12Uの開口を有する表面に対して傾斜する傾斜面51b1として形成され、その傾斜面51b1に第1面ファスナー71を設けている。また、傾斜面51b1が当接配置される第3緩衝部材43にも傾斜面43gが形成され、その傾斜面43gに第1面ファスナー71を設けている。
【0054】
そして、この構成において、第1蓋体本体51A1の傾斜面51b1及び第3緩衝部材43の傾斜面43gのそれぞれ所定位置に設けられている第1面ファスナー71同士を固定状態にすることによって、第1仕切り蓋部材50が第4緩衝部材44の表面に対して直立した状態で保持され、且つその保持状態を解除することを繰り返し行うことができるようになっている。
【0055】
つまり、本実施形態において、第1蓋体本体51A1の傾斜面51b1の角度θ1及び第3緩衝部材43の傾斜面43gの角度θ2は、第1面ファスナー71同士を固定状態にしたとき、第1仕切り蓋部材50が第4緩衝部材44の表面に対して直立するように設定される。
【0056】
このことによって、上述したように例えば第1仕切り蓋部材50を開状態で保持させることにより、該蓋部材50によって塞がれていた下段側収納部12Dに収納されている付属品等の取り出しを、蓋部材50によって妨げられることなくスムーズに行うことができる。
【0057】
なお、上述の実施形態においては、仕切り蓋部材50、60を直立状態に保持するとしている。しかし、仕切り蓋部材50、60の保持状態は、直立状態に限定されるものではなく、図10に示すように仕切り蓋部材50、60の一部が開閉端側延長線80を越えて、下段側収納部12D側に侵入しない範囲で傾いて保持されても良い。つまり、角度θ1、角度θ2を適宜設定し、仕切り蓋部材50、60が傾いて保持されたとき、仕切り蓋部材50、60の一部を開閉端側延長線80より図中右側に位置するように仕切り蓋部材50、60の傾き角が設定されている。
【0058】
このことによって、上述したように第1蓋体本体51A1の傾斜面51b1及び第3緩衝部材43の傾斜面43gの所定位置に設けられている第1面ファスナー71同士を固定状態にしたとき、仕切り蓋部材50、60の一部が開閉端側延長線80より、下段側収納部12Dに侵入することによって、該下段側収納部12Dに収納されている付属品等の取り出しに支障を来すことが防止されている。
【0059】
この場合、第3収納凹部13の位置を、より第2収納凹部12側に近づけることができる。そのため、寸法L1、L2、L3が、L1>L2>L3の関係になって、より大きな収納物を収納すること、或いは、内視鏡収納ケース1の外形を小型にすることができる。
【0060】
なお、開閉端側延長線80とは、下段側収納部12Dの固定しろ53aが設けられた回動中心側の端面延長線であり、仕切り蓋部材50、60の下面側に設けられる収納凹部の位置の変化に伴って移動する。
【0061】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…内視鏡収納ケース 1a…上蓋 1b…ケース本体 1c…ラッチ
2…内視鏡 3…内視鏡装置本体 4…ユーザー 5…充電器
6…挿入部巻回ケース 7…付属品収納袋 8…巻回ケース収納部材
8a…環状凹部 8b…切り欠き部 9…光学アダプター 10…内視鏡システム
11…第1収納凹部 12…第2収納凹部 12D…下段側収納部
12U…上段側収納部 13…第3収納凹部 13D…下段側収納部
13U…上段側収納部 14…第4収納凹部 15…第5収納凹部
16…第6収納凹部 17…第7収納凹部 18…第8収納凹部
19…第9収納凹部 20…挿入部 21…先端部 22…湾曲部
23…可撓管部 24…操作部 25…操作部本体 26…操作ワイヤ配設部
27…把持部 29…ユニバーサルケーブル 31…モニター
31A1…補助モニター 31a…画像表示面 31b…モニター面
32…外装筐体 33…カバー 34…脚部 35…湾曲レバー 36…正面部
37…保持孔 38…保持部材 40…蓋用緩衝部材 41…第1緩衝部材
42…第2緩衝部材 43…第3緩衝部材 43a…一側面 43b…一面側段部
43c…水平面 43d1、43d2…内側面 43e、43f…載置面
43g…傾斜面 44…第4緩衝部材 50…第1仕切り蓋部材 51…蓋体本体
51a…指掛け孔 51b…一端面 51b1…傾斜面 52…蓋体支持部材
53…固定用シート 60…第2仕切り蓋部材 61…蓋体本体 61a…一面
62…第1緩衝部 62a…指掛け孔 63…固定用シート 64…第2緩衝部
71…第1面ファスナー 72…第2面ファスナー 80…開閉端側延長線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部から挿入部が延出する内視鏡、該内視鏡にユニバーサルケーブルを介して接続される装置本体、及び前記内視鏡の付属品を収納する複数の収納部を有するケース本体と、該ケース本体に開閉自在に設けられた蓋体とを備える内視鏡収納ケースにおいて、
前記複数の収納部のうち少なくとも1つの収納部を、下段側収納部と上段側収納部とに区分けする仕切り部材と、前記下段側収納部の開口を閉塞する蓋部材とを兼ねる開閉自在な仕切り蓋部材を用いて構成され、該仕切り蓋部材の一面、及び該一面が当接する前記収納空間の一面に前記仕切り蓋部材の開状態の保持と、該保持状態の解除とを繰り返し可能にする保持解除部材を設けたことを特徴とする内視鏡収納ケース。
【請求項2】
前記保持解除部材は、面接合体であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡収納ケース。
【請求項3】
前記仕切り蓋部材は、
緩衝部材で構成され上段側収納部を有する蓋体本体と、
前記蓋体本体に一体に設けられ、該蓋体本体を支持する剛性を有する板部材と、
一体な前記板部材と前記蓋体本体とを回動自在に固定する固定用シートとを備え、
前記保持解除部材を、前記仕切り蓋部材の前記蓋体本体の固定用シートの固定側の一端面に設けたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡収納ケース。
【請求項4】
前記仕切り蓋部材は、
剛性を有する板部材であって、前記上段側収納部の底面を構成する蓋体本体と、
前記蓋体本体に一体的に固設され緩衝部材であって、前記上段側収納部の一側部を構成する緩衝部と、
一体な前記緩衝部と前記蓋体本体とを回動自在に固定する固定用シートとを備え、
前記保持解除部材を、前記仕切り蓋部材の上面側の一面に設けたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡収納ケース。
【請求項5】
前記一端面は、前記蓋体本体に形成された収納部の開口を有する表面に対して、直交する面であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡収納ケース。
【請求項6】
前記一端面は、前記蓋体本体に形成された収納部の開口を有する表面に対して、傾斜した傾斜面であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡収納ケース。
【請求項7】
前記仕切り蓋部材は、開状態において、該仕切り蓋部材が所定の角度に傾斜して保持されるように、前記一端面の前記表面に対する角度、及び前記一端面が当接する面の角度を設定したことを特徴とする請求項3−6の何れか1項に記載の内視鏡収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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