説明

内視鏡手術用トレーニング装置、内視鏡手術用技能評価方法

【課題】術部を映像で見て内視鏡手術の作業及び術部の様子の認識度合いを訓練できる内視鏡手術用トレーニング装置等を提供する。
【解決手段】内視鏡手術にて術者が使用する医療器具の操作を訓練するため、内視鏡手術用トレーニングボックス2内の対象物の間の距離、各対象物の太さ、細線状の対象物の向き又は高さ又は対象物の輪形状部分の大きさを変更し、カメラ装置2bで撮像した対象物をドーム型スクリーン11によって立体映像で提示し、医療器具を対象物に接触させる操作、対象物を医療器具が把持する操作又は対象物の輪形状部分に対して医療器具を通過させる操作を行う訓練タスクを行わせ、制御装置3によって訓練開始時刻及び訓練終了時刻を記録し、訓練開始時刻から訓練終了時刻までの1回の操作に要する時間を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡手術における術者が医療器具を操作する技能を訓練するための内視鏡手術用トレーニング装置、内視鏡手術用技能評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡外科手術(以下、内視鏡手術と称する。)は、患者にとって、手術創痛が少ない、早期の離床、退院が可能である、美容上も優れるという多大なメリットをもたらす低侵襲手術である。この内視鏡手術を実現する内視鏡システムは、患部を撮像する内視鏡装置と、内視鏡装置によって撮像された映像を表示するモニタとを備え、患部の様子をモニタに表示させる。この状態で、患部に向けて挿入した鉗子を操作して、患部に対して施術する(下記の非特許文献1を参照)。
【非特許文献1】監修 橋爪誠、企画・編集 小西晃造 岡崎賢 田上和夫「安全な内視鏡外科手術のための基本手技トレーニング Fundamental Training for Safe Endoscopic Surgery」大道学館出版部、平成17年10月1日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した内視鏡手術の最大の問題は、直視下での開腹手術とは異なり、鉗子を操作する術者にとって、直接に術部を見ることができないために、目と手の協調運動が取りずらい点がある。また、奥行き方向の認識を必要とする縫合結紮作業においては、特に、手術が困難となる。
【0004】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、術部を映像で見て行う内視鏡手術の作業及び術部の様子の認識度合いを訓練できる内視鏡手術用トレーニング装置、内視鏡手術用技能評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、内視鏡手術にて術者が使用する医療器具の操作を訓練するための内視鏡手術用トレーニング装置であって、対象物の間の距離、各対象物の太さ、細線状の対象物の向き又は高さ又は対象物の輪形状部分の大きさを変更し、当該対象物を映像で提示し、医療器具を対象物に接触させる操作、対象物を医療器具が把持する操作又は対象物の輪形状部分に対して医療器具を通過させる操作を行う訓練タスクを行わせ、訓練開始時刻及び訓練終了時刻を記録し、訓練開始時刻から訓練終了時刻までの1回の操作に要する時間を記憶する。
【0006】
また、本発明は、医療器具としての縫合針を通過させることが可能な板状材料に複数の目標点が記載された縫合練習ボードに対する縫合、結紮を訓練するために、当該縫合練習ボード及び所定の基準位置を含む空間を撮像して得た映像を提示し、縫合練習ボードに対する縫合作業、結紮作業を行わせて訓練開始時刻及び訓練終了時刻を記録し、訓練開始時刻から訓練終了時刻までの訓練タスクを完了するために要する時間を記憶する。
【0007】
更に、本発明は、内視鏡手術における術者を訓練するための内視鏡手術用トレーニング装置であって、直線状の少なくとも2つの対象物の距離又は各対象物の太さ、所定形状に形成された細線状の対象物の向き又は高さ、対象物の輪形状部分の大きさを変更し、当該対象物を映像で提示し、術者によって認識された対象物の前後位置関係、術者によって認識された対象物の向きを入力し、入力された対象物の前後位置関係、対象物の向きの正誤又は実際の対象物の前後位置、実際の対象物の向きとの差異を記録する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、提示手段によって映像を表示し、対象物の間の距離、各対象物の太さ、細線状の対象物の向き又は高さ又は対象物の輪形状部分の大きさを変更して内視鏡手術の訓練を行わせることができるので、術部を映像で見て行う内視鏡手術の作業を訓練できる。
【0009】
また、本発明は、医療器具としての縫合針を通過させることが可能な板状材料に複数の目標点が記載された縫合練習ボードに対する縫合、結紮を訓練するために、当該縫合練習ボード及び所定の基準位置を含む空間を撮像して得た映像を提示するので、術部を映像で見て行う内視鏡手術の作業を訓練できる
更に、本発明は、直線状の少なくとも2つの対象物の距離又は各対象物の太さ、所定形状に形成された細線状の対象物の向き又は高さ、対象物の輪形状部分の大きさを変更し、当該対象物を映像で提示して認識度合いを訓練するので、術部を映像で見て行う内視鏡手術における術部の様子の認識度合いを訓練できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
本発明を適用した内視鏡手術用トレーニング装置は、内視鏡手術にて術者が使用する医療器具の操作又は映像の認識状態を訓練するためのものである。そのために、この内視鏡手術用トレーニング装置は、映像の提示部1として、図1に示すようなドーム型スクリーン11を備えた構成となっている。この内視鏡手術用トレーニング装置は、提示部1に提示する患部を模擬した対象物を内部に備えた内視鏡手術用トレーニングボックス2と、当該内視鏡手術用トレーニングボックス2内を撮像するカメラ装置2bによって撮像された映像を取得して提示部1の左眼用プロジェクタ12,右眼用プロジェクタ13によってドーム型スクリーン11に表示するための制御装置3とを備えている。
【0012】
内視鏡手術用トレーニングボックス2は、図1及び図2に示すように、内視鏡手術の訓練者Pが操作する鉗子といった医療器具2eが挿入される挿入口2aと、内視鏡手術用トレーニングボックス2の筐体内部の様子を撮像するカメラ装置2bと、医療器具2eが接続されて当該医療器具2eを筐体内部に挿通する挿入治具2dとを備える。この内視鏡手術用トレーニングボックス2の筐体には、複数の挿入口2aが設けられている。
【0013】
この挿入口2aは、患者の皮膚を模擬した柔軟な材料で構成されて、挿入治具2dによって医療器具2eが挿入される。この医療器具2eは、内視鏡手術用トレーニングボックス2の筐体内部に設けられた訓練台2fの対象物に対して所定の操作を行うように操作される。この訓練台2f及び対象物を含む内視鏡手術用トレーニングボックス2の筐体内部は、カメラ装置2bの撮像範囲となっている。
【0014】
従って、この内視鏡手術用トレーニング装置は、訓練台2f上の対象物と当該対象物に対する医療器具2eの動きがカメラ装置2bによって撮像され、当該撮像された映像が制御装置3を介して提示部1のドーム型スクリーン11に投影される。そして、訓練者Pは、ドーム型スクリーン11に表示された自身の操作の様子を見ながら訓練をすることができる。なお、この訓練者Pの訓練方法については、後述するものとする。
【0015】
つぎに、このような内視鏡手術用トレーニング装置における提示部1及び制御装置3について、図1を参照して詳細に説明する。
【0016】
この提示部1は、制御装置3を介してカメラ装置2bと接続され、カメラ装置2bが撮像した映像を歪みなくドーム型スクリーン11に立体的に表示するものである。訓練者Pは、ほぼドーム型スクリーン11に正対した位置から、カメラ装置2bが撮像した映像をドーム型スクリーン11で確認しながら内視鏡手術のトレーニングを行うことができる。なお、以下の説明では、立体映像をドーム型スクリーン11に表示する例を説明するが、訓練者Pに提示する映像は非立体の映像又は立体映像の何れでも良く、映像の表示手段としては、平面形状でも良く凹部などの任意形状であっても良い。
【0017】
この提示部1によって立体映像をドーム型スクリーン11に表示するために、カメラ装置2bは、左眼用の映像を撮像する左眼用カメラ部と右眼用の映像を撮像する右眼用カメラ部とを備えている。なお、この左眼用カメラ部と右眼用カメラ部は、内視鏡システムにおけるカメラ装置と同様に、カメラ装置2bの単一の筐体の中に並設されている。なお、スクリーンに2次元の映像を表示する場合は、カメラ装置2bは一つのカメラ部で構成されていても良い。なお、このカメラ装置2bは、通常の内視鏡カメラ、立体内視鏡カメラの何れであっても良く、訓練者Pに提示する映像が2次元映像か3次元映像かで使い分けることとなる。
【0018】
この提示部1は、映像信号を受けて映像を出射するプロジェクタ12,13(映像投影手段)と、プロジェクタ12,13から出射された映像を反射する反射鏡14と、反射鏡14によって反射された映像が投影される半球ドーム型の投影面11aを有するドーム型スクリーン11(映像表示手段)と、プロジェクタ12,13、反射鏡14、ドーム型スクリーン11を支持する土台部15と、一体化されたプロジェクタ12,13、反射鏡14、ドーム型スクリーン11を土台部15に対して垂直に移動させる昇降装置16とを備える。
【0019】
制御装置3は、カメラ装置2bと接続され、映像が投影面11aに歪みなく表示されるようにプロジェクタ12,13に入力される映像信号に歪み補正処理を行う映像信号処理部を備える(図示せず)。この映像信号処理部は、例えばパソコンから構成され、左眼用の映像信号を補正する左眼用映像補正部と、右眼用の映像信号を補正する右眼用映像補正部とを備え、左眼用映像補正部と右眼用映像補正部を同期してプロジェクタ12,13に供給する。
【0020】
左眼用映像補正部は、左眼用の映像がドーム型スクリーン11上に歪むことなく表示されるように、左眼用の映像信号に対して補正パラメータを参照し、補正パラメータに基づいて歪み補正を行う。具体的には、制御装置3には、平面映像がカメラ装置2bから供給され、プロジェクタ13からドーム型スクリーン11に映像を投影した時にドーム型スクリーン11上で映像が歪んで見えないように、平面映像に対して座標変換、又はテクスチャマッピングを行うものである。なお、このためには、プロジェクタ12,13とドーム型スクリーン11の相対位置、ドーム型スクリーン11の形状、ドーム型スクリーン11と訓練者Pとの相対位置や、左眼用プロジェクタ12の打ち込み角などのプロジェクタ特性によってドーム型スクリーン11上で映像が歪んで見えないように平面映像を座標変換する対応テーブルである補正パラメータを予め作成して、制御装置3に記憶しておく、又は、上述のプロジェクタ12,13とドーム型スクリーン11との相対位置やドーム型スクリーン11の形状などの情報を基にリアルタイムでテクスチャマッピングを行うこととなる。また、右眼用映像補正部も、左眼用映像補正部と同様に、補正パラメータに従って歪み補正を行うこととなる。これにより、制御装置3は、右眼用映像と左眼用映像とで所定の視差を持った立体映像をプロジェクタ12,13から投影させることができる。
【0021】
一方の左眼用プロジェクタ12は、制御装置3によって補正された左眼用の映像信号を受けて、レンズ12aから左眼用の映像を出射する。他方の右眼用プロジェクタ13は、右眼用映像補正部から出力された歪み補正後の右眼用の映像信号を受けて、レンズ13aから右眼用の映像光を出射する。
【0022】
なお、この内視鏡手術用トレーニング装置は、立体映像を訓練者Pに視認させる方式として偏光方式を採用する。すなわち、左眼用プロジェクタ12のレンズ12aには左眼用偏光フィルタ12bが取り付けられる。同様に、右眼用プロジェクタ13のレンズ13aには右眼用偏光フィルタ13bが取り付けられる。左眼用偏光フィルタ12b、右眼用偏光フィルタ13bは、互いに異なる円偏光を透過させる。左眼用プロジェクタ12から出射された左眼用の映像は左眼用偏光フィルタ12bを透過し、右眼用プロジェクタ13から出射された右眼用の映像は右眼用偏光フィルタ13bを透過する。なお、各偏光フィルタ12b,13bは円偏光を透過させるものに限定されず、直線偏光を透過させるものであってもよい。例えば、左眼用偏光フィルタ12bが垂直方向の直線偏光を透過させ、右眼用偏光フィルタ13bが水平方向の直線偏光を透過させてもよい。
【0023】
一方、訓練者Pは、ドーム型スクリーン11を見るときに、立体視めがねを装着する。立体視めがねは、左眼用偏光フィルタ12bと同じ偏光方式の偏光フィルタを左眼部分に有し、右眼用偏光フィルタ13bと同じ偏光方式の偏光フィルタを右眼部分に有する。ドーム型スクリーン11に表示された映像を、立体視めがねを通して見ることで、訓練者Pは内視鏡手術用トレーニングボックス2内の医療器具2e及び対象物を含む状況を立体映像として見ることができる。
【0024】
反射鏡14は、訓練者Pがドーム型スクリーン11の中心を見たときの視野の上方に設置される。反射鏡14は、左眼用プロジェクタ12及び右眼用プロジェクタ13から出射された左眼用映像光及び右眼用映像光をドーム型スクリーン11の11aに向けて反射する。提示部1は、反射鏡14を備えることによってプロジェクタ12,13及びドーム型スクリーン11を一列に設置する必要がなくなり、装置全体を小さくすることができる。
【0025】
ドーム型スクリーン11の投影面11aは、上述のように半球ドーム型であって、例えばシルバー塗料など鏡面反射効果を有する塗料が塗装されている。このドーム型スクリーン11は一般にシルバースクリーンと称されている。なお、スクリーンの形状は、半球ドーム型に限定されるものではなく、例えば、平面と2次曲面とからなる複合スクリーンでもよい。このような形状のスクリーンであっても、提示部1は、映像信号処理部における補正パラメータを切り替えることによって、座標変換、又はテクスチャマッピングによって作成される映像を切り替えて、歪みのない映像を投影面11aに表示することができる。
【0026】
また、ドーム型スクリーン11における凹面の算術平均粗さを、高い分離度を維持したまま、相互反射によるハレーションを低減する範囲とすることが好ましい。これは、各プロジェクタ12,13からの映像をドーム型スクリーン11に投影する場合、プロジェクタ12,13からの直射光によって照射される面で反射する2次反射以上の反射である相互反射により、ドーム型スクリーン11の端部側への映像が、対面するドーム型スクリーン11にの一部に照射することによる。これにより、ドーム型スクリーン11の全体に靄がかかったように白く見えるハレーションが発生してしまう。この相互反射によるハレーション発生の度合は、プロジェクタ12,13の輝度、コントラスト比、ドーム型スクリーン11の形状によって変化する。特に、ドーム型スクリーン11を半球又は半円型とした場合には、相互反射によるハレーションが発生しやすいからである。
【0027】
本実施形態における図1のドーム型スクリーン11は外周に沿って鍔部(枠)11bを有し、鍔部11bの内側に半球ドーム型の11aが形成されている。
【0028】
このような提示部1において、左眼用プロジェクタ12及び右眼用プロジェクタ13、反射鏡14、ドーム型スクリーン11は、取付部材17を用いて一体に組み合わせられ、一つの移動体18を構成する。
【0029】
より詳細に述べると、取付部材17は略直方体形状となっており、金属板から形成され、提示部1の正面側(図1で正のα軸方向側)の一面に凹部19を備え、上面にプロジェクタ収納部20を備える。また、プロジェクタ収納部20の両側から提示部1の正面側に向かって一対のアーム21が延出されている。
【0030】
ドーム型スクリーン11は、凹型の投影面11aが取付部材17の凹部19に配置され、取付部材17に固定される。ドーム型スクリーン11が取付部材17に固定されると、ドーム型スクリーン11の開口面と取付部材17の正面は略同一面となる。凹型の投影面11aを凹部19に配置することで、ドーム型スクリーン11が取付部材17から突出することがなく、装置の小型化を図ることができる。
【0031】
プロジェクタ12,13のプロジェクタ収納部20は、少なくとも提示部1の正面側の側面が開放された箱形である。プロジェクタ12,13は、プロジェクタ収納部20内に固定され、プロジェクタ12,13のレンズ12a、13aは開放された側面から偏光フィルタ12b、13bを介して外部に臨んでいる。
【0032】
反射鏡14は、一対のアーム21の先端21aに所定の角度で固定されている。
【0033】
土台部15は、金属板から略直方体に形成され、正面側に上面が開放された箱形の収納部22を備え、また下端に一対の脚部23を備える。各脚部23には、長手方向の両端にそれぞれキャスター24が取り付けられている。また、土台部15の背面15aの両側には、手すり25が設けられている。
【0034】
上述の移動体18の下部は、収納部22内に昇降自在に収納される。移動体18の下部は、箱形の収納部22内に収納されることによって、移動体18は、安定して一定姿勢を保持することができる。
【0035】
また、内視鏡手術用表示装置1は、土台部15に手すり25とキャスター24を設けたことによって、使用者が手すり25を握って土台部15を押すことで、当該内視鏡手術用表示装置1を容易に移動させることができる。
【0036】
なお、移動体18の取付部材17の側面17aには、目盛り17bが設けられ、土台部15の側面15bには、三角印15cが設けられている。この提示部1は、目盛り17bと三角印15cとによって、移動体18(スクリーン)の高さを使用者に計測させることができる。
【0037】
昇降装置16は、例えば油圧式の動力発生機構を有し、当該動力発生機構が発生させた動力によって、移動体18を昇降させるものである。この昇降装置16は、駆動部26と、上昇ステップ27と、下降レバーノブ28とを備えている。駆動部26は、収納部22の下面22aに配置され、その上面26aに移動体18が固定して載置される。上昇ステップ27及び下降レバーノブ28は、収納部22の背面15a側に設けられている。使用者が上昇ステップ27を上から下に踏むと、駆動部26の上面26aが上昇する。さらに何回も踏むとさらに上面26aが上昇する。これに対して、使用者が下降レバーノブ28を反時計回りに回すと、駆動部26の上面26aが下降する。下降レバーノブ28を時計回りに回すと駆動部26の上面26aの上下動がロックされる。すなわち、この昇降装置16は、使用者が上昇ステップ27及び下降レバーノブ28を操作することによって、駆動部26の上面26aを土台部15に対して垂直に昇降させることができる。これにより、駆動部26の上面26aに載置された移動体18は、土台部15に対して垂直に移動することができる。
【0038】
ここで、提示部1においては、プロジェクタ12,13、反射鏡14、ドーム型スクリーン11が一体に組み合わせられて一つの移動体18を構成している。このため、移動体18が昇降装置16によって移動されても、プロジェクタ12,13、反射鏡14、ドーム型スクリーン11の互いの位置関係は固定されたままである。従って、移動体18の高さに関わらず、常に歪みのない映像をドーム型スクリーン11に表示できる。つまり、プロジェクタ12,13、反射鏡14、ドーム型スクリーン11が一体化されていない場合、ドーム型スクリーン11の高さが変わると、プロジェクタ12,13、反射鏡14、ドーム型スクリーン11の互いの位置関係が変わり、ドーム型スクリーン11の中心に映像が表示されなかったり、歪んだ映像がスクリーンに表示される恐れがある。そのため、ドーム型スクリーン11の高さを変えるたびに、プロジェクタ12,13、反射鏡14、ドーム型スクリーン11の位置関係を調整しなければならず、位置調整に多大な労力を要する。
【0039】
それに対して、この提示部1は、プロジェクタ12,13、反射鏡14、ドーム型スクリーン11を組み合わせて一つの移動体18を構成することによって、これらの互いの位置関係を固定させているので、昇降装置16によって移動体18の高さを変えても、プロジェクタ12,13、反射鏡14、ドーム型スクリーン11の位置調整をすることなく、常に所望の歪みのない映像をドーム型スクリーン11に表示することができるのである。
【0040】
このような提示部1は、内視鏡手術用トレーニングを行うに際して、ドーム型スクリーン11に正対して内視鏡手術用トレーニングボックス2が設置される。また、カメラ装置2bが内視鏡手術用トレーニングボックス2内の対象物を撮像するように設置され、カメラ装置2bが撮像した映像(すなわち、対象物)がドーム型スクリーン11上に立体的に表示される。なお、この内視鏡手術用トレーニングボックス2は、複数の挿入口2aを備えることによって複数の訓練者Pが挿入口2aに挿入された医療器具2eを操作した時でも、各訓練者Pがドーム型スクリーン11に表示された映像を見ながら、対象物に対して内視鏡手術用トレーニングを行えるようになっている。
【0041】
また、この提示部1は、移動体18が昇降可能なため、訓練者Pによって昇降装置16を操作して、ドーム型スクリーン11を見やすい高さに調節することができる。この時、プロジェクタ12,13、反射鏡14、ドーム型スクリーン11の位置関係が固定されているため、移動体18を移動させても、常に歪みのない映像がドーム型スクリーン11に表示される。また、この提示部1は、手すり25とキャスター24を備えるので、手すり25を握って土台部15を押すことで、例えば部屋から別の部屋へと容易に移動させることができる。移動体18の高さを下げることで、例えば部屋のドアなども通過しやすくなる。
【0042】
以上のように、提示部1は、訓練者Pの身長や用途などに応じて、ドーム型スクリーン11の高さを調節することができ、さらに、スクリーンの高さを変えても、常に歪みのない映像を表示することができる。
【0043】
このような提示部1を用い、内視鏡手術用トレーニング装置は、訓練者Pに内視鏡手術用トレーニングボックス2を操作させて、内視鏡手術のトレーニングを実施する。この内視鏡手術のトレーニングとしては、図3乃至図6を参照して以下に説明する第1作業タスク乃至第4作業タスク、図7乃至図9を参照して以下に説明する第1認識タスク乃至第3認識タスクがある。
【0044】
「第1作業タスク」
第1作業タスクは、訓練者Pが内視鏡手術用トレーニングボックス2内で医療器具2eである鉗子を操作して、対象物に鉗子の先端を接触させて訓練者Pを訓練させる。この第1作業タスクを行わせる内視鏡手術用トレーニングボックス2は、その筐体内部に、図3に示すような訓練台2fが設けられている。この訓練台2fには、直線状の少なくとも2つの対象物2g−1,2g−2が上部と下部との間に設けられている。また、この対象物2g−1,2g−2には、医療器具2eが接触される操作を検出する接触センサ2h−1,2h−2が設けられている。また、訓練台2fには、対象物2g−1,2g−2と訓練者Pが操作する医療器具2eの通常位置との間の所定の基準位置に、基準位置接触センサ2iが設けられている。
【0045】
対象物2g−1,2g−2は、訓練者Pに対する相互の前後方向距離D及び幅W、対象物2g−1,2g−2におけるそれぞれの接触センサ2h−1,2h−2の取付高さH1,H2が調整可能となっている。この対象物2g−1,2g−2の前後方向距離D及び幅Wの変更は、図示しない小型アクチュエータやモータなどの機構が訓練台2fの上部又は下部に設けられることによって行われる。接触センサ2h−1,2h−2の取付高さH1,H2の変更は、対象物2g−1,2g−2をゴム材料で構成し、対象物2g−1,2g−2を訓練台2fの上部又は下部に引っ張る機構などによって行われる。更に、対象物2g−1,2g−2の太さは、自動的に対象物2g−1,2g−2を入れ替える機構で変更しても良く、対象物2g−1,2g−2の張力を調整する機構で変更しても良い。このような対象物2g−1,2g−2及び接触センサ2h−1,2h−2の変更は、制御装置3における制御部3aによって制御される。
【0046】
このように構成された内視鏡手術用トレーニングボックス2は、対象物2g−1,2g−2、基準位置接触センサ2iが含まれる領域をカメラ装置2bの撮像領域としている。したがって、制御装置3は、対象物2g−1,2g−2及び基準位置を含む映像を示す左眼用映像信号及び右眼用映像信号がカメラ装置2bから供給されて、所定の歪み補正処理を行う。これによって、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11に、対象物2g−1,2g−2及び基準位置に対する医療器具2eの先端の動きを立体的に表示させることができる。
【0047】
また、この内視鏡手術用トレーニングボックス2においては、鉗子である医療器具2eに、当該鉗子の先端が接触センサ2h−1,2h−2又は基準位置接触センサ2iに接触することを検出する接触センサ4aと、当該鉗子の開閉を自動で検出する開閉センサ4bとを設けている。このような対象物2g−1,2g−2を備えた内視鏡手術用トレーニングボックス2において、基準位置接触センサ2i及び接触センサ2h−1,2h−2に対する医療器具2eの接触操作を表すセンサ信号は、接触センサ4aによって検知されて制御装置3に出力される。
【0048】
制御装置3には、制御部3aに、対象物2g−1,2g−2の間の距離又は各対象物2g−1,2g−2の太さと、対象物2g−1,2g−2の接触センサ2h−1,2h−2に対して医療器具2eを接触させる操作を行う回数とで定義される作業(訓練)タスクが設定されている(設定手段)。例えば、第1作業タスクは、「鉗子の先端を基準位置に接触させた状態から対象物2g−1,2g−2の中心にある接触センサ2h−1,2h−2を把持した後に再度鉗子の先端を基準位置に戻す操作を、左右の対象物2g−1,2g−2に対して交互にそれぞれ10回ずつの合計20回行う。」とする。また、この第1作業タスクの評価指標としては、基準位置に接触させた状態から接触センサ2h−1,2h−2を把持し再度鉗子の先端を基準位置に接触させる1回の操作に要する時間の20回分の平均時間と、20回の操作中に対象物2g−1,2g−2を把持し損ねた回数とする。
【0049】
このような1回の鉗子の操作に対する接触センサ2h−1,2h−2及び基準位置接触センサ2i、鉗子における接触センサ4a及び開閉センサ4bのセンサ信号は、制御装置3の制御部3aに供給される。これによって、基準位置接触センサ2iに対する鉗子の操作を検出することによって第1作業タスクの開始及び終了を検出し、更に、接触センサ2h−1,2h−2及び基準位置接触センサ2iに対する鉗子の操作を検出することによって、20回の操作に要した時間及び1回の操作に要する平均時間、対象物2g−1,2g−2を把持し損ねた回数を解析部3bによって演算し、記録部3cに記録することができる。
【0050】
このような第1作業タスクを実行する内視鏡手術用トレーニング装置によれば、ドーム型スクリーン11に内視鏡手術用トレーニングボックス2内の様子を立体映像(3D映像)として視認させながら、基準位置接触センサ2iの検出出力に基づいて訓練開始時刻及び訓練終了時刻を記録し、訓練開始時刻から訓練終了時刻までの接触センサ2h−1,2h−2、基準位置接触センサ2i、接触センサ4a及び開閉センサ4bの検出出力に基づいて第1作業タスクで定義される1回の操作に要する時間を記憶することができる。
【0051】
また、この内視鏡手術用トレーニング装置によれば、対象物2g−1,2g−2に対する医療器具2eの操作成功及び操作失敗を検出し、記録部3cによって操作成功回数及び操作失敗回数を記録することができる。
【0052】
なお、この第1作業タスクにおいて、内視鏡手術用トレーニング装置は、1回の操作に要した時間を計測しない場合には、基準位置から対象物、対象物から基準位置に鉗子を操作するタイミングを、内視鏡手術用トレーニングボックス2内の様子を示す立体映像に重畳してドーム型スクリーン11によって表示させても良い。また、訓練を始める前に、第1作業タスクの内容や説明を提示しても良い。更に、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11に、訓練の内容又は記録した情報を提示しても良い。更に、内視鏡手術用トレーニング装置は、記録部3cによって記録された情報を用いて、訓練者Pの内視鏡手術の術者としての技能を評価しても良い。
【0053】
更に、この内視鏡手術用トレーニング装置は、対象物2g−1,2g−2の前後方向距離D、幅W、取付高さH1,H2を変更している最中には、ドーム型スクリーン11に立体映像を表示させないようにすることが望ましい。
【0054】
「第2作業タスク」
つぎに、上述した内視鏡手術用トレーニング装置によって訓練者Pに行わせる第2作業タスクについて説明する。なお、上述した説明と共通する部分についてその説明を省略するものとする。
【0055】
第2作業タスクは、訓練者Pが内視鏡手術用トレーニングボックス2内で医療器具2eである鉗子を操作して、対象物を把持する操作をさせて訓練者Pを訓練させる。この第2作業タスクを行わせる内視鏡手術用トレーニングボックス2は、その筐体内部に、図4に示すような訓練台2fが設けられている。この訓練台2fには、所定形状に形成された細線状でその先端が針形状とされた対象物2gが、当該訓練台2fの上部に接続されて設けられている。また、訓練台2fには、対象物2gと訓練者Pが操作する医療器具2eの通常位置との間の所定の基準位置に、基準位置接触センサ2iが設けられている。
【0056】
対象物2gは、訓練者Pに対する向き及び取付高さHが調整可能となっている。この対象物2gの向きの変更は、図示しない小型回転アクチュエータなどの機構が訓練台2fの上部に設けられることによって行われる。この対象物2gの先端の針部分の向き変更は、針の先端が訓練者P側に向く状態から、針の先願が訓練者Pとは反対側に向く状態まで、例えば8段階の何れかの状態で設定される。対象物2gの取付高さHの変更は、対象物2gを訓練台2fの上部に引っ張る機構などによって行われる。このような対象物2gの向き及び取付高さHの変更は、制御装置3における制御部3aによって制御される。
【0057】
このように構成された内視鏡手術用トレーニングボックス2は、対象物2g、基準位置接触センサ2iが含まれる領域をカメラ装置2bの撮像領域としている。したがって、制御装置3は、対象物2g及び基準位置を含む映像を示す左眼用映像信号及び右眼用映像信号がカメラ装置2bから供給されて、所定の歪み補正処理を行う。これによって、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11に、対象物2g及び基準位置に対する医療器具2eの先端の動きを立体的に表示させることができる。
【0058】
また、この内視鏡手術用トレーニングボックス2においては、鉗子である医療器具2eに、基準位置接触センサ2iに接触することを検出する接触センサ4aと、当該鉗子の開閉を自動で検出する開閉センサ4bとを設けている。このような対象物2gを備えた内視鏡手術用トレーニングボックス2において、対象物2gの先端を把持する操作を表すセンサ信号は、開閉センサ4b及び接触センサ4aによって検知され、基準位置接触センサ2iに対する医療器具2eの接触操作を表すセンサ信号は、接触センサ4aによって検知されて、制御装置3に出力される。対象物2gを把持する操作は、具体的には、鉗子が開かれたことを開閉センサ4bによって検知し、鉗子が開かれた状態で接触センサ4aが針部に接触したことを検知し、針部に接触センサ4aが接触した状態で開閉センサ4bによって鉗子が閉じられたことを検知することによって、検出される。
【0059】
制御装置3には、制御部3aに、対象物2gの向き及び取付高さHと、対象物2gを医療器具2eが把持する操作を行う回数とで定義される作業(訓練)タスクが設定されている(設定手段)。例えば、第2作業タスクは、「鉗子の先端を基準位置に接触させた状態から対象物2gの針部分を把持した後に再度鉗子の先端を基準位置に戻す操作を合計20回行う。」とする。また、この第2作業タスクの評価指標としては、基準位置に接触させた状態から対象物2gの針部を把持し再度鉗子の先端を基準位置に接触させる1回の操作に要する時間の20回分の平均時間と、20回の操作中に対象物2gの針部分を把持し損ねた回数とする。
【0060】
このような1回の鉗子の操作に対する開閉センサ4b及び接触センサ4a、基準位置接触センサ2iのセンサ信号は、制御装置3の制御部3aに供給される。これによって、基準位置接触センサ2iに対する鉗子の操作を検出することによって第1作業タスクの開始及び終了を検出し、更に、対象物2g及び基準位置接触センサ2iに対する鉗子の操作を検出することによって、20回の操作に要した時間及び1回の操作に要する平均時間、対象物2gを把持し損ねた回数を解析部3bによって演算し、記録部3cに記録することができる。
【0061】
このような第2作業タスクを実行する内視鏡手術用トレーニング装置によれば、ドーム型スクリーン11に内視鏡手術用トレーニングボックス2内の様子を立体映像(3D映像)として視認させながら、基準位置接触センサ2iの検出出力に基づいて訓練開始時刻及び訓練終了時刻を記録し、訓練開始時刻から訓練終了時刻までの基準位置接触センサ2i、接触センサ4a及び開閉センサ4bの検出出力に基づいて第2作業タスクで定義される1回の操作に要する時間を記憶することができる。
【0062】
また、この内視鏡手術用トレーニング装置によれば、対象物2gに対する医療器具2eの操作成功及び操作失敗を検出し、記録部3cによって操作成功回数及び操作失敗回数を記録することができる。
【0063】
なお、この第2作業タスクにおいて、内視鏡手術用トレーニング装置は、1回の操作に要した時間を計測しない場合には、基準位置から対象物、対象物から基準位置に鉗子を操作するタイミングを、内視鏡手術用トレーニングボックス2内の様子を示す立体映像に重畳してドーム型スクリーン11によって表示させても良い。また、訓練を始める前に、第1作業タスクの内容や説明を提示しても良い。更に、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11に、訓練の内容又は記録した情報を提示しても良い。更に、内視鏡手術用トレーニング装置は、記録部3cによって記録された情報を用いて、訓練者Pの内視鏡手術の術者としての技能を評価しても良い。
【0064】
更に、この内視鏡手術用トレーニング装置は、対象物2gの向き、取付高さHを変更している最中には、ドーム型スクリーン11に立体映像を表示させないようにすることが望ましい。
【0065】
「第3作業タスク」
つぎに、上述した内視鏡手術用トレーニング装置によって訓練者Pに行わせる第3作業タスクについて説明する。なお、上述した説明と共通する部分についてその説明を省略するものとする。
【0066】
第3作業タスクは、訓練者Pが内視鏡手術用トレーニングボックス2内で医療器具2eである鉗子を操作して、対象物に鉗子の先端を接触させて訓練者Pを訓練させる。この第3作業タスクを行わせる内視鏡手術用トレーニングボックス2は、その筐体内部に、図5に示すような訓練台2fが設けられている。この訓練台2fには、輪形状部分を含み、医療器具2eの訓練者Pに対して前後方向にずれて配置された少なくとも2つの対象物2g−1,2g−2が設けられている。また、訓練台2fには、対象物2g−1,2g−2と訓練者Pが操作する医療器具2eの通常位置との間の所定の基準位置に、基準位置接触センサ2iが設けられている。また、この訓練台2fには、図示はしていないが、医療器具2eが輪形状部分を津通過したことを検知するセンサを備えている。例えば、輪形状部分内の磁電界状態を検知して、対象物2g−1,2g−2の輪形状部分内に医療器具2eが挿入されたことを検知する。
【0067】
対象物2g−1,2g−2は、輪形状部分の大きさを変更することが可能となっている。この対象物2g−1,2g−2の輪形状部分の大きさの変更は、当該対象物2g−1,2g−2自体を自動的に交換する機構などによって行われる。また、この内視鏡手術用トレーニングボックス2は、2つの輪形状部分位置を変更可能としても良く、輪形状部分を支える足形状や足の位置を自動変更可能としても良い。
【0068】
このように構成された内視鏡手術用トレーニングボックス2は、対象物2g−1,2g−2、基準位置接触センサ2iが含まれる領域をカメラ装置2bの撮像領域としている。したがって、制御装置3は、対象物2g−1,2g−2及び基準位置を含む映像を示す左眼用映像信号及び右眼用映像信号がカメラ装置2bから供給されて、所定の歪み補正処理を行う。これによって、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11に、対象物2g−1,2g−2及び基準位置に対する医療器具2eの先端の動きを立体的に表示させることができる。
【0069】
また、この内視鏡手術用トレーニングボックス2においては、鉗子である医療器具2eに、当該鉗子の開閉を自動で検出する開閉センサ4bを設けている。このような対象物2g−1,2g−2を備えた内視鏡手術用トレーニングボックス2において、基準位置接触センサ2i及び輪形状部分の通過に対するセンサ信号は、制御装置3に出力される。
【0070】
制御装置3には、制御部3aに、対象物2g−1,2g−2の輪形状部分の大きさと、対象物2g−1,2g−2の輪形状部分に対して医療器具2eを通過させる操作を行う回数とで定義される作業(訓練)タスクが設定されている(設定手段)。例えば、第3作業タスクは、「鉗子の先端を基準位置に接触させた状態から対象物2g−1,2g−2の輪形状部分を通過させた後に再度鉗子の先端を基準位置に戻す操作を、左右の対象物2g−1,2g−2の輪形状部分に対して交互にそれぞれ10回ずつの合計20回行う。」とする。また、この第3作業タスクの評価指標としては、基準位置に接触させた状態から輪形状部分を通過させて再度鉗子の先端を基準位置に接触させる1回の操作に要する時間の20回分の平均時間と、輪形状部分の中心に対する通過位置のずれ量とする。
【0071】
このような1回の鉗子の操作に対する接触センサ2h−1,2h−2及び基準位置接触センサ2iのセンサ信号は、制御装置3の制御部3aに供給される。これによって、基準位置接触センサ2iに対する鉗子の操作を検出することによって第3作業タスクの開始及び終了を検出し、更に、接触センサ2h−1,2h−2及び基準位置接触センサ2iに対する鉗子の操作を検出することによって、20回の操作に要した時間及び1回の操作に要する平均時間、対象物2g−1,2g−2の輪形状部分の中心に対するズレ量を解析部3bによって演算し、記録部3cに記録することができる。
【0072】
このような第3作業タスクを実行する内視鏡手術用トレーニング装置によれば、ドーム型スクリーン11に内視鏡手術用トレーニングボックス2内の様子を立体映像(3D映像)として視認させながら、基準位置接触センサ2iの検出出力に基づいて訓練開始時刻及び訓練終了時刻を記録し、訓練開始時刻から訓練終了時刻までの基準位置接触センサ2i及び輪形状部分を通過の検出出力に基づいて第3作業タスクで定義される1回の操作に要する時間を記憶することができる。
【0073】
また、この内視鏡手術用トレーニング装置によれば、対象物2g−1,2g−2に対する医療器具2eの操作成功及び操作失敗を検出し、記録部3cによって操作成功回数及び操作失敗回数を記録することができる。
【0074】
なお、この第3作業タスクにおいて、内視鏡手術用トレーニング装置は、1回の操作に要した時間を計測しない場合には、基準位置から対象物、対象物から基準位置に鉗子を操作するタイミングを、内視鏡手術用トレーニングボックス2内の様子を示す立体映像に重畳してドーム型スクリーン11によって表示させても良い。また、訓練を始める前に、第3作業タスクの内容や説明を提示しても良い。更に、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11に、訓練の内容又は記録した情報を提示しても良い。更に、内視鏡手術用トレーニング装置は、記録部3cによって記録された情報を用いて、訓練者Pの内視鏡手術の術者としての技能を評価しても良い。
【0075】
更に、この内視鏡手術用トレーニング装置は、対象物2g−1,2g−2の前後方向距離D、幅W、輪形状部分の大きさ等を変更している最中には、ドーム型スクリーン11に立体映像を表示させないようにすることが望ましい。
【0076】
「第4作業タスク」
つぎに、上述した内視鏡手術用トレーニング装置によって訓練者Pに行わせる第4作業タスクについて説明する。なお、上述した説明と共通する部分についてその説明を省略するものとする。
【0077】
第4作業タスクは、訓練者Pが内視鏡手術用トレーニングボックス2内で医療器具2eである鉗子を操作して、対象物である縫合練習ボードに対して糸を縫合し、更に糸を結紮する操作を訓練させるものである。この第4作業タスクを行わせる内視鏡手術用トレーニングボックス2は、その筐体内部に、図6に示すような訓練台2f上に対象物2gである縫合練習ボードが設けられている。この縫合練習ボードには、患者の皮膚を模擬したゴム材料等からなり、その表面に縫合針を通過させる複数の目標点が記載されている。また、訓練台2fには、縫合練習ボードと訓練者Pが操作する医療器具2eの通常位置との間の所定の基準位置に、基準位置接触センサ2iが設けられている。更に、図示はしないが、鉗子に把持される縫合針の先端部に、当該縫合針が縫合練習ボードを通過したことを検知する接触センサを設けておく。そして、この接触センサは、鉗子の操作によって縫合針が縫合練習ボードを通過した時に、当該縫合針によって縫合糸が縫合されたことが認識できるセンサ信号を制御装置3の制御部3aに供給する。
【0078】
縫合練習ボードは、鉗子で把持された縫合針で糸を通す目標点が設定可能とされる。具体的には、縫合練習ボードをドーム型スクリーン11に表示させた状態にて、当該縫合練習ボードの目標点を、当該ドーム型スクリーン11に表示させているカメラ装置2bの画像上に重畳表示させる。そして、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11上で設定した縫合練習ボードの目標点に縫合針が通過したことを検知する。また、この内視鏡手術用トレーニング装置においては、鉗子の操作を表す接触センサ4a及び開閉センサ4bの検出出力に基づいて、縫合糸の結紮作業を検出する。この縫合糸の結紮作業は、縫合糸の結び方として所定の方法がある。したがって、内視鏡手術用トレーニング装置は、鉗子に設けられた接触センサ4aによって検出する縫合糸の把持及び開閉センサ4bによって検出する鉗子の開閉が所定の順序で行われたことによって、縫合糸の結紮作業を検出することができる。
【0079】
このように構成された内視鏡手術用トレーニングボックス2は、訓練台2f、対象物2gである縫合練習ボード、基準位置接触センサ2iが含まれる領域をカメラ装置2bの撮像領域としている。したがって、制御装置3は、縫合練習ボード及び基準位置を含む映像を示す左眼用映像信号及び右眼用映像信号がカメラ装置2bから供給されて、所定の歪み補正処理を行う。これによって、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11に、縫合練習ボード及び基準位置に対する医療器具2eの先端の動きを立体的に表示させることができる。
【0080】
制御装置3には、制御部3aに、縫合練習ボードに対する縫合作業の回数及び結紮作業の回数で定義される作業(訓練)タスクが設定されている(設定手段)。例えば、第4作業タスクは、「縫合練習ボード上に置かれた縫合針を把持し、縫合練習ボードの中心の縦線の左右に配置された目標点に合わせて縫合作業を1回行い、その後に、所定の縫合方法である基本Cループ法による結紮作業を2回行う。」とする。また、この第4作業タスクの評価指標としては、縫合針の把持、縫合作業を1回、結紮作業を2回からなる1回の操作に要する時間の2回分の平均時間と、1回の操作でのエラー回数(縫合針、縫合糸を掴み損ねた回数)の2回分の平均回数とする。
【0081】
このような1回の鉗子の操作に対する開閉センサ4b及び接触センサ4a、基準位置接触センサ2iのセンサ信号は、制御装置3の制御部3aに供給される。これによって、基準位置接触センサ2iに対する鉗子の操作を検出することによって第4作業タスクの開始及び終了を検出し、更に、縫合練習ボード及び基準位置接触センサ2iに対する鉗子の操作を検出することによって、1回の操作に要した時間及び1回の操作に要する平均時間、エラー回数を解析部3bによって演算し、記録部3cに記録することができる。
【0082】
このような第4作業タスクを実行する内視鏡手術用トレーニング装置によれば、ドーム型スクリーン11に内視鏡手術用トレーニングボックス2内の様子を立体映像(3D映像)として視認させながら、基準位置接触センサ2iの検出出力に基づいて訓練開始時刻及び訓練終了時刻を記録し、訓練開始時刻から訓練終了時刻までの基準位置接触センサ2i、接触センサ4a及び開閉センサ4bの検出出力に基づいて第4作業タスクで定義される1回の操作に要する時間を記憶することができる。
【0083】
また、この内視鏡手術用トレーニング装置によれば、対象物2gに対する医療器具2eの操作成功及び操作失敗を検出し、記録部3cによって操作成功回数及び操作失敗回数を記録することができる。
【0084】
なお、この第2作業タスクにおいて、内視鏡手術用トレーニング装置は、1回の操作に要した時間を計測しない場合には、基準位置から対象物、対象物から基準位置に鉗子を操作するタイミングを、内視鏡手術用トレーニングボックス2内の様子を示す立体映像に重畳してドーム型スクリーン11によって表示させても良い。また、訓練を始める前に、第1作業タスクの内容や説明を提示しても良い。更に、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11に、訓練の内容又は記録した情報を提示しても良い。更に、内視鏡手術用トレーニング装置は、記録部3cによって記録された情報を用いて、訓練者Pの内視鏡手術の術者としての技能を評価しても良い。
【0085】
「第1認識タスク」
つぎに、内視鏡手術における術者を訓練するために、訓練台2f上の状況の認識状態を訓練する第1認識タスクについて説明する。なお、上述した説明と共通する部分についてその説明を省略するものとする。
【0086】
第1認識タスクは、訓練者Pが内視鏡手術用トレーニングボックス2内における対象物の状態を正確に認識できることを訓練させるものである。この第1認識タスクでは、内視鏡手術用トレーニングボックス2内に、図7に示すような訓練台2fが設けられている。この訓練台2fには、直線状の少なくとも2つの対象物2g−1,2g−2が上部と下部との間に設けられている。
【0087】
対象物2g−1,2g−2は、訓練者Pに対する相互の前後方向距離D及び幅Wが調整可能となっている。この対象物2g−1,2g−2の前後方向距離D及び幅Wの変更は、図示しない小型アクチュエータやモータなどの機構が訓練台2fの上部又は下部に設けられることによって行われる。対象物2g−1,2g−2の太さは、自動的に対象物2g−1,2g−2を入れ替える機構で変更しても良く、対象物2g−1,2g−2の張力を調整する機構で変更しても良い。このような対象物2g−1,2g−2及び接触センサ2h−1,2h−2の変更は、制御装置3における制御部3aによって制御される。
【0088】
このように構成された内視鏡手術用トレーニングボックス2は、対象物2g−1,2g−2が含まれる領域をカメラ装置2bの撮像領域としている。したがって、制御装置3は、対象物2g−1,2g−2を含む映像を示す左眼用映像信号及び右眼用映像信号がカメラ装置2bから供給されて、所定の歪み補正処理を行う。これによって、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11に、対象物2g−1,2g−2を立体的に表示させることができる。
【0089】
このように対象物2g−1,2g−2の状態をドーム型スクリーン11に表示させた状態において、この第1認識タスクは、対象物2g−1,2g−2のうち何れの対象物が訓練者Pの前方又は後方に存在するかの前後位置関係をボタン5の操作によって選択させる(入力手段)。この操作は、制御装置3によって検出され、解析部3bは、ボタン5に入力された対象物2g−1,2g−2の前後位置関係の正誤又はボタン5に入力された対象物の前後位置と実際の対象物の前後位置との差異を演算して、記録部3cに記録する。
【0090】
制御装置3には、制御部3aに、ランダムな順序で全ての前後位置関係、太さなどのパターンを複数回づつ、各パターンを5秒づつ提示するという認識(訓練)タスクが設定されている。そして、解析部3bは、回答の正答率、パターンの提示から回答までに要した時間を評価指標とする。そして、内視鏡手術用トレーニング装置は、認識タスクに従って制御装置3がアクチュエータを制御して対象物2g−1,2g−2の前後、太さ及び距離を変化させて、ボタン5の操作を検出する。これによって、解析部3bは、ボタン5に入力された対象物2g−1,2g−2の前後位置関係の正誤又はボタン5に入力された対象物2g−1,2g−2の前後位置関係と実際の対象物2g−1,2g−2の前後位置関係との差異を演算して、記録部3cに記録する。
【0091】
なお、この内視鏡手術用トレーニング装置は、対象物2g−1,2g−2の前後方向距離D、幅W、取付高さH1,H2を変更している最中には、ドーム型スクリーン11に立体映像を表示させないようにすることが望ましい。
【0092】
「第2認識タスク」
つぎに、内視鏡手術における術者を訓練するために、訓練台2f上の状況の認識状態を訓練する第1認識タスクについて説明する。なお、上述した説明と共通する部分についてその説明を省略するものとする。
【0093】
第2認識タスクは、内視鏡手術用トレーニングボックス2内において、対象物2gの先端部2g’の向きを正確に把握させる訓練させるものである。この第2認識タスクにおいて、内視鏡手術用トレーニングボックス2は、その筐体内部に、図8に示すような訓練台2fが設けられている。この訓練台2fには、所定形状に形成された細線状でその先端が針形状とされた対象物2gが、当該訓練台2fの上部に接続されて設けられている。
【0094】
対象物2gは、訓練者Pに対する向き及び取付高さHが調整可能となっている。この対象物2gの向きの変更は、図示しない小型回転アクチュエータなどの機構が訓練台2fの上部に設けられることによって行われる。この対象物2gの先端の針部分の向き変更は、針の先端が訓練者P側に向く状態から、針の先願が訓練者Pとは反対側に向く状態まで、例えば8段階の何れかの状態で設定される。対象物2gの取付高さHの変更は、対象物2gを訓練台2fの上部に引っ張る機構などによって行われる。このような対象物2gの向き及び取付高さHの変更は、制御装置3における制御部3aによって制御される。
【0095】
このように構成された内視鏡手術用トレーニングボックス2は、対象物2g、基準位置接触センサ2iが含まれる領域をカメラ装置2bの撮像領域としている。したがって、制御装置3は、対象物2g及び基準位置を含む映像を示す左眼用映像信号及び右眼用映像信号がカメラ装置2bから供給されて、所定の歪み補正処理を行う。これによって、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11に、対象物2g及び基準位置に対する医療器具2eの先端の動きを立体的に表示させることができる。
【0096】
制御装置3には、制御部3aに、対象物2gの向き及び取付高さHをランダムな順序で全パターンを3回ずつ、各パターンを5秒ずつ提示する認識(訓練)タスクが設定されている(設定手段)。そして、内視鏡手術用トレーニング装置は、認識タスクに従って制御装置3がアクチュエータを制御し、ボタン5の操作を検出する。これによって、解析部3bは、ボタン5に入力された対象物2gの向きの正誤又はボタン5に入力された対象物2gの向きと実際の対象物2gの向きとの差異を演算して、記録部3cに記録する。
【0097】
なお、この内視鏡手術用トレーニング装置は、対象物2gの向き、取付高さHを変更している最中には、ドーム型スクリーン11に立体映像を表示させないようにすることが望ましい。
【0098】
「第3認識タスク」
つぎに、内視鏡手術における術者を訓練するために、訓練台2f上の状況の認識状態を訓練する第3認識タスクについて説明する。なお、上述した説明と共通する部分についてその説明を省略するものとする。
【0099】
第3認識タスクは、訓練者Pが内視鏡手術用トレーニングボックス2内における対象物の状態を正確に認識できることを訓練させるものである。この第3認識タスクでは、内視鏡手術用トレーニングボックス2内に、図9に示すような訓練台2fが設けられている。この訓練台2fには、直線状の少なくとも2つの輪形状部分を有する対象物2g−1,2g−2が設けられている。
【0100】
対象物2g−1,2g−2は、輪形状部分の半径R、輪形状部分の中心同士の前後方向距離D、輪形状部分の中心の幅方向距離Aが変更可能となっている。この輪形状部分の半径Rの変更は、対象物2g−1,2g−2そのものを交換する機構で実現でき、前後方向距離D及び幅方向距離Aの変更は、訓練台2f下部のアクチュエータを駆動して変更可能である。これらの制御は、制御装置3における制御部3aによって制御される。
【0101】
このように構成された内視鏡手術用トレーニングボックス2は、対象物2g−1,2g−2が含まれる領域をカメラ装置2bの撮像領域としている。したがって、制御装置3は、対象物2g−1,2g−2を含む映像を示す左眼用映像信号及び右眼用映像信号がカメラ装置2bから供給されて、所定の歪み補正処理を行う。これによって、内視鏡手術用トレーニング装置は、ドーム型スクリーン11に、対象物2g−1,2g−2を立体的に表示させることができる。
【0102】
このように対象物2g−1,2g−2の状態をドーム型スクリーン11に表示させた状態において、この第3認識タスクは、対象物2g−1,2g−2のうち何れの対象物が訓練者Pの前方又は後方に存在するかの前後位置関係をボタン5の操作によって選択させる(入力手段)。この操作は、制御装置3によって検出され、解析部3bは、ボタン5に入力された対象物2g−1,2g−2の前後位置関係の正誤又はボタン5に入力された対象物の前後位置と実際の対象物の前後位置との差異を演算して、記録部3cに記録する。
【0103】
制御装置3には、制御部3aに、ランダムな順序で全ての前後方向距離D、輪形状部分の半径R、幅方向距離Aなどのパターンを複数回づつ、各パターンを5秒づつ提示するという認識(訓練)タスクが設定されている。そして、解析部3bは、回答の正答率、パターンの提示から回答までに要した時間を評価指標とする。そして、内視鏡手術用トレーニング装置は、認識タスクに従って制御装置3がアクチュエータを制御して対象物2g−1,2g−2の前後方向距離D、幅方向距離A、輪形状部分の半径Rを変化させて、ボタン5の操作を検出する。これによって、解析部3bは、ボタン5に入力された対象物2g−1,2g−2の前後位置関係の正誤又はボタン5に入力された対象物2g−1,2g−2の前後位置関係と実際の対象物2g−1,2g−2の前後位置関係との差異を演算して、記録部3cに記録する。
【0104】
なお、この内視鏡手術用トレーニング装置は、対象物2g−1,2g−2の前後方向距離D、幅W、輪形状部分の大きさ等を変更している最中には、ドーム型スクリーン11に立体映像を表示させないようにすることが望ましい。
【0105】
つぎに、これら作業タスク及び認識タスクにおいて、内視鏡手術用トレーニングボックス2内の映像を提示する手段として、一般的な20インチトリニトロンモニタによって2次元映像(2D)を使用した場合と、本発明を適用した提示部1のように3次元映像(3D)を使用した場合での、作業タスク及び認識タスクに対する結果を、図10乃至図25の説明する。
【0106】
「第1作業タスク」
第1作業タスクは、図3に示したように、カメラ装置2bからの距離が異なる複数の糸状対象物を把持する訓練である。この第1作業タスクの結果として、図10に被験者(訓練者P)ごとの鉗子往復時間[sec]を示し、図11に鉗子往復時間[sec]の標準偏差を示し、図12に対象物の把持ミス回数[回]を示す。なお、この訓練結果は、複数の訓練者Pによって第1作業タスクを行って取得したものである。ここで、図10に示す「P」は、“Wilcoxon Signed Rank Test”と称される解析手法、図11,図12に示す「P」は、“Mann-Whitney-U検定”と称される解析手法によって求めた値であり、このPの値が0.05以下であると、比較する対象に相違があると認められることを表す。図10から明らかなように、内視鏡手術用トレーニングボックス2内の状況を2次元映像(2D)で表示した場合よりも、3次元映像(3D)で表示した場合の方が、鉗子往復時間が短く、Pの値より、双方の結果に相違が認められる。
【0107】
また、図11に示すように、2次元映像(2D)よりも、3次元映像(3D)の方が、訓練者Pに応じた鉗子往復時間のバラツキが小さく、且つ短い時間となっている。また、Mann-Whitney-U検定で求めたPの値も0.034となっている。なお、図11に示す箱ひげ図は、2次元映像(2D)の場合で説明すると、2.6[sec]、0.5[sec]付近の値は軽度の外れ値、2.25[sec]、0.75[sec]付近の値が最小値及び最大値、0.9[sec]、2.0[sec]付近の値が第1四分位点及び第3四分位点、1.5[sec]付近の値が中央値である。
【0108】
更に、図12に示すように、2次元映像(2D)よりも、3次元映像(3D)の方が、訓練者Pに応じた把持ミス回数が少なく、且つばらつきも小さくなっている。また、Mann-Whitney-U検定で求めたPの値も0.0039となっている。
【0109】
「第2作業タスク」
第2作業タスクは、図4に示したように、訓練者Pに対して向きが可変な針形状を把持する訓練である。この第2作業タスクの結果として、図13に鉗子往復時間[sec]を示し、図14に対象物の把持ミス回数[回]を示す。なお、この訓練結果は、複数の訓練者Pによって第2作業タスクを行って取得したものである。
【0110】
図13から明らかなように、2次元映像(2D)で表示した場合より、3次元映像(3D)で表示した場合の方が、鉗子往復時間が短い。なお、Pの値も0.01となっている。また、図14から明らかなように、2次元映像(2D)で表示した場合より、3次元映像(3D)で表示した場合の方が、把持ミス回数も少なくなっている。なおPの値も0.018となっている。
【0111】
「第3作業タスク」
第3作業タスクは、図5に示したように、カメラ装置2bからの距離が異なる2つの輪形状部分に対する鉗子の通過訓練である。この第3作業タスクの結果として、図15に対象物2g−1,2g−2の輪形状部分の中心からのずれ量[mm]を示し、図16に、このずれ量の標準偏差を示す。なお、この訓練結果は、複数の訓練者Pによって第3作業タスクを行って取得したものである。
【0112】
図15から明らかなように、2次元映像(2D)で表示した場合より、3次元映像(3D)で表示した場合の方が、ずれ量が少なく且つばらつきも小さい。なお、Pの値も0.036となっている。また、図16から明らかなように、2次元映像(2D)で表示した場合より、3次元映像(3D)で表示した場合の方が、ずれ量の標準偏差が小さく、ばらつきも小さい。なお、Pの値も0.036となっている。
【0113】
「第4作業タスク」
第4作業タスクは、図6に示したように、所定の縫合練習ボードに対して縫合作業をさせる訓練である。この第4作業タスクの結果として、図17に縫合糸の結紮時間[sec]を示し、図18に縫合糸又は縫合針の把持ミス回数[回]を示す。図17(a)、図18(a)は、2次元映像(2D)を見て第4作業タスクを行った後に3次元映像(3D)を見て第4作業タスクを行った場合の結果である。図17(b)、図18(b)は、3次元映像(3D)を見て第4作業タスクを行った後に2次元映像(2D)を見て第4作業タスクを行った場合の結果である。なお、この訓練結果は、複数の訓練者Pによって第4作業タスクを行って取得したものである。
【0114】
図17から明らかなように、2次元映像(2D)で表示した場合より、3次元映像(3D)で表示した場合の方が、縫合糸の結紮時間が短くなっている。なお、Pの値も0.035となっている。また、図18から明らかなように、2次元映像(2D)で表示した場合より、3次元映像(3D)で表示した場合の方が、把持ミス回数は少なくなっている。なお、Pの値も0.0015となっている。
【0115】
「第1認識タスク」
第1認識タスクは、図7に示したように、カメラ装置2bからの距離が異なる複数の糸状対象物の前後位置関係を正確に把握する訓練である。この第1認識タスクの訓練結果は、平面モニタに2次元映像(2D)を表示させた場合とドーム型スクリーン11に3次元映像(3D)を表示させた場合とで得た。また、この第1認識タスクの訓練結果は、表示画面が平面のモニタを使用して立体映像を表示させて第1認識タスクを行った場合(3DP)と、上述のドーム型スクリーン11に立体映像を表示して第1認識タスクを行った場合(3DD)とで得た。なお、鉗子、内視鏡手術用トレーニングボックス2は同一のものを使用した。この第1認識タスクの結果として、図19に、2次元映像(2D)を使用した場合とドーム型スクリーン11上の3次元映像(3D)を使用した場合との前後位置関係の正答率を示す。また、図20に、3次元映像を平面モニタに表示させた場合(3DP)とドーム型スクリーン11に表示させた場合(3DD)との前後位置関係の正答率を示す。なお、この訓練結果は、複数の訓練者Pによって第1認識タスクを行って取得したものである。
【0116】
図19を見ると、2次元映像を使用した場合とドーム型スクリーン11上の3次元映像を使用した場合とでは、格段に大きな正答率の相違が確認できた。また、Pの値も0.014となった。一方、図20を見ると、平面のモニタを使用した3DPでは、被験者の正答率のバラツキが大きくなっているが、ドーム型スクリーン11を使用した3DDでは、被験者間の正答率のバラツキが小さくなっている。また、3DDでは、軽度の外れ値がなく、最小値も高い値となっている。なお、Pの値は0.77となった。
【0117】
「第2認識タスク」
第2認識タスクは、図8に示したように、訓練者Pに対する針形状の向きを正確に把握する訓練である。この第2認識タスクの結果として、図21に、2次元映像(2D)を使用した場合とドーム型スクリーン11上の3次元映像(3D)を使用した場合との針形状部分の向きの正答率を示す。また、図22に、3次元映像を平面モニタに表示させた場合(3DP)とドーム型スクリーン11に表示させた場合(3DD)との針形状部分の向きの正答率を示す。なお、この訓練結果は、複数の訓練者Pによって第2認識タスクを行って取得したものである。
【0118】
図21を見ると、2次元映像を使用した場合とドーム型スクリーン11上の3次元映像を使用した場合とでは、大きな正答率の相違が確認できた。また、ドーム型スクリーン11上の3次元映像を使用した場合には、そのバラツキが正答率90%以上でまとまっており、2次元映像を使用するよりも訓練者Pごとのばらつきが著しく小さくなる。更に、Pの値も0.0001となり大きな有意差が認められる。
【0119】
図22を見ると、平面のモニタを使用した3DPでは、被験者の正答率のバラツキが大きくなっているが、ドーム型スクリーン11を使用した3DDでは、被験者間の正答率のバラツキが小さくなっている。また、3DDでは、軽度の外れ値でも正答率が90%となっており、最小値も極めて高い値となっている。なお、Pの値は0.0003となった。
【0120】
この第2認識タスクにおいては、同じ立体映像を表示しても、平面のモニタよりも、ドーム型スクリーン11を用いることで、著しく高い効果が認められる。
【0121】
「第3認識タスク」
第3認識タスクは、図9に示したように、カメラ装置2bからの距離が輪形状部分の大きさが異なる複数の対象物の前後位置関係を正確に把握する訓練である。この第3認識タスクの結果として、図23に、2次元映像(2D)を使用した場合とドーム型スクリーン11上の3次元映像(3D)を使用した場合との輪形状部分の前後の正答率を示し、図24に、各対象物の輪形状部分の半径R、対象物間の前後方向距離D及び幅Wを変更させた全モデルを行った場合と、カメラ装置2bから手前の対象物の輪形状部分の半径Rが小さい場合にそれが認識できるかの訓練を行った場合とで、平面のモニタを使用した3DPとドーム型スクリーン11を使用した3DDとの正答率の結果を示す。
【0122】
図23を見ると、2次元映像を使用した場合とドーム型スクリーン11上の3次元映像を使用した場合とでは、正答率の相違が確認できた。また、ドーム型スクリーン11上の3次元映像を使用した場合には、そのバラツキが正答率90%以上でまとまっており、2次元映像を使用するよりも訓練者Pごとのばらつきが著しく小さくなる。更に、Pの値も0.0002となり大きな有意差が認められる。
【0123】
図24を見ると、平面のモニタを使用した3DPよりも、ドーム型スクリーン11を使用した3DDの方がバラツキが小さく、正答率の平均値も高くなっている。なお、Pの値は0.0002となっており、第3認識タスクにおいては双方の結果に格段の相違が見受けられる。
【0124】
この第3認識タスクにおいては、同じ立体映像を表示しても、平面のモニタよりも、ドーム型スクリーン11を用いることで、著しく高い効果が認められる。
【0125】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明を適用した内視鏡手術用トレーニング装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明を適用した内視鏡手術用トレーニング装置における内視鏡手術用トレーニングボックスの外観構成を示す斜視図である。
【図3】内視鏡手術用トレーニングボックス内に設置される訓練台及び当該訓練台に設けられる対象物の構成を示し、第1作業タスクを説明する概略図である。
【図4】内視鏡手術用トレーニングボックス内に設置される訓練台及び当該訓練台に設けられる対象物の構成を示し、第2作業タスクを説明する概略図である。
【図5】内視鏡手術用トレーニングボックス内に設置される訓練台及び当該訓練台に設けられる対象物の構成を示し、第3作業タスクを説明する概略図である。
【図6】内視鏡手術用トレーニングボックス内に設置される訓練台及び当該訓練台に設けられる対象物の構成を示し、第4作業タスクを説明する概略図である。
【図7】内視鏡手術用トレーニングボックス内に設置される訓練台及び当該訓練台に設けられる対象物の構成を示し、第1認識タスクを説明する概略図である。
【図8】内視鏡手術用トレーニングボックス内に設置される訓練台及び当該訓練台に設けられる対象物の構成を示し、第2認識タスクを説明する概略図である。
【図9】内視鏡手術用トレーニングボックス内に設置される訓練台及び当該訓練台に設けられる対象物の構成を示し、第3認識タスクを説明する概略図である。
【図10】第1作業タスクの訓練結果として、2次元映像(2D)を見させて行った鉗子往復時間と3次元映像(3D)を見させて行った鉗子往復時間とを比較して示すグラフである。
【図11】第1作業タスクの訓練結果として、2次元映像(2D)を見させて行った鉗子往復時間の標準偏差と3次元映像(3D)を見させて行った鉗子往復時間の標準偏差とを比較して示す箱ひげ図である。
【図12】第1作業タスクの訓練結果として、2次元映像(2D)を見させて行った把持ミス回数と3次元映像(3D)を見させて行った把持ミス回数とを比較して示す箱ひげ図である。
【図13】第2作業タスクの訓練結果として、2次元映像(2D)を見させて行った鉗子往復時間と3次元映像(3D)を見させて行った鉗子往復時間とを比較して示す箱ひげ図である。
【図14】第2作業タスクの訓練結果として、2次元映像(2D)を見させて行った把持ミス回数と3次元映像(3D)を見させて行った把持ミス回数とを比較して示すグラフである。
【図15】第3作業タスクの訓練結果として、2次元映像(2D)を見させて行ったずれ量と3次元映像(3D)を見させて行ったずれ量とを比較して示す箱ひげ図である。
【図16】第3作業タスクの訓練結果として、2次元映像(2D)を見させて行ったずれ量の標準偏差と3次元映像(3D)を見させて行ったずれ量の標準偏差とを比較して示す箱ひげ図である。
【図17】第4作業タスクの訓練結果として、2次元映像(2D)を見させて行った縫合結紮時間と3次元映像(3D)を見させて行った縫合結紮時間とを比較して示すグラフである。
【図18】第4作業タスクとして、2次元映像(2D)を見させて行った把持ミス回数と3次元映像(3D)を見させて行った把持ミス回数とを比較して示すグラフである。
【図19】第1認識タスクの訓練結果として、2次元映像を用いた場合の正答率と3次元映像を用いた場合の正答率とを比較して示す箱ひげ図である。
【図20】第1認識タスクの訓練結果として、平面のモニタを使用して行った正答率とドーム型スクリーンを使用して行った正答率とを比較して示す箱ひげ図である。
【図21】第2認識タスクの訓練結果として、2次元映像を用いた場合の正答率と3次元映像を用いた場合の正答率とを比較して示す箱ひげ図である。
【図22】第2認識タスクの訓練結果として、平面のモニタを使用して行った正答率とドーム型スクリーンを使用して行った正答率とを比較して示す箱ひげ図である。
【図23】第3認識タスクの訓練結果として、2次元映像を用いた場合の正答率と3次元映像を用いた場合の正答率とを比較して示す箱ひげ図である。
【図24】第3認識タスクの訓練結果として、平面のモニタを使用して行った正答率とドーム型スクリーンを使用して行った正答率とを比較して示す箱ひげ図である。
【符号の説明】
【0127】
1 提示部
2 内視鏡手術用トレーニングボックス
2a 挿入口
2b カメラ装置
2d 挿入治具
2e 医療器具
2f 訓練台
2g 対象物
2h 接触センサ
2i 基準位置接触センサ
3 制御装置
3a 制御部
3b 解析部
3c 記録部
4a 接触センサ
4b 開閉センサ
5 ボタン
11 ドーム型スクリーン
11a 投影面
11b 鍔部
12 左眼用プロジェクタ
12a レンズ
12b 左眼用偏光フィルタ
13 右眼用プロジェクタ
13a レンズ
13b 右眼用偏光フィルタ
14 反射鏡
15 土台部
15a 背面
15b 側面
15c 三角印
16 昇降装置
17 取付部材
17a 側面
18 移動体
19 凹部
20 プロジェクタ収納部
21 アーム
21a 先端
22 収納部
22a 下面
23 脚部
24 キャスター
25 手すり
26 駆動部
26a 上面
27 上昇ステップ
28 下降レバーノブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡手術にて術者が使用する医療器具の操作を訓練するための内視鏡手術用トレーニング装置であって、
直線状の少なくとも2つの対象物と、
前記対象物の間の距離又は前記各対象物の太さを変更する変更手段と、
各対象物に設けられて前記医療器具の接触を検出する操作検出手段と、
前記対象物に対する所定の基準位置に設けられ、前記医療器具の接触を検出して訓練の開始及び終了を検出する訓練開始・終了検出手段と、
前記対象物及び所定の基準位置を含む空間を撮像して得た映像を提示する提示手段と、
前記対象物の間の距離又は前記各対象物の太さと、前記対象物に対して前記医療器具を接触させる操作を行う回数とで定義される訓練タスクを設定する設定手段と、
前記訓練開始・終了検出手段の検出出力に基づいて訓練開始時刻及び訓練終了時刻を記録し、前記訓練開始時刻から前記訓練終了時刻までの前記操作検出手段の検出出力に基づいて前記訓練タスクで定義される1回の操作に要する時間を記憶する記録手段と
を備えることを特徴とする内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項2】
内視鏡手術にて術者が使用する医療器具の操作を訓練するための内視鏡手術用トレーニング装置であって、
所定形状に形成された細線状の対象物と、
前記対象物の向き又は高さを変更する変更手段と、
各対象物に設けられて前記医療器具の把持操作を検出する操作検出手段と、
前記対象物に対する所定の基準位置に設けられ、前記医療器具の接触を検出して訓練の開始及び終了を検出する訓練開始・終了検出手段と、
前記対象物及び所定の基準位置を含む空間を撮像して得た映像を提示する提示手段と、
前記対象物の向き又は高さと、前記対象物を前記医療器具が把持する操作を行う回数とで定義される訓練タスクを設定する設定手段と、
前記訓練開始・終了検出手段の検出出力に基づいて訓練開始時刻及び訓練終了時刻を記録し、前記訓練開始時刻から前記訓練終了時刻までの前記操作検出手段の検出出力に基づいて前記訓練タスクで定義される1回の操作に要する時間を記憶する記録手段と
を備えることを特徴とする内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項3】
前記操作検出手段は、前記対象物に対する医療器具の操作成功及び操作失敗を検出し、
前記記録手段は、前記操作検出手段の検出出力に基づいて医療器具の操作成功回数及び操作失敗回数を記録することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項4】
内視鏡手術にて術者が使用する医療器具の操作を訓練するための内視鏡手術用トレーニング装置であって、
輪形状部分を含み、前記医療器具の操作者に対して前後方向にずれて配置された少なくとも2つの対象物と、
前記対象物の輪形状部分の大きさを変更する変更手段と、
前記医療器具が前記対象物における輪形状部分を通過したことを検出する操作検出手段と、
前記対象物に対する所定の基準位置に設けられ、前記医療器具の接触を検出して訓練の開始及び終了を検出する訓練開始・終了検出手段と、
前記対象物及び所定の基準位置を含む空間を撮像して得た映像を提示する提示手段と、
前記対象物の輪形状部分の大きさと、前記対象物の輪形状部分に対して前記医療器具を通過させる操作を行う回数とで定義される訓練タスクを設定する設定手段と、
前記訓練開始・終了検出手段の検出出力に基づいて訓練開始時刻及び訓練終了時刻を記録し、前記訓練開始時刻から前記訓練終了時刻までの前記操作検出手段の検出出力に基づいて前記訓練タスクで定義される1回の操作に要する時間を記憶する記録手段と
を備えることを特徴とする内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項5】
前記操作検出手段は、前記対象物における輪形状部分の中心に対する前記医療器具の通過位置のずれ量を検出し、
前記記録手段は、前記操作検出手段により検出された前記医療器具の通過位置のずれ量を記録すること
を特徴とする請求項4に記載の内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項6】
内視鏡手術にて術者が使用する医療器具の操作を訓練するための内視鏡手術用トレーニング装置であって、
前記医療器具としての縫合針を通過させることが可能な板状材料に複数の目標点が記載された縫合練習ボードと、
前記縫合針が前記縫合練習ボードに記載された目標点に対して縫合したことを検出する縫合検出手段と、
前記縫合針の操作による縫合糸の結紮作業を検出する結紮検出手段と、
前記縫合練習ボードに対する所定の基準位置に設けられ、前記医療器具の接触を検出して訓練の開始及び終了を検出する訓練開始・終了検出手段と、
前記縫合練習ボード及び所定の基準位置を含む空間を撮像して得た映像を提示する提示手段と、
前記縫合練習ボードに対する縫合作業の回数及び前記結紮作業の回数で定義される訓練タスクを設定する設定手段と、
前記訓練開始・終了検出手段の検出出力に基づいて訓練開始時刻及び訓練終了時刻を記録し、前記訓練開始時刻から前記訓練終了時刻までの前記縫合検出手段及び前記結紮検出手段の検出出力に基づいて前記訓練タスクを完了するために要する時間を記憶する記録手段と
を備えることを特徴とする内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項7】
内視鏡手術における術者を訓練するための内視鏡手術用トレーニング装置であって、
直線状の少なくとも2つの対象物と、
前記対象物の間の距離又は前記各対象物の太さを変更する変更手段と、
前記対象物を含む空間を撮像して得た映像を提示する提示手段と、
前記術者によって認識された対象物の前後位置関係が入力される入力手段と、
前記入力手段に入力された対象物の前後位置関係の正誤又は前記入力手段に入力された対象物の前後位置と実際の対象物の前後位置との差異を記録する記録手段と
を備えることを特徴とする内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項8】
内視鏡手術における術者を訓練するための内視鏡手術用トレーニング装置であって、
所定形状に形成された細線状の対象物と、
前記対象物の向き又は高さを変更する変更手段と、
前記対象物を含む空間を撮像して得た映像を提示する提示手段と、
前記術者によって認識された対象物の向きが入力される入力手段と、
前記入力手段に入力された対象物の向きの正誤又は前記入力手段に入力された対象物の向きと実際の対象物の向きとの差異を記録する記録手段と
を備えることを特徴とする内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項9】
内視鏡手術における術者を訓練するための内視鏡手術用トレーニング装置であって、
輪形状部分を含み、前記医療器具の操作者に対して前後方向にずれて配置された少なくとも2つの対象物と、
前記対象物の輪形状部分の大きさを変更する変更手段と、
前記対象物を含む空間を撮像して得た映像を提示する提示手段と、
前記術者によって認識された対象物の前後位置関係が入力される入力手段と、
前記入力手段に入力された対象物の前後位置関係の正誤又は前記入力手段に入力された対象物の前後位置と実際の対象物の前後位置との差異を記録する記録手段と
を備えることを特徴とする内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項10】
前記記録手段は、前記入力手段に対して前記対象物の認識状態が入力されるまでの判別時間を記録することを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れか一項に記載の内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項11】
前記提示手段は、訓練の内容又は記録した情報を提示することを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項12】
前記提示手段は、前記変更手段により対象物の状態を変更させている場合に、情報を提示しないことを特徴とする請求項1乃至請求項5、請求項7乃至請求項10の何れか一項に記載の内視鏡手術用トレーニング装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12の何れかの内視鏡手術用トレーニング装置の記録手段によって記録された情報を用いて、術者の技能を評価する内視鏡手術用技能評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−236963(P2009−236963A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79194(P2008−79194)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 「第16回日本コンピュータ外科学会大会 第17回コンピュータ支援画像診断学会 合同論文集」の表紙、奥付および、「立体映像提示システムが鉗子回転運動に与える影響」の内容掲載ページ、「日本内視外科学会雑誌(Vol.12 No.7 2007) 第20回日本内視鏡外科学会総会抄録集」の表紙および「CyberDomeを用いた新規立体映像システムの内視鏡外科における有用性の検討」の内容記載ページ
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】