説明

内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ、及び内視鏡手術システム

【課題】内視鏡手術に用いるに向いた内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイを提供する。
【解決手段】HMD3は、ユーザの鼻梁に当接するノーズパッド311、ノーズパッド311からユーザの額の前まで上方に伸びる柱部材312、柱部材312の上端後方に取付けられた断面U字型又はC字型の固定部材315を備えている。ユーザに画像を見せるためのディスプレイ部32は、柱部材312の上端前方に取付けられており、ユーザの眼の前へ吊下げられており、跳ね上げ可能とされている。ディスプレイ部32がユーザが画像を見られる位置にあっても、柱部材312、固定部材315ともにユーザの視界に殆ど入らない。ディスプレイ部32が上位置にあるときは、ユーザはより広い視界で外界を見られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡手術を行うときに用いられる内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な術式が確立し、また、様々な用途に適応した様々な器具が提案されているといった理由により、近年、開腹手術と比較した場合に患者の身体への負担がより小さいという大きな利点を持つ内視鏡手術が、手術の選択肢としてより高い頻度で選択されるようになって来ている。
内視鏡手術を行なう医師は一般的に、体腔内等にその先端を挿入された内視鏡で撮影して得られ、略実時間でディスプレイに表示された画像を確認しながら、内視鏡の、或いは内視鏡とともに用いられる器具・装置の操作を行う。ディスプレイは通常CRT、液晶パネル、プラズマパネル等を用いて構成されるある程度大型のものであり、手術室の天井等から吊下げられている。したがって、医師は自分が手術を行なっている患者とはまったく異なる方向にあるディスプレイに表示された画像を見ながら、自分の手元で内視鏡等の操作を行なうことになる。
このような状況は、内視鏡手術の難易度を高める。例えば、患者と異なる方向を見ながら内視鏡等の操作を行なわなければならないため、医師は、その不自然な作業に慣れる必要がある。また、上方向(右上方向、左上方向等の場合も当然にある。)を見続けなければならないため、医師は、首、肩などへ蓄積する疲労に打ち勝たなければならない。
【0003】
内視鏡手術に対するそのような不都合を解決するのに適しているのは、上述したディスプレイをヘッドマウントディスプレイに置換えることである。ヘッドマウントディスプレイであれば、医師は、自分の顔を向けた方向に常に、内視鏡で撮像された画像を見ることができる。つまり、医師は、やや下方に位置する患者の方を見ながら、楽な姿勢を保ちつつ、違和感のない自然な状態で内視鏡の操作等の作業を行なうことができる。
そのことに気付いた出願人は、特願2000−218009等の出願を既に行っている。
しかしながら、ヘッドマウントディスプレイの内視鏡手術への応用は、アイデアとしてはともかく現時点で実用に到っていない。その理由には幾つか考えられるが、その1つに、ヘッドマウントディスプレイを装着すると、医師は、外部が見えなくなるということがある。内視鏡手術を行っている医師は、基本的に、内視鏡により撮像された画像を見ながら内視鏡手術を行うが、例えば不意の出血が患者に生じて開腹手術を行なう必要が生じた場合には、広い視界を即座に確保する必要がある。
この点に関し、最近のヘッドマウントディスプレイの中には、本願出願人が先に出願した特願2004−1504、特願2004−1505等に開示されているような、ヘッドマウントディスプレイによって表示される画像と外界とをユーザが同時に視認できるようなもの(これらのヘッドマウントディスプレイの場合、ユーザは、画像の周囲に外界を見ることができる。)が存在する。しかし、そのようなヘッドマウントディスプレイで医師が得られる外界についての視野は、開腹手術を行う場合等には必ずしも十分なものとはいえない。
他方、本願出願人は、特願2006−245551に開示されているような、ユーザの眼へ画像の像光を投射できるようにされたディスプレイ部を、ユーザが画像を見ることを望む場合にのみユーザの眼の前に移動させ、そうでない場合には眼鏡のつるの横に退避させるようにした、いわばディスプレイ部可動型といえるヘッドマウントディスプレイをも提案している。このヘッドマウントディスプレイは、つるの横にディスプレイ部を退避させることで医師の広い視野を確保できるという点で優れている。しかしながら、このヘッドマウントディスプレイは、つるに沿ったディスプレイ部の移動距離に対応する長いレールを持つため、大型化、重量化し易い。また、このようなヘッドマウントディスプレイは、左右の重量バランスが異なるものとなり易いため、長時間に渡る内視鏡手術を強いられることになる医師に疲労を生じさせ易い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような問題点を持たない、内視鏡手術に用いるに向いた内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ、及びそれを応用した内視鏡手術システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者は、以下の内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ(以下、内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイを、「ヘッドマウントディスプレイ」と表記する場合がある。)を、上述の課題を解決することのできる発明として提案する。
それは、ユーザの眼へ画像の像光を投射できるようにされたディスプレイ部と、前記ディスプレイ部に接続された第1ヒンジを介してその一端が前記ディスプレイ部に接続されている可動アームと、前記可動アームの他端に接続されている第2ヒンジを介して前記可動アームの他端に接続されている、使用時にユーザの額の前方に位置する支点部であり、ユーザの頭部に固定をなす固定手段により、使用時にユーザの額の前方に位置決めされるものと、を備えており、前記ディスプレイ部が、外部の内視鏡が捉えた画像の像光を前記ユーザの眼へ投射するものとされていることにより、前記ユーザが、前記画像を見ながら内視鏡手術を行なえるようにされている内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイである。
そして、この内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイの前記可動アームは、前記第2ヒンジにより、その先端が前記支点部の略真上に位置する上位置と、その先端が前記支点部の略真下に位置する下位置との2箇所の間を、前記上位置と前記下位置とで静止可能として回動できるようにされているとともに、前記ディスプレイ部は、前記第1ヒンジにより、前記可動アームが前記上位置にある場合の前後方向の向きと、前記可動アームが前記下位置にある場合の前後方向の向きとが同じになるようにされ、且つ前記可動アームが前記下位置にある場合に、前記画像の像光を前記ユーザの眼へ投射することができる位置に位置するようになっている。
このヘッドマウントディスプレイは、可動アームを上位置と下位置の間で回動させることにより、ディスプレイ部を、医師の眼の前と、医師の眼よりも高い位置(例えば、医師の額の前)という2つの位置に位置させられるようになっている。このヘッドマウントディスプレイは、上位置にあるときのアームの先端から下位置にあるときのアームの先端まで(なお、上位置にあるときの可動アームと下位置にあるときの可動アームは、略一直線の位置関係となる。)ディスプレイ部を移動させることができるが、そのためのレールが不要であるから、従来のヘッドマウントディスプレイとは異なり、小型化、軽量化を行い易い。更に、このヘッドマウントディスプレイは、眼鏡のつるに沿った前後動を行なう従来のヘッドマウントディスプレイと異なり、ある程度重量の大きいディスプレイ部を医師の頭部の左右方向の中央近辺に置き易いため左右方向の重量バランスに優れるので、ヘッドマウントディスプレイを使用する医師に疲労を生じさせにくい。
なお、可動アームが上位置にあるときと下位置にあるときのディスプレイ部の前後方向の向きが同じであることは、配線に関する以下のような利点を生む。ディスプレイ部には、例えば画像についてのデータを送るためのケーブルが必要になる場合がある。そのような場合、ケーブルは、ディスプレイ部の正面以外の面(例えば、背面)に接続される可能性が高い。第1ヒンジが存在しない場合には可動アームが上位置にあるときと下位置にあるときのディスプレイ部の前後方向の向きが逆になるが、そのような場合には、ケーブルに必要な余裕長さが大きくなる。可動アームが上位置にあるときと下位置にあるときのディスプレイ部の前後方向の向きが同じであれば、そのようなことは生じないため、ヘッドマウントディスプレイのデザインを優れたものとすることが可能となる。
本願のヘッドマウントディスプレイは、前記ディスプレイ部の前記第1ヒンジの下方に接続された第3ヒンジと、前記第3ヒンジを介してその一端が前記ディスプレイ部に接続されている補助アームと、を備えており、前記補助アームは、前記柱部材の前記支点部の下方に接続された第4ヒンジを介してその他端が前記柱部材に接続されており、前記可動アームが前記補助アームと平行に保たれるようにされ、且つ前記ディスプレイ部の前記第1ヒンジと前記第3ヒンジに挟まれた部分が前記柱部材の前記第2ヒンジと前記第4ヒンジに挟まれた部分と平行に保たれるようにされていることで、前記可動アーム、前記補助アーム、前記ディスプレイ部の前記第1ヒンジと前記第3ヒンジに挟まれた部分、及び前記柱部材の前記第2ヒンジと前記第4ヒンジに挟まれた部分が、全体としてパンタグラフとして機能するようになっていてもよい。
このような補助アームを備えるヘッドマウントディスプレイは、ディスプレイ部の上下移動を確実に行なえるようになる。
【0006】
前記支点部は、使用時におけるユーザの顔の左右方向の略中央に位置するようにされていてもよい。こうすることにより、本願のヘッドマウントディスプレイは、その左右方向の重量バランスが更に向上するので、それを用いる医師の疲労をより軽減できるようになる。
【0007】
本願発明のヘッドマウントディスプレイは、使用時にユーザの鼻梁に当接させるノーズパッドを備えていてもよい。その場合、前記支点部は、前記ノーズパッドから略真上に伸びる棒状の柱部材の上端部近辺に設けられているものとすることができる。
このようにすることにより、本願のヘッドマウントディスプレイは、ディスプレイ部の重量を鼻梁で受けられるようになるためそれを使用する医師に生じさせる疲労を軽減させられるだけでなく、支点部を医師の頭部の左右方向の中央付近に配置するにも向くものとなる。
なお、柱部材は上述のように棒状であるが、その形状は必ずしも直線的である必要はない。
【0008】
本願発明のヘッドマウントディスプレイは、前記支点部に対して相対的な位置が固定された状態で前記可動アームが前記下位置にある場合における前記ディスプレイ部とユーザの両眼の間に位置するようにされた、透明な板である透明板を備えていてもよい。このような透明板は、その存在により、前記ユーザの眼を保護するようなものとすることができる。
ヘッドマウントディスプレイを装着して内視鏡手術を行なう医師は、患者の出血により飛散した血などを顔に受ける場合がありうる。そのような場合に、上述の透明板が存在すれば、医師の安全性の向上を期待できる。この目的から見て、透明板は、医師の両眼の前にあるのが好ましい。
この場合透明板は、前記ユーザの視力に応じてパワーを調整された視力矯正レンズを兼ねているものとすることができる。透明板をそのようなものとすることにより、眼の良くない医師が内視鏡手術を行う場合に、ヘッドマウントディスプレイ以外に、眼鏡或いはコンタクトレンズを使用する必要がなくなる。
【0009】
本願発明によるヘッドマウントディスプレイは、前記柱部材をユーザの頭部に固定する固定手段を備えていてもよい。このような固定手段の存在により、ヘッドマウントディスプレイの医師の頭部への固定を、ひいてはディスプレイ部の医師の眼との相対位置の固定を、より正確な位置決めを行った状態でできるようになる。
固定手段は、例えば、平面視で略U字型か略C字型の棒状体で、医師が額の前方から嵌められるような形状とすることができる。固定手段は、多少の弾性を持ち、医師の頭部の形状に応じて変形し、医師の頭部にフィットするように構成することができる。固定手段は、例えば、支持部の近辺に取付けることができ、支持部がノーズパッドから伸びる柱部材の上端部付近に設けられるのであれば、柱部材の上端部付近に取付けることができる。なお、固定手段は、必ずしも一部材である必要はなく、例えば、支点部の近辺で左右に分割されていてもよい。
【0010】
本願発明によるヘッドマウントディスプレイは、前記下位置に位置する前記可動アームに、前記可動アームを前記上位置に向けて回動させるような付勢力を加える弾性体と、前記上位置側から前記下位置に前記可動アームを回動させたときに前記可動アームを係止することにより、前記付勢力に抗して前記可動アームを前記下位置に固定する位置固定手段と、前記可動アームが前記下位置に位置する場合における前記位置固定手段による前記可動アームの係止を解除する解除手段と、を備えていてもよい。
このように構成されたヘッドマウントディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイを身に着けた医師が広い視野を必要としたときに、医師本人か或いは周囲にいる助手等が解除手段を操作するだけでその医師が簡単に広い視野を手に入れることを可能にする。しかも、可動アームの回動を弾性体という極めて故障の少ない手段によって実現することにより、望んだときに医師が広い視野を確保できないおそれを極小まで小さくできる。
ヘッドマウントディスプレイが、補助アームを備えるのであれば、ヘッドマウントディスプレイは、前記下位置に位置する前記可動アームに、前記可動アームを前記上位置に向けて回動させるような付勢力を加えるか、及び/又は前記下位置に位置する前記可動アームと平行な位置にある前記補助アームに、前記上位置にある前記可動アームと平行な位置に向けて回動させるような負勢力を与える弾性体と、前記上位置側から前記下位置に前記可動アームを回動させたときに前記可動アーム、又は前記補助アームの少なくとも一方を固定することにより、前記付勢力に抗して前記可動アーム、又は前記補助アームの少なくとも一方を、前記可動アームが前記下位置に維持されるように固定する位置固定手段と、前記可動アームが前記下位置に位置する場合における前記位置固定手段による前記可動アーム、又は前記補助アームの係止を解除する解除手段と、を備えていてもよい。要するに、補助アームを備えるヘッドマウントディスプレイにおいては、弾性体が負勢力を与える対象は、可動アームと補助アームのいずれでもよく、位置固定手段が固定する対象は可動アームと補助アームのいずれでもよい。
望んだときに医師が広い視野を速やかに確保できるようにするには、例えば、前記解除手段を、ワンアクションの操作で、前記可動アームが前記下位置に位置する場合における前記位置固定手段による前記可動アームの係止を解除するように構成すればよい。そのような解除手段は、例えば、それを押すというワンアクションの操作を行なうことにより前記可動アームが前記下位置に位置する場合における前記位置固定手段による前記可動アームの係止を解除するボタン、又はそれを傾けるというワンアクションの操作を行なうことにより前記可動アームが前記下位置に位置する場合における前記位置固定手段による前記可動アームの係止を解除するレバーのいずれかを備えているものとすることができる。
【0011】
本願発明者は、以上のヘッドマウントディスプレイに加え、ユーザの眼へ画像の像光を投射できるようにされたディスプレイ部を備える内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイと、前記ディスプレイ部がユーザの眼へ投射する前記像光の元となる画像を捉える内視鏡と、を含んでおり、前記ユーザが、前記画像を見ながら内視鏡手術を行なえるようにされている内視鏡手術システムを提案する。
この内視鏡手術システムに含まれる内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイは、ここまでに説明したヘッドマウントディスプレイとすることができる。それにより、この内視鏡手術システムは、上述のヘッドマウントディスプレイと同様の作用効果を持つものとなる。
【0012】
例えば、この内視鏡手術システムに含まれるヘッドマウントディスプレイは、前記ディスプレイ部に接続された第1ヒンジを介してその一端が前記ディスプレイ部に接続されている可動アームと、前記可動アームの他端に接続されている第2ヒンジを介して前記可動アームの他端に接続されている、使用時にユーザの額の前方に位置する支点部であり、ユーザの頭部に固定をなす固定手段により、使用時にユーザの額の前方に位置決めされるものと、を備えており、前記可動アームは、前記第2ヒンジにより、その先端が前記支点部の略真上に位置する上位置と、その先端が前記支点部の略真下に位置する下位置との2箇所の間を、前記上位置と前記下位置とで静止可能として回動できるようにされているとともに、前記ディスプレイ部は、前記第1ヒンジにより、前記可動アームが前記上位置にある場合の前後方向の向きと、前記可動アームが前記下位置にある場合の前後方向の向きとが同じになるようにされ、且つ前記可動アームが前記下位置にある場合に、前記画像の像光を前記ユーザの眼へ投射することができる位置に位置するようになっている、ものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施形態では、内視鏡手術システムについて説明する。図1に、この内視鏡手術システムの全体構成を概略的に示す図を示す。
【0014】
この内視鏡手術システムは、内視鏡1と、コントロールユニット2と、ヘッドマウントディスプレイ3と、を含んでいる。
【0015】
内視鏡1とコントロールユニット2は、いずれも内視鏡手術に用いられている汎用のもので足りる。
内視鏡1は、その先端を患者の体腔内等に挿入して撮像を行なえるようにされていれば具体的な構成は問わず、例えばカプセル内視鏡であってもよい。
この実施形態の内視鏡1は、この実施形態では、細長いビデオスコープ11を備えている。ビデオスコープ11の基端には、内視鏡を操作するための操作部12が設けられている。操作部12はそれを操作することにより、ビデオスコープ11の先端を所望の向きに曲折させたり、患者の患部を切除したりする等の、内視鏡手術に必要な動作を医師の意思にしたがって内視鏡に行なわせることができるようにするためのものである。ビデオスコープ11は、また、接続ケーブル13を介してコントロールユニット2に接続されている。
ビデオスコープ11の先端には図示を省略のCCDが設けられており、そのCCDで患者の体腔内等の撮像を行なえるようになっている。ビデオスコープ11の内部には、CCDを駆動させるための電力をCCDへ供給するための電源ケーブルや、CCDで撮像した画像についての信号をコントロールユニット2へ伝送するための伝送ケーブル、照明光をビデオスコープ11の先端まで運ぶための光ファイバ等が内蔵されている。電源ケーブル、伝送ケーブル、光ファイバ等は、接続ケーブル13の内部に束ねられており、コントロールユニット2に接続されている。
【0016】
コントロールユニット2の内部には、いずれも図示を省略の電源回路、画像処理部、光源等が含まれている。
電源回路は、電源ケーブルを介して、CCDに電力を供給するとともに、コントロールユニット2内部の電力を制御する。画像処理部は、CCDが生成した上述の画像信号を伝送ケーブルを介してCCDから受取り、この実施形態では動画である画像を表示させるための画像データを生成する。画像処理部はケーブル21と接続されており、画像処理部が生成した画像データは、ケーブル21を介してヘッドマウントディスプレイ3へ出力されるようになっている。光源は、照明光を生成するためのものであり、例えばハロゲンランプにより構成される。光源が生成した照明光は、光ファイバを介してビデオスコープ11の先端まで運ばれ、患者の体腔内等に照射される。
【0017】
この実施形態におけるヘッドマウントディスプレイ(以下、『HMD』という場合がある。)3は、図2〜5に示したように構成されている。
図2は、HMD3を背面上方から見た図、図3は、HMD3のディスプレイ部(ディスプレイ部については後述する。)の内部構造を示す平断面図である。また、図4、図5は、HMD3の使用状態を示す左側面図である。後述するようにディスプレイ部は上下方向に移動するが、図2、図4はディスプレイ部が最も上の位置にある状態を、図5はディスプレイ部が最も下の位置にある状態を示している。
【0018】
HMD3は、HMD3の頭部への固定をなすための固定器具31と、ユーザ(例えば、医師)の眼へ、画像を見せるための像光を投射するためのディスプレイ部32とを含んで構成されている。
【0019】
固定器具31は、ノーズパッド311を含んでいる。ノーズパッド311は、HMD3の使用時に、ユーザの鼻梁に当接する。ノーズパッド311の構成は、一般的な眼鏡で使用されている一般的なノーズパッドの構成と同様のものとすることができる。この実施形態のHMD3は、左右一対のノーズパッド311を備えるものとされているが、左右一対のノーズパッド311は一連に構成されていても構わない。この実施形態のノーズパッド311は、必ずしもこの限りではないが樹脂製とされている。
ノーズパッド311は、棒状の柱部材312と接続されている。この実施形態の柱部材312は、必ずしもこの限りではないが、薄い板状であり、金属製である。ノーズパッド311は、柱部材312の下端に接続されている。柱部材312の長さは、ノーズパッド311をユーザの鼻梁に当接させた場合にその上端がユーザの額の前に位置する程度の長さとされている。
【0020】
柱部材312の長さ方向の中間部分やや下方よりには、透明板313が取付けられている。透明板313は、略S字状にカーブさせられた金具314により、柱部材312に取付けられている。金具314の一端と透明板313が、金具314の他端と柱部材312が固定された状態となっている。
透明板313は、HMD3が使用されるときに、ユーザの眼の前に位置するようになっている。透明板313は、通常の眼鏡が持つレンズと同じような位置関係で、ユーザの目の前に位置するようにされている。この実施形態における透明板313は、HMD3を使用しているユーザの眼を、患者が出血したことにより飛散した血液等から保護できるような大きさ、形状とされている。透明板313は、柱部材312に対して固定されている。透明板313は、透明であり、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では無色透明である。透明板313は、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では、視力矯正レンズを兼ねている。透明板313のレンズとしてのパワーは、このHMD3のユーザの視力に予め対応させられている。
【0021】
柱部材312の上端背面側には、固定部材315が取付けられている。固定部材315は、HMD3の使用時に、ユーザの頭部に固定されるものである。
この実施形態の固定部材315は、弾性を有する金属により構成されており、棒状とされ、平面視で略U字型又はC字型とされている。固定部材315は、左右両側部分の後端からやや手前の部分を耳の上に係止した状態で、ユーザの頭部を軽く締付けるように設計されており、その状態でユーザの頭部の周囲に固定される。なお、この実施形態では、固定部材315は一体物とされているが、例えばその中央で分割されていても構わない。
なお、この実施形態では、上述したケーブル21が、固定部材315に例えばステープル316によって固定されている。ケーブル21には、後述するディスプレイ部32の移動を許容する程度の余裕が与えられている。
【0022】
上述したディスプレイ部32は、柱部材312の上端部の前面に接続されている。ディスプレイ部32は上下方向に移動するようになっているが、その仕組については後述することとする。
ディスプレイ部32は、ケース321を備えている。ケース321は、この実施形態では略直方体形状であり、樹脂製である。ケース321の背面には、ケース321の上下方向の全体にわたって走る断面コの字形状の溝322が設けられている。また、ケース321の背面には、円形の開口である接眼窓323が設けられている。接眼窓323は左右の各眼用に2つ設けられており、それらの距離は一般的なユーザの目幅に対応したものとされている。接眼窓323からは、接眼レンズ324が覗いている。
ケース321には、上述したケーブル21が接続されている。ケーブル21は、ケース321の上面に穿たれた孔を介してケース321の内部に挿入されている。
【0023】
次に、ケース321の内部構成について説明する。
ケース321内には、上述した接眼レンズ324が配されている。接眼レンズ324の奥には、ディスプレイ325が配されている。
ディスプレイ325は、必ずしもこの限りではないが液晶ディスプレイにより構成されている。
ケース321内には、また、制御回路326が配されている。制御回路326は、ディスプレイ325に表示される画像を制御するものである。制御回路326には、液晶ディスプレイを制御する公知の回路を流用することができる。制御回路326は、図示を省略するが、ケース321内に引き込まれたケーブル21と接続されている。このような仕組により、ディスプレイ325には、ケーブル21を介してコントロールユニット2から送られて来た画像データにしたがって、内視鏡1で撮像された画像が表示されることになる。
左右のディスプレイ325に表示された画像は、接眼レンズ324により拡大され、ユーザの左右の眼へそれぞれ向かう。それによりユーザは、内視鏡1で撮像された画像を、略リアルタイムで見ることができるようになる。なお、ユーザは、視線を正面に保ったときには画像を見ることができるが、視線を上下、或いは左右にずらすと、ケース321の正面の更に外側にある外界を見ることができるようになっている。
【0024】
次に、ディスプレイ部32と柱部材312の接続の仕方について説明する。
ディスプレイ部32と、柱部材312とは、可動アーム327により接続されている。可動アーム327を介しての、ディスプレイ部32と、柱部材312との接続の仕方を、図6の側断面図により示す。
可動アーム327は、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では金属製の薄い板状体により構成されている。可動アーム327の幅は、ケース321の背面に設けられている上述の溝322の幅よりも多少小さくなっており、可動アーム327の厚さは溝322の深さよりも小さくなっている。
可動アーム327の先端には第1ヒンジ328が設けられており、第1ヒンジ328を介して、可動アーム327とディスプレイ部32とが接続されている。第1ヒンジ328は、ディスプレイ部32の背面に設けられた溝322の一番上の部分に接続されている。
可動アーム327の基端には第2ヒンジ329が設けられており、第2ヒンジ329を介して、可動アーム327と柱部材312とが接続されている。
【0025】
可動アーム327は、図5及び図6(A)に示した可動アーム327の先端が最も下にある位置と、図4及び図6(C)に示した可動アーム327の先端が最も上にある位置の間を、図6(B)に示した可動アーム327の先端がHMD3の前方に突き出た状態を経て、回動できるようにされている。
この実施形態では、可動アーム327の先端が最も下にある位置における可動アーム327の位置を下位置と呼び、そのときのディスプレイ部32の位置を第1位置と呼ぶこととし、また、可動アーム327の先端が最も上にある位置における可動アーム327の位置を上位置と呼び、そのときのディスプレイ部32の位置を第2位置と呼ぶこととする。そうすると、上位置にある可動アーム327の先端は、下位置にある可動アーム327の先端の略真上に来ることとなり、また、上位置にある可動アーム327と下位置にある可動アーム327は第2ヒンジ329を挟んで一直線の位置関係となる。また、第1位置にあるディスプレイ部32と第2位置にあるディスプレイ部32の前後方向の向きは、同じになる。なお、ディスプレイ部32が第2位置にあるときにおける可動アーム327は、ディスプレイ部32の背面の溝322の内部に収納された状態となるので、第2位置にあるディスプレイ部32が可動アーム327によって不自然に前方に押出されることはない。
【0026】
次に、この内視鏡手術システムの使用方法について説明する。
この実施形態では医師であるユーザは、HMD3を頭部に固定する。HMD3の頭部への固定は、ノーズパッド311を鼻梁に当接させるとともに、固定部材315を左右の耳の上に係止することにより行なう。この状態で、ユーザの顔の両側における固定部材315は、耳の上からこめかみの近辺を通って額に到ることになる(図4、図5参照)。
なお、HMD3を頭部に固定するときのディスプレイ部32の位置は、画像を見ることのできる第1位置でも、画像を見ることのできない第2位置でも構わない。とりあえず、この実施形態では、HMD3を頭部に固定するときのディスプレイ部32の位置が、第2位置であるものとして話を進める。
【0027】
HMD3を頭部へ固定した状態でユーザは、内視鏡1を患者の体内に挿入するための作業を行なう。この状態では、HMD3のディスプレイ部32はユーザの視野を遮らないので、ユーザはその作業を行なうにあたりHMD3に由来する困難を被ることはない。
【0028】
内視鏡1が使える状態になったら、ユーザは、助手等にHMD3のディスプレイ部32を第1位置に下ろさせる。この状態で、ユーザは、画像を見ることができるようになる。ユーザが見ることのできる画像は、コントロールユニット2からケーブル21を介してHMD3に送られて来た画像データに基づくものであり、内視鏡1のCCDが撮像した画像である。
ユーザは、その画像を見ながら内視鏡手術を行なうことができる。また、ユーザは、ディスプレイ部32の外側に外界を見ることができ、特に視線を正面からずらせば、外界をより良く見ることができる。
不意の出血が患者に生じた場合などには、ユーザは、例えば助手に、ディスプレイ部32を第2位置に上げさせ、より広い外界についての視野を確保した状態で必要な作業を行なえばよい。
ディスプレイ部32の上げ下げは、必要に応じて行なえばよい。
なお、透明板313は、ユーザの視力を矯正する機能を持っているので、ユーザは透明板313の存在によりHMD3以外の器具を使わずとも困難なく外界を見ることができる。また、透明板313は、ディスプレイ部32が第1位置にあるか第2位置にあるかの別によらずユーザの眼の直前に位置しているので、飛散した患者の血液等からユーザの眼を保護する。
【0029】
<変形例>
以下、変形例にかかる内視鏡手術システムについて図7、図8を用いて説明する。上述の実施形態からの変更点はヘッドマウントディスプレイ3にのみあり、その他の点については何らの変更もない。なお、図7、8に付した符号のうち上述の実施形態で用いたものと同じ符号が指し示す対象は、上述の実施形態の場合と特に言及がない限り変更はない。
【0030】
変形例におけるHMD3は、図7の側面図に示したように、補助アーム327Aを備えている。この実施形態の補助アーム327Aは、これには限られないが、薄い板状体であり、金属製である。補助アーム327Aの可動アーム327と対向する面には、必ずしもこの限りではないが、この実施形態ではその面の略全面を覆う磁石327Bが取付けられている。
補助アーム327Aの先端は、第3ヒンジ328Aを介してディスプレイ部32の背面に接続されている。補助アーム327Aの基端は、第4ヒンジ329Aを介して柱部材312に接続されている。第3ヒンジ328Aは第1ヒンジ328の真下に取付けられており、第4ヒンジ329Aは第2ヒンジ329の真下に取付けられている。
【0031】
変形例3のHMDのその他の部分は、上述の実施形態の場合と同様であるが、可動アーム327の構造が上述の実施形態の場合と若干異なる。
変形例3においては、可動アーム327は、図8に示したように断面コの字型となっている。コの字の開口は、補助アーム327Aと対向する側に開放されている。
変形例3における可動アーム327は、開口の両側に位置する2枚の側面板3271と、開口の反対側に位置する背面板3272とを備えている。側面板3271と背面板3272はいずれも矩形である。可動アーム327の2枚の側面板3271に挟まれた背面板3272が存在する部分を除く空間(凹部)には、上述した補助アーム327Aを収納できるようにされている。また、側面板3271と背面板3272のうち少なくとも背面板3271は、磁石327Bに吸着する素材で構成されている。
【0032】
可動アーム327と柱部材328の接続部分には、可動アーム327から柱部材328に跨る板ばねBが設けられており、また、補助アーム327Aとディスプレイ部32の接続部分には、補助アーム327Aからディスプレイ部32に跨る板ばねBが設けられている。両板ばねBは、屈曲させられた状態から直線的な状態に戻ろうとする力が働くようにされている。したがって、可動アーム327に接続された板ばねBにより、可動アーム327には、下位置から上位置に回動させようとする力がはたらき、補助アーム327Aに接続された板ばねBにより補助アーム327Bには、可動アーム327が下位置にあるときの位置から可動アーム327が上位置にあるときの位置に回動させようとする力がはたらくようになっている。
【0033】
変形例においても、可動アーム327は、上述の実施形態の場合と同様に、上位置と下位置の間で回動可能となっている。変形例では、可動アーム327が回動すると補助アーム327Aも回動するようになっている。そして、補助アーム327Aは回動のどの段階でも、可動アーム327と平行を保つようになっている。第3ヒンジ328Aと第4ヒンジ329Aは、補助アーム327Aのそのような回動を許容するようなものとなっている。
可動アーム327、補助アーム327A、ディスプレイ部32背面の第1ヒンジ328と第3ヒンジ328Aに挟まれた部分、柱部材312の第2ヒンジ329と第4ヒンジ329Aに挟まれた部分は、全体としてパンタグラフとして機能するようになっている。
【0034】
可動アーム327が下位置に位置するとき、HMD3の前側に可動アーム327が、後側に補助アーム327Aが位置した状態で、可動アーム327の凹部に補助アーム327Aの基端が収納される。この状態で、補助アーム327Aの磁石327Bは、可動アーム327の背面板3272に当接し、磁石327Bと可動アーム327が互いに吸着しあう。これにより、可動アーム327には可動アーム327を下位置に止まらせるような力が働き、補助アーム327Aには、可動アーム327が下位置にあるときの位置に止まらせるような力が働く。
このとき、上述したように、可動アーム327には可動アーム327を上位置に向けて回動させるような、補助アーム327Aには補助アーム327Aを可動アーム327が上位置にあるときの位置に向けて回動させるような力が、板ばねBによりはたらいている。磁石327Bと背面板3272の吸着力は、この力に対抗できるようなものとされているが、例えばディスプレイ部32を摘み、上方に向けて力をかけると、背磁石327Bと面板3272との間の吸着力に板ばねBの力が勝り、可動アーム327と補助アーム327Aがともに上方向に回動し、ディスプレイ部32が跳ね上げられる。
可動アーム327が上位置に位置すると、今度は、HMD3の後ろ側に可動アーム327が、前側に補助アーム327Aが位置した状態で、可動アーム327の凹部に補助アーム327Aの先端が収納される。この状態でも、補助アーム327Aの磁石327Bは、可動アーム327の背面板3272と吸着しあうので、可動アーム327と補助アーム327Aはこの位置に定位させられることになる。もっとも、可動アーム327が上位置にあるのであれば、磁石327Bと背面板3272の吸着がなくとも、板ばねBの力だけでディスプレイ部32は上位置に固定させられる。したがって、磁石327Bは、少なくとも可動アーム327が下位置にあるときに背面板3272と吸着しあえる位置に存在していればよい。
なお、この変形例では、板ばねBは2つとされたが、板ばねBは1つでもよい。また、板ばねBは、この変形例では、可動アーム327から柱部材328に跨るか、又は補助アーム327Aからディスプレイ部32に跨るものとされていたが、例えば、可動アーム327からディスプレイ部32に跨るか、或いは補助アーム327Aから柱部材328に跨る板ばねBであっても、上述の場合と変わりなく可動アーム327と補助アーム327Aに上方向に回動させるための力を与えられることは自明であろう。更にいえば、可動アーム327と補助アーム327Aに上方向に回動させるための力を与えるための工夫、及び下位置にある可動アーム327又は補助アーム327Aをその位置に止めるための工夫には、上述したもの意外にも様々なものがあるということは、当業者にとって自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態による内視鏡手術システムの全体構成を概略的に示す図。
【図2】図1に示したHMDを背面上方から見た斜視図。
【図3】図1に示したHMDが持つディスプレイ部の内部構造を示す平断面図。
【図4】図1に示したHMDの使用状態を示す左側面図。
【図5】図1に示したHMDの使用状態を示す左側面図。
【図6】図1に示したHMDが持つディスプレイ部の上下移動を達成する仕組を説明するための左側面図。
【図7】変形例における内視鏡手術システムに含まれるHMDの左側面図。
【図8】図7に示したHMDの可動アームの断面図。
【符号の説明】
【0036】
1 内視鏡
2 コントロールユニット
3 ヘッドマウントディスプレイ(HMD)
21 ケーブル
31 固定器具
32 ディスプレイ部
311 ノーズパッド
312 柱部材
313 透明板
315 固定部材
321 ケース
322 溝
323 接眼窓
324 接眼レンズ
325 ディスプレイ
326 制御回路
327 可動アーム
328 第1ヒンジ
329 第2ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの眼へ画像の像光を投射できるようにされたディスプレイ部と、
前記ディスプレイ部に接続された第1ヒンジを介してその一端が前記ディスプレイ部に接続されている可動アームと、
前記可動アームの他端に接続されている第2ヒンジを介して前記可動アームの他端に接続されている、使用時にユーザの額の前方に位置する支点部であり、ユーザの頭部に固定をなす固定手段により、使用時にユーザの額の前方に位置決めされるものと、
を備えており、
前記ディスプレイ部が、外部の内視鏡が捉えた画像の像光を前記ユーザの眼へ投射するものとされていることにより、前記ユーザが、前記画像を見ながら内視鏡手術を行なえるようにされている内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイであって、
前記可動アームは、前記第2ヒンジにより、その先端が前記支点部の略真上に位置する上位置と、その先端が前記支点部の略真下に位置する下位置との2箇所の間を、前記上位置と前記下位置とで静止可能として回動できるようにされているとともに、
前記ディスプレイ部は、前記第1ヒンジにより、前記可動アームが前記上位置にある場合の前後方向の向きと、前記可動アームが前記下位置にある場合の前後方向の向きとが同じになるようにされ、且つ前記可動アームが前記下位置にある場合に、前記画像の像光を前記ユーザの眼へ投射することができる位置に位置するようになっている、
内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
前記支点部は、使用時におけるユーザの顔の左右方向の略中央に位置するようにされている、
請求項1記載の内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
使用時にユーザの鼻梁に当接させるノーズパッドを備えているとともに、前記支点部は、前記ノーズパッドから略真上に伸びる棒状の柱部材の上端部近辺に設けられている、
請求項2記載の内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記下位置に位置する前記可動アームに、前記可動アームを前記上位置に向けて回動させるような付勢力を加える弾性体と、
前記上位置側から前記下位置に前記可動アームを回動させたときに前記可動アームを係止することにより、前記付勢力に抗して前記可動アームを前記下位置に固定する位置固定手段と、
前記可動アームが前記下位置に位置する場合における前記位置固定手段による前記可動アームの係止を解除する解除手段と、
を備えてなる、
請求項1記載の内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記ディスプレイ部の前記第1ヒンジの下方に接続された第3ヒンジと、
前記第3ヒンジを介してその一端が前記ディスプレイ部に接続されている補助アームと、
を備えており、前記補助アームは、前記柱部材の前記支点部の下方に接続された第4ヒンジを介してその他端が前記柱部材に接続されており、
前記可動アームが前記補助アームと平行に保たれるようにされ、且つ前記ディスプレイ部の前記第1ヒンジと前記第3ヒンジに挟まれた部分が前記柱部材の前記第2ヒンジと前記第4ヒンジに挟まれた部分と平行に保たれるようにされていることで、前記可動アーム、前記補助アーム、前記ディスプレイ部の前記第1ヒンジと前記第3ヒンジに挟まれた部分、及び前記柱部材の前記第2ヒンジと前記第4ヒンジに挟まれた部分が、全体としてパンタグラフとして機能するようになっている、
請求項3記載の内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記下位置に位置する前記可動アームに、前記可動アームを前記上位置に向けて回動させるような付勢力を加えるか、及び/又は前記下位置に位置する前記可動アームと平行な位置にある前記補助アームに、前記上位置にある前記可動アームと平行な位置に向けて回動させるような負勢力を与える弾性体と、
前記上位置側から前記下位置に前記可動アームを回動させたときに前記可動アーム、又は前記補助アームの少なくとも一方を固定することにより、
前記付勢力に抗して前記可動アーム、又は前記補助アームの少なくとも一方を、前記可動アームが前記下位置に維持されるように固定する位置固定手段と、
前記可動アームが前記下位置に位置する場合における前記位置固定手段による前記可動アーム、又は前記補助アームの係止を解除する解除手段と、
を備えてなる、
請求項5記載の内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記支点部に対して相対的な位置が固定された状態で前記可動アームが前記下位置にある場合における前記ディスプレイ部とユーザの両眼の間に位置するようにされた、透明な板である透明板を備えており、当該透明板により前記ユーザの眼が保護されるようになっている、
請求項1記載の内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
前記透明板は、前記ユーザの視力に応じてパワーを調整された視力矯正レンズを兼ねている、
請求項7記載の内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項9】
前記柱部材をユーザの頭部に固定する固定手段を備えている、
請求項3記載の内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項10】
ユーザの眼へ画像の像光を投射できるようにされたディスプレイ部を備える内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイと、前記ディスプレイ部がユーザの眼へ投射する前記像光の元となる画像を捉える内視鏡と、を含んでおり、前記ユーザが、前記画像を見ながら内視鏡手術を行なえるようにされている内視鏡手術システムであって、
前記内視鏡手術用ヘッドマウントディスプレイは、
前記ディスプレイ部に接続された第1ヒンジを介してその一端が前記ディスプレイ部に接続されている可動アームと、
前記可動アームの他端に接続されている第2ヒンジを介して前記可動アームの他端に接続されている、使用時にユーザの額の前方に位置する支点部であり、ユーザの頭部に固定をなす固定手段により、使用時にユーザの額の前方に位置決めされるものと、
を備えており、
前記可動アームは、前記第2ヒンジにより、その先端が前記支点部の略真上に位置する上位置と、その先端が前記支点部の略真下に位置する下位置との2箇所の間を、前記上位置と前記下位置とで静止可能として回動できるようにされているとともに、
前記ディスプレイ部は、前記第1ヒンジにより、前記可動アームが前記上位置にある場合の前後方向の向きと、前記可動アームが前記下位置にある場合の前後方向の向きとが同じになるようにされ、且つ前記可動アームが前記下位置にある場合に、前記画像の像光を前記ユーザの眼へ投射することができる位置に位置するようになっている、
内視鏡手術システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−142381(P2010−142381A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321680(P2008−321680)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(300053553)スカラ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】