説明

内視鏡用フード

【課題】被観察体側の先端部が、内視鏡の挿入管の先端面から所望の距離だけ離れた位置にあるように正確な調整が可能であって、簡易な構造を有する安全な内視鏡用フードを実現する。
【解決手段】内視鏡用フード10は、筒状部材12と固定部材16を含む。固定部材16の内部に配置された電磁石20には、ユーザの指示に応じた量の電流がプロセッサ側から供給される。そして電磁石20の磁力により、電磁石20と永久磁石18との間で斥力もしくは引力が働き、変形部24が、挿入管50の長手方向に平行な方向に沿って伸縮する。このように筒状部材12を変形させることにより、筒状部材12の先端にある開口端面22と挿入管50の先端面54との距離を、例えば目標値であるdとすべく、正確に調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の挿入管先端で用いられる内視鏡用フードに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡により被検者の体内にある患部等を観察する場合、一般に、体腔に挿入された挿入管の先端面から伸びる鉗子等による患部の処置、切断した患部の回収等が可能である。この鉗子等を含む処置具は、ユーザの操作により、挿入管内を通ってその先端面から進退させられる。
【0003】
処置具を使用可能な内視鏡の挿入管の先端に、内視鏡観察、もしくは患部の処置を補助等するための内視鏡用フードが取り付けられる場合がある。内視鏡用フードの使用により、例えば、内視鏡観察の視野を良好に保ちつつ患部を観察、処置することや、患部を吸引して容易に切除することなどが可能となる。
【0004】
このような内視鏡用フードの例としては、内視鏡観察の視野を良好に保つために、挿入管の先端から被観察体までの距離を調整可能としたものが知られている。具体的には、ピストン、ワイヤ等により進退自在なリングを先端に設け、挿入管(内視鏡)の先端面とリング間の距離を調整可能にしたもの(例えば特許文献1)や、流体圧の変化に応じて進退自在なもの(例えば特許文献2)等が知られている。
【特許文献1】特開平11−299726号公報
【特許文献2】特開2006−247287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ピストン、ワイヤ等の駆動手段や流体を用いることにより、少なくとも一部の部材が進退自在な内視鏡用フードにおいては、進退量を正確に調整することは困難である。このため、挿入管の先端から内視鏡用フードの距離は必ずしも所望のものとはならず、内視鏡観察および被観察体の処置に適した視野を常に確保することはできない。
【0006】
さらに、進退自在なリング、もしくは流体圧の調整機構を設けた内視鏡用フードにおいては、構造が複雑化するとともに、これらの部材の接触により被観察体が傷付く等、安全上の問題が生じる可能性もある。
【0007】
本発明は、被観察体側の先端部が、内視鏡の挿入管の先端面から所望の距離だけ離れた位置にあるように正確な調整が可能であって、簡易な構造を有する安全な内視鏡用フードの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡用フードは、挿入管の先端に取り付けられる内視鏡用フードであり、筒状部材と、筒状部材を磁力により変形もしくは移動させることにより、筒状部材における前記挿入管とは反対側の先端と挿入管の先端面との距離を調整する距離調整手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
距離調整手段は、例えば、永久磁石と電磁石とを含む。この場合、内視鏡用フードは、挿入管の周囲に固定される固定部材をさらに有し、永久磁石が筒状部材内に配置され、電磁石が固定部材内に配置されていることが好ましい。挿入管を含む内視鏡システムは、例えば、被観察体の画像信号を処理するプロセッサを有し、電磁石に電流を供給する電流供給手段が、プロセッサ内に設けられている。内視鏡用フードは、挿入管の周囲に固定される固定部材をさらに有し、電磁石が筒状部材内に配置され、永久磁石が固定部材内に配置されていることが好ましい。
【0010】
内視鏡用フードは、例えば、挿入管の周囲に固定される固定部材をさらに有し、距離調整手段は、固定部材内に配置されている第1の電磁石と、筒状部材内に配置されている第2の電磁石とを含む。この場合、挿入管において処置具が通る鉗子チャンネルが設けられており、内視鏡用フードが、鉗子チャンネルを介して第2の電磁石に電流を供給する電流供給手段をさらに有することが好ましい。
【0011】
内視鏡用フードは、筒状部材の先端と先端面との距離がユーザにより指示された目標値となるように、電磁石に電流を供給する電流供給手段をさらに有することが好ましい。
【0012】
内視鏡用フードが挿入管に取り付けられた状態において、筒状部材は、先端面に垂直な方向に沿って伸縮もしくは移動することが好ましい。また、内視鏡用フードは、挿入管や内蔵された電子機器への外乱を与えないように絶縁するための絶縁部材をさらに有することが好ましい。内視鏡用フードは、挿入管に着脱自在に取り付けられることが好ましい。内視鏡用フードにおいては、例えば、被観察体を処置するための処置具が、挿入管の先端面から進退する。この場合、筒状部材において、処置具が通るための開口が先端に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被観察体側の先端部が、内視鏡の挿入管の先端面から所望の距離だけ離れた位置にあるように正確な調整が可能であって、簡易な構造を有する安全な内視鏡用フードが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態における内視鏡用フードと内視鏡を示す図である。図2は、第1の実施形態の内視鏡用フードが使用される内視鏡システムのブロック図である。
【0015】
内視鏡40は、送気・送水ボタン42、吸引ボタン44などの操作ボタンを有する操作部46を含む。内視鏡40は、さらに、患者の体腔に挿入される可撓性の挿入管50を有する。操作部46においては、鉗子を挿入管50内の鉗子チャンネル(いずれも図示せず)に挿通させるための鉗子口48が設けられている。
【0016】
内視鏡用フード10は、被観察体の観察、鉗子による患部の処置等を補助するために用いられる。内視鏡用フード10は、筒状部材12と固定部材16とを含む。筒状部材12は、先細りのテーパ状である。ただし、筒状部材の形状は、必ずしもテーパ状に限定されるのではなく、例えば円筒状であっても良い。固定部材16は、挿入管50の先端面54近傍に固定されている。
【0017】
詳しくは、固定部材16は、挿入管50の外周を被覆するオーバーチューブ(図示せず)内に配設されており、オーバーチューブは内視鏡40の先端から操作部46にかけての挿入管50の外周全域を覆っている。筒状部材12は、矢印Aの示すように、挿入管50の先端において固定部材16に接する位置に着脱自在に取り付けられる。患部の処置が終了すると、筒状部材12は挿入管50から取り外され、オーバーチューブも操作部46側から挿入管50の先端に向かって取り外される。
【0018】
図2に示す電子内視鏡システム60(内視鏡システム)は、内視鏡40とプロセッサ80を含む。プロセッサ80の光源82からは、照明光が出射される。照明光は、ライトガイド84の入射端84Aに入射し、先端面54の出射端84Bから被観察体(図示せず)に向けて出射される。
【0019】
被観察体で反射された照明光の反射光は、CCD86に到達し、CCD86により画像信号が生成される。生成された画像信号は初期信号処理回路56に送信され、スコープ制御部52の制御の下、所定の処理が施される。
【0020】
画像信号は、さらに初期信号処理回路56からプロセッサ80側のプロセッサ信号処理回路88に送信される。プロセッサ信号処理回路88においては、CPU64の制御の下で、画像信号に所定の処理が施される。このように、プロセッサ80が被観察体の画像信号を処理する結果、画像信号に基づく被観察体の画像がモニタ70上に表示される。
【0021】
プロセッサ80の前面80Fには、タッチパネル90が設けられている。タッチパネル90上には、操作ボタン(図示せず)が設けられている。ユーザが操作ボタンを操作すると、ユーザの操作に応じた指示信号がCPU64に送信される。CPU64は、受信した指示信号に基づく所定の処理が実行されるよう、各回路を制御する。
【0022】
図3は、筒状部材12が取り付けられた状態の内視鏡用フード10を挿入管50の長手方向に沿って切断した断面図である。図4は、筒状部材12の先端を移動させるべき移動量と、固定部材16の電磁石に供給される電流量との関係を示す図である。
【0023】
被観察体である患部の処置等に用いられる鉗子72(処置具)は、挿入管50の内部に設けられた鉗子チャンネル74を通って先端面54から進退させられる。内視鏡用フード10の筒状部材12には、鉗子60が通るため、および病変部を吸引するための開口と内部空間12Mが設けられている。
【0024】
内部空間12Mは、筒状部材12の被観察体側の先端に形成されており、筒状部材12が取り付けられたときには、筒状部材12の最先端にある開口の周囲の開口端面22が先端面54と略平行になる。このとき、開口端面22は、挿入管50の先端面54とは反対側の先端にある。また、筒状部材12と固定部材16とは、いずれもシリコンゴムにより形成されており、筒状部材12は適度に変形可能である。
【0025】
内視鏡用フード10は、筒状部材12を変形させるための永久磁石18と電磁石20(いずれも距離調整手段)を含む。本実施形態では、永久磁石18は筒状部材12の内部、電磁石20は固定部材16の内部にそれぞれ配置されている。電磁石20には、プロセッサ80に設けられた電力供給部92(電流供給手段・図2参照)から電流が供給される。なお図3においては、電力供給部92から電磁石20への電流供給のためのリード線が省略されている。
【0026】
電磁石20に、プロセッサ80の電力供給部92(図2参照)から電流が供給されると、電磁石20の磁力により、電磁石20と永久磁石18との間で斥力もしくは引力が働く。このため、永久磁石18は、固定部材16内で固定されている電磁石20から離れ、もしくは近づくように移動する。この結果、筒状部材12の変形部24が、先端面54に垂直であって挿入管50の先端部の長手方向に平行な方向に沿って伸縮する。
【0027】
変形部24は、平行板25、傾斜板26、および垂直板27を含む。図3の実線で示される、電磁石20に電流が供給されていない状態(以下、基準状態という)においては、平行板25は先端面54に平行かつ先端面54近傍の挿入管50の長手方向に垂直であり、傾斜板26は先端面54に対して傾斜しており、垂直板27は先端面54に対して垂直である。この基準状態から変形部24が伸びると、平行板25は先端面54に対して傾斜し、傾斜板26の先端面54に対する傾斜角は小さくなり、垂直板27は先端面54に垂直なままである。このように、筒状部材12が基準状態から二点鎖線で示された形状に変形されると、筒状部材12の先端、すなわち開口端面22と挿入管50の先端面54との距離(以下、先端距離という)は、変形部24の変形によりdからdまで大きくなる。変形部24は、以下のように、先端距離がユーザにより指示された目標値となるように変形される。
【0028】
ユーザは、タッチパネル90(図2参照)の操作により、先端距離の目標値を入力する。先端距離の目標値を示す信号を受信したCPU64では、先端距離を目標値にするために必要な、電磁石20への供給電流量を算出する。この演算のために、筒状部材12を固定部材16の端面16Sに接するように取り付けた直後の先端距離、すなわち、変形部24が変形していない基準状態での先端距離(以下、基準先端距離dという)の値がCPU64のメモリ(図示せず)に記憶されている。
【0029】
CPU64のメモリには、この基準先端距離dの値と目標値との差、すなわち筒状部材12の先端を移動させるべき移動量(mm)と、必要な電流量(A)との関係(図4参照)を示すデータが、予め格納されている。この移動量(mm)と電流量(A)とは、例えば比例し、CPU64では、このデータに基づいて電磁石20に供給する電流量が算出される。
【0030】
先端距離の目標値は、メモリに順次上書きされる。そして、新たな目標値、例えばdが指示されると、前回の目標値であって新たな目標値が指示されたときの実際の先端距離、例えばdと、新たな目標値であるdとの差が算出される。この差が筒状部材12の先端を移動させるべき移動量であり、この移動量が例えば4.0(mm)であれば、電磁石20に供給すべき電流量は5.0(A)であると算出される。
【0031】
このように、複数回に渡って異なる目標値が指示された場合においても、先端距離は正確に調整可能である。なお目標値のデータは、プロセッサ80(図2参照)の電源がオフ状態にされると、メモリから消去される。このため、一連の観察が終了し、電子内視鏡システム60が次に使用されるときには、最初に指示された目標値と基準先端距離dとの差が算出される。
【0032】
変形部24は、開口端面22が先端面54に近づき、あるいは先端面54から離れるように変形する。このように、先端距離は増減し得る値であるため、図4に示されるデータにおいては、移動量が負の場合の電流量も定められている。電流量の正負は、電磁石20に供給される電流の向きに対応する。
【0033】
挿入管50の表面においては、挿入管50を絶縁するための絶縁層58(絶縁部材)が少なくとも先端面54の近傍に設けられている(図3参照)。絶縁層58は、挿入管50の外周面を覆うオーバーチューブ(図示せず)の表裏両面を覆う二層構造を有し、挿入管50の最も外側にある外側絶縁層と、オーバーチューブと挿入管50の表面との間の内側絶縁層とを含むが、説明の便宜上、図3においては厚さを拡大して一層で示されている。これらの絶縁層により、CCD86(図2参照)が電磁石20から絶縁され、電磁石20が、CCD86(図2参照)から出力される画像信号に影響を与えることを防止する。さらに、体腔内も電磁石20から絶縁され、安全性が確保される。なお絶縁層58は、外側もしくは内側の一層のみであっても良く、オーバーチューブの全表面を覆っても良い。また、固定部材16に十分な絶縁性をもたせ、あるいは絶縁膜(図示せず)で固定部材16を覆っても良い。
【0034】
変形部24の形状は、図3に示されたものに限定されない。例えば、図5に示された本実施形態の変形例のように、垂直板27(図3参照)を設けず、基準状態で先端面54(図3参照)に平行な平行板25と、傾斜板26とが直接接する形状であっても良い。この場合、筒状部材12を小型化できる。
【0035】
また、変形部24は、蛇腹状、例えば図3に示された平行板25、傾斜板26、および垂直板27から成る構成単位を繰り返した形状や、傾斜板26を蛇腹状に折り畳んだ形状であっても良い。さらに、先端面54に垂直な平面Pと傾斜板26とのなす角度である傾斜角α(図5参照)を、例えば30°程度から70°程度まで大きくしたり、上述の蛇腹形状において傾斜角αを増減させても良い。このような形状であれば、図3の形状に比べて開口端面22を先端面54からより遠くまで移動させること、換言すれば先端距離をより広い範囲で調整することができる。
【0036】
以上のように本実施形態によれば、タッチパネル90の操作により、内視鏡用フード10の被観察体側の先端部と、挿入管50の先端面54との距離(つまり、先端面54からの内視鏡用フード10の突出量)を正確に調整することができる。このため、内視鏡観察で得られる被写体画像に含まれる内視鏡用フード10の領域や大きさを、被観察体の状況に応じて容易にかつ正確に調整することができ、患部の処置等が容易になる。
【0037】
さらに内視鏡用フード10は、電磁石20を内部に設けた固定部材16の径方向長さが多少大きくなる点を除き、従来の内視鏡用フードと同様の形状、大きさを有し、内部空間12M付近の先端形状を保ったままで変形部24が変形する。
【0038】
次に、第2の実施形態につき説明する。図6は、図3に対応する本実施形態の内視鏡用フード10の断面図である。
【0039】
本実施形態は、筒状部材12の形状が第1の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の筒状部材12は、内部空間12Mが設けられた摺動部30と保持部32とを含む。筒状部材12は、保持部32の基端部側が固定部材16の端面16Sに接するように、挿入管50の先端に着脱自在に取り付けられる。
【0040】
保持部32の表面には、所定幅を有する環状の摺動溝32Gが設けられている。摺動部30は筒状の本体板34から突出する環状突起36を含む。環状突起36は、摺動溝32Gに沿って摺動自在である。本体板34の内部には永久磁石18が設けられており、摺動部30の摺動する向きと移動量が、電磁石20に供給される電流の向きと量により調整される。
【0041】
以上のように本実施形態によれば、筒状部材12が取り付けられた状態において、摺動部30を挿入管50の長手方向に沿って移動させることにより、先端距離を調整できる。そして、第1の実施形態の変形部24(図3参照)が不要であるため、本実施形態の内視鏡用フード10においては、筒状部材12をより小型化することができる。なお図6においては、説明の便宜上、摺動部30と保持部32との隙間が拡大されているものの、実際にはこの隙間はわずかであり、摺動部30が保持部32から脱離することは防止される。
【0042】
次に、第3の実施形態につき説明する。図7は、図3および図6に対応する本実施形態の内視鏡用フード10の断面図である。
【0043】
本実施形態では、一対の電磁石を用いる点が第1の実施形態と異なる。すなわち、固定部材16の内部に第1の電磁石20が、筒状部材12の内部に第2の電磁石21がそれぞれ配置されている。第1の電磁石20には、これまでの実施形態の電磁石20と同様に電流が供給される。
【0044】
そして第2の電磁石20には、鉗子チャンネル74内を通り、鉗子口48(図1参照)を介して電力供給部92(図2参照)に接続されたリード線76により電流が供給される。第1もしくは第2の電磁石20、21に供給される電流の向きと量により、第1の実施形態と同様に変形部24の変形が制御され、先端距離が調整される。
【0045】
このように、永久磁石18(図3等参照)を用いずに、第1および第2の電磁石20、21を用いる本実施形態においては、リード線76を設けるために筒状部材12を着脱自在にすることは困難であるものの、第1および第2の実施形態よりも強い磁力により、先端距離を容易にかつより正確に調整することができる。
【0046】
また、本実施形態の変形例として、第1の電磁石20の代わりに永久磁石を用いても良い。この変形例においては、第1の実施形態における永久磁石18と電磁石20(図3参照)の配置を入れ換えることとなり、筒状部材12側の電磁石には、第3の実施形態と同様に鉗子チャンネル74等を介したリード線76(図7参照)により電流が供給される。
【0047】
内視鏡用フード10の形状、材質等は、いずれの実施形態にも限定されない。例えば、筒状部材12は円筒状でも良く、着脱自在でなくても良い。さらに、患部等の被観察体に接する内部空間12Mの周辺部や変形部24が適度な可撓性を有する限り、筒状部材12、固定部材16の材質はシリコンゴムでなくても良い。
【0048】
第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて、一対の電磁石20および21により摺動自在な摺動部30(図6および7参照)を摺動させても良い。また、鉗子72(図3等参照)等の処置具を用いない挿入管において、内視鏡観察における視野を良好に保つために、内視鏡用フード10を使用しても良い。なお、先端距離の目標値の設定方法もタッチパネル90の操作には限定されず、外部装置、例えばキーボード(いずれも図示せず)で目標値を入力、変更可能としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施形態における内視鏡用フードと内視鏡を示す図である。
【図2】第1の実施形態の内視鏡用フードが使用される内視鏡システムのブロック図である。
【図3】筒状部材が取り付けられた状態の内視鏡用フードを挿入管の長手方向に沿って切断した断面図である。
【図4】筒状部材の先端を移動させるべき移動量と、固定部材の電磁石に供給される電流量との関係を示す図である。
【図5】第1の実施形態における変形部の変形例である。
【図6】第2の実施形態における内視鏡用フードの断面図である。
【図7】第3の実施形態における内視鏡用フードの断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10 内視鏡用フード
12 筒状部材
12M 内部空間
16 固定部材
18 永久磁石(距離調整手段)
20 (第1の)電磁石(距離調整手段)
21 第2の電磁石(距離調整手段)
22 開口端面
50 挿入管
54 先端面
58 絶縁層(絶縁部材)
60 電子内視鏡システム(内視鏡システム)
72 鉗子(処置具)
74 鉗子チャンネル
80 プロセッサ
92 電力供給部(電流供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入管の先端に取り付けられる内視鏡用フードであって、
筒状部材と、
前記筒状部材を磁力により変形もしくは移動させることにより、前記筒状部材における前記挿入管とは反対側の先端と前記挿入管の先端面との距離を調整する距離調整手段とを備えることを特徴とする内視鏡用フード。
【請求項2】
前記距離調整手段が、永久磁石と電磁石とを含むことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用フード。
【請求項3】
前記挿入管の周囲に固定される固定部材をさらに有し、前記永久磁石が前記筒状部材内に配置され、前記電磁石が前記固定部材内に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用フード。
【請求項4】
前記挿入管を含む内視鏡システムが、被観察体の画像信号を処理するプロセッサを有し、前記電磁石に電流を供給する電流供給手段が前記プロセッサ内に設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の内視鏡用フード。
【請求項5】
前記挿入管の周囲に固定される固定部材をさらに有し、前記電磁石が前記筒状部材内に配置され、前記永久磁石が前記固定部材内に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用フード。
【請求項6】
前記挿入管の周囲に固定される固定部材をさらに有し、前記距離調整手段が、前記固定部材内に配置されている第1の電磁石と、前記筒状部材内に配置されている第2の電磁石とを含むことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用フード。
【請求項7】
前記挿入管において、処置具が通る鉗子チャンネルが設けられており、前記鉗子チャンネルを介して前記第2の電磁石に電流を供給する電流供給手段をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡用フード。
【請求項8】
前記筒状部材の先端と前記先端面との距離がユーザにより指示された目標値となるように、前記電磁石に電流を供給する電流供給手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用フード。
【請求項9】
前記内視鏡用フードが前記挿入管に取り付けられた状態において、前記筒状部材が前記先端面に垂直な方向に沿って伸縮もしくは移動することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の内視鏡用フード。
【請求項10】
前記挿入管を絶縁するための絶縁部材をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の内視鏡用フード。
【請求項11】
前記内視鏡用フードが前記挿入管に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の内視鏡用フード。
【請求項12】
被観察体を処置するための処置具が、前記挿入管の先端面から進退することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の内視鏡用フード。
【請求項13】
前記筒状部材において、前記処置具が通るための開口が先端に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の内視鏡用フード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−273590(P2009−273590A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126409(P2008−126409)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】