説明

内視鏡用光源装置

【課題】主光源ランプと補助光源ランプとを備えた内視鏡用光源装置において、主光源ランプと補助光源ランプの双方からライトガイドファイババンドルに入射する照明光のロスが共に極めて少なくて、照明効率の優れた内視鏡用光源装置を提供すること。
【解決手段】主光源ランプ23からライトガイドファイババンドル13に入射する有効光線束L1の外縁に沿って、主光源ランプ23から放射された平行光線束と略同方向に補助光線束L2を放射するよう、主光源ランプ23と収束光学系24との間の位置に有効光線束L1を遮らないように配置されたブラケット27に取り付けられた補助光源ランプ26を備え、補助光源ランプ26から射出された補助光線束L2が収束光学系24により収束されてライトガイドファイババンドル13の入射端面13aに入射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は内視鏡用光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡用光源装置には、内視鏡の照明用ライトガイドファイババンドルに照明光を供給するための光源ランプが内蔵されている。光源ランプは通常は一個だけ設けられているが、主光源ランプの特性を補うために(例えば、撮影時のみの補助光源として、或いは相違する波長の光を補うため等に)、さらに補助光源ランプが併設されているものがある(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−13012
【特許文献2】特開平10−155739
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の第1図に記載された発明では、主光源ランプと補助光源ランプとが、共にライトガイドファイババンドルの入射端面に対して斜め向きに配置されて、双方の光源ランプからライトガイドファイババンドルに照明光が入射されるようになっている。
【0005】
同様に、特許文献2の図14に記載された発明では、主ライトガイドファイバ42aと補助光源ランプ52とがライトガイド17の入射端面に対して共に斜め向きに配置されている。
【0006】
しかし、そのようなレイアウトでは、主光源ランプ(又は、主ライトガイドファイバ42a)からライトガイドファイババンドルに入射する総光量のロスが大きくて効率が低下し、照明光の明るさが不十分なものになってしまう可能性がある。
【0007】
また、特許文献1、2に記載されているその他の装置では、ライトガイドファイババンドルへの入射光路の途中に反射板等が配置されているので、構造が複雑になるだけでなく、その部分での光量ロスの発生が避けられない。
【0008】
本願発明は、主光源ランプと補助光源ランプとを備えた内視鏡用光源装置において、主光源ランプと補助光源ランプの双方からライトガイドファイババンドルに入射する照明光のロスが共に極めて少なくて、照明効率の優れた内視鏡用光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用光源装置は、内視鏡の照明用ライトガイドファイババンドルの入射端面の方に向けて平行光線束を放射するようにライトガイドファイババンドルの入射端部の軸線の延長線上にあたる位置に配置された主光源ランプと、主光源ランプから放射された平行光線束をライトガイドファイババンドルの入射端面に収束させるための収束光学系と、主光源ランプからライトガイドファイババンドルに入射する有効光線束の外縁に沿って、主光源ランプから放射された平行光線束と略同方向に補助光線束を放射するよう、主光源ランプと収束光学系との間の位置に有効光線束を遮らないように配置されたブラケットに取り付けられた補助光源ランプとを備え、補助光源ランプから射出された補助光線束が収束光学系により収束されてライトガイドファイババンドルの入射端面に入射するものである。
【0010】
なお、補助光源ランプが、主光源ランプからライトガイドファイババンドルに入射する有効光線束の外縁の外側において、互いの間に間隔をあけてブラケットに複数取り付けられていてもよく、ブラケットがアーチ型に形成されていてもよい。
【0011】
また、ブラケットが、補助光源ランプを機械的に支持すると同時に、補助光源ランプに給電をするための導電部材として機能していてもよく、その場合、ブラケットが、互いの間が電気絶縁された導電部材からなる一対のブラケットで形成されていてもよい。
【0012】
また、ブラケットに放熱フィンが形成されていてもよく、補助光源ランプに放熱フィンが形成されていてもよい。或いは、補助光源ランプが取り付けられた取付基板がブラケットの光束射出側の面に取り付けられて、取付基板とブラケットとの間に熱吸収フィルタが配置されていてもよい。補助光源ランプが発光ダイオードであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、補助光源ランプが、主光源ランプからライトガイドファイババンドルに入射する有効光線束の外縁に沿って、主光源ランプから放射された平行光線束と略同方向に補助光線束を放射するよう、主光源ランプから放射された有効光線束を遮らないように主光源ランプと収束光学系との間の位置に配置されたブラケットに取り付けられていることにより、可動ミラーやアクチュエータ等が不要なシンプルな構造により、主光源ランプと補助光源ランプの双方からライトガイドファイババンドルに極めて少ない光量ロスで照明光を入射させることができ、優れた照明効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施例に係る内視鏡用光源装置の内部構成の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る内視鏡用光源装置の内部構成の側面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る内視鏡用光源装置の外観斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る内視鏡用光源装置の補助光源ランプが取り付けられたブラケットの斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る内視鏡用光源装置の補助光源ランプが取り付けられたブラケットの正面図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る内視鏡用光源装置の補助光源ランプが取り付けられたブラケットの斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係る内視鏡用光源装置の内部構成の斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施例に係る内視鏡用光源装置の内部構成の部分分解斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施例に係る内視鏡用光源装置の補助光源ランプが取り付けられたブラケットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施例を説明する。
図3は、内視鏡用光源装置(兼ビデオプロセッサ)20の外観を示している。10は、光源装置20に着脱自在に接続される内視鏡のコネクタ部である。
【0016】
光源装置20のフロントパネルには、内視鏡コネクタ部10から突出するライトガイドコネクタ11と信号コネクタ12とが個別に接続されるライトガイドコネクタ受け21と、信号コネクタ受け22等が配置されている。
【0017】
ライトガイドコネクタ11の軸線位置には、内視鏡の照明光を伝送するためのライトガイドファイババンドル13の入射端部が配置されている。また、光源装置20内には、ライトガイドファイババンドル13に照明光を供給するための光源ランプ等が配置されているが、図3には図示されていない。
【0018】
図1は、ライトガイドファイババンドル13に照明光を供給するために光源装置20内に設けられた装置の斜視図、図2はその側面図である。内視鏡のライトガイドコネクタ11が、前出のライトガイドコネクタ受け21に差し込まれることによって、ライトガイドファイババンドル13の入射端面13aが光源装置20内の所定位置に位置決めされている。
【0019】
23は、例えばキセノン光源からなる主光源ランプであり、光源装置20のフレーム20Aに、交換可能に取り付けられている。主光源ランプ23はライトガイドファイババンドル13の入射端部の軸線の延長線上にあたる位置に配置されており、主光源ランプ23で発生した光線束は、主光源ランプ23に一体に形成された反射鏡によりライトガイドファイババンドル13の入射端面13aの方に向けて平行光線束として放射される。
【0020】
24は、主光源ランプ23から放射された平行光線束をライトガイドファイババンドル13の入射端面13aに収束させるための収束光学系である。複数の凸レンズからなる収束光学系24は鏡枠25によって支持されている。なお、鏡枠25はどのようなものでも差し支えないので、二点鎖線で略示してある。
【0021】
主光源ランプ23からライトガイドファイババンドル13に入射する有効光線束L1の外縁の外側に沿って、主光源ランプ23から放射された平行光線束(有効光線束L1)と平行に補助光線束L2を放射する補助光源ランプ26が設けられている。なお、有効光線束L1には斜線のハッチングが施され、補助光線束L2には網目状のハッチングが施されている。
【0022】
補助光源ランプ26は、例えばLED(発光ダイオード)ランプ等であり、例えば撮影時のみの補助光源として用いられ、或いは相違する波長の光を補うため等に利用されるものである。
【0023】
補助光源ランプ26は、主光源ランプ23と収束光学系24との間の位置に有効光線束L1を遮らないように配置されたブラケット27(27A,27B)に取り付けられている。補助光源ランプ26がLEDランプ以外の光源であっても差し支えない。
【0024】
図4は、補助光源ランプ26が取り付けられているブラケット27を単独で図示している。ブラケット27は、有効光線束L1を遮らないようにフレーム20Aに垂直に立設された左右一対(即ち、光軸方向から見て左右一対)の脚部の上側部分が有効光線束L1の周囲を囲む円弧状をなす形状であり、一つながりの略アーチ型に形成されている。
【0025】
そのようなブラケット27は、補助光源ランプ26を機械的に支持するのと同時に、補助光源ランプに給電をするための導電部材としても機能している。そのようにするために、この実施例のブラケット27は、互いの間が電気絶縁された導電部材からなる第1と第2のブラケット27A,27Bにより構成されている。
【0026】
ブラケット27について、より具体的に説明すると、図4及びその正面図である図5にも示されるように、第1ブラケット27Aには、複数の(例えば5個の)補助光源ランプ26が、主光源ランプ26からライトガイドファイババンドルに13に入射する有効光線束L1の外縁の外側に沿って互いの間に間隔をあけて配置されている。
【0027】
5個の補助光源ランプ26は、例えば互いの間が60°間隔で、有効光線束L1をぎりぎりで遮らないように第1ブラケット27Aに各々固定されている。ただし、補助光源ランプ26の配置は有効光線束L1を遮らないものであれば他の態様であっても差し支えない。また、補助光源ランプ26の個数は5個に限定されるものではなく、補助光源ランプ26が一個又は複数設けられていればよい。
【0028】
第1ブラケット27Aは、各補助光源ランプ26の正負の一方の電極(例えば正極)に電気的につながっている。第2ブラケット27Bは、第1ブラケット27Aと接触しないように第1ブラケット27Aに対し隙間をあけて第1ブラケット27Aと並んで配置されていて、各補助光源ランプ26の正負の他方の電極(例えば負極)に電気的につながっている。
【0029】
第2ブラケット27Bは、各補助光源ランプ26の背面部(背面電極)に接触又は固着している。第2ブラケット27Bが補助光源ランプ26を支持するように機能していてもよい。
【0030】
このような第1ブラケット27Aと第2ブラケット27Bを介して補助光源ランプ26に電力が供給されると、図4に矢印で示されるように、各補助光源ランプ26から前方に補助照明光が射出される。
【0031】
その結果、図2に示されるように、補助光源ランプ26から射出された照明光は、有効光線束L1の外縁部の外側に沿って有効光線束L1と略平行に進んで収束光学系24に入射する補助光線束L2を形成し、収束光学系24によって収束されてライトガイドファイババンドル13の入射端面13aに入射する。ただし、補助光線束L2はその進行方向が有効光線束L1と概ね同方向であれば、拡散光であっても差し支えない。
【0032】
このようにして、主光源ランプ23と補助光源ランプ26の各々から放射された光線束L1,L2を、共に極めて少ない光量ロスでライトガイドファイババンドル13に入射させることができ、優れた照明効率を得ることができる。
【0033】
図1に戻って、ブラケット27を構成する第1ブラケット27Aと第2ブラケット27Bは、各々の基部が、図示されていない電気絶縁材を介してフレーム20Aにビス止め固定されており、そのビス止め部分に電源ハーネス31,32が個別に締結されており、第1ブラケット27Aと第2ブラケット27Bを介して各補助光源ランプ26に給電されるようになっている。ただし、例えば配線基板を用いる等その他の給電構造を採っても差し支えない。
【0034】
このように構成された内視鏡用光源装置20のブラケット27には、主光源ランプ23から放射されて有効光線束L1の外側に外れた光が直に照射され、ブラケット27及び補助光源ランプ26が相当の高温になる可能性がある。
【0035】
そこで、例えば図6に示される第2の実施例のように、補助光源ランプ26と第2ブラケット27Bに放熱フィン26f,27fを形成してもよい。このように構成することにより、補助光源ランプ26の熱劣化を減少させることができる。なお、この実施例では第1ブラケット27Aには放熱フィンが形成されていないが、第1ブラケット27Aにも放熱フィンを形成してよいことはもちろんである。
【0036】
図7は、本発明の第3の実施例を示しており、補助光源ランプ26(ここでは4個のLEDランプ)が取り付けられた取付基板28を、その部分の分解斜視図である図8にも示されるように、板状のブラケット27′の光束射出側の面にビス止め固定し、その板状のブラケット27′と取付基板28との間に熱吸収フィルタ29を挟持固定したものである。このように構成することによっても、補助光源ランプ26の熱劣化を減少させることができる。
【0037】
板状のブラケット27′と取付基板28には各々、その部分の正面図である図9にも示されるように、有効光線束L1を遮らない径の孔が中心位置を合わせて形成されている。また、図7に示されるように、各補助光源ランプ26には給電用のハーネス33が個々に接続されている。その他の構成は第1の実施例と同様である。なお、第3の実施例のブラケット27′を第1の実施例のようにアーチ型に形成してもよい。
【符号の説明】
【0038】
13 ライトガイドファイババンドル
13a 入射端面
20 光源装置
21 ライトガイドコネクタ受け
23 主光源ランプ
24 収束光学系
26 補助光源ランプ
26f 放熱フィン
27,27′ ブラケット
27A 第1ブラケット
27B 第2ブラケット
27f 放熱フィン
28 取付基板
29 熱吸収フィルタ
L1 有効光線束
L2 補助光線束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の照明用ライトガイドファイババンドルの入射端面の方に向けて平行光線束を放射するように上記ライトガイドファイババンドルの入射端部軸線の延長線上にあたる位置に配置された主光源ランプと、
上記主光源ランプから放射された平行光線束を上記ライトガイドファイババンドルの入射端面に収束させるための収束光学系と、
上記主光源ランプから上記ライトガイドファイババンドルに入射する有効光線束の外縁に沿って、上記主光源ランプから放射された平行光線束と略同方向に補助光線束を放射するよう、上記主光源ランプから放射された上記有効光線束を遮らないように上記主光源ランプと上記収束光学系との間の位置に配置されたブラケットに取り付けられた補助光源ランプとを備え、
上記補助光源ランプから射出された補助光線束が上記収束光学系により収束されて上記ライトガイドファイババンドルの入射端面に入射することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項2】
上記補助光源ランプが、上記主光源ランプから上記ライトガイドファイババンドルに入射する有効光線束の外縁の外側において、互いの間に間隔をあけて上記ブラケットに複数取り付けられている請求項1記載の内視鏡用光源装置。
【請求項3】
上記ブラケットがアーチ型に形成されている請求項1又は2記載の内視鏡用光源装置。
【請求項4】
上記ブラケットが、上記補助光源ランプを機械的に支持すると同時に、上記補助光源ランプに給電をするための導電部材として機能している請求項1ないし3のいずれかの項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項5】
上記ブラケットが、互いの間が電気絶縁された導電部材からなる一対のブラケットで形成されている請求項4記載の内視鏡用光源装置。
【請求項6】
上記ブラケットに放熱フィンが形成されている請求項1ないし5のいずれかの項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項7】
上記補助光源ランプに放熱フィンが形成されている請求項1ないし6のいずれかの項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項8】
上記補助光源ランプが取り付けられた取付基板が上記ブラケットの光束射出側の面に取り付けられて、上記取付基板と上記ブラケットとの間に熱吸収フィルタが配置されている請求項1、2又は3記載の内視鏡用光源装置。
【請求項9】
上記補助光源ランプが発光ダイオードである請求項1ないし8のいずれかの項に記載の内視鏡用光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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