説明

内視鏡用撮影装置

【課題】照明方向が二つ以上の内視鏡用撮影装置を提供する。
【解決手段】本発明による内視鏡用撮影装置10は、管体11、撮影モジュール13、第一光源15、第二光源17、および光源制御手段を備える。撮影モジュールは13、管体11の一端に装着され、レンズ131および映像センサー132から構成される。第一光源15は、撮影モジュール13とともに管体11の一端に配置され、第一照明範囲A1が撮影モジュール13の撮影範囲P1と重複する。第二光源17は、管体11に配置され、照明方向と第一光源の照明方向と所定の差があり、第二照明範囲A2が第一光源15の第一照明範囲A1と重複する。光源制御手段は、第一光源15および第二光源17のオン/オフを制御する。従って、第一光源15の照明方向と異なる第二光源17によって照明範囲を増加させ、映像を明晰に取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関し、詳しくは照明方向が二つ以上の内視鏡撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の工業用または医療用内視鏡は、いずれも管体の前端に配置された撮影装置(即ち管体、レンズおよび光源を組み合わせたもの)によって照明および撮影作動を行う。映像を取得するとき、光源によって照明を行い、管体の前端のレンズによって映像を取得する。物体の内部の検査したい部位まで管体を差し込んだ後、光源によって照明を行い、レンズによって映像を取得し、続いて取得した映像をディスプレイに出力する。これにより、ユーザーは、肉眼で直接観察できない部位に対し、ディスプレイの映像によって観察することができる。
【0003】
従来の内視鏡において、管体の前端の光源の照明方向がレンズの撮影方向と平行であり、照明区域が一般の状況下でレンズの撮影区域を含むため、撮影上の問題が発生しない。しかしながら、レンズが広角レンズである場合、撮影区域が光源の照明区域より大きい。このとき取得した映像は中央部位が明るく、周りの部位が暗いような不良状況が発生し、比較的暗い区域で取得した映像ははっきり見えない。
【0004】
一方、前述した従来の内視鏡は、側視を行う際に撮影装置と側視ユニットとの組み合わせによって進める。側視ユニットは、反射鏡および側視ユニットの側辺に位置する透明窓を有するため、反射鏡を介して側辺の映像をレンズに反射することができる。このとき撮影を進めることができる。
なお、内視鏡用撮影装置は例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−169802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の内視鏡は、光照射方向がレンズの撮影方向と平行である。そのため、光源から放出された光線は、反射鏡に当たり、続いて反射鏡から撮影したい部位まで反射される。そののち撮影したい部位から反射された光線は、反射鏡からレンズに反射される。これにより、撮影を進めることができる。上記のような状況下で映像を明晰にするには、反射鏡のコーディング膜の品質が非常に良好でなければならない。また光線が汚れた鏡面に当たれば著しい散乱光が発生し、レンズの映像画質に影響を与えてしまうため、反射鏡の表面を非常に綺麗に保持する必要がある。
上記問題を解決するため、本発明は、照明方向が二つ以上の内視鏡用撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明による内視鏡用撮影装置は、管体、撮影モジュール、第一光源、第二光源および光源制御手段を備える。撮影モジュールは、管体の一端に装着され、レンズおよび映像センサーから構成される。第一光源は、撮影モジュールとともに管体の一端に配置され、第一照明範囲が直接に撮影モジュールの撮影範囲と重複する。第二光源は、管体に配置され、照明方向と第一光源の照明方向と所定の差があり、第二照明範囲が直接または間接的に第一光源の第一照明範囲と重複する。光源制御手段は、第一光源および第二光源のオン/オフを制御する。従って、第一光源の照明方向と異なる第二光源によって照明範囲を増加させ、映像を明晰に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態による内視鏡用撮影装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による内視鏡用撮影装置が内視鏡に連結された状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態による内視鏡用撮影装置を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態による内視鏡用撮影装置を示す断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態による内視鏡用撮影装置を示す断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態による内視鏡用撮影装置において光源制御手段が操作装置に内蔵され、第一光源および第二光源に電気的に接続された状態を示す模式図である。
【図7】本発明の第4実施形態による内視鏡用撮影装置において第二光源が異なる角度を呈する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による内視鏡用撮影装置を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1および図2に示すように、本発明の第1実施形態による内視鏡用撮影装置10は、管体11、撮影モジュール13、第一光源15および第二光源17から構成される。
【0010】
管体11は、図1および図2に示すように二つのパイプを結合させることによって構成され、後端が操作装置91に連結される。操作装置91は、ディスプレイ92および複数のボタン94を有し、かつ撮影モジュール13、第一光源15および第二光源17に電気的に接続される。管体11は、前段の一部分が透明である。操作装置91の構造および電気的な接続方法、即ち従来の技術は本発明の主張範囲ではないため、詳細な説明を省略する。
【0011】
撮影モジュール13は、管体11の前端に装着され、レンズ131および映像センサー132から構成される。
【0012】
第一光源15は、複数の発光体から構成され、管体11に配置され、かつ撮影モジュール13とともに管体11の前端に配置され、第一照明範囲A1が直接に撮影モジュール13の撮影範囲P1と重複する。本実施形態において、第一光源15は、照明方向が撮影モジュール13の撮影方向と平行である。他の実施形態において、取り付けるときに生じた誤差が原因で相互に平行せず角度の差が発生しても照明範囲と撮影範囲とを重複させることができる。この状態は本実施形態の平行状態に類似するため、説明を省略する。
【0013】
第二光源17は、複数の発光体から構成され、第一光源15の後方に位置し、かつ管体11上の部分的に透明な部位に対応するように管体11に配置され、照明方向と第一光源15の照明方向と所定の差がある。本実施形態において、一例として第二光源17の照明方向と第一光源15の照明方向との差を45度(30度以上)に設定している。第二光源17の第二照明範囲A2は、直接に第一光源15の第一照明範囲A1と重複する。
【0014】
本実施形態において、光源の単数または複数の発光体は例として提示され、製作態様によって数が異なるため、本発明の請求の範囲を限定するものではない。
【0015】
続いて、第1実施形態の操作について説明を進める。
図1に示すように、第1実施形態による内視鏡用撮影装置10を操作するとき、第一光源15および第二光源17を発光させる。このとき第一光源15は、第一照明範囲A1が撮影モジュール13の撮影範囲P1より小さく、直接に撮影モジュール13の撮影範囲P1と重複する。第二光源17は、第二照明範囲A2が直接に第一光源15の第一照明範囲A1と重複する。第二光源17の照明方向と第一光源15の照明方向との差は、45度である。第二光源17の第二照明範囲A2は、撮影モジュール13の撮影範囲P1内の第一光源15が届かない区域を含む。そのため、撮影範囲P1内の照明を十分にし、映像をより明晰に取得することができる。
【0016】
(第2実施形態)
図3に示すように、第2実施形態による内視鏡用撮影装置20は、第1実施形態とほぼ同じである。第1実施形態との違いは次の通りである。
【0017】
第二光源27は、管体の前端に配置される。
第一光源25および第二光源27は、単数の発光体である。本実施形態において、光源の単数または複数の発光体は例として提示され、製作態様によって数が異なるため、本発明の請求の範囲を限定するものではない。
【0018】
第2実施形態による内視鏡用撮影装置20を操作するとき、第二光源27は、第二照明範囲A2を部分的に提供しても、第二照明範囲A2内の映像をより明晰にすることができる。
【0019】
第2実施形態のほかの構成および効果は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0020】
(第3実施形態)
図4に示すように、第3実施形態による内視鏡用撮影装置30は、第1実施形態とほぼ同じである。第1実施形態との違いは次の通りである。
【0021】
内視鏡用撮影装置30は、さらに第三光源39を備える。第三光源39の照明方向は、第一光源35の照明方向と第二光源37の照明方向とに対して所定の差がある。本実施形態において、第三光源39の照明方向と第一光源35の照明方向との差は、30度である。
【0022】
第一光源35は、複数の発光体から構成される。第二光源37および第三光源39は単数の発光体である。本実施形態において、光源の単数または複数の発光体は例として提示され、製作態様によって数が異なるため、本発明の請求の範囲を限定するものではない。
【0023】
第3実施形態による内視鏡用撮影装置30を操作するとき、第三光源39は、局部的な第三照明範囲A3を提供し、照明範囲内の映像をより明晰にすることができる。
第3実施形態のほかの構成および効果は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0024】
(第4実施形態)
図5および図6に示すように、第4実施形態による内視鏡用撮影装置40は、第1実施形態とほぼ同じである。第1実施形態との違いは次の通りである。
【0025】
第一光源45は、複数の発光体から構成され、第二光源47は単数の発光体から構成される。第二光源47は、照明方向と第一光源45の照明方向との差が90度であり、管体41の管壁に光を照射する。本実施形態において、光源の単数または複数の発光体は例として提示され、製作態様によって数が異なるため、本発明の請求の範囲を限定するものではない。
【0026】
本実施形態による内視鏡用撮影装置40は、さらに側視ユニット51を備える。側視ユニット51は、スリーブ52および反射鏡54を有する。スリーブ52は、撮影モジュール43に対応するように管体41の前端に連結され、かつ一側に透明窓53を有する。反射鏡54は、透明窓53および撮影モジュール43に対応するようにスリーブ52の内部に装着される。第二光源47の第二照明範囲A2は、透明窓53に対応する。そして第二光源47の照射対象物から反射された光線は、スリーブ52の外側から透明窓53に入射し、反射鏡54によって撮影モジュール43に反射されると、撮影を進めることができる。前述した通り、第二光源47の第二照明範囲A2は、物体に当たった光線の反射によって間接的に第一光源45の第一照明範囲(図中未表示)と重複する。第二光源47の第二照明範囲A2が反射された後に第一光源45の第一照明範囲と重複する状態は図5に表示されないが、図5により、第二光源47の光が第二照明範囲A2下で物体に当たり、物体に反射された光線が第一光源45の第一照明範囲と重複することが判明した。
【0027】
図6に示すように、本実施形態による内視鏡用撮影装置40は、さらに光源制御手段59を備える。本実施形態において、光源制御手段59は、第一光源45および第二光源47のオン/オフを制御するため第一光源45および第二光源47に電気的に接続される光源制御装置である。また光源制御手段59は、光源のオン/オフを制御する従来のハードウェア回路または制御ソフトウェアである。本実施形態において、光源制御手段59は、操作装置91に内蔵され、第一光源45および第二光源47に電気的に接続されるソフトウェアである。光源制御手段59によって第一光源45または第二光源47のオン/オフを選択することができる。このようなソフトウェアを採用する光源制御手段59は従来の内視鏡装置内において極めてよくある部品、即ち従来の技術であるため、詳細な説明を省略する。
【0028】
第4実施形態による内視鏡用撮影装置40を操作するとき、図5に示すように、光源制御手段59によって第一光源45を遮断し、第二光源47を起動する。このとき第一光源45は発光していない。第二光源47は管体11の管壁に光を照射するため、光線が直接に反射鏡54に当たることはない。第二光源47の照射対象物(図中未表示)から反射された光線は、スリーブ52の外側から透明窓53に入射し、反射鏡54によって撮影モジュール43に反射される。これにより、撮影を進めることができる。
【0029】
上述した通り、第4実施形態による内視鏡用撮影装置40を操作するとき、第一光源45から放出された光線が直接に側視ユニット51の反射鏡54に当たることを抑制し、反射鏡54を介して外部の光線を撮影モジュール43に反射することによって撮影を行う。これにより、映像を明晰に取得することができるだけでなく、鏡面が汚れたことが原因で映像の品質に影響を与えるという問題が起こりにくい。言い換えれば、反射鏡54のコーディング膜の品質および表面の清潔度の許容範囲が比較的大きくなり、製造コストを削減することができる。
【0030】
図7に示すように、第4実施形態において、第二光源47’の照明方向と第一光源45’の照明方向との差は、90度に限らず、60度に設定されてもよい。
【0031】
第4実施形態のほかの構成および効果は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0032】
上述した実施形態において、説明の一例として第一光源、第二光源及び第三光源は、LED(発光ダイオード)からなる発光体から構成される。他の実施形態において、第一光源、第二光源および第三光源は、光ファイバーから構成されてもよい。光ファイバーは従来の技術であるため、詳細な説明を省略する。
【0033】
上述した説明をまとめてみると、本発明の効果は次の通りである。
1、本発明は、第一光源によって従来の照明方式のように通常撮影を行うほかに、第一光源の照明方向と異なる第二光源によって照明範囲を増加させ、映像をより明晰に取得することができる。
【0034】
2、本発明は、第四実施形態に説明したように、鏡面が汚れたことが原因で映像の品質に影響を与えるという問題が起こりにくいだけでなく、映像をより明晰に取得することができる。
3、本発明は、第四実施形態に説明したように、反射鏡のコーディング膜の品質および表面の清潔度の許容範囲が比較的大きくなり、製造コストを削減することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 :内視鏡用撮影装置、
11 :管体、
13 :撮影モジュール、
131:レンズ、
132:映像センサー、
15 :第一光源、
17 :第二光源、
20 :内視鏡用撮影装置、
25 :第一光源、
27 :第二光源、
30 :内視鏡用撮影装置、
35 :第一光源、
37 :第二光源、
39 :第三光源、
40 :内視鏡用撮影装置、
41 :管体、
43 :撮影モジュール、
45 :第一光源、
45’:第一光源、
47 :第二光源、
47’:第二光源、
51 :側視ユニット、
52 :スリーブ、
53 :透明窓、
54 :反射鏡、
59 :光源制御手段、
91 :操作装置、
92 :ディスプレイ、
94 :ボタン、
A1 :第一照明範囲、
A2 :第二照明範囲、
A3 :第三照明範囲、
P1 :撮影範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体と、
前記管体の一端に装着され、レンズおよび映像センサーから構成される撮影モジュールと、
前記撮影モジュールとともに前記管体の前記一端に配置され、第一照明範囲が前記撮影モジュールの撮影範囲と重複する第一光源と、
前記管体に配置され、前記第一光源の照明方向と所定の差がある照明方向、および前記第一光源の前記第一照明範囲と重複する第二照明範囲を有する第二光源と、
前記第一光源および前記第二光源のオン/オフを制御する光源制御手段と、
を備えることを特徴とする内視鏡用撮影装置。
【請求項2】
前記第一光源は、照明方向が前記撮影モジュールの撮影方向と平行であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用撮影装置。
【請求項3】
前記第二光源の照明方向と前記第一光源の照明方向との差は、30度以上であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用撮影装置。
【請求項4】
前記第二光源は、照明方向と前記第一光源の照明方向との差が90度であり、前記管体の管壁に光を照射することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡用撮影装置。
【請求項5】
さらにスリーブおよび反射鏡を有する側視ユニットを備え、
前記スリーブは、前記撮影モジュールに対応するように前記管体の前記一端に連結され、壁に透明窓を有し、
前記反射鏡は、前記透明窓および前記撮影モジュールに対応するように前記スリーブの内部に装着され、
前記第二光源の前記第二照明範囲は、前記透明窓に対応し、
前記スリーブの外側から前記透明窓に入射した光線は、前記反射鏡によって前記撮影モジュールに反射されることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡用撮影装置。
【請求項6】
前記光源制御手段は、前記第一光源および前記第二光源に電気的に接続される光源制御装置であることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡用撮影装置。
【請求項7】
さらに照明方向が前記第一光源の照明方向と前記第二光源の照明方向とに対して所定の差がある第三光源を備えることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用撮影装置。
【請求項8】
前記第一光源、前記第二光源及び前記第三光源は、少なくとも一つのLED(発光ダイオード)または光ファイバーから構成されることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡用撮影装置。
【請求項9】
前記管体の前記撮影モジュールが配置される前記一端は前端であるとすると、
前記第一光源は、前記管体の前記前端に位置し、前記第二光源は、前記第一光源の後方に位置することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用撮影装置。
【請求項10】
前記第一光源および前記第二光源は、スペクトル分布が一致することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用撮影装置。
【請求項11】
前記第一光源および前記第二光源は、スペクトル分布が相違することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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