内視鏡用照明ユニットの製造方法、内視鏡用照明ユニット
【課題】接着剤が硬化する前におけるライトガイドの位置ずれを容易に防ぐことができる内視鏡用照明ユニットの製造方法を提供する。
【解決手段】先端硬質部材に対して形成された第1の孔部と第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有するライトガイドが挿通自在な孔部において、第1の孔部に、先端硬質部材の先端面に露出するよう照明用レンズを固定するステップS1と、ファイバと、該ファイバの外周を被覆する熱の付与に伴い一部が拡径するよう変形する形状変形層とを具備するライトガイドの先端側を、ファイバの先端が照明用レンズに突き当たるまで第2の孔部を介して第1の孔部に挿入するステップS2と、形状変形層に設定温度を付与して、第1の孔部内において形状変形層の一部を第2の孔部よりも大きく拡径させて拡径部を形成し、該拡径部を、孔部に形成された段差部に接触させ、ライトガイドの位置を固定するステップS4と、を具備する。
【解決手段】先端硬質部材に対して形成された第1の孔部と第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有するライトガイドが挿通自在な孔部において、第1の孔部に、先端硬質部材の先端面に露出するよう照明用レンズを固定するステップS1と、ファイバと、該ファイバの外周を被覆する熱の付与に伴い一部が拡径するよう変形する形状変形層とを具備するライトガイドの先端側を、ファイバの先端が照明用レンズに突き当たるまで第2の孔部を介して第1の孔部に挿入するステップS2と、形状変形層に設定温度を付与して、第1の孔部内において形状変形層の一部を第2の孔部よりも大きく拡径させて拡径部を形成し、該拡径部を、孔部に形成された段差部に接触させ、ライトガイドの位置を固定するステップS4と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部の挿入方向先端側の先端部に設けられた照明用レンズに、挿入部内に挿通されたライトガイドの先端を突き当てた状態で、ライトガイドの先端側を先端部に固定する内視鏡用照明ユニットの製造方法、内視鏡用照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被検体内に挿入される内視鏡は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。内視鏡は、細長い挿入部を被検体内に挿入することによって、被検体内を観察することができる。
【0003】
また、内視鏡の挿入部の挿入方向先端側(以下、単に先端側と称す)に設けられた先端部内には、被検体内を撮像する撮像ユニットや、被検体内に照明光を供給する照明ユニット等が設けられている。
【0004】
ここで、照明ユニットを構成する照明用レンズは、通常、先端部を構成する先端硬質部材の先端面に露出するよう、先端硬質部材に対して挿入方向に貫通するよう設けられた孔部に、半田や接着剤等によって固定されている。
【0005】
また、照明用レンズに光源装置からの照明光を供給する挿入部内に挿通された照明ユニットを構成するライトガイドは、先端側が先端硬質部材の孔部内に挿通されて、挿入方向の先端(以下、単に先端と称す)が照明用レンズに付き当てられた状態で、先端側が孔部に接着固定される。このように、ライトガイドの先端が照明用レンズに突き当てられた状態で固定される構成は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−74015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ライトガイドの先端側を先端硬質部材の孔部に、熱硬化型接着剤を用いて固定する際は、作業者は、先端硬質部材を治具等によって固定した状態で、ライトガイドの先端側に熱硬化型接着剤を塗布し、ライトガイドの先端側を孔部内に先端が照明用レンズに突き当たるまで挿入し、さらにライトガイドの位置がずれないようにライトガイドをテープ等で固定した後、照明ユニットを炉内に入れて熱を付与して熱硬化型接着剤を硬化させる手法が用いられている。
【0008】
しかしながら、この手法では、熱硬化型接着剤が硬化する前に、照明ユニットの炉への移動や、ライトガイドへの接触等により、ライトガイドの位置がずれてしまう場合があり、その結果、熱硬化型接着剤の硬化後、ライトガイドの先端と照明用レンズとの間に間隙が形成されてしまう。よって、照明用レンズから被検体内に照射される照明光の光学特性が低下したり、間隙中の空気が照明光により熱されて、先端部が温度上昇してしまったりするといった問題があった。
【0009】
このような問題に鑑み、ライトガイドの先端側の外周に、抜け止めを設け、孔部に抜け止めが嵌入自在な凹部を設けることにより、凹部への抜け止めの嵌入により、熱硬化型接着剤が硬化する前のライドガイドの位置ずれを防ぐ構成も考えられる。
【0010】
しかしながら、通常、先端硬質部材の小径化を図るため、孔部の径は、ライトガイドの径と略同径に形成されていることから、ライトガイドに抜け止めを設けると孔部が通過し難いといった問題がある他、孔部の径を大きくすると、先端硬質部材内に配置される他の部材の配置スペースを確保するため、先端硬質部材が大径化してしまうといった問題もあった。
【0011】
また、ライトガイドは、複数のファイバが1本にまとめられて構成されていることから、ライトガイドの外周に、バネ等によって機械的に径が変化する抜け止めを設けることは難しいといった問題もあった。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、接着剤が硬化する前におけるライトガイドの位置ずれを容易に防ぐことができる内視鏡用照明ユニットの製造方法、内視鏡用照明ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため本発明の一態様における内視鏡用照明ユニットの製造方法は、挿入部の挿入方向先端側の先端部に設けられた照明用レンズに、前記挿入部内に挿通されたライトガイドの挿入方向の先端を突き当てた状態で、前記ライトガイドの前記挿入方向の先端側を前記先端部に固定する内視鏡用照明ユニットの製造方法であって、前記先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有する前記ライトガイドが挿通自在な孔部において、前記第1の孔部に、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう前記照明用レンズを固定する照明用レンズ固定ステップと、ファイバと、該ファイバの外周を被覆する熱の付与に伴い一部が拡径するよう変形する形状変形層とを具備する前記ライトガイドの前記先端側を、前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入するライトガイド挿入ステップと、前記形状変形層に設定温度を付与して、前記第1の孔部内において前記形状変形層の一部を前記第2の孔部よりも大きく拡径させて拡径部を形成し、該拡径部を、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部に接触させ、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する形状変形層拡径ステップと、を具備する。
【0014】
また、他態様における内視鏡用照明ユニットの製造方法は、挿入部の挿入方向先端側の先端部に設けられた照明用レンズに、前記挿入部内に挿通されたライトガイドの挿入方向の先端を突き当てた状態で、前記ライトガイドの前記挿入方向の先端側を前記先端部に固定する内視鏡用照明ユニットの製造方法であって、前記先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とから構成された前記ライトガイドが挿通自在な孔部において、前記第1の孔部に、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう前記照明用レンズを固定する照明用レンズ固定ステップと、ファイバと、該ファイバの外周を被覆する一部に弾性変形可能な前記第2の孔部よりも大きく拡径している拡径部を有する形状変形層とを具備する前記ライトガイドの前記先端側を、前記拡径部を前記第2の孔部において該第2の孔部の径以下に弾性変形させて前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入するライトガイド挿入ステップと、前記拡径部の弾性復帰力により、前記第1の孔部において前記拡径部を前記第2の孔部よりも大きく拡径させて、前記拡径部を、第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部に接触させ、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する形状変形層拡径ステップと、を具備する。
【0015】
また、本発明の一態様における内視鏡用照明ユニットは、挿入部の挿入方向先端側の先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有するとともに、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部を有する孔部と、前記第1の孔部に対し、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう固定された照明用レンズと、ファイバと、該ファイバの外周を被覆する形状変形層とを具備し、前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入され、前記第1の孔部において前記挿入方向の先端側が前記先端硬質部材に対して固定されたライトガイドと、前記形状変形層の一部に設けられた、設定温度の付与に伴い前記第1の孔部において拡径するよう変形するとともに、拡径後、前記段差部に接触し、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する拡径部と、を具備している。
【0016】
さらに、他態様における内視鏡用照明ユニットは、挿入部の挿入方向先端側の先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有するとともに、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部を有する孔部と、前記第1の孔部に対し、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう固定された照明用レンズと、ファイバと、該ファイバの外周を被覆する形状変形層とを具備し、前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入され、前記第1の孔部において前記挿入方向の先端側が前記先端硬質部材に対して固定されたライトガイドと、前記形状変形層の一部に設けられた、弾性変形可能であって、前記第1の孔部において前記第2の孔部よりも大きく拡径するとともに、拡径後、前記段差部に接触し、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する拡径部と、を具備し、前記拡径部は、前記第2の孔部を通過する際は、前記第2の孔部の径以下に弾性変形されるとともに、前記第1の孔部においては、弾性復帰力により前記第2の孔部よりも大きく拡径する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接着剤が硬化する前におけるライトガイドの位置ずれを容易に防ぐことができる内視鏡用照明ユニットの製造方法、内視鏡用照明ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施の形態の内視鏡用照明ユニットが設けられた内視鏡を具備する内視鏡装置の外観を示す斜視図
【図2】図1の内視鏡用照明ユニットのライトガイドの先端側を示す図
【図3】図2のライトガイドの形状変形層に拡径部が形成された状態を示す図
【図4】図3のライトガイドの先端側が、照明用レンズとともに図1の内視鏡の挿入部の先端部に固定された状態を概略的に示す部分断面図
【図5】図4の照明ユニットの製造方法を示すフローチャート
【図6】第2実施の形態の内視鏡用照明ユニットにおけるライトガイドの先端側が、照明用レンズとともに内視鏡の挿入部の先端部に固定された状態を概略的に示す部分断面図
【図7】図6のライトガイドの先端側を示す図
【図8】電気基板の外周に被覆されたシールドケースと、撮像ケーブルの先端側の外周に被覆されたシールド部材とを、金属からなる接続部材で接続した撮像ユニットの構成を示す断面図
【図9】図8中のIX-IX線に沿う断面図
【図10】図8中のX方向からみた部分断面図
【図11】図8の接続部材を、バネ部材から構成した変形例を示す断面図
【図12】図11のバネ部材を拡大して示す図
【図13】図11のバネ部材の固着部を、バネ部材とともに拡大して示す図
【図14】図8の接続部材を、金属製の管状部材から構成した変形例を示す断面図
【図15】内視鏡の挿入部の先端側の断面を、撮像ユニット、照明ユニットの位置にて示す図
【図16】従来の内視鏡の挿入部の先端側と、本構成の内視鏡の挿入部の先端側とを比較して示す断面図
【図17】従来の撮像ユニットの先端側の径が、挿入部の中心軸を基準とした0.5Dの円からはみ出した状態を概略的に示す図16中のXVII-XVII線に沿う断面図
【図18】本構成の撮像ユニットの先端側の径が、挿入部の中心軸を基準とした0.5Dの円内に位置した状態を概略的に示す図16中のXVIII-XVIII線に沿う断面図
【図19】内視鏡内に、先端部に気体を送気する管路を設けた構成を周辺装置とともに概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態の内視鏡用照明ユニットが設けられた内視鏡を具備する内視鏡装置の外観を示す斜視図である。
【0020】
図1に示すように、内視鏡装置1は、内視鏡2と周辺装置100とにより主要部が構成されている。内視鏡2は、操作部3と、被検体内に挿入される挿入部4と、ユニバーサルコード5と、コネクタ19とから主要部が構成されている。
【0021】
周辺装置100は、架台26に配置された、光源装置21と、ビデオプロセッサ22と、接続ケーブル23と、キーボード24と、モニタ25とから主要部が構成されている。また、このような構成を有する内視鏡2と周辺装置100とは、コネクタ19により互いに接続されている。
【0022】
内視鏡2の操作部3に、湾曲操作ノブ9と、送気送水操作釦16と、吸引操作釦17と、処置具挿入口18とが設けられている。
【0023】
内視鏡2の挿入部4は、挿入方向Sの先端側から順に、先端部6と湾曲部7と可撓管部8とにより構成されており、挿入方向Sに沿って細長に形成されている。
【0024】
湾曲部7は、操作部3に設けられた湾曲操作ノブ9により湾曲操作されるものであり、挿入部4内に挿通された図示しない4本のワイヤの牽引弛緩に伴い、例えば上下左右の4方向に湾曲自在となるよう、挿入部4の先端側において、先端部6と可撓管部8との間に設けられている。尚、湾曲部7は、4本のワイヤに限らず、例えばモータ等により移動するロッド等によって湾曲自在な構成であっても構わない。
【0025】
先端部6の先端側の先端面6sに、先端部6内に設けられた図示しない撮像ユニットにおける対物レンズ11が設けられているととともに、被検体内の被検部位に向けて流体を供給する図示しないチャネルの先端開口12と、被検体内を照明する内視鏡用照明ユニット(以下、単に照明ユニットと称す)55における照明用レンズ13と、図示しない処置具挿通チャネルの先端開口14とがそれぞれ先端面6sから露出されて設けられている。
【0026】
先端開口12からは、操作部3の送気送水操作釦16の釦操作により、気体と液体とが選択的に噴出される。先端開口14からは、操作部3の吸引操作釦17の釦操作により、処置具挿通チャネルを介して、体腔内の粘液等が選択的に回収される他、処置具挿入口18から挿入された各種処置具が、被検部位に向けて突出される。
【0027】
内視鏡2のユニバーサルコード5の先端に、コネクタ19が設けられ、このコネクタ19は、周辺装置100の光源装置21に接続されている。コネクタ19には、図示しない各種口金や、各種電気接点が設けられているとともに、ビデオプロセッサ22が、接続ケーブル23を介して電気的に接続されている。
【0028】
次に、照明ユニット55の構成を、図2〜図4を用いて簡単に説明する。図2は、図1の内視鏡用照明ユニットのライトガイドの先端側を示す図、図3は、図2のライトガイドの形状変形層に拡径部が形成された状態を示す図、図4は、図3のライトガイドの先端側が、照明用レンズとともに図1の内視鏡の挿入部の先端部に固定された状態を概略的に示す部分断面図である。
【0029】
図4に示すように、照明ユニット55は、照明用レンズ13と、ライトガイド30とにより主要部が構成されている。
【0030】
照明用レンズ13は、上述したように、先端部6を構成する先端硬質部材60に対して固定されている。
【0031】
具体的には、先端硬質部材60には、挿入方向Sに沿って貫通する孔部50が形成されている。孔部50は、第1の孔部51と、該第1の孔部51よりも挿入方向Sの後方(以下、単に後方と称す)に位置する第1の孔部51よりも小径な第2の孔部52とを具備して主要部が構成されている。
【0032】
尚、孔部50には、第1の孔部51と第2の孔部52との径の違いにより段差部50dが形成されている。この第1の孔部51の先端側に、先端硬質部材60の先端面60sから照明用レンズ13が露出されるよう、照明用レンズ13が、接着剤や半田等によって固定されている。
【0033】
ライトガイド30は、図2、図3に示すように、複数のファイバ31と、ファイバ31の外周を被覆する形状変形層32と、形状変形層32の外周を被覆する外皮チューブ33とを具備して主要部が構成されている。
【0034】
尚、形状変形層32は、ファイバ31の先端側を被覆しておらず、また、外皮チューブ33は、形状変形層32の先端側を被覆していない。即ち、ファイバ31の先端側及び形状変形層32の先端側は露出されている。また、形状変形層32は、第2の孔部52と略同径に形成されているか、第2の孔部52よりも若干小さな径に形成されている。
【0035】
ライトガイド30は、コネクタ19、ユニバーサルコード5、操作部3、挿入部4内に挿通されており、ファイバ31によって、光源装置21からの光を、照明用レンズ13に供給するものである。
【0036】
ライトガイド30の先端側、具体的には、ファイバ31及び形状変形層32の先端側は、孔部50内に挿通されており、即ち、第2の孔部52を介して第1の孔部51内に挿通されており、ファイバ31の先端31sが、照明用レンズ13に突き当てられた状態で、熱硬化型接着剤40により孔部50内に接着固定されている。
【0037】
形状変形層32は、熱硬化型接着剤40の硬化温度より低く、変態温度よりも高い設定温度が付与されると、一部、具体的には、先端側の外皮チューブ33からの露出部位の一部に、図3、図4に示すように拡径部32kが形成されるよう変形する形状記憶合金、即ち、熱硬化型接着剤40の硬化温度を変態点とする形状記憶合金から構成されている。
【0038】
尚、拡径部32kは、設定温度以下の場合には、形状変形層32の他の部位と同径のストレート形状を有している。即ち、変形しない。また、形状変形層32の内、拡径部32kのみが形状記憶合金から構成されていても構わない。
【0039】
拡径部32kは、設定温度、具体的には、熱硬化型接着剤40の硬化温度より低く、変態温度よりも高い温度が付与されると第2の孔部52よりも大きく拡径するよう変形し、拡径後、段差部50dに接触することによって孔部50からのライトガイド30の抜け止めとなり、ライトガイド30の挿入方向Sの位置を固定するものである。
【0040】
次に、照明ユニット55の製造方法、具体的には、先端硬質部材60に対する照明用レンズ13、ライトガイド30の先端側の固定方法を、上述した図2〜図4とともに、図5を用いて説明する。図5は、図4の照明ユニットの製造方法を示すフローチャートである。
【0041】
図5に示すように、先ず作業者は、ステップS1においては、先端硬質部材60の孔部50における第1の孔部51に、先端硬質部材60の先端面60sに露出するよう照明用レンズ13を固定する照明用レンズ固定ステップを行う。
【0042】
次いで、ステップS2において、作業者は、ライトガイド30の先端側に、熱硬化型接着剤40を塗布する接着剤塗布ステップを行う。
【0043】
その後、ステップS3において、作業者は、ライトガイド30の先端側、具体的には、ファイバ31及び形状変形層32の先端側を、ファイバ31の先端31sが照明用レンズ13に突き当たるまで第2の孔部52を介して第1の孔部51に挿入するライトガイド挿入ステップを行う。
【0044】
最後に、作業者は、ステップS4において、熱硬化型接着剤40を硬化させるため、照明ユニット55を炉内に挿入することにより、設定温度となる熱硬化型接着剤40の硬化温度より低く、変態温度よりも高い温度を熱硬化型接着剤40に付与して熱硬化型接着剤40を硬化させる形状変形層拡径ステップを行う。
【0045】
この際、熱硬化型接着剤40のみならず形状変形層32にも設定温度が付与されるため、形状変形層32の先端側における外皮チューブ33から露出した部位の一部が、第2の孔部52よりも大きく拡径することにより拡径部32kが形成される。
【0046】
拡径部32kは、段差部50dに接触することから、孔部50に対するライトガイド30の抜け止めとして機能するため、ライトガイド30の挿入方向Sの位置が固定された状態で熱硬化型接着剤40が硬化される。
【0047】
尚、熱硬化型接着剤40の硬化後、照明ユニット55は炉外に排出されるため、照明ユニット55には設定温度以下となる温度が付与されることから、拡径部32kは、形状変形層32の他の部位と同径になるまで収縮しようとするが、熱硬化型接着剤40は硬化されているため、拡径部32kが収縮してしまうことは無い。また、仮に拡径部32kが収縮してしまったとしても、熱硬化型接着剤40は硬化されているため、ライトガイド30の位置がずれてしまうことがない。即ち、ファイバ31の先端31sは、照明用レンズ13に突き当てられたままである。
【0048】
このように、本実施の形態においては、ライトガイド30において、ファイバ31の外周に、一部に熱硬化型接着剤40の硬化温度よりも低く、変態温度よりも高い設定温度が付与されると拡径する拡径部32kを有する形状変形層32が被覆されていると示した。
【0049】
このことによれば、変態温度よりも低い温度において、孔部50内にライトガイド30の先端側を挿通する場合には、拡径部32kは非拡径状態であるため、第2の孔部52が形状変形層32の略同径に形成されていたとしても、第2の孔部52に対して形状変形層32を容易に通過させることができる。
【0050】
また、ファイバ31及び形状変形層32の先端側を孔部50において、熱硬化型接着剤40を用いて接着固定する場合には、熱硬化型接着剤40を硬化させるにあたり、拡径部32kに熱硬化型接着剤40の硬化温度より低く、変態温度よりも高い設定温度が付与されることにより、拡径部32kは第2の孔部52よりも拡径して段差部50dに接触し、抜け止めとして機能することから、熱硬化型接着剤40の硬化前に、ライトガイド30の挿入方向Sにおける位置がずれてしまうことがない。即ち、ファイバ31の先端31sと、照明用レンズ13との間に間隙が形成されてしまうことがない。
【0051】
よって、照明用レンズ13から被検体内に照射される照明光の光学特性が低下したり、間隙中の空気が照明光により熱されて、先端部6が温度上昇してしまったりすることがない。
【0052】
以上から、接着剤40が硬化前のライトガイド30の位置ずれを容易に防ぐことができる内視鏡用照明ユニット55の製造方法、内視鏡用照明ユニット55を提供することができる。
【0053】
(第2実施の形態)
図6は、本実施の形態の内視鏡用照明ユニットにおけるライトガイドの先端側が、照明用レンズとともに内視鏡の挿入部の先端部に固定された状態を概略的に示す部分断面図、図7は、図6のライトガイドの先端側を示す図である。
【0054】
この第2実施の形態の照明ユニットの構成は、上述した図1〜図4に示した第1実施の形態の照明ユニットと比して、形状変形層が弾性変形する接着剤によって構成されている点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0055】
図7に示すように、本実施の形態における照明ユニット55’におけるライトガイド30’は、ファイバ31と、ファイバ31の先端側の外周を被覆する形状変形層35と、形状変形層35の外周を、先端側を除いて被覆する外皮チューブ33とから主要部が構成されている。
【0056】
尚、形状変形層35の先端側は、外皮チューブ33から露出されており、一部に設けられた拡径部35kが第2の孔部52の径よりも大きく、第1の孔部51の径よりも小さく形成されている。
【0057】
形状変形層35は、硬化後、弾性変形可能な接着剤から構成されている。形状変形層35は、ライトガイド30’の先端側が孔部50に挿通されるにあたり、第2の孔部52を通過する際は、拡径部35kが第2の孔部52の径以下に弾性変形するとともに、第1の孔部51においては、拡径部35kが弾性復帰力により、第2の孔部52よりも大きく拡径し、図6に示すように、段差部50dに接触することによって、孔部50からライトガイド30が抜けてしまうのを防止する抜け止めとして機能することによりライトガイド30’の挿入方向Sの位置を固定する。
【0058】
次に、照明ユニット55の製造方法、具体的には、先端硬質部材60に対する照明用レンズ13、ライトガイド30’の先端側の固定方法を、上述した図6、図7とともに、図5を用いて説明する。
【0059】
図5に示すように、先ず作業者は、ステップS1においては、先端硬質部材60の孔部50における第1の孔部51に、先端硬質部材60の先端面60sに露出するよう照明用レンズ13を固定する照明用レンズ固定ステップを行う。
【0060】
次いで、ステップS2において、作業者は、弾性変形可能な形状変形層35によって第1の孔部51の入口が塞がれるため、熱硬化型接着剤40を塗布できない可能性があることから、ライトガイド30’の接着剤から構成された拡径部35kの外周に、熱硬化型接着剤40を塗布する接着剤塗布ステップを行う。
【0061】
その後、作業者は、ステップS3において、第2の孔部52において該第2の孔部52の径以下に弾性変形させてファイバ31の先端31sが照明用レンズ13に突き当たるまで第2の孔部52を介して第1の孔部51に挿入するライトガイド挿入ステップを行う。
【0062】
最後に、拡径部35kの弾性復帰力により、第1の孔部51において拡径部35kを第2の孔部52よりも大きく拡径させて、拡径部35kを段差部50dに接触させ、孔部50に対するライトガイド30’の抜けを防止し、ライトガイド30’の挿入方向Sの位置を固定する形状変形層拡径ステップを行う。
【0063】
その後、ライトガイド30’の位置が固定された状態で、照明ユニット55を、炉内に挿入することにより、熱硬化型接着剤40を硬化させる。
【0064】
このような照明ユニット55’の構成および製造方法によっても、上述した第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
ところで、撮像ユニットは、通常、撮像素子が電気的に接続された電気基板に、挿入部、操作部、ユニバーサルコード、該ユニバーサルコードの延出端に設けられたコネクタ内にそれぞれ挿通された撮像ケーブルの先端が電気的に接続されていることにより、撮像素子によって撮像された被検体の撮像信号が、電気基板、撮像ケーブルを介してビデオプロセッサ等の外部装置へと伝送される構成を有している。
【0066】
ここで、電気基板や撮像ケーブルからの放射ノイズの漏れ、即ち電磁外放射を防ぐため、電気基板が接地状態のシールドケースによって覆われるとともに、撮像ケーブルの外周の少なくとも一部も、接地状態のシールド用の金属蛇管によって覆われる構成が周知である。
【0067】
また、シールドケースと金属蛇管とを、金属からなる円筒形状を有する接続管や板バネ等を用いて接続することにより、電気基板と撮像ケーブルとの接続部からの放射ノイズの漏れを防ぐ構成も周知である。
【0068】
しかしながら、この構成では、シールドケースと金属蛇管とを、接続管や板バネといった複数の部材を介して電気的に接続しているため、電気的な接続力が弱いばかりか、板バネが設けられている部分からの放射ノイズの漏れを防ぐことができず、シールドケースと、金属蛇管との間に位置する撮像ケーブルのシールディング効果が弱いといった問題があった。即ち、撮像ケーブルのEMC(Electromagnetic Compatibility)対策が不十分であるといった問題があった。
【0069】
よって、以下、このような問題を解決できる構成を、図8〜図10を用いて示す。図8は、電気基板の外周に被覆されたシールドケースと、撮像ケーブルの先端側の外周に被覆されたシールド部材とを、金属からなる接続部材で接続した撮像ユニットの構成を示す断面図、図9は、図8中のIX-IX線に沿う断面図、図10は、図8中のX方向からみた部分断面図である。
【0070】
図8に示すように、ビデオコネクタ70において、電気基板72は、例えば2枚の金属からなる接地されたシールドケース71によって挟まれた状態で、シールドケース71内に収納されており、電気基板72に設けられた接点72sには、シールドケース71に設けられた開口を介してシールドケース71内に進入された電気ケーブルである撮像ケーブル69の先端が電気的に接続されている。
【0071】
尚、撮像ケーブル69の外周には、接地された金属製の蛇管67が被覆されており、蛇管67の外周には、外皮樹脂66が被覆されている。また、蛇管67の先端には、金属からなるシールド部材68が電気的に接続されており、該シールド部材68も、撮像ケーブル69の先端側の外周を被覆している。さらに、シールド部材68は、シールドケース71よりも挿入方向Sの後方に位置している。
【0072】
また、挿入方向Sにおいて、シールドケース71とシールド部材68との間には、金属からなる接続部材80が設けられている。
【0073】
接続部材80は、図8に示すように、部材81、82からなる2つの部材から構成されており、各部材81、82は、撮像ケーブル69の外周を被覆している。
【0074】
また、各部材81、82の先端は、シールドケース71に対して面当接するよう、折り曲げられて形成された固着部81a、82aを構成しており、各固着部81a、82aは、図8〜図10に示すように、ねじ73により、シールドケース71とともに、シールドケース71内の金属部材に固定されている。このことにより、各部材81、82は、シールドケース71に電気的に接続されている。
【0075】
また、各部材81、82の基端には、図8、図9に示すように、それぞれ弾性変形可能な変形部81b、82bが形成されており、各変形部81b、82bは、シールド部材68に弾性変形しながら接触することにより、シールド部材68に電気的に接続されている。
【0076】
尚、変形部81b、82bが弾性変形可能なことにより、部品公差や、配置位置のずれにより、シールドケース71とシールド部材68との挿入方向Sにおける間隔に寸法誤差が生じたとしても、該誤差を変形部81b、82bが吸収することができるため、確実に、シールド部材68に各部材81、82を電気的に接続することができる。
【0077】
このような構成によれば、シールド部材68とシールドケース71とを、接続部材80のみで電気的に確実に接続することができるため、即ち、1つの部材で電気的に接続することができるため、電気接続性が良く、EMC対策を十分図ることができる。
【0078】
また、シールド部材68とシールドケース71との間に位置する撮像ケーブル69の外周を、接続部材80を用いて覆うことができるため、シールド部材68とシールドケース71との間に位置する撮像ケーブル69のEMC対策を十分図ることができる。
【0079】
尚、以下、変形例を、図11〜図13を用いて示す。図11は、図8の接続部材を、バネ部材から構成した変形例を示す断面図、図12は、図11のバネ部材を拡大して示す図、図13は、図11のバネ部材の固着部を、バネ部材とともに拡大して示す図である。
【0080】
図11に示すように、シールド部材68とシールドケース71とを電気的に接続する接続部材80は、図12に示すような複数の変形部85hを有するバネ部材85から構成されていても構わない。
【0081】
尚、このような構成においては、バネ部材85は、図13に示すように、先端に設けられたシールドケース71に面当接するよう折り曲げられた固着部85aが、ねじ73により、シールドケース71とともに、シールドケース71内の金属部材に固定されていることにより、シールドケース71に電気的に接続されている。
【0082】
また、バネ部材85の基端は、付勢力を有して、シールド部材68に当接している。尚、バネ部材85に形成された複数の変形部85hにより、部品公差や、配置位置のずれにより、シールドケース71とシールド部材68との挿入方向Sにおける間隔に寸法誤差が生じたとしても、該誤差を、変形部85hが吸収することができるため、確実に、シールド部材68にバネ部材85を電気的に接続することができる。
【0083】
このような構成によっても、図8〜図10に示したビデオコネクタ70の構成と同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、以下、別の変形例を、図14を用いて示す。図14は、図8の接続部材を、金属製の管状部材から構成した変形例を示す断面図である。
【0085】
図14に示すように、接続部材80は、金属製の管状部材88から構成されていても構わない。
【0086】
尚、このような構成においては、管状部材88は、先端に設けられたシールドケース71に面当接するよう折り曲げられた固着部88aが、ねじ73により、シールドケース71とともに、シールドケース71内の金属部材に固定されていることにより、シールドケース71に電気的に接続されている。
【0087】
また、管状部材88の基端は、ワッシャ90を介して、シールド部材68に電気的に接続されている。尚、ワッシャ90の代わりに、板座金や、一条バネを用いても良い。ワッシャ90により、部品公差や、配置位置のずれにより、シールドケース71とシールド部材68との挿入方向Sにおける間隔に寸法誤差が生じたとしても、該誤差を、ワッシャ90自体が吸収することができるため、確実に、シールド部材68に管状部材88を電気的に接続することができる。
【0088】
このような構成によっても、図8〜図10に示したビデオコネクタ70の構成と同様の効果を得ることができる。
【0089】
ところで、通常、内視鏡の挿入部の先端部を構成する先端硬質部材に対して、撮像ユニットを構成する対物レンズユニットが嵌入されて固着されている。尚、対物レンズユニットは、患者のグランドから絶縁されている。また、照明レンズは、先端硬質部材に対して、半田接合等によって固着されている。
【0090】
ここで、撮像ユニットに2個の撮像素子を搭載し、高精細な画像を提供できる内視鏡も周知であるが、撮像素子が2個搭載される為、撮像ユニットの挿入方向における長さや外径が大きくなってしまい、それにより内視鏡の先端部の長さや外径が大きくなって内視鏡の操作性、挿入性が悪くなってしまうといった問題があった。
【0091】
よって、撮像ユニットの挿入方向の長さや外径を小さくするには、撮像ユニットにおける患者グランドと対物レンズユニットとを絶縁している絶縁部材を無くすことが効果的である。尚、絶縁部材を無くした場合は、内視鏡の先端硬質部材を絶縁部材で構成する等して先端部において内視鏡の外装部と患者グランドとを絶縁する必要がある。
【0092】
また、通常、絶縁部材からなる先端硬質部材と撮像ユニットとの嵌合面は、接着剤により水密性を確保しているが、既知のオートクレーブなどの滅菌処理を行うと、滅菌行程時における温度変化により、絶縁部材からなる先端硬質部材と、金属部材からなる撮像ユニットとの熱膨張率の違いによって、接着剤が剥離して水密性を確保することが難しくなってしまう可能性があり、その都度、修理の必要性が生じてしまうといった問題があった。
【0093】
尚、照明レンズと先端硬質部材との固着強度を増強する手段としては、半田接合が有効であるが、先端硬質部材が絶縁部材から構成されていると半田接合するのが困難であるという問題があった。
【0094】
以下、上記問題点を解決する構成を、図15を用いて示す。図15は、内視鏡の挿入部の先端側の断面を、撮像ユニット、照明ユニットの位置にて示す図である。
【0095】
図15に示すように、本構成においては、挿入部の先端部を構成する先端硬質部材160は、絶縁部材から構成されており、先端硬質部材160において、挿入方向Sに沿って複数形成された貫通孔に、撮像ユニット150の先端側や、照明ユニット130の先端側がそれぞれ嵌入されている。
【0096】
具体的には、撮像ユニット150の先端側は、先端硬質部材160の貫通孔である撮像ユニット嵌入孔に、金属部材からなる撮像ユニット枠150wを介して嵌入されて固定されており、先端硬質部材160と撮像ユニット枠150wとの間は、弾性部材111によって水密性が保持されている。
【0097】
また、照明ユニット130の先端側は、ライトガイド131の先端が、照明用レンズ13に突き当てられた状態において、金属部材からなる照明レンズ枠13wに嵌合固定されることによって構成されており、照明レンズ枠13wが、先端硬質部材160の貫通孔である照明ユニット嵌入孔に嵌入されて固定されている。尚、照明用レンズ13は、照明レンズ枠13wに半田接合されている。さらに、先端硬質部材160と照明レンズ枠13wとの間は、弾性部材110によって、水密性が保持されている。
【0098】
尚、弾性部材110、111としては、Oリング、ゴムパッキン、シリコーン系封止材、フッ素系封止材等が挙げられる。
【0099】
このような図15に示す構成によれば、患者グラウンドが先端部外装に露出しないため、電気安全性を確保することができるとともに、オートクレーブ滅菌処理の際、例えば高温により、照明ユニット130及び撮像ユニット150と、先端硬質部材160との間の接着剤や半田が外れてしまったとしても、弾性部材110、111により、水密性を確実に確保することができる。
【0100】
ところで、内視鏡の画像を向上させるため、高画素の撮像素子を使用すると、信号の高速転送等の理由により撮像素子及び該撮像素子が搭載される電気基板からの発熱が従来に比べ飛躍的に大きくなる。
【0101】
また、電気基板に搭載される半導体素子の数やサイズが大きくなることから、内視鏡の挿入部が湾曲部を有している場合には、湾曲部より先端側に位置する先端部の長さが長くなる傾向にあり、内視鏡の先端部が熱されてしまったり、湾曲部の操作性が低下してしまったりする恐れがあった。
【0102】
以下、図16〜図18を用いて、撮像素子を高画素化しても熱的安全性や湾曲部の操作性を向上させることのできる内視鏡の構成を説明する。
【0103】
図16は、従来の内視鏡の挿入部の先端側と、本構成の内視鏡の挿入部の先端側とを比較して示す断面図、図17は、従来の撮像ユニットの先端側の径が、挿入部の中心軸を基準とした0.5Dの円からはみ出した状態を概略的に示す図16中のXVII-XVII線に沿う断面図、図18は、本構成の撮像ユニットの先端側の径が、挿入部の中心軸を基準とした0.5Dの円内に位置した状態を概略的に示す図16中のXVIII-XVIII線に沿う断面図である。
【0104】
図16に示すように、従来の撮像ユニット250の先端側の最大外径は、先端部206の最大外径Dの0.6の大きさ(0.6D)に形成されており、図17に示すように、先端部206の中心軸Cを中心とした半径0.25D、直径0.5Dの2点鎖線で示す円209の領域から、挿入方向Sの前方から平面視した状態において、撮像ユニット250の先端側は径方向にはみ出して配置されていた。
【0105】
これに対して、本構成においては、撮像ユニット250’の先端側の最大外径を、先端部206’の最大外径Dの0.4以下の大きさとし、図18に示すように、先端部206’の中心軸Cを中心とした半径0.25D、直径0.5Dの2点鎖線で示す円209内の領域に、撮像ユニット250’の先端側が位置するよう配置されている。
【0106】
このような構成によれば、図16〜図18に示すように、従来の撮像ユニット250よりも、本構成の撮像ユニット250’は、中心軸C寄りに位置しているため、挿入部の湾曲部の湾曲の際、撮像ユニット250’は、先端部206’の外装に沿って緩やかに曲がることから、撮像ユニット250’の最小曲率半径を、従来の撮像ユニット250の最小曲率半径よりも大きくすることができる。
【0107】
よって、撮像ユニット250’を構成する撮像ケーブルへの湾曲の際のストレスを小さくすることができるため、湾曲部と先端部206’との接続部を先端側に移動しても、撮像ケーブルへの湾曲の際のストレスを小さくすることができる。このことから、湾曲部と先端部206’との接続部を先端側に移動することができるため、先端部206’の挿入方向Sの長さを従来よりも短くすることができる(S2<S1)。
【0108】
また、撮像ユニット250’が、中心軸C寄りに位置しているため、先端硬質部材260’全体で、撮像ユニット250’を囲んで撮像ユニット250’からの熱を伝達、分散させることができる。
【0109】
また、先端部206’内における先端硬質部材260’の体積を従来よりも大きくすることができるため、撮像ユニット250’からの熱を伝達、分散平均化して、先端部206’内の温度上昇を抑制することができる。
【0110】
ところで、内視鏡の高画質化、高機能化が進むにつれて内視鏡挿入部の先端部内のCCD等の機能部品が収納されている部分の発熱量が増え、従来の放熱技術(放熱線、ヒートシンク等)では先端部の温度上昇を防ぐことが難しいといった問題があった。
【0111】
よって、以下、内視鏡の挿入部の先端部の温度上昇を防ぐ構成を、図19を用いて示す。図19は、内視鏡内に、先端部に気体を送気する管路を設けた構成を周辺装置とともに概略的に示す図である。
【0112】
図19に示すように、内視鏡2は、先端部6、湾曲部7、可撓管部8を有する挿入部4と、操作部3と、ユニバーサルコード5と、コネクタ19とを具備して主要部が構成されている。
【0113】
コネクタ19は、光源装置21、外部送気源27と接続自在であるとともに、ビデオコネクタ19bを介してビデオプロセッサ22と接続自在である。尚、外部送気源27としては、内視鏡2の内部の気密を確認する用に用いられるエアポンプ等が挙げられる。
【0114】
また、内視鏡2の内部には、コネクタ19から、ユニバーサルコード5、操作部3、挿入部4の先端部6まで、送気用管路200が挿通されている。尚、送気用管路200は、先端が、先端部6内の機能部品に対して開口している。
【0115】
また、送気用管路200は、PTFE、PFA等のフッ素系樹脂チューブによって構成されている。送気用管路200は、外部送気源27から送気された気体を、先端部6内に供給するものである。
【0116】
また、コネクタ19には、先端部6内への気体の供給により、内視鏡2の内部の圧力が高まると自動的に開放して圧力が一定以上にならないようにし、湾曲部7の湾曲ゴムの破裂や可撓管部8の蛇管の破損を防止するリリーフ弁210が設けられている。
【0117】
このような構成によれば、先端部6内の機能部品が発熱したとしても、送気用管路200を介して、機能部品に、外部送気源27からの送気を十分供給することができることから、機能部品を強制的に適切に冷却することができる。
【0118】
よって、内視鏡2の高画質化、高機能化が進むにつれて先端部6の機能部品が収納されている部分の発熱量が増えても先端部6の温度規格を満足できるようになり、高画質、高機能で安全な内視鏡を提供することができる。
【0119】
さらには、先端部6内の機能部品を強制的に冷却することができるため、内視鏡2の外装温度を低下させることができる。
【0120】
[付記]
尚、以上、図8〜図14に示した構成によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、
(1)電気基板に外装されるシールドケースと、
前記電気基板から延設される電気ケーブルと、
前記電気ケーブルの少なくとも一部に外装されるシールド部材と、
前記シールドケースと前記シールド部材とを電気的に接続する接続部材と、
を有し、
前記接続部材には、シールドケースに固着される固着部と、長手方向に弾性変形可能な変形部とが設けられており、前記接続部材は、前記電気ケーブルを覆うようにして設けられていることを特徴とする内視鏡。
【0121】
また、以上、図15に示した構成によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、
(2)内視鏡先端部に設けられる先端硬質部材は、絶縁部材から構成されており、
撮像ユニットの先端側は、前記先端硬質部材に設けられた撮像ユニット嵌入孔に、金属部材からなる撮像ユニット枠を介して嵌入されており、
前記先端硬質部材と前記撮像ユニット枠との間に設けられた弾性部材によって水密性が確保された内視鏡。
【0122】
(3)前記弾性部材は、Oリング、ゴムパッキン、シリコーン系封止材、フッ素系封止材のいずれかから構成されていることを特徴とする付記2に記載の内視鏡。
【0123】
(4)内視鏡先端部に設けられる先端硬質部材は、絶縁部材から構成されており、
照明光を出射する照明レンズが半田接合され、ライトガイドが前記照明レンズに突き当てられた状態で嵌入固定された、金属部材からなる照明レンズ枠を有し、
前記照明レンズ及び前記ライトガイドの先端が固定された前記照明レンズ枠を有する照明ユニットが、前記先端硬質部材に設けられた照明ユニット嵌入孔に嵌入されていることを特徴とする内視鏡。
【0124】
(5)前記先端硬質部材と、前記照明レンズ枠との間に設けられる弾性部材によって、水密性が確保されていることを特徴とする付記4に記載の内視鏡。
【0125】
(6)前記弾性部材は、Oリング、ゴムパッキン、シリコーン系封止材、フッ素系封止材のいずれかから構成されていることを特徴とする付記5に記載の内視鏡。
【0126】
また、以上、図16〜図18に示した構成によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、
(7)内視鏡挿入部の先端側に先端部及び湾曲部を有し、先端部内に先端硬質部材を設け、該先端硬質部材内に撮像ユニットを固定した内視鏡において、
先端部の最大外径Dに対して、撮像ユニットの先端側の最大外径を0.4D以下とし、撮像ユニットの先端側が、前記先端部の中心軸からの半径方向に0.25D以内の範囲に入るように配置され、
前記先端硬質部材は、前記撮像ユニットの少なくとも一部を保持するとともに、先端部内に位置する撮像ユニットの外周を覆うことを特徴とする内視鏡。
【符号の説明】
【0127】
4…挿入部
6…先端部
13…照明用レンズ
30…ライトガイド
30’…ライトガイド
31…ファイバ
32…形状変形層
32k…拡径部
35…形状変形層
35k…拡径部
40…熱硬化型接着剤
50…孔部
50d…段差部
51…第1の孔部
52…第2の孔部
55…内視鏡用照明ユニット
55’…内視鏡用照明ユニット
60…先端硬質部材
60s…先端硬質部材の先端面
S…挿入方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部の挿入方向先端側の先端部に設けられた照明用レンズに、挿入部内に挿通されたライトガイドの先端を突き当てた状態で、ライトガイドの先端側を先端部に固定する内視鏡用照明ユニットの製造方法、内視鏡用照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被検体内に挿入される内視鏡は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。内視鏡は、細長い挿入部を被検体内に挿入することによって、被検体内を観察することができる。
【0003】
また、内視鏡の挿入部の挿入方向先端側(以下、単に先端側と称す)に設けられた先端部内には、被検体内を撮像する撮像ユニットや、被検体内に照明光を供給する照明ユニット等が設けられている。
【0004】
ここで、照明ユニットを構成する照明用レンズは、通常、先端部を構成する先端硬質部材の先端面に露出するよう、先端硬質部材に対して挿入方向に貫通するよう設けられた孔部に、半田や接着剤等によって固定されている。
【0005】
また、照明用レンズに光源装置からの照明光を供給する挿入部内に挿通された照明ユニットを構成するライトガイドは、先端側が先端硬質部材の孔部内に挿通されて、挿入方向の先端(以下、単に先端と称す)が照明用レンズに付き当てられた状態で、先端側が孔部に接着固定される。このように、ライトガイドの先端が照明用レンズに突き当てられた状態で固定される構成は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−74015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ライトガイドの先端側を先端硬質部材の孔部に、熱硬化型接着剤を用いて固定する際は、作業者は、先端硬質部材を治具等によって固定した状態で、ライトガイドの先端側に熱硬化型接着剤を塗布し、ライトガイドの先端側を孔部内に先端が照明用レンズに突き当たるまで挿入し、さらにライトガイドの位置がずれないようにライトガイドをテープ等で固定した後、照明ユニットを炉内に入れて熱を付与して熱硬化型接着剤を硬化させる手法が用いられている。
【0008】
しかしながら、この手法では、熱硬化型接着剤が硬化する前に、照明ユニットの炉への移動や、ライトガイドへの接触等により、ライトガイドの位置がずれてしまう場合があり、その結果、熱硬化型接着剤の硬化後、ライトガイドの先端と照明用レンズとの間に間隙が形成されてしまう。よって、照明用レンズから被検体内に照射される照明光の光学特性が低下したり、間隙中の空気が照明光により熱されて、先端部が温度上昇してしまったりするといった問題があった。
【0009】
このような問題に鑑み、ライトガイドの先端側の外周に、抜け止めを設け、孔部に抜け止めが嵌入自在な凹部を設けることにより、凹部への抜け止めの嵌入により、熱硬化型接着剤が硬化する前のライドガイドの位置ずれを防ぐ構成も考えられる。
【0010】
しかしながら、通常、先端硬質部材の小径化を図るため、孔部の径は、ライトガイドの径と略同径に形成されていることから、ライトガイドに抜け止めを設けると孔部が通過し難いといった問題がある他、孔部の径を大きくすると、先端硬質部材内に配置される他の部材の配置スペースを確保するため、先端硬質部材が大径化してしまうといった問題もあった。
【0011】
また、ライトガイドは、複数のファイバが1本にまとめられて構成されていることから、ライトガイドの外周に、バネ等によって機械的に径が変化する抜け止めを設けることは難しいといった問題もあった。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、接着剤が硬化する前におけるライトガイドの位置ずれを容易に防ぐことができる内視鏡用照明ユニットの製造方法、内視鏡用照明ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため本発明の一態様における内視鏡用照明ユニットの製造方法は、挿入部の挿入方向先端側の先端部に設けられた照明用レンズに、前記挿入部内に挿通されたライトガイドの挿入方向の先端を突き当てた状態で、前記ライトガイドの前記挿入方向の先端側を前記先端部に固定する内視鏡用照明ユニットの製造方法であって、前記先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有する前記ライトガイドが挿通自在な孔部において、前記第1の孔部に、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう前記照明用レンズを固定する照明用レンズ固定ステップと、ファイバと、該ファイバの外周を被覆する熱の付与に伴い一部が拡径するよう変形する形状変形層とを具備する前記ライトガイドの前記先端側を、前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入するライトガイド挿入ステップと、前記形状変形層に設定温度を付与して、前記第1の孔部内において前記形状変形層の一部を前記第2の孔部よりも大きく拡径させて拡径部を形成し、該拡径部を、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部に接触させ、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する形状変形層拡径ステップと、を具備する。
【0014】
また、他態様における内視鏡用照明ユニットの製造方法は、挿入部の挿入方向先端側の先端部に設けられた照明用レンズに、前記挿入部内に挿通されたライトガイドの挿入方向の先端を突き当てた状態で、前記ライトガイドの前記挿入方向の先端側を前記先端部に固定する内視鏡用照明ユニットの製造方法であって、前記先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とから構成された前記ライトガイドが挿通自在な孔部において、前記第1の孔部に、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう前記照明用レンズを固定する照明用レンズ固定ステップと、ファイバと、該ファイバの外周を被覆する一部に弾性変形可能な前記第2の孔部よりも大きく拡径している拡径部を有する形状変形層とを具備する前記ライトガイドの前記先端側を、前記拡径部を前記第2の孔部において該第2の孔部の径以下に弾性変形させて前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入するライトガイド挿入ステップと、前記拡径部の弾性復帰力により、前記第1の孔部において前記拡径部を前記第2の孔部よりも大きく拡径させて、前記拡径部を、第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部に接触させ、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する形状変形層拡径ステップと、を具備する。
【0015】
また、本発明の一態様における内視鏡用照明ユニットは、挿入部の挿入方向先端側の先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有するとともに、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部を有する孔部と、前記第1の孔部に対し、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう固定された照明用レンズと、ファイバと、該ファイバの外周を被覆する形状変形層とを具備し、前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入され、前記第1の孔部において前記挿入方向の先端側が前記先端硬質部材に対して固定されたライトガイドと、前記形状変形層の一部に設けられた、設定温度の付与に伴い前記第1の孔部において拡径するよう変形するとともに、拡径後、前記段差部に接触し、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する拡径部と、を具備している。
【0016】
さらに、他態様における内視鏡用照明ユニットは、挿入部の挿入方向先端側の先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有するとともに、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部を有する孔部と、前記第1の孔部に対し、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう固定された照明用レンズと、ファイバと、該ファイバの外周を被覆する形状変形層とを具備し、前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入され、前記第1の孔部において前記挿入方向の先端側が前記先端硬質部材に対して固定されたライトガイドと、前記形状変形層の一部に設けられた、弾性変形可能であって、前記第1の孔部において前記第2の孔部よりも大きく拡径するとともに、拡径後、前記段差部に接触し、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する拡径部と、を具備し、前記拡径部は、前記第2の孔部を通過する際は、前記第2の孔部の径以下に弾性変形されるとともに、前記第1の孔部においては、弾性復帰力により前記第2の孔部よりも大きく拡径する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接着剤が硬化する前におけるライトガイドの位置ずれを容易に防ぐことができる内視鏡用照明ユニットの製造方法、内視鏡用照明ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施の形態の内視鏡用照明ユニットが設けられた内視鏡を具備する内視鏡装置の外観を示す斜視図
【図2】図1の内視鏡用照明ユニットのライトガイドの先端側を示す図
【図3】図2のライトガイドの形状変形層に拡径部が形成された状態を示す図
【図4】図3のライトガイドの先端側が、照明用レンズとともに図1の内視鏡の挿入部の先端部に固定された状態を概略的に示す部分断面図
【図5】図4の照明ユニットの製造方法を示すフローチャート
【図6】第2実施の形態の内視鏡用照明ユニットにおけるライトガイドの先端側が、照明用レンズとともに内視鏡の挿入部の先端部に固定された状態を概略的に示す部分断面図
【図7】図6のライトガイドの先端側を示す図
【図8】電気基板の外周に被覆されたシールドケースと、撮像ケーブルの先端側の外周に被覆されたシールド部材とを、金属からなる接続部材で接続した撮像ユニットの構成を示す断面図
【図9】図8中のIX-IX線に沿う断面図
【図10】図8中のX方向からみた部分断面図
【図11】図8の接続部材を、バネ部材から構成した変形例を示す断面図
【図12】図11のバネ部材を拡大して示す図
【図13】図11のバネ部材の固着部を、バネ部材とともに拡大して示す図
【図14】図8の接続部材を、金属製の管状部材から構成した変形例を示す断面図
【図15】内視鏡の挿入部の先端側の断面を、撮像ユニット、照明ユニットの位置にて示す図
【図16】従来の内視鏡の挿入部の先端側と、本構成の内視鏡の挿入部の先端側とを比較して示す断面図
【図17】従来の撮像ユニットの先端側の径が、挿入部の中心軸を基準とした0.5Dの円からはみ出した状態を概略的に示す図16中のXVII-XVII線に沿う断面図
【図18】本構成の撮像ユニットの先端側の径が、挿入部の中心軸を基準とした0.5Dの円内に位置した状態を概略的に示す図16中のXVIII-XVIII線に沿う断面図
【図19】内視鏡内に、先端部に気体を送気する管路を設けた構成を周辺装置とともに概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態の内視鏡用照明ユニットが設けられた内視鏡を具備する内視鏡装置の外観を示す斜視図である。
【0020】
図1に示すように、内視鏡装置1は、内視鏡2と周辺装置100とにより主要部が構成されている。内視鏡2は、操作部3と、被検体内に挿入される挿入部4と、ユニバーサルコード5と、コネクタ19とから主要部が構成されている。
【0021】
周辺装置100は、架台26に配置された、光源装置21と、ビデオプロセッサ22と、接続ケーブル23と、キーボード24と、モニタ25とから主要部が構成されている。また、このような構成を有する内視鏡2と周辺装置100とは、コネクタ19により互いに接続されている。
【0022】
内視鏡2の操作部3に、湾曲操作ノブ9と、送気送水操作釦16と、吸引操作釦17と、処置具挿入口18とが設けられている。
【0023】
内視鏡2の挿入部4は、挿入方向Sの先端側から順に、先端部6と湾曲部7と可撓管部8とにより構成されており、挿入方向Sに沿って細長に形成されている。
【0024】
湾曲部7は、操作部3に設けられた湾曲操作ノブ9により湾曲操作されるものであり、挿入部4内に挿通された図示しない4本のワイヤの牽引弛緩に伴い、例えば上下左右の4方向に湾曲自在となるよう、挿入部4の先端側において、先端部6と可撓管部8との間に設けられている。尚、湾曲部7は、4本のワイヤに限らず、例えばモータ等により移動するロッド等によって湾曲自在な構成であっても構わない。
【0025】
先端部6の先端側の先端面6sに、先端部6内に設けられた図示しない撮像ユニットにおける対物レンズ11が設けられているととともに、被検体内の被検部位に向けて流体を供給する図示しないチャネルの先端開口12と、被検体内を照明する内視鏡用照明ユニット(以下、単に照明ユニットと称す)55における照明用レンズ13と、図示しない処置具挿通チャネルの先端開口14とがそれぞれ先端面6sから露出されて設けられている。
【0026】
先端開口12からは、操作部3の送気送水操作釦16の釦操作により、気体と液体とが選択的に噴出される。先端開口14からは、操作部3の吸引操作釦17の釦操作により、処置具挿通チャネルを介して、体腔内の粘液等が選択的に回収される他、処置具挿入口18から挿入された各種処置具が、被検部位に向けて突出される。
【0027】
内視鏡2のユニバーサルコード5の先端に、コネクタ19が設けられ、このコネクタ19は、周辺装置100の光源装置21に接続されている。コネクタ19には、図示しない各種口金や、各種電気接点が設けられているとともに、ビデオプロセッサ22が、接続ケーブル23を介して電気的に接続されている。
【0028】
次に、照明ユニット55の構成を、図2〜図4を用いて簡単に説明する。図2は、図1の内視鏡用照明ユニットのライトガイドの先端側を示す図、図3は、図2のライトガイドの形状変形層に拡径部が形成された状態を示す図、図4は、図3のライトガイドの先端側が、照明用レンズとともに図1の内視鏡の挿入部の先端部に固定された状態を概略的に示す部分断面図である。
【0029】
図4に示すように、照明ユニット55は、照明用レンズ13と、ライトガイド30とにより主要部が構成されている。
【0030】
照明用レンズ13は、上述したように、先端部6を構成する先端硬質部材60に対して固定されている。
【0031】
具体的には、先端硬質部材60には、挿入方向Sに沿って貫通する孔部50が形成されている。孔部50は、第1の孔部51と、該第1の孔部51よりも挿入方向Sの後方(以下、単に後方と称す)に位置する第1の孔部51よりも小径な第2の孔部52とを具備して主要部が構成されている。
【0032】
尚、孔部50には、第1の孔部51と第2の孔部52との径の違いにより段差部50dが形成されている。この第1の孔部51の先端側に、先端硬質部材60の先端面60sから照明用レンズ13が露出されるよう、照明用レンズ13が、接着剤や半田等によって固定されている。
【0033】
ライトガイド30は、図2、図3に示すように、複数のファイバ31と、ファイバ31の外周を被覆する形状変形層32と、形状変形層32の外周を被覆する外皮チューブ33とを具備して主要部が構成されている。
【0034】
尚、形状変形層32は、ファイバ31の先端側を被覆しておらず、また、外皮チューブ33は、形状変形層32の先端側を被覆していない。即ち、ファイバ31の先端側及び形状変形層32の先端側は露出されている。また、形状変形層32は、第2の孔部52と略同径に形成されているか、第2の孔部52よりも若干小さな径に形成されている。
【0035】
ライトガイド30は、コネクタ19、ユニバーサルコード5、操作部3、挿入部4内に挿通されており、ファイバ31によって、光源装置21からの光を、照明用レンズ13に供給するものである。
【0036】
ライトガイド30の先端側、具体的には、ファイバ31及び形状変形層32の先端側は、孔部50内に挿通されており、即ち、第2の孔部52を介して第1の孔部51内に挿通されており、ファイバ31の先端31sが、照明用レンズ13に突き当てられた状態で、熱硬化型接着剤40により孔部50内に接着固定されている。
【0037】
形状変形層32は、熱硬化型接着剤40の硬化温度より低く、変態温度よりも高い設定温度が付与されると、一部、具体的には、先端側の外皮チューブ33からの露出部位の一部に、図3、図4に示すように拡径部32kが形成されるよう変形する形状記憶合金、即ち、熱硬化型接着剤40の硬化温度を変態点とする形状記憶合金から構成されている。
【0038】
尚、拡径部32kは、設定温度以下の場合には、形状変形層32の他の部位と同径のストレート形状を有している。即ち、変形しない。また、形状変形層32の内、拡径部32kのみが形状記憶合金から構成されていても構わない。
【0039】
拡径部32kは、設定温度、具体的には、熱硬化型接着剤40の硬化温度より低く、変態温度よりも高い温度が付与されると第2の孔部52よりも大きく拡径するよう変形し、拡径後、段差部50dに接触することによって孔部50からのライトガイド30の抜け止めとなり、ライトガイド30の挿入方向Sの位置を固定するものである。
【0040】
次に、照明ユニット55の製造方法、具体的には、先端硬質部材60に対する照明用レンズ13、ライトガイド30の先端側の固定方法を、上述した図2〜図4とともに、図5を用いて説明する。図5は、図4の照明ユニットの製造方法を示すフローチャートである。
【0041】
図5に示すように、先ず作業者は、ステップS1においては、先端硬質部材60の孔部50における第1の孔部51に、先端硬質部材60の先端面60sに露出するよう照明用レンズ13を固定する照明用レンズ固定ステップを行う。
【0042】
次いで、ステップS2において、作業者は、ライトガイド30の先端側に、熱硬化型接着剤40を塗布する接着剤塗布ステップを行う。
【0043】
その後、ステップS3において、作業者は、ライトガイド30の先端側、具体的には、ファイバ31及び形状変形層32の先端側を、ファイバ31の先端31sが照明用レンズ13に突き当たるまで第2の孔部52を介して第1の孔部51に挿入するライトガイド挿入ステップを行う。
【0044】
最後に、作業者は、ステップS4において、熱硬化型接着剤40を硬化させるため、照明ユニット55を炉内に挿入することにより、設定温度となる熱硬化型接着剤40の硬化温度より低く、変態温度よりも高い温度を熱硬化型接着剤40に付与して熱硬化型接着剤40を硬化させる形状変形層拡径ステップを行う。
【0045】
この際、熱硬化型接着剤40のみならず形状変形層32にも設定温度が付与されるため、形状変形層32の先端側における外皮チューブ33から露出した部位の一部が、第2の孔部52よりも大きく拡径することにより拡径部32kが形成される。
【0046】
拡径部32kは、段差部50dに接触することから、孔部50に対するライトガイド30の抜け止めとして機能するため、ライトガイド30の挿入方向Sの位置が固定された状態で熱硬化型接着剤40が硬化される。
【0047】
尚、熱硬化型接着剤40の硬化後、照明ユニット55は炉外に排出されるため、照明ユニット55には設定温度以下となる温度が付与されることから、拡径部32kは、形状変形層32の他の部位と同径になるまで収縮しようとするが、熱硬化型接着剤40は硬化されているため、拡径部32kが収縮してしまうことは無い。また、仮に拡径部32kが収縮してしまったとしても、熱硬化型接着剤40は硬化されているため、ライトガイド30の位置がずれてしまうことがない。即ち、ファイバ31の先端31sは、照明用レンズ13に突き当てられたままである。
【0048】
このように、本実施の形態においては、ライトガイド30において、ファイバ31の外周に、一部に熱硬化型接着剤40の硬化温度よりも低く、変態温度よりも高い設定温度が付与されると拡径する拡径部32kを有する形状変形層32が被覆されていると示した。
【0049】
このことによれば、変態温度よりも低い温度において、孔部50内にライトガイド30の先端側を挿通する場合には、拡径部32kは非拡径状態であるため、第2の孔部52が形状変形層32の略同径に形成されていたとしても、第2の孔部52に対して形状変形層32を容易に通過させることができる。
【0050】
また、ファイバ31及び形状変形層32の先端側を孔部50において、熱硬化型接着剤40を用いて接着固定する場合には、熱硬化型接着剤40を硬化させるにあたり、拡径部32kに熱硬化型接着剤40の硬化温度より低く、変態温度よりも高い設定温度が付与されることにより、拡径部32kは第2の孔部52よりも拡径して段差部50dに接触し、抜け止めとして機能することから、熱硬化型接着剤40の硬化前に、ライトガイド30の挿入方向Sにおける位置がずれてしまうことがない。即ち、ファイバ31の先端31sと、照明用レンズ13との間に間隙が形成されてしまうことがない。
【0051】
よって、照明用レンズ13から被検体内に照射される照明光の光学特性が低下したり、間隙中の空気が照明光により熱されて、先端部6が温度上昇してしまったりすることがない。
【0052】
以上から、接着剤40が硬化前のライトガイド30の位置ずれを容易に防ぐことができる内視鏡用照明ユニット55の製造方法、内視鏡用照明ユニット55を提供することができる。
【0053】
(第2実施の形態)
図6は、本実施の形態の内視鏡用照明ユニットにおけるライトガイドの先端側が、照明用レンズとともに内視鏡の挿入部の先端部に固定された状態を概略的に示す部分断面図、図7は、図6のライトガイドの先端側を示す図である。
【0054】
この第2実施の形態の照明ユニットの構成は、上述した図1〜図4に示した第1実施の形態の照明ユニットと比して、形状変形層が弾性変形する接着剤によって構成されている点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0055】
図7に示すように、本実施の形態における照明ユニット55’におけるライトガイド30’は、ファイバ31と、ファイバ31の先端側の外周を被覆する形状変形層35と、形状変形層35の外周を、先端側を除いて被覆する外皮チューブ33とから主要部が構成されている。
【0056】
尚、形状変形層35の先端側は、外皮チューブ33から露出されており、一部に設けられた拡径部35kが第2の孔部52の径よりも大きく、第1の孔部51の径よりも小さく形成されている。
【0057】
形状変形層35は、硬化後、弾性変形可能な接着剤から構成されている。形状変形層35は、ライトガイド30’の先端側が孔部50に挿通されるにあたり、第2の孔部52を通過する際は、拡径部35kが第2の孔部52の径以下に弾性変形するとともに、第1の孔部51においては、拡径部35kが弾性復帰力により、第2の孔部52よりも大きく拡径し、図6に示すように、段差部50dに接触することによって、孔部50からライトガイド30が抜けてしまうのを防止する抜け止めとして機能することによりライトガイド30’の挿入方向Sの位置を固定する。
【0058】
次に、照明ユニット55の製造方法、具体的には、先端硬質部材60に対する照明用レンズ13、ライトガイド30’の先端側の固定方法を、上述した図6、図7とともに、図5を用いて説明する。
【0059】
図5に示すように、先ず作業者は、ステップS1においては、先端硬質部材60の孔部50における第1の孔部51に、先端硬質部材60の先端面60sに露出するよう照明用レンズ13を固定する照明用レンズ固定ステップを行う。
【0060】
次いで、ステップS2において、作業者は、弾性変形可能な形状変形層35によって第1の孔部51の入口が塞がれるため、熱硬化型接着剤40を塗布できない可能性があることから、ライトガイド30’の接着剤から構成された拡径部35kの外周に、熱硬化型接着剤40を塗布する接着剤塗布ステップを行う。
【0061】
その後、作業者は、ステップS3において、第2の孔部52において該第2の孔部52の径以下に弾性変形させてファイバ31の先端31sが照明用レンズ13に突き当たるまで第2の孔部52を介して第1の孔部51に挿入するライトガイド挿入ステップを行う。
【0062】
最後に、拡径部35kの弾性復帰力により、第1の孔部51において拡径部35kを第2の孔部52よりも大きく拡径させて、拡径部35kを段差部50dに接触させ、孔部50に対するライトガイド30’の抜けを防止し、ライトガイド30’の挿入方向Sの位置を固定する形状変形層拡径ステップを行う。
【0063】
その後、ライトガイド30’の位置が固定された状態で、照明ユニット55を、炉内に挿入することにより、熱硬化型接着剤40を硬化させる。
【0064】
このような照明ユニット55’の構成および製造方法によっても、上述した第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
ところで、撮像ユニットは、通常、撮像素子が電気的に接続された電気基板に、挿入部、操作部、ユニバーサルコード、該ユニバーサルコードの延出端に設けられたコネクタ内にそれぞれ挿通された撮像ケーブルの先端が電気的に接続されていることにより、撮像素子によって撮像された被検体の撮像信号が、電気基板、撮像ケーブルを介してビデオプロセッサ等の外部装置へと伝送される構成を有している。
【0066】
ここで、電気基板や撮像ケーブルからの放射ノイズの漏れ、即ち電磁外放射を防ぐため、電気基板が接地状態のシールドケースによって覆われるとともに、撮像ケーブルの外周の少なくとも一部も、接地状態のシールド用の金属蛇管によって覆われる構成が周知である。
【0067】
また、シールドケースと金属蛇管とを、金属からなる円筒形状を有する接続管や板バネ等を用いて接続することにより、電気基板と撮像ケーブルとの接続部からの放射ノイズの漏れを防ぐ構成も周知である。
【0068】
しかしながら、この構成では、シールドケースと金属蛇管とを、接続管や板バネといった複数の部材を介して電気的に接続しているため、電気的な接続力が弱いばかりか、板バネが設けられている部分からの放射ノイズの漏れを防ぐことができず、シールドケースと、金属蛇管との間に位置する撮像ケーブルのシールディング効果が弱いといった問題があった。即ち、撮像ケーブルのEMC(Electromagnetic Compatibility)対策が不十分であるといった問題があった。
【0069】
よって、以下、このような問題を解決できる構成を、図8〜図10を用いて示す。図8は、電気基板の外周に被覆されたシールドケースと、撮像ケーブルの先端側の外周に被覆されたシールド部材とを、金属からなる接続部材で接続した撮像ユニットの構成を示す断面図、図9は、図8中のIX-IX線に沿う断面図、図10は、図8中のX方向からみた部分断面図である。
【0070】
図8に示すように、ビデオコネクタ70において、電気基板72は、例えば2枚の金属からなる接地されたシールドケース71によって挟まれた状態で、シールドケース71内に収納されており、電気基板72に設けられた接点72sには、シールドケース71に設けられた開口を介してシールドケース71内に進入された電気ケーブルである撮像ケーブル69の先端が電気的に接続されている。
【0071】
尚、撮像ケーブル69の外周には、接地された金属製の蛇管67が被覆されており、蛇管67の外周には、外皮樹脂66が被覆されている。また、蛇管67の先端には、金属からなるシールド部材68が電気的に接続されており、該シールド部材68も、撮像ケーブル69の先端側の外周を被覆している。さらに、シールド部材68は、シールドケース71よりも挿入方向Sの後方に位置している。
【0072】
また、挿入方向Sにおいて、シールドケース71とシールド部材68との間には、金属からなる接続部材80が設けられている。
【0073】
接続部材80は、図8に示すように、部材81、82からなる2つの部材から構成されており、各部材81、82は、撮像ケーブル69の外周を被覆している。
【0074】
また、各部材81、82の先端は、シールドケース71に対して面当接するよう、折り曲げられて形成された固着部81a、82aを構成しており、各固着部81a、82aは、図8〜図10に示すように、ねじ73により、シールドケース71とともに、シールドケース71内の金属部材に固定されている。このことにより、各部材81、82は、シールドケース71に電気的に接続されている。
【0075】
また、各部材81、82の基端には、図8、図9に示すように、それぞれ弾性変形可能な変形部81b、82bが形成されており、各変形部81b、82bは、シールド部材68に弾性変形しながら接触することにより、シールド部材68に電気的に接続されている。
【0076】
尚、変形部81b、82bが弾性変形可能なことにより、部品公差や、配置位置のずれにより、シールドケース71とシールド部材68との挿入方向Sにおける間隔に寸法誤差が生じたとしても、該誤差を変形部81b、82bが吸収することができるため、確実に、シールド部材68に各部材81、82を電気的に接続することができる。
【0077】
このような構成によれば、シールド部材68とシールドケース71とを、接続部材80のみで電気的に確実に接続することができるため、即ち、1つの部材で電気的に接続することができるため、電気接続性が良く、EMC対策を十分図ることができる。
【0078】
また、シールド部材68とシールドケース71との間に位置する撮像ケーブル69の外周を、接続部材80を用いて覆うことができるため、シールド部材68とシールドケース71との間に位置する撮像ケーブル69のEMC対策を十分図ることができる。
【0079】
尚、以下、変形例を、図11〜図13を用いて示す。図11は、図8の接続部材を、バネ部材から構成した変形例を示す断面図、図12は、図11のバネ部材を拡大して示す図、図13は、図11のバネ部材の固着部を、バネ部材とともに拡大して示す図である。
【0080】
図11に示すように、シールド部材68とシールドケース71とを電気的に接続する接続部材80は、図12に示すような複数の変形部85hを有するバネ部材85から構成されていても構わない。
【0081】
尚、このような構成においては、バネ部材85は、図13に示すように、先端に設けられたシールドケース71に面当接するよう折り曲げられた固着部85aが、ねじ73により、シールドケース71とともに、シールドケース71内の金属部材に固定されていることにより、シールドケース71に電気的に接続されている。
【0082】
また、バネ部材85の基端は、付勢力を有して、シールド部材68に当接している。尚、バネ部材85に形成された複数の変形部85hにより、部品公差や、配置位置のずれにより、シールドケース71とシールド部材68との挿入方向Sにおける間隔に寸法誤差が生じたとしても、該誤差を、変形部85hが吸収することができるため、確実に、シールド部材68にバネ部材85を電気的に接続することができる。
【0083】
このような構成によっても、図8〜図10に示したビデオコネクタ70の構成と同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、以下、別の変形例を、図14を用いて示す。図14は、図8の接続部材を、金属製の管状部材から構成した変形例を示す断面図である。
【0085】
図14に示すように、接続部材80は、金属製の管状部材88から構成されていても構わない。
【0086】
尚、このような構成においては、管状部材88は、先端に設けられたシールドケース71に面当接するよう折り曲げられた固着部88aが、ねじ73により、シールドケース71とともに、シールドケース71内の金属部材に固定されていることにより、シールドケース71に電気的に接続されている。
【0087】
また、管状部材88の基端は、ワッシャ90を介して、シールド部材68に電気的に接続されている。尚、ワッシャ90の代わりに、板座金や、一条バネを用いても良い。ワッシャ90により、部品公差や、配置位置のずれにより、シールドケース71とシールド部材68との挿入方向Sにおける間隔に寸法誤差が生じたとしても、該誤差を、ワッシャ90自体が吸収することができるため、確実に、シールド部材68に管状部材88を電気的に接続することができる。
【0088】
このような構成によっても、図8〜図10に示したビデオコネクタ70の構成と同様の効果を得ることができる。
【0089】
ところで、通常、内視鏡の挿入部の先端部を構成する先端硬質部材に対して、撮像ユニットを構成する対物レンズユニットが嵌入されて固着されている。尚、対物レンズユニットは、患者のグランドから絶縁されている。また、照明レンズは、先端硬質部材に対して、半田接合等によって固着されている。
【0090】
ここで、撮像ユニットに2個の撮像素子を搭載し、高精細な画像を提供できる内視鏡も周知であるが、撮像素子が2個搭載される為、撮像ユニットの挿入方向における長さや外径が大きくなってしまい、それにより内視鏡の先端部の長さや外径が大きくなって内視鏡の操作性、挿入性が悪くなってしまうといった問題があった。
【0091】
よって、撮像ユニットの挿入方向の長さや外径を小さくするには、撮像ユニットにおける患者グランドと対物レンズユニットとを絶縁している絶縁部材を無くすことが効果的である。尚、絶縁部材を無くした場合は、内視鏡の先端硬質部材を絶縁部材で構成する等して先端部において内視鏡の外装部と患者グランドとを絶縁する必要がある。
【0092】
また、通常、絶縁部材からなる先端硬質部材と撮像ユニットとの嵌合面は、接着剤により水密性を確保しているが、既知のオートクレーブなどの滅菌処理を行うと、滅菌行程時における温度変化により、絶縁部材からなる先端硬質部材と、金属部材からなる撮像ユニットとの熱膨張率の違いによって、接着剤が剥離して水密性を確保することが難しくなってしまう可能性があり、その都度、修理の必要性が生じてしまうといった問題があった。
【0093】
尚、照明レンズと先端硬質部材との固着強度を増強する手段としては、半田接合が有効であるが、先端硬質部材が絶縁部材から構成されていると半田接合するのが困難であるという問題があった。
【0094】
以下、上記問題点を解決する構成を、図15を用いて示す。図15は、内視鏡の挿入部の先端側の断面を、撮像ユニット、照明ユニットの位置にて示す図である。
【0095】
図15に示すように、本構成においては、挿入部の先端部を構成する先端硬質部材160は、絶縁部材から構成されており、先端硬質部材160において、挿入方向Sに沿って複数形成された貫通孔に、撮像ユニット150の先端側や、照明ユニット130の先端側がそれぞれ嵌入されている。
【0096】
具体的には、撮像ユニット150の先端側は、先端硬質部材160の貫通孔である撮像ユニット嵌入孔に、金属部材からなる撮像ユニット枠150wを介して嵌入されて固定されており、先端硬質部材160と撮像ユニット枠150wとの間は、弾性部材111によって水密性が保持されている。
【0097】
また、照明ユニット130の先端側は、ライトガイド131の先端が、照明用レンズ13に突き当てられた状態において、金属部材からなる照明レンズ枠13wに嵌合固定されることによって構成されており、照明レンズ枠13wが、先端硬質部材160の貫通孔である照明ユニット嵌入孔に嵌入されて固定されている。尚、照明用レンズ13は、照明レンズ枠13wに半田接合されている。さらに、先端硬質部材160と照明レンズ枠13wとの間は、弾性部材110によって、水密性が保持されている。
【0098】
尚、弾性部材110、111としては、Oリング、ゴムパッキン、シリコーン系封止材、フッ素系封止材等が挙げられる。
【0099】
このような図15に示す構成によれば、患者グラウンドが先端部外装に露出しないため、電気安全性を確保することができるとともに、オートクレーブ滅菌処理の際、例えば高温により、照明ユニット130及び撮像ユニット150と、先端硬質部材160との間の接着剤や半田が外れてしまったとしても、弾性部材110、111により、水密性を確実に確保することができる。
【0100】
ところで、内視鏡の画像を向上させるため、高画素の撮像素子を使用すると、信号の高速転送等の理由により撮像素子及び該撮像素子が搭載される電気基板からの発熱が従来に比べ飛躍的に大きくなる。
【0101】
また、電気基板に搭載される半導体素子の数やサイズが大きくなることから、内視鏡の挿入部が湾曲部を有している場合には、湾曲部より先端側に位置する先端部の長さが長くなる傾向にあり、内視鏡の先端部が熱されてしまったり、湾曲部の操作性が低下してしまったりする恐れがあった。
【0102】
以下、図16〜図18を用いて、撮像素子を高画素化しても熱的安全性や湾曲部の操作性を向上させることのできる内視鏡の構成を説明する。
【0103】
図16は、従来の内視鏡の挿入部の先端側と、本構成の内視鏡の挿入部の先端側とを比較して示す断面図、図17は、従来の撮像ユニットの先端側の径が、挿入部の中心軸を基準とした0.5Dの円からはみ出した状態を概略的に示す図16中のXVII-XVII線に沿う断面図、図18は、本構成の撮像ユニットの先端側の径が、挿入部の中心軸を基準とした0.5Dの円内に位置した状態を概略的に示す図16中のXVIII-XVIII線に沿う断面図である。
【0104】
図16に示すように、従来の撮像ユニット250の先端側の最大外径は、先端部206の最大外径Dの0.6の大きさ(0.6D)に形成されており、図17に示すように、先端部206の中心軸Cを中心とした半径0.25D、直径0.5Dの2点鎖線で示す円209の領域から、挿入方向Sの前方から平面視した状態において、撮像ユニット250の先端側は径方向にはみ出して配置されていた。
【0105】
これに対して、本構成においては、撮像ユニット250’の先端側の最大外径を、先端部206’の最大外径Dの0.4以下の大きさとし、図18に示すように、先端部206’の中心軸Cを中心とした半径0.25D、直径0.5Dの2点鎖線で示す円209内の領域に、撮像ユニット250’の先端側が位置するよう配置されている。
【0106】
このような構成によれば、図16〜図18に示すように、従来の撮像ユニット250よりも、本構成の撮像ユニット250’は、中心軸C寄りに位置しているため、挿入部の湾曲部の湾曲の際、撮像ユニット250’は、先端部206’の外装に沿って緩やかに曲がることから、撮像ユニット250’の最小曲率半径を、従来の撮像ユニット250の最小曲率半径よりも大きくすることができる。
【0107】
よって、撮像ユニット250’を構成する撮像ケーブルへの湾曲の際のストレスを小さくすることができるため、湾曲部と先端部206’との接続部を先端側に移動しても、撮像ケーブルへの湾曲の際のストレスを小さくすることができる。このことから、湾曲部と先端部206’との接続部を先端側に移動することができるため、先端部206’の挿入方向Sの長さを従来よりも短くすることができる(S2<S1)。
【0108】
また、撮像ユニット250’が、中心軸C寄りに位置しているため、先端硬質部材260’全体で、撮像ユニット250’を囲んで撮像ユニット250’からの熱を伝達、分散させることができる。
【0109】
また、先端部206’内における先端硬質部材260’の体積を従来よりも大きくすることができるため、撮像ユニット250’からの熱を伝達、分散平均化して、先端部206’内の温度上昇を抑制することができる。
【0110】
ところで、内視鏡の高画質化、高機能化が進むにつれて内視鏡挿入部の先端部内のCCD等の機能部品が収納されている部分の発熱量が増え、従来の放熱技術(放熱線、ヒートシンク等)では先端部の温度上昇を防ぐことが難しいといった問題があった。
【0111】
よって、以下、内視鏡の挿入部の先端部の温度上昇を防ぐ構成を、図19を用いて示す。図19は、内視鏡内に、先端部に気体を送気する管路を設けた構成を周辺装置とともに概略的に示す図である。
【0112】
図19に示すように、内視鏡2は、先端部6、湾曲部7、可撓管部8を有する挿入部4と、操作部3と、ユニバーサルコード5と、コネクタ19とを具備して主要部が構成されている。
【0113】
コネクタ19は、光源装置21、外部送気源27と接続自在であるとともに、ビデオコネクタ19bを介してビデオプロセッサ22と接続自在である。尚、外部送気源27としては、内視鏡2の内部の気密を確認する用に用いられるエアポンプ等が挙げられる。
【0114】
また、内視鏡2の内部には、コネクタ19から、ユニバーサルコード5、操作部3、挿入部4の先端部6まで、送気用管路200が挿通されている。尚、送気用管路200は、先端が、先端部6内の機能部品に対して開口している。
【0115】
また、送気用管路200は、PTFE、PFA等のフッ素系樹脂チューブによって構成されている。送気用管路200は、外部送気源27から送気された気体を、先端部6内に供給するものである。
【0116】
また、コネクタ19には、先端部6内への気体の供給により、内視鏡2の内部の圧力が高まると自動的に開放して圧力が一定以上にならないようにし、湾曲部7の湾曲ゴムの破裂や可撓管部8の蛇管の破損を防止するリリーフ弁210が設けられている。
【0117】
このような構成によれば、先端部6内の機能部品が発熱したとしても、送気用管路200を介して、機能部品に、外部送気源27からの送気を十分供給することができることから、機能部品を強制的に適切に冷却することができる。
【0118】
よって、内視鏡2の高画質化、高機能化が進むにつれて先端部6の機能部品が収納されている部分の発熱量が増えても先端部6の温度規格を満足できるようになり、高画質、高機能で安全な内視鏡を提供することができる。
【0119】
さらには、先端部6内の機能部品を強制的に冷却することができるため、内視鏡2の外装温度を低下させることができる。
【0120】
[付記]
尚、以上、図8〜図14に示した構成によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、
(1)電気基板に外装されるシールドケースと、
前記電気基板から延設される電気ケーブルと、
前記電気ケーブルの少なくとも一部に外装されるシールド部材と、
前記シールドケースと前記シールド部材とを電気的に接続する接続部材と、
を有し、
前記接続部材には、シールドケースに固着される固着部と、長手方向に弾性変形可能な変形部とが設けられており、前記接続部材は、前記電気ケーブルを覆うようにして設けられていることを特徴とする内視鏡。
【0121】
また、以上、図15に示した構成によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、
(2)内視鏡先端部に設けられる先端硬質部材は、絶縁部材から構成されており、
撮像ユニットの先端側は、前記先端硬質部材に設けられた撮像ユニット嵌入孔に、金属部材からなる撮像ユニット枠を介して嵌入されており、
前記先端硬質部材と前記撮像ユニット枠との間に設けられた弾性部材によって水密性が確保された内視鏡。
【0122】
(3)前記弾性部材は、Oリング、ゴムパッキン、シリコーン系封止材、フッ素系封止材のいずれかから構成されていることを特徴とする付記2に記載の内視鏡。
【0123】
(4)内視鏡先端部に設けられる先端硬質部材は、絶縁部材から構成されており、
照明光を出射する照明レンズが半田接合され、ライトガイドが前記照明レンズに突き当てられた状態で嵌入固定された、金属部材からなる照明レンズ枠を有し、
前記照明レンズ及び前記ライトガイドの先端が固定された前記照明レンズ枠を有する照明ユニットが、前記先端硬質部材に設けられた照明ユニット嵌入孔に嵌入されていることを特徴とする内視鏡。
【0124】
(5)前記先端硬質部材と、前記照明レンズ枠との間に設けられる弾性部材によって、水密性が確保されていることを特徴とする付記4に記載の内視鏡。
【0125】
(6)前記弾性部材は、Oリング、ゴムパッキン、シリコーン系封止材、フッ素系封止材のいずれかから構成されていることを特徴とする付記5に記載の内視鏡。
【0126】
また、以上、図16〜図18に示した構成によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、
(7)内視鏡挿入部の先端側に先端部及び湾曲部を有し、先端部内に先端硬質部材を設け、該先端硬質部材内に撮像ユニットを固定した内視鏡において、
先端部の最大外径Dに対して、撮像ユニットの先端側の最大外径を0.4D以下とし、撮像ユニットの先端側が、前記先端部の中心軸からの半径方向に0.25D以内の範囲に入るように配置され、
前記先端硬質部材は、前記撮像ユニットの少なくとも一部を保持するとともに、先端部内に位置する撮像ユニットの外周を覆うことを特徴とする内視鏡。
【符号の説明】
【0127】
4…挿入部
6…先端部
13…照明用レンズ
30…ライトガイド
30’…ライトガイド
31…ファイバ
32…形状変形層
32k…拡径部
35…形状変形層
35k…拡径部
40…熱硬化型接着剤
50…孔部
50d…段差部
51…第1の孔部
52…第2の孔部
55…内視鏡用照明ユニット
55’…内視鏡用照明ユニット
60…先端硬質部材
60s…先端硬質部材の先端面
S…挿入方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の挿入方向先端側の先端部に設けられた照明用レンズに、前記挿入部内に挿通されたライトガイドの挿入方向の先端を突き当てた状態で、前記ライトガイドの前記挿入方向の先端側を前記先端部に固定する内視鏡用照明ユニットの製造方法であって、
前記先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有する前記ライトガイドが挿通自在な孔部において、前記第1の孔部に、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう前記照明用レンズを固定する照明用レンズ固定ステップと、
ファイバと、該ファイバの外周を被覆する熱の付与に伴い一部が拡径するよう変形する形状変形層とを具備する前記ライトガイドの前記先端側を、前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入するライトガイド挿入ステップと、
前記形状変形層に設定温度を付与して、前記第1の孔部内において前記形状変形層の一部を前記第2の孔部よりも大きく拡径させて拡径部を形成し、該拡径部を、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部に接触させ、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する形状変形層拡径ステップと、
を具備することを特徴とする内視鏡用照明ユニットの製造方法。
【請求項2】
前記ライトガイド挿入ステップに先立って、前記ライトガイドの前記先端側に熱硬化型接着剤を塗布する接着剤塗布ステップをさらに具備していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用照明ユニットの製造方法。
【請求項3】
前記形状変形層は、前記熱硬化型接着剤の硬化温度より低く、変態温度よりも高い前記設定温度が付与されると一部に拡径部が形成される形状記憶合金から構成されており、
前記形状変形層拡径ステップにおいて、前記設定温度を前記熱硬化型接着剤に付与して前記熱硬化型接着剤を硬化させる際、前記形状記憶合金の一部に前記拡径部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用照明ユニットの製造方法。
【請求項4】
挿入部の挿入方向先端側の先端部に設けられた照明用レンズに、前記挿入部内に挿通されたライトガイドの挿入方向の先端を突き当てた状態で、前記ライトガイドの前記挿入方向の先端側を前記先端部に固定する内視鏡用照明ユニットの製造方法であって、
前記先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とから構成された前記ライトガイドが挿通自在な孔部において、前記第1の孔部に、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう前記照明用レンズを固定する照明用レンズ固定ステップと、
ファイバと、該ファイバの外周を被覆する一部に弾性変形可能な前記第2の孔部よりも大きく拡径している拡径部を有する形状変形層とを具備する前記ライトガイドの前記先端側を、前記拡径部を前記第2の孔部において該第2の孔部の径以下に弾性変形させて前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入するライトガイド挿入ステップと、
前記拡径部の弾性復帰力により、前記第1の孔部において前記拡径部を前記第2の孔部よりも大きく拡径させて、前記拡径部を、第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部に接触させ、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する形状変形層拡径ステップと、
を具備することを特徴とする内視鏡用照明ユニットの製造方法。
【請求項5】
前記形状変形層は、弾性変形する接着剤より構成されており、
前記ライトガイド挿入ステップでは、前記第2の孔部において、前記接着剤を弾性変形させるとともに、前記形状変形層拡径ステップでは、前記第1の孔部において前記接着剤を弾性復帰力により前記第2の孔部よりも大きく拡径させることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡用照明ユニットの製造方法。
【請求項6】
挿入部の挿入方向先端側の先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有するとともに、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部を有する孔部と、
前記第1の孔部に対し、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう固定された照明用レンズと、
ファイバと、該ファイバの外周を被覆する形状変形層とを具備し、前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入され、前記第1の孔部において前記挿入方向の先端側が前記先端硬質部材に対して固定されたライトガイドと、
前記形状変形層の一部に設けられた、設定温度の付与に伴い前記第1の孔部において拡径するよう変形するとともに、拡径後、前記段差部に接触し、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する拡径部と、
を具備していることを特徴とする内視鏡用照明ユニット。
【請求項7】
挿入部の挿入方向先端側の先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有するとともに、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部を有する孔部と、
前記第1の孔部に対し、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう固定された照明用レンズと、
ファイバと、該ファイバの外周を被覆する形状変形層とを具備し、前記ファイバの前記挿入方向の先端側が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入され、前記第1の孔部において前記挿入方向の先端側が前記先端硬質部材に対して固定されたライトガイドと、
前記形状変形層の一部に設けられた、弾性変形可能であって、前記第1の孔部において前記第2の孔部よりも大きく拡径するとともに、拡径後、前記段差部に接触し、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する拡径部と、
を具備し、
前記拡径部は、前記第2の孔部を通過する際は、前記第2の孔部の径以下に弾性変形されるとともに、前記第1の孔部においては、弾性復帰力により前記第2の孔部よりも大きく拡径することを特徴とする内視鏡用照明ユニット。
【請求項1】
挿入部の挿入方向先端側の先端部に設けられた照明用レンズに、前記挿入部内に挿通されたライトガイドの挿入方向の先端を突き当てた状態で、前記ライトガイドの前記挿入方向の先端側を前記先端部に固定する内視鏡用照明ユニットの製造方法であって、
前記先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有する前記ライトガイドが挿通自在な孔部において、前記第1の孔部に、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう前記照明用レンズを固定する照明用レンズ固定ステップと、
ファイバと、該ファイバの外周を被覆する熱の付与に伴い一部が拡径するよう変形する形状変形層とを具備する前記ライトガイドの前記先端側を、前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入するライトガイド挿入ステップと、
前記形状変形層に設定温度を付与して、前記第1の孔部内において前記形状変形層の一部を前記第2の孔部よりも大きく拡径させて拡径部を形成し、該拡径部を、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部に接触させ、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する形状変形層拡径ステップと、
を具備することを特徴とする内視鏡用照明ユニットの製造方法。
【請求項2】
前記ライトガイド挿入ステップに先立って、前記ライトガイドの前記先端側に熱硬化型接着剤を塗布する接着剤塗布ステップをさらに具備していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用照明ユニットの製造方法。
【請求項3】
前記形状変形層は、前記熱硬化型接着剤の硬化温度より低く、変態温度よりも高い前記設定温度が付与されると一部に拡径部が形成される形状記憶合金から構成されており、
前記形状変形層拡径ステップにおいて、前記設定温度を前記熱硬化型接着剤に付与して前記熱硬化型接着剤を硬化させる際、前記形状記憶合金の一部に前記拡径部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用照明ユニットの製造方法。
【請求項4】
挿入部の挿入方向先端側の先端部に設けられた照明用レンズに、前記挿入部内に挿通されたライトガイドの挿入方向の先端を突き当てた状態で、前記ライトガイドの前記挿入方向の先端側を前記先端部に固定する内視鏡用照明ユニットの製造方法であって、
前記先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とから構成された前記ライトガイドが挿通自在な孔部において、前記第1の孔部に、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう前記照明用レンズを固定する照明用レンズ固定ステップと、
ファイバと、該ファイバの外周を被覆する一部に弾性変形可能な前記第2の孔部よりも大きく拡径している拡径部を有する形状変形層とを具備する前記ライトガイドの前記先端側を、前記拡径部を前記第2の孔部において該第2の孔部の径以下に弾性変形させて前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入するライトガイド挿入ステップと、
前記拡径部の弾性復帰力により、前記第1の孔部において前記拡径部を前記第2の孔部よりも大きく拡径させて、前記拡径部を、第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部に接触させ、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する形状変形層拡径ステップと、
を具備することを特徴とする内視鏡用照明ユニットの製造方法。
【請求項5】
前記形状変形層は、弾性変形する接着剤より構成されており、
前記ライトガイド挿入ステップでは、前記第2の孔部において、前記接着剤を弾性変形させるとともに、前記形状変形層拡径ステップでは、前記第1の孔部において前記接着剤を弾性復帰力により前記第2の孔部よりも大きく拡径させることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡用照明ユニットの製造方法。
【請求項6】
挿入部の挿入方向先端側の先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有するとともに、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部を有する孔部と、
前記第1の孔部に対し、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう固定された照明用レンズと、
ファイバと、該ファイバの外周を被覆する形状変形層とを具備し、前記ファイバの前記挿入方向の先端が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入され、前記第1の孔部において前記挿入方向の先端側が前記先端硬質部材に対して固定されたライトガイドと、
前記形状変形層の一部に設けられた、設定温度の付与に伴い前記第1の孔部において拡径するよう変形するとともに、拡径後、前記段差部に接触し、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する拡径部と、
を具備していることを特徴とする内視鏡用照明ユニット。
【請求項7】
挿入部の挿入方向先端側の先端部を構成する先端硬質部材に対して前記挿入方向に沿って貫通するよう形成された第1の孔部と該第1の孔部よりも前記挿入方向後方に位置する前記第1の孔部よりも小径な第2の孔部とを有するとともに、前記第1の孔部と前記第2の孔部との径の違いによって前記孔部に形成された段差部を有する孔部と、
前記第1の孔部に対し、前記先端硬質部材の先端面に露出するよう固定された照明用レンズと、
ファイバと、該ファイバの外周を被覆する形状変形層とを具備し、前記ファイバの前記挿入方向の先端側が前記照明用レンズに突き当たるまで前記第2の孔部を介して前記第1の孔部に挿入され、前記第1の孔部において前記挿入方向の先端側が前記先端硬質部材に対して固定されたライトガイドと、
前記形状変形層の一部に設けられた、弾性変形可能であって、前記第1の孔部において前記第2の孔部よりも大きく拡径するとともに、拡径後、前記段差部に接触し、前記ライトガイドの前記挿入方向の位置を固定する拡径部と、
を具備し、
前記拡径部は、前記第2の孔部を通過する際は、前記第2の孔部の径以下に弾性変形されるとともに、前記第1の孔部においては、弾性復帰力により前記第2の孔部よりも大きく拡径することを特徴とする内視鏡用照明ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−17747(P2013−17747A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155119(P2011−155119)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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