説明

内視鏡用補助器具

【課題】部品を共通化しつつ容易に複合した機能を持たせることが可能で、製造コストや管理の手間を抑えた内視鏡用補助器具を提供する。
【解決手段】先端処置部の操作ワイヤが挿通されるガイドチューブを挿入部から保持部に亘って配設し、保持部には、ガイドチューブに連通する保持部貫通孔と、保持部外面に露出する外部着脱部とを有するチューブ固定環を設け、このチューブ固定環の外部着脱部に一端部が着脱可能で他端部に連結口金を備え、チューブ固定環への取付状態で保持部貫通孔に連通する操作ワイヤ挿通孔が形成された操作部接続アダプタを設け、先端処置部を使用するときに、操作部接続アダプタの連結口金に先端処置部の操作部材を接続させ、ガイドチューブを経由してチューブ固定環の保持部貫通孔と操作部接続アダプタのワイヤ挿通孔を通して突出された操作ワイヤの端部を、操作部材の可動操作部に接続させることを特徴とした内視鏡用補助器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに対して挿通して使用される内視鏡用補助器具に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡用の処置具は、可撓性を有する挿入部の先端に、把持鉗子や高周波スネアといった各種の処置を行う先端処置部が設けられており、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入部を挿通させ、この処置具挿通チャンネルから先端処置部を突出させて使用される。挿入部の基端部には把持するための保持部が備えられ、さらに先端処置部を操作するための操作部を備えている。
【0003】
このような処置具は内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通して用いられるが、内視鏡本体の処置具挿通チャンネルだけではチャンネル数が不足する場合に、内視鏡本体の外周部に付加的に取り付けられて処置具挿通チャンネルを臨時に増やすことができる付加用処置具案内具として、特許文献1のようなものが知られている。特許文献1の処置具案内具は、可撓管部の一部を構成する湾曲部を湾曲させることが可能な機能を備えており、この案内具を用いる場合には、これに挿入される個々の処置具の湾曲機構を書略できる。言い換えれば、処置具の一部の機能を共用の案内具に持たせることで、個々の処置具の構成の簡略化を図ることができる。また、案内具の案内路に流体流通用のチューブを挿入すれば、内視鏡本体の各チャンネルとは別経路で、吸引、送水、送気などを行わせることができる。
【特許文献1】特開2004−8367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、特許文献1のような別設の案内具を介しての処置具の一部機能の共用化や、処置具とそれ以外の器具(例えば流体流通用の流路)の機能の複合化という概念はあったが、それに挿入される個々の処置具においては、先端処置部の種類ごとに、挿入部から操作部に至るまでの全体がひとつのシステムとして完結した単機能のものが別々に準備されていた。例えば、先端処置部が把持鉗子である処置具と、先端処置部が高周波焼灼用のスネアである処置具は、必要な操作ストロークが異なるなどの要因から、それぞれ独立した処置具として準備されていた。また、特許文献1のような付加的な案内具は使用されない場合もあるから、基本的には、案内具に依存せず処置具自体に必要な機能が全て搭載されていることが好ましい。また、スネアなどの高周波処置具を用いる場合は、電気を流すワイヤ部分は、PTFEなどの絶縁チューブ内に挿入するような構造になっており、挿入部は鉗子等に比べて外径が大きくなる傾向にある。このような処置具を挿入するための処置具挿通チャンネルを内部に設けた案内具は、前記処置具よりもさらに外径が大きくなり、処置具自体が湾曲するものに比べて外径がはるかに大きくなってしまう。そのうえ、案内具は内視鏡本体の外側に設けられるものであり、その外径サイズの増大が内視鏡の挿入作業性や患者の負担増に影響するため、できるだけ案内具の径を抑えたいという要求があり、案内具に挿通される処置具や流体流通用のチューブは、その大きさ(径)が制約されやすかった。
【0005】
以上のように、複数の処置具間での機構の共通化や、処置具の機能強化を、別設の案内具に依存することなく達成したいという要望があった。そこで本発明は、異なるタイプの先端処置部を使用可能でありつつ部品の共通化が可能で、製造コストや管理の手間を抑えた内視鏡用補助器具を提供することを目的とする。また本発明は、先端処置部の操作以外にも流体流通などの複合的な用途を持たせることが容易な内視鏡用補助器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、可撓性を有する挿入部と、該挿入部の基端部が接続する保持部を有し、挿入部から保持部に亘って、挿入部先端に設けられる先端処置部の操作ワイヤが挿通されるガイドチューブが配設される内視鏡用補助器具において、保持部に、ガイドチューブに連通する保持部貫通孔と、保持部外面に露出する外部着脱部とを有するチューブ固定環を設け、このチューブ固定環の外部着脱部に一端部が着脱可能で他端部に連結口金を備え、この両端部間を貫通しチューブ固定環への取付状態で保持部貫通孔に連通する操作ワイヤ挿通孔が形成された操作部接続アダプタを設け、先端処置部を使用するときには、操作部接続アダプタの連結口金に先端処置部の操作部材を接続させ、ガイドチューブを経由してチューブ固定環の保持部貫通孔と操作部接続アダプタのワイヤ挿通孔を通して突出された上記操作ワイヤの端部が、操作部材の可動操作部に接続されることを特徴としている。
【0007】
この本発明の内視鏡用補助器具では、操作ストロークなどが異なる複数種の操作部材に応じた、複数種の操作部接続アダプタを備えることが望ましい。
【0008】
操作部接続アダプタの一態様として、チューブ固定環の外部着脱部に形成した着脱孔への挿入部を一端部に有する硬性接続管を備え、この硬性接続管の他端部に連結口金を固定した構成とすることができる。
【0009】
また、操作部接続アダプタの異なる態様として、チューブ固定環の外部着脱部に形成した着脱孔への挿入部を有する第1の接続端部と、連結口金が接続された第2の接続端部と、この第1と第2の接続端部を接続し可撓性を有する軟性接続管との組み合わせによって構成してもよい。軟性接続管は、例えば鋼線を螺旋状に巻回した密巻きコイル部によって構成することができる。操作時の座屈などを防ぐため、操作ワイヤの後端(操作部材との接続部近傍)側には硬性部材を接続することが好ましい。但し、操作部接続アダプタが軟性接続管を備えている場合には、この軟性接続管の可撓性を損なわないようにするため、操作部接続アダプタのワイヤ挿通孔に対する硬性部材の可動域を、この軟性接続管内には進入しない範囲内に制限することが好ましい。
【0010】
チューブ固定環の外部着脱部は、着脱孔を囲む筒状部の外周面に外面ネジを有し、この外面ネジに螺合する取付ナットによって、着脱孔から操作部接続アダプタの挿入部を抜け止めするように構成するとよい。この取付ナットの外面と、操作部接続アダプタを構成する硬性または軟性の接続管の外面とは、絶縁部材で被覆されていることが好ましい。
【0011】
また、チューブ固定環の着脱孔の少なくとも一部に非円形断面孔部を形成し、操作部接続アダプタの挿入部には、該非円形断面孔部に対して相対回転が規制されて嵌合する非円形断面筒部を形成することが好ましい。
【0012】
本発明の内視鏡用補助器具では、チューブ固定環の外部着脱部に取り付ける外付け部材を、先端処置部を操作するための操作部材から換装することが可能である。例えば、チューブ固定環の外部着脱部への着脱部を一端部に備え、他端部に外部の流体制御装置から延出された流体流通チューブを接続可能で、この両端部間を貫通しチューブ固定環への取付状態で該チューブ固定環の保持部貫通孔に連通する流体流通孔が形成された流路接続アダプタを設け、この流路接続アダプタを前出の操作部接続アダプタに代えて取り付けることによって、内視鏡用補助器具内のガイドチューブを流体流通用の管路として用いることが可能になる。
【0013】
また、本発明の内視鏡用補助器具は、可撓性を有する挿入部と、該挿入部の基端部が接続する保持部を有し、挿入部から保持部に亘って配設されたチューブを有する内視鏡用補助器具において、保持部に、チューブに連通する保持部貫通孔と、保持部外面に露出する外部着脱部とを有するチューブ固定環を設け、このチューブ固定環の外部着脱部に対する着脱部を一端部に備え、他端部に外部の流体制御装置から延出された流体流通チューブを接続可能で、この両端部間を貫通しチューブ固定環への取付状態で該チューブ固定環の保持部貫通孔に連通する流体流通孔が形成された流路接続アダプタを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明によれば、ガイドチューブを内蔵した挿入部と保持部を共用可能な部位として、先端処置部とその操作部材を任意に換装することができるので、製造コストやランニングコストを低く抑えつつ、管理が容易で高い機能性を有した内視鏡用補助器具が得られる。また、補助器具内部のガイドチューブを、スネアなどの高周波処置具を使用する場合の絶縁チューブとして使用できる。さらに、補助器具内部のチューブを、先端処置部の操作ワイヤのガイド手段に代えて、流体流通路としても使用できるようにしているので、より一層機能性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明を適用した内視鏡用補助器具10の全体構造を示している。内視鏡用補助器具10は、内視鏡の処置具挿通チャンネル、もしくは内視鏡に対して付加的に取り付けられる案内具の処置具挿通チャンネルに対して挿入可能な挿入部11を有し、この挿入部11の基部が筒状の保持部12に接続している。挿入部11は、先端処置部13、湾曲部14及び可撓管部15からなっており、保持部12における挿入部11と反対側の後端部には、先端処置部13を操作するための処置部操作ハンドル(先端処置部の操作部材)16が設けられている。また、保持部12における中間部には、挿入部11と処置部操作ハンドル16を結ぶ保持部12の軸線方向に対して略直交する方向に向けて湾曲操作グリップ17が突設されている。以降の説明において、挿入部11における軸線方向とは、その長手方向を意味し、図1のように挿入部11を直線状に伸ばした場合には、挿入部11の軸線と保持部12の軸線がほぼ一致する。
【0016】
図2及び図3は、先端処置部13付近を拡大して一部を断面として示した図である。湾曲部14は、網状管20の外側を絶縁体からなる被覆チューブ21で覆った構造をなし、その先端部に先端硬性部材が設けられている。先端硬性部材は、合成樹脂製のワイヤガイド固定部材22と、金属製の枠受け環23からなっている。ワイヤガイド固定部材22の前端部には環状凹部22aが形成され、この環状凹部22aに対して枠受け環23に形成した環状凸部23aが挿入され、環状凸部23aと環状凹部22aの間が接着で固定されて一体化された先端硬性部材となっている。枠受け環23の外側は絶縁チューブ19で覆われている。絶縁チューブ19は熱収縮性チューブからなり、枠受け環23に加えて湾曲部14側の被覆チューブ21の先端付近も覆っている。
【0017】
枠受け環23は、環状凸部23aより前方に、該環状凸部23aよりも内径サイズを大きくした円形の枠支持孔23bが形成され、枠支持孔23bの軸線方向の中間位置に、枠支持孔23bよりも内径サイズの大きい環状のリング嵌合溝23cが形成されている。枠支持孔23bの開口縁部は、挿入部11の先端側に進むにつれて徐々に開口径を大きくする部分円錐状のテーパ内周面23dとなっている。枠支持孔23bに対して、先端処置部13を構成する回転自在枠24の後端円筒部24aが相対回転可能に挿入される。後端円筒部24aの外周面には、半径方向に弾性的に拡縮変形可能なスナップリング25が支持されており、後端円筒部24aを枠支持孔23bに挿入すると、スナップリング25が内径方向に縮径された状態でリング嵌合溝23cに弾性的に嵌合して、枠受け環23に対して回転自在枠24が軸線方向の移動が規制された状態で抜け止め保持される。このスナップリング25を介した保持状態で、回転自在枠24は、枠受け環23に対して軸線を中心とする回転動作が許容される。
【0018】
回転自在枠24を枠受け環23に取り付けた状態で、ワイヤガイド固定部材22、枠受け環23及び回転自在枠24の内部には、略面一な円筒状内周面の進退ガイド孔26が形成される。この進退ガイド孔26に対してスライド部材27が摺動自在に支持されている。スライド部材27には、処置具操作ワイヤ28のワイヤ先端部28aが接続されている。スライド部材27に対してワイヤ先端部28aは、ロウ付け、ハンダ付け、かしめ等の手段によって固定されている。処置具操作ワイヤ28は、先端部がワイヤガイド固定部材22に固定されたガイドチューブ29内に、挿入部11の長手方向への進退と該長手方向の軸線を中心とする相対回転のいずれも可能に挿通されている。ガイドチューブ29は、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタンなどの絶縁性及び可撓性を有する材質からなり、挿入部11内を貫通して保持部12の後端部付近まで延設されている。ガイドチューブ29内に挿入された処置具操作ワイヤ28の後端は補強パイプ(硬性部材)44に固定され、補強パイプ44が保持部12の後端部から後方に突出して、固定用端部材46を介して処置部操作ハンドル16に接続している。この処置部操作ハンドル16と固定用端部材46の接続構造については後述する。そして、処置部操作ハンドル16を介して処置具操作ワイヤ28、補強パイプ44及び固定用端部材46を挿入部11の長手方向に押し引きすることで、進退ガイド孔26内でスライド部材27を軸線方向に進退移動させることができる。
【0019】
回転自在枠24より先の先端処置部13は、スナップリング25とリング嵌合溝23cによる弾性係合力を超える大きさで引き抜くことにより、取り外しが可能であり、用途に応じた様々な処置具に交換することができる。図1から図3において取り付けられている先端処置部13は把持鉗子であり、その概略構造は次の通りである。回転自在枠24は、後端円筒部24aから前方に向けて、互いに対向する一対のベース板部24b、24cを延設させている。図3に示すように、スライド部材27の先端部はベース板部24b、24cの間に挿入されており、このスライド部材27の先端部を挟むようにして、リンク支持軸30を介して一対のリンク31、32の基端部がそれぞれ回動自在に支持されている。リンク支持軸30は回転自在枠24に対して固定されておらず、スライド部材27の進退方向に位置を変化させることができる。各リンク31、32の先端部にはそれぞれ、連結軸33、34を介して一対の鉗子部材35、36の基端部が回動自在に支持されている。鉗子部材35と鉗子部材36はさらに、連結軸33、34による連結位置よりも若干先端寄りに位置する軸着部37、38で、回転自在枠24(ベース板部24b、24c)に固定した開閉回動軸39によって相対回動自在に支持されている。回転自在枠24においてベース板部24b、24cの両側部は開放されており、図2に示すようにリンク31やリンク32を側方へ突出させることが可能となっている。
【0020】
一対の鉗子部材35、36はそれぞれ、軸着部37、38から先端側に向けて直線状の腕部35a、36aを延出させており、この腕部35a、36aの先端に、互いに噛合可能な鋸歯状の対向面が形成された噛合部35b、36bを有している。
【0021】
以上の先端処置部13(把持鉗子)は、処置具操作ワイヤ28を介して図2及び図3の右手方向にスライド部材27を移動させると、リンク支持軸30と開閉回動軸39の軸位置間隔が増大し、該リンク支持軸30を回動中心として、連結軸33と連結軸34を互いに接近させるようにリンク31、32が回動する。すると、連結軸33と連結軸34の位置変化に応じて、一対の鉗子部材35、36は、それぞれの先端の噛合部35b、36bを接近させる閉じ方向に開閉回動軸39を中心として相対回動する。図2は、スライド部材27が図中右手方向に最大に移動されて、鉗子部材35、36が閉じられた状態を示している。このとき、噛合部35b、36bの対向面が噛み合っている。一方、処置具操作ワイヤ28を介して図2及び図3の左手方向にスライド部材27を移動させると、リンク支持軸30が開閉回動軸39に接近し、該リンク支持軸30を回動中心として、連結軸33と連結軸34を互いに離間させるようにリンク31、32が回動する。すると、連結軸33と連結軸34の位置変化に応じて、一対の鉗子部材35、36は、それぞれの先端の噛合部35b、36bを離間させる開き方向に開閉回動軸39を中心として相対回動する。
【0022】
図4から図6に示すように、保持部12の外観を構成する保持部本体18の後端部には貫通孔18aが形成され、この貫通孔18a内に、固定ナット40を介してチューブ固定環41が取り付けられている。詳細には、図6に示すように、チューブ固定環41には、保持部12の後端部から突出する外方突出部(外部着脱部)41aが形成され、この外方突出部41aの外周面に外面ネジ41bが形成されている。保持部本体18の後端部には、貫通孔18aに続いて、外面ネジ41bを囲む環状孔18bが形成されていて、環状の固定ナット40は、その内周面に形成したネジ部を外面ネジ41bに螺合させつつ、環状孔18bの底部に当て付くまで締め込まれる。チューブ固定環41は、外方突出部41aよりも大径の抜止フランジ41cを保持部本体18の内壁部に当接させることで、図6の右手方向、すなわち保持部12の後端部側への移動が規制されている。そして、固定ナット40を締め込むことにより、図6の左手方向、すなわち保持部12の内方へもチューブ固定環41が抜け止めされる。チューブ固定環41の一部は角筒部41dとなっており、この角筒部41dが嵌る貫通孔18aの一部は角穴状になっており、これらの嵌合関係によって、チューブ固定環41は保持部本体18に対する相対回転が規制されている。また、チューブ固定環41と保持部本体18の間は、OリングR1で液密に塞がれている。
【0023】
チューブ固定環41は、外方突出部41aと反対に保持部12の内方に向けて、内方突出部41eを突出させている。処置具操作ワイヤ28が挿通されるガイドチューブ29の後端部は、チューブ固定環41の内方突出部41eに被着され、固定用コイル45によって固定されている。ガイドチューブ29は、挿入部11に対応して変形可能な可撓性を有しているが、その先端部がワイヤガイド固定部材22に固定され、かつ後端部がチューブ固定環41に対して固定されているため、挿入部11や保持部12内において軸線方向への移動や軸線を中心とした回転は規制されている。チューブ固定環41には、その軸線方向へ向けて、内方突出部41eから外方突出部41aまで貫通する中央貫通孔(保持部貫通孔)41fが形成されており、内方突出部41eにガイドチューブ29を固定した状態では、中央貫通孔41fがガイドチューブ29に連通される。
【0024】
チューブ固定環41の外方突出部41aには、内視鏡用補助器具10の用途に応じて異なる外付け部材を選択して接続させることができる。図4及び図5で接続されているのは、先端処置部13を構成する把持鉗子を操作するため処置部操作ハンドル16である。この処置部操作ハンドル16の取り付け構造を説明する。
【0025】
外方突出部41aには、中央貫通孔41fと連通し保持部12の後端部側に向けて開口された着脱孔41gが形成されている。着脱孔41gは、中央貫通孔41fに連通する底部側の角孔(非円形断面孔部)41g1と、これより大径で外方突出部41aの後端部に臨む円形孔41g2の組み合わせからなっている。この着脱孔41gに対して第1接続管(第1の接続端部)70が挿入される。第1接続管70は、着脱孔41gの角孔41g1に嵌合する角筒部(非円形断面筒部)70aと、円形孔41g2に嵌合する円筒部70bを有している。図7に示すように、角孔41g1と角筒部70aの嵌合関係によって、第1接続管70はチューブ固定環41に対する相対回転が規制されている。また、円筒部70bと円形孔41g2の間が、OリングR2で液密に塞がれている。第1接続管70には、円筒部70bに続いて環状のフランジ70cが形成され、このフランジ70cが外方突出部41aの端部に当て付くことで着脱孔41gへの挿入が規制される。そして、外方突出部41aの外面ネジ41bに対して取付ナット71を螺着させると、取付ナット71によってフランジ70cが抜け止めされ、第1接続管70がチューブ固定環41に対して接続固定される。第1接続管70の中央部には軸線方向に向けて中央貫通孔(操作ワイヤ挿通孔)70dが形成されていて、この接続固定状態で、中央貫通孔70dがチューブ固定環41の中央貫通孔41fと連通する。なお、取付ナットの外周はフッ素ゴム等の絶縁部材71aで覆われている。
【0026】
第1接続管70は、その軸線方向における先端挿入部70aと反対側に、密巻きコイル管(操作ワイヤ挿通孔)72が接続するコイル接続筒70eを有している。密巻きコイル管72は、隣り合うコイル部が密着するようにして鋼線を螺旋状に密巻きして形成されており、可撓性を有している。密巻きコイル管72の内部には軸線方向に貫通する中央貫通孔(操作ワイヤ挿通孔)72aが形成されている。図5に示すように、密巻きコイル管72の他端部は、第2接続管(第2の接続端部)73のコイル接続筒73aに接続している。第2接続管73には、密巻きコイル管72の中央貫通孔72aと連通する中央貫通孔(操作ワイヤ挿通孔)73bが、軸線方向に貫通させて形成されている。
【0027】
第2接続管73は、固定ネジ42によって連結口金43と固定されている。連結口金43は、第2接続管73を囲み固定ネジ42の支持孔を有する接続管囲繞部43aと、第2接続管73の端部に当て付く平板状のフランジ部43bと、フランジ部43bから突出する挿入筒部43cを有し、このフランジ部43bと挿入筒部43cを貫通させて、第2接続管73の中央貫通孔73bに連通する中央貫通孔(操作ワイヤ挿通孔)43dが形成されている。密巻きコイル管72の全体と連結口金43の接続管囲繞部43aは、絶縁体からなる被覆チューブ74で覆われている。
【0028】
以上の第1接続管70、密巻きコイル管72、第2接続管73及び連結口金43が、保持部12と処置部操作ハンドル16の間に介在される操作部接続アダプタM1を構成している。処置部操作ハンドル16には、この操作部接続アダプタM1への着脱機構が備えられている。図5に示すように、処置部操作ハンドル16の先端部分には、軸線方向に沿って複数のスリットが形成された筒状の口金連結体50が設けられ、口金連結体50の外側を囲んで締結環51が回転可能に支持されている。図示しないが、口金連結体50の外形は2つの小判形を組み合わせた態様の断面形状をなしており、締結環51は、これに対応するように2つの小判形を組み合わせた内面形状を有している。口金連結体50の中央には、スリットの拡縮により形状を変化させる中央開口50aが形成されている。これにより、軸線を中心とした締結環51の回転動作に応じて、口金連結体50のスリットが開かれて中央開口50aが拡径される着脱可能状態と、スリットが狭められて中央開口50aが縮径される締結状態とにさせることができる。この口金連結体50の中央開口50aに連結口金43の挿入筒部43cを差し込んだ状態で締結環51を回転させて締結状態にすることで、連結口金43から第1接続管70に至る操作部接続アダプタM1を介して、処置部操作ハンドル16が保持部12に対して接続された状態となる。この締結状態では、口金連結体50は、連結口金43に対して軸方向の動きは規制されるが、回転は自在である。逆に、口金連結体50の中央開口50aに連結口金43の挿入筒部43cが差し込まれた状態で締結環51を着脱可能位置に回転させることで、口金連結体50と連結口金43の連結を解除させ、保持部12から処置部操作ハンドル16を取り外すことができる。
【0029】
第1接続管70、密巻きコイル管72、第2接続管73及び連結口金43からなる操作部接続アダプタM1では、これらの各部材に形成された中央貫通孔70d、72a、73b及び43cによって、軸線方向へ向けて貫通する操作ワイヤ挿通孔が形成される。そして図5のように操作部接続アダプタM1がチューブ固定環41に対して接続された状態では、この一連の操作ワイヤ挿通孔が、チューブ固定環41の中央貫通孔(保持部貫通孔)41fを介して、保持部12内のガイドチューブ29に連通される。処置具操作ワイヤ28は、ガイドチューブ29に続いて、中央貫通孔41f、70d、72a、73b及び43cに挿通され、その後端には硬性部材である補強パイプ44が接続されている。図5に示すように、補強パイプ44の前端側の一部は、操作部接続アダプタM1の操作ワイヤ挿通孔(連結口金43の中央貫通孔43d)に挿入されている。補強パイプ44は連結口金43から後方に突出し、その後端には固定用端部材46が取り付けられている。固定用端部材46の後端面近傍には、後述する側方端子55の内径側端部55aが当接する小径部46aが設けられている。なお、処置具操作ワイヤ28と硬性部材44、補強パイプ44と固定用端部材46はそれぞれ、ロウ付け、ハンダ付け、かしめ等の手法によって固定されており、固定用端部材46から処置具操作ワイヤ28までの全体が導電性を有している。
【0030】
図4及び図5に示すように、口金連結体50の後端には処置部操作ハンドル16の本体部を構成する筒体52が固定されている。筒体52内には軸線方向に向けて長溝52a(図1)が形成されていて、この長溝52a内に、ワイヤ連結部材53の一部が軸線方向に摺動自在に嵌まっている。また、筒体52の外側には、フランジ状の指掛け部54aを外面に有するスライダ(可動操作部)54が支持されている。ワイヤ連結部材53からは、筒体52の軸線と直交する径方向に向けて側方端子55が突出されていて、この側方端子55の基部と係合することによって、スライダ54は、ワイヤ連結部材53と一体化されている。すなわち、スライダ54とワイヤ連結部材53は、筒体52の軸線方向と該軸線を中心とした回転方向のいずれにも一体的に動作する。筒体52の前端部に設けた口金連結体50は連結口金43に対して回転可能に接続されるため、該口金連結体50と連結口金43の接続状態では、処置部操作ハンドル16の全体が保持部12及び操作部接続アダプタM1(連結口金43)に対して軸回りに回転可能となる。また、筒体52は、ワイヤ連結部材53及びスライダ54と回転方向には一体化されているが、その軸線方向には、長溝52aによってワイヤ連結部材53及びスライダ54の相対移動を許容している。筒体52の末端部には指通しリング56が設けられている。
【0031】
ワイヤ連結部材53には、固定用端部材46を挿入させるワイヤ端部支持孔53aが形成されている。側方端子55は、高周波スネアなどの電気処置具を使用する際に外部の電源部から高周波電流が入力される端子であり、ワイヤ連結部材53とはネジ結合されており、操作環55bを正逆に回転させることにより、側方端子55の内径側端部55aがワイヤ端部支持孔53a内への突出量を変化させる。組立時には、ワイヤ端部支持孔53a内への内径側端部55aの突出量を大きくさせ、固定部端部材46の小径部46aに当接させながら、該固定部端部材46をワイヤ端部支持孔53aの側面に押し当てる。このとき、側方端子55の内径側端部55aは、固定用端部材46の小径部46aに当接した状態になっているため、固定用端部材46がワイヤ端部支持孔53aに対して抜け止めされる。
【0032】
以上のようにして、操作部接続アダプタM1を介して、保持部12の後部への処置部操作ハンドル16の接続が完了する。操作部接続アダプタM1は、密巻きコイル管72が設けられた中間部が可撓性を有しているため、この接続状態で、保持部12に対する処置部操作ハンドル16の向きを変化させることができ、優れた操作性が得られる。また、取付ナット71及び密巻きコイル管72の外周面はそれぞれ絶縁部材71a及び被覆チューブ74で覆われているため、高周波通電時に誤って接触しても感電することがない。
【0033】
前述の通り、ガイドチューブ29は、その一端部と他端部がワイヤガイド固定部材22とチューブ固定環41に固定されたガイド部材であり、このガイドチューブ29の内部に処置具操作ワイヤ28が挿通されている。ガイドチューブ29に対して処置具操作ワイヤ28は、その長手方向に摺動自在で、かつ内部での相対回転も自在に挿通されている。そのため、図1に矢印Sで示すように、処置部操作ハンドル16において筒体52に対してスライダ54を軸線方向に進退操作することにより、ワイヤ連結部材53を介して処置具操作ワイヤ28が、ガイドチューブ29内でその長手方向に進退される。この処置具操作ワイヤ28の進退操作が先端処置部13(把持鉗子)側のスライド部材27に伝達され、前述したリンク機構を介して、一対の鉗子部材35、36が開閉動作を行う。このとき処置部操作ハンドル16は任意の態様で操作することができるが、例えば、指通しリング56に親指を通し、スライダ54の指掛け部54aに人差し指と中指をかけて操作するとよい。
【0034】
図4及び図5は、先端処置部13を構成する鉗子部材35、36を閉じさせたときのスライダ54の位置を示しており、このときスライダ54は、保持部12から最も離れた移動端にある。鉗子部材35、36を開かせるときには、スライダ54が図4及び図5の位置から図中の左方へ移動されて処置具操作ワイヤ28を保持部12側へ押し込む。このとき、補強パイプ44及び固定用端部材46も処置具操作ワイヤ28と共に移動されて、補強パイプ44が操作部接続アダプタM1の操作ワイヤ挿通孔への挿入量を大きくする。補強パイプ44は、筒体52内での処置具操作ワイヤ28の座屈を防ぐべく、硬性管として形成されているが、スライダ54を図中の左方に最大限に移動させたときにも、補強パイプ44は操作部接続アダプタM1のうち密巻きコイル管72の内部には進入しない長さに設定されている。換言すれば、補強パイプ44の先端部の可動域は、連結口金43の中央貫通孔43d内、もしくは最大でも第2接続管73の中央貫通孔73bまでに限られる。そのため、処置具操作ワイヤ28の進退操作時に、硬性管からなる補強パイプ44が密巻きコイル管72の可撓性を損なうことはない。
【0035】
さらに、図1に矢印Dで示すように、筒体52に対して処置部操作ハンドル16を軸線中心で回転操作することより、ワイヤ連結部材53などを介して処置具操作ワイヤ28がガイドチューブ29内で相対回転される。前述のように、先端処置部13における回転自在枠24は、挿入部11先端の枠受け環23に対して、スナップリング25で抜け止めされつつ、軸線回りの回転動作を許容されて結合されている。そのため、処置具操作ワイヤ28が回転されると、ワイヤ先端部28aが接続するスライド部材27に回転力が伝えられ、回転自在枠24及びスライド部材27から先の先端処置部13全体が、軸線中心の回転動作を行う。
【0036】
このように、先端処置部13に対しては、処置具操作ワイヤ28を介して、挿入部11の長手方向への進退力を受けての開閉動作(処置動作)と、軸線中心の回転動作を行わせることができる。この回転操作に対して捩れにくくするべく、処置具操作ワイヤ28は、互いに逆方向に巻いた3重巻きのワイヤケーブルや、超弾性ワイヤで形成されている。
【0037】
内視鏡用補助器具10はさらに、湾曲部14を湾曲操作させる湾曲操作機構を備えている。図2及び図3に示されるように、湾曲部14には、被覆チューブ21の内側に位置させて、リベット61で相対回動可能に結合された複数の短筒状の節輪60が設けられている。隣接する2つの節輪60は、湾曲部14の径方向の対称位置に設けた一対のリベット61で接続されている。そして、この一対でペアをなすリベット61が90度ずつ周方向の位相を異ならせるようにして、複数の節輪60を接続している。これにより、湾曲部14は、その軸線に対して互いに直交する2つの方向でそれぞれ正逆に湾曲操作させることが可能となる。
【0038】
可撓管部15から湾曲操作グリップ17へ亘って4本のコイルチューブ64が配設されている(図4)。コイルチューブ64は、可撓管部15内において処置具操作ワイヤ28のガイドチューブ29を囲むようにして周方向に90度等配で4本設けられており、それぞれのコイルチューブ64内には湾曲操作ワイヤ66(図2、図3)が挿通されている。図2及び図3に示すように、各湾曲操作ワイヤ66は、湾曲部14内ではコイルチューブ64から突出して処置具操作ワイヤ28のガイドチューブ29を囲むようにして周方向に90度等配で配設されており、その湾曲操作ワイヤ66の先端部がワイヤ止め部材67に固定されている。ワイヤ止め部材67は、複数の節輪60のうち最も挿入部11の前端側に位置する先端節輪60aに対して係止された部材である。各湾曲操作ワイヤ66の他端部は、湾曲操作グリップ17内においてコイルチューブ64から突出し、図示しないプーリーワイヤに接続している。プーリーワイヤは、湾曲操作グリップ17内に回動可能に支持された図示しないプーリーの軸部に巻回されている。プーリーは二対(4本)の湾曲操作ワイヤ66に対応して2つが設けられていて、一方のプーリーを回転させると、特定の一対の湾曲操作ワイヤ66の一方が牽引され他方が弛緩され、湾曲部14内の複数の節輪60がリベット61を中心として相対回動し、湾曲部14が所定の方向に湾曲される。他方のプーリーを回転させると、別の一対の湾曲操作ワイヤ66一方が牽引され他方が弛緩され、節輪60が相対回動して湾曲部14が上記と直交する方向に湾曲される。湾曲操作グリップ17には、2つのプーリー69を正逆に回動操作する湾曲操作レバー62、63(図1)が設けられている。
【0039】
図1ないし図3に示す先端処置部13(把持鉗子)は、スナップリング25を縮径させることで挿入部11の先端から取り外すことができる。先端処置部13には処置具操作ワイヤ28のワイヤ先端部28aが固定されており、先端処置部13の取り外しに伴って処置具操作ワイヤ28も共に引き抜かれる。そのため、先端処置部13の取り外しに際しては、処置部操作ハンドル16側において、側方端子55による固定用端部材46への締め付けを緩めて、固定用端部材46とワイヤ連結部材53の締結を解除させておく。すると、ガイドチューブ29に沿って、処置具操作ワイヤ28、補強パイプ44及び固定用端部材46を挿入部11の先端部側(枠受け環23の枠支持孔23b)から前方に引き抜くことが可能になる。なお、処置具操作ワイヤ28の後端部側に固定された補強パイプ44と固定用端部材46は、可撓性を有するガイドチューブ29内を通ることが可能な程度の外径サイズであるため、ガイドチューブ29と干渉することなく引き抜くことができる。
【0040】
内視鏡用補助器具10では、挿入部11の先端に対して、様々なタイプの先端処置部を取り付けることができる。図8は、先端処置部として、把持鉗子に代わる先端処置部113として高周波スネアを取り付けた状態を示している。この先端処置部113は、処置具操作ワイヤ28のワイヤ先端部28aに接続するワイヤ接続部113aと、環状をなすループワイヤ部113bとを有している。ワイヤ接続部113aは、ワイヤガイド固定部材22と枠受け環23の内周面によって形成される進退ガイド孔26よりも小径で、図8に示す位置から右方へ移動してガイドチューブ29内へ入ることが可能である。ループワイヤ部113bは、その基端部付近が枠受け環23のテーパ内周面23dに接触することによって、その開口の大きさ(開度)が制御される。例えば、ワイヤ接続部113aが図8の位置よりも右手方向に移動されると、ループワイヤ部113bが挿入部11の内方に引き込まれてテーパ内周面23dに対する当接位置が変化する。その結果、ループワイヤ部113bの開口径が小さくなり、処置対象物を挟むことができる。なお、枠受け環23におけるループワイヤ部113bとの接触部を、先端側に進むにつれて開口径を徐々に大きくする部分円錐状のテーパ内周面23dとしたことで、ループワイヤ部113bが進退移動するときの抵抗や摩耗が抑制され、操作性や耐久性が向上している。
【0041】
先端処置部113に換装した場合、操作ストローク(操作時の処置具操作ワイヤ28の進退量)などの条件が適合していれば、図1や図4に示す処置部操作ハンドル16をそのまま使用することもできる。但し、一般的には、高周波スネアは把持鉗子に比べて操作ストロークが長いため、操作部もこれに対応したものに換装することが好ましい。図9及び図10は、操作ストロークが長い先端処置部に好適な処置部操作ハンドル116と、この処置部操作ハンドル116の取付用の操作部接続アダプタM2を示しており、先に説明した処置部操作ハンドル16や操作部接続アダプタM1と共通する部分については省略して、その概略構造を説明する。
【0042】
操作部接続アダプタM2は、先に説明した第1接続管70と第2接続管73を一体化させた態様の接続管75を有している。接続管75は、先の密巻きコイル管72のような可撓性は有していない硬性の管体である。接続管75の先端側には、チューブ固定環41の着脱孔41gに挿入される先端挿入部75aと、これより大径で外方突出部41aの端部に当て付く環状のフランジ75bが形成されていて、外方突出部41aの外面ネジ41bに対して取付ナット71を螺着させると、フランジ75bが抜け止められてチューブ固定環41に結合される。先端挿入部75aは、着脱孔41gの角孔41g1に嵌合する角筒部(非円形断面筒部)75a1と、円形孔41g2に嵌合する円筒部75a2を有し、角孔41g1と角筒部75a1の嵌合関係によってチューブ固定環41に対する相対回転が規制されている。接続管75の突出端部75cは、連結口金43の接続管囲繞部43aに挿入され、固定ネジ42によって連結口金43と固定されている。接続管75と連結口金43の接続管囲繞部43aは、絶縁体からなる被覆チューブ76で覆われている。また、取付ナット71の外周面は絶縁部材71aによって覆われていて、被覆チューブ76と共に操作部接続アダプタM2の外面に絶縁性が付与されている。
【0043】
以上のようにして、接続管75と連結口金43からなる操作部接続アダプタM2がチューブ固定環41に対して結合される。接続管75の中央部には軸線方向に向けて中央貫通孔75dが形成されていて、連結口金43の中央貫通孔43dと共に、操作部接続アダプタM2における一連の操作ワイヤ挿通孔を構成している。そして、チューブ固定環41に対して接続管75を取り付けた状態では、その中央貫通孔75dがチューブ固定環41の中央貫通孔41eと連通し、ガイドチューブ29まで続く一連の貫通路が形成される。この貫通路に処置具操作ワイヤ28に接続された補強パイプ(硬性部材)144が挿通され、補強パイプ144の後端に接続した固定用端部材46が、先に説明した通りの構造によって、処置部操作ハンドル116のワイヤ連結部材53に締結されている。
【0044】
処置部操作ハンドル116は、筒体152の軸方向長が先の筒体52よりも長い点を除いて、先に説明した処置部操作ハンドル16とほぼ同じ構造である。図9及び図10は、スライダ54が図中の右手方向に最大に移動された状態を示している。このとき、処置具操作ワイヤ28が挿通固定される補強パイプ144は、操作部接続アダプタM2(連結口金43、接続管75)の中央貫通孔43d、75dとチューブ固定環41の中央貫通孔41fを貫通して、その前端部が保持部12内に突出してガイドチューブ29内に挿入されている。操作部接続アダプタM2では、接続管75が硬性管からなっていて密巻きコイル管72のように曲げられることがないため、同じく硬性管からなる補強パイプ144が操作部接続アダプタM2を貫通して保持部12内へ突出していても問題がない。そして、図9及び図10の位置から左手方向にスライダ54を操作すると、補強パイプ144が処置具操作ワイヤ28と共に保持部12側に押し込まれ、ガイドチューブ29内への突出量を大きくする。なお、補強パイプ144は、保持部12への押し込み方向へスライダ54を最大に移動させても、挿入部11の可撓管部15までは達しないように長さが設定されており、挿入部11の可撓性が補強パイプ144によって妨げられるおそれはない。
【0045】
以上のように、内視鏡用補助器具10では、ガイドチューブ29を内蔵する挿入部11と保持部12を共用化しつつ、異なる先端処置部13、113を用いることができ、それぞれの先端処置部13、113に適合した処置部操作ハンドル16、116を選択して取り付けることができる。また、高周波が通電される処置具操作ワイヤ28に対してガイドチューブ29等によって絶縁されているため、専用の絶縁チューブを設ける必要がない。これにより、内視鏡用補助器具10は、高い機能性を有しつつ低コストに得ることができる、また、種類の異なる先端処置部ごとに別々の処置具を揃える場合に比して、管理も容易である。
【0046】
さらに内視鏡用補助器具10では、先端処置部13、113を取り外した状態で、ガイドチューブ29を流体流通路として用いることが可能である。この場合、チューブ固定環41の外方突出部41aに対して、操作ハンドル取付用の操作部接続アダプタM1、M2に代えて、その用途に応じた接続アダプタが取り付けられる。
【0047】
図11は、外方突出部41aに対して、吸引ニップル80と接続管81からなる流路接続アダプタN1を取り付けた状態を示している。接続管81は、その軸線方向の長さが異なる点を除いて、先に説明した接続管75と同様の構造を有しており、接続管81の先端側には、チューブ固定環41の着脱孔41gに対して相対回転を規制された状態で挿入される先端挿入部81aと、これより大径で外方突出部41aの端部に当て付く環状のフランジ81bが形成されていて、外方突出部41aの外面ネジ41bに対して取付ナット71を螺着させると、フランジ81bが抜け止められてチューブ固定環41に結合される。接続管81の突出端部81cは、吸引ニップル80の接続管囲繞部80aに挿入され、接着やハンダ付けなどの手段により固定されている。この固定状態で、接続管81を軸線方向に貫通する中央貫通孔81dと、吸引ニップル80を軸線方向に貫通する中央貫通孔80bが連通され、流路接続アダプタN1を軸方向に貫通する流体流通孔を形成している。
【0048】
ガイドチューブ29から処置具操作ワイヤ28を抜去した状態で、以上のようにして吸引ニップル80を有する流路接続アダプタN1を取り付けると、ガイドチューブ29、チューブ固定環41の中央貫通孔41f、流路接続アダプタN1の流体流通孔(吸引ニップル80と接続管81の中央貫通孔80b、81d)が一続きの流体流通路となる。よって、図示しない吸引装置(流体制御装置)から延設された吸引チューブ(流体流通チューブ)の端部を吸引ニップル80に接続させて、ガイドチューブ29を経由して挿入部11の先端に吸引力を及ぼすことが可能になる。図示しないが、内視鏡用補助器具10をこのように吸引用のデバイスとして用いるときには、挿入部11の先端部、具体的には枠受け環23に対して吸引用のノズルを取り付けるとよい。
【0049】
図12は、吸引ニップル80に代えて送水用のルアー口金82を有する流路接続アダプタN2を取り付けた態様を示している。流路接続アダプタN2を構成する接続管81は先に説明した通りの構造であり、取付ナット71によってチューブ固定環41側に固定されている。接続管81の端部81cが、ルアー口金82の接続管囲繞部82aに挿入され、接着やハンダ付けなどの手段により固定されている。ルアー口金82は、接続管囲繞部82aとは反対方向に突出する筒状部82bを有する。筒状部82bの内側には、接続管81に接近する方向へ進むにつれて徐々に内径サイズを小さくするテーパ内周面82cが形成されている。また、筒状部82bの先端付近には、径方向外方に向けて突出する一対のフランジ82dが形成されている。ルアー口金82内には、接続管81の中央貫通孔81dに連通して流路接続アダプタN2を軸方向に貫通する流体流通孔を構成する中央貫通孔82eが形成されている。図12のようにチューブ固定環41に流路接続アダプタN2を取り付けると、ガイドチューブ29、チューブ固定環41の中央貫通孔41f、流路接続アダプタN2の流体流通孔(ルアー口金と接続管81の中央貫通孔82e、81d)が一続きの流体流通路となる。
【0050】
ルアー口金82に対して、送水装置(流体制御装置)から延出した送水チューブ(流体流通チューブ)の端部に設けたルアー口金受部が接続される。図示しないが、このルアー口金受部は、内部に流体流通路を有する円筒状のテーパ突起と、テーパ突起と略同心で該テーパ突起を囲む外周壁とを備えている。テーパ突起の外周面は先端側に進むにつれて徐々に外径サイズを小さくするテーパ外周面として形成されており、テーパ突起はルアー口金82の筒状部82b内に挿入可能である。また、ルアー口金受部の外周壁の内側には、ルアー口金82の一対のフランジ82dが螺合可能な二条ねじが形成されている。そして、ルアー口金受部のテーパ突起を筒状部82bに挿入して二条ねじを一対のフランジ82dに螺合させると、テーパ突起の外周面とテーパ内周面82cが密着して、ルアー口金受部とルアー口金82が連結される。これにより、送水装置から送出された液体を、ルアー口金82、接続管81及びチューブ固定環41内の中央貫通孔82e、81d及び41fを経由してガイドチューブ29内に送ることができる。図示しないが、内視鏡用補助器具10をこのように送水用のデバイスとして用いるときには、挿入部11先端の枠受け環23に対して、送水用のノズルを取り付けるとよい。
【0051】
なお、図11と図12では吸引用と送水用の流路接続アダプタN1、N2を例示したが、チューブ固定環41の外方突出部41aに対して送気用の流路接続アダプタを取り付け、送気装置(流体制御装置)から延出した送気チューブ(流体流通チューブ)を接続してもよい。これによって、内視鏡用補助器具10を送気用のデバイスとして用いることもできる。
【0052】
このように、ガイドチューブ29から処置具操作ワイヤ28抜去し、処置部操作ハンドル16(116)に代えて所要の接続アダプタを取り付けることにより、内視鏡用補助器具10を流体流通用の器具として用いることができる。内視鏡用補助器具10は湾曲部14を湾曲させる機構を備えるため、吸引、送水あるいは送気を行うに際して、高精度に挿入部11先端の方向を調節することができる。
【0053】
以上、図示実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は図示実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態においては把持鉗子タイプの先端処置部13と高周波スネアの先端処置部113を例示したが、さらに針状メスなど別種の先端処置部に交換可能であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を適用した内視鏡用補助器具の全体構造を示す図である。
【図2】図1の内視鏡用補助器具における先端処置部付近を、一部を断面として示した拡大図である。
【図3】図2とは略直交する方向から見た、一部を断面として示した先端処置部付近の拡大図である。
【図4】図1の内視鏡用補助器具における保持部と処置具操作ハンドル、および保持部と処置具操作ハンドルを接続する操作部接続アダプタの側断面図である。
【図5】図4における保持部と処置具操作ハンドルの接続部分付近を拡大して示した側断面図である。
【図6】図5からさらにチューブ固定環と操作部接続アダプタの接続部付近を拡大した断面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】先端処置部を高周波スネアに換装した態様を示す、内視鏡用補助器具の挿入部先端付近の側断面図である。
【図9】操作ストロークの異なる処置具操作ハンドルに換装した状態を示す、内視鏡用補助器具の保持部、操作部接続アダプタおよび処置具操作ハンドルの側断面図である。
【図10】図9における保持部と処置具操作ハンドルの接続部分付近を拡大して示した側断面図である。
【図11】内視鏡用補助器具の保持部後端に、処置具操作ハンドルに代えて吸引ニップルを備えた流路接続アダプタを取り付けた態様を示す断面図である。
【図12】内視鏡用補助器具の保持部後端に、処置具操作ハンドルに代えて送水用のルアー口金を備えた流路接続アダプタを取り付けた態様を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 内視鏡用補助器具
11 挿入部
12 保持部
13 先端処置部
14 湾曲部
15 可撓管部
16 116 処置部操作ハンドル(先端処置部の操作部材)
17 湾曲操作グリップ
18 保持部本体
18a 貫通孔
22 ワイヤガイド固定部材
23 枠受け環
24 回転自在枠
25 スナップリング
28 処置具操作ワイヤ
29 ガイドチューブ
35 36 鉗子部材
40 固定ナット
41 チューブ固定環
41a 外方突出部(外部着脱部)
41b 外面ネジ
41c 抜止フランジ
41d 角筒部
41e 内方突出部
41f 中央貫通孔(保持部貫通孔)
41g 着脱孔
41g1 角孔(非円形断面孔部)
42 固定ネジ
43 連結口金
43a 接続管囲繞部
43b フランジ部
43c 挿入筒部
43d 中央貫通孔(操作ワイヤ挿通孔)
44 144 補強パイプ(硬性部材)
45 固定用コイル
46 固定用端部材
46a 小径部
50 口金連結体
51 締結環
52 152 筒体
53 ワイヤ連結部材(可動操作部)
53a ワイヤ端部支持孔
54 スライダ(可動操作部)
55 側方端子
56 指通しリング
60 節輪
61 リベット
70 第1接続管(第1の接続端部)
70a 角筒部(非円形断面筒部)
70b 円筒部
70c フランジ
70d 中央貫通孔(操作ワイヤ挿通孔)
70e コイル接続筒
71 取付ナット
71a 絶縁部材
72 密巻きコイル管(軟性接続管)
72a 中央貫通孔(操作ワイヤ挿通孔)
73 第2接続管(第2の接続端部)
73a コイル接続筒
73b 中央貫通孔(操作ワイヤ挿通孔)
74 76 被覆チューブ(絶縁部材)
75 接続管(硬性接続管)
75a 先端挿入部
75a1 角筒部(非円形断面筒部)
75a2 円筒部
75b フランジ
75c 突出端部
75d 中央貫通孔(操作ワイヤ挿通孔)
80 吸引ニップル
80a 接続管囲繞部
80b 中央貫通孔(流体流通孔)
81 接続管
81a 先端挿入部
81b フランジ
81c 突出端部
81d 中央貫通孔(流体流通孔)
82 ルアー口金
82a 接続管囲繞部
82b 筒状部
82c テーパ内周面
82d フランジ
82e 中央貫通孔(流体流通孔)
113 先端処置部
113a ワイヤ接続部
113b ループワイヤ部
M1 M2 操作部接続アダプタ
N1 N2 流路接続アダプタ
R1 R2 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する挿入部と、該挿入部の基端部が接続する保持部を有し、挿入部から保持部に亘って、挿入部先端に設けられる先端処置部の操作ワイヤが挿通されるガイドチューブが配設される内視鏡用補助器具において、
上記保持部に、上記ガイドチューブに連通する保持部貫通孔と、保持部外面に露出する外部着脱部とを有するチューブ固定環を設け、
上記チューブ固定環の外部着脱部に一端部が着脱可能で、他端部に連結口金を備え、この両端部間を貫通し上記チューブ固定環への取付状態で上記保持部貫通孔に連通する操作ワイヤ挿通孔が形成された操作部接続アダプタを設け、
上記先端処置部を使用するときには、上記操作部接続アダプタの連結口金に先端処置部の操作部材を接続させ、上記ガイドチューブを経由してチューブ固定環の保持部貫通孔と操作部接続アダプタのワイヤ挿通孔を通して突出された上記操作ワイヤの端部が、上記操作部材の可動操作部に接続されることを特徴とする内視鏡用補助器具。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡用補助器具において、複数種の上記操作部材に応じた複数種の上記操作部接続アダプタを備えている内視鏡用補助器具。
【請求項3】
請求項1または2記載の内視鏡用補助器具において、上記操作部接続アダプタは、チューブ固定環の外部着脱部に形成した着脱孔への挿入部を一端部に備え、他端部に上記連結口金が固定された硬性接続管を有していることを特徴とする内視鏡用補助器具。
【請求項4】
請求項1または2記載の内視鏡用補助器具において、上記操作部接続アダプタは、チューブ固定環の外部着脱部に形成した着脱孔への挿入部を有する第1の接続端部と、上記連結口金が接続された第2の接続端部と、この第1と第2の接続端部を接続し可撓性を有する軟性接続管を有していることを特徴とする内視鏡用補助器具。
【請求項5】
請求項4記載の内視鏡用補助器具において、上記軟性接続管は、鋼線を螺旋状に巻回した密巻きコイル部からなっていることを特徴とする内視鏡用補助器具。
【請求項6】
請求項4または5記載の内視鏡用補助器具において、上記操作ワイヤの後端には、該操作ワイヤと共に進退して上記操作部接続アダプタのワイヤ挿通孔内に進入する硬性部材を備え、
上記硬性部材の可動域が、上記軟性接続管内には進入しない範囲内で制限されていることを特徴とする内視鏡用補助器具。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれか1項記載の内視鏡用補助器具において、上記チューブ固定環の外部着脱部は、上記着脱孔を囲む筒状部の外周面に外面ネジを有し、この外面ネジに螺合する取付ナットによって、着脱孔から上記操作部接続アダプタの挿入部を抜け止めすることを特徴とする内視鏡用補助器具。
【請求項8】
請求項7記載の内視鏡用補助器具において、上記取付ナットと、上記硬性または軟性の接続管の外面が絶縁部材で被覆されていることを特徴とする内視鏡用補助器具。
【請求項9】
請求項3ないし8のいずれか1項記載の内視鏡用補助器具において、上記チューブ固定環の着脱孔の少なくとも一部に非円形断面孔部が形成され、上記操作部接続アダプタの挿入部に、該非円形断面孔部に対して相対回転を規制して嵌合する非円形断面筒部が形成されていることを特徴とする内視鏡用補助器具。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項記載の内視鏡用補助器具において、上記チューブ固定環の外部着脱部への着脱部を一端部に備え、他端部に外部の流体制御装置から延出された流体流通チューブを接続可能で、この両端部間を貫通し上記チューブ固定環への取付状態で該チューブ固定環の保持部貫通孔に連通する流体流通孔が形成された流路接続アダプタを有し、この流路接続アダプタと上記操作部接続アダプタが上記チューブ固定環の外部着脱部へ択一的に装着されることを特徴とする内視鏡用補助器具。
【請求項11】
可撓性を有する挿入部と、該挿入部の基端部が接続する保持部を有し、挿入部から保持部に亘って配設されたチューブを有する内視鏡用補助器具において、
上記保持部に、上記チューブに連通する保持部貫通孔と、保持部外面に露出する外部着脱部とを有するチューブ固定環を設け、
上記チューブ固定環の外部着脱部への着脱部を一端部に備え、他端部に外部の流体制御装置から延出された流体流通チューブを接続可能で、この両端部間を貫通し上記チューブ固定環への取付状態で該チューブ固定環の保持部貫通孔に連通する流体流通孔が形成された流路接続アダプタを有することを特徴とする内視鏡用補助器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−189703(P2009−189703A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35894(P2008−35894)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(590001452)国立がんセンター総長 (80)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】