説明

内視鏡装置

【課題】長尺の挿入部の巻き取りを容易に行え、かつ運搬中に挿入部がドラム部から脱落することを確実に防止する内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】内視鏡装置1は、細長な挿入部2aと、挿入部2aが巻回される外周面を有する挿入部巻回部33及び挿入部2aが配置される収納凹部31を備えた挿入部収納筒3aを有する回動自在なドラム部3と、ドラム部3を保持するフレーム部4と、を備え、挿入部巻回部33に収納凹部31内に配置される挿入部収納領域33dと、収納凹部31から露出されて挿入部2aを巻き取る巻き取り領域33eとを設け、ドラム部3又はフレーム部4の少なくとも一方に巻き取り領域33eに巻き取られた挿入部2aを収納領域33dに移動させるテーパー面33f、33g、又は第2設置部4cを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺な挿入部と、その挿入部を巻回して収納するドラム部とを有する内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、医療用分野及び工業用分野において広く利用されている。医療用分野において使用される内視鏡は、細長な挿入部を体腔内に挿入することによって、体腔内を観察すること、或いは、挿入部に設けられた処置具チャンネルを介して処置具を体腔内に導くことによって各種処置等を行える。
【0003】
一方、工業用分野において使用される内視鏡は、細長な挿入部をジェットエンジン内、或いは配管等に挿入することによって、被検部位の傷の有無、或いは腐蝕の有無等の検査、或いは各種修理等を行える。配管等に挿入される内視鏡では挿入部の長さが20メートル、或いはそれ以上の長さである。このように長尺な挿入部を有する内視鏡では、運搬性を考慮して挿入部をドラムに巻回する構成になっている。この構成によれば、内視鏡検査を行う際にはドラムに巻回された挿入部を繰り出し、内視鏡検査終了後には挿入部を再びドラムに巻き取ることによって運搬を容易に行える。
【0004】
しかし、挿入部がドラムに乱雑に巻かれていた場合、運搬の途中で挿入部がドラムから脱落して、運搬に支障を来すおそれがあった。特許文献1の内視鏡装置では、挿入部がドラムから脱落することを防止するため、巻き取ったドラムの周囲に配置されるように複数の支持棒が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−152209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された内視鏡装置においては、作業者がドラムを回転させて挿入部を挿入部巻回部の周面に巻き付けていく際、挿入部が支持棒に接触することによって、巻き取り作業に不具合が生じるおそれがあった。そのため、作業者は、挿入部を巻き取る際、挿入部を支持棒に接触させないように慎重に作業を行っていた。そして、作業者にとって、内視鏡検査終了後の巻き取り作業が煩わしい作業の1つになっていた。
【0007】
なお、挿入部を前記周面に対して規則正しく巻回するため、挿入部の巻き取り位置をドラムに対して規則的に変化させる移動機構を設けることによって、挿入部を挿入部巻回部の周面に整列させることは可能になるが、その機構を設けることによって内視鏡装置が高価になるという不具合が発生する。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、長尺の挿入部の巻き取りを容易に行え、かつ運搬中に挿入部がドラム部から脱落することを確実に防止する内視鏡装置を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内視鏡装置は、細長な挿入部と、前記挿入部が巻回される外周面を有する挿入部巻回部及び前記挿入部が配置される収納凹部を備えた挿入部収納筒を有する回動自在なドラム部と、前記ドラム部を保持する支持体と、を備える内視鏡装置であって、
前記挿入部巻回部に、前記収納凹部内に配置される挿入部収納領域と、前記収納凹部の一端面側から突出して前記挿入部を巻き取る巻き取り領域とを設ける一方、前記ドラム部又は前記支持体の少なくとも一方に前記巻き取り領域に巻き取られた挿入部を該収納領域に移動させる挿入部移動手段を設けている。
【0010】
この構成によれば、挿入部巻回部の巻き取り領域に巻き取られていく挿入部は、挿入部移動手段によって、挿入部巻回部の収納領域に移動されて、挿入部収納筒の収納凹部内に収納される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、長尺の挿入部の巻き取りを容易に行え、かつ運搬中に挿入部がドラム部から脱落することを確実に防止する内視鏡装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1−図6は第1実施形態にかかり、図1はドラム部をハンドル側から見た内視鏡装置の構成を説明する図
【図2】ドラム部を第2プレート側から見た内視鏡装置の構成を説明する図
【図3】横置きにされているドラム部の構成を説明する断面図
【図4】縦置きにされたドラム部を示す図
【図5】外周面全長に渡って円板部側から底面側に行くにしたがって細径に変化するテーパー面を備える挿入部巻回部を有するドラム部を説明する図
【図6】ドラム部に設ける傾斜面の他の構成例を説明する図
【図7】図7及び図8は縦置き型ドラム部の変形例に係り、図7は縦置き型のドラム部を有する内視鏡装置の構成を説明する図
【図8】図7のドラム部を説明する図
【図9】図9、図10は本発明の第2実施形態に係り、図9は挿入部が露出することを防止するスライドカバーを備えるドラム部を有する内視鏡装置の構成を説明する図
【図10】図9のスライドカバーを有するドラム部の構成を説明する図
【図11】図11−図14は運搬時等に挿入部が露出することを防止したドラム部の他の構成例にかかり、図11は挿入部収納筒に対して移動可能なドラム部本体を備えるドラム部を説明する図
【図12】図11のXII−XII線断面図
【図13】図11のXIII−XIII線断面図
【図14】図11のXIV−XIV線断面図
【図15】操作部から延出する挿入部を収納するドラム部を有する内視鏡装置の構成例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1−図6を参照して第1実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように本実施形態の内視鏡装置1は、細長で長尺な挿入部2aを備えた内視鏡2と、この内視鏡2の挿入部2aが巻回されるドラム部3と、このドラム部3が固設される支持体であるフレーム部4と、を備えて構成されている。
【0014】
挿入部2aは、先端部2b、湾曲部2c、可撓管部2dを連接して構成されている。先端部2bには観察窓(不図示)及び複数のLED照明(不図示)が備えられている。先端部2b内には観察手段として例えばC−MOS(不図示)が内蔵されている。先端部2bに連設する湾曲部2cは、図示しないリモコンで上下左右方向に湾曲操作される構成になっている。可撓管部2dは、屈曲した管路内で折り曲げられることなく湾曲可能でし、例えば屈曲部を通過後には元の状態に戻る弾発性を有する可撓性部材で長尺に形成されている。
【0015】
なお、観察手段はC−MOSに限定されるものではなく、CCDやイメージガイドファイバ等であってもよい。また、照明光学系もLED照明に限定されるものではなく他の光学素子、或いはライトガイドファイバ等であってもよい。また、先端部に観察手段や照明手段を有するアダプタが着脱自在に取り付けられる構成であってもよい。
【0016】
一方、ドラム部3は、図1−3に示すように挿入部収納筒3aと、ドラム部本体3bと、保持板3cと、を備えて構成されている。
挿入部収納筒3aは、筒形状であって後述する挿入部収納空間を構成する収納凹部(以下、凹部と略記する)31を有している。ドラム部本体3bは、円板部32と、この円板部32にネジ等の締結部材を介して、又は溶接によって固設される例えば筒形状である挿入部巻回部33とを備えて構成される。円板部32は、挿入部巻回部33の一面側である開口33a側に固設されて、この開口33aを閉塞する。円板部32は、該円板部32の中心軸が挿入部巻回部33の長手軸に一致するように固定されている。そして、円板部32の外径は、挿入部巻回部33の外径よりも大径である。
【0017】
ドラム部本体3bの有する内部空間33bには、例えば、光学素子、観察手段に電源を供給する電源部、観察手段に対する信号処理を行うCPU、前記湾曲部2cを湾曲動作させる駆動モータ、流体供給部等が配設されるようになっている。
【0018】
挿入部巻回部33の他端面側は、挿入部収納筒3aの凹部31の底面34に締結部材、接着剤、或いは溶接等によって一体に固定される。挿入部巻回部33が底面34に固定された状態において、ドラム部本体3bの中心軸と挿入部収納筒3aの中心軸とは一致している。
【0019】
凹部31の底面34に挿入部巻回部33を固定したことによって、ドラム部3には、挿入部収納筒3aの凹部31の内面31aから挿入部巻回部33の外周面33cに至る幅の環状な挿入部収納空間35が構成される。
【0020】
挿入部収納空間35は、挿入部2aを整列させて収納するための空間である。挿入部収納空間35の幅寸法は、挿入部長が例えば10m未満では該挿入部2aの直径の二倍未満で、且つ、挿入部2aが該挿入部収納空間35内において遊嵌した状態で配置されるように直径よりは予め大きく設定してある。この結果、挿入部2aは、挿入部収納空間35内において一巻きずつ整列して螺旋状に巻回して収納される。
一方、挿入部長が30m、40m等、長尺な場合には、収納部収納空間35の幅寸法を例えば挿入部2aの直径の5倍と広く設定する。この結果、挿入部2aは、挿入部収納空間35内において一列に整列することなく巻回収納される。
【0021】
前記凹部31の深さ及び内径は、挿入部2aの直径及び長さを考慮して設定される。一方、挿入部巻回部33の長さは、凹部31の開口31bから所定量、突出するように設定される。具体的に、本実施形態において、挿入部巻回部33は、挿入部2aが例えば二巻き分巻回可能となるように、凹部31の開口から突出するように長さが設定されている。
これは、挿入部2aを挿入部収納空間35内に巻回する場合に、巻き取り易い開口を得るためであり、開口量が挿入部2aの直径の2倍に設定したことにより、挿入部2aの巻き取りを容易に行える。なお、状況に応じては、挿入部2aの直径の2倍以上に開口量を設定するようにしてもよい。
【0022】
つまり、挿入部巻回部33は、凹部31内に配設されて挿入部収納空間35を構成する収納領域33dと、凹部31の開口から外部に露出されて挿入部2aの巻き取りを行う巻き取り領域33eとを有して構成されている。
【0023】
巻き取り領域33eは、円板部32側から収納領域33d側に行くにしたがって径寸法が徐々に細径に変化する傾斜面であるテーパー面33fが設けられている。テーパー面33fは、挿入部移動手段であって、挿入部2aが巻き取り領域33eに巻き取られるときに、この挿入部2aを収納領域33d側に移動させる分力を発生する。
【0024】
保持板3cは、回転部3c1と固定部3c2とを備えて構成されている。回転部3c1には、挿入部収納筒3aが例えばネジによって一体に固定される。固定部3c2の一面側の予め定められた位置には複数のベアリング36が環状に備えられている。そして、ドラム部本体3bが一体な挿入部収納筒3aは、保持板3cの回転部3c1に固定される。保持板3cの固定部3c2は、例えばネジによって第2プレート42に固定される。この結果、挿入部収納筒3aは、第2プレート42に固定された固定部3c2に対して回動自在になる。
【0025】
ドラム部3は、フレーム部4に固定される。フレーム部4は、直方体形状のパイプフレーム4aと、第1設置部4bを構成する例えば平板である第1プレート41と、第2設置部4cを構成する平板である第2プレート42とを備えて構成されている。
【0026】
第1プレート41は、パイプフレーム4aの一側面部に締結部材であるネジ等によって一体的に固定される。第1プレート41の設置面を例えば床、地面等に配置することによって、ドラム部3の長手軸が水平に配置される。この配置状態を、横置きと記載する。
【0027】
第2プレート42は、パイプフレーム4aにネジ等によって一体的に固定される。第2プレート42の設置面を例えば床、地面等に配置することによって、図4に示すようにドラム部3の長手軸が鉛直に配置される。この配置状態を、縦置きと記載する。
【0028】
第2プレート42の設置面に対向する取り付け面に、保持板3cの固定部3c2が一体的に固定される。
このことによって、フレーム部4に回動自在な挿入部収納筒3a及びドラム部本体3bを備えるドラム部3を取り付けた内視鏡装置1が構成される。
【0029】
なお、図1の符号37は回転ハンドルである。回転ハンドル37は、円板部32に形成されているハンドル用凹部32aに折りたたんで収納される構成になっている。挿入部収納筒3aが一体なドラム部本体3bは、ハンドル用凹部32aから取り出された回転ハンドル37によって、保持板3cの中心軸回りに回動する。
【0030】
また、図2の符号38は保持部材であり、挿入部2aの先端部分が挿入される貫通孔を備える。挿入部2aの先端部分を保持部材38の貫通孔に挿通させることによって、挿入部2aの先端部がドラム部本体3bに安定して保持される。
【0031】
上述のように構成した内視鏡装置1の作用を説明する。
内視鏡装置1は、使用前の状態である保管時、或いは輸送時等において、挿入部2aがドラム部3を構成するドラム部本体3bの挿入部巻回部33の外周面に巻回されている。このため、作業者は、内視鏡装置1を、検査作業を行う場所に運搬した際、まず、第1設置部4b又は第2設置部4cを地面或いは床上に配置する。次いで、作業者は、ドラム部3の挿入部巻回部33に巻回されている挿入部2aを必要量、挿入部収納空間35から引き出して、検査等を行う。
【0032】
そして、検査終了後、作業者は、円板部32のハンドル用凹部32a内に折りたたまれていた回転ハンドル37を立設させ、この回転ハンドル37を把持してドラム部本体3b及び挿入部収納筒3aを、挿入部2aを巻き取る方向に回転させる。すると、挿入部2aは、挿入部収納筒3aを構成する挿入部巻回部33の巻き取り領域33eに巻き取られる。
【0033】
第1設置部4bを床上に配置した図3に示す横置きの場合、巻き取り領域33eに巻き取られた挿入部2aは、巻き取り領域33eの周面に密着するように巻き取られる。この巻き取り時、巻き取り領域33eがテーパー面33fとして形成されているため、巻き取り領域33eに当接して押圧力が働くと同時にテーパー面33fから挿入部2aに対して、該挿入部2aを収納領域33d側に移動させようとする分力が働く。このことによって、挿入部2aが収納領域33d側に移動される。
【0034】
つまり、挿入部2aは、ドラム部3の回転に伴って、挿入部巻回部33の巻き取り領域33eに巻き取られ、その後、挿入部収納空間35内に連続的に巻かれて収納されていく。そして、巻回終了状態において、挿入部2aの可撓管部2dは、挿入部巻回部33に一列の螺旋形状で巻き取られ、挿入部収納筒3a内の挿入部収納空間35内に配置される。このとき、挿入部2aの可撓管部2dの一部及び湾曲部2cは、凹部31より外部に露出した巻き取り領域33eに巻き取られ、先端部2bは保持部材38の貫通孔内に挿通される。このことによって、挿入部2aの先端部2bが保持部材38に保持される。
【0035】
上述した実施形態においては、ドラム部3を横置きにした場合を説明したが、ドラム部3を図4に示すように縦置きにした場合にも、巻き取り領域33eに巻き取られた挿入部2aは、巻き取り領域33eに巻き付けられて押圧力が働くと同時に、テーパー面33fによって収納領域33d側に移動される。この後、挿入部2aは、重力によって、挿入部収納空間35内に連続的に巻回状態で積み重ねられていく。そして、巻回終了状態においては、ドラム部3に一列に積層された状態で収納される。
【0036】
このように、ドラム部を構成する挿入部巻回部に巻き取り領域を設け、その巻き取り領域に収納領域方向に向かって傾斜する傾斜面を設ける。このことによって、ドラム部を巻き取り方向に回転させて挿入部を巻き取り領域に巻き取ると同時に、その挿入部を収納領域に移動させて、巻き取り領域に巻き取られていく挿入部を連続的に挿入部収納空間内に巻き取り収納することができる。
【0037】
また、挿入部収納筒の収納凹部内に挿入部巻回部を配設して構成される挿入部収納空間の幅寸法を、挿入部の直径の二倍未満で、且つ、挿入部が該挿入部収納空間内で移動可能なように挿入部の直径より大きく設定したことによって、挿入部をスムーズに挿入部収納空間内に一巻きずつ積み重ねて螺旋状に収納することができる。
【0038】
これらのことによって、検査終了後の長尺な挿入部の巻き取り作業を簡便に行えるので、作業者の負担が大幅に軽減される。また、挿入部が挿入部巻回部に一列の螺旋形状で巻き取られているため、再度、検査を行う際には該挿入部をドラム部からスムーズに引き出せる。
【0039】
なお、上述した実施形態においては、巻き取り領域33eをテーパー面33fとしている。しかし、テーパー面は、巻き取り領域33eに限らず、図5に示すように挿入部巻回部33の全長に渡ってテーパー面を設ける構成にしてもよい。
【0040】
具体的には、挿入部巻回部33の外周面を円板部32側から底面34側に行くにしたがって細径に変化するテーパー面33gとして形成する。このことによって、よりスムーズに挿入部2aを巻き取り領域33eから収納領域33dに移動させて、挿入部2aを挿入部収納空間35内に一列に巻回して収納することができる。
【0041】
また、上述した実施形態においては、巻き取り領域33eの外周面、或いは挿入部巻回部33の外周面33cをテーパー面33f、33gにするとしている。しかし、図6に示すように外周面33cの一部に該外周面33cから突出して長手軸方向に伸びる凸部33hを設け、その凸部33hの外面33kを円板部32側から底面34側に行くにしたがって高さが徐々に低くなる傾斜面として形成するようにしても良い。
このことによって、巻き取り領域33eの外周面及び挿入部巻回部33の外周面33cにテーパー面33f、33gを形成した場合と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0042】
また、可撓管部2dは、弾発性を有する可撓性部材で形成されている。このため、ドラム部3を縦置きにしてドラム部3を回転させ、挿入部2aの可撓管部2dを巻き取り領域33eに巻き取った際、可撓管部2dは、一旦、巻き取り領域33eの周面に密着するが、弾発力によって周面から離間する。
【0043】
そして、離間後、挿入部2aは重力によって収納領域33dに向かって落下移動する。そのため、縦置きの場合、巻き取り領域33eの外周面及び挿入部巻回部33の外周面33cは、テーパー面33f、33gを形成することなく、ストレート形状であってもよい。
【0044】
即ち、フレーム部4に設けられる第2設置部4cは、挿入部移動手段であって、フレーム部4に第2プレート42だけを設けることによって、ドラム部3を縦置きにして、挿入部2aを挿入部収納空間35に連続して一列に巻き取り収納することが可能になる。
【0045】
この構成によれば、巻き取り領域33eの外周面及び挿入部巻回部33の外周面33cにテーパー面33f、33gを形成することなく、ドラム部3の回転に伴って巻き取り領域33eに巻き取られる挿入部2aを収納領域33d側に移動させて挿入部2aを収納することができる。
【0046】
図7及び図8は縦置き型ドラム部の変形例に係り、図7は縦置き型のドラム部を有する内視鏡装置の構成を説明する図、図8は図7のドラム部の構成を説明する図である。
図7に示すように内視鏡装置1Aは、挿入部2aが巻回されるドラム部3Aと、このドラム部3Aが固設されるフレーム部4Aと、を備えて構成されている。
【0047】
図7、図8に示すようにドラム部3Aは、一対の挿入部収納筒3a1と、ドラム部本体3b1と、一対の保持板3cと、を備えて構成されている。
挿入部収納筒3a1は、筒形状であって凹部31を有している。ドラム部本体3b1は、例えばストレート形状の管部材であって、挿入部巻回部を構成する。ドラム部本体3b1の有する貫通孔である内部空間3b2内には、例えば、光学素子、電源部、CPU、湾曲部2cを湾曲動作させる駆動モータ、流体供給部等が配設されるようになっている。
【0048】
ドラム部本体3b1の両端面は、それぞれ挿入部収納筒3a1の凹部31の底面34に締結部材、或いは接着剤によって一体に固定される。ドラム部本体3b1がそれぞれの底面34に固定された状態において、ドラム部本体3b1の中心軸と挿入部収納筒3a1の中心軸とは一致している。
【0049】
凹部31の底面34にドラム部本体3b1を固定したことによって、ドラム部3Aには、挿入部収納筒3a1の凹部31の内面31aからドラム部本体3b1の外周面3b3に至る幅の環状な挿入部収納空間35が構成される。
【0050】
前記凹部31の深さ及び内径は、挿入部2aの直径及び長さを考慮して設定される。一方、ドラム部本体3b1の長さは、一対の挿入部収納筒3a1の凹部31の深さ及びそれぞれの凹部31の開口31bから露出する巻き取り領域33eの長さによって設定される。
【0051】
具体的に、本実施形態において、巻き取り領域33eは、例えば挿入部2aを二巻き分、巻回可能な長さに設定してある。この結果、本実施形態のドラム部本体3b1は、凹部31内に配設されて挿入部収納空間35を構成する2つの収納領域33dと、それぞれの凹部31から外部に露出された巻き取り領域33eとを有して構成される。
【0052】
それぞれの保持板3cは、例えば円形であって、固定部3c2の一面側の予め定められた位置に複数のベアリング36が環状に備えられている。そして、それぞれの保持板3cは、ドラム部本体3b1が一体に固定される挿入部収納筒3a1に対して回動自在に取り付けられる。
【0053】
ドラム部3Aは、フレーム部4Aに固定される。フレーム部4Aは、直方体形状のパイプフレーム4aと、該フレーム4aに対向して設けられ、それぞれ第2設置部4cを構成する第2プレート42a、42bとにより構成されている。即ち、本実施形態の内視鏡装置1Aにおいては、第2プレート42aを地面或いは床上に配置した第1の縦置きと、第2プレート42bを地面或いは床上に配置した第2の縦置きとが可能な構成になっている。
その他の構成は上述した実施形態と同様であり、同部材には符号を付して説明を省略する。
【0054】
上述のように構成した内視鏡装置1Aの作用を説明する。
まず、作業者は、内視鏡装置1Aを検査作業場所まで運搬し、第2プレート42a、又は第2プレート42bを地面或いは床上に配置する。次いで、作業者は、ドラム部3Aのドラム部本体3b1に巻回されている挿入部2aを必要量、挿入部収納空間35から引き出して、検査等を行う。
【0055】
検査終了後、作業者は、ドラム部本体3b1及び挿入部収納筒3a1を、挿入部2aを巻き取る方向に回転させる。すると、挿入部2aは、ドラム部本体3b1の巻き取り領域33eに巻き取られる。巻き取り領域33eに巻き取られた挿入部2aは、上述したように一旦巻き取り領域33eの周面に密着した後、可撓管部2dの弾発力によって周面から離間し、その後、重力によって収納領域33dに向かって落下移動していく。そして、挿入部2aは、重力によって、挿入部収納空間35内に連続的に巻回状態で積み重ねられて収納される。
【0056】
このように、ドラム部に設けた一対の挿入部収納筒の凹部開口から露出する巻き取り領域を中央に設け、その巻き取り領域の両側に収納領域を設けるととともに、フレーム部の対向する位置のそれぞれに第2設置部を構成する第2プレートを設けている。このことによって、対向する位置に設けられた何れかの第2プレートを地面、或いは床上に配置することにより、挿入部を連続的に挿入部収納空間内に巻き取り収納することができる。その他の作用及び効果は上述した実施形態と同様である。
【0057】
図9、図10は本発明の第2実施形態に係り、図9は挿入部が露出することを防止するスライドカバーを備えるドラム部を有する内視鏡装置の構成を説明する図、図10はスライドカバーを有するドラム部の構成を説明する図である。
なお、図9における左側段面は、挿入部を挿入部収納空間から引き出した状態を説明する図であり、右側断面は挿入部を挿入部収納空間内に巻回した状態を説明する図である。
【0058】
図9、図10に示すように本実施形態の内視鏡装置1Bは、挿入部2aが巻回されるドラム部3Bと、このドラム部3Bが固設されるフレーム部4と、を備えて構成されている。
ドラム部3Bは、筒体3dと、ドラム部本体3bと、保持板3cと、付勢部材支持体3eと、付勢部材であるコイルバネ3fと、挿入部脱落防止カバーを兼用するカバー兼用挿入部収納筒(以下、兼用筒)3a2とを備えて構成されている。
本実施形態において、ドラム部本体3bは、円板部32と、この円板部32に一端面側が固設される挿入部巻回部33とを備えて構成される。円板部32の外径は、兼用筒3a2の外径と同径、或いはそれよりも大径である。
【0059】
筒体3dは、筒形状であって、付勢部材支持体3e、コイルバネ3f、及び兼用筒3a2が配置される内部空間を有する。付勢部材支持体3eは、例えば筒状であって筒体3dの底面にネジ等によって固定される。コイルバネ3fは、押しバネであって、付勢部材支持体3eの縁部上に載置される。兼用筒3a2は、コイルバネ3f上に載置される。
【0060】
兼用筒3a2は、筒形状であって凹部31を有している。凹部31の底面には貫通孔39が形成されている。兼用筒3a2の外周面は、筒体3dの内周面に対して摺動自在に配置され、貫通孔39は挿入部巻回部33に対して移動自在に配置される。
【0061】
挿入部巻回部33の他端面は、前記貫通孔39を通過して付勢部材支持体3eの凹部底面3e1に配置され、ネジ等によって一体に固定されている。挿入部巻回部33が該底面3e1に固定された状態において、ドラム部本体3bの中心軸と筒体3dの中心軸とは一致している。
【0062】
凹部底面3e1に挿入部巻回部33を固定したことによって、ドラム部3Bには、兼用筒3a2の凹部31の内面31aから挿入部巻回部33の外周面33cに至る幅の環状な挿入部収納空間35が構成される。
【0063】
前記凹部31の深さ及び内径は、挿入部2aの直径及び長さを考慮して設定される。一方、挿入部巻回部33の長さは、付勢部材支持体3eの縁部の高さ、兼用筒3a2の高さ、及び兼用筒3a2のコイルバネ3fによる移動量等を基に設定される。
【0064】
兼用筒3a2の外周面には、一対の取手50が設けられている。取手50は、兼用筒3a2をコイルバネ3fの付勢力に抗して押し下げる際に使用される把持部であると共に、兼用筒3a2を挿入部出し入れ位置、及び挿入部被覆位置に配置させる保持部を兼ねている。
【0065】
そして、円板部32の一平面上には、取手50を引っ掛けることが可能な一対の第1フック51が設けられ、筒体3dの外周面には取手50を引っ掛けることが可能な一対の第2フック52が設けられている。
【0066】
図9の中心線より右側の図に示すように、兼用筒3a2は、コイルバネ3fの付勢力によって、兼用筒3a2の開口側端面が円板部32の他平面に当接する構成になっている。この当接状態において、取手50を第1フック51に引っ掛けることによって、兼用筒3a2は、挿入部被覆位置に保持される。このことによって、挿入部巻回部33に巻回された挿入部2aが、外部に対して露出されることなく収納される。
【0067】
一方、図9の中心線より左側の図に示すように、兼用筒3a2をコイルバネ3fの付勢力に抗して筒体3dの底面方向に移動させて、取手50を第2フック52に引っ掛けることにより、兼用筒3a2と筒体3dとを一体な状態にして、兼用筒3a2が挿入部出し入れ位置に保持される。
【0068】
兼用筒3a2が挿入部出し入れ位置に保持されることによって、兼用筒3a2の開口端と円板部32との間に、挿入部2aを挿入部巻回部33から導出させる、或いは挿入部2aを挿入部巻回部33に導く隙間53が形成される。この隙間53の幅は、挿入部2aが例えば二巻き分、挿通可能な大きさである。
【0069】
本実施形態の挿入部巻回部33は、兼用筒3a2の凹部31内に配設されて挿入部収納空間35を構成する収納領域33dと、前記隙間53に対向して挿入部2aの巻き取りを行う巻き取り領域33eとを備える。本実施形態において、巻き取り領域33e、及び収納領域33dは、ストレート形状に形成されている。
【0070】
保持板3cは、例えば円形であって、保持板3cの固定部3c2の一面側の予め定められた位置に複数のベアリング36が環状に備えられている。そして、ドラム部本体3b、付勢部材支持体3e、コイルバネ3f、及び兼用筒3a2が一体な筒体3dが、保持板3cの回転部3c1を介して固定部3c2に対して回動自在に取り付けられる。
【0071】
ドラム部3Bは、フレーム部4に固定される。フレーム部4は、直方体形状のパイプフレーム4aと、第2設置部4cを構成する平板である第2プレート42とを備えて構成されている。第2プレート42の設置面に対向する取り付け面には、保持板3cの固定部3c2がネジ等によって一体的に固定される。
【0072】
このことによって、フレーム部4に回動自在な筒体3d、兼用筒3a2及びドラム部本体3b等を備えたドラム部3Bを取り付けた内視鏡装置1Bが構成される。
その他の構成は上述した第1実施形態等と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0073】
上述のように構成した内視鏡装置1Bの作用を説明する。
内視鏡装置1Bは、使用前の状態である保管時、或いは輸送時等において、兼用筒3a2が挿入部被覆位置に配置されている。そして、挿入部2aは、兼用筒3a2内に配置された挿入部巻回部33の外周面に巻回されている。このため、運搬中等において、挿入部2aがドラム部3Bから脱落することが防止されている。
【0074】
作業者は、内視鏡装置1Bを、検査場所に運搬した際、まず、第2設置部4cを地面等に配置する。次に、作業者は、取手50を把持して兼用筒3a2を挿入部被覆位置から挿入部出し入れ位置まで移動させ、取手50を第2フック52に引っ掛ける。次いで、作業者は、ドラム部3Bの挿入部巻回部33に巻回されている挿入部2aを、隙間53を介して必要量、挿入部収納空間35から引き出して、検査等を行う。
【0075】
そして、検査終了後、作業者は、ドラム部本体3b、兼用筒3a2及び筒体3dを、挿入部2aを巻き取る方向に回転させる。すると、挿入部2aは、隙間53を介して挿入部巻回部33の巻き取り領域33eに巻き取られていく。巻き取り領域33eに巻き取られた挿入部2aは、上述したように一旦該領域33eの周面に密着した後、可撓管部2dの弾発力によって周面から離間し、その後、重力によって収納領域33dに向かって落下移動していく。そして、挿入部2aは、重力によって、挿入部収納空間35内に連続的に積み重ねられて収納される。
【0076】
巻き取り作業終了後、作業者は、取手50を第2フック52から取り外す。すると、兼用筒3a2は、コイルバネ3fの付勢力によって円板部32側に移動され、兼用筒3a2の開口端面が円板部32の他平面に当接する。ここで、取手50を再び、第1フック51に引っ掛けて、兼用筒3a2を挿入部被覆位置に保持させる。このことによって、挿入部2aが、挿入部収納空間35から脱落することが確実に防止される。
【0077】
このように、ドラム部を構成する筒体内に、所定の距離移動可能な兼用筒を設ける。このことによって、挿入部を挿入部巻回部に巻き取った状態で、兼用筒を挿入部被覆位置に保持させることによって、挿入部巻回部に巻き取られた挿入部がドラム部から脱落することを確実に防止することができる。一方、兼用筒を挿入部出し入れ位置に移動させて保持することによって、挿入部巻回部に巻き取られている挿入部を外部に引き出す作業、及び外部に引き出されている挿入部を再び挿入部巻回部に巻き取る作業を容易に行うことができる。
その他の作用及び効果は上述した実施形態と同様である。
【0078】
なお、上述した実施形態においては、コイルバネ3fを付勢部材支持体3e上に載置し、その載置されたコイルバネ3fの上に兼用筒3a2を載置して、兼用筒3a2を筒体3dの内周面に対して摺動する構成にしている。しかし、付勢部材を用いることなく、図11−図14に示すようにドラム部本体を挿入部収納筒に対して移動可能な構成にして内視鏡装置1Cを構成するようにしてもよい。
【0079】
図11−図14は運搬時等に挿入部が露出することを防止したドラム部の他の構成例にかかり、図11は挿入部収納筒に対して移動可能なドラム部本体を備えるドラム部を説明する図、図12は図11のXII−XII線断面図、図13は図11のXIII−XIII線断面図、図14は図11のXIV−XIV線断面図である。
なお、図11における左側段面は、挿入部を挿入部収納空間に収納した状態を説明する図であり、右側断面は挿入部を挿入部収納空間内から引き出した状態を説明する図である。
【0080】
図11−図14に示すようにドラム部3Cは、挿入部収納筒61と、ドラム部本体62と、保持板3cと、を備えて構成されている。
挿入部収納筒61は、筒形状であって後述する挿入部収納空間を構成する凹部31を有している。本実施形態において、ドラム部本体62は、凹部31内に移動自在に配置される。
【0081】
ドラム部本体62は、円板部32と、この円板部32に固設される管部材63とを備えて構成される。管部材63は、外周面63aから外側方向に突出する外フランジ63bと、内周面63cから内側方向に突出する内フランジ63dとを備えて構成されている。
【0082】
円板部32は、ドラム部本体62の内フランジ63d側の開口63eを塞ぐようにネジ等によって一体に固定される。円板部32は、該円板部32の中心軸がドラム部本体62の長手軸に一致するように固定されている。そして、円板部32の外径は、外フランジ63bの外径と略同様に構成されている。
【0083】
凹部31の内周面の予め定められた位置には、複数、例えば2つの支持ピン65、及び1つのストッパー板66と、が配置されている。ストッパー板66は、環状板部材であって、管部材63が挿通する貫通孔66aを備えている。
【0084】
複数の支持ピン65及びストッパー板66は、挿入部収納筒61の外周面側から挿通されるネジ等によって凹部31内に一体的に固設されるようになっている。
支持ピン65とストッパー板66との間には、外フランジ63bが配置される。そのため、外フランジ63bには、支持ピン65を通過するため、該ピン65に対応する切り欠き溝63fが形成してある。即ち、切り欠き溝63fの幅は、支持ピン65の直径より大きく形成されている。
【0085】
このことによって、外フランジ63bは、図11の中心線より左側の図に示すように挿入部収納筒61の底面61aに配置された状態と、図11の中心線より右側の図に示すように支持ピン65とストッパー板66との間に配置された状態とに変化可能である。
【0086】
ストッパー板66は、支持ピン側の面の切り欠き溝63fと切り欠き溝63fとの間に外フランジ固定部材67を有している。外フランジ固定部材67は、例えば弾性力を有する樹脂製部材で形成され、図11の破線に示すように両端部に傾斜面67aを備え、その傾斜面67aの間に押圧面67bを備えている。
なお、上述した実施形態においては、ストッパー板66と支持ピン65との間の隙間に外フランジ固定部材67を挟んで摩擦力で固定する構造としている。しかし、その他の構造として、例えば外フランジ固定部材67の底面に支持ピン65の形状に合わせた凹部を設けて位置決めするようにしてもよい。
【0087】
なお、ドラム部本体62の有する内部空間62aには、例えば、光学素子、観察手段に電源を供給する電源部、観察手段に対する信号処理を行うCPU、前記湾曲部2cを湾曲動作させる駆動モータ、流体供給部等が配設されるようになっている。
その他の構成は上述した実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0088】
上述のように構成したドラム部3Cを有する内視鏡装置の作用を説明する。
ドラム部3Cを有する内視鏡装置は、使用前の状態である保管時、或いは輸送時等において、図11の中心線左側図に示すようにドラム部本体62を構成する管部材63の外フランジ63bが挿入部収納筒61の底面61aに配置されている。そして、挿入部2aは、挿入部巻回部33の外周面に巻回されている。このため、運搬中等において、挿入部2aがドラム部3Cから脱落することが防止されている。
【0089】
作業者は、内視鏡装置を、検査場所に運搬した際、まず、図示しない第2設置部を地面等に配置する。次に、作業者は、底面61a上に配置されている外フランジ63bを、支持ピン65上に移動させる。つまり、作業者は、ドラム部本体62を持ち上げ、外フランジ63bを支持ピン65とストッパー板66との間に配置させる。
このとき、作業者は、外フランジ63bの切り欠き溝63fと支持ピン65との位置を合わせ、外フランジ63bを外フランジ固定部材67の押圧面67bに当接させる。
【0090】
この後、作業者は、ドラム部本体62を67の弾性力に抗して時計回り、或いは反時計回りに回転させて、切り欠き溝63fと支持ピン65との位置関係を位置ずれさせる。すると、図11の中心線右側図に示すように外フランジ63bは、支持ピン65とストッパー板66との間に配置され、外フランジ固定部材67の弾性力によって挿入部収納筒61に一体に固定される。
【0091】
外フランジ63bが、支持ピン65上に配置されることによって、円板部32と挿入部収納筒61の開口端との間に、挿入部2aを挿入部巻回部33から導出させる、或いは挿入部2aを挿入部巻回部33に導く隙間53が形成される。
【0092】
次いで、作業者は、ドラム部3Cの挿入部巻回部33に巻回されている挿入部2aを、隙間53を介して必要量、引き出して、検査等を行う。
そして、検査終了後、作業者は、挿入部収納筒61及びドラム部本体62を、挿入部2aを巻き取る方向に回転させる。すると、挿入部2aは、隙間53を介して挿入部巻回部33に巻き取られていく。巻き挿入部巻回部33に巻き取られた挿入部2aは、上述したように一旦、周面に密着した後、可撓管部2dの弾発力によって周面から離間し、その後、重力によって落下移動していく。そして、挿入部2aは、重力によって、挿入部巻回部33に連続的に巻き取られる。
【0093】
巻き取り作業終了後、作業者は、ドラム部本体62を反時計回り、或いは時計回りに回転させて、切り欠き溝63fと支持ピン65との位置を合わせる。そして、外フランジ63bを、支持ピン65を通過させて、底面61a上に配置させる。このことによって、挿入部2aが、挿入部収納筒61の凹部31内から脱落することが確実に防止される。
【0094】
このように、ドラム部を構成する挿入部筒体内に、所定の距離移動可能なドラム部本体を設ける。そして、挿入部筒体の凹部内に支持ピンとストッパー板とを設ける。このことによって、挿入部を挿入部巻回部に巻き取った状態で、ドラム部本体を挿入部筒体の凹部内に配置させることによって、挿入部巻回部に巻き取られた挿入部がドラム部から脱落することを確実に防止することができる。一方、外フランジを支持ピン上に配置させることによって、挿入部巻回部に巻き取られている挿入部を外部に引き出す作業、及び外部に引き出されている挿入部を再び挿入部巻回部に巻き取る作業を容易に行うことができる。
その他の作用及び効果は上述した実施形態と同様である。
【0095】
図15を参照して、操作部から延出する挿入部を収納するドラム部を有する内視鏡装置の構成例を説明する。
図15に示すように本実施形態の内視鏡装置1Dは、内視鏡90、装置本体70及び収納ケースを兼ねるドラム部80を備えて構成されている。ドラム部80は、図示しないフレーム部に回転自在に配設される。ドラム部80は、収納部81A、収納ケース81Bを備え、内視鏡90の操作部93、装置本体70は、収納部81A、首脳ケース81Bに収納されて観察場所、近くまで運搬される。
【0096】
内視鏡90は、挿入部91の先端部92内に撮像素子(不図示)を設けた工業用内視鏡であり、先端部92には光学部材、発光素子等を内蔵されている、或いは光学部材、発光素子等を内蔵した光学アダプタ(不図示)が着脱自在に取り付けられる構成になっている。
【0097】
内視鏡90は、細長で可撓性を有する挿入部91と、この挿入部91の基端部に連設する操作部93とを備えて構成されている。操作部93からは、可撓性を有するユニバーサルコード94が延出している。挿入部91は、先端側から順に、先端部92、例えば上下左右方向に湾曲自在な湾曲部95、および可撓性を有する可撓管部96を連設して構成されている。
なお、本実施形態において、ユニバーサルコード94は、操作部93から着脱可能である。また、操作部93の内部には、挿入部91の湾曲部95を湾曲させる駆動モータが配置されている。
【0098】
ユニバーサルコード94内には、発光素子へ電力を供給する電気ケーブル(不図示)、撮像素子へ駆動制御信号を伝送する信号線及び撮像素子で光電変換された画像信号を伝送する信号線を備えた信号ケーブル(不図示)等が内挿されている。
操作部93は、天面に、湾曲部95を湾曲動作させる操作指示機構である、湾曲操作指示レバー(以下、湾曲レバーと略記する)97を有している。
【0099】
装置本体70は、画像処理部(不図示)、表示装置であるモニター71、電力を供給するバッテリ(不図示)を備えて構成されている。画像処理部は外装筐体72内に設けられ、撮像素子の駆動及びこの撮像素子から出力される画像信号から映像信号を生成する等の処理を行う。モニター71は、装置本体70を構成する外装筐体72にヒンジ(不図示)等を介して回動自在に取り付けられている。本実施形態において、モニター71は、外装筐体72に開閉自在であって、閉状態においては画像表示面の裏面が、外装筐体72の背面側に配置される構成になっている。
【0100】
ドラム部80は、前記第1実施形態と略同様に構成されている。すなわち、ドラム部80は、挿入部収納筒3aと、ドラム部本体3bと、保持板3cと、を備えて構成されている。
本実施形態のドラム部本体3bは、円板部32と、この円板部32に固設される挿入部巻回部33とを備え、ドラム部本体3bの有する内部空間は収納部81Aとして構成されている。挿入部巻回部33には挿入部91の先端部92を支持する孔部83が形成されている。この孔部83は、挿入部収納筒3aの上端面よりも上側の位置に設けられている。
【0101】
本実施形態において、収納部81Aには装置本体70が収納され、収納ケース81Bには操作部90が収納される。
符号82は蓋体であり、収納部81の開口を開状態、或いは閉状態にする。符号82aは挿入部91が挿通する切り欠きである。収納ケース81Bに蓋体を設けるようにしてもよい。
その他の構成は前記第1実施形態と同様であり同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0102】
本実施形態の内視鏡装置1Dは、使用前の状態である保管時、或いは輸送時等において、装置本体70は、収納部81A内に収納され、操作部93及びユニバーサルコード94は収納ケース81B内に収納されている。挿入部91の先端部92を、孔部83内に配置して支持した状態で挿入部91が挿入部巻回部33の外周面に巻回されている。
【0103】
このため、作業者は、内視鏡装置1Dを、検査作業を行う場所に運搬して設置した際、まず、収納部81Aから装置本体70取り出す。この後、孔部83から挿入部91の先端部92を取り出し、先端部92を把持して挿入部巻回部33に巻回されている挿入部91を全て引き出す。その後、収納ケース81Bからユニバーサルコード94と共に操作部90を取り外し、ユニバーサルコード94を接続して検査等を開始する。
【0104】
検査終了後、作業者は、先ず、挿入部91の先端部92を孔部83に挿入し、ドラム部本体3bを回転させて挿入部2aを挿入部巻回部33に巻回する。次に、収納部81内に装置本体70を収納し、収納ケースに操作部93、ユニバーサルコード94を収納する。
【0105】
本実施形態においては、挿入部91の先端側が上述した実施形態で説明したように挿入部収納筒3aを構成する挿入部巻回部33の巻き取り領域33eに巻き取られていく。
【0106】
そして、巻き取り領域に巻き取られた挿入部91は、巻き取り領域に巻き付けられて押圧力が働くと同時に、テーパー面によって収納領域側に移動される。この後、挿入部91は、重力によって、挿入部収納空間内に連続的に巻回状態で積み重ねられていく。そして、巻回終了状態においては、ドラム部3に一列に積層された状態で収納される。
【0107】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0108】
1…内視鏡装置 2…内視鏡 2a…挿入部 2b…先端部 2c…湾曲部
2d…可撓管部 3…ドラム部 3a…挿入部収納筒 3a2…兼用筒
3b…ドラム部本体 3b1…ドラム部本体 3b2…内部空間 3b3…外周面
3c…保持板 3c1…回転部 3c2…固定部 3d…筒体 3e…付勢部材支持体 3e1…凹部底面 3f…コイルバネ 4…フレーム部
4a…パイプフレーム 4b…第1設置部 4c…第2設置部 31…収納凹部
31a…内面 31b…開口 32…円板部 32a…ハンドル用凹部
33…挿入部巻回部 33a…開口 33b…内部空間 33c…外周面
33d…収納領域 33e…巻き取り領域 33f、33g…テーパー面
33h…凸部 33k…外面 34…底面 35…挿入部収納空間
36…ベアリング 37…回転ハンドル 38…保持部材 39…貫通孔
41…第1プレート 42…第1プレート 42a、42b…第2プレート
50…取手 51…第1フック 52…第2フック 53…隙間
61…挿入部収納筒 61a…底面 62…ドラム部本体 62a…内部空間
63…管部材 63a…外周面 63b…外フランジ 63c…内周面
63d…内フランジ 63e…開口 63f…切り欠き溝 65…支持ピン
66…ストッパー板 66a…貫通孔 67…外フランジ固定部材
67a…傾斜面 67b…押圧面 70…装置本体 71…モニター
72…外装筐体 80…ドラム部 81A…収納部 81B…収納ケース
82…蓋体 82a…切り欠き 83…孔部 90…内視鏡 91…挿入部
92…先端部 93…操作部 94…ユニバーサルコード 95…湾曲部
96…可撓管部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長な挿入部と、前記挿入部が巻回される外周面を有する挿入部巻回部及び前記挿入部が配置される収納凹部を備えた挿入部収納筒を有する回動自在なドラム部と、前記ドラム部を保持する支持体と、を備える内視鏡装置において、
前記挿入部巻回部に前記収納凹部内に配置される挿入部収納領域と、前記収納凹部から露出されて前記挿入部を巻き取る巻き取り領域とを設け、前記ドラム部又は前記支持体の少なくとも一方に前記巻き取り領域に巻き取られた挿入部を該収納領域に移動させる挿入部移動手段を設けたことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記挿入部巻回部は、前記挿入部収納筒の収納凹部内に固設され、
前記挿入部巻回部の前記挿入部収納領域に移動される挿入部は、前記挿入部巻回部の外周面と前記収納凹部の内周面とで構成される環状の挿入部収納空間に収納されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記挿入部収納空間の幅寸法は、前記挿入部の直径の二倍未満で前記挿入部の直径より大きいことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記支持体は、少なくとも前記ドラム部を該ドラム部の長手軸を水平に配置させる設置面を有する第1設置部、又は前記ドラム部の長手軸を鉛直に配置させる設置面を有し、前記挿入部移動手段を兼ねる第2設置部のいずれかを備えることを特徴とする請求項1−3の何れか1項に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記ドラム部の長手軸を水平に配置させて使用する形態において、
前記挿入部巻回部は、当該挿入部巻回部の巻き取り領域側から前記挿入部巻回部の挿入部収納領域側に向かって鉛直下方に傾く傾斜面であることを特徴とする請求項1−3の何れか1項に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記挿入部移動手段は、前記挿入部巻回部の少なくとも前記巻き取り領域に設けられる傾斜面であって、
前記傾斜面は、前記巻き取り領域側から前記収納領域に向かうにしたがって外径が徐々に小さくなるテーパー面であることを特徴とする請求項1−5の何れか1項に記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−136059(P2011−136059A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298371(P2009−298371)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】