説明

内視鏡装置

【課題】撮像素子の出力回路として、過電圧保護回路のないトランジスタの回路を使用した場合に、映像信号ラインと接地ラインが短絡しても、トランジスタが破壊しない内視鏡装置を提供する。
【解決手段】内視鏡装置1は、映像信号処理回路9を有する本体部2と内視鏡とを有する。内視鏡は、エミッタが抵抗器13を介して電源に接続され、コレクタが接地され、かつCCD5からの映像信号処理回路9への出力信号がベースに入力されるPNP型トランジスタ11、又はソースが抵抗器13を介して電源に接続され、ドレインが接地され、かつCCD5からの映像信号処理回路9への出力信号がゲートに入力されるP型チャンネル電界効果トランジスタを含む内視鏡先端部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡装置が工業分野及び医療分野で広く利用されている。ユーザは、内視鏡装置の挿入部を被検体の観察したい部分に向けることにより、挿入部の先端部に設けられた撮像素子により撮像された被検体映像をモニタに表示させて、被検体の検査等を行うことができる。
【0003】
図6は、従来の内視鏡装置の構成を説明するための構成図である。内視鏡装置101は、本体部102と、本体部102に接続された挿入部103を含んで構成される。挿入部103の先端部104には、撮像素子としてのCCD105と、コンデンサ106と、出力用のバッファ回路107が含まれる。本体部102は、電源回路108と、映像信号処理回路109と、映像表示用のモニタ110を含んで構成されている。先端部104と映像信号処理回路109は、映像信号ラインSLと接地ラインGLを含む同軸ケーブル111により接続されている。同軸ケーブル111は、電源用の電源ラインVLとは別に設けられている。コンデンサ106は、高周波領域における電源VDDのインピーダンスを下げるための電源バイパス用コンデンサである。
【0004】
CCD105の出力は、バッファ回路107を介して映像信号処理回路109に供給される。映像信号処理回路109は、受信した映像信号を処理して、モニタ110に映像信号に基づく映像を表示させる。
【0005】
CCD105自体の出力回路のドライブ能力は高くないので、CCD105の出力が直近で映像信号処理回路109に接続される場合は、CCD105と映像信号処理回路109は直接接続することができる。しかし、内視鏡装置のように、CCD105の出力が長い挿入部103の長い信号ラインを介して映像信号処理回路109に接続される場合は、バッファ回路107を利用してドライブ能力を高くする必要がある。
【0006】
そのバッファ回路107は、エミッタフォロワ回路であり、駆動用のトランジスタ(図6では2段のトランジスタ)と、過電圧保護用の複数のダイオードと抵抗器を含む。図6のバッファ回路107は、4つのピンを有するICチップである。このバッファ回路107により、映像信号ラインと接地ラインが短絡しても、トランジスタが破壊されないように保護される。
【0007】
また、過電圧保護機能を有しない出力バッファ回路を用いた内視鏡装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−148446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述したバッファ回路107は、図6に示すように駆動用のトランジスタと、複数のダイオードと複数の抵抗器を含む。そのため、そのICチップ自体は、小さいとはいえチップのピンも複数有し、サイズも例えば2mm角はあり、内視鏡の先端部104の大きさに対して比較的大きい。例えば、挿入部103の径が5mm等の内視鏡装置の挿入部103の先端部104のような小さい容積の中では、そのICチップ自体は、比較的大きな容積を占めてしまう。よって、挿入部103のさらなる細径化を進める上では、バッファ回路104の大きさは、細径化の障害になっている。
【0010】
そして、同軸ケーブル111の映像信号ラインSLの内部導体と接地ラインGLの外部導体が、バッファ回路107のそれぞれの端子ピンに半田付けにより接続される。
同軸ケーブルは例えば0.3mmの細さであり、バッファ回路107のICチップも上述したように非常に小さいので、半田付けは、非常に細心の注意を必要とし作業性が悪い。半田付けが注意深く行われなければ、芯線である内部導体と外側線である外部導体との短絡、熱により絶縁層の溶解等が発生する。
【0011】
また、挿入部の先端部の細径化のために、図6のようなバッファ回路を用いないで、CCD105の出力段に単体のトランジスタによるエミッタフォロワ回路を用いることもできる。図7は、CCDの出力回路に、単体のトランジスタによるエミッタフォロワ回路を用いた例を示す構成図である。図7において、図6と同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0012】
内視鏡装置101Aにおいて、CCD105の出力は、単体のトランジスタ121を介して映像信号処理回路109へ供給される。トランジスタ121は、NPN型トランジスタである。トランジスタ121のエミッタは抵抗器122を介して同軸ケーブル111の映像信号ラインSLに接続されている。さらに、トランジスタ121のエミッタは抵抗器123を介して同軸ケーブル111の接地ラインGLにも接続されている。抵抗器122は、高周波の画像信号を同軸ケーブル111の映像信号ラインSLに歪みなく送信するためのインピーダンス整合用抵抗器である。抵抗器123は、トランジスタ121をバッファ回路として動作させるために、トランジスタ121に一定のエミッタ電流を常時流しておくための抵抗器である。
【0013】
図7の場合、通常時、電流は、電源VDDからトランジスタ121と抵抗器123を介して接地ラインGLに流れる。
しかし、映像信号ラインSLと接地ラインGLが短絡すると、抵抗器122の抵抗値は、抵抗器123の抵抗値よりも小さいので、抵抗器122には過大な電流が流れる。その結果、トランジスタ121あるいは抵抗器122が破壊する。
【0014】
内視鏡装置の場合、電源電圧は10数ボルトの電圧で比較的高圧である。よって、そのような短絡等があると、トランジスタ121は、許容電力損失が小さいと、容易に破壊されてしまう。
【0015】
また、同様に、図8に示すような、CCD105の出力段に単体のトランジスタによるエミッタフォロワ回路を用いることもできる。図8は、CCDの出力回路に、単体のトランジスタによるエミッタフォロワ回路を用いた他の例を示す構成図である。図8では、抵抗器123は、トランジスタ121のエミッタに直接接続せず、抵抗器122と映像信号ラインSLを介して接続されている。抵抗器123は、抵抗器122と映像信号ラインSLを介してトランジスタ121のエミッタに接続されていても、図7と同様の機能を果たす。図8において、図7と同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0016】
図8の場合も、通常時、電流は、電源VDDからトランジスタ121、抵抗器122、映像信号ラインSL及び映像信号処理回路109を介して接地ラインGLに流れる。
しかし、映像信号ラインSLと接地ラインGLが短絡すると、抵抗器122の抵抗値は、抵抗器123の抵抗値よりも小さいので、電流は、電源VDDからトランジスタ121、抵抗器122及び映像信号ラインSLを介して接地ラインGLに流れる。すなわち、抵抗器122には過大な電流が流れる。その結果、トランジスタ121あるいは抵抗器122が破壊する。
【0017】
従って、図7と図8に示すように、挿入部の細径化のために単体のトランジスタを使用することができるが、そのトランジスタの許容電力損失が小さいと、短絡時にトランジスタが破壊されてしまうという問題があった。
【0018】
また、短絡によりトランジスタが破壊した場合に、先端部104からトランジスタだけを取り替えるということも、内視鏡先端部における作業スペースが狭く、容易ではない。
【0019】
そこで、本発明は、撮像素子の出力回路として、過電圧保護回路のないトランジスタの回路を使用した場合に、映像信号ラインと接地ラインが短絡しても、トランジスタが破壊しない内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一態様によれば、映像信号処理回路を有する本体部と、エミッタが抵抗成分を有する素子を介して電源に接続され、コレクタが接地され、かつ撮像素子からの前記映像信号処理回路への出力信号がベースに入力されるPNP型トランジスタ、又はソースが抵抗成分を有する素子を介して電源に接続され、ドレインが接地され、かつ撮像素子からの前記映像信号処理回路への出力信号がゲートに入力されるP型チャンネル電界効果トランジスタを含む内視鏡先端部を有する内視鏡挿入部と、を有する内視鏡装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の内視鏡装置によれば、撮像素子の出力回路として、過電圧保護回路のないトランジスタの回路を使用した場合に、映像信号ラインと接地ラインが短絡しても、トランジスタが破壊しない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係わる内視鏡装置1Aの構成を示す構成図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係わる内視鏡装置1Bの構成を示す構成図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態の変形例に係る内視鏡装置1Cの構成を示す構成図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係わる、トランジスタとしてP型チャンネルFETを用いた内視鏡装置1Dの構成を示す構成図である。
【図6】従来の内視鏡装置の構成を説明するための構成図である。
【図7】CCDの出力回路に、単体のトランジスタによるエミッタフォロワ回路を用いた例を示す構成図である。
【図8】CCDの出力回路に、単体のトランジスタによるエミッタフォロワ回路を用いた他の例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
(構成)
まず図1に基づき、本実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を説明する。図1は、本実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【0024】
図1に示すように、内視鏡装置1は、本体部2と、本体部2に接続された内視鏡の挿入部3とを含んで構成されている。挿入部3の先端部4には、撮像素子としてのCCD5と、電源バイパス用のコンデンサ6と、コレクタ接地のPNP型トランジスタ11と、抵抗器12、13とが含まれる。CCD5の出力は、PNP型トランジスタ11と抵抗器12を介して本体部の映像信号処理回路9に出力される。CCD5の出力は、PNP型トランジスタ11のベースに接続されている。
【0025】
PNP型トランジスタ11のエミッタは、抵抗器12と13の接続点に接続されている。抵抗器13の前記接続点とは反対側は、電源ラインVLに接続されている。
抵抗器12の抵抗値は、抵抗器13の抵抗値よりも小さい。例えば、抵抗器12は略50オームで、抵抗器13は、略300オームである。
【0026】
抵抗器12の前記接続点とは反対側は、映像信号ラインSLに接続されている。PNP型トランジスタ11のコレクタは、接地ラインGLに接続されている。同軸ケーブル7の芯線と外側線が、それぞれ映像信号ラインSLと接地ラインGLである。
【0027】
すなわち、内視鏡の挿入部3は、先端部4内にPNP型トランジスタ11を含む内視鏡の先端部4を有する。そして、PNP型トランジスタ11では、エミッタは、抵抗成分を有する素子である抵抗器13を介して電源回路8からの電源に接続され、コレクタは接地され、かつ撮像素子であるCCD5からの映像信号処理回路9への出力信号がベースに入力されている。
【0028】
本体部2は、電源回路8と、映像信号処理回路9と、映像表示用のモニタ10を含んで構成されている。
【0029】
先端部4と映像信号処理回路9は、映像信号ラインSLと接地ラインGLを含む同軸ケーブル7により接続されている。同軸ケーブル7は、電源用の電源ラインVLとは別に設けられている。なお、CCD5の駆動パルス等のための信号ラインも挿入部3内に挿通されているが、ここでは、図示せず、省略している。
コレクタ接地のPNP型トランジスタ11は、CCD5の出力を、抵抗器12を介して映像信号処理回路9に供給する。映像信号処理回路9は、受信した映像信号を処理して、モニタ10に映像信号に基づく映像を表示させる。
(作用)
通常時、電流は、電源VDDから抵抗器13とPNP型トランジスタ11を介して接地ラインに流れる。
しかし、映像信号ラインSLと接地ラインGLが短絡すると、電流は、電源VDDから抵抗器13と12を介して接地ラインGLに流れる。
【0030】
これは、抵抗器12の抵抗値が抵抗器13の抵抗値よりも小さく、短絡時にはPNP型トランジスタ11のベース・エミッタ間には逆方向バイアスがかかるので、PNP型トランジスタ11には、電流が流れないからである。従って、PNP型トランジスタ11は破壊しない。
【0031】
例えば、CCD5の出力電圧が13ボルトで、抵抗器12の抵抗値R1は50オームで、抵抗器13の抵抗値R2が300オームで、電源VDDが15ボルトとする。
【0032】
映像信号ラインSLと接地ラインGLが短絡時のPNP型トランジスタ11のエミッタの電位Veは、次の式から決定される。
【0033】
Ve=VDD(R1/(R1+R2))=15(50/(50+300))=2.1(V)
よって、短絡時のPNP型トランジスタ11のベース・エミッタ間は、逆方向バイアスとなる。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る内視鏡装置によれば、映像信号ラインSLと接地ラインGLが短絡しても、PNP型トランジスタ11のベース・エミッタ間には、逆方向バイアスがかかるようになっているので、PNP型トランジスタ11が破壊しない。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、抵抗器13は、内視鏡先端部4内に配置されているが、本第2の実施の形態は、抵抗器13が本体部2側に設けられている点が、第1の実施の形態と異なる。
【0034】
例えば、第1の実施の形態の構成の場合、上記のように、CCD5の出力電圧が13ボルトで、抵抗器12の抵抗値R1は50オームで、抵抗器13の抵抗値R2が300オームで、電源VDDが15ボルトとした場合、短絡時の抵抗器12と13に流れる電流I1は、次の式から決定される。
【0035】
I1=VDD/(R1+R2)=15/(50+300)=0.043(A)
この電流I1は小さいが、抵抗器13の消費電力W1は、次の式から決定される。
【0036】
W1=R2*I1=300*(0.043)=0.55(W)
この消費電力W1は、十分には小さくない。もしも、抵抗器13の許容電力が0.1ワットであるとすると、抵抗器13が破壊してしまう可能性がある。
【0037】
このように、抵抗器における消費電力が抵抗器の許容電力を超えて、短絡時に抵抗器が破壊されてしまうと、抵抗器13だけを取り替えることは容易ではなく、先端部全体が使用できなくなる場合が発生し得る。
上述したように、例えば、先端部4の径が4mmの先端部4の中の抵抗器13だけを交換することは極めて困難である。
【0038】
そこで、本実施の形態では、小さな先端部内に抵抗器13を設けるのではなく、抵抗器13を本体部2側に設けている。
(構成)
図2は、本実施の形態に係る内視鏡装置1Aの構成を示す構成図である。図2において、図1の内視鏡装置1と同じ構成要素については、同じ符号を付し説明は省略する。
図2の内視鏡装置1Aは、抵抗器13の配置されている場所が本体部2である点が、図1の内視鏡装置1と異なる。
【0039】
すなわち、抵抗成分を有する素子である抵抗器13は、本体部2内において、電源と出力信号の映像信号ラインSL間に設けられている。
PNP型トランジスタ11のエミッタは、抵抗器12と同軸ケーブル7の映像信号ラインSLとを介して、映像信号処理回路9に接続されている。また、映像信号処理回路9には、一端が電源VDDに接続された抵抗器13の他端が接続されている。
(作用)
通常時、電流は、電源VDDから、抵抗器13、同軸ケーブル7の映像信号ラインSL、抵抗器12及びPNP型トランジスタ11を介して接地ラインGLに流れる。
しかし、映像信号ラインSLと接地ラインGLが短絡すると、電流は、電源VDDから、抵抗器13を介して接地ラインGLに流れる。
【0040】
これは、短絡時にPNP型トランジスタ11のベース・エミッタ間には逆方向バイアスがかかるので、PNP型トランジスタ11と抵抗器12には、電流が流れないからである。従って、PNP型トランジスタ11は破壊しない。
【0041】
上記同様に、例えば、CCD5の出力電圧が13ボルトで、抵抗器12の抵抗値R1は50オームで、抵抗器13の抵抗値R2が300オームで、電源VDDが15ボルトとする。
【0042】
短絡時に抵抗器13に流れる電流I2は、次の式から決定される。
【0043】
I2=VDD/R2=15/300=0.05(A)
このときの消費電力W2は、次の式から決定される。
【0044】
W2=R2*(I2)=0.05*(0.05)=0.75(W)
よって、抵抗器13の許容電力が例えば0.1ワットであると、抵抗器13は破壊する虞があるが、抵抗器13は、本体部2にあるため、作業スペースは広く、抵抗器13の交換は容易である。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る内視鏡装置によれば、映像信号ラインSLと接地ラインGLが短絡しても、PNP型トランジスタ11のベース・エミッタ間には、逆方向バイアスがかかるようになっているので、PNP型トランジスタ11が破壊しない。さらに、抵抗器13が破壊しても、その交換は容易である。
(第3の実施の形態)
上記第2の実施の形態では、抵抗器13は、本体部2側に配置されているが、本第3の実施の形態は、抵抗器13が本体部2と内視鏡のコネクタ部に設けられている点が、第2の実施の形態と異なる。
(構成)
図3は、本実施の形態に係る内視鏡装置1Bの構成を示す構成図である。図3に示すように、本実施の形態の内視鏡装置1Bでは、内視鏡の挿入部3を本体部2に対して着脱自在にするために、挿入部3の途中にコネクタ31が設けられている。コネクタ31は、挿入部3側のコネクタ部31aと、本体部2側のコネクタ部31bとからなる。
なお、コネクタ部31bは、本体部2側に固定されていてもよい。例えば、コネクタ31は、コネクタ部31bが本体部2に配設され、挿入部3側のコネクタ31aを本体部2に直付けするようなコネクタであってもよい。
【0045】
コネクタ31は、本体部2と挿入部3間の電源ラインVLと、同軸ケーブル7の映像信号ラインSLと、接地ラインGLを電気的に接続するコネクタである。なお、CCD5の水平及び垂直の駆動信号ライン等(図示せず)も、本体部2と挿入部3間でコネクタ31によって電気的に接続されている。
抵抗器13は、コネクタ部31a内において、電源ラインVLと映像信号ラインSL間に設けられている。
すなわち、抵抗成分を有する素子である抵抗器13は、内視鏡の先端部4を含む挿入部3と本体部2とを接続するコネクタ内において、電源と出力信号の映像信号ラインSL間に設けられている。
(作用)
通常時、電流は、電源VDDから、抵抗器13、同軸ケーブル7の映像信号ラインSL、抵抗器12及びPNP型トランジスタ11を介して接地ラインGLに流れる。
しかし、映像信号ラインSLと接地ラインGLが短絡すると、電流は、電源VDDから、抵抗器13を介して接地ラインGLに流れる。
【0046】
すなわち、通常時と短絡時の電流の流れは、第2の実施の形態と同様である。よって、PNP型トランジスタ11は破壊しない。
【0047】
さらに、第2の実施の形態と同様に、抵抗器13は、許容電力が低いと破壊されるが、挿入部3側のコネクタ部31a内に設けられているため、作業スペースは広く、抵抗器13の交換は容易である。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る内視鏡装置によれば、映像信号ラインSLと接地ラインGLが短絡しても、PNP型トランジスタ11のベース・エミッタ間には、逆方向バイアスがかかるようになっているので、PNP型トランジスタ11が破壊しない。さらに、抵抗器13が破壊されても、抵抗器13は、コネクタ31内にあるので、交換が容易である。
(変形例)
なお、図3では、抵抗器13は、コネクタ部31aに配置されたが、コネクタ部31bに配置してもよい。図4は、第3の実施の形態の変形例に係る内視鏡装置1Cの構成を示す構成図である。図4に示すように、抵抗器13は、コネクタ31の本体部2側のコネクタ部31b内において、電源ラインVLと映像信号ラインSL間に設けられている。
【0048】
このような構成においても、上述した図3の内視鏡装置1Bと同様の作用と効果を得ることができる。
【0049】
以上のように、上述した各実施の形態及び変形例に係る内視鏡装置によれば、映像信号ラインSLと接地ラインGLが短絡しても、PNP型トランジスタ11のベース・エミッタ間には、逆方向バイアスがかかるようになっているので、PNP型トランジスタ11は破壊しない。
【0050】
さらになお、先端部3に設けられたトランジスタは、上述した各実施の形態及び変形例では、PNP型のバイポーラトランジスタであるが、さらなる変形例として、先端部3に設けられたトランジスタは、P型チャンネル電界効果トランジスタ(FET)でもよい。図5は、トランジスタとしてP型チャンネルFETを用いた内視鏡装置1Dの構成を示す構成図である。
【0051】
図5に示すように、内視鏡装置1D において、CCD5の出力は、P型チャンネルFET41のゲートに接続されている。P型チャンネルFET41のソースは、抵抗器12と抵抗器13の接続点に接続されている。抵抗器13の前記接続点とは反対側は、電源ラインVLに接続されている。P型チャンネルFET41のドレインは、接地ラインGLに接続される。
【0052】
すなわち、内視鏡の挿入部3は、先端部4内にP型チャンネル電界効果トランジスタ41を含む内視鏡の先端部4を有する。そして、P型チャンネル電界効果トランジスタ41では、ソースは、抵抗成分を有する素子である抵抗器13を介して電源回路8からの電源に接続され、ドレインは接地され、かつ撮像素子であるCCD5からの映像信号処理回路への出力信号がゲートに入力されている。
【0053】
図5の構成において、P型チャンネルFET41は、上記のPNP型トランジスタ11と略同一の動作をする。
従って、図5の内視鏡装置1Dにおいても、図1の内視鏡装置1と同様に、映像信号ラインSLと接地ラインGLが短絡しても、P型チャンネルFET41のゲート・ソース間には、逆方向バイアスがかかるようになっているので、P型チャンネルFETが破壊しない。
【0054】
さらになお、図5の内視鏡装置1Dは、図1の構成におけるPNP型トランジスタ11をP型チャンネルFETに置き換えた構成であるが、図2から図4の内視鏡装置におけるPNP型トランジスタをP型チャンネルFETに置き換えても、図2から図4のそれぞれと同様の動作と効果を有する。
【0055】
以上説明したように、上述した各実施の形態及び各変形例によれば、撮像素子の出力回路として、過電圧保護回路のないトランジスタの回路を使用した場合に、映像信号ラインと接地ラインが短絡しても、トランジスタが破壊しない内視鏡装置を提供することができる。
【0056】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1、1B、1C、1D、101、101A、101B 内視鏡装置、2、102 本体部、3、103 内視鏡、4、104 先端部、5、105 CCD、6、106 コンデンサ、7、111 同軸ケーブル、8、108 電源回路、9、109 映像信号処理回路、10、110 モニタ、11 PNP型トランジスタ、31 コネクタ、31a、31b コネクタ部、41 P型チャンネルFET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号処理回路を有する本体部と、
エミッタが抵抗成分を有する素子を介して電源に接続され、コレクタが接地され、かつ撮像素子からの前記映像信号処理回路への出力信号がベースに入力されるPNP型トランジスタ、
又は
ソースが抵抗成分を有する素子を介して電源に接続され、ドレインが接地され、かつ撮像素子からの前記映像信号処理回路への出力信号がゲートに入力されるP型チャンネル電界効果トランジスタ
を含む内視鏡先端部を有する内視鏡挿入部と、
を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記抵抗成分を有する素子は、前記本体部内あるいは前記内視鏡先端部内において、前記電源と前記出力信号の映像信号ライン間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記抵抗成分を有する素子は、前記内視鏡挿入部と前記本体部とを接続するコネクタ内において、前記電源と前記出力信号の映像信号ライン間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記コネクタは、前記内視鏡挿入部を前記本体部に対して着脱自在にするコネクタであることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記抵抗成分を有する素子は、前記コネクタの前記内視鏡挿入部側のコネクタ部内に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記抵抗成分を有する素子は、前記コネクタの前記本体部側のコネクタ部内に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記内視鏡先端部からの映像信号は、同軸ケーブルにより前記本体部に接続されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記撮像素子は、CCDであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−224263(P2011−224263A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99051(P2010−99051)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】