説明

内視鏡

【課題】この発明は、簡便にして容易な処置具の挿入操作を実現し得るようにして、取扱い操作を含む使い勝手の向上を図り得ることにある。
【解決手段】内視鏡本体10の処置具挿入口101に配したアダプター本体12に口元本体13を軸方向に移動自在に配して、アダプター本体12の処置具装着用挿入部11を通して内視鏡本体10の処置具挿入口101に挿入した処置具12の基端部に上記口元本体13に対して着脱自在に装着される操作部材16を取付け配置し、その操作部材16の操作により、該口元本体13をアダプター本体12に対して軸方向に移動させることにより、処置具15の先端部が内視鏡本体10の挿入部11のチャンネル111内及び該挿入部11のチャンネル111より突出した体腔内の処置位置への移動を可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば生体臓器等の内部を観察したり、術部の処置に供される内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内視鏡においては、患者の体腔内に挿入しれ患部を観察する使用形態や、体腔内に挿入した内視鏡に処置具を組み合わせ、開腹することなく粘膜切除などの患部の治療に供されることが知られている。このような内視鏡は、体腔内に挿入したときに体腔内をくまなく観察可能なように、挿入部先端を柔らかく、かつ湾曲動作が可能に構成されている。また、内視鏡は、体腔内の観察を行うだけでなく、患部を処置する目的で使用されることも多いため、ほとんどのものが処置具を挿入可能なチャンネルが設けられている。
【0003】
ところで、このような内視鏡にあっては、例えば先端部を曲げ形状にした状態で、そのチャンネルに、生検鉗子やレーザープローブ等の曲げ抵抗が大きい処置具を挿入する場合、処置具をチャンネル内の挿入するような場合、処置具の先端がチャンネル側面に当接して、チャンネル壁を損傷したりする虞があるために、その挿入操作が非常に面倒であるという問題を有する。
【0004】
そこで、内視鏡を体内に挿入する前に、挿入抵抗が多大となる湾曲位置にあらかじめ処置具を、内視鏡先端部にセットしておく等の方法を採ることが考えられるが、例えば内視鏡挿入時の湾曲操作等により、処置具の先端部が、内視鏡先端から飛び出してしまう虞を有する。
【0005】
また、このような処置具においては、例えば処置具本体の基部に係合部材を軸方向に移動自在に設けて、この係合部材を固定手段を介して内視鏡の処置具挿通口に固定配置することにより、処置具を内視鏡に対して所望の操作位置に容易に挿入可能に構成した処置具固定装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
さらに、処置具には、柔軟な索状部に近接マークを設けて、この近接マークを確認することで、内視鏡への挿入状態を確認可能に構成したものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−94253号公報
【特許文献2】特開平11−309153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の処置具固定装置にあっては、例えば内視鏡を、処置位置に挿入した状態で、処置具を内視鏡の処置具挿通口により挿入すると、所望の処置位置に挿入することが可能であるが、内視鏡の先端部が湾曲状となっているような場合、同様に内視鏡の処置具挿通壁を傷付けたりする虞があり、その挿入操作が面倒であるという問題を有する。
【0008】
また、特許文献2の処置具では、近接マークにより、装着状態を確認することが可能であるが、同様に内視鏡の先端部が湾曲状となっているような場合、その挿入操作が面倒であるという問題を有する。
【0009】
この発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、簡易な構成で、簡便にして容易な処置具の挿入操作を実現し得るようにして、取扱い操作を含む使い勝手の向上を図った内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、内視鏡本体の処置具挿入口に配され、処置具装着用挿入部が前記処置具挿入口に対応して設けられたアダプター本体と、前記アダプター本体の処置具装着用挿入部に軸方向に移動自在に設けられ、該挿入部に挿入された前記処置具の先端部を前記内視鏡本体内の第1の位置と該内視鏡本体より突出した処置操作可能な第2の位置に移動する口元本体と、前記口元本体に配され、前記処置具を保持し、前記口元本体を前記第1の位置及び第2の位置に移動操作する操作部材とを備えて内視鏡を構成した。
【0011】
上記構成によれば、処置具は、その口元本体に挿通された先端部より、アダプター本体の処置具装着用挿入部を通して内視鏡本体の処置具挿入口に挿入された状態で、該口元本体部が操作部材を介して第1の位置に設定されると、その先端部が内視鏡本体内に収容された状態が維持され、該口元本体がアダプター本体に対して第2の位置に移動されると、その先端が内視鏡本体の先端部より処置操作可能に突出される。
【0012】
これにより、処置具を内視鏡本体内に挿入した状態で、内視鏡本体の高精度な挿入操作を簡便にして容易に行うことが可能となり、内視鏡本体の操作後、処置具の処置位置への挿入操作を、内視鏡本体内を傷付けたりすることなく、簡便にして容易に行うことが可能となり、取扱い操作を含む使い勝手の向上を図ることができる。
【0013】
また、この発明は、内視鏡本体の処置具挿入口に配され、処置具装着用挿入部が前記処置具挿入口に対応して設けられたアダプター本体と、前記アダプター本体の処置具装着用挿入部に軸方向に移動自在に設けられた口元本体と、前記処置具を保持し、前記口元本体を前記アダプター本体の処置具装着用挿入部に対向して軸方向に移動させ、前記処置具の先端部を前記内視鏡本体内の第1の位置と該内視鏡本体より突出した処置操作可能な第2の位置に移動操作する操作部材と、前記操作部材の操作に応動して前記口元本体の第2の位置を検出し、前記処置具を動作制御する制御手段とを備えて内視鏡を構成した。
【0014】
上記構成によれば、処置具は、その口元本体に挿通された先端部より、アダプター本体の処置具装着用挿入部を通して内視鏡本体の処置具挿入口に挿入された状態で、該口元本体部が操作部材を介して第1の位置に設定されると、その先端部が内視鏡本体内に収容された状態が維持され、該口元本体が操作部材を介してアダプター本体に対して第2の位置に移動されると、その先端が内視鏡本体の先端部より処置操作可能に突出される。ここで、制御手段は、口元本体の第2の位置を検出し、処置具を動作可能状態に設定する。
【0015】
これにより、処置具を内視鏡本体内に挿入した状態で、内視鏡本体の高精度な挿入操作を簡便にして容易に行うことが可能となり、内視鏡本体の操作後、処置具の処置位置への挿入操作を、内視鏡本体内を傷付けたりすることなく、簡便にして容易に行うことが可能となり、しかも、その処置位置における信頼性の高い高精度な処置操作を行うことが可能となり、取扱い操作を含む使い勝手の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように、この発明によれば、簡易な構成で、簡便にして容易な処置具の挿入操作を実現し得るようにして、取扱い操作を含む使い勝手の向上を図った内視鏡を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、この発明の一実施の形態に係る内視鏡を示すもので、内視鏡本体10には、例えば体腔内に挿入される挿入部11が延設される。この挿入部11は、その先端部が、上記内視鏡本体10の手元側に配される図示しない操作部を介して湾曲操作可能に設けられる。
【0019】
また、内視鏡本体10には、処置具挿入口101が設けられ、この処置具挿入口101は、上記挿入部11内に穿設されるチャンネル111の基端に連通される。そして、この処置具挿入口101には、例えばT字管型のアダプター本体12の一端が取付けられ、このアダプター本体12の他端部には、筒状の口元本体13がOリング14を介して軸方向(矢印A,B方向)に移動自在で、且つ、水密構造に組付けられる。
【0020】
上記アダプター本体12には、その外周部に案内突部121が設けられ、この案内突部121は、上記口元本体13に設けられる案内溝131に移動自在に挿入される。この案内溝131は、図2に示すように口元本体13の一端から他端方向に略クランク状に延出して形成され、その一端から上記アダプター本体12の案内突部121が収容可能に形成される。そして、この案内溝131は、その軸方向の長さ寸法が、上記アダプター本体12の案内突部121が移動案内されて、上記口元本体13が軸方向に移動する移動距離に対応して形成される。この移動距離は、後述する処置具15の移動量、即ちチャンネル111内の収容位置から処置位置の移動距離に対応される。
【0021】
また、口元本体13には、その他端部に雄ネジ部132が設けられ、この雄ネジ部132には、操作部材16に設けられる雌ネジ部161が螺合される。この操作部材161には、例えばバタフライ形状の操作部162が設けられ、その略中央部に挿通孔163が設けられる。そして、操作部材16の内部には、例えば弾性部材で形成される処置具押え部材17が内装される。この処置具押え部材17には、上記操作部材16の挿通孔163に挿通された処置具15の基端部が挿通され、操作部材16の雌ネジ部161が口元本体13の雄ネジ部132に螺合されて締め付けられると、周囲が押圧されて処置具15の基部を操作部材16に対して弾性係合させる。
【0022】
なお、上記操作部材16の操作部162としては、バタフライ形状に限ることなく、例えば全周に亘って、いわゆる鍔構造に形成するようにしても良い。また、上記処置具押え部材17は、弾性部材を用いて構成するだけに限ることなく、その他、例えばばね部材を用いて、そのばねの作用により処置具15をバインドして固定するばね構造を用いて構成することも可能である。
【0023】
上記挿入部11には、例えば図3に示すように先枠112の先端に上記チャンネル111、対物レンズ113、ライトガイド(LG)レンズ114及びレーザー照射窓115が配される(図3(b)参照)。このうちレーザー出射窓115は、上記対物レンズ113に近接して配され、図示しないレーザー光源に接続されるレーザーファイバ116の先端部が位置決め固定されて取付けられる。
上記先枠112は、図4に示すように挿入部先端部に湾曲こま117を介して湾曲調整自在に設けられ、その外周部には、湾曲変形自在なカバー部材118が被着される。このカバー部材118は、例えば先端側内径が大きく、手元側内径が小さく形成され、複数の湾曲こま117への締付け力を変えるように設定される。これにより、湾曲こま117は、挿入部11の先端側と手元側とにおける湾曲動作が異なることで、高精度な湾曲動作を実現することが可能となる。
なお、上記複数の湾曲こま117の湾曲動作を軸方向で異なるように規制する方法としては、例えば図5に示すようにカバー部材118aの硬度を、先端側を低く設定し、手元側を高く設定するように構成することでも実現可能である。
【0024】
また、上記レーザーファイバ116は、いわゆる湾曲調整用アングルワイヤを兼用し、挿入部内に配されるSUS等で形成される他の湾曲調整用アングルワイヤ119と共に、図示しない湾曲操作部に取付けられる。これにより、レーザーファイバ116は、上記湾曲操作部(図示せず)の操作に応動して上記他のアングルワイヤ119と協働して挿入部の先枠を湾曲調整する。
このように先枠112にレーザー出射窓115を設けて、このレーザー出射窓115に、湾曲調整用アングルワイヤを兼用するレーザーファイバ116を配して構成したことにより、チャンネル111にレーザーファイバ116を挿入することがなく、レーザー処置が可能となるため、チャンネル数の軽減が図れて、挿入部11の小径化を促進することが可能となる。
【0025】
また、これによれば、レーザー出射窓115を、対物レンズ113に近接して配することが可能となることにより、レーザーの命中率の向上にも寄与することが可能となる。
次に、上記処置具15の構成例について説明する。
【0026】
即ち、処置具15は、例えば図6に示すように中空軸部151内にレーザープローブ152が内装され、その先端部には、いわゆるバケット状のバケット鉗子153がレーザープローブ152の先端部に対応して出入り操作自在に配して構成される。この処置具15の場合には、例えば同図(b)に示すようにバケット鉗子153内に結石154を把持する如く捕獲しながら、そのレーザープローブ152を操作して、レーザー処置を施し、結石154を粉砕する。これにより、内視鏡本体10に挿入した処置具15を用いた結石粉砕処置の際に、結石を逃がしたりすることが防止され、処置の迅速化を図ることが可能となる。
【0027】
また、鉗子構造としては、図7に示すように可動可能な複数の把持鉗子153aを上記レーザープローブ152を囲んで放射状に配し、複数の把持鉗子153aで患部、例えば結石154を把持して確実な処置を行うように構成しても良い。
【0028】
上記構成において、処置具15を内視鏡本体10の挿入部11のチャンネル111に挿入する場合、先ず、アダプター本体12に対して口元本体13が、その案内溝131の一端から該アダプター本体12の案内突部121を収容して、該案内溝131の最も矢印A方向の位置に位置させた状態で、Oリング14を介在して取付けられる。
【0029】
次に、操作部材16を取付けた処置具15の先端部を、口元本体13及びアダプター本体12を通して内視鏡本体10の処置具挿入口101から挿入部11のチャンネル111内に挿入し、その操作部材16の雌ねじ部161を口元本体13の雄ネジ部132に螺合させて締付け、操作部材16を口元本体13に取付ける。すると、処置具15は、その先端部が内視鏡本体10の挿入部11のチャンネル111の先端部内に収容された状態で、該挿入部11内に位置決めされ、ここに、内視鏡本体10の挿入部11の先端部の湾曲操作を含む挿入操作が可能となり、患者の体腔内に挿入される。この際、操作部材16内に配された処置具押え部材17が弾性変形されることで、該処置具押え部材17は、処置具15の基部を操作部材16に位置決めする。
【0030】
また、処置具15は、体腔内の処置位置への挿入を行う場合には、例えば術者が操作部材16の操作部162を把持して矢印A方向に移動させ、アダプター本体12の案内突部121を、口元本体13の案内溝131の最も矢印B方向に移動させる。ここで、処置具15は、その先端部が挿入部11のチャンネル111の先端部から処置操作可能な位置に突出され(図8参照)、上述したように所望の処置操作が可能となり、患部の所定の処置に供される。
【0031】
また、上記処置具15による処置が完了すると、操作部材16の操作部162を矢印B方向に移動付勢し、その口元本体13の案内溝131に収容されるアダプター本体12の案内突部121を最も矢印A方向に移動させる。すると、処置具15は、その先端部が内視鏡本体10の挿入部11のチャンネル111内に収容され、ここに、内視鏡本体10の挿入部11と共に体腔内からの抜脱が可能となる。そして、内視鏡本体10の挿入部11と共に抜脱した後、処置具15を洗浄、消毒したりするために分離させる場合には、上述した処置具15の内視鏡本体10の挿入部11への挿入動作と略逆の手順で、先ず操作部材16を操作して処置具15を内視鏡本体10の挿入部11から抜脱し、その後、口元本体13をアダプター本体12より離脱させる。
【0032】
このように、上記内視鏡は、内視鏡本体10の処置具挿入口101に配したアダプター本体12に口元本体13を軸方向に移動自在に配して、アダプター本体12の処置具装着用挿入部11を通して内視鏡本体10の処置具挿入口101に挿入した処置具12の基端部に上記口元本体13に対して着脱自在に装着される操作部材16を取付け配置し、その操作部材16の操作により、該口元本体13をアダプター本体12に対して軸方向に移動させることにより、処置具15の先端部が内視鏡本体10の挿入部11のチャンネル111内及び該挿入部11のチャンネル111より突出した体腔内の処置位置への移動を可能に構成した。
【0033】
これによれば、処置具15を内視鏡本体10の挿入部11のチャンネル111内に挿入した状態で、内視鏡本体10の挿入部11の患者の体腔内への高精度な挿入操作を簡便にして容易に行うことが可能となり、内視鏡本体10の挿入操作後、処置具15の処置位置への挿入操作を、内視鏡本体10の挿入部11のチャンネル11内を傷付けたりすることなく、簡便にして容易に行うことが可能となり、その取扱い操作を含む使い勝手の向上が図れる。
【0034】
また、この発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、例えば図9に示すように構成しても良い。但し、図9においては、上記図1乃至図8と同一部分について同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図9に示す実施の形態では、アダプター本体12に位置検出用センサー20を配し、口元本体13に検出部133を位置検出用センサー20に対応して設けて、この位置検出用センサー20で口元本体13の検出部133を検出して、該口元本体13が最も矢印A方向に移動される処置位置を検出するように構成したものである。
【0035】
即ち、この位置検出用センサー20は、制御装置21の安全制御回路22に接続され、口元本体13の検出部133を介してオンされると、検出信号を該安全制御回路22に出力する。安全制御回路22は、処置エネルギー出力回路23に接続され、検出信号に応動して駆動制御信号を生成し、処置エネルギー出力回路23に出力する。この処置エネルギー出力回路23は、安全制御回路22からの駆動制御信号に応動して処置具15の駆動部155.に処置エネルギーを出力する。
【0036】
ここで、安全制御回路22は、例えば位置検出用センサー20の誤検知による出力制御ミスを防止するため、イニシャライズチェックとして起動時に該位置検出用センサー20がON(オン)されたことを確認し、処置可能な場合には、位置検出用センサー20がOFF(オフ)されるロジックに構成されており、センサー故障時の安全性が考慮されている。
【0037】
また、上記アダプター本体12と口元本体13との間には、例えば復帰用バネ部材24が係着される。この復帰用バネ部材24は、口元本体23に対して矢印B方向の付勢力を付与し、操作部材16を介して処置具15を処置位置から内視鏡本体10の挿入部11のチャンネル111内に収容される収容位置への移動に寄与する。
【0038】
上記構成において、処置具15は、口元本体13が復帰用バネ部材24を介して矢印B方向に移動付勢されることで、その先端部が最も矢印B方向に移動されて、内視鏡本体10の挿入部11のチャンネル111内の収容位置に移動される。この状態で、操作部材16の操作部162を把持して、復帰用バネ部材24の付勢力に抗して矢印A方向に移動付勢する。すると、口元本体13が、その案内溝131に収容されるアダプター本体12の案内突部121に案内されて該アダプター本体12に対して同方向に移動され、所定の位置に移動されると、処置具15の先端部が内視鏡本体10の挿入部11のチャンネル111の先端部から突出された処置位置に移動される。
【0039】
この際、口元本体13は、その検出部133が位置検出用センサー20に当接して該位置検出用センサー20をオンさせる。すると、位置検出用センサー20は、検出信号を安全制御回路22に出力する。安全制御回路22は、検出信号に応動して駆動制御信号を生成して処理エネルギー出力回路23に出力し、ここに、処置エネルギー出力回路23が処置エネルギーを処置具15の駆動部154に出力し、処置操作が可能となる。
【0040】
この実施の形態では、内視鏡本体10の処置具挿入口101に配したアダプター本体12に口元本体13を軸方向に移動自在に配して、アダプター本体12の処置具装着用挿入部11を通して内視鏡本体10の処置具挿入口101に挿入した処置具15の基端部に上記口元本体13に対して着脱自在に装着される操作部材16を取付け配置すると共に、アダプター本体12の位置検出用センサー20を配置し、その操作部材16の操作により該口元本体13をアダプター本体12に対して軸方向に移動させることにより、処置具15の先端部が内視鏡本体10の挿入部11のチャンネル111内及び該挿入部11のチャンネル111より突出した処置位置への移動を可能とすると共に、その処置位置への移動を位置検出用センサー20で検出した状態で、処置具15の駆動を可能に制御するように構成した。
【0041】
これによれば、処置具15を内視鏡本体10内に挿入した状態で、内視鏡本体10の高精度な挿入操作を簡便にして容易に行うことが可能となり、内視鏡本体10の操作後、処置具15の処置位置への挿入操作を、挿入部11を含む内視鏡本体10内を傷付けたりすることなく、簡便にして容易に行うことが可能となり、しかも、その処置位置における信頼性の高い高精度な処置操作を行うことが可能となるため、さらに取扱い操作を含む使い勝手の向上を図ることができる。
【0042】
なお、上記実施の形態では、アダプター本体12に案内突部121を配し、口元本体13に案内溝131を配して、相互間を軸方向に移動自在に構成した場合で説明したが、これに限ることなく、その他、アダプター本体12に案内溝を設け、口元本体13に案内突部を設けて構成することも可能である。
【0043】
また、上記各実施の形態では、アダプター本体12として、二つの挿入口を有するT字管型を用いて構成した場合で説明したが、これに限ることなく、その他、一つ、あるいは二つ以上の挿入口を有する管構造のものを用いて構成することも可能である。
【0044】
よって、この発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【0045】
例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0046】
また、この発明は、上記各実施の形態によれば、次のような構成を得ることも可能である。
【0047】
(付記1)
内視鏡本体の処置具挿入位置に処置具を保持する構造を有し、処置具先端はあらかじめ内視鏡の先端部に位置するように配置し、処置直前まで処置具を保持する構造により同位置を保持し、処置時には処置具を保持する構造をスライドさせることで処置具先端を所定のストローク量を内視鏡先端面より突き出す動作を行うことを特徴とする内視鏡。
【0048】
(付記2)
ひとつ以上の処置具挿入穴を有し、処置具挿入穴位置に処置具を保持する構造を有し、その保持構造を内視鏡本体に対しスライド自在に配し、スライド位置に応じて、内視鏡本体に対して処置具収容位置及び処置具処置位置に移動可能に構成したことを特徴とする内視鏡。
【0049】
(付記3)
ひとつ以上の処置具挿入穴を有し、処置具挿入穴位置に処置具を保持する構造を有し、その保持構造を内視鏡本体に対しスライド自在に配し、そのスライド位置は操作時以外、常に一定の位置に保持される機構を有することを特徴とする内視鏡。
【0050】
(付記4)
内視鏡本体の処置具挿入位置に処置具を保持する構造を有し、処置具先端はあらかじめ内視鏡の先端部に位置するように配置し、処置直前まで処置具を保持する構造により同位置を保持し、処置時には処置具を保持する構造をスライドさせる構造と、スライド時に位置確認をするセンサーを有したアダプタを使用し、アダプタ部分に処置具先端を所定のストローク量を内視鏡先端面より突き出す動作を行うことを検出する回路を有し、検出状況により処置器具のON・OFFの出力動作を制御する制御装置を設けたことを特徴とする内視鏡。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の一実施の形態に係る内視鏡の要部を断面して示した図である。
【図2】図1の要部外観を示した平面図である。
【図3】図1の処置具の挿入部の先端部を示した詳細図である。
【図4】図3の湾曲構成を説明するために示した分解図である。
【図5】図4のカバー部材の他の例を示した図である。
【図6】図1の処置具の例を示した斜視図である。
【図7】図1の処置具の他の例を示した斜視図である。
【図8】図1の処置具の処置位置を示した図である。
【図9】この発明の他の実施の形態に係る内視鏡の制御系を取り出して示した図である。
【符号の説明】
【0052】
10…内視鏡本体、101…処置具挿入口、11…挿入部、111…チャンネル、112…先枠、113…対物レンズ、114…ライトガイドレンズ、115…レーザー出射窓、116…レーザーファイバ、117…湾曲こま、118,118a…カバー部材、119…アングルワイヤ、12…アダプター本体、121…案内突部、13…口元本体、131…案内溝、132…雄ネジ部、133…検出部、14…Oリング、15…処置具、151…中空軸部、152…レーザープローブ、153…バケット鉗子、153a…把持鉗子、154…結石、155…駆動部、16…操作部材、161…雌ネジ部、162…操作部、163…挿通孔、17…処置具押え部材、20…センサー、21…制御装置、22…安全制御装置、23…処置エネルギー出力回路、24…バネ部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡本体の処置具挿入口に配され、処置具装着用挿入部が前記処置具挿入口に対応して設けられたアダプター本体と、
前記アダプター本体の処置具装着用挿入部に軸方向に移動自在に設けられ、該挿入部に挿入された前記処置具の先端部を前記内視鏡本体内の第1の位置と該内視鏡本体より突出した処置操作可能な第2の位置に移動する口元本体と、
前記口元本体に配され、前記処置具を保持し、前記口元本体を前記第1の位置及び第2の位置に移動操作する操作部材と、
を具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
内視鏡本体の処置具挿入口に配され、処置具装着用挿入部が前記処置具挿入口に対応して設けられたアダプター本体と、
前記アダプター本体の処置具装着用挿入部に軸方向に移動自在に設けられた口元本体と、
前記処置具を保持し、前記口元本体を前記アダプター本体の処置具装着用挿入部に対向して軸方向に移動させ、前記処置具の先端部を前記内視鏡本体内の第1の位置と該内視鏡本体より突出した処置操作可能な第2の位置に移動操作する操作部材と、
前記操作部材の操作に応動して前記口元本体の第2の位置を検出し、前記処置具を動作制御する制御手段と、
を具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項3】
前記口元本体及び前記アダプター本体は、一方に案内突部が設けられ、他方に案内溝が設けられ、前記案内突部が前記案内溝に案内されて前記口元本体を前記第1及び第2の位置に移動案内することを特徴とする請求項1又は2記載の内視鏡。
【請求項4】
前記アダプター本体には、複数の処置具装着用挿入部が前記内視鏡本体の処置具挿入口に対応して設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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