説明

内視鏡

【課題】撮影対象物の大きさの判断に用いる目盛りを表示することができる内視鏡を提供する。
【解決手段】内視鏡10は、本体11、表示制御回路、管体31、撮影モジュール41、およびプローブ51を備える。本体11は、ディスプレイ12および複数の押しボタン14を有する。表示制御回路は、ディスプレイ12および押しボタン14に接続され、画像信号を受信してディスプレイ12に表示させる。管体31は、一端が本体11に接続される。撮影モジュール41は、表示制御回路に接続され、撮影対象物の画像を取得し、画像信号を表示制御回路に送信する。プローブ51は、接続端が管体31と撮影モジュール41を組み合わせたものに接続され、末端が撮影モジュール41から離れる方向に一定の長さまで延長される。表示制御回路は、目盛り表示プログラムを有し、ディスプレイに目盛りを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の工業用または医療用内視鏡は、いずれも管体の前端に配置された撮影機構(即ち管体、レンズおよび光源を組み合わせたもの)によって照明および撮影作動を進む。画像を取得するとき、光源によって照明を行い、管体の前端のレンズによって画像を取得する。物体の内部の検査したい部位まで管体を差し込んだ後、光源によって照明を行い、レンズによって画像を取得し、続いて取得した画像をディスプレイに出力する。これにより、ユーザーは、肉眼で直接観察できない部位に対し、ディスプレイの画像によって観察することができる。
【0003】
従来の内視鏡の多くは、単レンズによって画像を取得する。取得した画像は立体画像ではないため、取得した画像によって物体の大きさを判断することが難しい。内視鏡のディスプレイ上に目盛りを表示するとしても、撮影対象物とレンズとの間の距離を知らなければ正確に標示することができない。従って、このような目盛りによって物体の大きさを正確に判断することはできない。
【0004】
台湾特許第M358624号明細書(特許文献1)および台湾特許出願公開第201029620号明細書(特許文献2)に開示されたレンズの前端に接触プローブを配置する技術は、接触プローブを目標物に接触させることによってレンズと目標物との間の距離を維持し、取得したデジタル画像の比を一定にし、続いてデジタル画像を測量することによってデジタル画像に表示された各部位の距離または面積を算出することである。それにもかかわらず、ユーザーは依然として目視で長さおよび面積を推算することができず、かつ後続の計算作業を進めないと目標物のデータを取得することができないため、使用上の利便性に改善の余地がある。
【0005】
日本特許特開2008−194156号公報(特許文献3)により開示された内視鏡は、伸縮できるプローブを使用する。かつ画像を取得するとき、プローブを伸ばし、プローブを撮影対象物に当接させ、続いてプローブ上のマーク(上記発明の図5の36Mに参照)とプローブの末端との距離の差をディスプレイ上の目盛りと照合することによって現在の目盛りを正確に使用できるか否かを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾特許第M358624号明細書
【特許文献2】台湾特許出願公開第201029620号明細書
【特許文献3】特開2008−194156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような先行技術による内視鏡は、伸縮できるプローブを使用するが、プローブを伸ばした距離は判断の基礎にならないため、ユーザーは目盛りに応じてプローブ上のマークとプローブ末端との距離を判断しなければならない。一方、目盛りを使用するとき、使用経験がないと使用することができない。従って、このような内視鏡は判断が複雑なだけでなく、使用に不便である。
上記問題を解決するため、本発明は、目盛りを表示可能な内視鏡を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明による内視鏡は、本体、表示制御回路、管体、撮影モジュール、およびプローブを備える。本体は、ディスプレイおよび複数の押しボタンを有する。表示制御回路は、ディスプレイおよび複数の押しボタンに電気的に接続され、画像信号を受信してディスプレイに表示させ、押しボタンによってユーザーの制御を受ける。管体は、一端が本体に接続される。撮影モジュールは、管体の他端に装着され、管体に挿通されたコードを経由して表示制御回路に電気的に接続され、撮影対象物の画像を取得し、画像信号を表示制御回路に送信する。プローブは、接続端が管体と撮影モジュールを組み合わせたものに接続され、末端が撮影モジュールから離れる方向に一定の長さまで延長される。表示制御回路は、目盛り表示プログラムを有し、ディスプレイに目盛りを表示する。プローブの末端が撮影対象物に当接するとき、目盛りは、ディスプレイから目盛りに基づいて撮影対象物の寸法および大きさを判断することができる充分な正確性を有する。上述した通り、プローブによって撮影モジュールと撮影対象物との間の距離を確定し、そののち目盛りによってディスプレイに表示された撮影対象物の寸法、大きさ、面積または角度を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態による内視鏡の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態による内視鏡の回路を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態による内視鏡の操作を示す模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態による内視鏡においてのプローブの構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第2実施形態による内視鏡においてのプローブの構成を示す他の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による内視鏡を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1および図2に示すように、本発明の第1実施形態による内視鏡10は、本体11、表示制御回路21、管体31、撮影モジュール41、およびプローブ51から構成される。
【0011】
本体11は、ディスプレイ12および複数の押しボタン14を有する。
表示制御回路21は、画像信号を受信し、画像信号をディスプレイ12に表示するためディスプレイ12および複数の押しボタン14に電気的に接続される。ユーザーは、押しボタン14によって表示制御回路21を制御することができる。本実施形態において、表示制御回路21は本体11に内蔵されるが、これに限らない。他の実施形態において、表示制御回路21、ディスプレイ12および押しボタン14の間の電気的接続を維持しさえできれば、表示制御回路21を本体11以外の装置に配置してもよい。
【0012】
管体31は、一端が本体11に接続される。
撮影モジュール41は、管体31の他端に装着され、かつ撮影対象物91の画像を取得し、画像信号を表示制御回路21に送信するため、管体31に挿通されたコードを経由して表示制御回路21に電気的に接続される。コードを経由する接続する方式は、従来の技術であるため、コードは図に表示されない。
【0013】
本実施形態の特徴は次の通りである。
プローブ51は、接続端が管体31と撮影モジュール41を組み合わせたものに接続され、末端が撮影モジュール41から離れる方向に一定の長さまで延長される。
表示制御回路21は、ディスプレイ12に目盛り121を示すため、目盛り表示プログラム22を有する。プローブ51の末端が撮影対象物91に当接するとき、目盛り121は充分な正確性を有する。このときディスプレイ12から目盛り121に基づいて撮影対象物91の寸法および大きさを判断することができる。本実施形態において、目盛り表示プログラム22は、表示制御回路21に内蔵されたソフトウェアモジュールであり、かつ目盛り121を表示するか否かということがユーザーまたはプログラムの指令を受けた表示制御回路21によって制御される。
【0014】
続いて、第1実施形態の操作について説明を進める。
図3に示すように、内視鏡10を操作するとき、目盛り表示プログラム22によってディスプレイ12に目盛り121を表示し、続いて撮影対象物91に管体11を差し込み、撮影モジュール41を撮影位置まで送り込む。続いて管体31を操作し、プローブ51を撮影対象物91に当接させることによって撮影モジュール41と撮影対象物91との間の距離を確定する。このときユーザーはディスプレイ12上の目盛り121に基づいてディスプレイ12に表示された撮影対象物91の寸法、大きさ、面積または角度を判断することができる。面積を判断するとき、周知の寸法に基づいて面積を推算する方式またはAOI(自動光学検査)技術を採用する。角度を判断するとき、目視で進めることができるか、或いはAOI(自動光学検査)技術によって推算またはソフトウェアの測定を進め、撮影対象物の角度データを取得することができる。AOI技術は従来の技術であるため、詳細な説明を省略する。
【0015】
上述した通り、ユーザーは、プローブ51を介して撮影モジュール41と撮影対象物91との間の距離を確定し、そののち目盛り121を介してディスプレイ12に表示された撮影対象物91の寸法または大きさ、面積または角度を判断することができる。
【0016】
第1実施形態において、プローブ51の末端は撮影モジュール41の撮影範囲内に配置されてもよいため、ユーザーはディスプレイ12によってプローブ51が所定位置に正確に当接するか否かを確認することができる。
【0017】
第1実施形態において、プローブ51のボディーは撮影モジュール41の撮影方向に平行してもよいため、ユーザーは撮影対象物91の表面と撮影モジュール41との関係(例えば垂直、水平または傾斜)をより容易に判断することができる。
【0018】
第1実施形態において、複数の押しボタン14のうちの一つの押しボタンを目盛りボタン141として設定することができる。ユーザーは目盛りボタン141によってディスプレイ12に目盛り121を表示するか否かを制御することができる。一方、プローブ51を撮影対象物91に当接させた後、ディスプレイ12に目盛り121を表示するか、或いは目盛り121を表示した後、プローブ51を撮影対象物91に当接させることができる。
【0019】
第1実施形態において、目盛り表示プログラム22に倍率変換プログラム23を内蔵することができる。倍率変換プログラム23は異なる表示倍率に対応するディスプレイ12の目盛り121を定義するため、表示制御回路21はディスプレイ12の表示倍率に応じ、目盛り121を表示することができる。従来の内視鏡は表示上の拡大/縮小(Zoom in/ Zoom out)機能を有する。本実施形態による内視鏡10により表示を拡大/縮小する(即ち表示倍率を変える)とき、表示制御回路21は倍率変換プログラム23によって現在の表示倍率に対応する目盛り121を表示するため、表示倍率が変わってもユーザーは撮影対象物91の寸法および大きさを正確に判断することができる。
【0020】
(第2実施形態)
図4および図5に示すように、本発明の第2実施形態による内視鏡は、第1実施形態とほぼ同じである。第1実施形態との違いは次の通りである。
プローブ51は末端に横部位52を有し、横部位52は、一定の長さを有し、プローブ51のボディーに対し、一定の角度で接続する。本実施形態において、横部位52はプローブ51のボディーに垂直に接続し、かつ撮影モジュール41の撮影範囲内に配置される。
【0021】
ユーザーは、撮影対象物91に当接した横部位52の状態によって撮影対象物91の表面が平坦であるか否かということと、撮影対象物91が撮影方向に垂直であるか否かということを判断することができる。
【0022】
一方、横部位52の長さが一定(例えば0.5cm)に設定された場合、ユーザーは、ディスプレイ12上の画像に横部位52を表示し、目盛り121を対照することによって目盛り121の正確性を校正することができる。
【0023】
図4および図5に示すように、横部位52とプローブ51のボディーとを結合させてL形またはT形を呈することができる。
第2実施形態の他の構造および効果は、第1実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0024】
10 :内視鏡、
11 :本体、
12 :ディスプレイ、
121:目盛り、
14 :押しボタン、
141:目盛りボタン、
21 :表示制御回路、
22 :目盛り表示プログラム、
23 :倍率変換プログラム、
31 :管体、
41 :撮影モジュール、
51 :プローブ、
52 :横部位、
91 :撮影対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイおよび複数の押しボタンを有する本体と、
前記ディスプレイおよび前記複数の押しボタンに電気的に接続され、画像信号を受信して前記ディスプレイに表示させ、前記押しボタンによってユーザーの制御を受ける表示制御回路と、
一端が前記本体に接続される管体と、
前記管体の他端に装着され、前記管体に挿通されたコードを経由して前記表示制御回路に電気的に接続され、撮影対象物の画像を取得し、画像信号を前記表示制御回路に送信する撮影モジュールと、
接続端が前記管体と前記撮影モジュールとを組み合わせたものに接続され、末端が前記撮影モジュールから離れる方向に一定の長さまで延長されるプローブと、
を備え、
前記表示制御回路は、目盛り表示プログラムを有し、前記ディスプレイに目盛りを表示し、
前記プローブの末端が前記撮影対象物に当接するとき、前記ディスプレイから目盛りに基づいて前記撮影対象物の寸法および大きさを判断することが可能なことを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記プローブの末端は、前記撮影モジュールの撮影範囲内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記プローブのボディーは、前記撮影モジュールの撮影方向に平行することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記複数の押しボタンのうちの一つの押しボタンは、目盛りボタンであり、
前記目盛りボタンによって前記ディスプレイに目盛りを表示するか否かを制御することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記目盛り表示プログラムは、異なる表示倍率に対応する前記ディスプレイの目盛りを定義する倍率変換プログラムを有し、
前記表示制御回路は前記ディスプレイの表示倍率に応じ、目盛りを表示することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記プローブは、末端に、一定の長さを有し前記プローブのボディーに対し一定の角度で接続する横部位を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記横部位は、前記プローブのボディーに垂直に接続することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記横部位は、前記撮影モジュールの撮影範囲内に配置されることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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