説明

内視鏡

【課題】汚物による噴射ノズルの詰まりを解消することができる内視鏡を提供する。
【解決手段】先端部15aは、送気・送水ノズル33、ウォータージェット噴射孔35、送気・送水ノズル33に洗浄水を供給する送気・送水パイプ38a、ウォータージェット噴射孔35に液体を供給するWJパイプ39a、送気・送水パイプ38a及びWJパイプ39aを連結する連結パイプ40、連結パイプ40の内部に設けられた逆流防止弁41、液体遮断弁45を備える。送気・送水ノズル33に汚物が詰まったとき、液体遮断弁45を液体遮断位置にしてウォータージェット噴射孔35への液体供給を遮断するとともに、送気・送水パイプ38a及びWJパイプ39aに液体を供給して送気・送水ノズル33に液体を送り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部の噴射ノズル及び噴射孔から液体を噴射する内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡には、被検体内へ挿入される挿入部の先端部に、被検体の像光を取り込むための観察窓と、被検体に照明光を照射するための照明窓と、観察窓に向けて洗浄水を噴射する噴射ノズルと、被検体内へ洗浄水又は薬液などの液体を噴射させるための噴射孔とを備えている。観察窓は、挿入部の先端面から露呈する位置に設けられているのが一般的であり、照明窓、噴射ノズル、及び噴射孔は、観察窓の周囲に配される。観察窓の表面には、被検体内の体液や汚物が付着するため、噴射ノズルの噴射口から洗浄水を噴射して観察窓の汚れを除去し、さらにエアーを噴射して観察窓の表面から洗浄水を吹き飛ばす。噴射孔には、ウォータージェット管路等と呼ばれる送液管路が接続される。この送液管路は、送液ポンプなどにより液体を勢いよく送り出す送液装置と接続され、送液装置から送液管路を介して送り込まれた液体が噴射孔から被検体内へ噴射される(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−253543号公報
【特許文献2】特開2006−130076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2記載の内視鏡で観察を行う際、特に病変部に処置を行うときなど、観察窓を被検体の表面に近接させることがあり、観察窓とその付近に汚物が付着することがあり、噴射ノズルは、観察窓に洗浄水を噴射するために観察窓の表面よりも先端側に突出した位置に配置されており、汚物が付着しやすい。噴射ノズルに汚物が付着して詰まりが発生すると、観察窓を洗浄することができなくなり、観察を続けることができない。上記特許文献1,2では、内視鏡の使用中に噴射ノズルの詰まりが発生することについては考慮されておらず、挿入部を被検体内から一旦引き抜いて噴射ノズルに詰まった汚物を取り除かなければないため、非常に手間が掛かる。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、汚物による噴射ノズルの詰まりを使用中に解消することができる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内視鏡は、被検体内へ挿入される挿入部の先端部に設けられ、被検体内を観察するための観察窓と、前記先端部に設けられ、被検体内に照明光を照射するための照明窓と、前記観察窓に液体を噴射するための噴射ノズルと、被検体内に液体を噴射するための噴射孔とを備えた内視鏡において、前記噴射ノズルへ液体を供給する第1の供給路と、前記噴射孔へ液体を供給する第2の供給路と、前記第1及び第2の供給路を連結する連結路とを備えることを特徴とする。
【0007】
前記連結路に設けられ、前記第1の供給路から前記第2の供給路へ液体が逆流することを防止する逆流防止弁を備えることが好ましい。前記逆流防止弁は、前記連結路を塞ぐ閉じ位置と、前記第2の供給路から供給される液体の圧力により前記閉じ位置から前記第1の供給路の内部へ移動して前記連結路を開放状態にする開放位置との間で移動自在に設けられた第1の弁部材と、前記第1の弁部材を閉じ位置に付勢する第1の付勢部材とからなることが好ましい。前記第1の弁部材は、前記連結路の内径と同じ外径に形成された球状部材であることが好ましい。
【0008】
前記逆流防止弁は、弾性材からなり、前記第2の供給路から供給される液体の圧力により変形する第1の弁部材であり、前記連結路を塞ぐ閉じ状態と、前記連結路を開放する開放状態との間で変形する第1の弁部材であることが好ましい。
【0009】
前記第2の供給路と、前記噴射孔との間に設けられ、第2の供給路から噴射孔への液体の供給を許容する通常位置と、液体の供給を遮断する液体遮断位置との間で移動する第2の弁部材と、前記第2の弁部材を通常位置に付勢する第2の付勢部材と、前記第2の付勢部材の付勢に抗して前記第2の弁部材を通常位置から液体遮断位置に移動させる移動手段とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の内視鏡によれば、噴射ノズルへ液体を供給する第1の供給路、及び噴射孔へ液体を供給する第2の供給路を連結する連結路を備えているので、汚物による噴射ノズルの詰まりを使用中に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】電子内視鏡システムの外観斜視図である。
【図2】内視鏡の先端部の構成を示す平面図である。
【図3】噴射ノズル及び噴射孔に沿った断面図である。
【図4】逆流防止弁の構成を示す斜視図である。
【図5】液体遮断弁の構成を示す斜視図である。
【図6】噴射ノズルに詰まった汚物の排出を説明する説明図である。
【図7】ダックビル形状の逆流防止弁を用いた第2実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、電子内視鏡システム2は、電子内視鏡10、プロセッサ装置11、光源装置12、及び送気・送水装置13、送液装置14などから構成されている。送気・送水装置13は、光源装置12に内蔵され、エアーの送気を行う周知の送気装置(ポンプなど)13aと、光源装置12の外部に設けられ、洗浄水を貯留する洗浄水タンク13bから構成されている。電子内視鏡10は、被検体内に挿入される可撓性の挿入部15と、挿入部15の基端部分に連設された操作部16と、プロセッサ装置11や光源装置12に接続されるユニバーサルコード17とを備えている。
【0013】
挿入部15は、その先端に設けられ、被検体内撮影用の撮像素子(図示せず)等が内蔵された先端部15aと、先端部15aの基端に連設された湾曲自在な湾曲部15bと、湾曲部15bの基端に連設された可撓性を有する可撓管部15cとからなる。以下、挿入部15の先端側を単に「先端側」といい、挿入部15の基端側を単に「基端側」という。
【0014】
ユニバーサルコード17の先端には、コネクタ18が取り付けられている。コネクタ18は複合タイプのコネクタであり、プロセッサ装置11、及び光源装置12、送気・送水装置13がそれぞれ接続されている。コネクタ18には、連結チューブ19を介して送液装置14が接続される。
【0015】
プロセッサ装置11は、ユニバーサルコード17及びコネクタ18を介して撮像素子から入力された撮像信号に各種画像処理を施して、映像信号に変換するとともに、撮像素子の駆動を制御する駆動制御信号を送信する。プロセッサ装置11で変換された映像信号は、プロセッサ装置11にケーブル接続されたモニタ20に内視鏡画像として表示される。また、プロセッサ装置11は、光源装置12と電気的に接続しており、電子内視鏡システム2全体の動作を統括的に制御する。
【0016】
操作部16には、注射針や高周波メスなどが先端に配された各種処置具が挿通される鉗子口21と、湾曲操作ノブ22、送気・送水ボタン23、切替スイッチ24などが設けられている。送気・送水ボタン23によって送気操作を行うと、送気装置13aが発生するエアーが送気・送水管路38(図3参照)に送られ、送水操作を行うと、送気装置13aが発生するエアーの圧力によって洗浄水タンク13bから洗浄水が送気・送気・送水管路38に送られる。送気・送水ノズル33(図2及び図3参照)は、送気・送水管路38を介して供給されたエアー、洗浄水を選択的に噴射する。
【0017】
湾曲操作ノブ22が操作されると、挿入部15内に挿設されたワイヤが押し引きされることにより、湾曲部15bが上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部15aが体腔内の所望の方向に向けられる。切替スイッチ24は、後述する液体遮断弁45を動作させるときに操作される。
【0018】
送液装置14は、モータや制御回路を有する装置本体25と、装置本体25の前面に配された送液ポンプ26と、送液操作するフットスイッチ27と、水や洗浄液などの液体が貯留された送液タンク28とが設けられる。フットスイッチ27の操作によって送液ポンプ26を動作させると、送液タンク28から連結チューブ19へ液体が送り出される。
【0019】
図2及び図3に示すように、先端部15aは、先端硬質部29、この先端硬質部29の先端側に装着される先端キャップ30、観察窓31、照明窓32a,32b、送気・送水ノズル33(噴射ノズル)、鉗子出口34、及びウォータージェット噴射孔(以下、WJ噴射孔という)35を備える。先端硬質部29の後端は、湾曲部15bを構成する先端側の湾曲駒36に連結されている。先端硬質部29は、例えば硬質な金属から形成され、後述する対物光学系、送気・送水管路38、ライトガイド、鉗子チャンネル、及びウォータージェット管路(以下、WJ管路という)39を保持する。
【0020】
先端キャップ30は、先端硬質部29よりも軟らかい材料、例えば樹脂やゴムからなり、先端硬質部29の先端側を覆う先端板部30aと、先端硬質部29の外周面を覆う円筒部30bとが一体的に形成されている。湾曲部15bの外周面を覆う外皮層37が先端硬質部29まで延在し、外皮層37の先端と円筒部30bの後端とが突き合わされて端部同士が接着剤などにより固着されている。
【0021】
先端板部30aには、先端側から視たとき、観察窓31、照明窓32a,32b、送気・送水ノズル33をそれぞれ露呈させる貫通孔30c〜30f、鉗子出口34、及びWJ噴射孔35が形成されている。
【0022】
観察窓31は、対物光学系を構成する最先端側の対物レンズであり、カバーガラスを兼ねるものである。対物光学系の奥には、撮像素子としてのCCDが取り付けられている。なお、撮像素子としては、CCDに限らず、CMOSでもよい。観察窓31は、外周面が先端キャップ30の貫通孔30cに嵌合する。なお、観察窓31としては、レンズ効果を有しないカバーガラスであってもよい。
【0023】
照明窓32a,32bは、観察窓31を間に挟んでほぼ対称な位置に配されており、裏面側にライトガイド(図示せず)の出射端が面している。ライトガイドは、多数の光ファイバーを束ねて形成されたもので、挿入部15、操作部16、ユニバーサルコード17、及びコネクタ18の内部を通っており、光源装置12からの照明光を照明窓32a,32bに導く。照明窓32a,32bは、照射レンズを兼ねており、被検体内の被観察部位に光源装置12からの照明光を照射する。
【0024】
送気・送水ノズル33は、先端側の噴射筒部33aと、基端側の接続筒部33bとが一体に形成されている。接続筒部33bは、送気・送水管路38に接続される。噴射筒部33aは、接続筒部33bから先端の噴射口33cへ滑らかに曲折された筒状に形成されており、先端キャップ30の貫通孔30fを通して外部に露呈している。
【0025】
送気・送水ノズル33は、送気・送水装置13から送気・送水管路38(第1の供給路)を介して供給されたエアーや洗浄水を観察窓31に向けて噴射して、観察窓31に付着した汚れなどを洗い流すことができる。WJ噴射孔35は、送液装置14から連結チューブ19及びWJ管路39(第2の供給路)を介して供給された液体(水や洗浄液など)を被検体内へ噴射する。
【0026】
送気・送水管路38、及びWJ管路39は、金属製パイプなどの硬質材からなる送気・送水パイプ38a及びWJパイプ39aと、送気・送水パイプ38a及びWJパイプ39aの基端部に接続され、可撓性を有する送気・送水チューブ38b及びWJチューブ39bとをそれぞれ備える。送気・送水チューブ38b及びWJチューブ39bは、挿入部15、操作部16、及びコネクタ18の内部を通る。
【0027】
送気・送水パイプ38aの先端側外周面には、送気・送水ノズル33の接続筒部33bが嵌合して送気・送水管路38と送気・送水ノズル33とが接続する。接続筒部33b及び送気・送水パイプ38aは、先端硬質部29の貫通孔29aに嵌合している。また、WJパイプ39aは、先端キャップ30のWJ噴射孔35に位置を合わせて配置され、先端硬質部29の貫通孔29bに嵌合している。
【0028】
先端硬質部29には、送気・送水パイプ38aと、WJパイプ39aと、送気・送水パイプ38a及びWJパイプ39aを連結する連結パイプ40と、逆流防止弁41とが組み込まれている。送気・送水パイプ38a及びWJパイプ39aは、先端硬質部29に固定され、互いに平行に配される。
【0029】
図4に示すように、連結パイプ40は、金属製パイプなどの硬質材からなり、送気・送水パイプ38a及びWJパイプ39aの先端付近、且つ送気・送水パイプ38a及びWJパイプ39aに対して直交に配されて、両端部が接着または溶接などにより送気・送水パイプ38a及びWJパイプ39aと結合される。これにより、連結パイプ40は、送気・送水パイプ38a及びWJパイプ39aと連通し、送気・送水パイプ38a及びWJパイプ39aに供給される液体が連結パイプ40に送り込まれる。
【0030】
逆流防止弁41は、連結パイプ40及び送気・送水パイプ38aの内部に配される球状部材42(第1の弁部材)と、ばね43(第1の付勢部材)とからなる。球状部材42は、連結パイプ40に対する摩擦力と、弾性力とを有する部材であり、例えばゴムボールからなる。この球状部材42は、連結パイプ40の内径と同じ外径に形成され、連結パイプ40の内部を塞ぐ。なお、ここでいう「同じ」とは、連結パイプ40の内径に対してほぼ同じ外径を含むものである。
【0031】
ばね43は、連結パイプ40の軸方向と平行に配され、一端が送気・送水パイプ38aに固定され、他端が球状部材42に固定される。球状部材42は、連結パイプ40の内部に送り込まれる液体からの圧力を受けない場合、摩擦力及びばね43の付勢力により連結パイプ40の内部を塞ぐ閉じ位置(図6(A)参照)にあり、所定値以上の圧力を受けた場合、摩擦力及びばね43の付勢力に抗して連結パイプ40の内部を移動する。
【0032】
ばね43の付勢力は、球状部材42が連結パイプ40及び送気・送水パイプ38aの内部を移動可能とし、且つWJパイプ39a側に離脱しない大きさに設定されている。これにより、逆流防止弁41は、WJパイプ39aから連結パイプ40へ送り込まれる液体から所定値以上の圧力を受けた場合は、球状部材42が連結パイプ40内の閉じ位置から送気・送水パイプ38a内の開放位置(図6(B)参照)へばね43の付勢に抗して移動し、WJパイプ39aから送気・送水パイプ38aへ液体が送り込まれる。一方、送気・送水パイプ38aから連結パイプ40へ送り込まれる洗浄水又はエアーの圧力では、球状部材42は、連結パイプ40の内部からWJパイプ39aへ移動しないため、送気・送水パイプ38aからWJパイプ39aへ液体が逆流することを防止することができる。
【0033】
図5に示すように、先端硬質部29及び先端キャップ30の間には、液体遮断弁45が設けられている。この液体遮断弁45は、液体遮断板46(第2の弁部材)と、ばね47(第2の付勢部材)と、ワイヤ48(移動手段)とを備える。液体遮断板46は、WJ噴射孔35及びWJパイプ39aに挟まれる位置に配される薄板状の部材であり、液体を通過させる貫通孔46aと、WJパイプ39aの先端を塞ぐ液体遮断部46bと、ばね47及びワイヤ48が接続される接続部46cとを有する。
【0034】
先端硬質部29の先端には、液体遮断板46がスライド自在に嵌合するスライド溝49と、スライド溝49に隣接するワイヤ溝51とが形成されている。スライド溝49は、WJパイプ39aの先端を囲む位置に形成され、WJパイプ39aと直交する方向に沿って延びるように配されている。液体遮断板46は、スライド溝49に沿ってスライドさせることにより、WJパイプ39aの先端に貫通孔46aが位置してWJ噴射孔35への液体の供給を許容する通常位置と、液体遮断部46bが位置してWJ噴射孔35への液体の供給を遮断する液体遮断位置との間で移動可能となっている。
【0035】
先端キャップ30の先端板部30aには、スライド溝49と対面する位置にばね収納室52が形成されている。ばね47は、一端が液体遮断板46の接続部46cに固着され、他端がばね収納室52の内壁面に当接した状態で、ばね収納室52に収納される。液体遮断板46は、ばね47からの付勢により通常位置に付勢される。
【0036】
ワイヤ48は、可撓性を有しており、保護シース53の内部に挿通されている。このワイヤ48は、保護シース53とともにワイヤ溝51に収納される。ワイヤ溝51は、スライド溝49から先端硬質部29の外周面に向かって滑らかに繋がり、先端硬質部29の基端まで連続している。ワイヤ48及び保護シース53は、先端硬質部29の基端から突出し、挿入部15及び操作部16の内部に配されている。
【0037】
液体遮断板46の接続部46cには、ワイヤ48の一端が固着されている。ワイヤ48の他端は、操作部16に設けられた切替スイッチ24に接続されており、切替スイッチ24の操作に連動して移動することより、液体遮断板46を牽引する。切替スイッチ24が初期位置のときは、液体遮断板46は通常位置にある。切替スイッチが初期位置から切替位置へ切替操作されることにより、ばね47の付勢に抗して移動して液体遮断板46が通常位置から液体遮断位置に移動する。
【0038】
電子内視鏡2を用いた検査中に、送気・送水ノズル33に詰まった汚物を排出させ、詰まりを解消させるときのプロセスを説明する。電子内視鏡2を用いた検査では、術者は被検体内に挿入部15を挿入し、観察窓31から取り込まれる観察画像をモニタ20で観察する。なお、初期状態では、逆流防止弁41の球状部材42が閉じ位置、且つ液体遮断弁45の液体遮断板46が通常位置となっている。図6(A)に示すように、被検体内の表面に先端部15aを近接させたとき、送気・送水ノズル33に汚物55が詰まることがある。
【0039】
送気・送水ノズル33に汚物55が詰まると、観察窓31へ洗浄水又はエアーを噴射することができなくなるため、術者は先ず、切替スイッチ24を切替操作して液体遮断板46を通常位置から液体遮断位置に移動させる。これにより、WJ管路39の先端が塞がれてWJ噴射孔35から液体が噴射しない状態となる。
【0040】
次に、送液装置14のフットスイッチ27を操作して液体をWJ管路39に送り込むと、連結パイプ40へ流れ込む。また、このときWJ管路39の先端が塞がれているため、WJ管路39へ送り込まれた液体のほぼ全てが連結パイプ40へ流れ込む。連結パイプ40へ流れ込んだ液体の圧力により逆流防止弁41の球状部材42が閉じ位置から開放位置に移動して送気・送水ノズル33へ液体が流れ込む。さらに、送気・送水ボタン23を送水操作して送気・送水管路38へ洗浄水を送り込む。これにより、図6(B)に示すように、送気・送水ノズル33には、WJ管路39からの液体、送気・送水管路38からの洗浄水がともに流れ込むため、高い圧力で汚物55を押圧することが可能となり、送気・送水ノズル33から汚物55を排出させて詰まりを解消させることができる。
【0041】
上述したように、電子内視鏡10の挿入部15を被検体内に挿入した状態のまま、送気・送水ノズル33に詰まった汚物を容易に排出させることができるため、電子内視鏡10の使用中に詰まりを解消させることが可能であり、術者は、詰まりの解消作業で手間が掛かることがない。
【0042】
なお、上記実施形態では、送気・送水ノズル33の汚物による詰まりの解消作業の際、送気・送水管路38及びWJ管路39へともに液体を供給して送気・送水ノズル33へ液体を送り込むようにしているが、一般的に送気・送水管路38に液体を供給する圧力よりも、WJ管路39へ液体を供給する圧力のほうが高いため、詰まりの解消作業の際は、WJ管路39に液体を供給する操作だけをして送気・送水管路38へ液体を供給する操作をしなくてもよい。
【0043】
なお、上記第1実施形態では、逆流防止弁41として、連結パイプ40を塞ぐ球状部材42と、球状部材42を閉じ位置に付勢するばね43(第1の付勢部材)から構成しているが、本発明はこれに限らず、図7に示す第2実施形態のように、ゴムなどの弾性材からなり、連結パイプ40を塞ぐ閉じ状態、及び連結パイプ40を開放する開放状態との間で変形するダックビル形状の逆流防止弁60(第1の弁部材)を用いてもよい。なお、図7において、上記第1実施形態と同じ部品を用いたものについては、同符号を付して説明を省略する。逆流防止弁60は、WJパイプ39aから連結パイプ40へ液体が供給されない場合、閉じ状態(2点鎖線で示す状態)を保ち、WJパイプ39aから連結パイプ40へ供給される液体の圧力が所定値以上の場合、開放状態(実線で示す状態)に変形する。一方、送気・送水パイプ38aから連結パイプ40へ送り込まれる洗浄水又はエアーの圧力では、逆流防止弁60は、閉じ状態から開放状態に変形しないため、送気・送水パイプ38aからWJパイプ39aへ液体が逆流することを防止することができる。
【0044】
上記各実施形態においては、ばね47の付勢に抗して液体遮断板46を通常位置から液体遮断位置に移動させる移動手段として、液体遮断板46を牽引するワイヤ48を備えているが、これに限らず例えば、移動手段としてソレノイドなどの駆動部を先端部に備え、この駆動部が液体遮断板46を押圧することによって、液体遮断板46を通常位置から液体遮断位置に移動させる構成にしてもよい。
【0045】
上記実施形態においては、撮像素子を用いて被検体の状態を撮像した画像を観察する電子内視鏡を例に上げて説明しているが、本発明はこれに限るものではなく、光学的イメージガイドを採用して被検体の状態を観察する内視鏡にも適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
2 電子内視鏡システム
10 電子内視鏡
13 送気・送水装置
14 送液装置
15 挿入部
15a 先端部
31 観察窓
32a,32b 照明窓
33 送気・送水ノズル(噴射ノズル)
35 ウォータージェット噴射孔
38 送気・送水管路(第1の供給路)
39 ウォータージェット管路(第2の供給路)
41,60 逆流防止弁
42 球状部材(第1の弁部材)
43 ばね(第1の付勢部材)
45 液体遮断弁
46 液体遮断板(第2の弁部材)
47 ばね(第2の付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内へ挿入される挿入部の先端部に設けられ、被検体内を観察するための観察窓と、前記先端部に設けられ、被検体内に照明光を照射するための照明窓と、前記観察窓に液体を噴射するための噴射ノズルと、被検体内に液体を噴射するための噴射孔とを備えた内視鏡において、
前記噴射ノズルへ液体を供給する第1の供給路と、
前記噴射孔へ液体を供給する第2の供給路と、
前記第1及び第2の供給路を連結する連結路とを備えることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記連結路に設けられ、前記第1の供給路から前記第2の供給路へ液体が逆流することを防止する逆流防止弁を備えることを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
【請求項3】
前記逆流防止弁は、前記連結路を塞ぐ閉じ位置と、前記第2の供給路から供給される液体の圧力により前記閉じ位置から前記第1の供給路の内部へ移動して前記連結路を開放状態にする開放位置との間で移動自在に設けられた第1の弁部材と、
前記第1の弁部材を閉じ位置に付勢する第1の付勢部材とからなることを特徴とする請求項2記載の内視鏡。
【請求項4】
前記第1の弁部材は、前記連結路の内径と同じ外径に形成された球状部材であることを特徴とする請求項3記載の内視鏡。
【請求項5】
前記逆流防止弁は、弾性材からなり、前記第2の供給路から供給される液体の圧力により変形する第1の弁部材であり、前記連結路を塞ぐ閉じ状態と、前記連結路を開放する開放状態との間で変形する第1の弁部材であることを特徴とする請求項2記載の内視鏡。
【請求項6】
前記第2の供給路と、前記噴射孔との間に設けられ、第2の供給路から噴射孔への液体の供給を許容する通常位置と、液体の供給を遮断する液体遮断位置との間で移動する第2の弁部材と、
前記第2の弁部材を通常位置に付勢する第2の付勢部材と、
前記第2の付勢部材の付勢に抗して前記第2の弁部材を通常位置から液体遮断位置に移動させる移動手段とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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