説明

内部が徐々に広がっているハウジングを有するアキシャルピストンエンジン

【課題】アキシャルピストンエンジンの油圧結合点および処理容量を変えるための調整装置を空間的に有用な構成とすること。
【解決手段】2つの側壁(18a、18b)および周壁(2c)を互いに長さ方向に接続して室内(3)を囲むハウジング(2)と、ハウジング(2)内を長さ方向に伸びてハウジング(2)に回転自在に搭載された駆動シャフト(19)と、ハウジング(2)内のシリンダドラム(5)に長さ方向に隣接して配置され、かつ、前記シリンダドラム(5)内に実質的に長さ方向に伸びるピストン穴(6)に往復運動可能に搭載されたピストン(9)を接合して支持する斜板(4)を有する。周壁(2c)は少なくとも1つの径方向に膨らんだ突出部(34a)を有し、この突出部(34a)はハウジング(2)の長さ方向に伸長するように構成され、かつ、角形またはU字形に配置され径方向に拡大した内部(36)を区切る2つの周壁部(2e)で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1または請求項6の前段部分に記載のアキシャルピストンエンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このタイプのアキシャルピストンエンジンは従来技術において一般的である。また、たとえばいわゆる斜板エンジンや傾斜軸エンジンのような異なるタイプのエンジンはいずれも可変または固定処理容量のアキシャルピストンエンジンである。
たとえば、特許文献1には可変処理容量の斜板型アキシャルピストンエンジンが記載されている。特許文献2にはたとえば可変または固定処理容量の傾斜軸型アキシャルピストンエンジンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ヨーロッパ公開特許EP 0450 623 A1
【特許文献2】ドイツ公開特許DE 100 30 147 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのエンジンタイプはいずれも共通して、断面において、ハウジング内部に円形シリンダドラムが配置されており、ハウジングの周壁はシリンダブロックを適切な径方向間隙で囲んでいる。アキシャルピストンエンジンの機能的な働きでは、内部に少なくとも部分的に水圧性媒体、特に油圧オイルが低圧に満たされている。
空間と材料を節約する試みとして、ハウジングの断面サイズを可能な限り小さくすることが行なわれている。このため、ハウジングの周壁はシリンダドラムを十分小さな径方向間隙で囲んでいる。一般に、シリンダドラムの断面形状は円形であるので、従来のハウジングは実質的に円形または中空円筒形の断面形状をしている。可変処理容量型アキシャルピストンエンジンにおいては、ハウジングの壁厚室内に細長でたとえば軸方向に伸び、かつ内壁に連通した調整装置が配置されている。
【0005】
本発明の基本的な目的は、冒頭に示したタイプのアキシャルピストンエンジンをハウジングの空間的に有用な形状の観点から改良することである。さらに、アキシャルピストンエンジンと油圧回路および漏出部の一方または両方との油圧結合点を少なくとも空間的に有用に達成することである。さらに他の目的は、アキシャルピストンエンジンの処理容量を変えるための調整装置の部品における空間的に有用な配置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は請求項1または請求項6に記載の特徴により達成される。また、従属請求項は有用に発展させた構成を有している。
本発明は、アキシャルピストンエンジンのハウジングを径方向に広げることは空間的に有用な配置および内外両面での有用な構造の選択を提案できるということの発見に基づいている。
請求項1によれば、周壁は少なくとも1つの径方向突出部を有し、この径方向突出部は駆動シャフトの長さ方向に伸びており、さらに、角度を持ってまたはU字型に配置された2つの周壁部で形成されており、内部の径方向の広がり境界を定めるように配置されている。一方、これは径方向に広がった内部構造を作り出し、それはアキシャルピストンエンジンの付加部品、たとえば、アキシャルピストンエンジンの処理容量を減少または増大させるための調整装置の部品の配置に好都合である。それらの部品は処理容量を調整するための調整部品や、調整移動量を制限するための停止要素である。
それに追加してあるいはそれとは別に、径方向に広がった内部構造の広がり境界を定める周壁部は、径方向突出部の頂部領域においてアキシャルピストンエンジンを固定するための固定具、たとえば、油圧経路に結合具を直接または間接的に固定する固定具を有用に配置することを提案する。そのような配置場所の1つの利点は、たとえば、径方向突出部の頂部は両側の側壁部が下方に傾斜しているので、各固定具の組み立てや分解のために空間的に有用な広い自由空間が存在することである。
線路結合部形式による取り付け具にとっては、径方向に広がった内部構造は流出開口領域において大きな自由内部空間があるので、流体的に有用であるという利点がある。
請求項6による本発明のアキシャルピストンエンジンは、ハウジングの横方向壁周囲において角度を有するまたはU字型の断面の径方向突出部が配置されている。径方向突出部の頂部には、結合開口を有する油圧結合点が配置されている。前述した本発明の発展と同様に、本発明のこの変形もハウジングを取り囲んでいる領域から横方向に離れて位置している。そして、間隙を有して囲まれているので、空間的に一層有用な配置ばかりでなく、油圧線路の組み立てや分解を扱いやすくすることを保証する。本発明のこの発展形はまた油圧線路を径方向に配置することができるばかりでなく、角度構造または角形たとえば45°のたとえば鋭角に曲げることを可能にする。
本発明の範囲内において、複数の突出部を互いに対角線上に配置したり、ハウジングの一側に配置したり、周辺方向に離して配置したりすることができる。これによって、ハウジングに対して対角線状、半円形状または実質的に四角形状の断面とすることができるばかりでなく、同数の径方向に広がった内部構造を持たせることができる。
これら2つの場合に本発明による3または4個の突出部が周辺方向において離間して配置されると、アキシャルピストンエンジンの処理容量を調整、設定する調整装置および最大値設定、たとえば斜板の回転を制限する装置が空間的に有用な態様で実現することができる。
本発明の有用な展開はさらにハウジングやそれに取り付ける付属品の空間的に有用な構造を改良し、さらに、アキシャルピストンエンジンの運搬装置への取り付けを改良し、それによってハウジング内部に位置しているアキシャルピストンエンジンの部品の組み立てや分解が改良される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アキシャルピストンエンジンをハウジングの空間的に有用な形状の観点から改良することができる。
さらに、アキシャルピストンエンジンと油圧回路および漏出部の一方または両方との油圧結合点を少なくとも空間的に有用に達成することができる。
また、アキシャルピストンエンジンの処理容量を変えるための調整装置の部品における空間的に有用な配置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明によるアキシャルピストンエンジンを図式的に示した横断面図
【図2】アキシャルピストンエンジンの最小処理容量位置における斜板の一部斜視図
【図3】本発明によるアキシャルピストンエンジンの正面斜視図
【図4】図1または図3におけるアキシャルピストンエンジンの後部鉢型ハウジングの正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンは、周壁が少なくとも1つの径方向に膨らんだ突出部を有し、突出部はハウジングの長さ方向に伸長するように構成され、かつ、角形またはU字形に配列され径方向に拡大した内部を区切る2つの周壁部で形成されているものである。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、突出部が室内の長さにわたって伸びているものである。
本発明の第3の実施の形態は、第1または第2の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、2つの突出部が互いに反対側に配置されている、またはたとえば3または4個の複数の突出部が互いに周辺方向に離間して配置されているものである。
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、シリンダドラムは斜板から内側を離してシリンダドラムと側壁との間に配置されたカム板に支持されており、少なくとも1つの突出部は側壁または両方の側壁にわたって長さ方向に伸びているものである。
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、突出部の頂部に結合開口との油圧結合点が配置されているものである。
本発明の第6の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンは、この側壁の周囲に断面が角形またはU字形の突出部が配置されており、その頂部領域に結合開口との油圧結合点が配置されているものである。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、突出部が少なくとも部分的に長さ方向に周壁または他の側壁に沿って伸びているものである。
本発明の第8の実施の形態は、第5から第7の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、油圧結合点に油圧線路または結合部材を固定する固定装置の一部である固定具が配置されているものである。
本発明の第9の実施の形態は、第8の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、油圧結合点に少なくとも1つの好ましくは平面の座面が設けられているものである。
本発明の第10の実施の形態は、第8または第9の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、固定具が第1の突出部から上に伸びた第2の突出部の、たとえば、結合点領域にのみに配置されているものである。
本発明の第11の実施の形態は、第1から第10の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、アキシャルピストンエンジンの処理容量が調整機構を有する調整装置により増減され、好ましくは、斜板が調整装置の一部としてスイベルジョイントのスイベル軸周辺に枢軸可能に搭載されているものである。
本発明の第12の実施の形態は、第11の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、調整機構および/またはスイベル制限装置は、細長に設計されて、拡大された内部または拡大された内部の1つにおいて、アキシャルピストンエンジンの長さ方向のスイベル軸に対して横方向に離れて伸びているものである。
本発明の第13の実施の形態は、第1から第12の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、横方向に配向した相互空間を有する1つまたは2つの突出部がスイベル軸に対して横方向に離間して配置されているものである。
本発明の第14の実施の形態は、第12または第13の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、拡大された内部を有する2つの横方向に互いに離れた径方向突出部がスイベル軸の両側に配置されており、好ましくは、調整機構およびスイベル制限装置がスイベル軸の各側、特に、互いに斜め反対に配置されているものである。
本発明の第15の実施の形態は、第4の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、側壁が鉢形ハウジングのベース壁で形成されているものである。
本発明の第16の実施の形態は、第1から第15の実施の形態による静圧アキシャルピストンエンジンにおいて、ハウジングが少なくとも1つの突出部の領域において4つの側壁部により区切られた断面形状、特に、正方形または長方形の好ましくは角部が丸い断面形状を有しているものである。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の有用な発展を好ましい実施例と図面とともに詳細に説明する。
図1に、アキシャルピストンエンジンの典型的な構成を示し、アキシャルピストンエンジンの全体構成を符号1で示す。アキシャルピストンエンジン1は、ハウジング2を有し、ハウジング2の室内3には斜板4およびシリンダドラム5が軸方向に互いに近接して配置されている。円形断面形状のシリンダドラム5内の周辺に沿って広がったピストン穴6が配置されており、このピストン穴6はたとえばシリンダブロック5およびアキシャルピストンエンジン1の中心線7に平行に伸びており、斜板4の側面に開口している。ピストン穴6内に、好ましくは断面が円筒形のピストン9が長さ方向に移動可能にはめ込まれており、そのピストン頭部によりピストン穴6内における作動室11の範囲を斜板4の方向において定めている。ピストン9の他端は斜板4に面しており、ピストン9の他端は斜板4の対向傾面4a上において、ジョイント12と斜板4の対向傾面4aに設けられた滑り台13とにより、ボールヘッドとボールソケットを有するボールジョイントの形でジョイント12により支持されている。
【0011】
斜板4から離してシリンダドラム5の端部はカム板14に寄り掛かっている。カム板14には少なくとも2つの制御開口15a、15bが中心線7に対して互いに正反対に配列されており、それらはカム板14が保持されている隣接するハウジング側壁18aを通って伸びている供給線路16および排出線路17の縦方向口部を形成している。シリンダドラム5はハウジング2内に回転可能に搭載された駆動シャフト19に連結されており、その回転軸21はシリンダドラム5の中心線7と同軸に伸びている。
本実施例においては、ハウジング2はハウジングベース2bおよび周壁2cを有する鉢型ハウジング部2aの形状をしており、周壁2cの自由端に対して位置する蓋型フランジ2dがねじ22aを用いたねじ結合22によって連結されてハウジングの前側壁18bを形成している。
【0012】
駆動シャフト19はシリンダドラム5をベアリング穴5a内で回転固定して貫通しており、ハウジングベース2bおよび前側壁18bおよび/またはフランジ2dに適当なベアリング25、25aにより回転可能に搭載され、それにより、駆動シャフト19は前側壁18bおよび/またはフランジ2dを透孔23内で軸方向に貫通する。透孔23は環状のシール24でシールされ、駆動ピン19aはハウジング2から軸方向に突出している。鉢型ハウジング部2aとフランジ2dは互いに平面座面2fで隣接しており、それらの分離結合26を形成して図示しないたとえば環状シールによりシールされる。鉢型ハウジング部2aとフランジ2dを互いに同軸に位置させるために、心出し装置27を、たとえば、関連付けした座面2fから突き出し、反対側の座面2f内の適合した凹所または、室内3の内側端部にはめ込めんだ突起形状で、設けることが好ましい。
斜板4には透孔28がたとえば同軸に設けられており、そこに駆動シャフト19が径方向に遊びを有して貫通している。斜板4は軸方向においては前方、すなわち駆動ピン19a方向に、径方向においてはフランジ2dの内側に対して好ましくは確動的に支持されている。
アキシャルピストンエンジン1は固定または可変の処理容量のアキシャルピストンエンジンである。後者の場合、周知の異なった構造の調整装置31を有しており、図1に左右矢印で示す範囲で処理容量は増減される。
【0013】
本実施例においては、斜板4は調整機構31aによりスイベルジョイントとして回転軸21および/または長さ方向の中心線に対して横走するスイベル軸32aのまわりに両方向に調整可能であり、かつ、各調整位置でロック可能である。
スイベルジョイント32はいわゆるスイベル台で形成されている。このスイベル台は、フランジ2dの内側において、1つの横方向に連続したあるいは2つの円弧状のいずれかで、駆動シャフト19の両側に配置された凹面接合面32bと、1つの横方向に連続したあるいは2つの円弧状のいずれかで、斜板4の透孔28の両側に配置された凸面接合面32cを有している。本実施例においては、スイベルジョイント32は滑り軸受けであるが、転がり軸受けや針状軸受けで形成すれば接合面32b、32c間に配置された小さい構造の回転体を実現できる。
【0014】
ハウジング2の周壁2cは径方向突出部34aを有している。径方向突出部34aは断面が角形あるいはU字形の屋根型であり、その頂部34dは管状周壁2cの長さ方向に伸びている。径方向突出部34aは2つの周壁部2eを角形あるいはU字形に配列して形成され、接線方向あるいは中空シリンダ周壁に対する割線のように突出して、径方向突出部34aの頂部34dで互いに連結している。本実施例においては、径方向突出部34aは周壁2cの軸方向長さL1にわたって伸びており、径方向突出部34bは鉢型ハウジング2aの後側壁18aの厚さL2にわたって伸びている。フランジ2dも好ましくは軸方向において突出部34aとほぼ適合する突出部34cを有し、前側壁18bの厚さL3にわたって伸びている。したがって、突出部34がハウジング2の全長Lにわたって伸びており、軸方向において一体的に形成された突出部34a、34b、34cから構成されていると定義できる。また、突出部34a、34bも互いに軸方向において一体的に連結されている。
後側壁18aおよび/またはハウジングベース2bの周囲における突出部34bはハウジング2の室内3を区切らないので、この実施例では内部拡大は行なわない。本実施例においては、突出部34bは側表面部34eにより区切られる。側表面部34eは角形あるいはU字形に配列され、それらの間に突出部34bが配置される。突出部34cもフランジ2dの周囲において同様に配置される。
突出部34aは厚さがたとえば実質的に等しいdである周壁部2eとともに径方向に拡大した内部36を区切る。この径方向に拡大した内部36はまだ詳細を説明していないアキシャルピストンエンジン1を空間的に有用にするように選択できる構造や部品の保護配置にふさわしい。
【0015】
周壁2cは2つの互いに対角線状に配列された突出部34aまたは周囲方向にたとえば約90°離れて配列された複数、たとえば3または4個の突出部34aを有している。周囲に沿って4個の突出部34aが分布して配置された場合には、周壁2cは実質的に正方形または長方形の断面形状を有している。この場合、図3および4に示すように、角部は丸くされ、その間に延びている側壁2gは断面図で見ると少し外側に曲がっている。この場合、側壁2gは互いに周囲方向に隣接した突出部34aにおける2個の互いに離れた周壁部2eで形成される。
この場合、ハウジングベース2bの周壁部34eおよび突出部34b、34c間に伸びるフランジ2dは周壁2cの側壁部2gに形状および大きさが適合することが好ましい。
たとえば、調整装置31の一部を形成する調整機構31aを内部36に配置し、空間的に有用な方法で外見上またはスイベル軸33に沿ってすなわちシリンダドラム5に関して斜めのおよび/または対角線的に小さくすることができる。
調整機構31aと斜板4との機械的連結を改善するために、斜板4は関連する内部36に軸対称に少なくとも1つの径方向突出部37を有しており、図2に突出部37を指し示す両側矢印として示されている調整機構31aが突出部37へ圧力および/または張力を行使するという意味で作用する。
斜板4には軸対称の各内部36に突出部37が配置されているのが好ましく、4個の突出部37がある場合には斜板4は正方形または長方形形状で斜板4の角部は丸くされている。
【0016】
調整装置31は2つの調整機構31a1、31a2を有しており、それらはスイベル軸33の両側に径方向に間隔を持って、すなわち、スイベル軸33に対して互いに筋向いまたは斜めに配置されて軸方向に対して反対方向に作用する。詳細は図2に示されている。このような互いに反対方向に作用する調整機構31a1、31a2はたとえば油圧式スイングアウトピストンおよび油圧式スイングバックピストンで形成される。油圧式スイングアウトピストンおよび油圧式スイングバックピストンは斜板4に対して軸方向に反対方向に作用する構成であるが、軸方向に同一方向に作用する2つのピストンの一方で他方のピストンを駆動する構成としてもよい。
少なくとも1つの径方向に広がった内部36に、斜板4の最大および/または最小スイベル角を制限するスイベル制限装置41が空間的に有用な態様で配置される。図2および図4には最大スイベル角ピストンのスイベル制限装置41および最小スイベル角ピストンのスイベル制限装置41の2つのスイベル制限装置41が示されている。少なくとも1つのスイベル制限装置41はたとえば停止ネジ41aで形成されており、この停止ネジ41aは周壁2cの図示しない内部突起のねじ山にねじ込まれる。停止ネジ41aはその頭にたとえばドライバーを作用させて、スイベル軸33に対して横方向または斜め方向に間隔を有しながら斜板4および/または関連する突出部37に対して前後させながらねじ込まれる。
【0017】
少なくとも1つの調整可能なスイベル制限装置41または停止ネジ41aにアクセスしやすくするために、スイベル制限装置41および/またはネジ頭に外からアクセスできるように停止ネジ41aおよび/またはそれを受けるネジ穴が周壁2cの外側に斜めに伸びていることが好ましい。これは図3に例示されており、右上に配置されているスイベル制限装置41は斜め上および斜め下方向に配置されているネジ穴内に延びている停止ネジ41aを有しており、それによって外部からアクセスすることができる。同様にして、他のスイベル制限装置41または停止ネジ41aも外側からアクセスできるように配置される。こうして、突出部34a、34b、34cの少なくとも1つおよび調整機構31aおよび/またはスイベル制限装置41の少なくとも一方は、スイベル軸33を含む軸方向で図示した長さ方向面E1とそれに直交して位置する長さ方向中心面E2の間に配置される。
したがって、1つまたは2つのスイベル制限装置41がスイベル軸33の両側において互いに筋向いまたは斜反対側に配置することができる。この場合、右上に配置されたスイベル制限装置41で説明したように図1に図示されていない他方のスイベル制限装置41は外部からアクセス可能に設計され、たとえば、長さ方向面E1および/または長さ方向中心面E2に対して鏡面位置に配置される。
【0018】
突出部34a、34bの少なくとも1つは、また、たとえば油圧媒体、特に油圧オイルを供給、排出または排油するための開口を有する少なくとも1つの結合点38のような油圧機能要素の配置に空間的に有用な態様で適合している。結合開口38a1、38a2の領域には、結合金具または結合線路、たとえば、供給および/または排出線路16、17または漏出線路などを固定する固定装置39の一部である固定具39aが設けられている。
実施例おいて、突出部34a、34bの少なくとも一方の頂部34dに、すなわち、後側壁18aおよび/またはハウジングベース2が位置している長さ方向領域L2および/または周壁2cの長さ方向領域L1に1つまたは2つの結合開口38a1、38a2が配列されている。結合開口38a1、38a2は頂部34dにおいて周壁2cまたはハウジングベース2を貫いている穴で形成されており、結合開口38a1、38a2および/または穴の中心線38bは周壁部2eおよび/または側表面部34eの二等分線に位置し、たとえばca.135°の鈍角W1またはca.45°の付属品がある場合には鋭角W2ca.45°の角度を有している。
本発明の範囲内において、結合開口38a1を形成する穴は、図3の左側によれば、対応する油圧線路をたとえば針に糸を通すように直接固定する要素として役立っている。したがって、穴それ自体が固定装置39の固定具39aとなっている。
本実施例においては、図3の右側に固定具39aとして、中心線38bにほぼ直角に伸びており結合開口38a2を囲んでいる取り付け面39bと、好ましくは取り付け面39bに互いに反対側に配置された2つ以上の固定穴39cを示しており、図示しないネジで周壁2cにネジ固定により取り付け面39bに置かれた油圧線路とネジ結合する。
取り付け面39bおよび/または結合開口38a1は好ましくは第1の突出部34a、34bからの突起という意味で上に伸びた第2の突出部42に位置している。
【0019】
図4に示すように、第2の結合開口38a1または38a2は、周方向に離れたたとえば正反対位置の2つの突出部34a、34bの一方の領域に配置されている。この場合、この結合開口38a1、38a2を、関連する現存の回路の油圧線路を固定する同一のまたは異なる固定装置39の固定具39aと関連付けてもよい。
特に図4から明らかなように、結合点38の右上に配置されている結合部材38cは関連する線路との結合要素38dを有しており、その線路の中心線38eは取り付け面39bおよび/または結合部材38cの取り付け面に平行に伸びており、中心線38bは中心線38eとほぼ直角である。そのような構成においては、結合部材38cの中心線38eと隣接する側壁部2gとはca.45°の鋭角W2を有している。
【0020】
本発明の範囲内においては、結合部材38cを突出部34a、34bに一体的に結合させることも可能である。
油圧回路との結合点38に関する上述の実施例とは別に、結合点38を少なくとも1つの突出部34aにのみ存在する漏出線路に配列することも同様に有用である。この場合、この結合点は室内3の長さ方向領域L1に配列される。
周壁2cの周壁部2eもまた拡大され、周壁部2eを形成する側壁部の座部を改善する。すなわち、特に少なくとも1つの関連する突出部34a、34bが図3の上部および図4の上左に示されるように丸くなく角型デザインである場合を考える。そのような周壁部2eは、特に外周が平面である場合には、内部36に配置された調整機構31aを始動させるトリガ装置46への取り付け面45として好適である。トリガ装置46は電源および/または油圧源に接続されている。
【0021】
フランジ2dは鉢型ハウジング2aに対して、周壁に沿って配列された複数のネジ51aによるネジ結合51で着脱自在に接続されている。複数のネジ51aはフランジ2dの透孔を貫通し、周壁2cの端部領域におけるネジ穴にねじ込まれる。
アキシャルピストンエンジン1を図示しないたとえばエンジンフレームなどの運搬装置に固定するには、フランジ2dに周壁たとえば突出部34cに沿って配列された複数のネジ穴52aを備えたネジ結合52を用意し、図示しないネジをネジ穴52aに導入し図示しない運搬装置のネジ穴にねじ込んで固定する。ネジ穴52aは周辺に開口する小さい穴で形成することができる。
フランジ2dはアキシャルピストンエンジン1を他の運搬装置(たとえば他の製品)に適応させて固定するためのアダプタの役目もする。そのような場合、2つのフランジ2dを用意し、それらのネジ穴51aは同一ネジ結合51に対して同一デザイン、同一穴パターンとし、一方2つのフランジ2dは異なる穴パターンのネジ穴52aによって各運搬装置の対応する穴パターンに適合させる。
【0022】
本発明は上述した実施例に限定されず、たとえば傾斜軸型アキシャルピストンエンジンにも適している。すべての説明および/または図面の特徴は本発明の範囲内において互いにいかなる所望の方法で結合することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 アキシャルピストンエンジン
2 ハウジング
2a 鉢型ハウジング部
2b ハウジングベース
2c 周壁
2d フランジ
2e 周壁部
2f 平面座面
2g 側壁部
3 室内
4 斜板
5 シリンダドラム
5a ベアリング穴
6 ピストン穴
7 中心線
9 ピストン
11 作動室
12 ジョイント
13 滑り台
14 カム板
15a、15b 制御開口
16 供給線路
17 排出線路
18a、18b 側壁
19 駆動シャフト
19a 駆動ピン
21 回転軸
23、28 透孔
24 シール
25、25a ベアリング
26 分離結合
27 心出し装置
31 調整装置
31a、31a1、31a2 調整機構
32 スイベルジョイント
32a スイベル軸
32b 凹面接合面
32c 凸面接合面
34、34a、34b、34c 突出部
34d 頂部
34e 側表面部
36 内部
37 突出部
38 結合点
38a1、38a2 結合開口
38b 中心線
38c 結合部材
38d 結合要素
38e 中心線
39 固定装置
39a 固定具
39b 取り付け面
39c 固定穴
41 スイベル制限装置
41a 停止ネジ
45 取り付け面
46 トリガ装置
51 ネジ結合
51a ネジ
52 ネジ結合
52a ネジ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの側壁(18a、18b)および周壁(2c)を互いに長さ方向に接続して室内(3)を囲むハウジング(2)と、
前記ハウジング(2)内を長さ方向に伸びて前記ハウジング(2)に回転自在に搭載された駆動シャフト(19)と、
前記ハウジング(2)内のシリンダドラム(5)に長さ方向に隣接して搭載され、かつ、前記シリンダドラム(5)内に実質的に長さ方向に伸びるピストン穴(6)に往復運動可能に搭載されたピストン(9)を接合するように支持する斜板(4)と、
を有する静圧アキシャルピストンエンジンであって、
前記周壁(2c)が少なくとも1つの径方向に膨らんだ突出部(34a)を有し、前記突出部(34a)は前記ハウジング(2)の長さ方向に伸長するように構成され、かつ、角形またはU字形に配列され径方向に拡大した内部(36)を区切る2つの周壁部(2e)で形成されていることを特徴とする静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項2】
前記突出部(34a)が前記室内(3)の長さ(L1)にわたって伸びていることを特徴とする請求項1に記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項3】
2つの前記突出部(34a)が互いに反対側に配置されている、またはたとえば3または4個の複数個の前記突出部(34a)が互いに周辺方向に離間して配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項4】
前記シリンダドラム(5)は前記斜板(4)から内側を離して前記シリンダドラム(5)と前記側壁(18a)との間に配置されたカム板(14)に寄り掛かっており、少なくとも1つの前記突出部(34a)は前記側壁(18a)または両方の前記側壁(18a、18b)にわたって長さ方向に伸びていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項5】
前記突出部(34a、34b)の頂部(34d)に結合開口(38a1、38a2)との油圧結合点(38)が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項6】
2つの側壁(18a、18b)および周壁(2c)を互いに長さ方向に接続して室内(3)を囲むハウジング(2)と、
前記ハウジング(2)内を長さ方向に伸びて前記ハウジング(2)に回転自在に搭載された駆動シャフト(19)と、
前記ハウジング(2)内のシリンダドラム(5)に長さ方向に隣接して搭載され、かつ、前記シリンダドラム(5)内に実質的に長さ方向に伸びるピストン穴(6)に往復運動可能に搭載されたピストン(9)を接合するように支持する斜板(4)と、
を有し、
前記シリンダドラム(5)は斜板(4)から側面を離して前記シリンダドラム(5)と前記側壁(18a)との間に配置されたカム板(14)に寄り掛かっている静圧アキシャルピストンエンジンであって、
この側壁(18a)の周囲に断面が角形またはU字形の突出部(34b)が配置され、その頂部領域に結合開口(38a1、38a2)との油圧結合点(38)が配置されていることを特徴とする静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項7】
前記突出部(34b)が少なくとも部分的に長さ方向に前記周壁(2c)または他の側壁(18b)に沿って伸びていることを特徴とする請求項6に記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項8】
前記油圧結合点(38)に油圧線路または結合部材を固定する固定装置(39)の一部である固定具(39a)が配置されていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項9】
前記油圧結合点(38)に少なくとも1つの好ましくは平面の座面(39b)が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項10】
前記固定具(39a)が第1の突出部(34a,34b)から上に伸びた第2の突出部(42)の、たとえば、前記結合点(38)領域にのみに配置されていることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項11】
前記アキシャルピストンエンジン(1)の処理容量が調整機構(31a)を有する調整装置(31)により増減され、好ましくは、前記斜板(4)が前記調整装置(31)の一部としてスイベルジョイント(32)のスイベル軸(32a)周辺に枢軸可能に搭載されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項12】
前記調整機構(31a)および/またはスイベル制限装置(41)は、細長に設計されて、拡大された内部(36)または拡大された前記内部(36)の1つにおいて、前記アキシャルピストンエンジン(1)の長さ方向のスイベル軸(33)に対して横方向に離れて伸びていることを特徴とする請求項11に記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項13】
横方向に配向した相互空間を有する1つまたは2つの突出部(34a、34b、34c)が前記スイベル軸(33)に対して横方向に離間して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項14】
拡大された前記内部(36)を有する2つの横方向に互いに離れた径方向突出部(34)が前記スイベル軸(33)の両側に配置されており、好ましくは、前記調整機構(31a)および前記スイベル制限装置(41)が前記スイベル軸(33)の各側、特に、互いに斜め反対に配置されていることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項15】
前記側壁(18a)が鉢形ハウジング(2a)のベース壁(2b)で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の静圧アキシャルピストンエンジン。
【請求項16】
前記ハウジング(2)が少なくとも1つの前記突出部(34a、34b、34c)の領域において4つの側壁部(2f)により区切られた断面形状、特に、正方形または長方形の好ましくは角部が丸い断面形状を有していることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の静圧アキシャルピストンエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−514971(P2010−514971A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543384(P2009−543384)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011302
【国際公開番号】WO2008/080573
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(598097611)ロバート ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】Robert Bosch GmbH
【Fターム(参考)】