説明

円形コントラストゾーンを用いたコントラスト感度検査及び/又は訓練システム及び方法

複数の円形コントラストゾーンを用いて、個人のコントラスト感度を検査及び/又は訓練することができる。個人は、他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストの度合を有する円形コントラストゾーンを選択することができる。例えば、個人は、表示された複数の円形コントラストゾーンのうち、最強又は最弱のコントラストを有する円形コントラストゾーンを選択することができる。複数の円形コントラストゾーンは、個人が複数のうち1つを選択して入力することを促進するような空間的配置で表示することができる。様々な入力装置を用いて、個人からの選択を受けることができる。本発明によれば、個人のコントラスト感度における正確性及び速さを共に検査及び/又は訓練することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視力の検査及び/又は訓練に関する。特に、本発明は、被験者のコントラスト感度を検査及び/又は訓練することに関する。
【背景技術】
【0002】
コントラスト感度検査は、被験者の、視覚表示されるコントラストパターンを識別する能力を検査する多種のシステム及び方法を用いて実行されてきた。コントラスト感度検査は、被験者が、自分のコントラスト感度に欠陥を有するか否かを判定するために用いられてきた。
【発明の概要】
【0003】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに説明する諸概念を選択して簡略化形式で紹介するために提供する。この概要は、特許請求する事項に関しての主要または必須の特徴を識別することを意図したものではなく、特許請求する事項の範囲を定める手助けとして用いられることを意図したものでもない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、コントラスト検査又は訓練は、複数の円形コントラストゾーンを利用することができ、複数の円形コントラストゾーンのうち1つが他の円形コントラストゾーンよりも強いか弱いコントラストパターンを有する。コントラスト感度の検査又は訓練は、複数のコントラストゾーンうちの最強又は最弱のコントラストパターンを有するものを選択することを被験者に求めることによって進めることができる。特定時点で提示したコントラストゾーンの各々は、等しい総量の色素又は着色を有することができ、いずれか特定の円形コントラストゾーンのコントラストのみが異なる。本発明で用いる複数の円形コントラストゾーンは、空間的に分散した様式で表示装置上に提示することができる。複数の円形コントラストゾーンの1つを識別する入力は、表示装置上の円形コントラストゾーンの空間分布に対応した1つ以上の入力を被験者が与えることを可能にする入力装置上で受けることができ、これにより、被験者は1つ以上の円形コントラストゾーンを、入力により一意的に識別することができる。適切な入力装置は、適宜、タッチセンサ式スクリーン、ジョイスティック、ボタン、マルチタッチ式入力装置等を含むことができる。
【0005】
以下、本発明を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明による、コントラスト感度を検査又は訓練するためのシステムを示す図である。
【図2A】本発明による、複数の円形コントラストゾーン及び使用するジョイスティックを示す図である。
【図2B】本発明による、複数の円形コントラストゾーン及び使用するジョイスティックを示す図である。
【図2C】本発明による、複数の円形コントラストゾーン及び使用するジョイスティックを示す図である。
【図2D】本発明による、複数の円形コントラストゾーン及び使用するジョイスティックを示す図である。
【図3】本発明による、コントラスト感度を検査又は訓練するための他のシステムを示す図である。
【図4A】本発明による、タッチスクリーン式のコントラスト感度を検査又は訓練するためのシステムを示す図である。
【図4B】本発明による、タッチスクリーン式のコントラスト感度を検査又は訓練するためのシステムを示す図である。
【図4C】本発明による、タッチスクリーン式のコントラスト感度を検査又は訓練するためのシステムを示す図である。
【図4D】本発明による、タッチスクリーン式のコントラスト感度を検査又は訓練するためのシステムを示す図である。
【図5】本発明による、コントラスト感度を検査又は訓練するための他のシステムを示す図である。
【図6A】本発明による、ボタンを利用する、コントラスト感度を検査又は訓練するためのシステムを示す図である。
【図6B】本発明による、ボタンを利用する、コントラスト感度を検査又は訓練するためのシステムを示す図である。
【図6C】本発明による、ボタンを利用する、コントラスト感度を検査又は訓練するためのシステムを示す図である。
【図7】本発明による、コントラスト感度を検査又は訓練するための他のシステムを示す図である。
【図8A】本発明による、複数の円形コントラストゾーン及びジェスチャ認識入力を用いる場合のジェスチャを示す図である。
【図8B】本発明による、複数の円形コントラストゾーン及びジェスチャ認識入力を用いる場合のジェスチャを示す図である。
【図8C】本発明による、複数の円形コントラストゾーン及びジェスチャ認識入力を用いる場合のジェスチャを示す図である。
【図8D】本発明による、複数の円形コントラストゾーン及びジェスチャ認識入力を用いる場合のジェスチャを示す図である。
【図9】本発明による、マルチタッチ入力装置を利用した、コントラスト感度を検査又は訓練するためのシステムを示す図である。
【図10A】本発明による、円形コントラストゾーン及びマルチタッチ入力装置を用いた入力を示す図である。
【図10B】本発明による、円形コントラストゾーン及びマルチタッチ入力装置を用いた入力を示す図である。
【図10C】本発明による、円形コントラストゾーン及びマルチタッチ入力装置を用いた入力を示す図である。
【図10D】本発明による、円形コントラストゾーン及びマルチタッチ入力装置を用いた入力を示す図である。
【図11】本発明による、コントラスト感度を検査又は訓練するための方法を示す図である。
【図12−1】本発明による、コントラスト感度を検査又は訓練するための他の方法を示す図である。
【図12−2】本発明による、コントラスト感度を検査又は訓練するための他の方法を示す図である。
【図13】13A乃至13Bは、視角の関数として正弦波状に変化する円形コントラストゾーンの輝度パターンのグラフ表現を示す図である。
【図14】14A乃至14Bは、視角の関数として方形波状に変化する円形コントラストゾーンの輝度パターンのグラフ表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここでは、法定要件を充足するために、本発明の主題を、具体的に説明する。しかし、この説明自体は、本件特許の範囲を限定することは意図していない。むしろ、発明者らは、異なるステップ、又は本明細書に記載のステップに類似のステップの異なる組合せを、現在又は将来の技術と共に含める他の方法で特許請求する主題を具体化することができると考えている。
【0008】
コントラスト感度の検査では、被験者に対してコントラストパターンを表示して、被験者がコントラストパターンを知覚することができるか否かを判定する。被験者が乱視を有する場合、コントラスト感度を検査するにあたって1つの問題が生じ、この問題は、コントラストパターンが該乱視により生じる視覚障害と方向が合う場合に、被験者がコントラストパターンを知覚することを妨げ得る。この問題は、円形のコントラストパターンを有する、円形コントラストゾーンを用いることによって克服することができる。このような円形コントラストゾーンの円形のコントラストパターンは、360°にわたって広がることができ、特定被験者の乱視により生じる視覚障害と方向が合うことがあり得ない。
【0009】
本発明による円形コントラストゾーンの空間周波数は、異なる実施形態について変化させることができ、また、同じ実施形態内の異なる検査/訓練の反復回について変化させることができる。円形コントラストゾーンの空間周波数は、円形コントラストゾーンの大きさ、円形コントラストゾーンを表示する表示装置からの被験者の距離、円形コントラストゾーン内のコントラストパターンのサイクル数に依存する。本発明によれば、多種のコントラストパターンを用いることができるが、対称な正弦格子のコントラストパターンが、比較的高度な課題を被験者に与えることができる。正弦格子のコントラストパターンの一例は、ガボール(Gabor)パッチであり、これは時にコントラスト感度検査において用いられる。しかし、ガボールパッチは、対称的ではなく、したがってガボールパッチのコントラストパターンの知覚は乱視によって損なわれ得る。被験者にとって比較的低度な課題が望ましい場合には、方形波状のコントラストパターンを用いることができる。本発明によれば、あらゆる種類のコントラストパターンを、円形コントラストゾーン内で用いることができる。不規則なコントラストパターンを用いる場合は、円形コントラストゾーンの半径に沿って空間周波数が変化し得る。規則的なコントラストパターンを用いる場合は、任意の空間周波数を用いることができる。円形コントラストゾーンのコントラストパターンの空間周波数は、被験者の視角1°あたりのサイクル数として表現することができる。例えば、1°あたり18サイクル及び/又は1°あたり6サイクル等の空間周波数を用いることができる。本発明による円形コントラストゾーンを用いて、広範囲の空間周波数にわたって、広範囲のコントラストを検査することができる。
【0010】
図13A乃至13B及び14A乃至14Bには、本発明による円形コントラストゾーンとともに用いることのできる、好適な輝度パターンを、視角の関数としてグラフで示す。図13A乃至13B及び14A乃至14Bは、輝度が被験者の視野角にわたって変化する際に、輝度が、「max」で表す円形コントラストゾーン内の最大輝度値から、「min」で表す円形コントラストゾーン内の最小輝度値まで変化する際の、特定のコントラストパターンの輝度を示す。図13A乃至13B及び14A乃至14Bに示す最大輝度及び最小輝度はそれぞれ、表示装置によって達成可能な最大輝度及び表示装置によって達成可能な最小輝度とすることができるのに対し、特定の円形コントラストゾーンの輝度は、利用する表示装置にとって可能な輝度の全範囲にわたって変化する必要はない。図13A乃至13B及び14A乃至14Bは、視野0.5°にわたる円形コントラストゾーンの輝度を示すが、円形コントラストゾーンはこの距離より大きいか小さい範囲を占めることができる。図13A乃至13B及び14A乃至14Bは、好適な円形コントラストゾーンの直径全体にわたる輝度を表す。図13Aは、円形コントラストゾーンの直径全体にわたる、1°あたり18サイクルの周波数を有する正弦波状の輝度変化を示す。図13Bは、円形コントラストゾーンの直径全体にわたる、1°あたり6サイクルの周波数を有する正弦波状の輝度変化を示す。図14Aは、円形コントラストゾーンの直径全体にわたる、1°あたり18サイクルの周波数を有する方形波状の輝度変化を示す。図14Bは、円形コントラストゾーンの直径全体にわたる、1°あたり6サイクルの周波数を有する方形波状の輝度変化を示す。図13A乃至13B及び14A乃至14Bに示すパターン以外にも、任意の周期的又は非周期的なパターンを、本発明による円形コントラストゾーンとともに用いることができる。例えば、円形コントラストゾーンは、円形コントラストゾーンの残りの部分とは異なる輝度を有する、単一部分を有することができる。他の例として、円形コントラストゾーンは、輝度の非周期的変化を有することができる。
【0011】
また、本発明は、複数の円形コントラストゾーンを同時に用いることを可能にし、これらの円形コントラストゾーンから、被験者は、単一の円形コントラストゾーンを選択することができる。例えば、被験者に対して、最強又は最弱のコントラストパターンを有するコントラストゾーンを選択するように指示することができる。このようにして、検査の複数の反復回にて複数の円形コントラストゾーンを表示して、被験者は、(最強のコントラストパターン又は再弱のコントラストパターン等の)1つのゾーンを選択することができ、これにより、ある選別目的で利用されるように、単に被験者が特定のコントラスト強度を知覚することができるか否かを判定するだけでなく、被験者のコントラスト感度を正確に測定することができる。円形コントラストゾーンのコントラストは、様々な手法で定義することができる。コントラストゾーンのコントラストの有用な尺度は、時として「モジュレーション」又は「マイケルソンコントラスト」と称される。Mで表すマイケルソンコントラストは、コントラストゾーンの最大及び最小輝度を基に、次式に基づいて算出することができる:M = (Lmax - Lmin)/ (Lmax + Lmin)。一部の場合には、コントラストゾーンを均一にして(Lmax = Lmin)とすることができ、この場合M = 0である。もちろん、コントラストの他の尺度/定義を用いることができる。本発明によるコントラスト感度検査は、表示された円形コントラストゾーンの空間分布に対応する入力を受けることができる入力装置を利用することができる。このようにして、被験者は容易かつ迅速に、複数のコントラストゾーンの特定表示に対する正しい応答であると被験者が信じる個別のコントラストゾーンを選択することができる。複数のコントラストゾーンの表示と、複数の円形コントラストゾーンのうちの1つの選択を示す入力の受信との間に経過した時間の分析によって、被験者のコントラスト感度能力に関する追加的情報を与えることができる。本発明によるコントラスト感度検査に関連して、様々な入力装置を利用することができる。本明細書でより詳しく説明される例は、ジョイスティック、ボタン、タッチセンサ式スクリーン及びジェスチャ認識を含む。しかし、音声認識、フットペダル、バランスボード等の他のあらゆる種類の入力を利用することができる。さらに、これに加えて、あるいはその代わりに、本発明によるシステム及び方法を用いて、被験者のコントラスト感度を訓練することができる。
【0012】
図1を参照するに、コントラスト感度の検査又は訓練用のシステム100が示されている。システム100を用いたコントラスト感度の検査又は訓練は、表示装置110を利用して、被験者150に複数の円形コントラストゾーンを提示することができる。被験者150は、表示された複数のコントラストゾーンのうち1つを、ジョイスティック120を用いて選択することができる。検査装置130は、表示装置110と通信しながら動作して、表示装置110に複数の円形コントラストゾーンを表示させることができる。本明細書では「検査をする装置」又は「検査装置」と称するが、検査装置130は、コントラスト感度を検査及び/又は訓練するために用いることができる。検査装置130は、ケーブル120を介して表示装置110と通信することができるが、任意の通信媒体及び/又はプロトコルを用いることができる。ジョイスティック120を用いて記録された、被験者150からの入力は、ケーブル122を介して検査装置130に伝達することができる。表示された複数の円形コントラストゾーンのコントラストレベル、被験者150によって記録された選択、円形コントラストゾーンを表示した時刻及び入力を受信した時刻のそれぞれ、並びに他の種類の動作データを、検査装置130から、接続部132を介して記憶装置140へ伝達することができる。記憶装置140は、検査装置130と一体にすることができ、又はリモートサーバ、記憶ドライブ或いは他の装置とすることができる。同様に、記憶装置140は、複数の物理的装置上に分散させることができ、バックアップ目的で冗長的に用いられる任意数の装置又は装置の部分で構成することができる。さらに、ケーブル112、ケーブル122及び接続部132等の様々な接続部は、無線プロトコルを含む、標準的な、或いは特殊な通信プロトコル上で動作する任意種類の接続を利用することができる。
【0013】
図2A乃至2Dを参照するに、好適な複数の円形コントラストゾーン、及びこれに対応して、ジョイスティック250を用いてコントラストゾーンを選択する入力が示されている。図2A乃至2D、図4A乃至4D、6A乃至6C、8A乃至8D及び10A乃至10Dに示す円形コントラストゾーンは、各ゾーン内に複数のドットが描かれ、ドット密度が、コントラストゾーン内の特定の位置における輝度、色素量等を表し、本明細書の例示で用いるようなドットを円形コントラストゾーン内で用いることができるが、本発明に関連して、色度、輝度等の変化を用いることもできる。
【0014】
図2Aでは、複数の円形コントラストゾーン200は、第1の円形コントラストゾーン210、第2の円形コントラストゾーン220、第3の円形コントラストゾーン230及び第4の円形コントラストゾーン240を含むことができる。図2Aに示すように、複数の円形コントラストゾーンの各々は、他のコントラストゾーンとの空間的位置関係を有する。この例では、第1の円形コントラストゾーン210を上側コントラストゾーン210と称することもあり、第2の円形コントラストゾーン220を右側コントラストゾーン220と称することもあり、第3の円形コントラストゾーン230を下側コントラストゾーンと称することもあり、第4の円形コントラストゾーン240を左側コントラストゾーンと称することもある。図2Aに示す例では、上側コントラストゾーン210は、複数の円形コントラストゾーン200の他の円形コントラストゾーンよりも強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、上側コントラストゾーン210の選択を、ジョイスティック250を上方向251に動かすことにより、ジョイスティックを利用して記録することができる。
【0015】
図2Bを参照するに、他の複数の円形コントラストゾーン201が示されている。複数の円形コントラストゾーン201は、上側コントラストゾーン212、右側コントラストゾーン222、下側コントラストゾーン232、及び左側コントラストゾーン242を含む。図2Bの例では、右側コントラストゾーン222が、複数の円形コントラストゾーン201の中で最強のコントラストパターンを有する。したがって、(不図示の)被験者は、右コントラストゾーン222を選択する入力を、ジョイスティック250を右方向へ動かすことにより、ジョイスティック250を用いて記録することができる。
【0016】
図2Cを参照するに、さらに他の複数の円形コントラストゾーン202が示されている。複数の円形コントラストゾーン202は、上側コントラストゾーン214、右側円形コントラストゾーン224、下側円形ゾーン234、及び左側円形ゾーン244を含む。図2Cに示す例では、下側コントラストゾーン234が、複数の円形コントラストゾーン202の中で最強のコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、ジョイスティック250を下方向253に押下することによって、下側コントラストゾーン234の選択を指示することができる。
【0017】
図2Dを参照するに、さらに他の複数の円形コントラストゾーン203が示されている。複数の円形コントラストゾーン203は、上側コントラストゾーン216、右側コントラストゾーン226、下側コントラストゾーン236、及び左側コントラストゾーン246を含む。図2Dに示す例では、左側コントラストゾーン246が、複数の円形コントラストゾーン203中の他の円形コントラストゾーンより強いコントラスパターンを有する。(不図示の)被験者は、ジョイスティック250を左方向254に動かすことによって、左コントラストゾーン246の選択を指示することができる。
【0018】
もちろん、本発明によるコントラスト感度の検査に関連して用いるコントラストパターンは、図2A乃至2Dに例示するものから大幅に変えることができることは明らかである。さらに、複数の円形コントラストゾーンのうち特定の円形コントラストゾーンを、被験者によって選択される円形コントラストゾーンとする順序は、任意の順序にすることができることは明らかである。図2A乃至2Dに示すような複数の円形コントラストゾーンの各々は、等しい量の色素を有することができ、このため、被験者は、コントラストゾーン内のコントラストパターンを知覚せずに、円形コントラストゾーンを、最大又は最小の色素量を有するものとして単に選択することはできない。しかし、本発明によれば、このようなやり方は必須ではない。さらに、図2A乃至2Dは、1つを上側円形コントラストゾーン、1つを右側円形コントラストゾーン、1つを下側コントラストゾーン、及び1つを左側円形コントラストゾーンとする、4つの円形コントラストゾーンの使用を例示しているが、本発明の範囲を逸脱せずに、4つより多数又は少数の円形コントラストゾーンを利用することができる。
【0019】
図3を参照するに、本発明による、被験者350のコントラスト感度を検査または訓練するための、さらに他のシステム300が示されている。システム300は、タッチセンサ式スクリーン320を有する表示装置310を利用することができる。この様にして、表示装置310は、複数の円形コントラストゾーンを被験者350に表示することができ、被験者350は、例えば選択した円形コントラストゾーン上又はその付近で、タッチセンサ式スクリーン320に触れることによって、複数の円形コントラストゾーンのうち1つの選択を記録することができる。ケーブル312は、表示装置310を、検査装置330に接続することができる。本明細書では「検査する装置」又は「検査装置」とも称するが、検査装置330は、コントラスト感度を検査及び/又は訓練するために用いることができる。検査装置330は、表示装置310に複数の円形コントラストゾーンを表示させて、タッチセンサ式スクリーンから入力を受けるように動作することができる。検査装置330は、接続332を介して、検査データを記録装置340へ伝達することができるが、他のあらゆる種類の媒体又はプロトコルを用いることができる。
【0020】
図4A乃至4Dを参照するに、タッチセンサ式スクリーン320等のタッチセンサ式スクリーンと共に利用される、様々な複数の円形コントラストゾーンが示されている。
【0021】
図4Aを参照するに、複数の円形コントラストゾーン400は、上側コントラストゾーン410、右側コントラストゾーン420、下側コントラストゾーン430及び左側コントラストゾーン440を含むことができる。図4Aに示す例では、上側コントラストゾーン410が複数の円形コントラストゾーン400のうちで、最強のコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、例えば被験者の手405を用いることにより、上側コントラストゾーン410が表示されているスクリーンの箇所に触れることによって、上側コントラストゾーン410を選択することができる。
【0022】
図4Bを参照するに、更に他の複数の円形コントラストゾーン401が示されている。複数の円形コントラストゾーン401は、上側コントラストゾーン412、中央コントラストゾーン42及び下側コントラストゾーン432を含むことができる。図4Bに示す例では、下側コントラストゾーン432が、複数の円形コントラストゾーン401の他のコントラストゾーンより強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、手405を用いて表示された下側コントラストゾーン432に触れることによって、下側コントラストゾーン432を選択することができる。
【0023】
図4Cを参照するに、さらに他の複数の円形コントラストゾーン402が示されている。複数の円形コントラストゾーン402は、左から右へ、第1のコントラストゾーン414、第2のコントラストゾーン424、第3のコントラストゾーン434、第4の円形ゾーン444及び第5のコントラストゾーン454を含む。図4Cに示す例では、複数の円形コントラストゾーン402のもっとも左よりの第1のコントラストゾーン414は、複数の円形コントラストゾーン402の他の円形コントラストゾーン402よりも強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、表示された第1のコントラストゾーン414に触れることによって第1のコントラストゾーン414を選択することができる。
【0024】
図4Dを参照するに、更に他の円形コントラストゾーンが示されている。複数の円形コントラストゾーン403が空間的に、ランダム又は疑似ランダムのパターンで分布し、複数の円形コントラストゾーン403は、全体の左から右に向かって、第1のコントラストゾーン416、第2のコントラストゾーン426、第3のコントラストゾーン436、第4のコントラストゾーン446、第5のコントラストゾーン456及び第6のコントラストゾーン466を含む。図4に示す例では、第5のコントラストゾーン456が、複数の円形コントラストゾーン403の他の円形コントラストゾーンよりも強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、第5のコントラストゾーン456の選択を、手405を用いて第5のコントラストゾーンに触れることによって、記録することができる。
【0025】
図5を参照するに、本発明による、コントラスト感度の検査又は訓練用の、他のシステム500が示されている。システム500は、被験者550に対して円形コントラストゾーンを表示することのできる表示装置510を備えることができる。被験者550は、複数のキーやボタン等を備えるキーパッド520を用いて、表示装置510に表示された複数の円形コントラストゾーンの選択を記録することができる。検査装置530は、表示装置510と通信して、表示装置に複数の円形コントラストゾーンを表示させることができる。本明細書では「検査する装置」又は「検査装置」と称するが、検査装置530は、コントラスト感度を検査又は訓練するために用いることができる。同様に、検査装置530は、接続部522を介してキーパッド520と通信して、表示装置510に表示された円形コントラストゾーンの1つを選択する入力を被験者550が記録したことを示す入力を、キーパッド520から受けることができる。検査装置530は、接続532を介して、記憶装置540へ検査データを伝達することができる。
【0026】
図6A乃至6Cを参照するに、システム500と共に用いるためのキーパッド及び円形コントラストゾーンの様々な構成が示されている。図6A乃至6Cの例に示すもの以外の、任意の配置、大きさ、形状、設定、及びボタン及び/又はキーの種類を、本発明と共に利用することができる。本発明と共に利用されるボタン又はキーは、物理的なボタン又はキーである必要はなく、タッチセンサ式スクリーンの部分として利用することのできる「ソフトキー」とすることもできる。
【0027】
図6Aを参照するに、複数の円形コントラストゾーン600は、左側コントラストゾーン610、中央コントラストゾーン620及び右側コントラストゾーン630を含むことができる。キーパッドは、左側キー611、中央キー621及び右側キー631を備えることができる。図6Aに示す例では、左側コントラストゾーン610は、複数の円形コントラストゾーン600の他の円形コントラストゾーンよりも強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、左側コントラストゾーン610の選択を、手605を用いて、左側キー611を押すことによって、記録することができる。
【0028】
図6Bを参照するに、他の複数の円形コントラストゾーンが示されている。複数の円形コントラストゾーン601は、上側コントラストゾーン612、右側コントラストゾーン622、下側コントラストゾーン632及び左側コントラストゾーン642を含むことができる。図6Bに示す例では、右側コントラストゾーン622が、複数の円形コントラストゾーン601の他の円形コントラストゾーンよりも強いコントラストパターンを有する。図6Bに示す例では、方向を与える複数のキーを設けることができ、この例では、上向きキー613、右向きキー623、下向きキー633及び左向きキー643、である。(不図示の)被験者は、手605を用いてキー、この例では右向きキー623を押すことによって、円形コントラストゾーンの選択、この例では右コントラストゾーン622の選択を示すことができる。
【0029】
図6Cを参照するに、本発明による、さらに他の複数の円形コントラストゾーン602が示されている。複数の円形コントラストゾーン602は、上側コントラストゾーン614、中央コントラストゾーン624及び下側コントラストゾーン634を含むことができる。(不図示の)被験者は、上側ボタン615、中央ボタン625又は下側ボタン635を用いて複数の円形コントラストゾーン602の1つを選択する。図6Cに示す例では、中央コントラストゾーン624が、複数の円形コントラストゾーン602の他の円形コントラストゾーンよりも強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、中央コントラストゾーン624の選択を、手605を用いて、中央ボタン625を押すことによって示すことができる。
【0030】
図7を参照するに、被験者750のコントラスト感度を検査又は訓練するための、さらに他のシステム700が示されている。円形コントラストゾーンは、被験者750に対して、表示装置710上で表示することができる。被験者750は、ジェスチャ又は動きを用いて、表示装置710上に表示された円形コントラストゾーンの選択を記録することができる。図7の例では、カメラ720を利用して、被験者750の動き又はジェスチャを検出することができ、これは検査装置730上で動作するソフトウェアと共に利用することができる。もちろん、様々な動き/ジェスチャ認識システムが存在し、そして開発中であり、これらの技術のいずれも、図7に示す例のように、本発明によるコントラスト感度検査とともに用いることができる。カメラ720は、無線リンク722で通信することができるが、他のあらゆる種類の有線又は無線接続を用いることもできる。検査装置730は、接続712を介して表示装置710に接続されているが、他のあらゆる種類の有線又は無線接続を用いることができる。本明細書では「検査する装置」又は「検査装置」と称するが、検査装置730は、コントラスト感度を検査及び/又は訓練するために用いることができる。検査装置730は、表示装置710上の円形コントラストゾーンの表示を制御することができ、入力を受けること又はジェスチャ認識データを処理することの一環として、カメラ720からのデータを受信及び/又は処理することができる。検査装置730は、接続部732を介して記憶装置740へデータを伝送することができる。
【0031】
図8A乃至8Dを参照するに、円形コントラストゾーンの様々な配置及びジェスチャ認識を用いた入力の受け付けが示されている。
【0032】
図8Aを参照するに、複数の円形コントラストゾーン800は、上側コントラストゾーン810、右側コントラストゾーン820、下側コントラストゾーン830及び左側コントラストゾーン840を含むことができる。図8Aの例では、上側コントラストゾーン810が、複数の円形コントラストゾーン800の他のコントラストゾーンよりも強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、上側コントラストゾーンの選択を、手805を用いて上向き821のジェスチャをすることによって示すことができる。
【0033】
図8Bを参照するに、複数の円形コントラストゾーン801は、上側コントラストゾーン812、右側コントラストゾーン822、下側コントラストゾーン832及び左側コントラストゾーン842を含むことができる。図8Bの例では、右側コントラストゾーン822が、複数の円形コントラストゾーン801の他の円形コントラストゾーンより強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、右側コントラストゾーン822の選択を、手805を用いて右向き831のジェスチャをすることによって示すことができる。
【0034】
図8Cを参照するに、複数の円形コントラストゾーン802が示されている。複数の円形コントラストゾーン802は、上側コントラストゾーン814、右側コントラストゾーン824、下側コントラストゾーン834及び左側コントラストゾーン844を含む。図8Cに示す例では、下側コントラストゾーン834は、複数の円形コントラストゾーン802の他の円形コントラストゾーンよりも強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、下側コントラストゾーン834の選択を、手805を用いて下向き841のジェスチャをすることによって示すことができる。
【0035】
図8Dを参照するに、複数の円形コントラストゾーン803が示されている。複数の円形コントラストゾーン803は、上側コントラストゾーン816、右側コントラストゾーン826、下側コントラストゾーン836及び左側コントラストゾーン846を含むことができる。図8Dの例では、左側コントラストゾーン846が複数の円形コントラストゾーン803の他の円形コントラストゾーンより強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、左コントラストゾーン846の選択を、手805を用いて左向き841のジェスチャをすることによって示すことができる。
【0036】
図9を参照するに、被験者950のコントラスト感度を検査及び/又は訓練するためのさらに他のシステム900が示されている。円形コントラストゾーンを、被験者950に対して、表示装置910上で表示することができる。被験者950は、iPod touch(登録商標)等のマルチタッチ式装置920を用いて、表示装置910上に表示された円形コントラストゾーンの選択を記録することができる。マルチタッチ装置920は、無線リンク922を介して検査装置930に接続することができる。無線リンク922は、ブルートゥース(登録商標)、802.11又は他のあらゆる標準的又は非標準的な無線通信プロトコルを利用することができる。検査装置930は、接続部912を介して表示装置910に接続することができる。本明細書では「検査する装置」又は「検査装置」と称するが、検査装置930は、コントラスト感度の検査及び/又は訓練のために用いることができる。検査装置930は、被験者950によって入力が記録されると、表示装置910上の円形コントラストゾーンの表示を制御することができる。検査装置930は、接続部932を介して記憶装置940へデータを伝送することができる。
【0037】
図10A乃至10Dを参照するに、円形コントラストゾーンの様々な配置及びマルチタッチ式装置を用いた様々な入力の受け付けが示されている。
【0038】
図10Aを参照するに、複数の円形コントラストゾーン1000は、上側コントラストゾーン1010、右側コントラストゾーン1020、下側コントラストゾーン1030及び左側コントラストゾーン1040を含むことができる。図10Aの例では、上側コントラストゾーン1010は、複数の円形コントラストゾーン1000の他のコントラストゾーンのよりも強いコントラストパターンを有する。図10Aの例では、右側コントラストゾーン1020、下側コントラストゾーン1030及び左側コントラストゾーン1040は、色素が一様である点でコントラストがゼロである。図10Aの例では、(不図示の)被験者は、上側コントラストゾーン1010の選択を、手1005を用いて、上向き1011の動きでマルチタッチ式装置1050に触れることによって示すことができる。
【0039】
図10Bを参照するに、複数の円形コントラストゾーン1001は、上側コントラストゾーン1012、右側コントラストゾーン1022、下側コントラストゾーン1032及び左側コントラストゾーン1042を含むことができる。図10Bの例では、右側コントラストゾーン1022が、複数の円形コントラストゾーン1001の他の円形コントラストゾーンよりも強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、右側コントラストゾーン1022の選択を、手1005で、右向き1021の動きでマルチタッチ式装置1050に触れることによって示すことができる。
【0040】
図10Cを参照するに、複数の円形コントラストゾーン1002が示されている。複数の円形コントラストゾーン1002は、上側コントラストゾーン1014、右側コントラストゾーン1024、下側コントラストゾーン1034及び左側コントラストゾーン1044を含む。図10Cに示す例では、下側コントラストゾーン1034は、複数の円形コントラストゾーン1002の他の円形コントラストゾーンよりも強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、下側コントラストゾーン1034の選択を、手1005で、下向き1031の動きでマルチタッチ式装置1050に触れることによって示すことができる。
【0041】
図10Dを参照するに、複数の円形コントラストゾーン1003が示されている。複数の円形コントラストゾーン1003は、上側コントラストゾーン1016、右側コントラストゾーン1026、下側コントラストゾーン1036及び左側コントラストゾーン1046を含むことができる。図10Dの例では、左側コントラストゾーン1046は、複数の円形コントラストゾーン1003の他のコントラストゾーンよりも強いコントラストパターンを有する。(不図示の)被験者は、左側コントラストゾーン1046の選択を、手1005で、マルチタッチ式装置1050に左向き1041の動きで触れることによって示すことができる。
【0042】
図11を参照するに、本発明による、コントラスト感度を検査又は訓練するための方法1100が示されている。ステップ1110では、空間的に配置した複数の円形コントラストゾーンを被験者に提示し、複数の円形コントラストゾーンのうち1つが残りのものとは異なるコントラストを有している。ステップ1120では、空間的に配置された複数の円形コントラストゾーンの1つに対応する入力を被験者から受ける。ステップ1130では、受けた入力を、異なるコントラストパターンを有するコントラストゾーンと比較して、入力と、コントラストの異なる円形コントラストゾーンとの対応を判定する。ステップ1130は、提示された複数の円形コントラストゾーンを被験者が正しく認識できたか否かを、実際に判定する。
【0043】
図12を参照するに、被験者のコントラスト感度を検査又は訓練するための他の方法が示されている。ステップ1205では、被験者が視認可能であり、空間的に配置された複数の円形コントラストゾーンを表示することのできる表示装置を用意する。ステップ1210では、被験者が使用可能な入力装置を用意して、複数の円形コントラストゾーンのうち1つを指示する入力を被験者から受ける。例えば、用意する入力装置は、複数の入力のいずれをも受けることができ、これらの入力の各々は、ステップ1205で用意した表示装置を介して表示することのできる、複数の円形コントラストゾーンの1つと空間的に対応する。
【0044】
ステップ1215では、第1の時刻から開始して、複数の円形コントラストゾーンを表示装置上に表示し、これらの円形コントラストゾーンの各々は、等しい総色素量を有し、複数の円形コントラストゾーンの少なくとも1つは、残りのコントラストゾーンと異なるコントラストを有する。例えば、ステップ1215では、検査装置は、上側コントラストゾーン、右側コントラストゾーン、下側コントラストゾーン、及び左側コントラストゾーンを表示装置に表示させ、1つのコントラストゾーンは、他のゾーンよりも強いコントラストを有することによって、他のコントラストゾーンとトータル(全体の)コントラストが異なる。例えば、1つのコントラストゾーンは、非ゼロのコントラストを有することができるのに対し、他のコントラストゾーンは、コントラストがゼロのコントラストを有することができる。もちろん、2つ以上、さらには全ての、コントラストゾーンが非ゼロのコントラストを有することができ、1つのコントラストゾーンは、他のコントラストゾーンよりも強いコントラストを有することができる。ステップ1220では、第1の時刻後の第2の時刻に入力装置にて入力を受け、入力は、ステップ1215で表示した複数の円形コントラストゾーンのどれを、被験者が、他の円形コントラストゾーンと異なるコントラストパターンを有するものと知覚したかを示す。図1乃至図10に関して上述した例のような任意の様式の入力を、ステップ1220に関連して用いることができる。ステップ1225では、ステップ1220で入力を受けたことに応答して、円形コントラストゾーンの表示を停止する。
【0045】
ステップ1230では、受けた入力が、複数の円形コントラストパターンのうち他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストパターンを有する円形コントラストゾーンに対応するか否かを判定する。ステップ1230は、被験者のコントラスト感度の正確性の測定値を与える。ステップ1235では、複数の円形コントラストゾーンを最初に表示した第1の時刻から、入力を受けた第2の時刻までに経過した時間を測定する。ステップ1235は、被験者のコントラスト感度における速さの測定値を与える。ステップ1240では、受けた入力が、他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストパターンを有する円形コントラストゾーンに対応するか否かについての判定を記憶する。これに加えて/その代わりに、ステップ1240は、第1の時刻と第2の時刻との間に経過した時間の測定値を記憶することができる。ステップ1240で記憶した正確性及び/又は速さに関しての測定値は、被験者のコントラスト感度を検査及び訓練する上で有用であり得る。
【0046】
ステップ1245では、コントラスト感度の検査/訓練のセッションが完了したか否かの判定を行う。ステップ1245の判定の結果は、複数の考慮事項のいずれにも基づくことができる。例えば、コントラスト感度の検査/訓練のセッションは、10回反復して動作するように設計することができ、場合によっては、他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストを有する1つの円形コントラストゾーンどうしのコントラスト差を、回毎に異ならせることができる。このような例では、ステップ1245の完了は、当該セッションを10回反復するまでは、コントラスト感度の検査/訓練のセッションを完了しない、というものとなる。代案としては、被験者が、異なるコントラストを有する円形コントラストゾーンを誤って識別することが特定回数になるまで、難易度が増大していくように、コントラスト感度の検査/訓練セッションを設計することができ、この特定回数は1回以上とすることができる。この追加的な例では、ステップ1245の判定は、ステップ1220において受けた入力の正確性及びステップ1230の判定に基づき、場合によっては、これらのステップの以前の反復を併用する。代案としては、段階的な手法を用いることができ、1回目の反復では強いコントラストの円形コントラストゾーンを提示し、次回以降の反復では、誤った応答がなされるまでコントラストを「1」段階ずつ下げ、誤った応答がなされた後には、コントラストを「半」段階上げ、その後は、正しい応答を受けた場合は「4分の1」段階下げ、誤った応答を受けた場合は「4分の1」段階コントラストを上げて、ある「段階」におけるコントラスト差が変化し得るまで、このことを繰り返す。ステップ1245では、任意の変化を用いて、コントラスト感度の検査が完了したか否かを判定することができる。ステップ1245の結果が、コントラスト感度の検査が完了していないというものであれば、方法1200は、複数の円形コントラストゾーンを表示するステップ1215に戻る。ステップ1215からステップ1240までの反復は、異なるコントラストパターンを利用することができ、場合によっては以前の反復回とは異なるゾーンの総数を有する、円形コントラストゾーンの異なる配置を利用することもできるが、必ずしもそうする必要はない。ステップ1245の結論が、コントラスト感度の検査が完了したというものであれば、方法1200は、ステップ1250へと進むことができる。
【0047】
ステップ1250では、被験者のコントラスト感度スコアを算定することができる。ステップ1250で算定したスコアは、被験者の正しい応答の回数だけで構成することができ、又はより複雑なものとすることができる。このような検査スコアは、検査中の円形コントラストゾーンのコントラストの度合、第1の時刻と第2の時刻との間に経過した時間、並びに他の任意の要素から成ることができる。
【0048】
ステップ1255では、被験者のコントラスト感度スコアを出力することができる。ステップ1255は、検査の被験者、訓練者、専門医、視覚の専門家、他の個人、データベース、記憶装置等、に対して直接、スコアを出力することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法であって、
前記被験者が視認可能な表示装置を用意するステップと、
前記被験者が使用可能な入力装置であって、空間的に規定された複数の入力のうちの少なくとも1つの入力を特定時点で受けることができる入力装置を用意するステップと、
第1の時刻から開始して、複数の円形コントラストゾーンを前記表示装置上に表示するステップであって、前記複数の円形コントラストゾーンは、前記空間的に規定された複数の入力に対応して空間的に配置され、前記複数の円形コントラストゾーンのうち1つの円形コントラストゾーンは、他の前記円形コントラストゾーンとは異なるコントラストを有するステップと、
第2の時刻に、前記空間的に規定された複数の入力のうち1つを受けるステップと、
前記受けた入力が、前記他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストを有する前記1つの円形コントラストゾーンに対応するか否かを判定するステップと、
前記受けた入力が、前記他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストを有する前記1つの円形コントラストゾーンに対応するか否かについての判定を記憶するステップと
を含む、
被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法。
【請求項2】
前記第1の時刻から前記第2の時刻までの時間遅延を測定するステップを更に含む、
請求項1に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法。
【請求項3】
前記表示するステップで表示した前記複数の円形コントラストゾーンは、等しい総輝度量を有する、
請求項1に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法。
【請求項4】
請求項3に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法であって、
空間的に規定された複数の入力のうちの少なくとも1つの入力を特定時点で受けることができる入力装置を用意するステップは、
少なくとも上、下、左及び右の1つに対応する入力を受けることができる入力装置を用意することを含む、
方法。
【請求項5】
請求項4に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法であって、
第1の時刻から開始して、複数の円形コントラストゾーンを前記表示装置上に表示するステップであって、前記複数の円形コントラストゾーンは、前記空間的に規定された複数の入力に対応して空間的に配置され、前記複数の円形コントラストゾーンの1つは、他の前記円形コントラストゾーンとは異なるコントラストを有するステップは、
前記第1の時刻から開始して、4つの円形コントラストゾーンを前記表示装置上に表示することを含み、前記4つの円形コントラストゾーンは、上側円形コントラストゾーン、下側円形コントラストゾーン、左側円形コントラストゾーン及び右側円形コントラストゾーンを含む、
方法。
【請求項6】
請求項3に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法であって、
空間的に規定された複数の入力のうちの少なくとも1つの入力を特定時点で受けることができる入力装置を用意するステップは、
前記特定時点で、上、下、左及び右のうち少なくとも1つの向きに動かすことのできるジョイスティックを用意することを含む、
方法。
【請求項7】
請求項3に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法であって、
空間的に規定された複数の入力のうちの少なくとも1つの入力を特定時点で受けることができる入力装置を用意するステップは、
少なくとも上側キー、下側キー、左側キー及び右側キーを備えるキーパッドを用意することを含む、
方法。
【請求項8】
請求項3に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法であって、
空間的に規定された複数の入力のうちの少なくとも1つの入力を特定時点で受けることができる入力装置を用意するステップは、
入力を記録するために触れることができる複数の空間領域を備えるタッチセンサ式スクリーンを用意することを含む、
方法。
【請求項9】
請求項3に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法であって、
空間的に規定された複数の入力のうちの少なくとも1つの入力を特定時点で受けることができる入力装置を用意するステップは、
被験者による有向性タッチを入力として記録するマルチタッチ式装置を用意することを含む、
方法。
【請求項10】
請求項1に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法であって、
前記表示するステップで表示される、前記他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストを有する前記1つの円形コントラストゾーンは、
当該円形コントラストゾーンの直径に沿って正弦波状に変化する輝度を有する円形コントラストゾーンから成る、
方法。
【請求項11】
請求項1に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法であって、
前記表示するステップで表示される、前記他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストを有する前記1つの円形コントラストゾーンは、
当該円形コントラストゾーンの直径に沿って方形波状に変化する輝度を有する円形コントラストゾーンから成る、
方法。
【請求項12】
請求項1に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法であって、
前記表示するステップで表示される、前記他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストを有する前記1つの円形コントラストゾーンは、
当該円形コントラストゾーンの残り部分とは異なる輝度を有する単一部分を有する円形コントラストゾーンから成る、
方法。
【請求項13】
請求項1に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練する方法であって、
前記表示するステップで表示される、前記他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストを有する前記1つの円形コントラストゾーンは、
輝度の非周期的変化を有する円形コントラストゾーンから成る、
方法。
【請求項14】
被験者のコントラスト感度を検査又は訓練するシステムであって、
前記システムは、
前記被験者が視認するための、空間的に配置された複数の円形コントラストゾーンを表示する表示装置と、
前記被験者からの複数の入力のいずれかを受ける入力装置であって、前記複数の入力の各々は、前記複数の入力の他のものと空間的関係を有する入力装置と、
前記表示装置及び前記入力装置に動作的に接続された検査装置と
を備えるシステムであって、
前記検査装置は、前記入力装置が受けることのできる前記複数の入力の少なくとも部分集合に対応して空間的に配置された第1の複数の円形コントラストゾーンを、第1の時刻に前記表示装置に表示させ、前記第1の複数の円形コントラストゾーンのうち1つの円形コントラストゾーンは、前記第1の複数の円形コントラストゾーンのうち他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストを有し、
前記検査装置は、前記第1の時刻から第1の遅延時間後に、前記入力装置から前記複数の入力の1つを受け、
前記検査装置は、前記受けた入力が、前記第1の複数の円形コントラストゾーンのうち前記他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストを有する前記1つの複数の円形コントラストゾーンに対応するか否かを判定する、
システム。
【請求項15】
請求項14に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練するシステムであって、
前記被験者からの複数の入力のいずれかを受ける前記入力装置であって、前記複数の入力の各々は、前記複数の入力の他のものと空間的関係を有する入力装置は、
ジョイスティックを含み、前記ジョイスティックは、当該ジョイスティックを特定方向に動かすことによって有向性入力を受ける、
システム。
【請求項16】
請求項15に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練するシステムであって、
前記入力装置が受けることのできる前記複数の入力の少なくとも部分集合に対応して空間的に配置された前記第1の複数の円形コントラストゾーンは、
少なくとも上側円形コントラストゾーン、下側円形コントラストゾーン、左側円形コントラストゾーン及び右側円形コントラストゾーンを含む、
システム。
【請求項17】
請求項14に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練するシステムであって、
前記被験者からの複数の入力のいずれかを受ける入力装置であって、前記複数の入力の各々は、前記複数の入力の他のものと空間的関係を有する入力装置は、
複数の方向キーを備えるキーパッドであって、前記複数の方向キーのいずれかからの入力を受けるキーパッドを備える、
システム。
【請求項18】
請求項17に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練するシステムであって、
前記入力装置が受けることのできる前記複数の入力の少なくとも部分集合に対応して空間的に配置された前記第1の複数の円形コントラストゾーンは、
前記複数の円形コントラストゾーンを、前記表示装置上の、前記キーパッドの前記方向キーの相対位置に対応する相対位置に表示することを含む、
システム。
【請求項19】
請求項14に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練するシステムであって、
前記被験者からの前記複数の入力のいずれかを受けることができる入力装置であって、前記複数の入力の各々は、前記複数の入力の他のものと空間的関係を有する入力装置は、
有向性タッチを記録するマルチタッチ式装置を備える、
システム。
【請求項20】
請求項19に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練するシステムであって、
前記入力装置が受けることのできる前記複数の入力の少なくとも部分集合に対応して空間的に配置された前記第1の複数の円形コントラストゾーンは、
少なくとも上側円形コントラストゾーン、下側円形コントラストゾーン、左側円形コントラストゾーン及び右側円形コントラストゾーンを含む、
システム。
【請求項21】
請求項14に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練するシステムであって、
前記被験者からの前記複数の入力のいずれかを受ける入力装置であって、前記複数の入力の各々は、前記複数の入力の他のものと空間的関係を有する入力装置は、
入力を記録するために触れることのできる複数の空間領域を備えたタッチセンサ式スクリーンを備える、
システム。
【請求項22】
請求項21に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練するシステムであって、
前記入力装置が受けることのできる前記複数の入力の少なくとも部分集合に対応して空間的に配置された前記第1の複数の円形コントラストゾーンは、
入力を記録するために触れることのできる前記タッチセンサ式スクリーンの前記複数の空間領域の相対位置に対応する、前記表示装置上の相対位置に配置された複数の円形コントラストゾーンから成る、
システム。
【請求項23】
請求項14に記載の被験者のコントラスト感度を検査又は訓練するシステムであって、
前記表示装置及び前記入力装置は、単一のタッチセンサ式スクリーンで構成され、
前記被験者は、前記第1の複数の円形コントラストゾーンの1つを選択する応答を、前記第1の複数の円形コントラストゾーンのうち前記選択する1つに触れることによって記録する、
システム。
【請求項24】
被験者に対してコントラスト感度検査を行う方法であって、
(a)前記被験者が視認可能な表示装置を用意するステップと、
(b)前記被験者が使用可能な入力装置を用意するステップと、
(c)前記表示装置上に複数の円形コントラストゾーンを表示するステップであって、前記複数の円形コントラストゾーンは等しい総色素量を有し、前記複数の円形コントラストゾーンのうち1つの円形コントラストゾーンは、前記複数の円形コントラストゾーンのうち他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストパターンを有する、ステップと、
(d)前記入力装置にて前記被験者からの入力を受けるステップであって、前記入力は前記複数の円形コントラストゾーンを表示するステップへの応答であり、前記入力は、前記複数の円形コントラストゾーンのうち、前記被験者が、前記複数の円形コントラストゾーンのうち前記他の円形コントラストゾーンと異なるコントラストパターンを有するものと知覚した前記円形コントラストゾーンを示す、ステップと、
(e)前記入力を受けたことに応答して、前記複数の円形コントラストゾーンの表示を停止するステップと、
(f)前記入力が、前記複数の円形コントラストゾーンのうち前記他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストパターンを有する前記1つの円形コントラストゾーンを正しく識別しているか否かを判定するステップと、
(g)前記コントラスト感度の検査を完了するまで、前記ステップ(c)乃至(f)を反復するステップと
を含む、
被験者に対してコントラスト感度の検査を行う方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
前記被験者が使用可能な入力装置を用意するステップ(b)は、
タッチセンサ式スクリーンを用意することを含み、
前記入力装置にて前記被験者からの入力を受けるステップ(d)は、
前記タッチセンサ式スクリーンのタッチを検出することを含む、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、
前記コントラスト感度の検査を完了するまで、ステップ(c)乃至(f)を反復するステップ(g)は、
前記表示装置上に複数の円形コントラストゾーンを表示するステップ(c)を実行する毎に、前記複数の円形コントラストゾーンのうち前記他の円形コントラストゾーンとは異なるコントラストパターンを有する前記1つの円形コントラストゾーンのコントラストを変化させながら、前記ステップ(d)乃至(f)を所定回数だけ反復することを含む、方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、
前記コントラスト感度の検査を完了するまで、ステップ(c)乃至(f)を反復するステップ(g)は、
前記入力が、前記異なるコントラストパターンを有する前記1つの円形コントラストゾーンを正しく識別しているか否かを判定するステップ(f)において、前記入力が、より強いコントラストパターンを有する前記円形コントラストゾーンを正しく識別していることを判定するまで、前記表示装置上に複数の円形コントラストゾーンを表示するステップ(c)を実行する毎に、前記複数の円形コントラストゾーンのうち前記他の円形コントラストゾーンと異なるコントラストパターンを有する前記1つの円形コントラストゾーンどうしのコントラスト差を減少させることを含む、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−532698(P2012−532698A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519775(P2012−519775)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041569
【国際公開番号】WO2011/006095
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)