説明

円盤状フィルタ袋の製造方法及びその製造装置

【課題】製造が迅速で、フィルタ袋の収率が高い円盤状フィルタ袋の製造方法及びその製造装置を提供する。
【解決手段】円盤状フィルタ袋の製造装置は、搬送ユニット10、熱圧着ユニット20及びパンチユニット30を備える。搬送ユニット10は、複数の伝動車輪11,222と、複数の固定軸12と、固定軸12上に取付けられた2層の薄膜基材13及び導水網基材14とを有する。熱圧着ユニット20は、気圧シリンダ21と、伝動セットと、加熱セット23と、気圧シリンダ21及び伝動セットにより駆動される熱圧着ローラ24とを有する。熱圧着ローラ24の表面には、円盤状の凸状エンボスが設けられる。2層の薄膜基材13は、導水網基材14の頂面及び底面にそれぞれ配置され、伝動車輪11それぞれの駆動により、熱圧着ユニット20の熱圧着ローラ24の下方に搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体と液体とを分離するために用いるフィルタ袋に関し、特に、製造が迅速で、フィルタ袋の収率が高く、破損し難い円盤状フィルタ袋の製造方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、本発明者が以前開発したポータブル・ウォーター・ピュリフィケーション・デバイス(portable water purification device)は、円盤状のフィルタ袋を有する。この円盤状のフィルタ袋は、円形状で微孔を有する2つの薄膜間に網目状の支持網が配置されている。この支持網は、外縁部が防水接着剤により前述の薄膜と重ねられ、薄膜及び支持網の中央部に同心軸孔が設けられている。このように、扁平袋状の三層状フィルタ袋構造を形成する。このフィルタ袋の軸孔は、多数の貫通孔が表面に設けられたパイプに設けられ、導水盤セットを両側に用いて挟圧して固定する。フィルタ袋が円盤状である上、軸孔が盤面の中央部に設けられているため、逆洗工程を行う際に、薄膜に対して発生する濾過液の押圧力が同じになるため、良好な逆洗効果を得ることができる上、フィルタ袋が側辺又は外縁において厚いフレームを取付ける必要がないため、全体の重量が軽くて薄くなり、同じ大きさの空間において重ねることができるフィルタ袋の数を増やし、汚物を除去する面積を大きくすることができる。
【0003】
しかし、フィルタ袋の従来の製造方法は、まず、支持網及び薄膜を所定のサイズに切断して形成した後、周縁部に防水接着剤を塗布してから、金型に入れて重ねてから圧力を加え、接着剤が硬化した後にカットして軸孔を形成するが、この方式では接着剤が硬化する時間が多くかかりすぎるため、大量生産に向いていない。
【0004】
他の製法としては、超音波溶着方式がある。この超音波溶着方式は、主に、膜の縁部に対して超音波を用いて密着させてから、カッターヘッドを用いてカットし、中央部に軸孔を設ける。この製法は、製造時間を短縮することができるが、フィルタ袋の外径が大きいため、フィルタ膜の縁部に対する超音波溶着を一度で完了させることが不可能であり、段階的に回転させながら超音波溶着を行う必要がある(一般に外縁をそれぞれ120度である3つの扇状ブロックに加工する)。しかし、縁部の水密性に対する要求が高いため、フィルタ膜は外縁において、超音波溶着は一部が繰り返して接着しなければならず、溶着時間にかかる時間が長くなり、フィルタ袋の表面に焼損又は変形が発生したり、肉眼では見つけられない損傷・隙間が発生したりし、製品の不良率が高くなる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7575678号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、製造が迅速で、フィルタ袋の収率が高い円盤状フィルタ袋の製造方法及びその製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、通気性を有する2つの薄膜基材及び導水網基材を準備する工程Aと、前記薄膜基材を前記導水網基材の頂面及び底面にそれぞれ貼設し、三層状の積層材料を構成する工程Bと、装置により張力を保持しながら前記積層材料を連続的に搬送し、搬送経路上において、熱圧着ユニットにより前記積層材料を熱圧着し、前記熱圧着ユニットは、前記積層材料の前記搬送経路上に位置し、点接触方式により熱圧着を行い、前記積層材料上に円形状の溶接縁部が形成され、円盤状かつ中空のフィルタ袋の半製品を前記積層材料上に形成する工程Cと、圧着したフィルタ袋の半製品にパンチ処理を行い、前記フィルタ袋の半製品の中心部に軸孔を形成し、円盤状フィルタ袋の製品を完成させる工程Dと、を含むことを特徴とする円盤状フィルタ袋の製造方法が提供される。
【0008】
前記工程Cの前記熱圧着ユニットは、前記フィルタ袋の半製品の両側に位置し、2本の引張位置決め部が連続的に熱圧着されて形成されることが好ましい。
【0009】
前記工程Cにおいて熱圧着を行う際、前記フィルタ袋の半製品を切断することが好ましい。
【0010】
前記工程Cの前記熱圧着は、超音波溶着加工により行うことが好ましい。
【0011】
上記課題を解決するために、搬送ユニット、熱圧着ユニット及びパンチユニットを備える円盤状フィルタ袋の製造装置であって、前記搬送ユニットは、複数の伝動車輪と、複数の固定軸と、前記固定軸上に取付けられた2層の薄膜基材及び導水網基材と、を有し、 前記熱圧着ユニットは、気圧シリンダと、伝動セットと、加熱セットと、前記気圧シリンダ及び前記伝動セットにより駆動される熱圧着ローラと、を有し、前記熱圧着ローラの表面には、円盤状の凸状エンボスが設けられ、前記2層の薄膜基材は、前記導水網基材の頂面及び底面にそれぞれ配置され、前記伝動車輪それぞれの駆動により、前記熱圧着ユニットの前記熱圧着ローラの下方に搬送され、前記気圧シリンダ、前記伝動セット及び前記加熱セットを起動し、前記気圧シリンダの駆動により、前記熱圧着ローラ上に設けられた凸状エンボスを利用し、前記2層の薄膜基材及び前記導水網基材に対して熱圧着を行いながら切断を行い、円盤状かつ中空のフィルタ袋を成型し、パンチユニットにより、前記フィルタ袋の中央部にパンチ処理を施すことを特徴とする円盤状フィルタ袋の製造装置が提供される。
【0012】
前記熱圧着ユニットの前記熱圧着ローラは、円盤状の凸状エンボスの両側に設けられた2つの側部エンボスを有することが好ましい。
【0013】
前記熱圧着ローラ上に設けられた前記側部エンボスは、鋸歯形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の円盤状フィルタ袋の製造方法及びその製造装置は、以下(1)〜(3)の効果を有する。
(1)点接触熱溶着方式を利用し、熱圧着ローラを一周させて溶接するだけで、円盤状のフィルタ袋を成型することができる。そのため、機械化により迅速に製造することができる。このように迅速に製造し、必要な作業人員が少なくてすむため、製造コストを下げることができる。
(2)フィルタ袋が面接触により部分的に超音波溶着される従来技術と異なり、本発明の積層材料は単位時間内で、点接触溶接作業を利用しているため、消費電力が少なく、使用する材料を節減することができる。
(3)連続式の点接触溶着方式は、溶接部位を重ねる必要がないため、フィルタ袋が破れ難く、溶接箇所に隙間が発生することを防ぐ。そのため、品質及び収率が向上し、廃材の発生量を大幅に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による円盤状フィルタ袋の製造方法を示す流れ図である。
【図2】本発明の一実施形態による円盤状フィルタ袋の製造装置を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態による円盤状フィルタ袋の製造装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による三層構造の円盤状フィルタ袋の完成品を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態による円盤状フィルタ袋の完成品を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0017】
図1を参照する。図1に示すように、本発明の一実施形態による円盤状フィルタ袋の製造方法は、以下の工程(A)〜(D)を含む。
【0018】
工程(A)において、通気性を有する2つの薄膜基材13及び導水網基材14を準備する。
【0019】
工程(B)において、導水網基材14の頂面及び底面に、薄膜基材13をそれぞれ貼設し、三層状の積層材料を形成する。
【0020】
工程(C)において、装置により張力を保持しながら積層材料を連続的に搬送し、搬送経路上において、熱圧着ユニット20により積層材料を熱圧着する。熱圧着ユニット20は、積層材料の搬送経路上に位置し、点接触方式により熱圧着を行い、前述の材料と密着された円形状の溶接縁部110(図3参照)を積層材料上に形成し、円盤状で内部が中空のフィルタ袋100の半製品を積層材料上に形成する。また、積層材料に対して熱圧着を行う際、熱圧着ユニット20により積層材料からフィルタ袋100の半製品を切り離して集め、フィルタ袋100の半製品を保管する。
【0021】
工程(D)において、圧着して切断した多数のフィルタ袋100の半製品を水平にして重ねてからパンチ処理を行い、フィルタ袋100の半製品の中心部に軸孔120(図4参照)を形成し、円盤状フィルタ袋の製品を完成させる。
【0022】
本実施形態の工程(C)の熱圧着は、超音波溶着加工により行っているが、高周波溶着加工を利用してもよい。
【0023】
図2及び図3を参照する。図2及び図3に示すように、本発明の一実施形態による円盤状フィルタ袋の製造装置は、少なくとも搬送ユニット10、熱圧着ユニット20及びパンチユニット30から構成される。本実施形態の搬送ユニット10、熱圧着ユニット20及びパンチユニット30は、装置40に配置される。
【0024】
搬送ユニット10は、複数の伝動車輪11と、複数の固定軸12と、固定軸12に取付けられた2つの薄膜基材13及び導水網基材14と、を有する。本実施形態の薄膜基材13及び導水網基材14は、固定軸12に枢着された回転軸にそれぞれ巻付けられている。
【0025】
熱圧着ユニット20は、気圧シリンダ21と、伝動セット22と、加熱セット23と、気圧シリンダ21及び伝動セット22により駆動される熱圧着ローラ24と、を有する。本実施形態の加熱セット23は超音波発振板である。熱圧着ローラ24の周辺外表面には、凸状エンボス241が設けられている。凸状エンボス241は、展開すると形状が円形状である。
【0026】
伝動セット22は、熱圧着ローラ24を駆動させるために用いるチェーン221と、フィルタ袋100を搬送するために用いる複数の伝動車輪222と、を有する。
【0027】
実際に操作する際、導水網基材14の頂面及び底面に、導水網基材14を挟むように配置して構成された3層状の積層材料は、伝動車輪11により熱圧着ユニット20の熱圧着ローラ24の下方に搬送される。続いて、気圧シリンダ21、伝動セット22及び加熱セット23を起動し、気圧シリンダ21の駆動により熱圧着ローラ24を下方へ移動させて積層材料に接触させ、加熱セット23とともに挟圧された積層材料を伝動セット22及び熱圧着ローラ24により牽引し、積層材料に対して加熱セット23により高周波発振を行う際、熱圧着ローラ24が同期で回転する。これにより、熱圧着ローラ24上に設けられた凸状エンボス241を利用し、2つの薄膜基材13及び導水網基材14に対して超音波熱圧着処理を行い、円盤状かつ中空のフィルタ袋100の半製品を成型する。超音波溶着加工を行う際、熱圧着ローラ24の凸状エンボス241の外縁部には、微細な鋸歯形状の切縁(図示せず)が設けられているため、熱圧着ローラ24により積層材料が圧着されると、溶接縁部110の最外側が切断され、フィルタ袋100の半製品を積層材料から分離させることができる。図4及び図5に示すように、パンチユニット30は、最終的にフィルタ袋100の半製品の中央部にパンチ処理が施され、フィルタ袋100の中央部に軸孔120(図4参照)が形成される。
【0028】
本発明の円盤状フィルタ袋の製造方法及びその製造装置は、従来技術と異なり、以下(1)〜(3)の長所を有する。
(1)点接触熱溶着方式を利用し、熱圧着ローラを一周させて溶接するだけで、円盤状のフィルタ袋を成型することができる。そのため、機械化により迅速に製造することができる。このように迅速に製造し、必要な作業人員が少なくてすむため、製造コストを下げることができる。
(2)フィルタ袋が面接触により部分的に超音波溶着される従来技術と異なり、本発明の積層材料は単位時間内で、点接触溶接作業を利用しているため、消費電力が少なく、使用する材料を節減することができる。
(3)連続式の点接触溶着方式は、溶接部位を重ねる必要がないため、フィルタ袋が破れ難く、溶接箇所に隙間が発生することを防ぐ。そのため、品質及び収率が向上し、廃材の発生量を大幅に減らすことができる。
【0029】
本発明の円盤状フィルタ袋は、熱圧着ローラの側部エンボスを同期で圧着させ、積層材料の表面に適宜な張力が保持されるため、積層材料が装置により安定的に連続搬送される。そのため、円盤状フィルタ袋の品質を高めることができる上、製造作業を迅速に行うこともできる。
【0030】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0031】
10 搬送ユニット
11 伝動車輪
12 固定軸
13 薄膜基材
14 導水網基材
20 熱圧着ユニット
21 気圧シリンダ
22 伝動セット
23 加熱セット
24 熱圧着ローラ
30 パンチユニット
40 装置
100 フィルタ袋
110 溶接縁部
120 軸孔
130 引張位置決め部
221 チェーン
222 伝動車輪
241 凸状エンボス
242 側部エンボス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有する2つの薄膜基材及び導水網基材を準備する工程Aと、
前記薄膜基材を前記導水網基材の頂面及び底面にそれぞれ貼設し、三層状の積層材料を構成する工程Bと、
装置により張力を保持しながら前記積層材料を連続的に搬送し、搬送経路上において、熱圧着ユニットにより前記積層材料を熱圧着し、前記熱圧着ユニットは、前記積層材料の前記搬送経路上に位置し、点接触方式により熱圧着を行い、前記積層材料上に円形状の溶接縁部が形成され、円盤状かつ中空のフィルタ袋の半製品を前記積層材料上に形成する工程Cと、
圧着したフィルタ袋の半製品にパンチ処理を行い、前記フィルタ袋の半製品の中心部に軸孔を形成し、円盤状フィルタ袋の製品を完成させる工程Dと、を含むことを特徴とする円盤状フィルタ袋の製造方法。
【請求項2】
前記工程Cの前記熱圧着ユニットは、前記フィルタ袋の半製品の両側に位置し、2本の引張位置決め部が連続的に熱圧着されて形成されることを特徴とする請求項1に記載の円盤状フィルタ袋の製造方法。
【請求項3】
前記工程Cにおいて熱圧着を行う際、前記フィルタ袋の半製品を切断することを特徴とする請求項1に記載の円盤状フィルタ袋の製造方法。
【請求項4】
前記工程Cの前記熱圧着は、超音波溶着加工により行うことを特徴とする請求項1に記載の円盤状フィルタ袋の製造方法。
【請求項5】
搬送ユニット、熱圧着ユニット及びパンチユニットを備える円盤状フィルタ袋の製造装置であって、
前記搬送ユニットは、複数の伝動車輪と、複数の固定軸と、前記固定軸上に取付けられた2層の薄膜基材及び導水網基材と、を有し、
前記熱圧着ユニットは、気圧シリンダと、伝動セットと、加熱セットと、前記気圧シリンダ及び前記伝動セットにより駆動される熱圧着ローラと、を有し、前記熱圧着ローラの表面には、円盤状の凸状エンボスが設けられ、
前記2層の薄膜基材は、前記導水網基材の頂面及び底面にそれぞれ配置され、前記伝動車輪それぞれの駆動により、前記熱圧着ユニットの前記熱圧着ローラの下方に搬送され、前記気圧シリンダ、前記伝動セット及び前記加熱セットを起動し、前記気圧シリンダの駆動により、前記熱圧着ローラ上に設けられた凸状エンボスを利用し、前記2層の薄膜基材及び前記導水網基材に対して熱圧着を行いながら切断を行い、円盤状かつ中空のフィルタ袋を成型し、パンチユニットにより、前記フィルタ袋の中央部にパンチ処理を施すことを特徴とする円盤状フィルタ袋の製造装置。
【請求項6】
前記熱圧着ユニットの前記熱圧着ローラは、円盤状の凸状エンボスの両側に設けられた2つの側部エンボスを有することを特徴とする請求項5に記載の円盤状フィルタ袋の製造装置。
【請求項7】
前記熱圧着ローラ上に設けられた前記側部エンボスは、鋸歯形状であることを特徴とする請求項6に記載の円盤状フィルタ袋の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−232229(P2012−232229A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100612(P2011−100612)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511107500)新世膜科技股▲分▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】