説明

円錐型包装体

【課題】円錐状の菓子を包装する円錐型包装体において、包装の全体を簡単かつ確実に除去できる構成を提供する。
【解決手段】第1破断切線61と第2破断切線62の間の周壁部分60を破り取って開封するように構成した円錐型包装体。第1破断切線61は、周壁部分60を破り取って開封した状態において、残存する包装体部分の端縁形状が、少なくとも一部分が他の部分よりも上方に突出する山形形状61aとなるように形成する。さらに、第1破断切線61よりも円錐頂点56側に第3破断切線63を設けるとともに、山形形状部分61aの裾野近傍位置61bから、第3破断切線63へ延在する案内破断切線65を設ける。山形形状部分61aを摘んで破断作業を開始すると、破断は、山形形状部分の裾野61bから案内破断切線65を通過し、第3破断切線63へと進む。このようにして、円錐型包装体の残存部分を簡単かつ確実に除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円錐状のコーン部分を握って食べるアイスクリームや菓子等の包装に用いる円錐型包装体に関する。さらに詳しくは、円錐体の側面に設けた摘み部を引っ張ることで破り開けるタイプの円錐型包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、包装紙を円錐形に丸めるとともに、上端部を放射状に寄せ合わせて熱接着して封止することでアイスクリームや菓子等を包装する円錐型包装体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の円錐型包装体を構成するブランク30を図1(a)に示した。円錐形のブランク30は、一側辺に設けた開封用タブ(摘み部)16と、その上下端から周方向に延在するように形成した第1破断切線18および第2破断切線22とを有する。図1(b)は、包装状態を示しており、開封用タブ16を周壁に沿って矢印A方向に破り開けることができる。
【0004】
図1(a)において、第1破断切線18は、ブランク30の頂点26を中心とした円弧状に形成されている。一方、第2破断切線22は、第1破断切線18と同心円状になっているのではなく、破り動作が進行するにしたがって、第1破断切線18から離れていくように形成されている。これにより、第2破断切線22に沿う破り線はタブ16の位置から上方へ螺旋状に進行し、その結果、上方封止部32を良好に取り外すことができる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−171643号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の円錐型包装体において、消費者は、第1破断切線18よりも上方の包装部分を除去し、これにより露出したアイスクリームの上方部分から食べていく。その後、さらに下方部分のアイスクリームを食べるには、第1破断切線18よりも下方の包装部分を除去することが必要となる。その際、一般的には、円錐体の稜線に沿って延びる熱接着領域の端縁部19を摘んで、下方に残った包装部分を引き剥がしている。
しかしながら、特に熱接着が強固に為されている場合などは、端縁部19が摘み難く、下方側に残った包装部分を除去し難いといった問題があった。
【0007】
上記従来の問題点に鑑み、本発明は、下方側に残った包装部分を簡単に除去できる円錐型包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を有効に解決するために創案されたものであって、以下の特徴を備えた円錐型包装体を提供する。
本発明の円錐型包装体は、円錐状の周壁に設けた開封用の摘み部と、当該摘み部を挟んで間隔をおいて周壁面上を周方向に延在する円錐頂点側の第1破断切線および大径側の第2破断切線と、を備え、第1破断切線と第2破断切線の間の周壁部分を破り取って開封するように構成された円錐型包装体である。
そして、第1破断切線は、上記周壁部分を破り取って開封した状態において、残存する包装体部分の端縁形状が、少なくとも一部分が他の部分よりも上方に突出する山形形状となるように形成されている。
さらに、第1破断切線よりも円錐頂点側に、周壁面上を周方向に延在する第3破断切線を設けるとともに、上記山形形状部分の裾野近傍位置から、第3破断切線へと延在する案内破断切線を設けている。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を備えた本発明の円錐型包装体においては、第1破断切線と第2破断切線との間の周壁部分を破り取って開封した状態において、残存する包装体部分の端縁形状が、上方に突出する山形形状となる。したがって、この部分を摘んで、残存する包装体部分を簡単に破り始めることができる。
そして、第1破断切線よりも円錐頂点側には、周壁面上を周方向に延在する第3破断切線が設けられていて、山形形状部分の裾野近傍位置から、第3破断切線へと延在する案内破断切線が存在する。
つまり、消費者が山形形状部分を摘んで破断作業を開始すると、破断は、山形形状部分の裾野から案内破断切線を通過し、第3破断切線上を進む。このようにして、円錐型包装体の残存部分を簡単かつ確実に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して、以下に詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る円錐型包装体50の斜視図である。図2(a)は、最初に円錐型包装体を開封し始めた状態を示しており、図2(b)は、後述する山形形状部分61aが現れた状態を示している。
この円錐型包装体は、図3に示した略扇形の包装材(ブランク)50を円錐状に巻回して両側端縁部を接着するとともに、ほぼ等間隔で放射状に形成された3本の接着部58で大径側を封止して構成される。
【0011】
包装体50の円錐状の周壁には、開封用の摘み部55を形成するとともに、摘み部55を挟むようにして、2つの破断切線を設けている。すなわち、円錐頂点56に近い側の第1破断切線61と、図3中において上側に位置する大径側の第2破断切線62である。
第1破断切線61は、大略的には、円錐頂点56を中心とする円弧状に形成されているが、その一部に山形形状部分61aを有する。
一方、第2破断切線62は、摘み部55から離れるにつれて、第1破断切線61から徐々に離れるよう略螺旋状に形成されている。
この円錐型包装体50は、摘み部55を摘んで、第1破断切線61と第2破断切線62の間の周壁部分60を矢印A方向に破り取ることで開封できる。
【0012】
≪山形形状部分61a≫
図2(b)は、摘み部55を摘んで周壁部分60を破り取った状態を示している(食べかけのアイスクリーム上方部分は破線で示している)。この図および図3のブランク展開図から分かるように、第1破断切線61は、周壁部分60を破り取って開封した状態において、残存する包装体部分の端縁形状が、少なくとも一部分が他の部分よりも上方に突出する山形形状61aとなるように形成されている。
すなわち、周壁部分60を破り取ったときに、上方に突出してタブの如く機能する山形形状部分61aが現れるので、この部分を摘んで、残存する包装体部分を簡単に破り始めることができる。
【0013】
なお、山形形状部分61aの具体的な形状は、図示のものに限られず、上方に突出して消費者がこれを指で摘むのに適した形状であれば足りる。例えば、直線のみで構成されたビル建物の如き形状の山形形状部分であってもよい。
【0014】
≪第3破断切線63と案内破断切線65≫
第1破断切線61よりも円錐頂点56側(すなわち、第2破断切線62とは反対の側)には、周壁面上を周方向に延在する第3破断切線63を設けている。そして、山形形状部分61aの裾野近傍位置61bから、第3破断切線63へと延在する案内破断切線65を形成している。
すなわち、消費者が山形形状部分61aを摘んで矢印B方向へ破断作業を開始すると(図2(b))、破断は、山形形状部分の裾野61bから案内破断切線65を通過し、第3破断切線63上を進む。このようにして、円錐型包装体の残存部分を簡単かつ確実に除去することができる。
【0015】
≪易破断領域64≫
図2(b)において、山形形状部分61bを摘んで矢印B方向に破り進めて行くと、第3破断切線63上を進む破断は、円錐周壁上を1周して、接着端縁領域70に到達する。
接着端縁領域70とは、図3に示した略扇形のブランク50を円錐形状に巻回して両側端縁部を接着した領域である。この領域において、第3破断切線63は、第1端63aと第2端63bとが連結されることとなる。すなわち、第3破断切線63は、略扇形ブランク50の一端縁近傍の第1端63aから他端縁近傍の第2端63bまで延在していて、接着端縁領域70において環状に連結される。
ここで、製造工程における巻回誤差を吸収するために、易破断領域64を設けている。すなわち、第3破断切線63の第2端が複数に枝分かれして、一定の拡がりを有する易破断領域64を構成している。
仮にこのような易破断領域64を設けないとすれば、ブランク50の巻回工程において正確に第3破断切線63の両端63a、63bを一致させなければ、第3破断切線63上を進む破断が接着端縁領域70をスムーズに乗り越えることはできない。
一定の面積的な拡がりを有する易破断領域64を設けることで、巻回工程におけるズレが吸収され、破断は接着端縁領域70を乗り越えてスムーズに進行することとなる。
【0016】
なお、図示の例とは逆に、第3破断切線63の第1端63aに易破断領域64を設けてもよい。
すなわち、第1端63aおよび第2端63bの一方に易破断領域64を設けて、ブランク50を巻回したときに、第1端63aおよび第2端63bの他方が易破断領域64に連結されるように構成することで、巻回誤差を吸収することができる。
【0017】
≪ブランクの積層構造および破断切線の構造≫
円錐型包装体を作製するためのブランク(包装材)50の積層構成は、外表面側から「プラスチックフィルム/アルミニウム箔/紙/熱接着性樹脂層」となっている。プラスチックフィルムとしては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートまたは2軸延伸ポリプロピレン等を使用できる。
第1破断切線61、第2破断切線62、第3破断切線63、および案内破断切線65は、プラスチックフィルムとアルミニウム箔と紙を貫通し、熱接着性樹脂層の中間まで切り込まれた状態で形成されている。すなわち、各切線は、包装材50の全体を貫通しているのではなく、ハーフカットの状態とされている。ハーフカットの状態とすることで、内部の食品を外部から遮断することができ、衛生上好ましいとともに、不用意に破断する危険性を減じることができる。
熱接着性樹脂層は比較的引き裂き強度が小さいので、プラスチックフィルムとアルミニウム箔と紙を貫通させておけば、各切線に沿って容易に引き裂くことができる。
【0018】
ただし、ブランクの積層構造および破断切線の構造については、上記のもの以外にも任意の形態を採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の円錐型包装体を説明する斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係る円錐型包装体の斜視図。
【図3】図2の円錐型包装体を構成するブランクの展開図。
【符号の説明】
【0020】
16 開封用タブ(摘み部)
18 第1破断切線
19 熱接着領域の端縁部
22 第2破断切線
26 円錐頂点
30 包装材(ブランク)
32 上方封止部
50 円錐型包装体(ブランク)
55 摘み部
56 円錐頂点
58 接着部
61 第1破断切線
61a 山形形状部分
61b 裾野部分
62 第2破断切線
63 第3破断切線
63a 第3破断切線の第1端
63b 第3破断切線の第2端
64 易破断領域
65 案内破断切線
70 接着端縁領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円錐状の周壁に設けた開封用の摘み部(55)と、当該摘み部を挟んで間隔をおいて周壁面上を周方向に延在する円錐頂点(56)側の第1破断切線(61)および大径側の第2破断切線(62)と、を備え、
第1破断切線(61)と第2破断切線(62)の間の周壁部分(60)を破り取って開封するように構成された円錐型包装体において、
第1破断切線(61)は、上記周壁部分(60)を破り取って開封した状態において、残存する包装体部分の端縁形状が、少なくとも一部分が他の部分よりも上方に突出する山形形状(61a)となるように形成されていて、
第1破断切線(61)よりも円錐頂点(56)側に、周壁面上を周方向に延在する第3破断切線(63)を設けるとともに、
上記山形形状部分(61a)の裾野近傍位置(61b)から、第3破断切線(63)へと延在する案内破断切線(65)を設けたことを特徴とする、円錐型包装体。
【請求項2】
上記円錐状の周壁は、略扇形のブランク(50)を円錐状に巻回して両側端縁部を接着して円錐状にされており、
上記第3破断切線(63)は、略扇形ブランク(50)の一端縁近傍の第1端(63a)から他端縁近傍の第2端(63b)まで延在していて、
第1端(63a)および第2端(63b)の一方において、第3破断切線(63)が複数に枝分かれして一定の拡がりを有する易破断領域(64)を構成し、略扇形ブランク(50)を巻回したとき、第1端(63a)および第2端(63b)の他方が、易破断領域(64)に連結されることを特徴とする、請求項1記載の円錐型包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−30781(P2008−30781A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204920(P2006−204920)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】