説明

再封可能袋体およびチャックテープ

【課題】チャックテープに付着した内容物が飛散を防止し、かつ、注出口の位置が制限されない再封可能袋体を目的とする。
【解決手段】本発明の再封可能袋体は、一辺に封緘可能な口部14を有する袋本体10を有し、第一嵌合片32が設けられた第一基部22と、前記第一嵌合片32と嵌合する第二嵌合片34が設けられた第二基部24とを有するチャックテープ20を備え、前記チャックテープは、袋本体10の内部にて、区画された嵌合室40内に形成され、前記嵌合室40は、チャックテープ20により、2つの小嵌合室42、44に分割され、小嵌合室42には、袋本体10外側から開口可能とされ、小嵌合室44には、嵌合室40と袋内部空間とを連通する手段が設けられていることよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再封可能袋体およびチャックテープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湿気を嫌う食品、揮発性の薬品等の密封保存の容器として、再封可能な、チャックテープを備えた再封可能袋体がある。
一般に、再封可能袋体の構造としては、以下の2種類に大別できる。第一の再封可能袋体の形態は、いわゆる一般チャックテープが用いられた再封可能袋体である。袋体の対向する面の内、任意の面の口部側にチャックテープの雄部を設け、他方の面の口部側に前記雄部と嵌合するチャックテープの雌部を設け、前記雄部と前記雌部との嵌合・解除により、袋の開閉を行うものである。第二の再封可能袋体は、例えば特許文献1のように、袋体の対向する面の内、一方の面にチャックテープの雄部と雌部との両方が接着され、袋体の側面を開封し、前記雄部と雌部との嵌合・解除によって袋体の開閉を行う、ポケットジップ(登録商標)タイプの再封可能袋体である。
【0003】
このような再封可能袋体は、栄養剤や流動食等の包装材としても利用されている。栄養の経口摂取が不可能、もしくは、困難な人(以下、利用者ということがある)に対して、体内に挿入した経腸栄養チューブに経腸栄養食品を注入し、栄養食品を直接腸に供給する場合がある。経腸栄養食品は、一般には、保存性を有し、かつ、利用者への供給が可能な袋(以下、経腸栄養食用袋という)に収容されて流通している。経腸栄養食用袋には注出口が設けられており、当該注出口を経腸栄養チューブの端部と連結することによって、利用者の体内へと経腸栄養食品を供給できるようになっている。
経腸栄養食用袋に保存されている経腸栄養食品は、水や温湯によって希釈し濃度を調節してから利用者に供給されることがある。この経腸栄養食品の希釈は、作業性や衛生面を考慮し、経腸栄養食用袋内で行われるようになった。また、経腸栄養食品と共に薬液を供給する場合や、経腸栄養食品を注入した後に、水分や薬液を補給する場合等、経腸栄養食用袋内に水分や薬液を注入することもある。そのため、経腸栄養食用袋には、袋内の経腸栄養食品の希釈や、袋内への薬液や水の注入を可能とするための注入口、或いは、注入口を形成するための手段が設けられている。
【0004】
従来、経腸栄養食用袋としては、平袋の底辺側に注出口を設け、底辺と対向する側に前述した一般チャックテープを備えることにより、開閉可能とした袋体が用いられている。しかし、このような形態の袋体を経腸栄養用袋として単に採用し、チャックテープ側から内容物を充填しようとすると、嵌合したチャックテープを解除して充填し、チャックテープよりも口部側でシールする際には、チャックテープを再度嵌合させる必要がある。このため、内容物の充填作業が煩雑となる。また、底辺側から内容物を充填しようとしても、注出口が底辺側に設けられている場合には、汎用機では充填・密封をすることができない。加えて、チャックテープへの内容物の付着は避けられない。このような問題に対して、チャックテープと底辺との間に隔壁を設け、注出口を平袋の角部に設け、底辺から内容物を充填した、チャックテープを汚染させない再封可能袋体の発明が開示されている(例えば、特許文献2、3)。
また、チャックテープの雄部および雌部の基部が延設され、弱化部を介して連接され、充填時に、チャックテープへの内容物付着を防止できるチャックテープが開示されている(例えば、特許文献4)。
また、前述したポケットジップ(登録商標)タイプの再封可能袋体を用い、チャックテープを設けた側から内容物の充填が行える再封可能袋体の発明が開示されている(例えば、特許文献5)。
【特許文献1】特許第2749886号公報
【特許文献2】特開2001−299875号公報
【特許文献3】特開2005−40630号公報
【特許文献4】特開2005−266221号公報
【特許文献5】特開2006−123949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2〜4に記載の発明では、チャックテープへの内容物付着を防止できるものの、チャックテープ側からの内容物充填が行えない。従って、充填は底辺側から行うこととなるが、注出口の設置位置が袋体の角部に制限される。この結果、注出口溶着等、袋体製造の作業性に問題があった。また、特許文献5に記載の発明では、チャックテープ設置側からの内容物充填は可能となるものの、輸送・保管中における、内容物のチャックテープへの内容物の付着は回避できず、開封時にチャックテープに付着した内容物が飛散し得るという問題がある。
そこで本発明は、チャックテープに付着した内容物の飛散を防止し、注出口の位置が制限されない再封可能袋体を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の再封可能袋体は、一辺に封緘可能な口部を有する袋本体を有し、
前記袋本体の内側には、第一嵌合片が設けられた第一基部と、前記第一嵌合片と嵌合する第二嵌合片が設けられた第二基部とを有するチャックテープを備え、
前記チャックテープは、前記袋本体の内部にて、区画された嵌合室内に形成され、
前記嵌合室は、前記チャックテープにより、2つの小嵌合室に分割され、
前記小嵌合室の一方の小嵌合室には、袋本体外側から開口可能とされ、他方の小嵌合室には、嵌合室と袋内部空間とを連通する手段が設けられていることを特徴とする。
前記袋本体部は、前記口部と対向する側に注出手段を有していても良い。
【0007】
本発明の容器包装詰栄養食品は、前記再封可能袋体に栄養食品を収容したことを特徴とする。
【0008】
本発明のチャックテープは、前記再封可能袋体に備えられるチャックテープであって、前記第二基部の幅方向の長さが、前記第一基部の幅方向の長さよりも長いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の再封可能袋体によれば、チャックテープに付着した内容物の飛散を防止し、チャックテープ側からの内容物充填が行えて、注出口の設置位置も制限されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態について、図1、2を用いて説明する。図1は、本発明の第一の実施形態にかかる再封可能袋体8の平面図である。図2は、本発明の第一の実施形態にかかる再封可能袋体8の部分断面図である。
図1の通り、再封可能袋体8は、口部14を有する袋本体10を有し、袋本体10内側にはチャックテープ20が備えられている。袋本体10は、平面部11と平面部12とが、底辺13、側端部15、16に添って、三方がヒートシールされた平袋である。底辺13には、注出手段60が接続されている。前記注出手段60は、注出口部材62と注出口蓋64とで構成されている。平面部11の袋本体内部18側には、チャックテープ20が側端部15から側端部16に掛けて設けられている。チャックテープ20は、嵌合片対30と、第一基部22と、第二基部24とで構成されている。また、平面部11の内側の、第一基部22と接着面43との間には、袋本体10を横断する、開口部材54が備えられ、開口部材54の端部には、つまみ部52が設けられ、該つまみ部52は平面部11の袋本体10の外側に設置されている。つまみ部52と開口部材54とで、開口手段50が構成されている。
嵌合片対30は、第一嵌合片32と、第二嵌合片34とで構成されている。第一基部22は、平面部11の袋本体内部18側に、側端部15から側端部16に掛けて、帯状に設けられている。第一基部22の表面には、嵌合片対30の内の雄部である第一嵌合片32が、第一基部22の長手方向に沿って設けられている。第二基部24は、その周縁部の内、口部14側の長辺の端部と平面部11とが接着されて接着面43が形成され、第二基部24の底辺13側の長辺の端部と平面部11とで、易剥離面45が形成されている。また、第二基部24の短辺の両端部は、それぞれ側端部15、16において、平面部11、12と共にヒートシールされて固定されている。
第二嵌合片34は、嵌合片対30の内の雌部である。第二嵌合片34は、第一嵌合片32と嵌合できる向きで、第二基部24の長手方向に沿って形成されている。第二嵌合片34は、第一嵌合片32と嵌合するように対向して配置されている。また、第二基部24の短辺は、それぞれ側端部15、16において、平面部11、12と共にヒートシールされて固定されている。こうして、第二基部24と平面部11とで囲われた空間である嵌合室40が形成されている。嵌合室40は、嵌合している嵌合片対30により分割されて、口部14側の小嵌合室42と、底辺13側の小嵌合室44とが形成されている。
【0011】
袋本体10を構成する平面部11、12は、充填された内容物の性状等を勘案して決定することができ、例えば、プラスチックを主体とする積層フィルムや、単層フィルムを用いることができ、中でも積層フィルムを用いることが好ましい。積層フィルムとしては、例えば、袋本体10の外側から順に、基材層、中間層、ヒートシール層が積層されたフィルムを挙げることができる。
【0012】
基材層は、引張り強度、衝撃強度、耐擦傷性などの通常の用途において必要とされる総合的な機械的強度を有すると共に、ヒートシールする際の加熱に対する耐熱性などが必要である。また、必要に応じて、耐溶剤性、耐薬品性の他、印刷適性やガスバリア性等の性能も要求される。基材層は、このような性能を有していれば、単層構造でも、複数の層が積層した多層構造であってもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の延伸ポリオレフィンフィルム、延伸ナイロン(ONY)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)等の延伸フィルム及びこれらの延伸フィルムを積層したものを用いることができる。これらの延伸フィルムのガスバリア性や防湿性等を向上させるために、アルミニウム(Al)等の金属や酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させたものや、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)やポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)したものも用いることができる。
【0013】
再封可能袋体8に、内容物の沸点に近い温度に加熱した内容物を充填し、密閉後、高温、例えば110℃以上の温度で加熱殺菌(レトルト殺菌)する容器(レトルトパウチ)として用いる場合には、基材層には、特に耐熱性に優れるPET、蒸着PET(VMPET)、PVDCやポリアクリル酸系樹脂等をコーティングしたバリアコートPET等を用いることが好ましい。
基材層の厚さは特に限定されず、適宜設定することができるが、例えば、12〜20μm程度の範囲内とすることが好ましい。
【0014】
中間層は、積層フィルムの機械的強度、防湿性、ガスバリア性、或いは、容器を開封する際のフィルムの引き裂き性等を向上させるために設けられるものであり、目的に応じて、適宜選択すればよい。また、中間層を設ける必要がない場合には設けなくてもよい。中間層は、単層構造でも、複数の層が積層した多層構造であってもよく、例えば、PET、OPP、HDPE、ONY、EVOH、ポリビニルアルコール、PVDC等のプラスチックや、Al箔、合金箔等の金属箔等を用いることができる。中間層として金属箔や印刷層を用いた場合や、層間を接着する接着剤に顔料を加えた場合には、光遮断性を付与することができる。また、上記プラスチックフィルムにAlや、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等を蒸着させたものも使用できる。
開封時のフィルムの引裂き性を向上させるためには、中間層に用いる延伸フィルムの延伸方向と容器の開封方向とを一致させることによって、フィルムの引裂きの方向を安定化させることができる。
【0015】
再封可能袋体8をレトルトパウチとして用いる場合には、中間層として、蒸着PET、ONY、蒸着ONY、Al箔等の耐熱性を有するものを使用することが好ましい。
中間層の厚さは特に限定されず、適宜設定することができるが、例えば、6〜25μm程度の範囲内とすることが好ましい。
尚、中間層を基材層に積層する方法は、公知のドライラミネーション法により積層することができる。
【0016】
ヒートシール層は、積層フィルムの最内層に積層されるものであり、積層フィルムを用いて袋本体10を成形する際に、重ね合わせた平面部11、12の内面同士が熱と圧力によって充分に接着し、また、注出手段60と平面部11、12とを接着し、平面部11、12とチャックテープ20とを接着することができる接着性が必要である。さらに、内容物と直接接触するため、経腸栄養食品や薬品、食品等の内容物に対する耐性、衛生性等の適性が要求される。
ヒートシール層は、内容物の種類等を勘案し、上述のような要件を満たす材質を決定することが好ましく、単層構造であっても多層構造であっても良い。例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)等を用いることができる。
【0017】
再封可能袋体8をレトルトパウチとして用いる場合には、ヒートシール層として、CPPや耐熱性を有するPE(例えば、LLDPE等)等、耐熱性を有するものを使用することが好ましい。
ヒートシール層の厚さは特に限定されず、適宜設定すればよいが、通常、60〜120μm程度の範囲内とすることが好ましい。
【0018】
ヒートシール層を積層する方法は特に限定されず、上記のような樹脂を予めフィルム状に製膜しておいて、基材層のフィルム、あるいは基材層に中間層を積層したフィルムの中間層に、ドライラミネーション法で貼り合わせて積層できるほか、ヒートシール層を形成する樹脂を押し出しコートして積層することもできる。
【0019】
積層フィルムの具体例としては、以下のようなものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記例示において符号「#」は該当する層の厚さ(単位:μm)を表す。
具体例:基材層[酸化アルミVMPET#12]/中間層[ONY#15]/ヒートシール層[CPP#100];基材層[酸化ケイ素VMPET#12]/中間層[ONY#15]/ヒートシール層[LLDPE#100];基材層[PVDCバリアコートPET#12]/中間層[ONY#15]/ヒートシール層[CPP#100];基材層[ポリアクリル酸系樹脂バリアコートPET#12]/中間層[ONY#15]/ヒートシール層[CPP#100];基材層[PET#12]/中間層[アルミ箔#9/ONY#10]/ヒートシール層[CPP#100]
【0020】
第一基部22の材質は、平面部11と強固に接着できるものであれば、特に限定されることはない。ヒートシールにより、第一基部22と平面部11とを接着する場合には、第一基部22の材質は、平面部11の袋本体内部18側の面と同じ材質とすることが好ましく、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンの単層、または、積層樹脂等を用いることができる。
第一基部22の厚さは特に限定されず、平面部11との接着性等を勘案して決定することが好ましい。
第一基部22の幅方向の長さは特に限定されず、平面部11との接着性や、後述する第二基部24の短辺の長さとを勘案して決定することが好ましい。ここで、第一基部22の「幅方向」とは、第一嵌合片32の長手方向と直交する方向を意味する。また、第一基部22の「幅方向の長さ」とは、第一嵌合片32の長手方向と平行な位置関係にある第一基部22の2辺の間の距離である。
【0021】
第一嵌合片32の材質は特に限定されないが、第一基部22と共に成型される場合には、第一基部22と同じ材質であり、第一基部22に、別途成型したものを接着して、第一嵌合片32を設ける場合には、第一基部22と異なる材質であっても良い。
【0022】
第二基部24の材質は、第一基部22と同様である。第二嵌合片34の材質は、第一嵌合片32と同様である。
第二基部24の幅方向の長さは、第一基部22の幅方向の長さより長く、嵌合室40を形成できるものであれば特に限定されず、嵌合片対30の形状や、平面部11との接着性等を勘案して決定することができる。ここで、第二基部24の「幅方向」とは、第二嵌合片34の長手方向と直交する方向を意味する。また、第二基部24の「幅方向の長さ」とは、第二嵌合片34の長手方向と平行な位置関係にある第二基部24の2辺の間の距離である。
【0023】
第二基部24と、平面部11との接着面43の形成手段は、再封可能袋体8を使用する際に剥離することがなければ特に限定されることはない。例えば、第二基部24の長辺の端部と、平面部11のヒートシール面とをヒートシールしたものを挙げることができる。接着面43の強度は、JIS−Z−0238に準拠して、23±2℃、相対湿度50±5%、剥離速度300mm/分の条件で測定した90度剥離強度が、10〜40N/15mmであり、好ましくは18〜40N/15mmである。
【0024】
本実施形態における「嵌合室と袋内部空間とを連通する手段」とは、易剥離面45である。易剥離面45は、内容物の充填時、および、充填した後の通常の保管・配送等において剥離せず、かつ、人手によって第二基部24と平面部11とを容易に引き離すことができる手段であれば特に限定されることはない。ここで、「容易に引き離すことができる」とは、ナイフやハサミ等の切断器具を用いず、かつ、内容物を漏洩させるような欠損を平面部11に与えずに、平面部11から第二基部24を引き離すことができることを言う。
このような易剥離面45は、JIS−Z−0238に準拠して、23±2℃、相対湿度50±5%、剥離速度300mm/分の条件で測定した90度剥離強度が、1.8〜4.2N/15mmであり、好ましくは2.2〜3.7N/15mmである。上記下限値未満であると、内容物の充填時や保管・輸送中に易剥離面45が剥離してしまうおそれがあり、上記上限値を超えると、易剥離面45が剥離しにくくなるためである。
【0025】
嵌合片対30における、第一嵌合片32と第二嵌合片34の形状は、チャックテープ20の長手方向に沿って、嵌合と解除とを繰り返し行えるものであれば、特に限定されない。
【0026】
本実施形態における「開口可能な手段」とは、開口手段50である。開口手段50は、平面部11の包材フィルムを切裂き、開口することができれば特に限定されない。例えば、図1、2に示すように、第一基部22と接着面43との間に設けられた開口部材54と、開口部材54の端部に設けられ、袋本体10の外側に露出させたつまみ部52とで構成されているものを挙げることができる。
【0027】
開口部材54の形状は特に限定されず、例えば帯状または糸状のものを挙げることができる。かかる形状により、つまみ部52を袋本体10から離れる方向に牽引することで、チャックテープ20に沿って、容易に開口できるためである。
開口部材54の材質は特に限定されず、イージーピール性を有するフィルム層(イージーピールフィルム層)と基材層とが積層した構造のものを用いることができる。イージーピールフィルムの剥離形式は、特に制限されず、界面剥離、凝集剥離、層間剥離等があるが、シール条件や殺菌条件等によって、使い分ければよい。界面剥離形式のイージーピールフィルムとしては、例えば、ポリエチレン(PE)フィルムからなる支持層とエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)および粘着剤を含む接着層とを積層した構造のもの、凝集剥離形式のイージーピールフィルムとしては、例えば、PEフィルム又はポリプロピレン(PP)フィルムからなる支持層と、PP、PE及び必要に応じてその他の材料を含む凝集剥離層とを積層した構造のものが挙げられる。
【0028】
再封可能袋体8をレトルトパウチとして用いる場合、イージーピールフィルムの剥離形式としては、凝集剥離や層間剥離が好ましく、特に凝集剥離が好ましい。レトルトパウチ用の凝集剥離形式イージーピールフィルムの構造としては、例えば、耐熱性に優れたPPフィルムからなる支持層と、PP、PE及び必要に応じてその他の材料を含む凝集剥離層とを積層したものが好ましい。イージーピールフィルム層は、その剥離強度が平面部11を構成する包材フィルムの切断強度より低いものを採用する。
【0029】
開口部材54の基材層としては、平面部11を構成する包材フィルムを切断することができる強度を有しているもの、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン層及びポリエステル層の2層構造、低密度ポリエチレン層、ポリエステル層及び低密度ポリエチレン層の3層構造、直鎖状低密度ポリエチレン層、ポリエステル層及び直鎖状低密度ポリエチレン層の3層構造、超低密度ポリエチレン層、ポリエステル層及び超低密度ポリエチレン層の3層構造等のものが挙げられる。開口部材54は、単層構造であってもよい。
【0030】
注出手段60は、未開封の再封可能袋体8の密封性を確保し、かつ、流動性のある内容物を再封可能袋体8外へと取り出すことができれば特に限定されることはなく、既存の部材を使用することができる。例えば、外周面にネジ山が設けられた注出口部材62と、内周面にネジ溝が設けられた注出口蓋64との組み合わせを用いることができる。かかる組み合わせにより、注出口蓋64を取り外して、内容物を容易に取り出すことができ、注出口蓋64と注出口部材62とを螺合することで、再度の閉止をすることができる。
なお、注出口部材62の形状は、用途に合わせて決定することができ、例えば、再封可能袋体8を経腸栄養食用袋として使用する場合には、直接または連結器を介して経腸栄養チューブの端部を接続できる形状とすることが好ましい。
注出手段60を形成する材質は特に限定されず、包材フィルムと接着することが可能であれば良く、プラスチックや金属等を挙げることができる。ただし、注出口部材62は、平面部11、12を構成する包材フィルムに挟んだ状態で、包材フィルム同士の接着と同時に包材フィルム間に接着することによって、袋本体10に固着する製造方法を採用する場合には、包材フィルムとの接着性を有し、且つ、ヒートシール工程における加熱に対する耐熱性を有する材料によって形成される必要がある。このため、平面部11、12のヒートシール層と同様のプラスチック材料によって形成されることが好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等を用いることができる。再封可能袋体8をレトルトパウチ用として用いる場合には、ポリプロピレン、ポリエチレン等の耐熱性を有する材料を用いることが好ましい。
【0031】
再封可能袋体8の製造方法について説明する。
まず、平面部11、12を構成する矩形状の包材フィルムと、側端部15から側端部16にわたる長さの、第一嵌合片32が形成された第一基部22を用意する。次いで、任意の包材フィルムの、口部14となる端部の近傍に、口部14側の包材フィルム端部と略平行になるように、第一基部22を接着する。さらに、第一基部22よりも口部14側に開封部材54を接着あるいは積層する。第一基部22が接着された包材フィルムの、側端部15または16から、開口部材54に沿って切り込みを入れ、つまみ部52を成形する。
次いで、側端部15から側端部16にわたる長さで、かつ、第一基部22の幅の長さよりも充分に長い幅を有する第二基部24を用意する。前記第二基部24には第二嵌合片34が形成されている。そして、第二嵌合片34と第一嵌合片32とを嵌合させて第二基部24を配置する。次いで、第一基部22が接着されている包材フィルムに、第二基部24の口部14側に位置する長辺の端部を接着する。第二基部24の他の長辺の端部と、第一基部22が接着されている包材フィルムとで、易剥離面45を形成させる。こうして、平面部11となる側を得る。
そして、平面部11となる包材フィルムの底辺13側に、注出口部材62を設置する。次いで、平面部12となる包材フィルムを平面部11となる包材フィルムに載置し、つまみ部52を避けて、側端部15、16、底辺13となる縁部をヒートシールすることにより接着する。こうして、再封可能袋体8を得ることができる。
【0032】
平面部11と12との接着条件は特に限定されず、包材フィルムの材質に応じて、適宜決定することが好ましい。
【0033】
易剥離面45の製造方法は、容易に剥離できる程度に接着できれば特に限定されない。例えば、第二基部24の長辺の端部と平面部11のヒートシール層とのヒートシール条件の調節により、容易に引き離すことができる程度に接着したものを挙げることができる。また、例えば、易剥離面45における、第二基部24の長辺の端部と平面部11との材質を異なるものとしたり、易剥離面45の構成をイージーピールフィルムとして、易剥離性を付与しても良い。また、易剥離面45に、例えばシェラック等のシール阻害剤を格子状等に、部分的にコートをしても良い。
イージーピールフィルムを採用する場合、イージーピールフィルムの剥離形式としては特に限定されないが、凝集剥離や層間剥離が好ましく、特に凝集剥離が好ましい。凝集剥離形式のイージーピールフィルムの構成は特に限定されないが、再封可能袋体8をレトルトパウチ用として用いる場合には、耐熱性に優れるPPフィルムからなる支持層を有するものが好ましい。
【0034】
再封可能袋体8の使用方法の一例について、図1〜5を用いて説明する。本使用方法は、内容物を経腸栄養食品とした容器包装詰栄養食品を製造し、該容器包装詰栄養食品に、追加充填物として希釈水を添加して、利用者に供給する場合を例にとったものである。
図3は、内容物充填後の再封可能袋体100の部分断面図である。図4は、開口手段50から内容物を追加する際の再封可能袋体200の部分断面図である。図5は、内容物を追加した後、チャックテープ20で再封した後の再封可能袋体300の部分断面図である。
まず、図2に示す口部14から内容物を充填する。その後、図3に示すように、口部14近傍で、平面部11と平面部12とを接着する。この際、接着後の再封可能袋体100から、内容物が漏洩しないよう、側端部15から側端部16に掛けて、接着面102を形成させる。こうして、内容物が充填され、口部14が封緘された再封可能袋体100を得る。得られた再封可能袋体100は、第一嵌合片32と第二嵌合片34が嵌合されており、接着面43、易剥離面45は接着されたままである。そして、嵌合片対30と第二基部24と平面部11とで形成された小嵌合室42、44と、小嵌合室42、44で構成されている嵌合室40とが形成されたままである。
【0035】
次いで、つまみ部52を把持して、袋本体と離れる方向に牽引し、開口部材54で平面部11の包材フィルムを切り裂くようにして開口する。そして、図4に示すように、上記の方法で形成された開口部51の平面部11が、平面部12と離れる方向に広げ、第一嵌合片32と第二嵌合片34との嵌合を解除する。併せて、易剥離面45で、平面部11から第二基部24を剥離し、平面部11側の易剥離面45bと第二基部24側の易剥離面45aとが露出する。この際、接着面43は接着されたままである。こうして、図3における小嵌合室42、44、袋本体内部18が連通された追加充填路210が形成される(図4)。そして、開口部51から希釈水を添加する。
任意の量の希釈水を添加した後、再封する。図5に示すように、再び、第一嵌合片32と第二嵌合片34とを嵌合させ、図4の再封可能袋体200で形成されていた追加充填路210を閉じる。そして、追加充填路210は、図5の再封可能袋体300のように、空間310と、空間312とが形成される。この際、易剥離面45a、45bは剥離したままの状態であり、開口部51も封緘されていない。
こうして、希釈水を添加した後、図1に示す注出口蓋64を注出口部材62から外し、注出口部材62に経腸栄養チューブに接続、あるいは、注出口部材62から内容物を別の容器に取り出して、利用者に供給する。
【0036】
充填する内容物は特に限定されず、経腸栄養食品等の栄養食品の他、流動食や粉状食品等、あらゆる液体および流動性を有するものを充填することができる。なお、上述した使用方法により、内容物に希釈水等の追加充填を行った後に、利用者へ供給できることから、経腸栄養食品等の栄養食品の容器として好適である。
充填する内容物の量は、易剥離面45よりも底辺13側に、内容物の界面が位置するように充填されれば特に限定されないが、希釈水等を追加充填した後に、界面が嵌合片対30よりも底辺13側に位置することが好ましい。かかる充填量を超えると、嵌合片対30に内容物が付着し、再度、嵌合片対30の嵌合を解除した際に、嵌合片対30に付着した内容物が飛散するおそれがあるためである。
【0037】
追加充填を行うものは特に限定されず、用途に併せて決定することができ、例えば水、薬剤等を挙げることができる。
【0038】
以上のように、再封可能袋体8は、嵌合室40を形成させ、かつ、易剥離面45を有することで、チャックテープ20に付着した内容物の飛散を防止することができる。また、充填物を口部14から充填できるため、注出口の位置を制限せずに設置することができる。さらに注出手段60を有することにより、内容物を衛生的に利用者の使用に供することができ、特に経腸栄養食品等の栄養食品の包装容器として好適である。
【0039】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の第二の実施形態にかかる再封可能袋体400の部分断面図である。
再封可能袋体400は、平面部11と平面部12とが対向して配置され、両側端部と底辺の三方がヒートシールされた平袋の本体部410を有する。図6に示すように、再封可能袋体400は、区画壁430の長さ方向の辺の一方が、接着面443で平面部11に接着され、他方の辺が、易剥離面445で平面部11と接着されて、嵌合室440が形成されている。嵌合室440内には、第一嵌合片32が設けられた第一基部22と、第二嵌合片34が設けられた第二基部424とで構成されているチャックテープ420が備えられている。第二基部424は、区画壁430に固定されている。そして、嵌合室440は、チャックテープ420によって、小嵌合室442と小嵌合室444とに分割されている。
【0040】
第二基部424は、第一の実施形態の第二基部24と同様の材質を用いることができる。
区画壁430は、平面部11のヒートシール層と接着でき、かつ第二基部424を固定できるものであれば特に限定されず、第二基部424と同様の材質を用いることができる。
接着面443は、第一の実施形態の接着面43と同様である。
易剥離面445は、第一の実施形態の易剥離面45と同様である。
【0041】
本実施形態によれば、既存のチャックテープを用いることができるため、袋本体のサイズ等に制限されることなく、再封可能袋体を製造することができる。
【0042】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の第三の実施形態にかかる再封可能袋体500の部分断面図である。第三の実施形態は、「嵌合室と袋内部空間とを連通する手段」を第一の実施形態の易剥離面45に替えて、断裂手段526としたものである。
再封可能袋体500は、平面部11と平面部12とが対向して配置され、両側端部および底辺部の三方がヒートシールされた平袋の本体部510を有する。図7に示すように、平面部11の袋本体内部518側に嵌合室540が形成され、嵌合室540には、チャックテープ520が備えられている。チャックテープ520は、第一嵌合片32が設けられた第一基部22と、第二嵌合片34が設けられた第二基部524とで構成されている。
第二基部524には、第二嵌合片34と接着面545との間に、断裂手段526が設けられている。第二基部524は、接着面543、545により、平面部11の袋本体内部518側に接着されている。こうして、第二基部524と平面部11とで囲われた空間である嵌合室540が形成されている。嵌合室540は、チャックテープ520により分割されて、口部14側の小嵌合室542と、底辺部側の小嵌合室544とが形成されている。
【0043】
断裂手段526は容易に断裂して、小嵌合室544と袋本体内部518とを連通することができるものであれば特に限定されることはない。ここで「容易に断裂」するとは、充填した後の通常の保管・配送等において断裂せず、かつ、人手によって第二基部524を断裂することができる程度を指す。
断裂手段526の構造としては、例えば、図7のように、第二基部524の長手方向に延びる山型形状の弱化部を設けても良いし、薄肉化部分を設けも良いし、チャックテープによって断裂手段526を形成しても良い。
【0044】
第二基部524の材質は、第一の実施形態における第二基部24と同様である。
【0045】
本実施形態によれば、平面部11の袋本体内部518側の面の欠損防止の向上を図ることができる。また、第二基部の接着面545のシールに特別な方法を採用する必要がなくなる。
【0046】
本発明の再封可能袋体は上述の実施形態に限定されるものではない。
第一〜第三の実施形態では、第一嵌合片が雄部、第二嵌合片が雌部であるが、第一嵌合片を雌部、第二嵌合片を雄部としても良い。
また、第一〜第三の嵌合片対の形状は、雄部の断面形状が球状であり、雌部は該球状の嵌合片と対応するものであるが、嵌合片対の形状はこれに限られず、例えば、雄部を矢印状等としたものであっても良い。
【0047】
第一〜第三の実施形態では、チャックテープが両側端部にわたって設けられているが、チャックテープは袋本体の一部に設けられていても良い。ただし、嵌合室40、440、540同様の、第二基部または区画壁の長辺の端部の一方が袋本体の任意の面に接着され、第二基部の他の長辺の端部と前記任意の面の一部とで易剥離面を形成し、あるいは、第二基部または区画壁に前記断裂手段が設けられていることを要す。加えて、第二基部の短辺は、嵌合片対を挟み込むように、前記任意の面の一部と接着されていることを要する。かかる嵌合室を形成することで、追加充填を行うことができ、再封後に内容物の漏洩を防止することができるためである。
【0048】
第一〜第三の実施形態では、袋本体部の成形は、平面部となる包材フィルムを対向して張り合わせた、いわゆる三方シールの平袋であるが、本発明の再封可能袋体はこれに限られず、合掌貼りの袋であっても良いし、スタンディングパウチ型であっても良いし、側面部に折込部を有するガセット形状でも良い。
【0049】
第一の実施形態では、注出手段が袋本体の底辺部に設けられているが、注出手段の設置場所はこれに限られず、袋本体の角部であっても良いし、また、注出手段が設けられていなくても良い。
【0050】
第一〜第三の実施形態では、開口手段は、平面部に設けられているが、開口手段は第一基部に設けられていても良い。第一基部に開口手段を設ける場合には、設置する開口部材に沿って、第一基部に傷痕を設けることが好ましい。傷痕を設ける方法としては特に限定されず、レーザー、刃物、熱処理により加工することができる。また、つまみ部は袋本体の一側端部に形成されているが、両側端部に形成されていても良い。
また、開口手段は、開口部材等を用いることなく、袋本体の平面部に、傷痕を設けたり、開封位置を表示する印刷を施したりするのみでも良い。かかる対応により、適切な小嵌合室への開口部の形成ができるためである。
【0051】
第一〜第三の実施形態では、第二基部または区画壁の長辺の端部は、袋本体の平面部と接着されているが、第二基部または区画壁の長辺が第一基部と接着されていても良い。この際、開封手段は、第一基部に設けられることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる再封可能袋体を示す平面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態にかかる再封可能袋体を示す部分断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態の再封可能袋体の使用方法を説明する、封緘後における再封可能袋体の部分断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態の再封可能袋体の使用方法を説明する、追加充填時における再封可能袋体の部分断面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態の再封可能袋体の使用方法を説明する、再封後における再封可能袋体の部分断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態にかかる再封可能袋体を示す部分断面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態にかかる再封可能袋体を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0053】
8、100、200、300、400、500 再封可能袋体
10、410 、510 袋本体
14 口部
20、420、520 チャックテープ
22 第一基部
24、424、524 第二基部
32 第一嵌合片
34 第二嵌合片
40、440、540 嵌合室
42、44、442、444、542、544 小嵌合室
50 開口手段
51 開口部
60 注出手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一辺に封緘可能な口部を有する袋本体を有し、
前記袋本体の内側には、第一嵌合片が設けられた第一基部と、前記第一嵌合片と嵌合する第二嵌合片が設けられた第二基部とを有するチャックテープを備え、
前記チャックテープは、前記袋本体の内部にて、区画された嵌合室内に形成され、
前記嵌合室は、前記チャックテープにより、2つの小嵌合室に分割され、
前記小嵌合室の一方の小嵌合室には、袋本体外側から開口可能とされ、他方の小嵌合室には、嵌合室と袋内部空間とを連通する手段が設けられている再封可能袋体。
【請求項2】
前記袋本体部は、前記口部と対向する側に注出手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の再封可能袋体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の再封可能袋体に栄養食品を収容した、容器包装詰栄養食品。
【請求項4】
請求項1の再封可能袋体に備えられるチャックテープであって、前記第二基部の幅方向の長さが、前記第一基部の幅方向の長さよりも長いことを特徴とするチャックテープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−269640(P2009−269640A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120364(P2008−120364)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】