説明

再帰性反射材を使用した転写プリント用ワッペン及びその製法

【課題】再帰性反射材を使用する新規な転写プリント用ワッペン及びその製法を提供する。
【解決手段】本発明のワッペンは、再帰性反射材層(1)と、この再帰性反射材層の片面に設けた印刷インク層(2)及び他面に設けた接着剤層(3)とからなる。これらの3層の縁は同一垂直線上にある。本発明のワッペンの製法は、再帰性反射材層(1)の片面に印刷インク層(2)、他面に接着剤層(3)を設け、剥離紙(4)で印刷インク層(2)を覆った後、剥離紙(4)を残して他の3層をカッターにより切断する方法である。前記3層の縁が同一垂直線上にくるように切断することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワッペンの製法に関し、特に再帰性反射材を使用したワッペン及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワッペンとしては、例えば、添付の図2に示すようなものが知られている。図2のD’に示すように、反射シート1の上に文字や模様を施した印刷インク層2を設け、その上を剥離紙4で覆っている。反射シートの反対側は接着剤層3である。生地にワッペンを取り付けるときには、この接着剤層3により衣服等の表面に固着される。ワッペン材料として反射シート1に再帰性反射材を使用することは、例えば特許文献1により公知である。再帰性反射材の一例として特許文献2の技術が知られている。
【特許文献1】特開2002−55215
【特許文献2】特許第3432507号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の熱着用ワッペンは、図2E’に示すように、印刷インク層2が反射シート層1や接着剤層3を覆ってしまう。そのため、厚みがあり、時間がたつにつれて印刷インク層2が硬くなり、やがてひび割れを起こすこともある。また、洗濯を繰り返すと接着剤層3で支持されていない印刷インク層2の縁が白くなり剥がれ落ちるようになる。また、反射シート層1が縁まで印刷インク層2によって覆われてしまうために縁の部分は反射しない、という欠点がある。
【0004】
本発明は、従来技術のこれらの問題点を解消させることを目的として行われたもので、再帰性反射材を使用する新規な転写プリント用ワッペン及びその製法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の転写プリントワッペンは、再帰性反射材層と、この再帰性反射材層の片面に設けた印刷インク層及び他面に設けた接着剤層とからなり、これらの3層の縁が全周囲にわたり垂直線上にあることを特徴とする。
【0006】
本発明の転写プリントワッペンの製法は、再帰性反射材層の片面に印刷インク層、他面に接着剤層を設け、剥離紙で印刷インク層を覆った後、印刷インク層を残して他の3層をカッターにより切断する方法であって、前記3層の縁が全周囲にわたり垂直線上にくるように切断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の転写プリントワッペンによれば、次のような効果が得られる。
(1)前記する再帰性反射材層は透光性を有するので、下生地の風合いを損なうことがない。
(2)厚みが非常に薄く、柔らかいので、違和感がない。
(3)のりしろがなく、端部まで反射性を有するように形成するのが容易である。
(4)再帰性反射材層及び接着剤層を貫通して切断するので、下の生地の伸縮性は損なうことがなく、伸縮が自在である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で使用する再帰性反射材としては、前記特許文献2(特許第3432507号)で開示されたものを使用するのが好ましい。その実施態様は、同特許公報[0005]から[0012]にわたって詳細に記載されている。
【0009】
前記「金属化合物」は、酸化チタン(TiO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO2)、硫化亜鉛(ZnS)及びこれらの混合物からなる群から選ばれた一つである。
【0010】
前記「着色反射層」は、着色顔料及び/または染料を含有する透明樹脂製とすることができる。着色反射層の色は、白や黒や金属色も含み、実質的に制限されない全ての色を選択することができる。
【0011】
前記「反射顔料」としては、従来の再帰性反射材に普通に使用されているもので足り、具体的には雲母、パール粉体、有色パール粉体、アルミニウム粉体などである。
【0012】
前記「接着剤層」は前記再帰性反射材層を対象接着物に接着させるための層であり、その目的に適うものであれば制限はない。
【0013】
切断は全周囲に行われるが、それ以外にもワッペンの内側に行うこともできる。ワッペンの内側を切断するとき、切断後に残る形状としては、例えば、文字(アルファベット、漢字、ひらがな、カタカナ等)、図形(円、四角、三角、細長のスリット、不定形等)を採用することが出来る。
【0014】
再帰性反射材層及び接着剤層は、両者あわせても厚さ1mm以下とすることが好ましい。
【実施例1】
【0015】
以下、添付の図面に基づき本発明の実施例を説明する。
【0016】
図1A〜Dは、本発明に係る転写プリント用ワッペンの製法を示す断面図である。本発明のワッペンは、再帰性反射材層1と印刷インク層2と接着剤層3の3層からなる。
【0017】
このワッペンの製法を図1に基づき順番に説明する。
A:再帰性反射材層1の片面に文字や図形を印刷して、印刷インク層2を形成する。再帰性反射材層1としては、例えば特許第3432507号の製品を使用することができる。
B:再帰性反射材層1の他面には接着剤層3を設ける。
C:印刷インク層2の表面を剥離紙4で覆う。BとCの順番は逆でもよい。剥離紙4としては、透明なPETフィルムを使用することができる。
D:剥離紙4を残して他の3層をカッターで切断する。その際、前記3層の縁が全周囲にわたり垂直線上にくるように切断する。これでワッペンは完成である。
【0018】
完成したワッペンの外観は例えば図3のようなものである。このワッペンには、再帰性反射材層1、印刷インク層2、接着剤層3を貫通するカット部分が設けられている。カット部分はここでは文字5または細長のスリット6である。
【0019】
このワッペンを衣服の生地に固着するには接着剤層3を生地に押し当てて乾燥させる。その後、剥離紙4を取り除く。
【0020】
図3のようなワッペンを使用したとき、再帰性反射材層1、印刷インク層2、接着剤層3がカットされ、生地の伸縮性を損なうことがない、という効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】A〜Dは、本発明に係る転写プリント用ワッペンの製法を示す断面図である。
【図2】D’,E’は転写プリント用ワッペンとその転写方法を示す断面図である。
【図3】本発明に係る転写プリント用ワッペンの一例である。
【符号の説明】
【0022】
1 再帰性反射材層(反射シート)
2 印刷インク層
3 接着剤層
4 剥離紙
5 カット部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再帰性反射材層(1)と、この再帰性反射材層の片面に設けた印刷インク層(2)及び他面に設けた接着剤層(3)とからなり、これらの3層の縁が全周囲にわたり垂直線上にあることを特徴とする転写プリントワッペン。
【請求項2】
前記再帰性反射材層(1)は、透光性を有する金属化合物からなる反射層と、前記反射層の下方に設けられた、着色され、かつ反射顔料を含む着色反射層とからなる請求項1記載のワッペン。
【請求項3】
前記金属化合物が、酸化チタン(TiO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO2)、硫化亜鉛(ZnS)及びこれらの混合物からなる群から選ばれた一つであり、
前記着色反射層が、着色顔料及び/または染料を含有する透明樹脂製であり、
前記反射顔料が、雲母、パール粉体、有色パール粉体、アルミニウム粉体からなる群から選ばれた一つである請求項2記載のワッペン。
【請求項4】
切断が全周囲だけでなく、ワッペンの内側にも行われる請求項1ないし3のいずれかに記載のワッペン。
【請求項5】
前記再帰性反射材層(1)及び前記接着剤層(3)の厚みが1mm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載のワッペン。
【請求項6】
再帰性反射材層(1)の片面に印刷インク層(2)、他面に接着剤層(3)を設け、剥離紙(4)で印刷インク層(2)を覆った後、剥離紙(4)を残して他の3層をカッターにより切断する方法であって、前記3層の縁が全周囲にわたり垂直線上にくるように切断することを特徴とする転写プリントワッペンの製法。
【請求項7】
切断が全周囲だけでなく、ワッペンの内側にも行われる請求項6記載のワッペンの製法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−113415(P2006−113415A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302408(P2004−302408)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】