説明

再燃焼装置

【課題】簡単な構成で、燃焼効率が高く、一次燃焼装置からの排ガスの無害化及び脱臭が可能であって、既存の燃焼装置等に併設利用可能な再燃焼装置を提供する。
【解決手段】再燃焼装置10は、略筒状の再燃焼室12,バーナー18,耐火カーテン24により構成される。再燃焼室12は、一次燃焼装置からの排ガスを導入する流入口14,再燃焼後のガスの排出口16,取付口20A及び20Bを有している。取付口20A,20Bには、複数の金属チェーン24A〜24Cを所定間隔でカーテン状に配列してなる耐火カーテン24の一端側を固定した蓋22A,22Bが着脱可能に装着される。耐火カーテン24をバーナー18で加熱した状態で、流入口14から排ガスを導入し、耐火カーテン24を通過させると、高温状態の耐火カーテン24と接触した排ガスを効率よく再燃焼させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばい煙発生施設などからの排ガスを再加熱して焼却処理する再燃焼装置に関し、更に具体的には、燃焼効率の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボイラー,加熱炉,乾燥炉,廃棄物焼却炉などからの排出物には、大気汚染物質であるばい煙が含まれるものがある。例えば、下記特許文献1には、ばい煙の一つであるばいじんと、ダイオキシン類を同時に抑制する焼却炉排ガス浄化装置が開示されている。当該技術によれば、たて型構造の排ガスの下部側面に再燃バーナーを配置し、装置内の中間に、蓄熱性を有するセラミックあるいは耐熱金属製の接触面積の大きい個体を充填した高温固定充填層を設けて、煙導ダクトから未燃焼成分を含む排ガスを導入し、排ガスがバーナー火炎と接触した後、多数の通気孔を有する高温固体の充填層を通過させることで、ばいじんを完全燃焼させることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−257835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、高温固体充填層の修理やメンテンナンスに手間がかかるという不都合がある。また、前記特許文献1に記載の技術は、焼却炉排ガスの浄化にのみ用いられるものである。しかしながら、有害物質を排出する設備は、例えば、大気汚染防止法で定められているばい煙発生施設のように多々存在するため、これらの設備全般に適用できる装置であることが望まれる。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、簡単な構成でありながら、燃焼効率が高く、一次燃焼による排ガスの無害化及び脱臭が可能であって、既存の燃焼装置等に併設して利用可能な再燃焼装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一次燃焼装置から排出された排ガスの再燃焼処理を行う再燃焼装置であって、前記排ガスの流入口と、流入した排ガスの通路と、再燃焼後のガスの排出口とを有する再燃焼室,耐火物によって構成されており、前記通路内に、前記排ガスの通過方向と略直交するように吊り下げられており、前記再燃焼室に対して着脱可能な被加熱体,前記再燃焼室に設けられており、前記被加熱体を加熱する加熱手段,を備えたことを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つは、前記加熱手段が、前記排ガスの通過方向と略同一方向に火炎を噴射するバーナーであることを特徴とする。他の形態は、前記再燃焼室内の前記バーナーの火炎の噴射口の周囲に、軸方向が前記排ガスの通過方向と略同一方向となるように形成された整流用の筒部,を設けたことを特徴とする。更に他の形態は、前記整流用の筒部が、前記再燃焼室に対して着脱可能であることを特徴とする。更に他の形態は、複数の前記被加熱体を、適宜間隔でカーテン状に配置して耐火カーテンを形成したことを特徴とする。更に他の形態は、前記耐火カーテンを、前記排ガスの通過方向に複数列設けたことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明の再燃焼装置によれば、再燃焼室内に、耐火物によって構成された被加熱体を、排ガスの通過方向と略直交するように吊り下げ、一次燃焼装置から再燃焼室に導入された排ガスを、加熱手段で加熱されて高温になった前記被加熱体に接触するように通過させて再燃焼させることとした。このため、簡単な構成でありながら、燃焼効率が高く、一次燃焼による排ガスの無害化及び脱臭が可能となり、既存の燃焼装置等と併設しての利用も可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1を示す図であり、(A)は本実施例の全体構成を示す主要断面図,(B)は本実施例の耐火カーテンを示す図,図1(C)は耐火カーテンの変形例を示す図である。
【図2】本発明の実施例2の構成を示す主要断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
最初に、図1を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1(A)は本実施例の再燃焼装置の全体構成を示す主要断面図,図1(B)は本実施例の耐火カーテンを示す図,図1(C)は耐火カーテンの変形例を示す図である。本発明の再燃焼装置は、既存のばい煙発生施設(例えば、燃焼炉や乾燥炉)など(以下、一次燃焼装置とする)に併設して利用可能であって、前記一次燃焼装置から排出された排ガスに含まれるばい煙(未燃焼ガスなど)を再燃焼させて無害化するとともに、脱臭効果を有するものである。本実施例の再燃焼装置10は、図1(A)に示すように、図示しない一次燃焼装置からの排ガスの再燃焼を行う再燃焼室12と、バーナー18と、耐火カーテン24により構成されている。
【0012】
前記再燃焼室12は、略筒状であって、一方の端面12A側の下方に、前記一次燃焼装置からの排ガスの流入口14を有するとともに、他方の端面側(図の右側)に再燃焼後のガスの排出口16を備えている。前記流入口14と排出口16の間の部分が、排ガスの通路15となる。前記再燃焼室12の上部12Bには、開口した複数(図示の例では2カ所)の取付口20A,20Bが形成されている。該取付口20A,20Bには、着脱可能な蓋22A,22Bが取り付けられ、該蓋22A,22Bにはそれぞれ、耐火カーテン24の上端側が固定されている。本実施例では、図示のように、通路15内に耐火カーテン24が所定間隔で2列設けられることになり、それぞれが、排ガスの通過方向と略直交している。
【0013】
図1(B)は、前記耐火カーテン24を、図1(A)の再燃焼室端面12A側から見た図である。同図に示すように、本実施例の耐火カーテン24は、長さの異なる複数の金属チェーン24A〜24Cを、所定間隔でカーテン状に配置したチェーンカーテンである。前記金属チェーン24A〜24Cとして、本実施例では、保温力が高く、蓄熱効果が高いものとして、例えば、SUS製のチェーンを利用している。また、前記金属チェーン24A〜24Cの長さは、再燃焼室12の大きさに応じて適宜設定されるが、例えば、70〜90cm程度のものが用いられる。また金属チェーン24A〜24Cは、折り返したときに上述した長さになるように蓋22A,22Bに取り付けてもよいし、1本のチェーンを取り付けるようにしてもよい。更に、これらの金属チェーン24A〜24Cのうちの1箇所に、必要に応じて熱電対を差し込むようにしてもよい。
【0014】
更に、前記再燃焼室12には、一方の端面12A側にバーナー18が取り付けられている。該バーナー18の火炎26は、通路15内での排ガスの通過方向と略同一方向に噴射され、前記耐火カーテン24を外部から加熱する構成となっている。該耐火カーテン24は、再燃焼処理を行う前に、予め前記バーナー18より加熱され、蓄熱される。
【0015】
本実施例によれば、図示しない一次燃焼装置から流入口14を介して再燃焼室12に導入された排ガスは、バーナー18による加熱で蓄熱されて高熱赤色発光した2列の耐火カーテン24を通過することにより、未燃焼ガスの再燃焼が促進される。通過の際の圧力損失が極めて少ない(すなわち、排ガスの通過抵抗が少ない)ため、再燃焼の効率がよい。同時に、未燃焼ガスの再燃焼熱により、耐火カーテン24自体が連続して熱を維持するため、未燃焼ガスの再燃焼が継続される。また、排ガスに含まれる臭気成分も、高温蓄熱赤色発光した耐火カーテン24を通過することにより分解されるため、本実施例の再燃焼装置10は、脱臭装置として利用することも可能である。
【実施例2】
【0016】
次に、図2を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする。図2は、本実施例の構成を示す主要断面図である。同図に示すように、本実施例の再燃焼装置30では、再燃焼室12内の火炎26の噴射口の周囲に、整流用の筒部32が設けられている。該筒部32は、軸方向が前記排ガスの通過方向と略同一方向となるように端面12Aに取り付けられており、排ガス流が直に火炎26にあたって、火炎26が乱れるのを抑制するものである。火炎26を整流することによって、耐火カーテン24がよく加熱されて、再燃焼をより効率よく行うことが可能となる。また、筒部32自体も蓄熱されるため、該筒部32も排ガスの2次燃焼反応(ないし再燃焼)を促すことができる。このような筒部32は、例えば、フランジ接続により前記端面12Aに取り付けられるため、交換を容易に行うことができる。本実施例の他の作用及び効果は、基本的に上述した実施例1と同様である。
【0017】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。
(1)前記実施例1で示した形状,寸法,材質は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、耐火カーテン24を構成する金属チェーン24A〜24Cとして、実施例1ではSUSを例に挙げたが、他の公知の各種の金属や耐火性を有する素材を用いてもよい。
(2)前記実施例では、耐火カーテン24を2列設けることとしたが、必要に応じて設置数を増減してよい。
(3)前記実施例では、耐火カーテン24を長さの異なる金属チェーン24A〜24Cによって形成したが、これも一例であり、同じ長さのチェーンを複数用いて形成してもよい。
【0018】
(4)前記実施例では、耐火カーテン24として、金属チェーンを利用したチェーンカーテンを使用したが、これも一例であり、同様の効果を奏するように適宜設計変更可能である。例えば、図1(C)に示す耐火カーテン28は、金属チェーン(又は金属ワイヤ)24Dの間に、ハニカム状の多孔質の耐火材29を適宜間隔で配置した構造となっており、これを通路15に吊り下げる構成となっている。むろん、図1(C)に示す例に限定されるものではなく、公知の各種の耐火材を、金属チェーン以外の耐火物を利用して吊り下げるようにしてもよいし、必ずしもカーテン状に配置しなくてもよい。更に、被加熱体は、高温に耐えられる耐火物であればよく、蓄熱性の有無は問わないが、再燃焼の効率を考慮すると、蓄熱性があればより都合がよい。図2の実施例に図1(C)の例を適用してもよい。
(5)本発明の再燃焼装置は、大気汚染防止法で定められるばい煙発生施設のほか、他の公知の各種の燃焼を伴う処理を行う装置全般に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明によれば、再燃焼室内に、耐火物によって構成された被加熱体を、排ガスの通過方向と略直交するように吊り下げ、一次燃焼装置から前記再燃焼室に導入された排ガスを、加熱手段で加熱された高温になった前記被加熱体に接触するように通過させる。そして、高温になった被加熱体と接触した排ガスを、効率よく再燃焼させて排ガスを無害化及び脱臭することとしたので、再燃焼装置の用途に適用できる。特に、既存の燃焼装置等と併設して利用する再燃焼装置の用途に好適である。
【符号の説明】
【0020】
10:再燃焼装置
12:再燃焼室
12A:端面
12B:上部
14:流入口
15:通路
16:排出口
18:バーナー
20A,22B:取付口
22A,22B:蓋
24:耐火カーテン
24A〜24D:金属チェーン
26:火炎
28:耐火カーテン
29:耐火材
30:再燃焼装置
32:筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次燃焼装置から排出された排ガスの再燃焼処理を行う再燃焼装置であって、
前記排ガスの流入口と、流入した排ガスの通路と、再燃焼後のガスの排出口とを有する再燃焼室,
耐火物によって構成されており、前記通路内に、前記排ガスの通過方向と略直交するように吊り下げられており、前記再燃焼室に対して着脱可能な被加熱体,
前記再燃焼室に設けられており、前記被加熱体を加熱する加熱手段,
を備えたことを特徴とする再燃焼装置。
【請求項2】
前記加熱手段が、前記排ガスの通過方向と略同一方向に火炎を噴射するバーナーであることを特徴とする請求項1記載の再燃焼装置。
【請求項3】
前記再燃焼室内の前記バーナーの火炎の噴射口の周囲に、軸方向が前記排ガスの通過方向と略同一方向となるように形成された整流用の筒部,
を設けたことを特徴とする請求項2記載の再燃焼装置。
【請求項4】
前記整流用の筒部が、前記再燃焼室に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の再燃焼装置。
【請求項5】
複数の前記被加熱体を、適宜間隔でカーテン状に配置して耐火カーテンを形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の再燃焼装置。
【請求項6】
前記耐火カーテンを、前記排ガスの通過方向に複数列設けたことを特徴とする請求項5記載の再燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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