説明

再生サイクルガスタービン装置

【課題】高耐久性・省スペースである再生サイクルガスタービン装置1を提供する。
【解決手段】外箱10内に、コンプレッサ2、タービン3、空気流路Aと排気流路Eを有し圧縮空気を燃焼ガスで予熱する再生器7を設け、第2外箱20内に燃焼器8を設ける。外箱内には燃焼ガスをタービンから一方向に導いて排気口15から外箱の外に排出する排気管14がある。再生器の排気流路は排気管の途中に直結され、再生器の空気流路の入口は外箱内に開口し、出口は第2外箱に連通する。再生器が外箱内で排気管の中途に直結される為、外箱外の接続用配管が不要で省スペース化やコスト低減が達成され、熱効率が向上し、再生器の空気流路の内圧による引張応力が相殺され、耐久性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサからの圧縮空気を燃料に供給して燃焼させ、その燃焼ガスでタービンを駆動するガスタービン装置において、前記圧縮空気を前記燃焼ガスで予熱する再生器によって熱効率の向上を図った再生サイクルガスタービン装置に係り、特にガスタービン装置と再生器を接続する複数の配管の設置が不要であり、耐久性に優れるとともに小型軽量で製造コストの低い再生サイクルガスタービン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1にはガスタービン装置に取り付けて使用されるガスタービン再生器につての発明が開示されている。同文献に開示されているようなガスタービン再生器を使用した従来のガスタービン装置の基本的構成について、図4を参照して説明する。
【0003】
図4に示すように、このガスタービン装置100は、圧縮空気を生成するコンプレッサ101と、燃焼ガスで駆動されるタービン102と、これらコンプレッサ101とタービン102が両端に取り付けられた共通のタービン軸103を備えており、また圧縮空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するために燃焼器104を備えている。そして、これらコンプレッサ101、タービン102及び燃焼器104は一つの外箱105の内部に収納されて一体のガスタービン装置100を構成している。なお、詳細は図示しないが、タービン軸103は発電機等に接続されており、その回転力により発電を行なうことができるようになっている。
【0004】
図4に示すように、この外箱105の外部には、外箱105とは別体の構成として再生器200が設置されている。再生器200は、図4中に矢印で模式的に示すように、圧縮空気が通過する空気流路Aと燃焼ガスが通過する排気流路Eが互いに近接するように直交して配置された構成を備えており、コンプレッサ101からの圧縮空気をタービン102からの燃焼ガスで予熱する装置である。
【0005】
図示はしないが、前述した再生器200は断熱材で覆われており、温度の急変が回避されるようになっている。これは、ガスタービン装置100を駆動している際には再生器200は圧縮空気や燃焼ガスによる熱で加熱されるが、断熱材がなければ放熱損失が増加したり、駆動停止後に急冷されて収縮し、クラックが生じる可能性があるためである。
【0006】
図4に示すように、ガスタービン装置100の外箱105と、外箱105の外に配置された再生器200とは、圧縮空気及び燃焼ガスを流通させるために複数の配管201〜203で接続されている。すなわち、外箱105の内部にあるタービン102には、伸縮継手204を介して排気管201が接続され、外箱105の外に導出されている。この排気管201は、外箱105の外において再生器200の排気流路Eに接続されており、燃焼ガスは排気流路Eの出口205から排出されるようになっている。また、外箱105には第1空気管202が接続されており、この第1空気管202は、外箱105の外において再生器200の空気流路Aの入口に接続されている。さらに、再生器200の空気流路Aの出口には第2空気管203が接続されており、この第2空気管203は外箱105の燃焼器104に近い部位に接続されている。
【0007】
前述した排気管201と第1及び第2空気管202,203には、それぞれ熱による膨張・収縮を吸収するための伸縮継手206が設けられており、ガスタービン装置100を駆動している際に圧縮空気や燃焼ガスによる熱で各配管201〜203が加熱されて膨張し、また駆動停止後に各配管201〜203が冷却して収縮した場合の変形を吸収できるように構成されている。また、図示はしないが、これら排気管201と第1及び第2空気管202,203は再生器200と同様に断熱材で覆われており、放熱損失や温度の急変による不都合が回避されるようになっているとともに、支持用の部材で支えられている。
【0008】
図示はしないが、再生器200は圧力の高い圧縮空気と大気レベルの燃焼ガスに熱交換を行なわせるために多くの流路や仕切りで構成されており、圧縮空気と燃焼ガスの差圧によって圧縮空気側の構造体には内圧による引張応力が生じる。そのため、再生器200は、構造体として相応の強度が必要となり、厚く重く大きくなる上、溶接等の接合技術に注意を要する。
【0009】
以上の構成によれば、コンプレッサ101からの圧縮空気により燃料ガスを燃焼器104で燃焼させ、生成された燃焼ガスでタービン102を駆動し、タービン軸103を回転させる際に、燃焼に供される圧縮空気を燃焼ガスの熱で予熱することができるので、ガスタービン装置としての熱効率が向上するものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3955516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図4を参照して説明したような構造を有する従来の再生サイクルガスタービン装置によれば、外箱105内に収納されたガスタービン装置100と外箱105の外に設置された再生器200を複数本の配管201〜203で接続しなければならず、またこれらを支えるための支持柱等の支持構造材等が必要になるため、構造が複雑になってしまう。また、配管の設置スペースが必要になるために装置全体が大型化してしまうという問題もあった。
【0012】
さらに再生サイクルガスタービン装置としては、再生器の耐久性向上、小型軽量化、コスト低減等、様々な課題の解決が必要不可欠であるが、ガスタービン装置とは別体として外箱外に配置する再生器であるため、その耐久性を向上させようとすると、小型軽量化等の他の課題の解決が困難になるという問題があった。すなわち、ガスタービン装置とは別体で外箱外に配置する再生器においては、温度の急変による変形に起因したクラック等の破損を回避し、耐久性を向上させるため、前述したように断熱材で全体を覆う必要があり、また熱変形による破損を避けるために再生器との接続配管に熱膨張を吸収する伸縮継手やそれらを支える支持構造体を設置する必要がある上に、圧縮空気の内圧に耐えるため、再生器の外筐体の板厚を大きく設定して、強度を高く設定する必要があるが、そのような構造とすれば、耐久性の向上という課題は一応の解決を見るものの、再生器としては大型化と重量増大を招来し、製造コストも増大してしまうという問題がある。
【0013】
本発明は、上述したような従来の問題点を総合的に解決することを目的としており、耐久性が高く、小型軽量であり、設置スペースも小さくて済み、製造コストが低い再生サイクルガスタービン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載された再生サイクルガスタービン装置は、
空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサに対して同軸に取り付けられて燃焼ガスで駆動されるタービンと、前記コンプレッサからの圧縮空気により燃料ガスを燃焼させて前記タービンに供給する燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記コンプレッサと前記タービンを収納する外箱と、前記コンプレッサから供給された空気が通過する空気流路と前記タービンから排出された燃焼ガスが通過する排気流路が近接して配置されることにより前記コンプレッサからの圧縮空気を前記タービンからの燃焼ガスで加熱する再生器とを有する再生サイクルガスタービン装置において、
前記再生器が前記外箱の内部に収納されるとともに、
前記外箱の内部には、伸縮継手により前記タービンに接続されて燃焼ガスを前記タービンから一方向に導くことにより排気口から前記外箱の外に排出する排気管が設けられており、
前記再生器の排気流路が前記排気管の前記伸縮継手と前記排気口の途中に接続され、前記再生器の空気流路の入口が前記外箱内に開口するとともに空気流路の出口が前記燃焼器に接続されるように、前記再生器が前記外箱の内部で配置されることにより、
燃焼ガスによって圧縮空気を加熱して燃焼器に供給するように構成したことを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載された再生サイクルガスタービン装置は、請求項1記載の再生サイクルガスタービン装置において、
前記外箱が、前記コンプレッサと、前記タービンと、前記排気管と、前記再生器を収納する第1外箱と、前記燃焼器の少なくとも一部を収納するとともに、前記再生器の空気流路の出口が接続連通されて前記第1外箱と一体に構成された第2外箱とを有することを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載された再生サイクルガスタービン装置は、請求項2記載の再生サイクルガスタービン装置において、
前記再生器の空気流路の出口と、前記第1外箱と前記第2外箱の間に形成されて前記出口が挿入される開口との間に、前記伸縮継手の伸縮による前記出口の移動を許容する移動許容構造が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された再生サイクルガスタービン装置によれば、再生器は外箱の内部に収納され、外箱の内部においてタービンに接続された排気管の中途に直結されるため、外箱外に接続用の配管を露出した状態で多数設けたり、これら配管を支持するための固定支持具等を設置することが不要になり、省スペース化やコスト低減の効果と同時に、熱効率の向上を図ることができる。さらに、再生器は、外箱内において伸縮継手付きの排気管に接続されつつ、外箱内においてコンプレッサからの圧縮空気に満たされて再生器の空気流路の入口から圧縮空気が流入するように構成されているため、再生器内圧による引張応力を低減し、さらに再生器表面からの放熱量を回収できるため再生器を断熱材で覆う必要がなく、再生器の内部及び表面を圧縮空気で満たすことで排気流路と空気流路の間のシール性の低下を防止することができるため、耐久性の向上を実現することができる。さらに、外箱の内部において、タービンに接続された排気管は再生器内を一方向に進んで外箱外に排出されるため、圧力損失が最小限に抑えられ、装置としての出力損失を低減することができる。
【0018】
請求項2に記載された再生サイクルガスタービン装置によれば、請求項1記載の再生サイクルガスタービン装置において、第1外箱の内部は、コンプレッサからの圧縮空気が充満する比較的低温の領域となり、この第1外箱の内部において圧縮空気が再生器に導入され、タービンから供給される燃焼ガスで圧縮空気は予熱される。また、第2外箱の内部は、再生器から排出された予熱済みの圧縮空気が導入される比較的高温の領域となり、この第2外箱の内部において高温の圧縮空気が燃焼器に導入される。
【0019】
請求項3に記載された再生サイクルガスタービン装置によれば、請求項2記載の再生サイクルガスタービン装置において、装置の駆動又は停止に伴う温度変化に応じてタービンに結合された排気管の伸縮継手が伸縮し、第1外箱と第2外箱の間に形成された開口と、この開口に挿入された再生器の空気流路の出口との間に相対的な位置変位が生じた場合であっても、第1及び第2外箱と空気流路の出口は互いに固定されておらず、両者は相対的に移動可能であるため、これら部材には無理な外力が加わることはなく、温度変化に伴う機械的破損を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る再生サイクルガスタービン装置の原理を模式的に示す構造図である。
【図2】本発明の実施形態に係る再生サイクルガスタービン装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る再生サイクルガスタービン装置で用いられる再生器の模式的な分解斜視図である。
【図4】従来の再生サイクルガスタービン装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る再生サイクルガスタービン装置1の原理を模式的に示す構造図である。
コンプレッサ2とタービン3はタービン軸4に取り付けられている。このタービン軸4には、軸芯を一致させてコンプレッサ2側に出力軸5が連結されており、出力軸5には発電機6の入力軸が連結されている。一方、タービン3の隣には再生器7が配置されている。図1中に矢印で示すように、タービン3から排出された燃焼ガスは再生器7を通過して排気される。また、コンプレッサ2に導入された空気は、圧縮空気となって再生器7に導入され、再生器7を通過する燃焼ガスによって予熱された後、燃焼器8に送り込まれて燃料を燃焼させる。燃焼器8で生成された燃焼ガスはタービン3を回転させ、これによって発電機6が駆動される。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係る再生サイクルガスタービン装置1の断面図であり、図1に示した機能を達成するための具体的な構造を示している。
空気を圧縮するコンプレッサ2と、燃焼ガスで駆動されるタービン3と、コンプレッサ2とタービン3が取り付けられたタービン軸4で構成されるガスタービンは、第1外箱10の内部に収納されている。コンプレッサ2の空気導入側は外箱の一端面の吸気口11に露出しており、図2中に矢印で示すように該吸気口11から空気を吸い込むことができ、コンプレッサ2からの圧縮空気は第1外箱10内に満たされるようになっている。またタービン軸4に同軸で連結されている出力軸5は、第1外箱10の一端面の吸気口11から外方に突出しており、図2には示さない(図1に示す)被駆動対象としての発電機6に連結されている。
【0023】
図2に示すように、第1外箱10の内部では、タービン3の排出口12に、ジャバラ状の伸縮継手13を有する排気管14が接続されている。排気管14は、燃焼ガスをタービン3から一方向(本例では図示のように水平方向、左向き)に導くことにより、第1外箱10の他端面に形成された排気口15から第1外箱10の外に排出することができる。
【0024】
図2に示すように、第1外箱10の内部には、タービン3に隣接して再生器7が収納されている。再生器7は、例えば図3の一構造例に示すように、互いに直交する排気流路Eと空気流路Aをそれぞれ構成するように上下に近接して積層された2つのコルゲートフィン16,16を有している。これら2つのコルゲートフィン16,16の間と上面及び下面には、それぞれセパレートシート17が配置されており、また各セパレートシート17の間には、各コルゲートフィン16の非開口側の両縁にそれぞれスペーサ18が配置されている。これらコルゲートフィン16とセパレートシート17とスペーサ18が一体に組み立てられ、互いに直交する排気流路Eと空気流路Aを備えた再生器7とされている。
なお、本実施形態の再生器7は第1外箱10の内部の被熱交換媒体へ放熱される環境に配置されているため、第1外箱10の外に配置されていた従来の場合のように断熱材で被覆する必要はなく、構造材が露出したそのままの状態で収納されている。
【0025】
図2に示すように、再生器7は第1外箱10内で排気管14に接続されている。すなわち、再生器7の排気流路Eは、図2中では白抜きの矢印で模式的に示すように排気管14と平行になっており、排気管14の伸縮継手13と第1外箱10の排気口15の間に接続されている。従って、タービン3から排出された燃焼ガスは、排気管14に沿って排出され、そのまま方向を変えることなく再生器7の排気流路Eを通過して第1外箱10の外に排気として排出されるため、燃焼ガスの圧力損失は最小に抑えられ、装置全体としての出力損失を低減することができる。
【0026】
図2に示すように、再生器7の空気流路Aの入口は第1外箱10内に開口しており、コンプレッサ2から外箱内に送り込まれた圧縮空気が再生器7の空気流路Aに導入されるようになっている。
【0027】
図2に示すように、再生器7の空気流路Aは、図2中では白抜きの矢印で模式的に示すように排気流路Eと直交するように上向きとなっており、その出口は、次に説明するような構造により、予熱された圧縮空気を燃焼器8に供給できるようになっている。すなわち、第1外箱10の上面側には、第2外箱20が一体構造で設けられており、第1及び第2外箱10,20の間には開口21が形成されている。この開口21には再生器7の空気流路Aの出口22が挿入されており、該出口22から出た予熱された圧縮空気が第2外箱20内に供給されるようになっている。この第2外箱20の内部には、全体として略円筒の燃焼器8の上部が収納・配置されている。燃焼器8の周壁には図示しない多数の空気の導入孔が形成されており、第2外箱20内に導入された予熱された圧縮空気は、周壁の空気孔を介して燃焼器8内に供給される。
【0028】
図2に示すように、燃焼器8の上端部と、第2外箱20の上面との間には、燃料供給ノズル23が取り付けられており、第2外箱20の外部から供給した燃料を、燃焼器8の内部に噴射することができる。また燃焼器8の下部は、第1外箱10に形成された連通孔24を挿通して第1外箱10の内部に収納・配置されており、タービン3に接続されている。
【0029】
このように構成された燃焼器8によれば、燃料供給ノズル23から噴射された燃料を第2外箱20から供給された圧縮空気で燃焼させて高温高圧の燃焼ガスを生成し、該燃焼ガスを第1外箱10内においてタービン3に供給することができる。
【0030】
本実施形態では、再生器7の空気流路Aの出口22と、第1外箱10と第2外箱20が連通するように第1外箱10に形成された開口21との間に、伸縮継手13の伸縮による出口22の移動を許容するための移動許容構造が設けられている。図2に示すように、管状の出口22の周囲には、外周が内方に凹んだ断面略コ字形の受け部25が取り付けられ、この受け部25の凹部に開口21の内周縁が所定の隙間をおいて挿入されている。従って、第1外箱10と第2外箱20は完全に遮断されているわけではないが、受け部25と開口21の縁部の隙間のみで連通していることとなる。従って、伸縮継手13が伸縮した場合には、出口22は前記隙間の範囲で移動することができ、開口21の閉塞状況をある程度保持しつつ、伸縮継手13の伸縮による出口22の移動を許容することが可能となっている。
【0031】
以上の構成によれば、図2中に矢印で示すように、タービン3から排出された燃焼ガスは再生器7を通過して低い排気抵抗で第1外箱10の外部に排気される。また、コンプレッサ2に導入された空気は、圧縮空気となって第1外箱10内に導入されて内部を満たし、再生器7の空気流路Aに導入されて空気流路Aを通過する間に、再生器7の排気流路Eを通過する前記燃焼ガスによって予熱される。その後、予熱された圧縮空気は第2外箱20内に送り込まれ、第2外箱20内の燃焼器8に供給されて燃焼器8内で燃料を燃焼させる。燃焼器8で生成された燃焼ガスはタービン3を回転させ、これによって発電機6が駆動される。
【0032】
本実施形態の再生サイクルガスタービン装置1によれば、再生器7は第1外箱10の内部に収納され、第1外箱10の内部で排気管14の中途に直結されるため、外箱の外に接続用の配管を露出した状態で多数設けたり、これら配管を支持するための固定支持具等を設置することが不要になり、構造の簡素化及び省スペース化やコスト低減の効果と同時に、交換効率の向上を図ることができる。
【0033】
さらに、再生器7は、第1外箱10内において伸縮継手13付きの排気管14に接続されつつ、第1外箱10内においてコンプレッサ2からの圧縮空気に満たされて、空気流路Aの入口から圧縮空気が流入するように配置構成されているため、再生器7の熱交換通路内の圧縮空気による内圧で再生器構造体に生じる引張応力が相殺され、再生器7の表面からの放熱を回収でき、再生器7の内部及び表面が圧縮空気で満たされることで排気流路Eと空気流路Aの間のシール性の低下を防止できる。仮に排気流路Eと空気流路Aの間のシール性が低下すると、空気漏れによって燃焼器8に供給される空気量が減るため、所定の温度の燃焼ガスを得るためには燃料量を増加する必要が生じてしまうが、本実施形態のように再生器7を第1外箱10の外に置いて外部環境に暴露した状態に比べて耐久性を向上させれば、そのような恐れは減少する。
【0034】
さらに、本実施形態の再生サイクルガスタービン装置1によれば、装置の駆動又は停止に伴う温度変化に応じてタービン3に結合された排気管14の伸縮継手13が伸縮し、第1外箱10と第2外箱20の間に形成された開口21と、この開口21に挿入された再生器7の空気流路Aの出口22との間に相対的な位置変位が生じる場合が考えられるが、そのような場合であっても、第1外箱10と空気流路Aの出口22は互いに固定されておらず、両者は相対的に移動可能であるため、これら部材には無理な外力が加わることはなく、温度変化に伴う機械的破損を回避することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…再生サイクルガスタービン装置
2…コンプレッサ
3…タービン
7…再生器
8…燃焼器
10…第1外箱
13…伸縮継手
14…排気管
15…排気口
20…第2外箱
21…開口
22…出口
24…移動許容構造を構成する受け部
A…空気流路
E…排気流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサに対して同軸に取り付けられて燃焼ガスで駆動されるタービンと、前記コンプレッサからの圧縮空気により燃料ガスを燃焼させて前記タービンに供給する燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記コンプレッサと前記タービンを収納する外箱と、前記コンプレッサから供給された空気が通過する空気流路と前記タービンから排出された燃焼ガスが通過する排気流路が近接して配置されることにより前記コンプレッサからの圧縮空気を前記タービンからの燃焼ガスで加熱する再生器とを有する再生サイクルガスタービン装置において、
前記再生器が前記外箱の内部に収納されるとともに、
前記外箱の内部には、伸縮継手により前記タービンに接続されて燃焼ガスを前記タービンから一方向に導くことにより排気口から前記外箱の外に排出する排気管が設けられており、
前記再生器の排気流路が前記排気管の前記伸縮継手と前記排気口の途中に接続され、前記再生器の空気流路の入口が前記外箱内に開口するとともに空気流路の出口が前記燃焼器に接続されるように、前記再生器が前記外箱の内部で配置されることにより、
燃焼ガスによって圧縮空気を加熱して燃焼器に供給するように構成したことを特徴とする再生サイクルガスタービン装置。
【請求項2】
前記外箱が、前記コンプレッサと、前記タービンと、前記排気管と、前記再生器を収納する第1外箱と、前記燃焼器の少なくとも一部を収納するとともに、前記再生器の空気流路の出口が接続連通されて前記第1外箱と一体に構成された第2外箱とを有することを特徴とする請求項1記載の再生サイクルガスタービン装置。
【請求項3】
前記再生器の空気流路の出口と、前記第1外箱と前記第2外箱の間に形成されて前記出口が挿入される開口との間に、前記伸縮継手の伸縮による前記出口の移動を許容する移動許容構造が設けられていることを特徴とする請求項2記載の再生サイクルガスタービン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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