説明

再生工具の情報管理システム及び方法

【課題】再生工具の情報を管理することにより、再研磨回数を増やすことができる再生工具の情報管理システム及び方法を提供する。
【解決手段】使用後の工具の摩耗量を測定して、データベース14に入力し(S1)、再研磨に必要な取代を摩耗量に加算した再研磨量を設定して、データベース14に入力し(S2)、工具の再生後(S3〜S5)、再生前の工具の有効刃長から再研磨量を減算して、再生後の工具の有効刃長を算出して、データベース14に記録し(S6)、データベース14中の再研磨量、有効刃長に基づいて、使用回数1回当りの再研磨量の平均値を算出し、平均値で有効刃長を除算することにより、残りの再研磨可能回数を算出して、データベース14に記録する(S7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具を再生(再研磨、再コーティング)する際に、再生に係る情報を管理する情報管理システム及び情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(1)販売元(製造元)からユーザに新品の工具が提供(販売)された後、(2)使用後の工具を販売元(製造元)が回収し、(3)工具の再研磨(ユーザ自身が行う場合も有り)、再コーティングを行うことにより、工具を新品同様に再生するサービスがある(図7参照)。例えば、ホブカッタ、ピニオンカッタ等の歯切り切削工具は、10〜20回程度の再研磨、再コーティングを行い、再使用されており、図7を参照して説明すると、(1)→(2)→(3)→(2)→(3)・・・→(2)→(3)の流れで、上記サービスが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−351584号公報
【特許文献2】特開2009−093394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加工条件が同じでも、工具の寿命にはバラツキがあり、1回の使用毎に工具の摩耗量は異なる。しかしながら、1回の使用毎に工具の摩耗量を測定し、その摩耗量に応じて、工具の再研磨量を設定するのは手間がかかり、ユーザには負担となる。そこで、工具の再研磨量を一定にするため、工具摩耗量のバラツキ範囲の上限値から、工具の再研磨量を設定しており、これにより、使用毎の測定の手間を省略して、寿命管理を行っている場合が多い。例えば、図8に示すグラフおいては、工具摩耗量のバラツキ範囲の上限値は0.35mmであり、これから、再研磨量を0.40mmと設定している。又、工具の再研磨はユーザ自身が行い、再コーティングのみを販売元(製造元)又は業者に依頼する場合が多く、工具の寿命は、ユーザの再研磨量の設定に大きく左右される。
【0005】
このように、ユーザは、工具摩耗量の上限値に基づいて、再研磨量を設定しているため、ほとんどの場合において、実際の摩耗量に対し取代を多く設定して、再研磨を行うことになり、廃却に至るまでの実質的な再研磨回数が減ることになる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、再生工具の情報を管理することにより、再研磨回数を増やすことができる再生工具の情報管理システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する第1の発明に係る再生工具の情報管理システムは、
使用後の工具から測定した前記工具の摩耗量と、再研磨に必要な取代を前記摩耗量に加算して設定した再研磨量とを、使用回数毎にデータベースに入力する入力手段と、
前記再研磨量に基づいて再研磨し、再コーティングして、再生した前記工具について、使用回数毎に、再生前の前記工具の使用可能量から前記再研磨量を減算して、再生後の前記工具の使用可能量を算出し、前記データベースに記録すると共に、前記データベース中の前記再研磨量、前記使用可能量に基づいて、使用回数毎に、使用回数1回当りの前記再研磨量の平均値を算出し、前記平均値で前記使用可能量を除算することにより、残りの再研磨可能回数を算出し、前記データベースに記録する制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する第2の発明に係る再生工具の情報管理システムは、
使用後の工具から測定した前記工具の摩耗量と、再研磨に必要な取代を前記摩耗量に加算して設定した再研磨量と、前記再研磨量に基づいて再研磨し、再コーティングして、再生した前記工具について、前記工具から測定した前記工具の使用可能量とを、使用回数毎にデータベースに入力する入力手段と、
前記データベース中の前記再研磨量、前記使用可能量に基づいて、使用回数毎に、使用回数1回当りの前記再研磨量の平均値を算出し、前記平均値で前記使用可能量を除算することにより、残りの再研磨可能回数を算出し、前記データベースに記録する制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第3の発明に係る再生工具の情報管理方法は、
使用回数毎に、使用後の工具の摩耗量を測定して、データベースに入力し、
使用回数毎に、再研磨に必要な取代を前記摩耗量に加算した再研磨量を設定して、前記データベースに入力し、
前記再研磨量に基づいて再研磨し、再コーティングして、再生した前記工具について、使用回数毎に、再生前の前記工具の使用可能量から前記再研磨量を減算して、再生後の前記工具の使用可能量を算出して、前記データベースに記録し、
前記データベース中の前記再研磨量、前記使用可能量に基づいて、使用回数毎に、使用回数1回当りの前記再研磨量の平均値を算出し、前記平均値で前記使用可能量を除算することにより、残りの再研磨可能回数を算出して、前記データベースに記録することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第4の発明に係る再生工具の情報管理方法は、
使用回数毎に、使用後の工具の摩耗量を測定して、データベースに入力し、
使用回数毎に、再研磨に必要な取代を前記摩耗量に加算した再研磨量を設定して、前記データベースに入力し、
前記再研磨量に基づいて再研磨し、再コーティングして、再生した前記工具について、使用回数毎に、前記工具の使用可能量を測定して、前記データベースに入力し、
前記データベース中の前記再研磨量、前記使用可能量に基づいて、使用回数毎に、使用回数1回当りの前記再研磨量の平均値を算出し、前記平均値で前記使用可能量を除算することにより、残りの再研磨可能回数を算出して、前記データベースに記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、廃却に至るまでの工具の再研磨回数が増え、工具費低減・資源節約につながる。又、工具の残りの再研磨可能回数を算出し、この情報をユーザに提供することができ、これにより、新品工具の発注タイミングを的確に予測することができ、工具在庫を最小限にすることができる。
【0012】
又、工具の再生の際に、ユーザに代行して、販売元(製造元)又は業者自身が工具の寿命管理(工具摩耗量の測定と最適な再研磨量の設定)を行うため、ユーザ側の負担が軽減されると共に、再研磨回数を増やすことができる。加えて、工具の寿命管理と共に工具の再生(再研磨、再コーティング)を、販売元(製造元)又は業者自身が実施する場合には、更に、ユーザ側の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る再生工具の情報管理システムの実施形態の一例(実施例1)を示す概略図である。
【図2】本発明に係る再生工具の情報管理方法の実施形態の一例(実施例1)を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る再生工具の情報管理システム及び方法において用いるデータベースを説明する図である。
【図4】従来管理していた再生工具のデータベースを説明する図である。
【図5】切削工具の有効刃長を説明する図である。
【図6】本発明に係る再生工具の情報管理方法の実施形態の他の一例(実施例2)を示すフローチャートである。
【図7】工具の再生サービスを説明する図である。
【図8】工具摩耗量のバラツキを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る再生工具の情報管理システム及び方法について、図1〜図6を参照して、詳細な説明を行う。
【0015】
(実施例1)
最初に、本実施例の再生工具の情報管理システムについて、図1を参照して、概略構成を説明する。
本実施例の再生工具の情報管理システムは、再生工具の情報を管理するコンピュータ11と、コンピュータ11へ情報を入力したり、操作をしたりするキーボード(入力手段)12と、各種の情報を表示するディスプレイ13とを有している。コンピュータ11は、CPU(Central Processing Unit;制御手段)15の他に、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、各種インターフェース、ハードディスク等を有しており(図示省略)、このハードディスクに、再生工具の情報に基づいて、データベース14(詳細は後述する。)が構築されている。
【0016】
次に、図1に示した再生工具の情報管理システムで実行される情報管理方法について、図2に示すフローチャートに基づき、図1に示したシステム、図3、図4に示すデータベース、図5に示す切削工具の図も参照して、説明を行う。なお、以降の説明では、再生工具として、図5に示すような切削工具を例示するが、本発明は、他の工具、例えば、エンドミル等にも適用可能である。
【0017】
(ステップS1)
使用回数毎に、使用後の切削工具の摩耗量を測定し、測定した摩耗量をキーボード12によりデータベース14に入力する。ユーザが摩耗量の測定を行った場合には、ユーザから切削工具を回収する際に、測定した摩耗量の情報も一緒に入手し、入手した情報をデータベース14に入力すればよい。又、販売元(製造元)又は業者が摩耗量の測定を行った場合には、販売元(製造元)自身又は業者自身が、測定した摩耗量の情報をデータベース14に入力すればよい。切削工具には、各々、シリアルナンバが付されているので、このシリアルナンバ毎に、使用回数毎に、摩耗量の情報が入力されて、データベース14が構築される。例えば、図3に示すように、使用回数1回は摩耗量が0.20mm、2回は摩耗量が0.25mm、3回は摩耗量が0.23・・・等と入力される。
【0018】
(ステップS2)
使用回数毎に、再研磨に必要な取代を設定し、測定した摩耗量に基づいて、再研磨量を設定し、設定した再研磨量をキーボード12によりデータベース14に入力する。本実施例の場合、取代を毎回一定の0.05mmと設定しており、この取代0.05mmを測定した摩耗量に加算したものを再研磨量としている。例えば、図3に示すように、使用回数1回は再研磨量が0.25mm(=摩耗量0.20mm+取代0.05mm)、2回は再研磨量が0.30mm(=摩耗量0.25mm+取代0.05mm)、3回は再研磨量が0.28mm(摩耗量0.23+取代0.05mm)、・・・等となり、これらの数値がデータベース14に入力される。このように、最適な再研磨量をその都度設定している。
【0019】
なお、ここでは、取代を一定の0.05mmとしているが、取代は、再研磨対象の材質等に応じて、適宜変更可能であり、又、摩耗量が少ないときは、取代も小さくする等、摩耗量の大きさに応じて変更してもよい。又、測定した摩耗量に基づいて、取代及び再研磨量を自動的に算出するようにしてもよく、その場合、キーボード12により再研磨量を入力しなくても、再研磨量がデータベース14に記録される。
【0020】
(ステップS3〜S5)
摩耗量、再研磨量をデータベース14に入力した後、使用後の切削工具の再生を行う。具体的には、切削工具表面に被覆したコーティング膜を除膜し(ステップS3)、その後、設定した再研磨量で切削工具を再研磨し(ステップS4)、その後、切削工具表面を再度コーティング膜で被覆して(ステップS5)、新品同様に再生している。なお、ここでは、切削工具の再研磨と再コーティングを両方セットで実施しているが、再研磨、再コーティングのいずれか一方をユーザ側で実施するようにしてもよい。
【0021】
(ステップS6)
切削工具の再生後、データベース14に入力された摩耗量、再研磨量に基づいて、切削工具の有効刃長(使用可能量)を算出する。具体的には、再生前の切削工具の有効刃長から再研磨量を減算して、再生後の切削工具の有効刃長を算出している。なお、ここで、切削工具の有効刃長について、図5を参照して説明する。図5に示すように、有効刃長Lは、切削工具21の各切れ刃22において、使用限界と規定された位置までの切れ刃の長さ、即ち、再研磨可能な残りの切れ刃の長さであり、この有効刃長Lが0になるまで、切削工具21の再生が行われることになる。
【0022】
設定した再研磨量通りに再研磨した場合、有効刃長は、再研磨量だけ減っていく。例えば、図3に示すように、新品時の有効刃長を6.00mmとすると、使用回数1回は有効刃長が5.75mm(=6.00mm−再研磨量0.25mm)、2回は有効刃長が5.45mm(=5.75mm−再研磨量0.30mm)、3回は有効刃長が5.17mm(=5.45mm−再研磨量0.28mm)、・・・等となり、これらの数値により、データベース14が構築される。
【0023】
(ステップS7)
有効刃長の算出後、データベース14に基づいて、使用回数1回当りの再研磨量の平均値(平均再研磨量)を算出し、算出した平均再研磨量で、算出した有効刃長を除算することにより、残りの再研磨可能回数を算出する。例えば、図3に示すように、使用回数1回は平均再研磨量=再研磨量=0.25mmであり、算出した有効刃長5.75mmを除算することにより、残りの再研磨可能回数=23を算出している。同様に、使用回数2回は平均再研磨量=(0.25mm+0.30mm)/2≒0.28mmであり、算出した有効刃長5.45mmを除算することにより、残りの再研磨可能回数=19を算出している。同様に、使用回数3回は平均再研磨量=(0.25mm+0.30mm+0.28mm)/3≒0.28mmであり、算出した有効刃長5.17mmを除算することにより、残りの再研磨可能回数=18を算出している。なお、図3中の平均再研磨量の表記は、便宜上、小数点以下3桁目を四捨五入しており、又、再研磨可能回数は、小数点以下を切り捨てている。
【0024】
以降の各使用回数においても同様の計算を行い、残りの再研磨可能回数を求め、これらの数値がデータベース14に記録され、その計算結果が、ディスプレイ13に表示される。そして、再生した切削工具と共に、この再研磨可能回数の情報がユーザに提供される。
【0025】
従来管理していた再生工具のデータベースを、図4(a)に示す。ここでは、本発明との比較のため、測定した摩耗量の数値は全く同じにしている。従来は、前述したように、測定した摩耗量がどのような数値であっても、摩耗量のバラツキ範囲の上限値に基づいて、一定の再研磨量を設定していた。従って、図4(a)に示すように、使用回数1回は摩耗量が0.20mm、再研磨量が0.30mm、2回は摩耗量が0.25mm、再研磨量が0.30mm、3回は摩耗量が0.23mm、再研磨量が0.30mm、・・・等となり、再研磨量は毎回一定であった。そして、これらの数値がデータベースに入力されて、情報が管理されていた。
【0026】
そして、図4(a)に示したデータベースに基づいて、本実施例のように(図2中のステップS6〜S7のように)、有効刃長、平均再研磨量及び残りの再研磨可能回数を算出してみると、図4(b)のような数値を算出することができる。この図4(b)と図3とを比較してみると、残りの再研磨可能回数に差異が出ており、本実施例の方が、切削工具の再生回数を増やせることがわかる。例えば、10回目に着目して比較してみると、従来は、残りの再研磨可能回数が10回であるのに対して、本実施例では、残りの再研磨可能回数が12回となっており、切削工具の再生回数を増やすことができる。
【0027】
上述した再生工具の情報管理システム及び方法により、廃却に至るまでの切削工具の再研磨回数が増え、工具費低減・資源節約につながる。又、切削工具の残りの再研磨可能回数を算出し、この情報をユーザに提供することができ、これにより、新品工具の発注タイミングを的確に予測することができ、工具在庫を最小限にすることができる。
【0028】
又、切削工具の再生の際に、ユーザに代行して、販売元(製造元)又は業者自身が切削工具の寿命管理(切削工具の摩耗量の測定と最適な再研磨量の設定)を行うため、ユーザ側の負担が軽減されると共に、再研磨回数を増やすことができる。加えて、切削工具の寿命管理と共に切削工具の再生(再研磨、再コーティング)を、販売元(製造元)又は業者自身が実施する場合には、更に、ユーザ側の負担が軽減される。
【0029】
(実施例2)
図6は、本実施例における再生工具の情報管理方法を示すフローチャートである。本実施例も、実施例1と同様に、図1に示す再生工具の情報管理システムにおいて実行される。従って、ここでは、再生工具の情報管理システムの説明は割愛し、図6に示すフローチャートに基づき、情報管理方法を説明する。又、本実施例において、ステップS11〜S15は、実施例1(図2等)で示したフローチャートのステップS1〜S5と全く同じであるので、ステップS11〜S15については、その説明を簡略にする。
【0030】
(ステップS11)
使用回数毎に、使用後の切削工具の摩耗量を測定し、測定した摩耗量をキーボード12によりデータベース14に入力する。
【0031】
(ステップS12)
使用回数毎に、再研磨に必要な取代を設定し、測定した摩耗量に基づいて、再研磨量を設定し、設定した再研磨量をキーボード12によりデータベース14に入力する。具体的には、取代を測定した摩耗量に加算したものを再研磨量としている。
【0032】
(ステップS13〜S15)
摩耗量、再研磨量をデータベース14に入力した後、切削工具表面に被覆したコーティング膜を除膜し(ステップS13)、その後、設定した再研磨量で切削工具を再研磨し(ステップS14)、その後、切削工具表面を再度コーティング膜で被覆して(ステップS15)、新品同様に再生している。
【0033】
(ステップS16)
切削工具の再生後、切削工具の有効刃長(使用可能量)を測定し、測定した有効刃長をキーボード12によりデータベース14に入力する。設定した再研磨量通りに再研磨したとすると、測定した実際の有効刃長は、再研磨量だけ減っていく。例えば、図3を参考にして説明すると、新品時の有効刃長を6.00mmとすると、使用回数1回は有効刃長が5.75mm(=6.00mm−再研磨量0.25mm)、2回は有効刃長が5.45mm(=5.75mm−再研磨量0.30mm)、3回は有効刃長が5.17mm(=5.45mm−再研磨量0.28mm)、・・・等となり、これらの数値がデータベース14に入力される。
【0034】
(ステップS17)
有効刃長の測定後、データベース14に基づいて、使用回数1回当りの再研磨量の平均値(平均再研磨量)を算出し、算出した平均再研磨量で、測定した有効刃長を除算することにより、残りの再研磨可能回数を算出する。例えば、図3を参考にして説明すると、使用回数1回は平均再研磨量=再研磨量=0.25mmであり、測定した有効刃長5.75mmを除算することにより、残りの再研磨可能回数=23を算出している。同様に、使用回数2回は平均再研磨量=(0.25mm+0.30mm)/2≒0.28mmであり、測定した有効刃長5.45mmを除算することにより、残りの再研磨可能回数=19を算出している。同様に、使用回数3回は平均再研磨量=(0.25mm+0.30mm+0.28mm)/3≒0.28mmであり、測定した有効刃長5.17mmを除算することにより、残りの再研磨可能回数=18を算出している。
【0035】
以降の各使用回数においても同様の、測定、計算を行い、残りの再研磨可能回数を求め、これらの数値がデータベース14に記録され、その計算結果が、ディスプレイ13に表示される。そして、再生した切削工具と共に、この再研磨可能回数の情報がユーザに提供される。特に、本実施例の場合、再研磨、再コーティング後に、有効刃長を実際に測定しているので、より正確に、残りの再研磨可能回数を求めることが可能となる。
【0036】
上述した再生工具の情報管理システム及び方法により、廃却に至るまでの切削工具の再研磨回数が増え、工具費低減・資源節約につながる。又、切削工具の残りの再研磨可能回数を算出し、この情報をユーザに提供することができ、これにより、新品工具の発注タイミングを的確に予測することができ、工具在庫を最小限にすることができる。
【0037】
又、切削工具の再生の際に、ユーザに代行して、販売元(製造元)又は業者自身が切削工具の寿命管理(切削工具の摩耗量の測定と最適な再研磨量の設定)を行うため、ユーザ側の負担が軽減されると共に、再研磨回数を増やすことができる。加えて、切削工具の寿命管理と共に切削工具の再生(再研磨、再コーティング)を、販売元(製造元)又は業者自身が実施する場合には、更に、ユーザ側の負担が軽減される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る再生工具の情報管理方法及び情報管理システムは、工具を再生(再研磨、再コーティング)する際に適用するものであり、特に、再生回数が多いホブカッタ、ピニオンカッタ等の歯切り切削工具に好適である。
【符号の説明】
【0039】
11 コンピュータ
12 キーボード(入力手段)
13 ディスプレイ
14 データベース
15 CPU(制御手段)
21 切削工具
22 切り刃
L 有効刃長(使用可能量)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用後の工具から測定した前記工具の摩耗量と、再研磨に必要な取代を前記摩耗量に加算して設定した再研磨量とを、使用回数毎にデータベースに入力する入力手段と、
前記再研磨量に基づいて再研磨し、再コーティングして、再生した前記工具について、使用回数毎に、再生前の前記工具の使用可能量から前記再研磨量を減算して、再生後の前記工具の使用可能量を算出し、前記データベースに記録すると共に、前記データベース中の前記再研磨量、前記使用可能量に基づいて、使用回数毎に、使用回数1回当りの前記再研磨量の平均値を算出し、前記平均値で前記使用可能量を除算することにより、残りの再研磨可能回数を算出し、前記データベースに記録する制御手段とを有することを特徴とする再生工具の情報管理システム。
【請求項2】
使用後の工具から測定した前記工具の摩耗量と、再研磨に必要な取代を前記摩耗量に加算して設定した再研磨量と、前記再研磨量に基づいて再研磨し、再コーティングして、再生した前記工具について、前記工具から測定した前記工具の使用可能量とを、使用回数毎にデータベースに入力する入力手段と、
前記データベース中の前記再研磨量、前記使用可能量に基づいて、使用回数毎に、使用回数1回当りの前記再研磨量の平均値を算出し、前記平均値で前記使用可能量を除算することにより、残りの再研磨可能回数を算出し、前記データベースに記録する制御手段とを有することを特徴とする再生工具の情報管理システム。
【請求項3】
使用回数毎に、使用後の工具の摩耗量を測定して、データベースに入力し、
使用回数毎に、再研磨に必要な取代を前記摩耗量に加算した再研磨量を設定して、前記データベースに入力し、
前記再研磨量に基づいて再研磨し、再コーティングして、再生した前記工具について、使用回数毎に、再生前の前記工具の使用可能量から前記再研磨量を減算して、再生後の前記工具の使用可能量を算出して、前記データベースに記録し、
前記データベース中の前記再研磨量、前記使用可能量に基づいて、使用回数毎に、使用回数1回当りの前記再研磨量の平均値を算出し、前記平均値で前記使用可能量を除算することにより、残りの再研磨可能回数を算出して、前記データベースに記録することを特徴とする再生工具の情報管理方法。
【請求項4】
使用回数毎に、使用後の工具の摩耗量を測定して、データベースに入力し、
使用回数毎に、再研磨に必要な取代を前記摩耗量に加算した再研磨量を設定して、前記データベースに入力し、
前記再研磨量に基づいて再研磨し、再コーティングして、再生した前記工具について、使用回数毎に、前記工具の使用可能量を測定して、前記データベースに入力し、
前記データベース中の前記再研磨量、前記使用可能量に基づいて、使用回数毎に、使用回数1回当りの前記再研磨量の平均値を算出し、前記平均値で前記使用可能量を除算することにより、残りの再研磨可能回数を算出して、前記データベースに記録することを特徴とする再生工具の情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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