説明

再生装置、再生方法、及びプログラム

【課題】分離処理の処理時間と、動画データの時間に基づくアプリケーション処理の処理時間との間のずれを吸収すること。
【解決手段】再生装置100は、動画データとアプリケーションデータとが多重化されたデータを分離する分離処理部10と、動画データをデコードする再生処理部12と、アプリケーションデータを処理するアプリケーション処理部18と、デコードされた動画データと、処理されたアプリケーションデータとを合成して、出力画像を生成する出力合成部20とを具備する。分離処理部10は、アプリケーション処理部18にアプリケーションデータが必要か否かの問い合わせを行う。アプリケーションデータが必要である旨の通知を受けると、アプリケーションデータはアプリケーション処理部18に記憶される。アプリケーションデータが必要か否か判定できない旨の通知を受けると、アプリケーションデータは中間バッファ14に一時的に記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、再生装置、再生方法、及びプログラムに関し、特に、多重化されたデータを処理する再生装置、再生方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザに対してインタラクティブな機能を提供すべく、動画データに加えて、アプリケーションデータ(プログラム等)も処理する機能を備える再生装置が開発されつつある。このような再生装置では、動画データの処理とアプリケーションデータの処理とを同期させることが行われる。例えば、AVデータ等の再生に同期させて実行するプログラムを効率よく実行する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−109317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、動画データが、アプリケーションデータとは別個に再生装置に供給される場合には、動画データの処理と、アプリケーションデータの処理とを同期させることが行われる。しかし、動画データとアプリケーションデータとが多重化されたデータを扱う場合には、当該データを分離する処理が必要となる。このような場合、分離処理の処理時間と、動画データの処理時間に基づいて動作するアプリケーション処理の処理時間との間にずれが生じることがある。特許文献1には、AVデータとプログラムとの同期の手法が記載されているものの、上記のように動画データとアプリケーションデータとが多重化されたデータを扱うわけではない。
【0004】
そこで、本発明は、動画データとアプリケーションデータとが多重化されたデータを扱う場合に、分離処理の処理時間と、動画データの時間に基づくアプリケーション処理の処理時間との間のずれを吸収することができる再生装置、再生方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一つの面によれば、圧縮符号化された動画データと、前記動画データの再生に同期して処理されるべきアプリケーションデータとが多重化されたデータを、前記動画データと、前記アプリケーションデータとに分離する分離処理部と、前記分離処理部によって分離された前記アプリケーションデータを記憶するアプリケーションデータ記憶部と、前記分離処理部によって分離された前記動画データをデコードする再生処理部と、前記アプリケーションデータ記憶部に記憶された前記アプリケーションデータを処理するアプリケーション処理部と、前記再生処理部によってデコードされた前記動画データと、前記アプリケーション処理部によって処理された前記アプリケーションデータとを合成して、出力画像を生成する出力合成部とを具備し、前記分離処理部は、前記アプリケーション処理部に前記アプリケーションデータが必要か否かの問い合わせを行い、前記アプリケーション処理部から前記アプリケーションデータは必要であるという通知を受けた場合、前記アプリケーションデータを前記アプリケーションデータ記憶部に記憶し、前記アプリケーション処理部から前記アプリケーションデータは必要か否か判定できないという通知を受けた場合、前記アプリケーションデータを中間バッファに一時的に記憶し、前記アプリケーション処理部から前記アプリケーションデータは必要か否か判定できないという通知を受けた後に、前記アプリケーションデータは必要であるという通知を受けた場合、前記中間バッファに一時的に記憶された前記アプリケーションデータを前記アプリケーションデータ記憶部に記憶する再生装置が提供される。
【0006】
また、本発明の別の面によれば、圧縮符号化された動画データと、前記動画データの再生に同期して処理されるべきアプリケーションデータとが多重化されたデータを、前記動画データと、前記アプリケーションデータとに分離するステップと、前記分離された前記動画データをデコードするステップと、前記アプリケーションデータが必要か否かを判定するステップと、前記アプリケーションデータが必要であると判定された場合、前記アプリケーションデータを処理するステップと、前記アプリケーションデータが必要か否か判定できない場合、前記アプリケーションデータを中間バッファに一時的に記憶するステップと、前記中間バッファに一時的に記憶されたアプリケーションデータが必要であるか否かを判定するステップと、前記中間バッファに一時的に記憶されたアプリケーションデータが必要であると判定された場合、前記一時的に記憶されたアプリケーションデータを処理するステップと、前記デコードされた動画データと、前記処理されたアプリケーションデータとを合成して、出力画像を生成するステップとを具備する再生方法が提供される。
【0007】
さらに、本発明のまた別の面によれば、コンピュータに、圧縮符号化された動画データと、前記動画データの再生に同期して処理されるべきアプリケーションデータとが多重化されたデータを、前記動画データと、前記アプリケーションデータとに分離する機能と、前記分離された動画データをデコードする機能と、前記アプリケーションデータが必要か否かを判定する機能と、前記アプリケーションデータが必要であると判定された場合、前記アプリケーションデータを処理する機能と、前記分離されたアプリケーションデータが必要か否か判定できない場合、前記アプリケーションデータを中間バッファに一時的に記憶する機能と、前記中間バッファに一時的に記憶されたアプリケーションデータが必要であるか否かを判定する機能と、前記中間バッファに一時的に記憶されたアプリケーションデータが必要であると判定された場合、前記一時的に記憶されたアプリケーションデータを処理する機能と、前記デコードされた動画データと、前記処理されたアプリケーションデータとを合成して、出力画像を生成する機能とを実現させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動画データとアプリケーションデータとが多重化されたデータを扱う場合に、分離処理の処理時間と、動画データの時間に基づくアプリケーション処理の処理時間との間のずれを吸収することができる再生装置、再生方法、及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
まず、図1を参照しながら、本発明の一実施形態による再生装置100について説明する。図1は、本発明の一実施形態による再生装置100の構成を示すブロック図である。なお、再生装置100は、HD DVDプレーヤ、パーソナルコンピュータ等といった、動画データとアプリケーションデータとが多重化されたデータを処理することができる装置である。
【0011】
再生装置100は、分離処理部10、AV再生部(再生処理部)12、中間バッファ14、アプリケーションデータ記憶部16、アプリケーション処理部18、及び出力合成部20を備える。
【0012】
分離処理部10には、データ22が入力される。データ22は、動画データ(ビデオデータ)、音声データ(オーディオデータ)、及び複数種類のアプリケーションそれぞれに対応するデータ(アプリケーションデータ)が多重化されたデータである。データ22は、光ディスク(DVD、HD DVD等)といった記憶媒体24に格納される。データ22は、記憶媒体24から光ディスクドライブ(図示せず)を介して、タイミング記述28と共に分離処理部10に供給され得る。また、データ22は、インターネットといったネットワーク26からネットワークコントローラ(図示せず)を介して、タイミング記述28と共に分離処理部10に供給されてもよい。
【0013】
なお、本明細書において、アプリケーションとは、動画データの再生と同期してユーザにインタラクティブな機能を提供する機能であり、例えばスクリプトファイル、マークアップファイル、画像データ、テキストデータ、音声データ等によって構成される。この画像データ、テキストデータ、及び音声データによって、例えば、ディスプレイ上に表示されるボタン及び文字等、並びに、当該ボタンが選択されたときの効果音(クリック音等)が実現される。また、アプリケーショデータとは、アプリケーションを構成するスクリプトファイル、マークアップファイル、音声データ、画像データ、テキストデータ等である。アプリケーションデータは、例えば、HD DVD規格のアドバンストコンテンツ(但し、プライマリビデオは除く)であってもよい。なお、アプリケーションデータには、無条件で実行される「無条件アプリケーション」と、所定の条件(実行条件)が満たされた場合にのみ実行される「条件付きアプリケーション」とがある。条件付きアプリケーションに対応する実行条件が満たされているか否かは、条件付きアプリケーションをロードすべきタイミングで判定される。
【0014】
タイミング記述28には、動画データの再生に同期して処理されるべき複数種類のアプリケーションそれぞれに対応するアプリケーションデータと、当該アプリケーションデータの各々をローディング及び処理するタイミングとが記述されている。また、タイミング記述28は、動画の時間に合わせて記述されている。例えば、タイミング記述28には、アプリケーションAを時間(動画の表示時間)t1からt2の間にローディングし、t3で起動することが記述され得る。なお、タイミング記述28は、例えば、複数種類のアプリケーションデータの各々について、対応する実行条件(ユーザが所定の音声トラックを選択した場合、ユーザが所定の言語の字幕を選択した場合等)を含んでもよい。この場合は、実行条件が満たされた場合(ユーザが当該条件を指定した場合等)に、タイミング記述28に記述された所定のアプリケーションが処理(実行)される。
【0015】
分離処理部10は、受け取ったデータ22を、動画データ、音声データ、及びアプリケーションデータに分離する。分離された動画データと音声データは、分離処理部10からAV再生部12に供給される。分離されたアプリケーションデータは、分離処理部10から、中間バッファ14又はアプリケーションデータ記憶部16に出力される。アプリケーションデータの出力先は、分離処理部10からアプリケーション処理部18への問い合わせと、当該問い合わせに対するアプリケーション処理部18から分離処理部10への通知とに基づいて判定される。
【0016】
AV再生部12は、分離処理部10から受け取った動画データと音声データをデコードする。デコードされた動画データと音声データは、AV再生部12から出力合成部20に出力される。
【0017】
中間バッファ14は、分離処理部10から受け取ったアプリケーションデータを一時的に記憶する。また、中間バッファ14は、分離処理部10による制御に基づいて、一時的に記憶したアプリケーションデータをアプリケーションデータ記憶部16に出力する。
【0018】
アプリケーションデータ記憶部16は、分離処理部10から受け取ったアプリケーションデータを記憶(蓄積)する。アプリケーションデータ記憶部16には、アプリケーションを実行するのに必要なアプリケーションデータが記憶される。記憶されたアプリケーションデータは、アプリケーション処理部18に供給される。
【0019】
アプリケーション処理部18は、AV再生部12からの同期信号に従ってアプリケーションを起動することで、動画データの再生と同期してアプリケーションを動作させる。アプリケーションのローディング及び起動(実行の開始)は、タイミング記述28に従って行われる。
【0020】
出力合成部20は、AV再生部12から受け取った動画データと、アプリケーション処理部18から受け取ったアプリケーションデータとを合成し、AV再生部12からの同期信号に基づいて出力画像を生成する。また、出力生成部20は、AV再生部12から受け取った音声データと、アプリケーション処理部から受け取った音声データとを合成して出力する。
【0021】
なお、図1に示す分離処理部10、AV再生部12、アプリケーション処理部18、及び出力合成部20は、基本的には、再生装置100内のCPU(図示せず)によって実行されるソフトウェアによって実現される。但し、これらの要素の一部は、ハードウェアで実現されてもよい。例えば、AV再生部12のデコード機能は、ソフトウェアによって制御されるハードウェアで実現され得る。
【0022】
また、データ22中の各アプリケーションデータによって構成されるアプリケーションのidと、タイミング記述28に記述されるアプリケーションのidとは、同一の識別子によって記述されている。例えば、タイミング記述28には「id=3」と記述され、データ22中の識別子用のフィールドに「3」と記述されている。このため、分離処理部10とアプリケーション処理部18は、その識別子によってデータの必要性をチェックすることができる。
【0023】
上述したような中間バッファ14を備える再生装置100によれば、動画データとアプリケーションデータとが多重化されたデータを扱う場合に、分離処理の処理時間と、動画データの時間に基づくアプリケーション処理の処理時間との間のずれを吸収することができる。
【0024】
次に、図2を参照しつつ、本発明の一実施形態による再生方法について説明する。図2は、本発明の一実施形態による再生方法の概要を説明するための概略図である。より具体的には、図2は、分離処理部10とアプリケーション処理部18との間で行われる処理の概要を説明するための概略図である。本実施形態による再生方法は、図1に示す再生装置100に適用することができる。以下、説明の都合上、本実施形態による再生方法を再生装置100に適用した場合を例にとって説明する。なお、図2において、図1に示す要素と同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0025】
アプリケーション処理部18は、ビデオデータの再生の時間に合わせて動作する。換言すれば、アプリケーション処理部18は、ビデオデータが実際に表示される時間に合わせて動作する。このため、アプリケーション処理部18の処理は、分離処理部10の処理よりも、AV再生部12による処理の時間分だけ遅れることになる。例えば、タイミング記述28に、ビデオデータの再生開始から5分目(t3=5分)にアプリケーションAを起動すると記述されている場合を想定する。この場合、分離処理部10が、再生開始から5分目に対応するビデオデータを処理するのは、5分目のビデオデータが実際に表示されるよりも早い時間となる。従って、分離処理部10の処理と、アプリケーション処理部18の処理(映像の表示等)との間には、常に時間的なずれ(図2中のδで示される)が発生する。
【0026】
分離処理部10が、データ22の分離処理を進め、t1以降のデータの処理を行い、アプリケーションAのアプリケーションデータaを検出したとき、分離処理部10は、アプリケーションデータaをロードすべきか否かをアプリケーション処理部18に問い合わせる(問い合わせ40)。しかし、上述したように、この時点では、アプリケーション処理部18の処理が時間t1に達しておらず、アプリケーションデータaが必要か否かアプリケーション処理部18は判定できないことがある。この理由は、アプリケーションデータaが必要か否かは、ユーザが指定した条件(英語の音声トラックを選択、日本語の字幕を選択等)に依存する場合があるためである。
【0027】
アプリケーション処理部18は、分離処理部10からの問い合わせ40に対して、3種類の回答のうちの1つを返す。3種類の回答とは、アプリケーションデータaが「必要」、「不要」、及び「必要である可能性あり」である。
【0028】
アプリケーションデータaが必要であると判定された場合、分離処理部10は、アプリケーションデータaをアプリケーションデータ記憶部16にロードする処理を行う。
【0029】
アプリケーションデータaが不要であると判定された場合、分離処理部10は、それ以降のアプリケーションデータaを破棄する。より具体的には、同一の識別子を持つデータがその終了まで破棄される。
【0030】
アプリケーションデータaが必要であるか否かの判定がつかず、必要である可能性があると判定された場合、分離処理部10は、アプリケーションデータaを中間バッファ14に保存しつつ(図2中の未確定のアプリケーションデータa1)、分離処理を進める。アプリケーション処理部18の処理時間がt1に到達した時点で、アプリケーションデータaは必要か否かがアプリケーション処理部18によって再度判定される。なお、動画データの表示がt1に到達したときに、アプリケーションの処理時間もt1に到達することになる。動画データの表示時間は、データ22中に記述されている。
【0031】
アプリケーションデータaが必要と判定された場合、アプリケーション処理部18は、分離処理部10に対してアプリケーションデータaが必要であると通知する(通知42)。分離処理部10は、アプリケーション処理部18から通知42を受け取ると、アプリケーションデータaを中間バッファ14からアプリケーションデータ記憶部16に移動し(図2中の確定したアプリケーションデータa2)、引き続き分離処理を続ける。
【0032】
一方、アプリケーションデータaが不要と判定された場合、アプリケーション処理部18は、分離処理部10にアプリケーションデータaが不要であると通知する(通知42)。この通知を受けて、分離処理部10は、中間バッファ14からアプリケーションデータaを破棄する。
【0033】
ここで、不要と判定され得るアプリケーションデータ(条件付きアプリケーション)について説明する。例えば、日本語と英語の音声トラックがあり、そのトラックの選択に基づいて使用すべきアプリケーションを切り替える場合、及び、字幕の言語に合わせてアプリケーションの起動を切り替える場合には、不要なアプリケーションデータが存在することになる。前者の場合において、日本語トラックに対応する日本語アプリケーションを起動する場合、英語トラックに対応する英語アプリケーションのアプリケーションデータは不要となる。
【0034】
また、データ22の再生状態の変更(早送り等の特殊再生)が理由で、分離処理部10がアプリケーションデータaを正確に取得できない場合、分離処理部10は、アプリケーション処理部18に対して、アプリケーションデータaを正確に取得できない旨を問い合わせ40のパスを用いて通知する。この通知を受けると、アプリケーション処理部18は、AV再生部12に対して、動画データ及び音声データの再生停止を要求する。また、アプリケーション処理部18は、アプリケーションデータを読み出す等の然るべき動作を行い、アプリケーションデータを別途確保する。より具体的には、アプリケーション処理部18は、例えば記憶媒体24からファイル等を別途読み込む処理を行う。
【0035】
次に、図3を参照しつつ、本実施形態の再生方法について、より詳細に説明する。図3は、本実施形態による再生方法において、分離処理部10、中間バッファ14、アプリケーションデータ記憶部16、及びアプリケーション処理部18の間で行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【0036】
まず、分離処理部10は、分離したアプリケーションデータaをロードすべきか否かを、アプリケーション処理部18に問い合わせる(ステップS50)(図2に示される問い合わせ40に対応)。この問い合わせを受けて、アプリケーション処理部18は、アプリケーションデータaが必要であるか否かを判定する(ステップS52)。この判定は、例えば、ユーザが指定した条件(英語の音声トラックを選択、日本語の字幕を選択等)と、タイミング記述28とに基づいてなされる。判定結果は、分離処理部10に返される(S54、S56、又はS58)。より具体的には、アプリケーション処理部18は、分離処理部10に対して、アプリケーションデータaが必要、不要、又は必要である可能性があると返答する(S54、S56、又はS58)。
【0037】
アプリケーションデータaが必要と判定された場合、分離処理部10は、アプリケーションデータaをアプリケーションデータ記憶部16にロードする(ステップS54)。
【0038】
アプリケーションデータaが不要であると判定された場合、分離処理部10は、アプリケーションデータaを破棄する(ステップS56)。
【0039】
アプリケーションデータaが必要である可能性があると判定された(必要か否か判定がつかない)場合、分離処理部10は、アプリケーションデータaを中間バッファ14に保存しつつ、分離処理を行う(ステップS58)。アプリケーションデータaが中間バッファ14に保存されると、アプリケーション処理部18の処理時間Tが、タイミング記述に記述された時間t1に達したか否かが判定される(ステップS60)。ステップS60の処理は、アプリケーション処理部18の処理時間Tが時間t1に達するまで繰り返される。アプリケーション処理部18の処理時間Tが時間t1に達すると、アプリケーション処理部18は、アプリケーションデータaは必要か否かを再度判定する(ステップS62)。
【0040】
アプリケーションデータaは必要であると判定された場合(ステップS62でYES)、アプリケーション処理部18は、分離処理部10に対して、アプリケーションデータaが必要であると通知する(ステップS64)。この通知を受けて、分離処理部10は、中間バッファ14に一時的に記憶されたアプリケーションデータaをアプリケーションデータ記憶部16に移動(記憶)する(ステップS66)。
【0041】
一方、アプリケーションデータaは不要であると判定された場合(ステップS62でNO)、アプリケーション処理部18は、分離処理部10に対して、アプリケーションデータaが不要であると通知する(ステップS68)。この通知を受けて、分離処理部10は、中間バッファ14に一時的に記憶されたアプリケーションデータaを破棄する(ステップS70)。
【0042】
上述したような再生方法によれば、動画データとアプリケーションデータとが多重化されたデータを扱う場合に、分離処理の処理時間と、動画データの時間に基づくアプリケーション処理の処理時間との間のずれを吸収することができる。
【0043】
次に、図4を参照しつつ、本発明の別の実施形態による再生方法について説明する。図4は、本発明の別の実施形態による再生方法の概要を説明するための概略図である。本再生方法においては、先行するアプリケーションの状況、又は(例えば、再生言語に依存する)再生状況に応じて、起動されるアプリケーションが決定される。
【0044】
図4には、アプリケーションBのアプリケーションデータb及びアプリケーションCのアプリケーションデータc、中間バッファ14に一時的に記憶されたアプリケーションBのアプリケーションデータb及びアプリケーションCのアプリケーションデータc、再生される動画データ及び音声データ、再生されるアプリケーションB、並びに、時間t1、t2、t3、t4、t5及びt6が示されている。例えば、アプリケーションデータbは、図1に示すアプリケーションデータ32、38等によって構成され、アプリケーションデータcは、図1に示すアプリケーションデータ35等によって構成され得る。
【0045】
時間t5においてアプリケーションB又はCを起動するためには、データb及びcは、時間t5以前にはデータ(ビデオストリーム)として多重化されている必要がある。ここでは、説明の都合上、アプリケーションBのデータbは、時間t3まで多重化されている必要があると仮定する。時間t5で起動すべきアプリケーション(アプリケーションB又はC)は、時間t6における再生状況、又は先行するアプリケーションの実行状況に依存して選択される。
【0046】
まず、再生状況について説明する。時間t6における再生状況は、例えば再生言語に依存する。より具体的には、再生状況としては、複数の音声トラック(日本語、英語、コメンタリ等)が存在し、そのうちの1つを再生している場合、及び、複数言語の字幕のうちの1つを選択している場合が考えられる。また、t5=t6である場合もあり得る。このような場合の例としては、アプリケーションを実行するタイミングの音声トラックによって、アプリケーションB又はCのどちらかが選択される場合がある。
【0047】
次に、先行するアプリケーションについて説明する。先行するアプリケーションとは、時間的に前に実行されるアプリケーションである。例えば、再生開始から5分から7分の間に実行されるアプリケーションDに対して、ユーザがボタンを選択する等の操作を行うことによって、10分から実行されるアプリケーションEを選択するような場合では、アプリケーションDが先行するアプリケーションに該当する。
【0048】
時間t1及びt2では、アプリケーション処理部18は、アプリケーションBのアプリケーションデータb及びアプリケーションCのアプリケーションデータcのうちのいずれが必要であるか判定をすることができない。そのため、分離処理部10は、時間t1でアプリケーションBのアプリケーションデータbを検出すると、データbのIDと名前に基づいて、アプリケーション処理部18に問い合わせ(図2、図3参照)を行う。この問い合わせを受けて、アプリケーション処理部18は、アプリケーションデータbが必要か否かを判定し、判定結果を分離処理部10に返す。アプリケーションデータbは不要であると判定された場合、アプリケーションデータbは保持されない。一方、アプリケーションデータbは必要であると判定された場合、アプリケーションデータbはアプリケーションデータ記憶部16に記憶される。アプリケーションデータbは、必要である可能性があると判定された場合、アプリケーションBのアプリケーションデータbは中間バッファ14に保存される。なお、アプリケーションデータbは必要であると判定された場合にも、特殊再生等で破棄するケースがあるため、アプリケーションデータbを中間バッファ14に一時的に記憶してもよい。
【0049】
また、時間t2でアプリケーションCのアプリケーションデータcを検出すると、アプリケーションデータcのIDと名前に基づいて、アプリケーション処理部18に問い合わせ(図2、図3参照)を行う。この問い合わせを受けて、アプリケーション処理部18はアプリケーションデータcが必要か否かを判定し、判定結果を分離処理部10に返す。アプリケーションデータcは不要であると判定された場合、アプリケーションデータcは保持されない。一方、アプリケーションデータcは必要であると判定された場合、アプリケーションデータcはアプリケーションデータ記憶部16に記憶される。アプリケーションデータcは、必要である可能性があると判定された(必要か否か判定できない)場合、アプリケーションCのアプリケーションデータcは中間バッファ14に保存される。なお、アプリケーションデータcは必要であると判定された場合にも、特殊再生等で破棄するケースがあるため、アプリケーションデータcを中間バッファ14に一時的に記憶してもよい。
【0050】
多重化されているアプリケーションデータb及びcそれぞれの最後が検出される時間t3及びt4でも、上記と同様の問い合わせが行われる。例えば、時間t3において、アプリケーションデータbは必要であると判定された場合、アプリケーションデータbは中間バッファ14からアプリケーションデータ記憶部16に移動される。アプリケーションデータbは不要であると判定された場合、アプリケーションデータbは中間バッファ14から破棄される。時間t3においても、アプリケーションデータbが必要か否かを判定できない場合、アプリケーションデータbは引き続き中間バッファ14に保持される。上記と同様の処理が、時間t4においてアプリケーションデータcについても行われる。
【0051】
時間t6で、データの再生条件及びタイミング記述28により、アプリケーションBのアプリケーションデータbが必要であると判定された場合、アプリケーション処理部18は分離処理部10にアプリケーションデータbが必要であることを通知する。この通知を受けて、分離処理部10は、中間バッファ14に保持されているアプリケーションBのアプリケーションデータbをアプリケーションデータ記憶部16に移動(記憶)する。一方で、アプリケーションCのアプリケーションデータcは不要と判定されて、中間バッファ14から破棄される。
【0052】
また、時間t1からt3の間に多重化されたデータの取り出しができないような特殊再生(早送り等)が行われた場合、アプリケーションBのアプリケーションデータbを用意することができない。このため、分離処理部10は、上述したような問い合わせの代わりに、データを用意できない旨をアプリケーション処理部18に通知する。
【0053】
上述したような再生方法によれば、先行するアプリケーションの状況又は再生状況に応じて、使用すべきアプリケーションデータを決定する場合に、実際の決定時間前に多重化されているデータの取り扱いについて、中間バッファ14と関連モジュールとの間の問い合わせ及び通知を用いて決定することができる。
【0054】
なお、上述した再生方法は、コンピュータによって実行可能なプログラムとしても実現できる。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではない。本発明は、実施段階では、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変更して具現化できる。
【0056】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることで、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態による再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による再生方法の概要を説明するための概略図である。
【図3】上記実施形態による再生方法を、より詳細に説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の別の実施形態による再生方法の概要を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0058】
10…分離処理部、12…AV再生部(再生処理部)、14…中間バッファ、16…アプリケーションデータ記憶部、18…アプリケーション処理部、20…出力合成部、22…データ、24…記録媒体、26…ネットワーク、28…タイミング記述、40…問い合わせ、42…通知。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮符号化された動画データと、前記動画データの再生に同期して処理されるべきアプリケーションデータとが多重化されたデータを、前記動画データと、前記アプリケーションデータとに分離する分離処理部と、
前記分離処理部によって分離された前記アプリケーションデータを記憶するアプリケーションデータ記憶部と、
前記分離処理部によって分離された前記動画データをデコードする再生処理部と、
前記アプリケーションデータ記憶部に記憶された前記アプリケーションデータを処理するアプリケーション処理部と、
前記再生処理部によってデコードされた前記動画データと、前記アプリケーション処理部によって処理された前記アプリケーションデータとを合成して、出力画像を生成する出力合成部とを具備し、
前記分離処理部は、前記アプリケーション処理部に前記アプリケーションデータが必要か否かの問い合わせを行い、前記アプリケーション処理部から前記アプリケーションデータは必要であるという通知を受けた場合、前記アプリケーションデータを前記アプリケーションデータ記憶部に記憶し、前記アプリケーション処理部から前記アプリケーションデータは必要か否か判定できないという通知を受けた場合、前記アプリケーションデータを中間バッファに一時的に記憶し、前記アプリケーション処理部から前記アプリケーションデータは必要か否か判定できないという通知を受けた後に、前記アプリケーションデータは必要であるという通知を受けた場合、前記中間バッファに一時的に記憶された前記アプリケーションデータを前記アプリケーションデータ記憶部に記憶する、再生装置。
【請求項2】
前記アプリケーション処理部は、前記アプリケーションデータが必要か否か判定できない場合、前記アプリケーションデータが処理されるべき時点において、前記アプリケーションデータに対応する条件が満たされているか否かを判定し、当該判定に基づいて前記アプリケーションデータが必要か否かの通知を返す、請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
前記アプリケーションデータは、前記動画データの再生と同期してユーザにインタラクティブな機能を提供するアプリケーションを構成する、スクリプトファイル、マークアップファイル、画像データ、及びテキストデータを含む、請求項1記載の再生装置。
【請求項4】
前記多重化されたデータは、記録媒体を介して前記分離処理部に供給される、請求項1記載の再生装置。
【請求項5】
前記多重化されたデータは、ネットワークを介して前記分離処理部に供給される、請求項1記載の再生装置。
【請求項6】
圧縮符号化された動画データと、前記動画データの再生に同期して処理されるべきアプリケーションデータとが多重化されたデータを、前記動画データと、前記アプリケーションデータとに分離するステップと、
前記分離された動画データをデコードするステップと、
前記アプリケーションデータが必要か否かを判定するステップと、
前記アプリケーションデータが必要であると判定された場合、前記アプリケーションデータを処理するステップと、
前記アプリケーションデータが必要か否か判定できない場合、前記アプリケーションデータを中間バッファに一時的に記憶するステップと、
前記中間バッファに一時的に記憶されたアプリケーションデータが必要であるか否かを判定するステップと、
前記中間バッファに一時的に記憶されたアプリケーションデータが必要であると判定された場合、前記一時的に記憶されたアプリケーションデータを処理するステップと、
前記デコードされた動画データと、前記処理されたアプリケーションデータとを合成して、出力画像を生成するステップと
を具備する、再生方法。
【請求項7】
前記中間バッファに一時的に記憶されたアプリケーションデータが必要であるか否かを判定するステップは、前記アプリケーションデータが処理されるべき時点において、前記アプリケーションデータに対応する条件が満たされているか否かを判定し、当該判定に基づいて前記アプリケーションデータが必要か否かを判定するステップを含む、請求項6記載の再生方法。
【請求項8】
前記アプリケーションデータは、前記動画データの再生と同期してユーザにインタラクティブな機能を提供するアプリケーションを構成する、スクリプトファイル、マークアップファイル、画像データ、及びテキストデータを含む、請求項6記載の再生方法。
【請求項9】
前記多重化されたデータは、記録媒体を介して供給される、請求項6記載の再生方法。
【請求項10】
前記多重化されたデータは、ネットワークを介して供給される、請求項6記載の再生方法。
【請求項11】
コンピュータに、
圧縮符号化された動画データと、前記動画データの再生に同期して処理されるべきアプリケーションデータとが多重化されたデータを、前記動画データと、前記アプリケーションデータとに分離する機能と、
前記分離された動画データをデコードする機能と、
前記アプリケーションデータが必要か否かを判定する機能と、
前記アプリケーションデータが必要であると判定された場合、前記アプリケーションデータを処理する機能と、
前記分離されたアプリケーションデータが必要か否か判定できない場合、前記アプリケーションデータを中間バッファに一時的に記憶する機能と、
前記中間バッファに一時的に記憶されたアプリケーションデータが必要であるか否かを判定する機能と、
前記中間バッファに一時的に記憶されたアプリケーションデータが必要であると判定された場合、前記一時的に記憶されたアプリケーションデータを処理する機能と、
前記デコードされた動画データと、前記処理されたアプリケーションデータとを合成して、出力画像を生成する機能と
を実現させる、プログラム。
【請求項12】
前記中間バッファに一時的に記憶されたアプリケーションデータが必要であるか否かを判定する機能は、前記アプリケーションデータが処理されるべき時点において、前記アプリケーションデータに対応する条件が満たされているか否かを判定し、当該判定に基づいて前記アプリケーションデータが必要か否かを判定する機能を含む、請求項11記載のプログラム。
【請求項13】
前記アプリケーションデータは、前記動画データの再生と同期してユーザにインタラクティブな機能を提供するアプリケーションを構成する、スクリプトファイル、マークアップファイル、画像データ、及びテキストデータを含む、請求項11記載のプログラム。
【請求項14】
前記多重化されたデータは、記録媒体を介して供給される、請求項11記載のプログラム。
【請求項15】
前記多重化されたデータは、ネットワークを介して供給される、請求項11記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−59666(P2008−59666A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233795(P2006−233795)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】