説明

再生装置、再生方法およびプログラム

【課題】回路や機構の消耗を軽減すると共に、ユーザに対しても操作負担とならずに所望の楽曲を選曲する。
【解決手段】音楽コンテンツを再生する再生部(DAC9、増幅部10、出力部11)と、再生装置1を振る動作および所定の単位時間あたりの振る動作の回数を検出する振り動作検出部(センサ4)と、音楽コンテンツを複数のカテゴリに予め分類しておき、振り動作検出部(センサ4)により検出した所定の単位時間あたりの振る動作の回数に応じて再生する音楽コンテンツのカテゴリを別のカテゴリに変更する再生制御部(システムマイコン2)とを備える再生装置1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置、再生方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボタンやリモートコントローラなどを操作しなくてもコンテンツの再生切り替えができる携帯型の再生装置が開示されている。この特許文献1に開示される再生装置では、所定の検出部分を「叩く」ことにより生じる衝撃を入力信号として再生切り替えなどを行なうことができる。
【0003】
特許文献2には、装置本体の動きを検出し、その動きを生じさせた動作の種類を区別して、動作の種類に応じた操作指示に変換する操作指示出力装置が開示されている。この特許文献2に開示される操作指示出力装置では、装置本体に与えられた衝撃を検出し、ユーザの「叩く」動作や「振る」動作を判別すると共に、当該動作に応じて各種操作ができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−323943号公報(段落0040、図5など)
【特許文献2】特開2000−148351号公報(要約など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示される装置では、「叩く」、「振る」という動きで楽曲の再生切り替え(次の曲を再生させるスキップアップ処理または前の曲を再生させるスキップダウン処理)をさせることができるが、たとえば再生装置の「振り方」によって操作方法を変更することができない。また、たとえば特許文献1および2に開示されている各装置においてランダムに楽曲を再生させている場合に、再生中の楽曲がたまたまユーザの所望する楽曲ではない場合には、所望の楽曲を再生するために、「叩く」、「振る」という行為を何度も行なわなければならない。したがって、再生候補となるコンテンツ数が膨大であればあるほど、再生切り替え処理を行なわせるために「叩く」、「振る」という行為が増え、ユーザは「叩く」、「振る」という行為を行なうのに疲れてしまう。また、再生装置に対して「叩く」、「振る」という行為は、装置の回路や機構の消耗が激しくなるため、何度も行なうことはあまり好ましいものではない。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題に鑑み、回路や機構の消耗を軽減すると共に、ユーザに対しても操作負担とならずに所望の楽曲を選曲できる再生装置、再生方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1側面である再生装置は、コンテンツを再生する再生部と、再生装置を振る動作および所定の単位時間あたりの振る動作の回数を検出する振り動作検出部と、コンテンツを複数のカテゴリに予め分類しておき、振り動作検出部により検出した所定の単位時間あたりの振る動作の回数に応じて再生するコンテンツのカテゴリを別のカテゴリに変更する再生制御部と、を備えるものである。
【0008】
本発明の1側面である再生装置は、上述した再生装置の構成に加えて、再生制御部は、振り動作検出部で検出した振り動作回数のテンポを取得するテンポ取得部と、テンポ取得部が所定のテンポであると判定したときに、再生対象となっているカテゴリを所定のテンポに関連付けられた別のカテゴリに変更する再生カテゴリ変更部と、を備えることが好ましい。
【0009】
本発明の1側面である再生装置は、上述した再生装置の構成に加えて、再生制御部によって変更された別のカテゴリに含まれるコンテンツへスキップして再生することが好ましい。
【0010】
本発明の1側面である再生装置は、上述した再生装置の構成に加えて、再生制御部によるカテゴリ変更をランダム再生中に行なうことにより変更したカテゴリに含まれるコンテンツのランダム再生を行なうことが好ましい。
【0011】
本発明の1側面である再生方法は、振り動作および単位時間あたりの振り動作回数を検出するステップと、コンテンツを複数のカテゴリに予め分類しておき、単位時間あたりの振り動作回数に応じて再生するコンテンツのカテゴリを別のカテゴリに変更するステップと、を有する。
【0012】
本発明の1側面であるプログラムは、コンピュータを、コンテンツを再生する再生手段、振り動作および単位時間あたりの振り動作回数を検出する振り動作検出手段、コンテンツを複数のカテゴリに予め分類しておき、振り動作検出部により検出した単位時間あたりの振り動作回数に応じて再生するコンテンツのカテゴリを別のカテゴリに変更する再生制御手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回路や機構の消耗を軽減すると共に、ユーザに対しても操作負担とならずに所望の楽曲を選曲できる再生装置、再生方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る再生装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す再生装置のセンサを示す図である。
【図3】図1に示す再生装置の記憶部に記憶されている音楽コンテンツに関連する情報の一例を示す図である。
【図4】図1に示す再生装置の記憶部に記憶されている再生制御プログラムのソフトウェア構成を概略的な流れと共に示した図である。
【図5】図1の再生装置の記憶部に記憶された音楽コンテンツを分類するカテゴリとテンポの対応付けを示す図である。
【図6】図1に示す再生装置が行なう再生制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る再生装置、再生方法およびプログラムについて添付図面を参照しながら説明する。また、再生方法の説明は、再生装置の動作の説明と併せて行ない、プログラムの説明は、再生装置の構成の説明と併せて行なうこととする。なお、各図において対応する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
まず、本発明の実施形態に係る再生装置1について説明する。本実施形態に係る再生装置1は、ユーザの「振る」動作を検出するための特別なセンサが搭載された携帯型の再生装置である。再生装置1は、コンテンツの再生中に特別なセンサによって検出した「振る」動作を再生装置の処理動作を指示するための入力信号として取扱い、予め設定された操作パターンと比較して所定の処理動作を行なうものである。なお、ここでいうコンテンツの一例として、音声コンテンツ、特にCD(Compact Disc)などの外部記憶媒体に記憶されている音楽コンテンツ、HDD(Hard Disc Drive)、MD(Mini Disc)、フラッシュメモリに記憶された音楽コンテンツの例を挙げて説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。また、本実施例は、携帯型の再生装置を例として説明するが、必ずしも携帯型ではなく、たとえば車載型などの携帯できない再生装置としても適用できる。また、コンテンツは音楽コンテンツに限られず、映像を有するコンテンツ(音楽を有していてもよい)であってもよい。
【0017】
(再生装置1のハードウェア構成)
図1は、本発明の実施形態に係る再生装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。再生装置1は、図1に示すように、システムマイコン2、DSP3、センサ4、表示部5、操作部6、記憶部7、DAC(D/Aコンバータ)9、増幅部10、出力部11とを主要な構成要素としている。なお、記憶部7には、再生制御を行なうための再生制御プログラム8が記憶されている。
【0018】
再生制御部としてのシステムマイコン2は、CPU(不図示)などにより構成され、再生装置1全体の制御を行なう。具体的には、システムマイコン2は、センサ4や操作部6からの各入力信号に基づいて制御信号を生成し、再生装置1の記憶部7に記憶されている音楽コンテンツの再生処理、再生する音楽コンテンツの区分を変更できるカテゴリ変更処理、現在再生されている音楽コンテンツから次の音楽コンテンツへ再生を切り替えるスキップアップ処理、現在再生されている音楽コンテンツから前の音楽コンテンツへ再生を切り替えるスキップダウン処理、記憶部7に記憶されている音楽コンテンツをランダムに選択して再生するランダム再生処理などを行なうことができる。なお、システムマイコン2が、記憶部7に記憶されている再生制御プログラム8に従った演算処理を行なうことにより請求項の再生制御部の機能が実現される。
【0019】
DSP3は、音声や画像などの処理に特化したマイクロプロセッサであって、システムマイコン2からの制御信号に基づいて、USBコントローラ(不図示)などを介して記憶部7より入力された音声信号をデコードして、DAC9に出力する。
【0020】
振り動作検出部としてのセンサ4は、たとえば加速度センサなどで構成され、再生装置1が振られたときの加速度を検出するセンサである。また、センサ4は、再生装置1を略横方向もしくは略縦方向に急激に動かしたときに生じる所定の閾値を超える動的加速度(速度の変化)を検出すると、システムマイコン2に振り動作検出信号を供給する。図2は、図1に示す再生装置1のセンサ4の取り付け例を示す図である。図2に示すように、再生装置1の筐体内部には、2個のセンサ4A,4Bが設けられている。センサ4A,4Bは、再生装置1の筐体前面Zに平行な2次元平面の動きを検出するように直交した検出軸X、Y上にそれぞれ配置されている。なお、「振り」動作を検出する方法として、1方向のみの動きで検出する場合には1個のセンサ4A(もしくは4B)のみを用いるようにしてもよい。また、3次元空間での再生装置1の動きを検出するときには、更に検出軸X、Yに直交する検出軸上に3個目のセンサ(不図示)を設けるようにしてもよく、1個のセンサでXYZ方向の動きを検出するセンサであれば1個で用いても良い。
【0021】
表示部5は、システムマイコン2の制御により記憶部7に記録されている音楽コンテンツに関連する文字情報(アーティスト情報、楽曲情報、再生時間情報、カテゴリ情報など)を読み出して表示する。操作部6は、ユーザからの再生装置1の動作指示を行なうための入力手段である。記憶部7は、たとえばHDD、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read On Memory)、フラッシュメモリなどから構成され、再生制御を行なうための再生制御プログラム8や楽曲などの音楽コンテンツ(不図示)が少なくとも記憶されている。すなわち、記憶部7は、書き換える必要のない各種プログラム(音楽コンテンツ再生プログラムを含む)が格納される領域(たとえばROM)、プログラム8を実行するための一時的なワークエリアとしての領域(たとえばRAM)、音楽コンテンツが記憶されている領域(たとえばHDD)を有している。なお、記憶部7には、CD、MD、メモリーカード、USBメモリ、DVDなどの外部記憶媒体が構成として含まれていてもよい。
【0022】
図3は、図1に示す再生装置1の記憶部7に記憶されている音楽コンテンツに関連する情報の一例を示す図である。図3に示すように記憶部7には、「アーティスト名」、「楽曲名」、「再生時間」、「カテゴリフラグ」などが格納されている。「アーティスト名」、「楽曲名」、「再生時間」は、音楽コンテンツに関連する情報であり、それぞれ当該音楽コンテンツのアーティスト名、楽曲名、再生時間である。「カテゴリフラグ」は、記憶部7に記憶されている各音楽コンテンツのBPM情報によって分類されるカテゴリを示す情報であり、BPM情報は外部データベースから取得してもよく、またBPM測定モジュール8bなどを用いて測定してもよく、このカテゴリフラグは音楽コンテンツが記憶部7に記憶されるときに設定されるようにしてもよい。図3に示す例では、カテゴリフラグは、1〜3まで存在し、カテゴリフラグ1には、「セーモ」、「なまものがかり」が分類されて、カテゴリフラグ2には、「小鳥ブライアン」、「なかぶちつよし」が分類され、カテゴリフラグ3には、「武田聖子」が分類されている。なお、図3に示す例では、それぞれのカテゴリ毎にアーティストが分類されているが、同じアーティストであっても、楽曲によって異なるカテゴリに属するようにしてもよい。
【0023】
DAC9は、デジタル信号をアナログ信号に変換する回路により構成され、システムマイコン2の制御に基づいて、DSP3より入力された音声信号をアナログ信号に変換して、出力部11に出力する。増幅部10は、DSP3より入力された音声信号の音量レベルを増幅または減衰して出力部11に出力する。
【0024】
(再生装置のソフトウェア構成)
続いて、図1に示す再生装置1の記憶部7に記憶されている再生制御プログラム8について説明する。図4は、図1に示す再生装置1の記憶部7に記憶されている再生制御プログラム8のソフトウェア構成を概略的な流れと共に示した図である。図4に示すように、再生装置1の記憶部7に記憶されている再生制御プログラム8には、BPM(Beat Per Minutes)測定モジュール8a、カウントモジュール8b、コマンド生成モジュール8cとが含まれている。
【0025】
テンポ取得部としてのBPM測定モジュール8aは、再生装置1が振られた時のテンポ(再生装置1が振られた時間間隔および振られた回数)を測定し、測定された値に一致するカテゴリを特定し、カテゴリ変更やスキップアップ処理を行なうためのモジュールである。カウントモジュール8bは、BPM測定モジュール8aのサブモジュールであり、テンポを測定するためのカウントダウンを行なうカウンタ1(不図示)と振られた回数をカウントするカウンタ2(不図示)を備えている。再生カテゴリ変更部としてのコマンド生成モジュール8cは、BPM測定モジュール8aの指示により所定のコマンドを生成するモジュールである。また、コマンド生成モジュール8cは、生成したコマンドをシステムマイコン2に供給するモジュールである。
【0026】
図4に示すように、センサ4からシステムマイコン2を経由して供給される振り動作検出信号が供給されると、BPM測定モジュール8aは、カウントモジュール8bを用いてユーザが振るテンポを測定する。そして、BPM測定モジュール8aは、振るテンポを測定した結果、予め登録されているいずれかのBPMパターン(図5参照)と一致した場合に、一致したBPMパターンに対応したカテゴリ情報をコマンド生成モジュール8cへ供給する。なお、BPM測定モジュール8aは、登録されているカテゴリのいずれにも対応しないBPMパターンである場合には、通常のスキップアップ処理と判定して、スキップアップ信号をコマンド生成モジュール8cへ供給する。コマンド生成モジュール8cは、BPM測定モジュール8aから供給された情報に対応するコマンド(カテゴリ変更コマンドもしくはスキップアップコマンド)を生成する。なお、これらのコマンドがシステムマイコン2へ供給されることにより、再生する音楽コンテンツのカテゴリ変更もしくはスキップアップ処理が行なわれる。
【0027】
(カテゴリとテンポの対応付けについて)
続いて、音楽コンテンツを分類するカテゴリとテンポとの対応付けについて説明する。図5は、図1の再生装置1の記憶部7に記憶された音楽コンテンツを分類するカテゴリとテンポの対応付けを示す図である。図5に示すように、カテゴリ1〜3は、図3に示したカテゴリフラグの数値と対応しており、これらのカテゴリ毎にBPM(回/分)が予め設定されている。たとえば、カテゴリ1は、BPM=120(つまり、0.5秒間隔に1回振る)と予め設定されており、カテゴリ1のBPMを検出するための測定時間(X)は3秒、判定時間(A)は2.5秒と設定されている。この判定時間(A)は、テンポを測定するためのカウントダウンを行なうカウンタ1でカウントダウンが始動された後の値(X´)と比較して、一致するか否かを判定するために用いられる。たとえば、上述したカテゴリ1ではBPM=120であるため、0.5秒間隔で振られることを意味するので、2回目の振り動作は、カウントダウンをはじめてから0.5秒後となる2.5秒で振られていれば、BPM=120、つまりカテゴリ1であると判定することができる。なお、これらの情報は、BPM測定モジュール8aのプログラム内のデータとして予め組み込まれていてもよいし、記憶部7に記憶されていてもどちらでもよい。ただし、ユーザがこれらの情報を自由に設定するようにする場合には、記憶部7に記憶されていることが好ましい。
【0028】
(再生装置の動作)
続いて、図1に示す再生装置1の動作(再生方法)について説明する。図6は、図1に示す再生装置1が行なう再生制御処理のフローチャートである。この再生装置1の動作は、再生装置1を振るテンポが所定のリズムである場合に再生する音楽コンテンツのカテゴリを変更することができ、それ以外の場合は再生もしくは選択されている音楽コンテンツをスキップアップ(次の曲へ再生切り替えをする)するものである。なお、図6に示す各ステップは、図1および図2に示した記憶部7に記憶されているプログラム8(BPM測定モジュール8a、カウンタモジュール8b、コマンド生成モジュール8c)のアルゴリズムに従って実行されるものである。また、説明中に示すカウンタ1(X)には、図5に示したようにカテゴリ毎の測定時間がそれぞれ格納されており、上述したカウントモジュール8bによりカウントダウンが行なわれる。また、カウンタ2(M)は、再生装置1が振られた回数が格納されており、初期値を0として上述したカウントモジュール8bにより振られた回数をカウントする。以下、各ステップについて説明する。
【0029】
START:再生装置1の全体の動作を制御するシステムマイコン2は、再生装置1の電源がONにされるかまたは再生制御処理モードがONになると再生制御処理を開始する。なお、再生装置1の状態の変更(再生開始、ランダム再生機能作動中など)により再生制御処理を開始してもよい。
【0030】
ステップS1:システムマイコン2は、再生装置1が振られたか否かを判定する振り動作判定を行なう。具体的には、システムマイコン2は、センサ4からの振り動作検出信号が入力されたか否かを監視する。システムマイコン2は、センサ4からの振り動作検出信号が入力された場合(ステップS1でYES)には、ステップS2の処理へ移行する。システムマイコン2は、センサ4からの振り動作検出信号が入力されない場合(ステップS1でNO)には、振り動作検出信号が入力されるまで監視しつづけて、待機状態となる。
【0031】
ステップS2:システムマイコン2は、BPM測定モジュール8aおよびカウンタモジュール8bに従って、カウンタ2(M)に1を加算する。これにより、振られた回数が加算され、カウンタ2(M)に累計振り動作回数が記憶されることになる。そして、システムマイコン2は、ステップS2の処理が完了すると、ステップS3の処理へ移行する。
【0032】
ステップS3:システムマイコン2は、センサ4からの振り動作検出信号が入力されるとBPM測定を開始するためにカテゴリ1〜3のそれぞれのBPM測定時間(X)もしくはカウントダウンされて減少しているBPM測定時間(X´)を取得すると共に、これらの値(X)もしくは(X´)が判定時間(A)と一致するか否か(つまり、X(もしくはX´)=Aであるか否か)をそれぞれ判定する。具体的には、システムマイコン2は、BPM測定モジュール8aに従って、記憶部7に記憶されているカテゴリ1〜3の測定時間(X)を取得するためにカウンタ1を読みにいく。そして、カウンタ1に格納されているカテゴリ1〜3の測定時間(X)と、予めカテゴリ毎に定められている判定時間(A)とが一致しているか否かを判定する。たとえば、初めて「振る」動作が検出された場合は、上記の判定式(X(もしくはX´)=A)を満たすことはないので(ステップS3でNO)、ステップS4の処理へ移行する。一方、システムマイコン2は、「振る」動作が2回目以降であって、カウントダウンされて減少しているBPM測定時間(X´)と判定時間(A)が一致する、つまり上記の判定式(X(もしくはX´)=A)が成り立つ場合(ステップS3でYES)には、ステップS6の処理へ移行する。なお、上記の判定式が厳密すぎると、ユーザの操作性に影響するため、Aの値に幅をもたせて、若干の誤差があっても上記の判定式(X(もしくはX´)=A)が成り立つとみなすようにしてもよい。
【0033】
ステップS4:システムマイコン2は、ステップS3の判定処理が成り立たないため、現在再生中の音楽コンテンツを次の音楽コンテンツへ切り替えるスキップアップ処理を行なう。具体的には、システムマイコン2は、BPM測定モジュール8aに従って、コマンド生成モジュール8cにスキップアップ処理を行なわせるスキップアップコマンドを生成して、次の音楽コンテンツへ再生切り替えを行なうスキップアップ処理を行なう。なお、後述するステップS6でNOの判定となった場合にも、本処理を行なう。ここで、システムマイコン2は、音楽コンテンツが再生されておらず、当該音楽コンテンツに関連する情報が表示部5に表示されているのみの場合には、このステップS3において次の音楽コンテンツに関連する情報を表示部5に表示させるようにしてもよい。システムマイコン2は、ステップS4の処理が完了するとステップS5の処理へ移行する。
【0034】
ステップS5:システムマイコン2は、BPM測定モジュール8aおよびカウンタモジュール8bに従って、カウンタ1を始動させ、取得した各カテゴリの測定時間(X)のカウントダウンをそれぞれ開始する。なお、ステップS5の処理は、毎回、各カテゴリの測定時間(X)の値を取得してカウントダウンをそれぞれ開始する。システムマイコン2は、各カテゴリの測定時間(X)のカウントダウンがそれぞれ開始されると、ステップS8の処理へ移行する。
【0035】
ステップS6:一方、システムマイコン2は、BPM測定モジュール8aおよびカウンタモジュール8bに従って、ステップS2の処理で判定時間(A)と一致する場合(ステップS3でYES)には、各カテゴリのそれぞれの累積振り動作回数を得るためにカウンタ2(M)を読みこんで、カウンタ2(M)の値が「2」であるか否か(つまり、再生装置1の振られた回数が2回目であるか否か)を判定する。システムマイコン2は、カウンタ2(M)の値が「2」である場合(M=2、ステップS6でYES)には、ステップS7の処理へ移行する。一方、システムマイコン2は、カウンタ2(M)の値が「2」以外である場合(ステップS6でNO)には、ステップS4の処理へ移行する。このような判定を行なうことにより、2回目以降の振る動作に関しては、スキップアップ処理とし、2回目の時のみカテゴリ変更処理を行なうことができる。
【0036】
ステップS7:システムマイコン2は、カテゴリ変更処理を行なう。具体的には、システムマイコン2は、コマンド生成モジュール8bを用いてBPM測定モジュール8aで一致したと判定されたカテゴリに変更するカテゴリ変更コマンドを生成し、カテゴリ変更処理を行なう。たとえば、カテゴリ2に属する楽曲を再生中に、カテゴリ1に変更するカテゴリ変更コマンドを生成し、割り込み処理によりカテゴリ1に属する楽曲の再生を行なう。システムマイコン2は、カテゴリ変更処理が終了すると、ステップS8の処理へ移行する。
【0037】
ステップS8:システムマイコン2は、センサ4からの振り動作検出信号が検出されたか否かを判定する。システムマイコン2は、センサ4からの振り動作検出信号が検出された場合(ステップS8でYES)には、再生装置1が振られたのでステップS2の処理へ移行して振られた回数を加算して記憶する。一方、システムマイコン2は、センサ4からの振り動作検出信号が検出されない場合(ステップS8でNO)には、ステップS9の判定処理へ移行する。
【0038】
ステップS9:システムマイコン2は、BPM測定モジュール8aおよびカウンタモジュール8bに従って、カウントダウンが完了しているか否か(カウンタ1(X´)=0)を判定する。システムマイコン2は、BPM測定モジュール8aおよびカウンタモジュール8bに従って、カウントダウンが完了している(カウンタ1(X´)=0)場合(ステップS9でYES)には、ステップS10の処理へ移行する。一方、システムマイコン2は、カウントダウンが完了していない(カウンタ1(X´)≠0)場合(ステップS9でNO)には、ステップS8へ処理を戻す。
【0039】
ステップS10:システムマイコン2は、BPM測定モジュール8aおよびカウンタモジュール8bに従って、カウントダウンが完了している場合には、カウンタ2をリセットして(Mに0を代入)、ステップ1へ処理を戻す。
【0040】
このようなステップS8とステップS9との判定処理により、システムマイコン2は、ステップS1で再生装置1が振られてから更に再生装置1が振られるか、またはステップS5においてカウントダウンが開始されてから、カウンタ1の値(X)の値の分だけ時間が経過するまでループ処理を行なう。そして、このループ処理の間に再生装置1が振られると、再びステップS2〜ステップS7までの処理を繰り返し、カウンタ1が0になってループ処理を抜けると、システムマイコン2は、ステップS10でカウンタ2の振り動作回数をリセットして、再びステップS1の振り動作判定を行ないながら待機状態へ移行する。
【0041】
このような再生装置1および上述した再生方法とすることで、再生装置1を振るときの所定のリズム(BPM)により再生する音楽コンテンツのカテゴリを変更することが可能となる。また、再生装置1を振るときの所定のリズムを変えることで、他のカテゴリに属する音楽コンテンツの再生が可能となる。したがって、たとえば、ランダム再生中に再生装置1を所定のリズムで振ると、ランダム再生中であっても、その場で聞きたいカテゴリの音楽コンテンツを効率的に再生することができる。つまり、所定のリズムで振ったリズムのカテゴリに属する音楽コンテンツのランダム再生を開始することができる。また、再生装置1および上述した再生方法は、所望の楽曲を聞くために要する従来の振り動作回数と比較して低減することができるので、振ることにより発生する再生装置1を落下させてしまうリスクや、センサ4の回路や機構の消耗を軽減することができる。つまり、再生装置1および上述した再生方法は、回路や機構の消耗を軽減すると共に、ユーザに対しても操作負担とならずに所望の楽曲を選曲できる。
【0042】
(再生装置1に用いられるプログラム8)
続いて、図1および図2に示す再生装置1に用いられるプログラム8について説明する。再生装置1に用いられるプログラム8は、記録媒体(記憶部7)に記録され、この記録媒体を用いて本実施例のプログラム8を再生装置1にインストールすることができる。あるいは、本実施例のプログラム8を保持するサーバからネットワークを介して直接再生装置1に本実施例のプログラムをインストールすることもできる。これにより、情報処理装置(以下、コンピュータという)を用いて、本発明の実施形態の再生装置1におけるシステムマイコン2の制御機能に相応する機能を実現することができる。なお、本実施例のプログラム8は、情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0043】
このようなプログラム8とすることで、回路や機構の消耗を軽減すると共に、ユーザに対しても操作負担とならずに所望の楽曲を選曲することができる再生装置1を実現することができる。
【0044】
(変形例)
以上、再生装置1を本発明の実施形態例として説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0045】
たとえば、図2に示したプログラム8では、振り動作検出信号が入力されると、カテゴリ変更コマンドまたはスキップアップコマンドを生成していたが、スキップアップコマンドの代わりに、現在再生もしくは選択されている音楽コンテンツの前の音楽コンテンツへ切り替えるスキップダウン処理を行なわせるためのスキップダウンコマンドを生成するプログラム8としてもよい。または、再生装置1の「振り」動作の種類によって、カテゴリ変更コマンドまたは予め定められている処理を行なわせるコマンドを生成するように変更してもよい。また、カテゴリ変更コマンド以外は、特にコマンドを生成させないようにしてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、図6のステップS6において、カウンタ2(M)の値を2と固定したが、このカウンタ2(M)の値を、2以外の値(たとえば3、4、5、6など)としてもよい。このような値とすることで、たとえば、ユーザが同一カテゴリ内で聞きたい曲を探している場合に、何度も同じテンポで再生装置1を振ると、2回ごとにカテゴリ変更処理が行なわれ、ランダム再生以外の場合には、同一カテゴリ内の最初の音楽コンテンツが毎回必ず再生されるということになるが、2以外の回数とすることで、同じテンポで再生装置1を振りつづけても、その定められた回数まではカテゴリ変更処理ではなく、スキップアップ処理が行なわれ、上述した問題が起こりにくくなるという効果がある。
【符号の説明】
【0047】
1・・・再生装置、2・・・システムマイコン(再生制御部)、3・・・DSP、4・・・センサ(振り動作検出部)、5・・・表示部、6・・・操作部、7・・・記憶部、8・・・再生制御プログラム(プログラム)、8a・・・BPM測定モジュール(テンポ取得部)、8b・・・カウントモジュール、8c・・・コマンド生成モジュール(再生カテゴリ変更部)、9・・・DAC(再生部の一部)、10・・・増幅部(再生部の一部)、11・・・出力部(再生部の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを再生する再生部と、
再生装置を振る動作および所定の単位時間あたりの振る動作の回数を検出する振り動作検出部と、
上記コンテンツを複数のカテゴリに予め分類しておき、上記振り動作検出部により検出した所定の単位時間あたりの振る動作の回数に応じて再生する上記コンテンツの上記カテゴリを別の上記カテゴリに変更する再生制御部と、
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の再生装置において、
前記再生制御部は、
前記振り動作検出部で検出した振り動作回数のテンポを取得するテンポ取得部と、
上記テンポ取得部が所定のテンポであると判定したときに、再生対象となっている前記カテゴリを前記所定のテンポに関連付けられた別のカテゴリに変更する再生カテゴリ変更部と、
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の再生装置において、
前記再生制御部によって変更された前記別のカテゴリに含まれる前記コンテンツへスキップして再生することを特徴とする再生装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の再生装置において、
前記再生制御部によるカテゴリ変更をランダム再生中に行なうことにより変更したカテゴリに含まれる前記コンテンツのランダム再生を行なうことを特徴とする再生装置。
【請求項5】
振り動作および単位時間あたりの振り動作回数を検出するステップと、
上記コンテンツを複数のカテゴリに予め分類しておき、単位時間あたりの振り動作回数に応じて再生する上記コンテンツの上記カテゴリを別の上記カテゴリに変更するステップと、を有することを特徴とする再生方法。
【請求項6】
コンピュータを、コンテンツを再生する再生手段、振り動作および単位時間あたりの振り動作回数を検出する振り動作検出手段、上記コンテンツを複数のカテゴリに予め分類しておき、上記振り動作検出部により検出した単位時間あたりの振り動作回数に応じて再生する上記コンテンツの上記カテゴリを別の上記カテゴリに変更する再生制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−157301(P2010−157301A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242(P2009−242)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】