再生装置および方法、プログラム
【課題】 動画像の撮影の途中で各フレームの撮影における露光時間が変化した場合、再生される動画像における被写体の動きの滑らかさが再生の途中で変化してしまう恐れがあった。
【解決手段】 撮影された動画像を再生する再生装置において、フィルタ回路203は、動画像を構成するフレームの撮影条件(シャッタースピード情報s)を取得する。そして、取得されたシャッタースピードに応じたパラメータ(指向型平滑化フィルタカーネル)を用いて、フレームの画素情報を平滑化する(S307)。
【解決手段】 撮影された動画像を再生する再生装置において、フィルタ回路203は、動画像を構成するフレームの撮影条件(シャッタースピード情報s)を取得する。そして、取得されたシャッタースピードに応じたパラメータ(指向型平滑化フィルタカーネル)を用いて、フレームの画素情報を平滑化する(S307)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影された動画像を再生するための再生装置および方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各フレームが短い露光時間で撮影された動画像を再生する場合、特に被写体の動きが大きいときには、その動きを滑らかに再生できないという問題があった。
【0003】
このような、撮影時の露光時間と再生時の動きの滑らかさの問題を解決するための従来技術として、例えば特許文献1がある。特許文献1では、短い露光時間で連続撮影した複数の静止画から、移動する被写体の動きが滑らかに見える動画用のフレーム画像を得るために、連続撮影された2つの静止画像の間に位置する予測画像を生成し、撮影した静止画像に予測画像を重ねる処理を行っている。
【特許文献1】特開2006−287921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、動画像の撮影の途中で各フレームの撮影における露光時間が変化した場合、再生される動画像における被写体の動きの滑らかさが再生の途中で変化してしまう恐れがある。
【0005】
撮影中に露光時間が変化する例として、ビデオカメラで絞りを固定して動画像を撮影する場合に、適正露出を得るために、シャッタースピード変動させる場合がある。ここで、例えば、撮影開始時はシャッタースピードが遅く、撮影中にシャッタースピードが速くなった場合、再生する動画像における被写体の動きが、途中から滑らかに見えなくなってしまう恐れがある。このように、動画像の撮影中に、シャッタースピードが遅い(露光時間が長い)状態から、シャッタースピードが速い(露光時間が短い)状態に変化すると、再生する動画像における被写体の動きが、再生の途中で滑らかでなくなってしまう恐れがあった。また、逆に、撮影中のある時刻においてはシャッタースピードが速い(露光時間が短い)状態で、その後シャッタースピードが遅い(露光時間が長い)状態に変化した場合も、再生の途中で被写体の動きの滑らかさが変化してしまう恐れがあった。このように、動画像の再生中に動きの滑らかさが変化すると、ユーザが違和感を感じてしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、撮影中に各フレームの撮影における露光時間が変化するような動画像を再生する場合に、被写体の動きの滑らかさの変化を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の再生装置は、以下の構成を有する。即ち、撮影された動画像を再生する再生装置であって、動画像を構成するフレームの撮影条件を取得する取得手段と、取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化する平滑化手段とを有する。
【0008】
また、本発明の再生方法は、撮影された動画像を再生する再生装置が行う再生方法であって、前記動画像を構成するフレームの撮影条件を取得する取得工程と、前記取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、前記フレームの画素情報を平滑化する平滑化工程とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮影中に各フレームの撮影における露光時間が変化するような動画像を再生する場合に、被写体の動きの滑らかさの変化を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施形態1>
以下、本発明の第1の実施形態について図面を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲がこの実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
まず、露光時間を判断するための撮影条件としてシャッタースピード情報sを符号化ストリームに付加する撮像装置、および再生時にシャッタースピード情報sを用いて、フィルタリングの制御を行う再生装置について、図1、図2を使って説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における撮影装置の構成例を示したものである。尚、本実施形態における撮影装置は、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ノートブックPC、パームトップPC、コンピュータを内蔵した各種家電製品、ゲーム機、携帯電話などのうち、動画像の撮影が行える装置、もしくは、これらの組合せにより実施可能である。
【0013】
同図において、シャッタースピード制御回路101は、各フレームの撮影におけるシャッタースピードを設定し、当該設定に応じたシャッタースピード情報sを、撮像部102及び、ストリーム複合回路104に出力する。撮像部102は、シャッタースピード制御回路101によって設定されたシャッタースピードで画像を撮影し、得られた画像データを符号化回路103へ出力する。符号化回路103は、撮像部102によって出力された画像データの符号化処理を行い、得られた符号化ストリームをストリーム複合回路104へ出力する。ストリーム複合回路104は、符号化回路103によって出力された符号化ストリームと、シャッタースピード制御回路101から出力されたシャッタースピード情報sを対応付けて複合する。例えば、符号化ストリームがMPEG2の規格に基づくものである場合、シャッタースピード情報sは、フレームごとに設けられた、ピクチャ層のEIP(Extra Information Picture)と呼ばれる領域等に埋め込むことができる。ただし、それ以外の場所に埋め込むようにしても良い。そして、得られたデータストリームを、後述する再生装置に対して出力する。ただし、ストリーム複合回路104によるデータストリームの出力先は、例えば、記録媒体等であっても良い。
【0014】
図2は、本実施形態における再生装置の構成例を示したものである。尚、本実施形態の再生装置は、デジタルテレビ、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ノートブックPC、パームトップPC、コンピュータを内蔵した各種家電製品、ゲーム機、携帯電話などのうち、撮影された動画像を再生する装置、もしくは、これらの組合せにより実施可能である。
【0015】
同図において、ストリーム分離回路201は、本実施形態の撮影装置が出力したデータストリームから、シャッタースピード情報sと符号化ストリームを分離する。そして、ストリーム分離回路201は、シャッタースピード情報sをフィルタ回路203へ、符号化ストリームを画像生成回路202へ出力する。画像生成回路202は、符号化ストリームを復号し、復号された画像データ、および符号化された動きベクトル情報を、フィルタ回路203へ出力する。フィルタ回路(平滑化回路)203は、ストリーム分離回路201によって出力されたシャッタースピード情報s、及び画像生成回路202によって出力された動きベクトル情報に基づいて、再生画像のフィルタリング処理を行い、再生させる。即ち、フィルタ回路203は、動画像を構成するフレームの撮影条件(シャッタースピード情報s)を取得する。そして、フィルタ回路203は、取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化(フィルタリング)する。
【0016】
以下、フィルタ回路203によるシャッタースピード情報sに応じたパラメータによるフィルタリングの方法について、図3を用いて説明する。
【0017】
図3は、本実施形態のフィルタ回路203が行う、フィルタリング処理を行う画素(対象画素)に対する処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態では、対象画素ごとに、これから図3を用いて説明するフィルタリング処理を実行する。尚、図3の処理をソフトウェアによって行うことも可能である。即ち、本実施形態の再生装置は、図3を用いて説明する各処理を、予め記憶されたプログラムに基づいて行うようにすることもできる。この場合、再生装置の各制御を行うCPUが、ROM等に記憶される制御プログラムを適宜読み出し、フィルタリング処理を実行する。
【0018】
尚、本実施形態では、シャッタースピード情報sに応じたパラメータの決定、及び決定されたパラメータによるフィルタリング処理を、画素単位で行う例について説明するが、これに限らず、例えばマクロブロック単位など、任意の単位で処理を行うようにしても良い。ここで、マクロブロックとは、例えば、MPEG2等の規格において、16×16画素を示している。
【0019】
同図において、S301では、画像生成回路202から出力された対象画素の動きベクトル情報(Xv,Yv)に対して、式1により、動きベクトルのスカラlを算出する。S302(取得手順)では、シャッタースピード情報sを取得し、フレーム間隔t、シャッタースピード情報s、動きベクトルのスカラlから、式2により、フィルタ半径rを算出する。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】
尚、フレーム間隔tは、画像生成回路202が符号化ストリームを復号する過程で得られる。フレーム間隔tの例として、例えば、1/29.97、シャッタースピード情報sが示すシャッタースピードの例として、例えば、1/30、1/60、1/100などがある。S303では、算出されたフィルタ半径rの値を判断し、フィルタ半径rが2以上の場合、S304に移行し、2未満の場合は、処理を終了する。尚、S303で判断するフィルタ半径rの閾値は、2に限らず、任意の値を設定可能である。このように、S303でフィルタ半径rの大きさを判断し、所定の値よりも大きいときにフィルタリング処理を行うようにすることで、フィルタリング処理に関する処理量を減らすことができる。また、フィルタ半径rを判断することで、フレーム間隔t、シャッタースピードs、スカラlを考慮して、フィルタリング処理の有無を決定できる。しかし、フィルタ半径rの判断に限らず、例えば、S301で算出したベクトルのスカラlの大きさからフィルタリング処理を行うかを判断するようにしても良い。このようにすれば、フィルタリング処理を行わない画素におけるフィルタ半径rを算出する処理を省略することができる。
【0023】
S304では、動きベクトル情報(Xv,Yv)から、式3により角度θを算出する。そして、S305では、フィルタ半径rの平滑化フィルタカーネルを生成する。尚、S304とS305の処理の順序は、逆でも良い。S306では、S304で求めた角度θ及びS302で求めたフィルタ半径rの値に基づき、式4により行列Aを計算する。そして、計算された行列Aにより、S305で生成した平滑化フィルタカーネルを写像し、指向型平滑化フィルタカーネルを生成する。S305で生成される平滑化フィルタカーネル、及び、S306で生成される指向型平滑化フィルタカーネルの例を図4に示す。
【0024】
【数3】
【0025】
【数4】
【0026】
S307(平滑化手順)では、S306で生成された指向型平滑化フィルタカーネルを用いて、対象画素のフィルタリング処理を行う。即ち、フィルタ回路203は、撮影条件(シャッタースピード情報s)に応じた範囲の画素情報を用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化する。以上説明したように、本実施形態では、撮影条件(シャッタースピード情報s)に応じたパラメータ(指向型平滑化フィルタカーネル)を用いてフィルタリング処理を行う。例えば、シャッタースピードが高速である(露光時間が短い)場合は、動きが滑らかに再生されるように、広範囲の画素情報を用いてフィルタリングを行う。また、逆に、シャッタースピードが低速である(露光時間が長い)場合は、対象画素の情報がフィルタリングによって大きく変化しないように、狭い範囲の画素情報でフィルタリングを行うか、又はフィルタリングを行わないようにする。このようにすることで、撮影中に各フレームの撮影における露光時間が変化するような動画像を再生する場合であっても、被写体の動きの滑らかさの変化を低減させることができるようになる。
【0027】
尚、撮影データから静止画を得る場合は、フィルタリング処理をせずに画像を出力することにより、フィルタリング処理のされていない静止画を取得することも可能である。
【0028】
また、本実施形態では、S305において、半径rの平均値フィルタを生成するが、これに限らない。即ち、本実施形態では、撮影条件に応じて平滑化フィルタの半径rを決定していたが、例えば、半径rを一定値とし、撮影条件に応じて、平滑化フィルタ内での平滑化の強度を変化させるようにしても良い。つまり、例えば、遅いシャッタースピードで撮影された画像を再生する場合は、平滑化において、ほかの画素の情報の影響をあまり受けないように(対象画素の情報が平滑化によってあまり変化しないように)対象画素の平滑化を行う。一方、速いシャッタースピードで撮影された画像を再生する場合は、平滑化フィルタ内のほかの画素の情報によって対象画素がより強く平滑化されるように平滑化を行う。また、半径rが固定された平滑化フィルタにおいて、動きベクトル情報に応じて、対象画素の平滑化に用いる各画素の重み付けを決定するようにしても良い。即ち、フィルタ回路203は、撮影条件に応じた平滑化の強度を示すパラメータを用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化するようにしても良い。このようにすることで、平滑化フィルタの半径rを算出する処理を省略することができる。
【0029】
また、本実施形態のフィルタ回路203は、動き情報として、動きベクトル情報、即ちフレーム内の被写体の動き情報を取得し、撮影条件と動きベクトル情報に応じて指向型フィルタカーネルを生成していた。しかし、動きベクトル情報に限らず、例えば、動画像撮影時の撮影装置の動き情報を取得し、撮影条件と、撮影装置の動き情報とに応じて指向型フィルタカーネルを生成するようにしても良い。このようにすれば、動きベクトルの情報によらず、被写体の動きの滑らかさの変化を低減させることができる。
【0030】
また、本実施形態のストリーム複合回路104は、シャッタースピード情報sを、本実施形態のようなフィルタリング処理の制御ができない再生装置で無視されるようにオプショナルなエントリー項目として複合する。このようにすることにより、既存の再生装置でも再生可能なデータストリームが作成できる。
【0031】
また、本実施形態では、シャッタースピード情報sをフレームごとに付加する例について説明したが、別の間隔でシャッタースピード情報sを付加するような場合であっても良い。別の間隔とは、例えば、GOP(Group Of Picture)ごとやシーケンスごとなどである。この場合、例えば各GOPのヘッダやシーケンスのヘッダに付加されたシャッタースピード情報sを用いて、上述したようなフィルタリング処理を行う。また、シャッタースピードが変化したタイミングでシャッタースピード情報sを付加するようにしても良い。即ち、本実施形態のフィルタ回路203は、フレームの撮影条件(シャッタースピード情報s)を繰り返し取得する。
【0032】
また、本実施形態の画像生成回路202は、符号化された動きベクトル情報を出力しているが、復号された画素あるいはブロックごとに動きベクトルを再探索し、得られた動きベクトルを出力するようにしてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、フィルタリング処理を行うパラメータを決定するための撮影条件の情報として、シャッタースピード情報sを用いているが、これに限らない。そのほかの撮影条件の情報として、例えば、露光時間情報や、ズーム倍率情報zなどを用いてフィルタリング処理を制御することができる。ズーム倍率情報zを用いてフィルタリング処理を制御する形態については、実施形態2で詳細に説明する。
【0034】
また、本実施形態では、画素単位でフィルタリングに関する一連の処理を行っているが、これに限らない。例えば、動きベクトルの情報がマクロブロック単位で与えられている場合は、S301からS306までの処理をマクロブロック単位で行い、S307の処理のみ画素単位で行うようにしても良い。このようにすれば、フィルタリングにかかる処理の量を削減することができる。
【0035】
<実施形態2>
本実施形態では、撮影条件としてシャッタースピード情報s、及びズーム倍率情報zを符号化ストリームに付加し、再生時にこれらの撮影条件の情報を用いて、フィルタリングの制御を行う再生装置について説明する。
【0036】
図5は、本実施形態における撮影装置、図6は、本実施形態における再生装置の構成例を示したものである。
【0037】
尚、図5に示した撮影装置は、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ノートブックPC、パームトップPC、コンピュータを内蔵した各種家電製品、ゲーム機、携帯電話などのうち、動画像の撮影が行える装置、もしくは、これらの組合せにより実施可能である。また、図6に示した再生装置は、デジタルテレビ、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ノートブックPC、パームトップPC、コンピュータを内蔵した各種家電製品、ゲーム機、携帯電話などのうち、撮影された動画像を再生する装置、もしくは、これらの組合せにより実施可能である。
【0038】
図5において、シャッタースピード制御回路501は、各フレームの撮影におけるシャッタースピードを設定し、当該設定に応じたシャッタースピード情報sを、撮像部502及び、ストリーム複合回路504に出力する。ズーム倍率制御回路505は、例えば、ユーザからの指示に応じて各フレームの撮影におけるズーム倍率を設定し、当該設定に応じたズーム倍率情報zを、撮像部502及び、ストリーム複合回路504に出力する。撮像部502は、シャッタースピード制御回路501から出力されたシャッタースピード情報sに応じたシャッタースピードで画像を撮影し、得られた画像データを符号化回路503へ出力する。符号化回路503は、符号化処理を行い、得られた符号化ストリームをストリーム複合回路504へ出力する。ストリーム複合回路504は、符号化回路503によって出力された符号化ストリームと、シャッタースピード制御回路501から出力されたシャッタースピード情報s、および、ズーム倍率制御回路505から出力されたズーム倍率情報zを対応付けて複合する。例えば、符号化ストリームがMPEG2の規格に基づくものである場合、シャッタースピード情報s及びズーム倍率情報zは、ピクチャ層のEIP(Extra Information Picture)と呼ばれる領域等に埋め込むことができる。ただし、それ以外の場所に埋め込むようにしても良い。そして、ストリーム複合回路504は、得られたデータストリームを後述する本実施形態の再生装置に対して出力する。ただし、ストリーム複合回路504によるデータストリームの出力先は、例えば、記録媒体等であっても良い。
【0039】
また、図6に示す再生装置において、ストリーム分離回路601は、本実施形態の撮影装置が出力したデータストリームから、シャッタースピード情報s、ズーム倍率情報z、及び符号化ストリームとを分離する。そして、シャッタースピード情報s、および、ズーム倍率情報zをフィルタ回路603へ、符号化ストリームを画像生成回路602へ出力する。画像生成回路602は、ストリーム分離回路601から出力された符号化ストリームを復号し、復号された画像データ、および符号化された動きベクトル情報をフィルタ回路603へ出力する。フィルタ回路603は、ストリーム分離回路601から出力されたシャッタースピード情報sとズーム倍率情報z、及び画像生成回路602から出力された動きベクトル情報に基づいて、再生画像のフィルタリング処理を行い、再生させる。即ち、フィルタ回路603は、動画像を構成するフレームの撮影条件(シャッタースピード情報s、及びズーム倍率情報z)を取得する。また、フィルタ回路603は、取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化(フィルタリング)する。
【0040】
以下、フィルタ回路603によるフィルタリングの方法について図7を使って説明する。
【0041】
図7は、本実施形態のフィルタ回路603が行う、フィルタリング処理を行う画素(対象画素)に対する処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態では、対象画素ごとに、これから図7を用いて説明するフィルタリング処理を実行する。尚、図7の処理をソフトウェアによって行うことも可能である。即ち、本実施形態の再生装置は、図7を用いて説明する各処理を、予め記憶されたプログラムに基づいて行うようにすることもできる。この場合、再生装置の各制御を行うCPUが、ROM等に記憶される制御プログラムを適宜読み出し、フィルタリング処理を実行する。
【0042】
尚、本実施形態では、フィルタリングに関する一連の処理を、画素単位で行う例について説明するが、これに限らず、例えばマクロブロック単位など、任意の単位で処理を行うようにしても良い。
【0043】
同図において、S701では、対象画素におけるフレーム(現フレーム)のズーム倍率情報z1と、現フレームの時間的に1つ前に再生されるフレームである前フレームのズーム倍率情報z0から、式7により、動き量r0を算出する。
【0044】
【数5】
【0045】
尚、式7において、(x0,y0)は、現フレームの中心の座標であり、(x1,y1)は、対象画素の座標である。S702では、動き量r0の大きさを判断し、r0が1以下の場合は、S703に進み、r0が1より大きい場合は、S710に進む。尚、S702で判断する動き量r0の閾値は、1に限らず、任意の値を設定可能である。
【0046】
このように、動き量r0に応じて処理を切り替えることで、ズーム倍率の変化が小さい場合や、ズーム倍率の変化による影響が小さい画素についてのズーム倍率情報zによるフィルタリング処理を省略することができる。
【0047】
S710では、現フレームの中心座標(x0,y0)と対象画素の座標(x1,y1)から、式5により、角度θを算出する。
【0048】
【数6】
【0049】
S711(取得手順)では、シャッタースピード情報sを取得し、フレーム間隔t、シャッタースピードs,動き量r0から、式6により、フィルタ半径rを算出する。
【0050】
【数7】
【0051】
尚、フレーム間隔tは、画像生成回路602が符号化ストリームを復号する過程で得られる。フレーム間隔tの例として、例えば、1/29.97、シャッタースピード情報sが示すシャッタースピードの例として、例えば、1/30、1/60、1/100などがある。尚、S710、S711の処理の順序は、逆でも良い。S712では、フィルタ半径rの値を判断し、rが2以上の場合は、S707に進み、rが2未満の場合は、処理を終了し、次の画素のフィルタリング処理を開始する。尚、S712で判断するフィルタ半径rの閾値は、2に限らず、任意の値を設定可能である。このように、S712でフィルタ半径rの大きさを判断し、所定の値よりも大きいときにフィルタリング処理を行うようにすることで、フィルタリング処理に関する処理量を減らすことができる。また、フィルタ半径rを判断することで、フレーム間隔t、シャッタースピードs、ズーム倍率に応じた動き量r0を考慮して、フィルタリング処理の有無を決定できる。
【0052】
S703では、画像生成回路602から出力された対象画素の動きベクトル情報(Xv,Yv)に基づいて、式1により、動きベクトルのスカラlを算出する。S704(取得手順)では、シャッタースピード情報sを取得し、フレーム間隔t、シャッタースピード情報s、動きベクトルのスカラlから、式2により、フィルタ半径rを算出する。尚、フレーム間隔tは、画像生成回路602が符号化ストリームを復号する過程で得られる。S705では、フィルタ半径rの値を判断し、rが2以上の場合、S706に進み、2未満の場合は、処理を終了して次の画素のフィルタリング処理を開始する。尚、S705で判断するフィルタ半径rの閾値は、2に限らず、任意の値を設定可能である。このように、S705でフィルタ半径rの大きさを判断し、所定の値よりも大きいときにフィルタリング処理を行うようにすることで、フィルタリング処理に関する処理量を減らすことができる。また、フィルタ半径rを判断することで、フレーム間隔t、シャッタースピードs、スカラlを考慮して、フィルタリング処理の有無を決定できる。しかし、フィルタ半径rの判断に限らず、例えば、S703で算出したベクトルのスカラlの大きさからフィルタリング処理を行うかを判断するようにしても良い。このようにすれば、フィルタリング処理を行わない画素におけるフィルタ半径rを算出する処理を少なくすることができる。
【0053】
S706では、動きベクトル情報(Xv,Yv)から、式3により角度θを計算する。そして、S707では、フィルタ半径rの平滑化フィルタカーネルを生成する。尚、S706とS707の処理の順序は、逆でも良い。S708では、S706で求めた角度θ及びS705で求めたフィルタ半径rの値に基づき、式4により行列Aを計算する。そして、計算された行列Aにより、S707で生成した平滑化フィルタカーネルを写像し、指向型平滑化フィルタカーネルを生成する。S707で生成される平滑化フィルタカーネル、及び、S708で生成される指向型平滑化フィルタカーネルの例は、図4のようになる。S709(平滑化手順)では、S708で生成された指向型平滑化フィルタカーネルを用いて、対象画素のフィルタリング処理を行う。即ち、フィルタ回路603は、撮影条件(シャッタースピード情報s、ズーム倍率情報z)に応じた範囲の画素情報を用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態では、撮影条件(シャッタースピード情報s及びズーム倍率情報z)に応じたパラメータ(指向型平滑化フィルタカーネル)を用いてフィルタリング処理を行う。例えば、シャッタースピードが高速である(露光時間が短い)場合は、動きが滑らかに再生されるように、広範囲の画素情報を用いてフィルタリングを行う。一方、シャッタースピードが低速である(露光時間が長い)場合は、対象画素の情報がフィルタリングによって大きく変化しないように、狭い範囲の画素情報でフィルタリングを行うか、又はフィルタリングを行わないようにする。また、例えば、ズーム倍率の変化により、表示画面における被写体の位置が大きく変化するような場合は、被写体の動きが滑らかに再生されるように、広範囲の画素情報を用いて当該被写体のフィルタリングを行う。一方、ズーム倍率の変化による被写体の位置の変化が小さい、又はズーム倍率が変化していない場合は、対象画素の情報がフィルタリングによって大きく変化しないように、狭い範囲の画素情報でフィルタリングを行うか、もしくはフィルタリングを行わないようにする。このようにすることで、撮影中に各フレームの撮影における露光時間が変化するような動画像を再生する場合に、被写体の動きの滑らかさの変化を低減させることができる。また、撮影中に行われたズーム倍率の変化による像の動きも滑らかに再生させることができる。
【0055】
また、本実施形態のストリーム複合回路504は、撮影条件(シャッタースピード情報s、ズーム倍率情報z)を、本実施形態のようなフィルタリング処理の制御ができない再生装置で無視されるようにオプショナルなエントリー項目として複合する。このようにすることにより、既存の再生装置でも再生可能なデータストリームが作成できる。
【0056】
尚、本実施形態の画像生成回路602は、符号化された動きベクトル情報を出力しているが、復号された画素あるいはブロックごとに動きベクトルを再探索し、得られた動きベクトルを出力するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、S707において、半径rの平均値フィルタを生成するが、これに限らない。即ち、本実施形態では、撮影条件に応じて平滑化フィルタの半径rを決定していたが、例えば、半径rを一定とし、撮影条件に応じて、平滑化フィルタ内での平滑化の強度を変化させるようにしても良い。つまり、例えば、遅いシャッタースピードで撮影された画像を再生する場合は、平滑化において、ほかの画素の情報の影響をあまり受けないように(対象画素の情報が平滑化によってあまり変化しないように)対象画素の平滑化を行う。一方、速いシャッタースピードで撮影された画像を再生する場合は、平滑化フィルタ内のほかの画素の情報によって対象画素がより強く平滑化されるように平滑化を行う。また、半径rが固定された平滑化フィルタにおいて、動きベクトル情報に応じて、対象画素の平滑化に用いる各画素の重み付けを決定するようにしても良い。即ち、フィルタ回路603は、撮影条件に応じた平滑化の強度を示すパラメータを用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化するようにしても良い。このようにすることで、平滑化フィルタの半径rを算出する処理を省略することができる。
【0058】
また、本実施形態のフィルタ回路603は、動き情報として、動きベクトル情報、即ち被写体の動き情報を取得し、撮影条件と動きベクトル情報に応じて指向型フィルタカーネルを生成していた。しかし、動きベクトル情報に限らず、例えば、動画像撮影時の撮影装置の動き情報を取得し、撮影条件と、撮影装置の動き情報とに応じて指向型フィルタカーネルを生成するようにしても良い。このようにすれば、動きベクトルの情報によらず、被写体の動きの滑らかさの変化を低減させることができる。
【0059】
また、撮影データから静止画を得る場合は、フィルタリング処理をせずに画像を出力することにより、フィルタリング処理のされていない静止画を取得することも可能である。
【0060】
また、本実施形態では、撮影条件をフレームごとに付加する例について説明したが、別の間隔で付加するような場合であっても良い。別の間隔として、例えば、GOPごとやシーケンスごとなどがある。この場合、例えば各GOPのヘッダやシーケンスのヘッダに付加されたシャッタースピード情報sを用いて、上述したようなフィルタリング処理を行う。また、撮影条件が変化したタイミングで撮影条件を付加するようにしても良い。即ち、本実施形態のフィルタ回路603は、フレームの撮影条件(シャッタースピード情報s、ズーム倍率情報z)を繰り返し取得する。
【0061】
また、本実施形態では、画素単位でフィルタリングに関する一連の処理を行っているが、これに限らない。例えば、動きベクトルの情報がマクロブロック単位で与えられている場合は、S701からS708までの処理をマクロブロック単位で行い、S709の処理のみ画素単位で行うようにしても良い。このようにすれば、フィルタリングにかかる処理の量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施形態1における撮像装置の構成例。
【図2】実施形態1における再生装置の構成例。
【図3】実施形態1におけるフィルタリング処理の手順。
【図4】フィルタカーネルの例。
【図5】実施形態2における撮像装置の構成例。
【図6】実施形態2における再生装置の構成例。
【図7】実施形態2におけるフィルタリング処理の手順。
【符号の説明】
【0063】
101、501 シャッタースピード制御回路
102、502 撮像部
103、503 符号化回路
104、504 ストリーム複合回路
201、601 ストリーム分離回路
202、602 画像生成回路
203、603 フィルタ回路
505 ズーム倍率制御回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影された動画像を再生するための再生装置および方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各フレームが短い露光時間で撮影された動画像を再生する場合、特に被写体の動きが大きいときには、その動きを滑らかに再生できないという問題があった。
【0003】
このような、撮影時の露光時間と再生時の動きの滑らかさの問題を解決するための従来技術として、例えば特許文献1がある。特許文献1では、短い露光時間で連続撮影した複数の静止画から、移動する被写体の動きが滑らかに見える動画用のフレーム画像を得るために、連続撮影された2つの静止画像の間に位置する予測画像を生成し、撮影した静止画像に予測画像を重ねる処理を行っている。
【特許文献1】特開2006−287921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、動画像の撮影の途中で各フレームの撮影における露光時間が変化した場合、再生される動画像における被写体の動きの滑らかさが再生の途中で変化してしまう恐れがある。
【0005】
撮影中に露光時間が変化する例として、ビデオカメラで絞りを固定して動画像を撮影する場合に、適正露出を得るために、シャッタースピード変動させる場合がある。ここで、例えば、撮影開始時はシャッタースピードが遅く、撮影中にシャッタースピードが速くなった場合、再生する動画像における被写体の動きが、途中から滑らかに見えなくなってしまう恐れがある。このように、動画像の撮影中に、シャッタースピードが遅い(露光時間が長い)状態から、シャッタースピードが速い(露光時間が短い)状態に変化すると、再生する動画像における被写体の動きが、再生の途中で滑らかでなくなってしまう恐れがあった。また、逆に、撮影中のある時刻においてはシャッタースピードが速い(露光時間が短い)状態で、その後シャッタースピードが遅い(露光時間が長い)状態に変化した場合も、再生の途中で被写体の動きの滑らかさが変化してしまう恐れがあった。このように、動画像の再生中に動きの滑らかさが変化すると、ユーザが違和感を感じてしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、撮影中に各フレームの撮影における露光時間が変化するような動画像を再生する場合に、被写体の動きの滑らかさの変化を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の再生装置は、以下の構成を有する。即ち、撮影された動画像を再生する再生装置であって、動画像を構成するフレームの撮影条件を取得する取得手段と、取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化する平滑化手段とを有する。
【0008】
また、本発明の再生方法は、撮影された動画像を再生する再生装置が行う再生方法であって、前記動画像を構成するフレームの撮影条件を取得する取得工程と、前記取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、前記フレームの画素情報を平滑化する平滑化工程とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮影中に各フレームの撮影における露光時間が変化するような動画像を再生する場合に、被写体の動きの滑らかさの変化を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施形態1>
以下、本発明の第1の実施形態について図面を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲がこの実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
まず、露光時間を判断するための撮影条件としてシャッタースピード情報sを符号化ストリームに付加する撮像装置、および再生時にシャッタースピード情報sを用いて、フィルタリングの制御を行う再生装置について、図1、図2を使って説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における撮影装置の構成例を示したものである。尚、本実施形態における撮影装置は、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ノートブックPC、パームトップPC、コンピュータを内蔵した各種家電製品、ゲーム機、携帯電話などのうち、動画像の撮影が行える装置、もしくは、これらの組合せにより実施可能である。
【0013】
同図において、シャッタースピード制御回路101は、各フレームの撮影におけるシャッタースピードを設定し、当該設定に応じたシャッタースピード情報sを、撮像部102及び、ストリーム複合回路104に出力する。撮像部102は、シャッタースピード制御回路101によって設定されたシャッタースピードで画像を撮影し、得られた画像データを符号化回路103へ出力する。符号化回路103は、撮像部102によって出力された画像データの符号化処理を行い、得られた符号化ストリームをストリーム複合回路104へ出力する。ストリーム複合回路104は、符号化回路103によって出力された符号化ストリームと、シャッタースピード制御回路101から出力されたシャッタースピード情報sを対応付けて複合する。例えば、符号化ストリームがMPEG2の規格に基づくものである場合、シャッタースピード情報sは、フレームごとに設けられた、ピクチャ層のEIP(Extra Information Picture)と呼ばれる領域等に埋め込むことができる。ただし、それ以外の場所に埋め込むようにしても良い。そして、得られたデータストリームを、後述する再生装置に対して出力する。ただし、ストリーム複合回路104によるデータストリームの出力先は、例えば、記録媒体等であっても良い。
【0014】
図2は、本実施形態における再生装置の構成例を示したものである。尚、本実施形態の再生装置は、デジタルテレビ、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ノートブックPC、パームトップPC、コンピュータを内蔵した各種家電製品、ゲーム機、携帯電話などのうち、撮影された動画像を再生する装置、もしくは、これらの組合せにより実施可能である。
【0015】
同図において、ストリーム分離回路201は、本実施形態の撮影装置が出力したデータストリームから、シャッタースピード情報sと符号化ストリームを分離する。そして、ストリーム分離回路201は、シャッタースピード情報sをフィルタ回路203へ、符号化ストリームを画像生成回路202へ出力する。画像生成回路202は、符号化ストリームを復号し、復号された画像データ、および符号化された動きベクトル情報を、フィルタ回路203へ出力する。フィルタ回路(平滑化回路)203は、ストリーム分離回路201によって出力されたシャッタースピード情報s、及び画像生成回路202によって出力された動きベクトル情報に基づいて、再生画像のフィルタリング処理を行い、再生させる。即ち、フィルタ回路203は、動画像を構成するフレームの撮影条件(シャッタースピード情報s)を取得する。そして、フィルタ回路203は、取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化(フィルタリング)する。
【0016】
以下、フィルタ回路203によるシャッタースピード情報sに応じたパラメータによるフィルタリングの方法について、図3を用いて説明する。
【0017】
図3は、本実施形態のフィルタ回路203が行う、フィルタリング処理を行う画素(対象画素)に対する処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態では、対象画素ごとに、これから図3を用いて説明するフィルタリング処理を実行する。尚、図3の処理をソフトウェアによって行うことも可能である。即ち、本実施形態の再生装置は、図3を用いて説明する各処理を、予め記憶されたプログラムに基づいて行うようにすることもできる。この場合、再生装置の各制御を行うCPUが、ROM等に記憶される制御プログラムを適宜読み出し、フィルタリング処理を実行する。
【0018】
尚、本実施形態では、シャッタースピード情報sに応じたパラメータの決定、及び決定されたパラメータによるフィルタリング処理を、画素単位で行う例について説明するが、これに限らず、例えばマクロブロック単位など、任意の単位で処理を行うようにしても良い。ここで、マクロブロックとは、例えば、MPEG2等の規格において、16×16画素を示している。
【0019】
同図において、S301では、画像生成回路202から出力された対象画素の動きベクトル情報(Xv,Yv)に対して、式1により、動きベクトルのスカラlを算出する。S302(取得手順)では、シャッタースピード情報sを取得し、フレーム間隔t、シャッタースピード情報s、動きベクトルのスカラlから、式2により、フィルタ半径rを算出する。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】
尚、フレーム間隔tは、画像生成回路202が符号化ストリームを復号する過程で得られる。フレーム間隔tの例として、例えば、1/29.97、シャッタースピード情報sが示すシャッタースピードの例として、例えば、1/30、1/60、1/100などがある。S303では、算出されたフィルタ半径rの値を判断し、フィルタ半径rが2以上の場合、S304に移行し、2未満の場合は、処理を終了する。尚、S303で判断するフィルタ半径rの閾値は、2に限らず、任意の値を設定可能である。このように、S303でフィルタ半径rの大きさを判断し、所定の値よりも大きいときにフィルタリング処理を行うようにすることで、フィルタリング処理に関する処理量を減らすことができる。また、フィルタ半径rを判断することで、フレーム間隔t、シャッタースピードs、スカラlを考慮して、フィルタリング処理の有無を決定できる。しかし、フィルタ半径rの判断に限らず、例えば、S301で算出したベクトルのスカラlの大きさからフィルタリング処理を行うかを判断するようにしても良い。このようにすれば、フィルタリング処理を行わない画素におけるフィルタ半径rを算出する処理を省略することができる。
【0023】
S304では、動きベクトル情報(Xv,Yv)から、式3により角度θを算出する。そして、S305では、フィルタ半径rの平滑化フィルタカーネルを生成する。尚、S304とS305の処理の順序は、逆でも良い。S306では、S304で求めた角度θ及びS302で求めたフィルタ半径rの値に基づき、式4により行列Aを計算する。そして、計算された行列Aにより、S305で生成した平滑化フィルタカーネルを写像し、指向型平滑化フィルタカーネルを生成する。S305で生成される平滑化フィルタカーネル、及び、S306で生成される指向型平滑化フィルタカーネルの例を図4に示す。
【0024】
【数3】
【0025】
【数4】
【0026】
S307(平滑化手順)では、S306で生成された指向型平滑化フィルタカーネルを用いて、対象画素のフィルタリング処理を行う。即ち、フィルタ回路203は、撮影条件(シャッタースピード情報s)に応じた範囲の画素情報を用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化する。以上説明したように、本実施形態では、撮影条件(シャッタースピード情報s)に応じたパラメータ(指向型平滑化フィルタカーネル)を用いてフィルタリング処理を行う。例えば、シャッタースピードが高速である(露光時間が短い)場合は、動きが滑らかに再生されるように、広範囲の画素情報を用いてフィルタリングを行う。また、逆に、シャッタースピードが低速である(露光時間が長い)場合は、対象画素の情報がフィルタリングによって大きく変化しないように、狭い範囲の画素情報でフィルタリングを行うか、又はフィルタリングを行わないようにする。このようにすることで、撮影中に各フレームの撮影における露光時間が変化するような動画像を再生する場合であっても、被写体の動きの滑らかさの変化を低減させることができるようになる。
【0027】
尚、撮影データから静止画を得る場合は、フィルタリング処理をせずに画像を出力することにより、フィルタリング処理のされていない静止画を取得することも可能である。
【0028】
また、本実施形態では、S305において、半径rの平均値フィルタを生成するが、これに限らない。即ち、本実施形態では、撮影条件に応じて平滑化フィルタの半径rを決定していたが、例えば、半径rを一定値とし、撮影条件に応じて、平滑化フィルタ内での平滑化の強度を変化させるようにしても良い。つまり、例えば、遅いシャッタースピードで撮影された画像を再生する場合は、平滑化において、ほかの画素の情報の影響をあまり受けないように(対象画素の情報が平滑化によってあまり変化しないように)対象画素の平滑化を行う。一方、速いシャッタースピードで撮影された画像を再生する場合は、平滑化フィルタ内のほかの画素の情報によって対象画素がより強く平滑化されるように平滑化を行う。また、半径rが固定された平滑化フィルタにおいて、動きベクトル情報に応じて、対象画素の平滑化に用いる各画素の重み付けを決定するようにしても良い。即ち、フィルタ回路203は、撮影条件に応じた平滑化の強度を示すパラメータを用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化するようにしても良い。このようにすることで、平滑化フィルタの半径rを算出する処理を省略することができる。
【0029】
また、本実施形態のフィルタ回路203は、動き情報として、動きベクトル情報、即ちフレーム内の被写体の動き情報を取得し、撮影条件と動きベクトル情報に応じて指向型フィルタカーネルを生成していた。しかし、動きベクトル情報に限らず、例えば、動画像撮影時の撮影装置の動き情報を取得し、撮影条件と、撮影装置の動き情報とに応じて指向型フィルタカーネルを生成するようにしても良い。このようにすれば、動きベクトルの情報によらず、被写体の動きの滑らかさの変化を低減させることができる。
【0030】
また、本実施形態のストリーム複合回路104は、シャッタースピード情報sを、本実施形態のようなフィルタリング処理の制御ができない再生装置で無視されるようにオプショナルなエントリー項目として複合する。このようにすることにより、既存の再生装置でも再生可能なデータストリームが作成できる。
【0031】
また、本実施形態では、シャッタースピード情報sをフレームごとに付加する例について説明したが、別の間隔でシャッタースピード情報sを付加するような場合であっても良い。別の間隔とは、例えば、GOP(Group Of Picture)ごとやシーケンスごとなどである。この場合、例えば各GOPのヘッダやシーケンスのヘッダに付加されたシャッタースピード情報sを用いて、上述したようなフィルタリング処理を行う。また、シャッタースピードが変化したタイミングでシャッタースピード情報sを付加するようにしても良い。即ち、本実施形態のフィルタ回路203は、フレームの撮影条件(シャッタースピード情報s)を繰り返し取得する。
【0032】
また、本実施形態の画像生成回路202は、符号化された動きベクトル情報を出力しているが、復号された画素あるいはブロックごとに動きベクトルを再探索し、得られた動きベクトルを出力するようにしてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、フィルタリング処理を行うパラメータを決定するための撮影条件の情報として、シャッタースピード情報sを用いているが、これに限らない。そのほかの撮影条件の情報として、例えば、露光時間情報や、ズーム倍率情報zなどを用いてフィルタリング処理を制御することができる。ズーム倍率情報zを用いてフィルタリング処理を制御する形態については、実施形態2で詳細に説明する。
【0034】
また、本実施形態では、画素単位でフィルタリングに関する一連の処理を行っているが、これに限らない。例えば、動きベクトルの情報がマクロブロック単位で与えられている場合は、S301からS306までの処理をマクロブロック単位で行い、S307の処理のみ画素単位で行うようにしても良い。このようにすれば、フィルタリングにかかる処理の量を削減することができる。
【0035】
<実施形態2>
本実施形態では、撮影条件としてシャッタースピード情報s、及びズーム倍率情報zを符号化ストリームに付加し、再生時にこれらの撮影条件の情報を用いて、フィルタリングの制御を行う再生装置について説明する。
【0036】
図5は、本実施形態における撮影装置、図6は、本実施形態における再生装置の構成例を示したものである。
【0037】
尚、図5に示した撮影装置は、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ノートブックPC、パームトップPC、コンピュータを内蔵した各種家電製品、ゲーム機、携帯電話などのうち、動画像の撮影が行える装置、もしくは、これらの組合せにより実施可能である。また、図6に示した再生装置は、デジタルテレビ、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ノートブックPC、パームトップPC、コンピュータを内蔵した各種家電製品、ゲーム機、携帯電話などのうち、撮影された動画像を再生する装置、もしくは、これらの組合せにより実施可能である。
【0038】
図5において、シャッタースピード制御回路501は、各フレームの撮影におけるシャッタースピードを設定し、当該設定に応じたシャッタースピード情報sを、撮像部502及び、ストリーム複合回路504に出力する。ズーム倍率制御回路505は、例えば、ユーザからの指示に応じて各フレームの撮影におけるズーム倍率を設定し、当該設定に応じたズーム倍率情報zを、撮像部502及び、ストリーム複合回路504に出力する。撮像部502は、シャッタースピード制御回路501から出力されたシャッタースピード情報sに応じたシャッタースピードで画像を撮影し、得られた画像データを符号化回路503へ出力する。符号化回路503は、符号化処理を行い、得られた符号化ストリームをストリーム複合回路504へ出力する。ストリーム複合回路504は、符号化回路503によって出力された符号化ストリームと、シャッタースピード制御回路501から出力されたシャッタースピード情報s、および、ズーム倍率制御回路505から出力されたズーム倍率情報zを対応付けて複合する。例えば、符号化ストリームがMPEG2の規格に基づくものである場合、シャッタースピード情報s及びズーム倍率情報zは、ピクチャ層のEIP(Extra Information Picture)と呼ばれる領域等に埋め込むことができる。ただし、それ以外の場所に埋め込むようにしても良い。そして、ストリーム複合回路504は、得られたデータストリームを後述する本実施形態の再生装置に対して出力する。ただし、ストリーム複合回路504によるデータストリームの出力先は、例えば、記録媒体等であっても良い。
【0039】
また、図6に示す再生装置において、ストリーム分離回路601は、本実施形態の撮影装置が出力したデータストリームから、シャッタースピード情報s、ズーム倍率情報z、及び符号化ストリームとを分離する。そして、シャッタースピード情報s、および、ズーム倍率情報zをフィルタ回路603へ、符号化ストリームを画像生成回路602へ出力する。画像生成回路602は、ストリーム分離回路601から出力された符号化ストリームを復号し、復号された画像データ、および符号化された動きベクトル情報をフィルタ回路603へ出力する。フィルタ回路603は、ストリーム分離回路601から出力されたシャッタースピード情報sとズーム倍率情報z、及び画像生成回路602から出力された動きベクトル情報に基づいて、再生画像のフィルタリング処理を行い、再生させる。即ち、フィルタ回路603は、動画像を構成するフレームの撮影条件(シャッタースピード情報s、及びズーム倍率情報z)を取得する。また、フィルタ回路603は、取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化(フィルタリング)する。
【0040】
以下、フィルタ回路603によるフィルタリングの方法について図7を使って説明する。
【0041】
図7は、本実施形態のフィルタ回路603が行う、フィルタリング処理を行う画素(対象画素)に対する処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態では、対象画素ごとに、これから図7を用いて説明するフィルタリング処理を実行する。尚、図7の処理をソフトウェアによって行うことも可能である。即ち、本実施形態の再生装置は、図7を用いて説明する各処理を、予め記憶されたプログラムに基づいて行うようにすることもできる。この場合、再生装置の各制御を行うCPUが、ROM等に記憶される制御プログラムを適宜読み出し、フィルタリング処理を実行する。
【0042】
尚、本実施形態では、フィルタリングに関する一連の処理を、画素単位で行う例について説明するが、これに限らず、例えばマクロブロック単位など、任意の単位で処理を行うようにしても良い。
【0043】
同図において、S701では、対象画素におけるフレーム(現フレーム)のズーム倍率情報z1と、現フレームの時間的に1つ前に再生されるフレームである前フレームのズーム倍率情報z0から、式7により、動き量r0を算出する。
【0044】
【数5】
【0045】
尚、式7において、(x0,y0)は、現フレームの中心の座標であり、(x1,y1)は、対象画素の座標である。S702では、動き量r0の大きさを判断し、r0が1以下の場合は、S703に進み、r0が1より大きい場合は、S710に進む。尚、S702で判断する動き量r0の閾値は、1に限らず、任意の値を設定可能である。
【0046】
このように、動き量r0に応じて処理を切り替えることで、ズーム倍率の変化が小さい場合や、ズーム倍率の変化による影響が小さい画素についてのズーム倍率情報zによるフィルタリング処理を省略することができる。
【0047】
S710では、現フレームの中心座標(x0,y0)と対象画素の座標(x1,y1)から、式5により、角度θを算出する。
【0048】
【数6】
【0049】
S711(取得手順)では、シャッタースピード情報sを取得し、フレーム間隔t、シャッタースピードs,動き量r0から、式6により、フィルタ半径rを算出する。
【0050】
【数7】
【0051】
尚、フレーム間隔tは、画像生成回路602が符号化ストリームを復号する過程で得られる。フレーム間隔tの例として、例えば、1/29.97、シャッタースピード情報sが示すシャッタースピードの例として、例えば、1/30、1/60、1/100などがある。尚、S710、S711の処理の順序は、逆でも良い。S712では、フィルタ半径rの値を判断し、rが2以上の場合は、S707に進み、rが2未満の場合は、処理を終了し、次の画素のフィルタリング処理を開始する。尚、S712で判断するフィルタ半径rの閾値は、2に限らず、任意の値を設定可能である。このように、S712でフィルタ半径rの大きさを判断し、所定の値よりも大きいときにフィルタリング処理を行うようにすることで、フィルタリング処理に関する処理量を減らすことができる。また、フィルタ半径rを判断することで、フレーム間隔t、シャッタースピードs、ズーム倍率に応じた動き量r0を考慮して、フィルタリング処理の有無を決定できる。
【0052】
S703では、画像生成回路602から出力された対象画素の動きベクトル情報(Xv,Yv)に基づいて、式1により、動きベクトルのスカラlを算出する。S704(取得手順)では、シャッタースピード情報sを取得し、フレーム間隔t、シャッタースピード情報s、動きベクトルのスカラlから、式2により、フィルタ半径rを算出する。尚、フレーム間隔tは、画像生成回路602が符号化ストリームを復号する過程で得られる。S705では、フィルタ半径rの値を判断し、rが2以上の場合、S706に進み、2未満の場合は、処理を終了して次の画素のフィルタリング処理を開始する。尚、S705で判断するフィルタ半径rの閾値は、2に限らず、任意の値を設定可能である。このように、S705でフィルタ半径rの大きさを判断し、所定の値よりも大きいときにフィルタリング処理を行うようにすることで、フィルタリング処理に関する処理量を減らすことができる。また、フィルタ半径rを判断することで、フレーム間隔t、シャッタースピードs、スカラlを考慮して、フィルタリング処理の有無を決定できる。しかし、フィルタ半径rの判断に限らず、例えば、S703で算出したベクトルのスカラlの大きさからフィルタリング処理を行うかを判断するようにしても良い。このようにすれば、フィルタリング処理を行わない画素におけるフィルタ半径rを算出する処理を少なくすることができる。
【0053】
S706では、動きベクトル情報(Xv,Yv)から、式3により角度θを計算する。そして、S707では、フィルタ半径rの平滑化フィルタカーネルを生成する。尚、S706とS707の処理の順序は、逆でも良い。S708では、S706で求めた角度θ及びS705で求めたフィルタ半径rの値に基づき、式4により行列Aを計算する。そして、計算された行列Aにより、S707で生成した平滑化フィルタカーネルを写像し、指向型平滑化フィルタカーネルを生成する。S707で生成される平滑化フィルタカーネル、及び、S708で生成される指向型平滑化フィルタカーネルの例は、図4のようになる。S709(平滑化手順)では、S708で生成された指向型平滑化フィルタカーネルを用いて、対象画素のフィルタリング処理を行う。即ち、フィルタ回路603は、撮影条件(シャッタースピード情報s、ズーム倍率情報z)に応じた範囲の画素情報を用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態では、撮影条件(シャッタースピード情報s及びズーム倍率情報z)に応じたパラメータ(指向型平滑化フィルタカーネル)を用いてフィルタリング処理を行う。例えば、シャッタースピードが高速である(露光時間が短い)場合は、動きが滑らかに再生されるように、広範囲の画素情報を用いてフィルタリングを行う。一方、シャッタースピードが低速である(露光時間が長い)場合は、対象画素の情報がフィルタリングによって大きく変化しないように、狭い範囲の画素情報でフィルタリングを行うか、又はフィルタリングを行わないようにする。また、例えば、ズーム倍率の変化により、表示画面における被写体の位置が大きく変化するような場合は、被写体の動きが滑らかに再生されるように、広範囲の画素情報を用いて当該被写体のフィルタリングを行う。一方、ズーム倍率の変化による被写体の位置の変化が小さい、又はズーム倍率が変化していない場合は、対象画素の情報がフィルタリングによって大きく変化しないように、狭い範囲の画素情報でフィルタリングを行うか、もしくはフィルタリングを行わないようにする。このようにすることで、撮影中に各フレームの撮影における露光時間が変化するような動画像を再生する場合に、被写体の動きの滑らかさの変化を低減させることができる。また、撮影中に行われたズーム倍率の変化による像の動きも滑らかに再生させることができる。
【0055】
また、本実施形態のストリーム複合回路504は、撮影条件(シャッタースピード情報s、ズーム倍率情報z)を、本実施形態のようなフィルタリング処理の制御ができない再生装置で無視されるようにオプショナルなエントリー項目として複合する。このようにすることにより、既存の再生装置でも再生可能なデータストリームが作成できる。
【0056】
尚、本実施形態の画像生成回路602は、符号化された動きベクトル情報を出力しているが、復号された画素あるいはブロックごとに動きベクトルを再探索し、得られた動きベクトルを出力するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、S707において、半径rの平均値フィルタを生成するが、これに限らない。即ち、本実施形態では、撮影条件に応じて平滑化フィルタの半径rを決定していたが、例えば、半径rを一定とし、撮影条件に応じて、平滑化フィルタ内での平滑化の強度を変化させるようにしても良い。つまり、例えば、遅いシャッタースピードで撮影された画像を再生する場合は、平滑化において、ほかの画素の情報の影響をあまり受けないように(対象画素の情報が平滑化によってあまり変化しないように)対象画素の平滑化を行う。一方、速いシャッタースピードで撮影された画像を再生する場合は、平滑化フィルタ内のほかの画素の情報によって対象画素がより強く平滑化されるように平滑化を行う。また、半径rが固定された平滑化フィルタにおいて、動きベクトル情報に応じて、対象画素の平滑化に用いる各画素の重み付けを決定するようにしても良い。即ち、フィルタ回路603は、撮影条件に応じた平滑化の強度を示すパラメータを用いて、再生するフレームの画素情報を平滑化するようにしても良い。このようにすることで、平滑化フィルタの半径rを算出する処理を省略することができる。
【0058】
また、本実施形態のフィルタ回路603は、動き情報として、動きベクトル情報、即ち被写体の動き情報を取得し、撮影条件と動きベクトル情報に応じて指向型フィルタカーネルを生成していた。しかし、動きベクトル情報に限らず、例えば、動画像撮影時の撮影装置の動き情報を取得し、撮影条件と、撮影装置の動き情報とに応じて指向型フィルタカーネルを生成するようにしても良い。このようにすれば、動きベクトルの情報によらず、被写体の動きの滑らかさの変化を低減させることができる。
【0059】
また、撮影データから静止画を得る場合は、フィルタリング処理をせずに画像を出力することにより、フィルタリング処理のされていない静止画を取得することも可能である。
【0060】
また、本実施形態では、撮影条件をフレームごとに付加する例について説明したが、別の間隔で付加するような場合であっても良い。別の間隔として、例えば、GOPごとやシーケンスごとなどがある。この場合、例えば各GOPのヘッダやシーケンスのヘッダに付加されたシャッタースピード情報sを用いて、上述したようなフィルタリング処理を行う。また、撮影条件が変化したタイミングで撮影条件を付加するようにしても良い。即ち、本実施形態のフィルタ回路603は、フレームの撮影条件(シャッタースピード情報s、ズーム倍率情報z)を繰り返し取得する。
【0061】
また、本実施形態では、画素単位でフィルタリングに関する一連の処理を行っているが、これに限らない。例えば、動きベクトルの情報がマクロブロック単位で与えられている場合は、S701からS708までの処理をマクロブロック単位で行い、S709の処理のみ画素単位で行うようにしても良い。このようにすれば、フィルタリングにかかる処理の量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施形態1における撮像装置の構成例。
【図2】実施形態1における再生装置の構成例。
【図3】実施形態1におけるフィルタリング処理の手順。
【図4】フィルタカーネルの例。
【図5】実施形態2における撮像装置の構成例。
【図6】実施形態2における再生装置の構成例。
【図7】実施形態2におけるフィルタリング処理の手順。
【符号の説明】
【0063】
101、501 シャッタースピード制御回路
102、502 撮像部
103、503 符号化回路
104、504 ストリーム複合回路
201、601 ストリーム分離回路
202、602 画像生成回路
203、603 フィルタ回路
505 ズーム倍率制御回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された動画像を再生する再生装置であって、
前記動画像を構成するフレームの撮影条件を取得する取得手段と、
前記取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する平滑化手段と
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記平滑化手段は、前記フレームの撮影条件を繰り返し取得する
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
前記平滑化手段は、前記撮影条件に応じた範囲の画素情報を用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の再生装置。
【請求項4】
前記平滑化手段は、前記撮影条件に応じた前記平滑化の強度を示すパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の再生装置。
【請求項5】
前記撮影条件は前記フレームの取得における露光時間であって、
前記平滑化手段は、前記露光時間に応じたパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1乃至4のうち、いずれか1項記載の再生装置。
【請求項6】
前記撮影条件は前記フレームの撮影時のズーム倍率を含み、
前記平滑化手段は、前記ズーム倍率に応じたパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1乃至4のうち、いずれか1項記載の再生装置。
【請求項7】
前記取得手段は、前記フレーム内における被写体の動き情報を取得し、
前記平滑化手段は、前記撮影条件及び被写体の動き情報に応じたパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項8】
前記取得手段は、前記動画像撮影時の動画像撮影装置の動き情報を取得し、
前記平滑化手段は、前記撮影条件及び動画像撮影装置の動き情報に応じたパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項9】
撮影された動画像を再生する再生装置が行う再生方法であって、
前記動画像を構成するフレームの撮影条件を取得する取得工程と、
前記取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、前記フレームの画素情報を平滑化する平滑化工程と
を備えることを特徴とする再生方法。
【請求項10】
撮影された動画像を再生するコンピュータに、
前記動画像を構成するフレームの撮影条件を取得する取得手順と、
前記取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、前記フレームの画素情報を平滑化する平滑化手順と
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
撮影された動画像を再生する再生装置であって、
前記動画像を構成するフレームの撮影条件を取得する取得手段と、
前記取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する平滑化手段と
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記平滑化手段は、前記フレームの撮影条件を繰り返し取得する
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
前記平滑化手段は、前記撮影条件に応じた範囲の画素情報を用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の再生装置。
【請求項4】
前記平滑化手段は、前記撮影条件に応じた前記平滑化の強度を示すパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の再生装置。
【請求項5】
前記撮影条件は前記フレームの取得における露光時間であって、
前記平滑化手段は、前記露光時間に応じたパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1乃至4のうち、いずれか1項記載の再生装置。
【請求項6】
前記撮影条件は前記フレームの撮影時のズーム倍率を含み、
前記平滑化手段は、前記ズーム倍率に応じたパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1乃至4のうち、いずれか1項記載の再生装置。
【請求項7】
前記取得手段は、前記フレーム内における被写体の動き情報を取得し、
前記平滑化手段は、前記撮影条件及び被写体の動き情報に応じたパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項8】
前記取得手段は、前記動画像撮影時の動画像撮影装置の動き情報を取得し、
前記平滑化手段は、前記撮影条件及び動画像撮影装置の動き情報に応じたパラメータを用いて、前記再生するフレームの画素情報を平滑化する
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項9】
撮影された動画像を再生する再生装置が行う再生方法であって、
前記動画像を構成するフレームの撮影条件を取得する取得工程と、
前記取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、前記フレームの画素情報を平滑化する平滑化工程と
を備えることを特徴とする再生方法。
【請求項10】
撮影された動画像を再生するコンピュータに、
前記動画像を構成するフレームの撮影条件を取得する取得手順と、
前記取得された撮影条件に応じたパラメータを用いて、前記フレームの画素情報を平滑化する平滑化手順と
を実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2009−253675(P2009−253675A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99304(P2008−99304)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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