説明

再生装置

【課題】それぞれ圧縮符号化された複数のオーディオデータからオーディオ出力信号を生成するための処理を効率よく実行することが可能な再生装置を実現する。
【解決手段】第1のDSP301は、複数種の圧縮符号化方式それぞれに対応するデコード機能を有し、前記複数種の圧縮符号化方式の内の任意の一つを用いて圧縮符号化されたメインオーディオデータをデコードする。第2のDSP302は、前記複数種の圧縮符号化方式それぞれに対応するデコード機能を有し、前記複数種の圧縮符号化方式の内の任意の一つを用いて圧縮符号化されたサブオーディオデータをデコードする。第3のDSP303は、第1のDSPから出力されるデジタルオーディオ信号と第2のDSP302から出力されるデジタルオーディオ信号とをミックスするミキシング処理を実行してデジタルオーディオ出力信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HD DVD(High Definition Digital Versatile Disc)プレーヤのような再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、動画像のデジタル圧縮符号化技術の進展に伴い、HD(High Definition)規格の高精細映像を扱うことが可能な再生装置(プレーヤ)の開発が進められている。
【0003】
このプレーヤにおいては、インタラクティブ性を高めるために、複数の画像データを高次元で融合させるための機能が要求されている。画像データ同士を重ね合わせる技術としては、アルファブレンディング技術が知られている。このアルファブレンディング技術は、画像の各ピクセルの透明度を示すアルファデータを用いて、当該画像を別の画像上に重ね合わせるブレンド技術である。
【0004】
特許文献1には、グラフィクスデータとビデオデータとをディスプレイコントローラによって合成するシステムが開示されている。このシステムにおいては、ディスプレイコントローラは、ビデオデータをキャプチャし、そのキャプチャしたビデオデータをグラフィクス画面上の一部のエリア上に合成する。
【0005】
また、HD DVDタイトルのようなコンテントを再生するためのプレーヤにおいては、複数の画像データのみならず、それら画像データそれぞれに対応する複数のオーディオデータを扱うことも要求される。
【0006】
複数の画像データと複数のオーディオデータとを含むHD DVDタイトルのようなコンテントを再生するためには、複数の画像データから表示画面イメージを形成するビデオ信号を生成するための処理と並行して、複数のオーディオデータをミックスしてオーディオ出力信号を生成する処理を実行することも必要となる。
【特許文献1】特開平8−205092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、HD DVD(High Definition Digital Versatile Disc)タイトルのようなコンテントを再生するためのプレーヤにおいては、複数のオーディオデータはそれぞれ圧縮符号化されている。このため、複数のオーディオデータからオーディオ出力信号を生成するためには、圧縮符号化された複数のオーディオデータそれぞれをデコードする処理と、デコードされた複数のオーディオデータをミックスする処理とを実行することが必要とされる。したがって、オーディオ出力信号を生成するためには、非常に高い演算能力が要求される。
【0008】
このため、複数のオーディオデータを効率よく処理可能な新たなシステム構成を実現することが必要である。
【0009】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、それぞれ圧縮符号化された複数のオーディオデータからオーディオ出力信号を生成するための処理を効率よく実行することが可能な再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、本発明の再生装置は、複数種の圧縮符号化方式それぞれに対応するデコード機能を有し、前記複数種の圧縮符号化方式の内の任意の一つを用いて圧縮符号化された第1のオーディオデータをデコードして第1のデジタルオーディオ信号を生成する第1のデジタル信号プロセッサと、前記複数種の圧縮符号化方式それぞれに対応するデコード機能を有し、前記複数種の圧縮符号化方式の内の任意の一つを用いて圧縮符号化された第2のオーディオデータをデコードして第2のデジタルオーディオ信号を生成する第2のデジタル信号プロセッサと、前記第1のデジタル信号プロセッサから出力される前記第1のデジタルオーディオ信号と前記第2のデジタル信号プロセッサから出力される前記第2のデジタルオーディオ信号とをミックスするミキシング処理を実行してデジタルオーディオ出力信号を生成する第3のデジタル信号プロセッサとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、それぞれ圧縮符号化された複数のオーディオデータからオーディオ出力信号を生成するための処理を効率よく実行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0013】
図1には、本発明の一実施形態に係る再生装置の構成例が示されている。この再生装置はオーディオ・ビデオ(AV)コンテンツを再生するメディアプレーヤである。この再生装置は、例えば、HD DVD(High Definition Digital Versatile Disc)規格のDVDメディアに格納されたオーディオ・ビデオ(AV)コンテンツを再生するHD DVDプレーヤとして実現されている。
【0014】
このHD DVDプレーヤは、図1に示されているように、CPU(Central Processing Unit)11、ノースブリッジ12、主メモリ13、サウスブリッジ14、不揮発性メモリ15、USB(Universal Serial Bus)コントローラ17、HD DVDドライブ18、グラフィクスバス20、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス21、ビデオコントローラ22、オーディオコントローラ23、ビデオデコーダ25、ブレンド処理部30、メインオーディオデコーダ31、サブオーディオデコーダ32、オーディオミキサ(Audio Mix)33、ビデオエンコーダ40、およびHDMI(High Definition Multimedia Interface)のようなAVインタフェース(HDMI−TX)41等から構成されている。
【0015】
本HD DVDプレーヤにおいては、プレーヤアプリケーション150と、オペレーティングシステム(OS)151とが予め不揮発性メモリ15にインストールされている。プレーヤアプリケーション150はOS151上で動作するソフトウェアであり、HD DVDドライブ18から読み出されるAVコンテンツを再生するための制御を行う。
【0016】
HD DVDドライブ18によって駆動されるHD DVDメディアのような蓄積メディアに格納されたAVコンテンツは、圧縮符号化されたメインビデオデータ、圧縮符号化されたメインオーディオデータ、圧縮符号化されたサブビデオデータ、圧縮符号化されたサブピクチャデータ、アルファデータを含むグラフィクスデータ、圧縮符号化されたサブオーディオデータ、AVコンテンツの再生を制御するナビゲーションデータ等から構成されている。
【0017】
圧縮符号化されたメインビデオデータは、主映像(主画面イメージ)として用いられる動画像データをH.264/AVC規格の圧縮符号化方式で圧縮符号化したデータである。メインビデオデータはHD規格の高精細画像から構成されている。また、SD(Standard Definition)規格のメインビデオデータを使用することもできる。圧縮符号化されたメインオーディオデータは、メインビデオデータに対応するオーディオデータである。メインオーディオデータの再生は、メインビデオデータの再生と同期して実行される。
【0018】
圧縮符号化されたサブビデオデータはメインビデオ上に重ね合わされた状態で表示される副映像(副画面イメージ)であり、メインビデオデータを補足する動画像(例えば映画監督のインタビューシーンなど)から構成されている。圧縮符号化されたサブオーディオデータは、サブビデオデータに対応するオーディオデータである。サブオーディオデータの再生は、サブビデオデータの再生と同期して実行される。
【0019】
グラフィクスデータもメインビデオ上に重ね合わされた状態で表示される副映像(副画面イメージ)であり、例えば、メニューオブジェクトのような操作ガイダンスを表示するための各種データ(Advanced Elements)から構成されている。各Advanced Elementは、静止画、動画(アニメーションを含む)、またテキストから構成されている。プレーヤアプリケーション150はユーザによるマウス操作に従って絵を描くドローウィング機能を有している。このドローウィング機能によって描画されたイメージもグラフィクスデータとして用いられ、メインビデオ上に重ね合わされた状態で表示することができる。
【0020】
圧縮符号化されたサブピクチャデータは、字幕等のテキストから構成されている。
【0021】
ナビゲーションデータは、コンテントの再生順を制御するプレイリストと、サブビデオおよびグラフィクス(Advanced Elements)等の再生を制御するスクリプトとを含んでいる。スクリプトは、XMLのようなマークアップ言語によって記述されている。
【0022】
HD規格のメインビデオデータは例えば1920×1080ピクセルまたは1280×720ピクセルの解像度を持つ。また、サブビデオデータ、サブピクチャデータ、およびグラフィクスデータの各々は、例えば720×480ピクセルの解像度を持つ。
【0023】
本HD DVDプレーヤにおいては、HD DVDドライブ18から読み出されるHD DVDストリームからメインビデオデータ、メインオーディオデータ、サブビデオデータ、サブオーディオデータ、サブピクチャデータを分離する分離処理と、サブビデオデータ、サブピクチャデータ、およびグラフィクスデータをデコードするデコード処理はソフトウェア(プレーヤアプリケーション150)によって実行される。一方、多くの処理量を必要とする処理、つまりメインビデオデータをデコードする処理、およびメインオーディオデータおよびサブオーディオデータをデコードするデコード処理等は、ハードウェアによって実行される。
【0024】
CPU11は、本HD DVDプレーヤの動作を制御するために設けられたプロセッサであり、不揮発性メモリ15から主メモリ13にロードされる、OS151およびプレーヤアプリケーション150を実行する。主メモリ13内の記憶領域の一部は、ビデオメモリ(VRAM)131として使用される。なお、必ずしも主メモリ13内の記憶領域の一部をVRAM131として使用する必要はなく、主メモリ13とは独立した専用のメモリデバイスをVRAM131として使用してもよい。
【0025】
ノースブリッジ12は、CPU11のローカルバスとサウスブリッジ14との間を接続するブリッジデバイスである。このノースブリッジ12には、主メモリ13をアクセス制御するメモリコントローラが内蔵されている。さらに、このノースブリッジ12には、GPU(Graphics Processing Unit)120も内蔵されている。
【0026】
GPU120は、主メモリ13の一部の記憶領域に割り当てられたビデオメモリ(VRAM)131にCPU11によって書き込まれたデータから、グラフィクス画面イメージを形成するグラフィクス信号を生成するグラフィクスコントローラである。GPU120は、ビットブロック転送(bit block transfer)のようなグラフィクス演算機能を用いて、グラフィクス信号を生成する。例えば、CPU11によってVRAM131上の4つのプレーンにそれぞれ画像データ(サブビデオ、サブピクチャ、グラフィクス、カーソル)が書き込まれた場合、GPU120は、それら4つのプレーンに対応する画像データ同士をピクセル毎に重ね合わせるブレンド処理をビットブロック転送を用いて実行し、これによってメインビデオと同じ解像度(例えば1920×1080ピクセル)を有するグラフィクス画面イメージを形成するためのグラフィクス信号を生成する。ブレンド処理は、サブビデオ、サブピクチャ、グラフィクスそれぞれに対応するアルファデータを用いて実行される。アルファデータは、そのアルファデータに対応する画像データの各ピクセルの透明度(または不透過度)を示す係数である。サブビデオ、サブピクチャ、グラフィクスそれぞれに対応するアルファデータは、それらサブビデオ、サブピクチャ、グラフィクスの画像データと一緒にHD DVDメディアに格納されている。すなわち、サブビデオ、サブピクチャ、グラフィクスの各々は、画像データとアルファデータとから構成されている。
【0027】
GPU120によって生成されたグラフィクス信号はRGB色空間を有している。グラフィクス信号の各ピクセルはデジタルRGBデータ(24bit)によって表現される。
【0028】
GPU120は、グラフィクス画面イメージを形成するグラフィクス信号を生成するだけでなく、その生成したグラフィクス信号に対応するアルファデータを外部に出力する機能も有している。
【0029】
具体的には、GPU120は、生成したグラフィクス信号をデジタルRGBビデオ信号として外部に出力すると共に、その生成したグラフィクス信号に対応するアルファデータも外部に出力する。アルファデータは、生成されたグラフィクス信号(RGBデータ)の各ピクセルの透明度(または不透明度)を示す係数(8bit)である。GPU120は、グラフィクス信号(24bitのデジタルRGBビデオ信号)とアルファデータ(8bit)とから構成されるアルファデータ付きのグラフィクス出力データ(32bitのRGBAデータ)を、ピクセル毎に出力する。アルファデータ付きのグラフィクス出力データ(32bitのRGBAデータ)は専用のグラフィクスバス20を介してブレンド処理部30に送られる。グラフィクスバス20は、GPU120とブレンド処理部30との間を接続する伝送線路である。
【0030】
このように、本HD DVDプレーヤにおいては、アルファデータ付きのグラフィクス出力データがグラフィクスバス20を介してGPU120からブレンド処理部30に直接的に転送される。これにより、PCIバス21等を介してアルファデータをVRAM131からブレンド処理部30を転送する必要が無くなり、アルファデータの転送によるPCIバス21のトラフィックの増大を防止することができる。
【0031】
もしPCIバス21等を介してアルファデータをVRAM131からブレンド処理部30に転送したならば、GPU120から出力されるグラフィクス信号とPCIバス21経由で転送されるアルファデータとをブレンド処理部30内で同期化しなければならず、そのためにブレンド処理部30の構成が複雑化される。本HD DVDプレーヤにおいては、GPU120はグラフィクス信号とアルファデータとをピクセル毎に同期して出力する。このため、グラフィクス信号とアルファデータとの同期化を容易に実現することができる。
【0032】
サウスブリッジ14は、PCIバス21上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ14は、HD DVDドライブ18を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ14は、不揮発性メモリ15、およびUSBコントローラ17を制御する機能も有している。USBコントローラ17は、マウスデバイス171の制御を行う。ユーザは、マウスデバイス171を操作することにより、メニューの選択等を行うことができる。もちろん、マウスデバイス171の代わりに、リモコンユニット等を用いることもできる。
【0033】
HD DVDドライブ18は、HD DVD規格に対応するオーディオ・ビデオ(AV)コンテンツが格納されたHD DVDメディアのような蓄積メディアを駆動するためのドライブユニットである。
【0034】
ビデオコントローラ22は、PCIバス21に接続されている。このビデオコントローラ22は、ビデオデコーダ25とのインタフェースを実行するためのLSIである。ソフトウェアによってHD DVDストリームから分離されたメインビデオデータのストリーム(Video Stream)は、PCIバス21およびビデオコントローラ22を介して、ビデオデコーダ25に送られる。また、CPU11から出力されるデコード制御情報(Control)も、PCIバス21およびビデオコントローラ22を介して、ビデオデコーダ25に送られる。
【0035】
ビデオデコーダ25は、H.264/AVC規格に対応するデコーダであり、HD規格のメインビデオデータをデコードして例えば1920×1080ピクセルの解像度のビデオ画面イメージを形成するデジタルYUVビデオ信号を生成する。このデジタルYUVビデオ信号はブレンド処理部30に送られる。
【0036】
ブレンド処理部30は、GPU120およびビデオデコーダ25にそれぞれ結合されており、GPU120から出力されるグラフィクス出力データとビデオデコーダ25によってデコードされたメインビデオデータとを重ね合わせるためのブレンド処理を実行する。このブレンド処理においては、GPU120からグラフィクスデータ(RGB)と一緒に出力されるアルファデータに基づいて、グラフィクスデータを構成するデジタルRGBビデオ信号とメインビデオデータを構成するデジタルYUVビデオ信号とをピクセル単位で重ね合わせるためのブレンド処理(アルファブレンディング処理)が実行される。この場合、メインビデオデータは下側の画面イメージとして用いられ、グラフィクスデータはメインビデオデータ上に重ねられる上側の画面イメージとして用いられる。
【0037】
ブレンド処理によって得られる出力画像データは例えばデジタルYUVビデオ信号としてビデオエンコーダ40およびAVインタフェース(HDMI−TX)41にそれぞれ供給される。ビデオエンコーダ40は、ブレンド処理によって得られる出力画像データ(デジタルYUVビデオ信号)をコンポーネントビデオ信号またはS−ビデオ信号に変換して、TV受像機のような外部の表示装置(モニタ)に出力する。AVインタフェース(HDMI−TX)41は、デジタルYUVビデオ信号とデジタルオーディオ信号とを含むデジタル信号群を外部のHDMI機器に出力する。
【0038】
オーディオコントローラ23は、PCIバス21に接続されている。オーディオコントローラ23は、メインオーディオデコーダ31およびサブオーディオデコーダ32それぞれとのインタフェースを実行するためのLSIである。ソフトウェアによってHD DVDストリームから分離されたメインオーディオデータのストリームは、PCIバス21およびオーディオコントローラ23を介して、メインオーディオデコーダ31に送られる。また、ソフトウェアによってHD DVDストリームから分離されたサブオーディオデータのストリームは、PCIバス21およびオーディオコントローラ23を介して、サブオーディオデコーダ32に送られる。CPU11から出力されるデコード制御情報(Control)も、ビデオコントローラ22を介して、メインオーディオデコーダ31およびサブオーディオデコーダ32それぞれに供給される。
【0039】
メインオーディオデコーダ31は、メインオーディオデータをデコードしてI2S(Inter-IC Sound)形式のデジタルオーディオ信号を生成する。このデジタルオーディオ信号は、オーディオミキサ(Audio Mix)33に送られる。メインオーディオデータは、予め決められた複数種の圧縮符号化方式(つまり複数種のオーディオコーデック)の中の任意の一つを用いて圧縮符号化されている。このため、メインオーディオデコーダ31は、複数種の圧縮符号化方式それぞれに対応するデコード機能を有している。すなわち、メインオーディオデコーダ31は、複数種の圧縮符号化方式の内の任意の一つを用いて圧縮符号化されたメインオーディオデータをデコードしてデジタルオーディオ信号を生成する。メインオーディオデータに対応する圧縮符号化方式の種類は、例えば、CPU11からのデコード制御情報によってメインオーディオデコーダ31に通知される。
【0040】
サブオーディオデコーダ32は、サブオーディオデータをデコードしてI2S(Inter-IC Sound)形式のデジタルオーディオ信号を生成する。このデジタルオーディオ信号は、オーディオミキサ(Audio Mix)33に送られる。サブオーディオデータも、予め決められた上述の複数種の圧縮符号化方式(つまり複数種のオーディオコーデック)の中の任意の一つを用いて圧縮符号化されている。このため、サブオーディオデコーダ32も、複数種の圧縮符号化方式それぞれに対応するデコード機能を有している。すなわち、サブオーディオデコーダ32は、複数種の圧縮符号化方式の内の任意の一つを用いて圧縮符号化されたサブオーディオデータをデコードしてデジタルオーディオ信号を生成する。サブオーディオデータに対応する圧縮符号化方式の種類は、例えば、CPU11からのデコード制御情報によってサブオーディオデコーダ32に通知される。
【0041】
オーディオミキサ(Audio Mix)33は、メインオーディオデコーダ31によってデコードされたメインオーディオデータとサブオーディオデコーダ32によってデコードされたサブオーディオデータとをミックスするミキシング処理を実行してデジタルオーディオ出力信号を生成する。このデジタルオーディオ出力信号はAVインタフェース(HDMI−TX)41に送出されるとともに、アナログオーディオ出力信号に変換された後に外部に出力される。
【0042】
次に、図2を参照して、CPU11によって実行されるプレーヤアプリケーション150の機能構成を説明する。
【0043】
プレーヤアプリケーション150は、デマルチプレクス(Demux)モジュール、デコード制御モジュール、サブピクチャ(Sub-Picture)デコードモジュール、サブビデオ(Sub-Video)デコードモジュール、グラフィクスデコードモジュール等を備えている。
【0044】
Demuxモジュールは、HD DVDドライブ18から読み出されたストリームから、メインビデオデータ、メインオーディオデータ、サブピクチャデータ、サブビデオデータ、サブオーディオデータを分離するデマルチプレクス処理を実行するソフトウェアである。デコード制御モジュールは、ナビゲーションデータに基づいて、メインビデオデータ、メインオーディオデータ、サブピクチャデータ、サブビデオデータ、サブオーディオデータ、グラフィクスデータそれぞれのデコード処理を制御するソフトウェアである。
【0045】
サブピクチャ(Sub-Picture)デコードモジュールは、サブピクチャデータをデコードする。サブビデオ(Sub-Video)デコードモジュールは、サブビデオデータをデコードする。グラフィクスデコードモジュールは、グラフィクスデータ(Advanced Elements)をデコードする。
【0046】
グラフィクスドライバは、GPU120を制御するためのソフトウェアである。デコードされたサブピクチャデータ、デコードされたサブビデオデータ、およびデコードされたグラフィクスデータは、グラフィクスドライバを介してGPU120に送られる。また、グラフィクスドライバは、GPU120に対して各種描画命令を発行する。
【0047】
PCIストリーム転送ドライバは、PCIバス21を介してストリームを転送するためのソフトウェアである。メインビデオデータ、メインオーディオデータ、およびサブオーディオデータは、PCIストリーム転送ドライバによって、PCIバス21を介してビデオデコーダ25、メインオーディオデコーダ31、およびサブオーディオデコーダ32にそれぞれ転送される。
【0048】
次に、図3を参照して、CPU11によって実行されるプレーヤアプリケーション150によって実現されるソフトウェアデコーダの機能構成を説明する。
【0049】
ソフトウェアデコーダは、図示のように、データ読み取り部101、暗号化解除処理部102、デマルチプレクス(Demux)部103、サブピクチャデコーダ104、サブビデオデコーダ105、グラフィクスデコーダ106、およびナビゲーション制御部201等を備えている。
【0050】
HD DVDドライブ18のHD DVDメディアに格納されたコンテント(メインビデオデータ、サブビデオデータ、サブピクチャデータ、メインオーディオデータ、サブオーディオデータ、グラフィクスデータ、ナビゲーションデータ)は、データ読み取り部101によってHD DVDドライブ18から読み出される。メインビデオデータ、サブビデオデータ、サブピクチャデータ、メインオーディオデータ、サブオーディオデータ、グラフィクスデータ、ナビゲーションデータはそれぞれ暗号化されている。メインビデオデータ、サブビデオデータ、サブピクチャデータ、メインオーディオデータ、サブオーディオデータは、HD DVDストリームに多重化されている。データ読み取り部101によってHD DVDメディアから読み出されたメインビデオデータ、サブビデオデータ、サブピクチャデータ、メインオーディオデータ、サブオーディオデータ、グラフィクスデータ、ナビゲーションデータはそれぞれコンテント暗号化解除処理部102に入力される。暗号化解除処理部102は各データの暗号化を解除するための処理を実行する。暗号化が解除されたナビゲーションデータはナビゲーション制御部201に送られる。また、暗号化が解除されたHD DVDストリームはデマルチプレクス(Demux)部103に送られる。
【0051】
ナビゲーション制御部201はナビゲーションデータに含まれるスクリプト(XML)を解析して、グラフィクスデータ(Advanced Elements)の再生を制御する。グラフィクスデータ(Advanced Elements)はグラフィクスデコーダ106に送られる。グラフィクスデコーダ106はプレーヤアプリケーション150のグラフィクスデコードモジュールから構成されており、グラフィクスデータ(Advanced Elements)をデコードする。
【0052】
また、ナビゲーション制御部201は、ユーザによるマウスデバイス171の操作に応じてカーソルを移動する処理、およびメニュー選択に応答して効果音(Effect Sound)を再生するため処理等も実行する。
【0053】
このDemux103は、プレーヤアプリケーション150のDemuxモジュールによって実現されている。Demux103は、HD DVDストリームからメインビデオデータ、メインオーディオデータ、サブオーディオデータ、サブピクチャデータ、サブビデオデータ等を分離する。
【0054】
メインビデオデータは、PCIバス21を介してビデオデコーダ25に送られる。メインビデオデータはビデオデコーダ25によってデコードされる。デコードされたメインビデオデータはHD規格の例えば1920×1080ピクセルの解像度を有し、デジタルYUVビデオ信号としてブレンド処理部30に送られる。
【0055】
メインオーディオデータは、PCIバス21を介してメインオーディオデコーダ31に送られる。メインオーディオデータはメインオーディオデコーダ31によってデコードされる。デコードされたメインオーディオデータは、I2S形式のデジタルオーディオ信号としてオーディオミキサ33に送られる。
【0056】
サブオーディオデータは、PCIバス21を介してサブオーディオデコーダ32に送られる。サブオーディオデータはサブオーディオデコーダ32によってデコードされる。デコードされたサブオーディオデータは、I2S形式のデジタルオーディオ信号としてオーディオミキサ33に送られる。
【0057】
サブピクチャデータおよびサブビデオデータは、それぞれサブピクチャデコーダ104およびサブビデオデコーダ105にそれぞれ送られる。これらサブピクチャデコーダ104およびサブビデオデコーダ105は、サブピクチャデータおよびサブビデオデータをそれぞれデコードする。これらサブピクチャデコーダ104およびサブビデオデコーダ105は、それぞれプレーヤアプリケーション150のサブピクチャデコードモジュールおよびサブビデオデコードモジュールによって実現されている。
【0058】
サブピクチャデコーダ104、サブビデオデコーダ105、およびグラフィクスデコーダ106によってそれぞれデコードされたサブピクチャデータ、サブビデオデータ、およびグラフィクスデータは、CPU11によってVRAM131に書き込まれる。また、VRAM131にはカーソルイメージに対応するカーソルデータもCPU11によって書き込まれる。サブピクチャデータ、サブビデオデータ、グラフィクスデータ、およびカーソルデータの各々は、ピクセル毎にRGBデータとアルファデータ(A)とを含む。
【0059】
GPU120は、CPU11によってVRAM131に書き込まれた、サブビデオデータ、グラフィクスデータ、サブピクチャデータ、およびカーソルデータから、例えば1920×1080ピクセルのグラフィクス画面イメージを形成するグラフィクス出力データを生成する。この場合、サブビデオデータ、グラフィクスデータ、サブピクチャデータ、およびカーソルデータは、GPU120のミキサ(MIX)部121によって実行されるアルファブレンディング処理によってピクセル毎に重ね合わされる。
【0060】
このアルファブレンド処理においては、VRAM131に書き込まれた、サブビデオデータ、グラフィクスデータ、サブピクチャデータ、およびカーソルデータそれぞれに対応するアルファデータが用いられる。すなわち、VRAM131に書き込まれたサブビデオデータ、グラフィクスデータ、サブピクチャデータ、およびカーソルデータの各々は、画像データとアルファデータとから構成されている。ミキサ(MIX)部121は、サブビデオデータ、グラフィクスデータ、サブピクチャデータ、およびカーソルデータそれぞれに対応するアルファデータと、CPU11によって指定される、それらサブビデオデータ、グラフィクスデータ、サブピクチャデータ、およびカーソルデータそれぞれの位置情報とに基づいてブレンド処理を実行することにより、例えば1920×1080ピクセルの背景画像上にサブビデオデータ、グラフィクスデータ、サブピクチャデータ、およびカーソルデータが重ね合わされたグラフィクス画面イメージを生成する。
【0061】
背景画像の各ピクセルに対応するアルファ値は、当該ピクセルが透明であることを示す値つまり0である。グラフィクス画面イメージの内、画像データ同士が重ね合わされた領域については、その領域に対応する新たなアルファデータがミキサ(MIX)部121によって算出される。
【0062】
このようにして、GPU120は、サブビデオデータ、グラフィクスデータ、サブピクチャデータ、およびカーソルデータから、1920×1080ピクセルのグラフィクス画面イメージを形成するグラフィクス出力データ(RGB)およびそのグラフィクスデータに対応するアルファデータを生成する。なお、サブビデオデータ、グラフィクスデータ、サブピクチャデータ、およびカーソルデータのいずれか一つの画像のみが表示されるシーンについては、1920×1080ピクセルの背景画像上に当該画像(例えば720×480)のみが配置されたグラフィクス画面イメージに対応するグラフィクスデータおよびそのグラフィクスデータに対応するアルファデータが生成される。
【0063】
GPU120によって生成されたグラフィクスデータ(RGB)およびアルファデータは、グラフィクスバス20を介してRGBAデータとしてブレンド処理部30に送られる。
【0064】
次に、図4を参照して、本HD DVDプレーヤによってサポートされているオーディオコーデックの種類について説明する。
【0065】
本HD DVDプレーヤにおいては、メインオーディオデータに対応するオーディオコーデックの種類として、5種類のオーディオコーデック、MLP(Meridian Lossless Pack), Dolby Digital, Dolby Digital Plus, DTS(digital theater system), DTS-HDがサポートされている。同様に、サブオーディオデータに対応するオーディオコーデックの種類としも、5種類のオーディオコーデック、MLP(Meridian Lossless Pack), Dolby Digital, Dolby Digital Plus, DTS(digital theater system), DTS-HDがサポートされている。
【0066】
コンテント作成者は、MLP(Meridian Lossless Pack), Dolby Digital, Dolby Digital Plus, DTS(digital theater system), DTS-HDの内の任意の一つのコーデックを用いて圧縮符号化されたデジタルオーディオデータをメインオーディオデータとして用いることができる。同様に、コンテント作成者は、MLP(Meridian Lossless Pack), Dolby Digital, Dolby Digital Plus, DTS(digital theater system), DTS-HDの内の任意の一つのコーデックを用いて圧縮符号化されたデジタルオーディオデータをサブオーディオデータとして用いることができる。もちろん、例えばLiner PCM形式のようなデジタルオーディオデータをメインオーディオデータまたはサブオーディオデータとして使用することもできる。
【0067】
効果音(Effect Sound)はLiner PCM形式のデジタルオーディオデータから構成されている。
【0068】
次に、図5を参照して、メインオーディオデータ、サブオーディオデータ、および効果音(Effect Sound)からデジタルオーディオ出力信号を生成するためのオーディオ処理システムの構成について説明する。
【0069】
本HD DVDプレーヤにおいては、2つの圧縮符号化されたデジタルオーディオデータ(メインオーディオデータ、サブオーディオデータ)をそれぞれデコードし、デコードされた2つのデジタルオーディオデータ(メインオーディオデータ、サブオーディオデータ)と別のデジタルオーディオデータ(効果音)とを含む3つのデジタルオーディオデータをミックスするという、デュアルデコードトリプルミックス処理が実行される。
【0070】
専用回路を新たに開発することなく、このデュアルデコードトリプルミックス処理を効率よく実行するために、オーディオ処理システムは、第1乃至第4の4つのデジタル信号プロセッサ301、302、303、304を用いて実現されている。
【0071】
メインオーディオデコーダ31は第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301によって実現されている。また、サブオーディオデコーダ32は第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302によって実現されている。また、オーディオミキサ(Audio Mix)33は第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303によって実現されている。第4のデジタル信号プロセッサ(DSP#4)304は、オーディオミキサ(Audio Mix)33によって得られたデジタルオーディオ出力信号を圧縮符号化して、SPDIF(Sony/Philips digital interface)のような所定のオーディオ出力インタフェースを介して外部に出力可能なデジタルオーディオデータを生成する。
【0072】
第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301は、例えば7.1チャンネルのメインオーディオデータをデコードするようにプログラムされている。この第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301は、メインオーディオデコーダ31、サンプリングレート変換部(SRC:Sampling Rate Converter)401、およびセレクタ402を備えている。
【0073】
メインオーディオデコーダ31は、上述の5つのコーデックの種類それぞれに対応したデコード機能を有しており、メインオーディオデータのコーデックの種類に対応したデコード機能を用いてメインオーディオデータをデコードしてデジタルオーディオ信号を生成する。使用すべきデコード機能つまりメインオーディオデータに対応するコーデックの種類は、CPU11から第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301に供給されるデコード制御情報(Control)によって指定される。もちろん、メインオーディオデータ内に当該メインオーディオデータに対応するコーデックの種類を識別する識別情報が含まれている場合には、メインオーディオデコーダ31自体がメインオーディオデータに対応するコーデックの種類を判別することもできる。
【0074】
メインオーディオデコーダ31に入力されるメインオーディオデコーダのサンプリングレートは、例えば、48KHzまたは96KHzである。
【0075】
サンプリングレート変換部(SRC)401は、メインオーディオデコーダのサンプリングレートが48KHzである場合、そのメインオーディオデコーダのサンプリングレートを48KHzから96KHzにアップコンバートする。
【0076】
セレクタ402は、サンプリングレート変換部(SRC)401から出力されるデジタルオーディオ信号またはメインオーディオデコーダ31から出力されるデジタルオーディオ信号を選択する。すなわち、メインオーディオデコーダ31に入力されるメインオーディオデコーダのサンプリングレートが48KHzであれば、セレクタ402は、サンプリングレート変換部(SRC)401から出力されるデジタルオーディオ信号を選択し、メインオーディオデコーダ31に入力されるメインオーディオデコーダのサンプリングレートが96KHzであれば、セレクタ402は、メインオーディオデコーダ31から出力されるデジタルオーディオ信号を選択する。メインオーディオデコーダのサンプリングレートの値は、CPU11から第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301に供給されるデコード制御情報(Control)によって指定される。
【0077】
これにより、第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301は、第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301に入力されるメインオーディオデータのサンプリングレートとは無関係に、サンプリングレートが96KHzのデジタルオーディオ信号を第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303に常に供給することができる。
【0078】
第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302は、例えば2チャンネルのサブオーディオデータをデコードするようにプログラムされている。この第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302は、サブオーディオデコーダ32、2つのサンプリングレート変換部(SRC:Sampling Rate Converter)403,404を備えている。
【0079】
サブオーディオデコーダ32は、上述の5つのコーデックの種類それぞれに対応したデコード機能を有しており、サブオーディオデータのコーデックの種類に対応したデコード機能を用いてサブオーディオデータをデコードしてデジタルオーディオ信号を生成する。使用すべきデコード機能つまりサブオーディオデータに対応するコーデックの種類は、CPU11から第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302に供給されるデコード制御情報(Control)によって指定される。もちろん、サブオーディオデータ内に当該サブオーディオデータに対応するコーデックの種類を識別する識別情報が含まれている場合には、サブオーディオデコーダ32自体がサブオーディオデータに対応するコーデックの種類を判別することもできる。
【0080】
サブオーディオデコーダ32に入力されるサブオーディオデコーダのサンプリングレートは、例えば、12KHz、24KHz、または48KHzである。
【0081】
サンプリングレート変換部(SRC)403は、サブオーディオデコーダのサンプリングレートを12KHz、24KHz、または48KHzから96KHzにアップコンバートする。すなわち、もしサブオーディオデコーダのサンプリングレートが12KHzであれば、サンプリングレート変換部(SRC)403は、サブオーディオデコーダのサンプリングレートを8倍にアップコンバートする処理を実行する。もしサブオーディオデコーダのサンプリングレートが24KHzであれば、サンプリングレート変換部(SRC)403は、サブオーディオデコーダのサンプリングレートを4倍にアップコンバートする処理を実行する。もしサブオーディオデコーダのサンプリングレートが48KHzであれば、サンプリングレート変換部(SRC)403は、サブオーディオデコーダのサンプリングレートを2倍にアップコンバートする処理を実行する。サブオーディオデコーダのサンプリングレートの値は、CPU11から第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302に供給されるデコード制御情報(Control)によって指定される。
【0082】
これにより、第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302は、第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302に入力されるサブオーディオデータのサンプリングレートとは無関係に、サンプリングレートが96KHzのデジタルオーディオ信号を第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303に供給することができる。
【0083】
また、第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302は、効果音のサンプリングレートを変換する処理をサンプリングレート変換部(SRC)404を用いて実行する。第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302に入力される効果音のサンプリングレートは、例えば、12KHz、24KHz、または48KHzである。
【0084】
サンプリングレート変換部(SRC)404は、効果音のサンプリングレートを12KHz、24KHz、または48KHzから96KHzにアップコンバートする。すなわち、もし効果音のサンプリングレートが12KHzであれば、サンプリングレート変換部(SRC)404は、効果音のサンプリングレートを8倍にアップコンバートする処理を実行する。もし効果音のサンプリングレートが24KHzであれば、サンプリングレート変換部(SRC)404は、効果音のサンプリングレートを4倍にアップコンバートする処理を実行する。もし効果音のサンプリングレートが48KHzであれば、サンプリングレート変換部(SRC)404は、効果音のサンプリングレートを2倍にアップコンバートする処理を実行する。効果音のサンプリングレートの値は、CPU11から第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302に供給されるデコード制御情報(Control)によって指定される。
【0085】
これにより、第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302は、第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302に入力される効果音のサンプリングレートとは無関係に、効果音を、サンプリングレートが96KHzのデジタルオーディオ信号として第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303に供給することができる。
【0086】
第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303は、3つのオーディオデータ、つまりデコードされたメインオーディオデータと、デコードされたサブオーディオデータと、効果音とをミックスする処理を実行するようにプログラムされている。
【0087】
この第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303は、オーディオミキサ(Audio Mix)33およびPOST処理部405を備えている。
【0088】
オーディオミキサ(Audio Mix)33は、第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301の出力と、第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302の2つの出力に結合されている。このオーディオミキサ(Audio Mix)33は、3つのデジタルオーディオ信号、つまり第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301から出力されるデジタルオーディオ出力信号(デコードされたメインオーディオデータ)、第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302から出力されるデジタルオーディオ出力信号(デコードされたサブオーディオデータ)、および第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302から出力されるデジタルオーディオ出力信号(効果音)をミックスするミキシング処理を実行してデジタルオーディオ出力信号を生成する。
【0089】
これら3つのデジタルオーディオ信号のサンプリングレートは互いに一致しているので(どれも96KHz)、オーディオミキサ(Audio Mix)33は、96KHzのサンプリングレートに対応するサンプリング周期(サンプリング周期=1/96K)毎にミキシング処理を実行するだけで、3つのデジタルオーディオ信号がミックスされた、例えば5.1チャンネルのデジタルオーディオ出力信号を生成することができる。
【0090】
POST処理部405は、オーディオミキサ(Audio Mix)33によって得られたデジタルオーディオ出力信号に対して後処理(ボリューム制御処理、bass制御処理、ディレイ制御処理等)を施す。後処理されたデジタルオーディオ出力信号は、AVインタフェース(HDMI−TX)41を介して外部のHDMI機器に出力されると共に、オーディオA/Dコンバータ(A−DAC)305によってアナログオーディオ信号に変換された後に外部に出力される。
【0091】
また、オーディオミキサ(Audio Mix)33によって得られたデジタルオーディオ出力信号は、第4のデジタル信号プロセッサ(DSP#4)304にも送られる。第4のデジタル信号プロセッサ(DSP#4)304は、エンコーダ406を備えている。このエンコーダ406は、オーディオミキサ(Audio Mix)33によって得られた5.1チャンネルのデジタルオーディオ出力信号を例えばDTSのような圧縮符号化方式で圧縮符号化して、SPDIFのような所定のオーディオ出力インタフェースに対応したデジタルオーディオデータを生成する。また、第4のデジタル信号プロセッサ(DSP#4)304に、デジタルオーディオ出力信号のサンプリングレートを48KHzにダウンサンプリングするユニット、およびデジタルオーディオ出力信号を5.1チャンネルから2チャンネルにダウンミックスするユニット等を設け、ダウンサンプリングおよびダウンミックスされたデジタルオーディオ出力信号をエンコーダ406によって圧縮符号化するようにしてもよい。
【0092】
このように、本実施形態のオーディオ処理システムにおいては、メインオーディオデータのデコードおよびサブオーディオデータのデコードという多くの演算量を必要とする2つの処理は物理的に異なる2つのDSP301,302によって実行され、さらに、デコーダされたメインオーディオデータとデコーダされたサブオーディオデータと効果音とをミックスする処理も2つのDSP301,302とは物理的に異なるDSP303によって実行される。よって、これら3つのDSP301,302,303に効率よく負荷を分散することが可能となり、上述のデュアルデコードトリプルミックス処理を効率よく実行することが可能となる。
【0093】
また、DSP301,302,303の各々はプログラム可能な汎用DSPから構成されているので、オーディオ処理に関する仕様の変化に対しても柔軟に対応することができる。
【0094】
なお、効果音の出力をサポートしないプレーヤにおいては、効果音に対する処理部は不要となる。
【0095】
次に、図6を参照して、4つのDSP301,302,303,304間の接続関係について説明する。
【0096】
第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301はI2S(Inter-IC Sound)バス501を介して第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303に接続されている。すなわち、第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301は、第1のデジタル信号プロセッサ(DSP#1)301の出力と第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303の入力との間を接続するI2S(Inter-IC Sound)バス501を介して、デジタルオーディオ信号(デコーダされたメインオーディオデータ)を第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303に送信する。
【0097】
第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302はI2S(Inter-IC Sound)バス502を介して第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303に接続されている。すなわち、第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302は、第2のデジタル信号プロセッサ(DSP#2)302の出力と第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303の入力との間を接続するI2S(Inter-IC Sound)バス502を介して、デジタルオーディオ信号(デコーダされたサブオーディオデータ)を第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303に送信する。
【0098】
第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303はI2S(Inter-IC Sound)バス503を介して第4のデジタル信号プロセッサ(DSP#4)304に接続されている。すなわち、第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303は、第3のデジタル信号プロセッサ(DSP#3)303の出力と第4のデジタル信号プロセッサ(DSP#4)304の入力との間を接続するI2S(Inter-IC Sound)バス503を介して、ミキシング処理によって得られたデジタルオーディオ出力信号を第4のデジタル信号プロセッサ(DSP#4)304に送信する。
【0099】
I2Sバスは様々なオーディオ制御デバイスが標準的でサポートしている汎用のオーディオバスである。このため、4つのDSP301,302,303,304間の接続にI2Sバスを用いることにより、将来の様々なシステム構成の変更に対して柔軟に対応することが可能となる。
【0100】
また、4つのDSP301,302,303,304は、クロック発生器601からのクロック信号に同期して動作する。
【0101】
すなわち、DSP301は、クロック信号に同期して、デジタルオーディオ信号(デコーダされたメインオーディオデータ)をDSP303に送信し、DSP302は、クロック信号に同期して、デジタルオーディオ信号(デコーダされたサブオーディオデータ)およびデジタルオーディオ信号(効果音)をそれぞれDSP303に送信する。このため、図7に示すように、同一サンプリングレートを有する3つのデジタルオーディオ信号(デコーダされたメインオーディオデータ、デコードされたサブオーディオデータ、効果音)が同期してDSP303に入力される。したがって、DSP303においては、ミキシング処理を精度良く実行することができる。
【0102】
ミキシング処理においては、1サンプリング周期毎に、3つのデジタルオーディオ信号からデジタルオーディオ出力信号を算出するための処理(例えば、3つのデジタルオーディオ信号の加算平均を算出する処理)が実行される。例えば、1サンプリング周期目においては、DSP303は、メインオーディオデータA1とサブオーディオデータB1と効果音C1との加算平均値M1を算出し、そのM1をデジタルオーディオ出力信号として出力する。また、2サンプリング周期目においては、DSP303は、メインオーディオデータA2とサブオーディオデータB2と効果音C2との加算平均値M2を算出し、そのM2をデジタルオーディオ出力信号として出力する。また、3サンプリング周期目においては、DSP303は、メインオーディオデータA3とサブオーディオデータB3と効果音C3との加算平均値M3を算出し、そのM3をデジタルオーディオ出力信号として出力する。
【0103】
このように、本実施形態においては、同一サンプリングレートを有する3つのデジタルオーディオ信号(デコーダされたメインオーディオデータ、デコードされたサブオーディオデータ、効果音)が同期してDSP303に入力されるので、DSP303は、サンプリング周期毎にミキシング処理を行うだけで、容易にデジタルオーディオ出力信号を得ることができる。
【0104】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の一実施形態に係る再生装置の構成の例を示すブロック図。
【図2】図1の再生装置で用いられるプレーヤアプリケーションの構成の例を示す図。
【図3】図2のプレーヤアプリケーションによって実現されるソフトウェアデコーダの機能構成の例を説明するための図。
【図4】図1の再生装置によってサポートされているオーディオコーデックの種類の例を説明するための図。
【図5】図1の再生装置に設けられたオーディオ処理システムの構成の例を示すブロック図。
【図6】図5のオーディオ処理システムに設けられた4つのDSP間の接続関係の例を説明するための図。
【図7】図5のオーディオ処理システムによって実行されるミキシング処理動作の例を示す図。
【符号の説明】
【0106】
11…CPU、18…HD DVDドライブ、25…ビデオデコーダ、30…ブレンド処理部、31…メインオーディオデコーダ、32…サブオーディオデコーダ、33…オーディオミキサ、301,302,303…DSP、401,402,403…サンプリングレート変換部、501,502,503…I2Sバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の圧縮符号化方式それぞれに対応するデコード機能を有し、前記複数種の圧縮符号化方式の内の任意の一つを用いて圧縮符号化された第1のオーディオデータをデコードして第1のデジタルオーディオ信号を生成する第1のデジタル信号プロセッサと、
前記複数種の圧縮符号化方式それぞれに対応するデコード機能を有し、前記複数種の圧縮符号化方式の内の任意の一つを用いて圧縮符号化された第2のオーディオデータをデコードして第2のデジタルオーディオ信号を生成する第2のデジタル信号プロセッサと、
前記第1のデジタル信号プロセッサから出力される前記第1のデジタルオーディオ信号と前記第2のデジタル信号プロセッサから出力される前記第2のデジタルオーディオ信号とをミックスするミキシング処理を実行してデジタルオーディオ出力信号を生成する第3のデジタル信号プロセッサとを具備することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記第1のデジタル信号プロセッサは、前記第1のオーディオデータのサンプリングレートが第1のサンプリングレートよりも低い場合、前記デコードされた第1のオーディオデータのサンプリングレートを前記第1のサンプリングレートにアップコンバートする第1のサンプリングレート変換部を含み、
前記第2のデジタル信号プロセッサは、前記デコードされた第2のオーディオデータのサンプリングレートを前記第1のサンプリングレートにアップコンバートする第2のサンプリングレート変換部を含み、
前記第3のデジタル信号プロセッサは、前記第1のサンプリングレートに対応するサンプリング周期毎に前記ミキシング処理を実行することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
前記第1のデジタル信号プロセッサは、前記第1のデジタル信号プロセッサと前記第3のデジタル信号プロセッサとの間を接続する第1のI2Sバスを介して、前記第1のデジタルオーディオ信号を前記第3のデジタル信号プロセッサに送信し、
前記第2のデジタル信号プロセッサは、前記第2のデジタル信号プロセッサと前記第3のデジタル信号プロセッサとの間を接続する第2のI2Sバスを介して、前記第2のデジタルオーディオ信号を前記第3のデジタル信号プロセッサに送信することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項4】
前記第3のデジタル信号プロセッサから出力される前記デジタルオーディオ出力信号を圧縮符号化して所定のオーディオ出力インタフェースに対応したデジタルオーディオデータを生成する第4のデジタル信号プロセッサをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項5】
前記第2のデジタル信号プロセッサは、第3のオーディオデータのサンプリングレートを前記第1のサンプリングレートにアップコンバートして、前記第1のサンプリングレートを有する第3のデジタルオーディオ信号を生成する第3のサンプリングレート変換部をさらに含み、
前記第3のデジタル信号プロセッサは、前記第1のサンプリングレートに対応するサンプリング周期毎に、前記第1のデジタルオーディオ信号と前記第2のデジタルオーディオ信号と前記第3のデジタルオーディオ信号とをミックスする処理を実行することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項6】
蓄積メディアに格納されている、圧縮符号化されたメインビデオデータと圧縮符号化されたサブビデオデータと複数種の圧縮符号化方式の内の任意の一つを用いて圧縮符号化されたメインオーディオデータと前記複数種の圧縮符号化方式の内の任意の一つを用いて圧縮符号化されたサブオーディオデータとを含むコンテントを再生する再生装置であって、
前記蓄積メディアから前記メインビデオデータと前記サブビデオデータと前記メインオーディオデータと前記サブオーディオデータとを読み出す手段と、
前記読み出されたメインビデオデータをデコードする手段と、
前記読み出されたサブビデオデータをデコードする手段と、
前記デコードされたメインビデオデータと前記デコードされたサブビデオデータとを重ね合わせるブレンド処理を実行するブレンド処理部と、
前記ブレンド処理によって得られる画像データを表示装置に出力する手段と、
前記複数種の圧縮符号化方式それぞれに対応するデコード機能を有し、前記読み出されたメインオーディオデータをデコードして第1のデジタルオーディオ信号を生成する第1のデジタル信号プロセッサと、
前記複数種の圧縮符号化方式それぞれに対応するデコード機能を有し、前記読み出されたサブオーディオデータをデコードして第2のデジタルオーディオ信号を生成する第2のデジタル信号プロセッサと、
前記第1のデジタル信号プロセッサから出力される前記第1のデジタルオーディオ信号と前記第2のデジタル信号プロセッサから出力される前記第2のデジタルオーディオ信号とをミックスするミキシング処理を実行する第3のデジタル信号プロセッサと、
前記ミキシング処理によって得られるオーディオ信号を出力する手段とを具備することを特徴とする再生装置。
【請求項7】
前記第1のデジタル信号プロセッサは、前記メインオーディオデータのサンプリングレートが第1のサンプリングレートよりも低い場合、前記デコードされたメインオーディオデータのサンプリングレートを前記第1のサンプリングレートにアップコンバートする第1のサンプリングレート変換部を含み、
前記第2のデジタル信号プロセッサは、前記デコードされたサブオーディオデータのサンプリングレートを前記第1のサンプリングレートにアップコンバートする第2のサンプリングレート変換部を含み、
前記第3のデジタル信号プロセッサは、前記第1のサンプリングレートに対応するサンプリング周期毎に前記ミキシング処理を実行することを特徴とする請求項6記載の再生装置。
【請求項8】
前記第1のデジタル信号プロセッサは、前記第1のデジタル信号プロセッサと前記第3のデジタル信号プロセッサとの間を接続する第1のI2Sバスを介して、前記第1のデジタルオーディオ信号を前記第3のデジタル信号プロセッサに送信し、
前記第2のデジタル信号プロセッサは、前記第2のデジタル信号プロセッサと前記第3のデジタル信号プロセッサとの間を接続する第2のI2Sバスを介して、前記第2のデジタルオーディオ信号を前記第3のデジタル信号プロセッサに送信することを特徴とする請求項6記載の再生装置。
【請求項9】
前記第3のデジタル信号プロセッサから出力される前記デジタルオーディオ出力信号を圧縮符号化して所定のオーディオ出力インタフェースに対応したデジタルオーディオデータを生成する第4のデジタル信号プロセッサをさらに具備することを特徴とする請求項6記載の再生装置。
【請求項10】
前記第2のデジタル信号プロセッサは、前記蓄積メディアから読み出される効果音のサンプリングレートを前記第1のサンプリングレートにアップコンバートして、前記第1のサンプリングレートを有する第3のデジタルオーディオ信号を生成する第3のサンプリングレート変換部をさらに含み、
前記第3のデジタル信号プロセッサは、前記第1のサンプリングレートに対応するサンプリング周期毎に、前記第1のデジタルオーディオ信号と前記第2のデジタルオーディオ信号と前記第3のデジタルオーディオ信号とをミックスする処理を実行することを特徴とする請求項6記載の再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−257701(P2007−257701A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78223(P2006−78223)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】