説明

写真プリント装置

【課題】オペレータの作業効率を向上させ、スムーズなプリント処理が可能な写真プリント装置を提供する。
【解決手段】マガジンMに収容されている長尺の感光材料の情報の検出を行う検出手段MSの検出結果に基づいて、この長尺の感光材料の残り長さ(残量)を算出する残量算出部79と、プリントサイズとプレジャッジ画面で設定されたプリント枚数とに基づいて、プリント処理に使用される感光材料の長さ(使用予定量)を算出する使用予定量算出部78と、プレジャッジにおけるプリント枚数確定時に、この残量と使用予定量とを比較してプリント処理の適否について判定するプリント処理判定部77とを備えるとともに、この判定結果を表示する報知画面表示部72Bを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マガジンから供給される長尺の感光材料に画像データの露光処理を行うプリント処理を制御するプリント処理制御部を備えた写真プリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マガジンから供給される長尺の感光材料に画像データの露光処理を行う写真プリント装置において、複数コマ(例えば6コマ)の画像を同一画面に表示し、プリント処理に先立ちこの画面上でプリント枚数の指定や画像データの補正の要否の判断(プレジャッジ)をオーダ毎に行うものがある。この場合、プレジャッジ終了後、所定の操作の後に、この画面上で設定された条件に基づいて各画像のプリント処理が開始される。また、この種の写真プリント装置には、マガジンに収容されている長尺の感光材料の残り長さ(残量)が表示されるものもある。
【0003】
一方、紙などの消耗品の残量検出を行い、消耗品や印刷時間を効率良く用いた印刷を行うための写真プリント装置と関連する技術として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された技術では、紙の残量検出を行う紙残量検出手段から得た紙残量の情報と紙使用量分析手段から得た紙使用量との情報を比較する比較手段と、この比較手段から得た情報により印刷可能か判断する判断手段とを備えている。そして、紙の残量と紙の使用量とを比較した結果、印刷に使用する紙の残量がなく印刷できないと判断された場合には、その旨通知するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−202933号公報(請求項1〜3、第〔0012〕〜〔0018段落〕、図1及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したプレジャッジ機能を有する写真プリント装置においては、オーダ分のプリント処理が可能か否か、すなわちオーダ分の感光材料の残量があるか否かの判断をしておらず、そのオーダのプリント処理の途中で、感光材料の不足により処理が中断されてしまうといった問題があった。
【0006】
特に、プリント処理開始後は、オペレータは写真プリント装置から離れて他の作業を行うなど1人で多くの作業をこなすことが多く、そのため写真プリント装置を常時監視することは困難であり、また、かかる突発的な事態の発生はオペレータの作業効率を低下させる一因ともなる。
【0007】
また、上記特許文献1の技術を適用して、例えばプリント処理開始後にプリント処理不可能である旨の表示がなされるようにした場合では、オペレータが写真プリント装置から離れてしまい、かかる表示の確認が遅れる状況も考えられる。さらに、マガジンの交換には時間を要するため、プリント処理不可能である旨の表示を受けてマガジンの交換をしたのでは、プリント処理終了までに時間がかかってしまうという問題も発生する。
【0008】
本発明は、かかる問題点に着目してなされたものであり、その目的は、オペレータの作業効率を向上させ、スムーズなプリント処理が可能な写真プリント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る写真プリント装置の第一特徴構成は、マガジンから供給される長尺の感光材料に画像データの露光処理を行うプリント処理を制御するプリント処理制御部を備えた写真プリント装置において、前記マガジンに収容されている前記長尺の感光材料の情報を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて前記長尺の感光材料の残り長さを算出する残量算出部とを備えるとともに、プリント処理する各画像と、各画像のプリント枚数とプリントサイズとを含むオーダ情報とを順次表示するプレジャッジ画面を表示するプレジャッジ画面表示部と、前記プレジャッジ画面で表示された前記オーダ情報に含まれる各種設定項目について設定をするプリント詳細設定部と、設定されたプリントサイズとプリント枚数とに基づいて、プリント処理に使用される感光材料の長さを算出する使用予定量算出部とを備え、さらに、プレジャッジにおけるプリント枚数確定時に、前記残量算出部において算出された前記長尺の感光材料の残り長さと、前記使用予定量算出部において算出された前記プリント処理に使用される感光材料の長さとを比較して、プリント処理の適否について判定するプリント処理判定部と、前記プリント処理判定部の判定結果を表示する報知画面表示部とを備えた点にある。
【0010】
本構成においては、マガジンに収容されている長尺の感光材料の残り長さ(「残量」と称する)とプリント処理に使用される感光材料の長さ(「使用予定量」と称する)との比較を1オーダ毎のプレジャッジにおけるプリント枚数確定時に行い、そのプリント処理の適否の判定結果を表示するようにしている。したがって、オペレータが入力操作を行っているときにその判定結果が表示され、オペレータは判定結果に対して確実かつ迅速に対応することができる。すなわち、写真プリント装置から離れている間にプリント処理不可能である旨の表示がなされて確認が遅れるなど、時間のロスが生じることを回避することができる。これにより、オペレータの作業効率を向上させ、スムーズなプリント処理を実現することができる。
【0011】
本発明に係る写真プリント装置の第二特徴構成は、前記プリント処理判定部においてプリント処理が否と判定された場合に代替してプリント処理するための代替手段を備え、前記報知画面表示部は、前記代替手段も表示する点にある。
【0012】
本構成のごとく、プリント処理が不可能と判定された場合に代替してプリント処理するための代替手段を備えることで、かかる代替手段を用いることにより、マガジンの交換という時間を要する作業を回避して、1オーダ分のプリント処理を中断することなく完了することができる。また、判定結果とともにこの代替手段を報知する表示を行うことにより、オペレータはその判定結果に対してより迅速に対応することができ、オペレータの作業効率を向上させ、スムーズなプリント処理を行うことができる。
【0013】
本発明に係る写真プリント装置の第三特徴構成は、少なくとも2つのマガジンを備えるとともに、プリント処理において前記プリント処理制御部は一のマガジンを選択するように構成され、前記代替手段は、前記プリント処理判定部において、選択された一のマガジンでプリント処理が否と判定された場合、他のマガジンを選択してプリント処理を行う手段である点にある。
【0014】
本構成のごとく、少なくとも2つのマガジンを備えている場合には、一のマガジンの残量が不足する場合でも、その他のマガジンの残量は充足しておりプリント処理できる場合がある。したがって、プリント処理における感光材料の使用予定量を充足するその他のマガジンを選択することで、マガジン交換を回避して、1オーダ分のプリント処理を中断することなく完了することができる。
【0015】
本発明に係る写真プリント装置の第四特徴構成は、画像データとオーダ情報とを含むプリント情報をオーダ毎に記憶するとともに、プリント処理のオーダ順序を管理するプリント情報管理部を備え、前記代替手段は、前記プリント情報管理部によりオーダ順序を変更してプリント処理を行う手段である点にある。
【0016】
本構成のごとく、プリント情報をオーダ毎に記憶し、オーダ順序を管理するプリント情報管理部を備え、このオーダ情報管理部によりオーダ順序の変更が可能なように構成することで、例えば次のオーダのプリント処理が可能である場合、現オーダのプリント情報は保存しておき、次のオーダを優先してプリント処理することができ、一連のプリント処理に要する時間を効率的に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔写真プリント装置〕
図1及び図2に、本発明に係る写真プリント装置の全体構成を示す。この写真プリント装置は、デジタルミニラボとも称せられ、暗箱構造の筐体10の外部にオペレート部Aを備えるとともに、筐体10の内部に印画紙P(感光材料の一例)に対して画像データの露光を行う露光処理部Exと、この露光処理部Exからの印画紙Pを反転することで表裏を入れ換えて上方に搬送する縦搬送部CVと、この縦搬送部CVからの印画紙Pの現像処理を行う現像処理部Deと、この現像処理部Deからの印画紙Pの乾燥を行う乾燥処理部Drとを備え、この乾燥処理部Drで乾燥された印画紙Pを筐体10の端部の排出部11から排出し、搬送ベルト12で受け止めて水平方向に搬送し、複数のトレイ13Aのいずれかにオーダ単位で回収するソータ13を備えている。
【0018】
〔オペレート部〕
オペレート部Aは、オペレータが画像データの取得と、プリント処理に必要な操作とを行う操作端末として機能する。このオペレート部Aは、テーブル部20に設置された汎用コンピュータで成るオペレート部コントローラ21と、このオペレート部コントローラ21の上面に設置されたディスプレイ22と、現像済みの写真フィルムFのコマ画像から画像データを取得するフィルムスキャナ23と、2つのキーボード24とマウス25とを備えている。オペレート部コントローラ21の前面には、各種の半導体型の記憶媒体と、CD−ROM、DVD、MO等の光学式や磁気式の記憶媒体との間で情報のアクセスを行う複数のメディアドライブ26を備えている。
【0019】
なお、フィルムスキャナ23は、下部に配置した光源23Aからの光線をフィルムキャリア23Bに支持された写真フィルムFに照射し、この写真フィルムFからの光線をレンズユニット23Cから上部の光電変換ユニット23Dに導き、この光電変換ユニット23Dにおいて写真フィルムFのコマ画像の光電変換とA/D変換とを行うことにより、R(赤)・G(緑)・B(青)の3原色に色分解したデジタル型の画像データを取得する。
【0020】
〔露光処理部・縦搬送部・現像処理部・乾燥処理部〕
露光処理部Exは、2つの印画紙マガジンMにロール状に収容された長尺の印画紙Pのいずれか一方を圧着型の供給搬送ローラ41で上方に引き上げた後に水平方向に送り出し、カッターユニット42の排出ローラ43からチャッカーCに受け渡す。このチャッカーCは、印画紙Pを挟持する挟持状態と開放する開放状態とに切り換え自在なチャック部材(図示せず)を備えており、このチャック部材で印画紙Pの先端近くを挟持し、水平方向への搬送を開始する。この水平方向への搬送時にはチャッカーCの移動速度と同期した速度で供給搬送ローラ41と排出ローラ43とを駆動する。そして、カッターユニット42の切断位置を基準にして搬送された印画紙Pの長さが所定のプリントサイズに達すると、印画紙Pの搬送を一時停止しカッターユニット42によって印画紙Pを切断する。この切断の後に、チャッカーCを水平方向に更に移動させ、印画紙Pを露光ユニットGの露光搬送機構Gcに受け渡す。
【0021】
なお、2つの印画紙マガジンMには、夫々IDプレート19が備えられている。このIDプレート19にはマガジンに収容された印画紙の幅や全長、面質(光沢や半光沢などの印画紙の表面の質)などの情報が記録されている。これらのIDプレート19に対して検出手段としてのマガジンセンサMSが夫々近接して配置されており、このマガジンセンサMSから各IDプレート19に記録された印画紙の情報を取得することができる。なお、このマガジンセンサMSは、光学式センサなどの非接触型のセンサで構成されている。
【0022】
露光ユニットGは、圧着状態と開放状態とに切り換え自在な3つのローラを有する露光搬送機構Gcによって、受け取った印画紙Pを水平方向(副走査方向)に搬送しながら、露光ヘッドGhによって主走査方向に沿ったライン露光を行うように露光形態が設定されている。露光ヘッドGhとしては、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に対応した3種の真空ケースの内部に多数のドット状となる蛍光体をライン状に配置し、これらの蛍光体を独立して発光させるように構成したものを用いている。これに代えて、光源からの光線の照射を画素単位で制御する液晶型等のシャッターから印画紙Pの感光面に導くことでライン露光を行うものや、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色のレーザビームを走査する形態でライン露光を行うものを用いても良い。
【0023】
なお、露光処理部Exには、この露光処理部Exでの印画紙Pの切断・露光・搬送を制御するとともに、後述する縦搬送部CVでの印画紙Pの搬送と、現像処理部Deでの印画紙Pの搬送と現像処理液の管理と、乾燥処理部Drでの印画紙Pの搬送と温度管理とを制御するマイクロプロセッサを有した処理部コントローラ36が備えられている。
【0024】
縦搬送部CVは、露光処理部Exで露光された印画紙Pを圧着型のローラ15で受け取り、この圧着型のローラ15の姿勢の変換によって表裏を入れ換え、ガイドレール16に沿って上方に搬送し、現像処理部Deに送り出すように機能する。
【0025】
現像処理部Deは、発色現像槽と漂白定着槽と安定槽とで成る複数の処理槽を樹脂によって一体形成した現像処理槽30を備えるとともに、露光処理部Exから供給された印画紙Pを、現像処理液を収容した夫々の現像処理槽に搬送するために複数の圧着型のローラを有した現像搬送機構31を備えている。
【0026】
乾燥処理部Drは、現像処理部Deから送り出された印画紙Pを搬送する複数の圧着型のローラ32と、この圧着型のローラ32で搬送される印画紙Pに対して乾燥空気を供給するブロワ33とを備えている。
【0027】
〔制御構造〕
図3に示すように、この写真プリント装置の制御系が構成されている。オペレート部コントローラ21は、マイクロプロセッサCPUと、このマイクロプロセッサCPUのデータバスに接続する入出力インタフェース(I/O)70とを備え、この入出力インタフェース70に対して、ディスプレイ22と、フィルムスキャナ23と、このフィルムスキャナ23にセットされたフィルムキャリア23Bを判別するフィルムキャリアセンサ23Sと、キーボード24と、マウス25と、メディアドライブ26と、ハードディスクHDとの間で情報がアクセスする信号系を形成し、また、入出力インタフェース70と処理部コントローラ36との間で信号をアクセスする通信系を形成している。
【0028】
マイクロプロセッサCPUのデータバスに対して、RAMやROMで成る半導体メモリ71と、GUI制御部72と、画像データ取得部73と、画像処理部74と、プリント実行部75と、プリント条件設定部76と、プリント処理判定部77と、使用予定量算出部78と、残量算出部79とが接続している。さらに、GUI制御部72はプレジャッジ画面表示部72Aと報知画面表示部72Bとを、プリント実行部75はプリント情報管理部75Aを、プリント条件設定部76はプリントチャンネル設定部76Aとプリント詳細設定部76Bとを有している。
【0029】
GUI制御部72は、ディスプレイ22に後述するオーダ画面50などの各種情報を表示する処理とともに、その画面上においてマウス25の操作やキーボード24の操作に基づいて、ディスプレイ22に表示された画面を介して情報を取得する処理を実行する。プレジャッジ画面表示部72Aは、ディスプレイ22の画面上に複数コマ(例えば6コマ)の画像やプリント枚数などのオーダ情報を順次表示し、各画像に対して補正処理やプリント枚数などの入力を行うためのプレジャッジ画面を表示する処理を実行する。また、報知画面表示部72Bは、プリント処理の適否の判定結果などを表示する処理を行う。
【0030】
画像データ取得部73は、フィルムスキャナ23やメディアドライブ26などから画像データを取得する処理を実行する。画像処理部74は、取得した画像データの補正や合成などの画像処理を実行する。プリント実行部75は、画像データやオーダ情報を処理部コントローラ36に伝送することによりプリント処理を実行する。また、プリント情報管理部75Aは、プリント処理する画像データやオーダ情報を含むプリント情報をオーダ毎に記憶するとともに、このプリント処理のオーダ順序の管理などを行う。
【0031】
プリント条件設定部76は、プリント処理のための各種プリント条件を設定する処理を行う。このうち、プリントチャンネル設定部76Aは、プリント処理する画像データに対して後述するプリントチャンネルを設定する処理を、プリント詳細設定部76Bはプレジャッジ画面において入力されたプリント枚数などの各種設定項目について設定をする処理を実行する。
【0032】
使用予定量算出部78は、設定されたプリントサイズとプリント枚数とに基づいて、プリント処理に使用される感光材料の長さ(使用予定量)を算出する処理を行い、残量算出部79は、マガジンセンサMSの検出結果に基づいてマガジンに収容されている長尺の印画紙Pの残り長さ(残量)を算出する処理を行う。そして、プリント処理判定部77は、プレジャッジにおけるプリント枚数確定時に、これらの使用予定量と残量とを比較してプリント処理の適否について判定する処理を実行する。
【0033】
なお、GUI制御部72と、画像データ取得部73と、画像処理部74と、プリント実行部75と、プリント条件設定部76と、プリント処理判定部77と、使用予定量算出部78と、残量算出部79とはソフトウエアで構成されるものであるが、これらをハードウエアで構成することや、ハードウエアとの組み合わせで構成しても良い。
【0034】
処理部コントローラ36は、露光処理部Exの供給搬送ローラ41から乾燥処理部Drの圧着ローラ32に亘る搬送系全般と露光処理部Exでの印画紙Pの切断とを管理する切断・搬送制御部81と、露光ヘッドGhを制御して印画紙Pに対する画像データの露光を管理する露光制御部82と、現像処理槽30の現像処理液の温度管理や液面管理を行い、乾燥処理部Drの温度管理を行う現像・乾燥制御部83とを備えている。また、この処理部コントローラ36は、2つの印画紙マガジンMに備えられたIDプレートの情報を検出するマガジンセンサMSからの信号が入力されるように構成されている。なお、本発明のプリント処理制御部は、この処理部コントローラ36とオペレート部コントローラ21とで構成されている。
【0035】
〔プリント処理形態〕
以下に、本実施形態における写真プリント装置のプリント処理形態について説明する。この写真プリント装置では、通常の同時プリント以外に、特殊なプリントサイズでの同時プリント、文字メッセージや他の画像との画像合成プリント、複数のコマ画像をレイアウトしたアルバム風プリントなど種々のプリント処理が可能に構成してある。このため、各プリント処理を実行制御するために要求される複数のパラメータ(制御パラメータ)がグループ化されたプリントチャンネル(制御チャンネル)が予め設定されている。具体的には、プリントチャンネルはプリント処理に使用する印画紙Pの幅の寸法、印画紙Pの送り長さ(カッターユニット42で切断するまでの印画紙Pの送り量:これによりプリントサイズの縦横比が決まる)、印画紙Pの面質(光沢や半光沢などの印画紙の表面の質)の値、プリント方式(自動プリントやプレジャッジプリントなど)、入力メディアの種類などのパラメータで構成されている。これらのプリントチャンネルは、ハードディスクHDに記憶されており、夫々のプリントチャンネルが後述する図4のオーダ画面(プリント処理選択画面)50のプリント選択アイコン51Aに関連付けられている。なお、プリントチャンネルは随時作成して登録することができる。したがって、この写真プリント装置でプリント処理を実行するにあたっては、予め用意されているプリントチャンネルを選択するか、あるいは新しいプリントチャンネルを作成登録して、それを選択する必要がある。
【0036】
図4には、ディスプレイ22に表示されるオーダ画面50が示されている。このオーダ画面50にはプリント選択部51と、機械情報画面表示部52と、プリント選択決定ボタン53などが表示されている。プリント選択部51には複数のプリント選択アイコン51Aが表示され、ページタブを操作することにより、別ページにあるプリント選択アイコン51Aを表示することができる。機械情報画面表示部52は、情報表示領域52Aに2つの印画紙マガジンMに収容されたロール状印画紙Pの幅の寸法と、面質と、残量とが数値で表示される。
【0037】
ここで印画紙Pの残量は、次のようにして残量検出部79において算出される。まず、マガジンMのセット時において、マガジンIDからマガジンMにロール状に収容された長尺の印画紙Pの全長をマガジンセンサMSにより検出し、その全長情報を取得する。一方でこのマガジンMにおける累積使用量を記憶しておく。そして、取得した印画紙Pの全長からこの累積使用量を減算することによりマガジンに収容されている印画紙Pの残量を算出することができる。
【0038】
プリント選択アイコン51Aには、関連付けられているプリントチャンネルのパラメータの値の一部が表示されており、具体的には、プリントサイズ(印画紙Pの幅及び送り長さ)、印画紙Pの面質の値、プリント枚数、入力メディアの種類などが表示されている。オーダ画面50において、オペレータはマウス25の操作やキーボード24の操作によって、このプリント選択部51に表示された複数のプリント選択アイコン51Aの表示内容から、所望のプリント条件を満たすプリント選択アイコン51Aを1つ選択する。そして、プリント選択決定ボタン53を操作することで、選択されたプリント選択アイコン51Aに対応するプリントチャンネルがプリントチャンネル設定部76Aにおいて設定され、図5に示すプレジャッジ画面に移行する。なお、このプリントチャンネルの設定により、使用される一のマガジンも設定される。図4では、プリント選択部51の左上隅のプリント選択アイコン51Aが選択され、情報表示領域52Aに示されているAのマガジンが選択される。
【0039】
図5に示すように、プレジャッジ画面60には、そのオーダにおける各画像が画像表示欄61に順次表示される。この画像表示欄61には前設定された表示コマ数だけ画像が表示され、例として図5では6コマの画像が表示されている。画像表示欄61の各コマ画像61Aの下側には、色補正のための複数のボタンを有する色補正設定エリア62とプリント枚数入力エリア63とが配置されている。プリント枚数入力エリア63はプリント枚数を入力するものであり、図4で選択したプリントチャンネルではプリント枚数は1枚として設定されているが、このプリント枚数入力エリア63における入力操作によりプリント枚数を変更することができる。例えば、図5では10枚、7枚などの多くのプリント枚数が入力されている。なお、「パス」が表示された場合は、その画像はプリント対象外となることを意味している。また、プレジャッジ画面60の下方にはプリントチャンネル表示欄64が表示されており、選択されたプリントチャンネル名称の表示や、このプリントチャンネルに含まれるパラメータであるプリントサイズや印画紙の面質、入力メディアの種類などが表示されている。そして、プレジャッジ画面60においてプリント枚数などの各種設定項目を入力後、プレジャッジ決定ボタン65を操作する。これによりプリント詳細設定部76Bにおいて各種設定項目が設定されるとともにプレジャッジが終了し、図4のオーダ画面50に戻る。すなわち、本実施形態における写真プリント装置においては、プレジャッジ終了時にプリント枚数が確定するように構成されている。
【0040】
そして、このオーダ画面50におけるオーダ(ORDER)ボタン54を操作することにより、設定されたプリント条件に基づき、フィルムスキャナ23で写真フィルムFから、あるいは、メディアドライブ26で半導体型の記憶媒体などから画像データが取得され、このように取得した画像データに基づいて、露光処理部Exにおいて印画紙Pにプリント画像データを露光し、現像処理部Deで現像処理を行い、この現像処理後の印画紙Pを乾燥処理部Drで乾燥した後に排出を行うプリント処理が開始される。
【0041】
ここで、プレジャッジ決定ボタン65の操作後、すなわちプレジャッジの終了時に、このオーダのプリント処理が否(不可能)と判定された場合は、報知画面表示部72Bにより報知画面がディスプレイ22に表示される。この報知画面には、判定結果とともに、代替するプリント処理手段がある場合、その代替手段も表示される。図6には、本実施形態においてディスプレイ22に表示される報知画面90(90Aから90Cの総称)の例が示されている。プリント処理の適否の判定処理、及び、代替手段によるプリント処理の流れについて、以下に具体的に説明する。
〔プリント処理の判定及び代替手段によるプリント処理〕
【0042】
図7にプリント処理の適否の判定と代替手段によるプリント処理についてのフローチャートを示す。まず、入力操作しているオーダの画像について、オーダ画面50のプリント選択決定ボタン53を操作してプリントチャンネルを設定し(#101)、これによりプレジャッジ画面60が表示され、プレジャッジを開始する(#102)。ディスプレイ22に表示されたプレジャッジ画面60における所定の入力操作の後、プレジャッジ決定ボタン65を操作することによりプレジャッジが終了する(#103)。
【0043】
本実施形態における写真プリント装置においては、プレジャッジの際にプリントチャンネルが設定されており、したがってプリントサイズも決定されている。そして、プレジャッジ終了時にプリント枚数が確定するので、使用予定量算出部78において、プリントサイズの送り長さと総プリント枚数とを乗算することにより、このオーダに必要な印画紙Pの使用予定量が算出される。
【0044】
プリント処理判定部77において、この算出された印画紙Pの使用予定量と残量算出部79により算出された印画紙Pの残量とを比較して、使用予定量が残量以下である場合はプリント処理可能と、使用予定量が残量を超える場合はプリント処理不可能と判定される(#104)。より具体的には、残量から使用予定量を減算して、その値が0以上であればプリント処理可能と、0未満であればプリント処理不可能と判定する。
【0045】
プリント処理可能と判定された場合(#104Yes分岐)は、当該オーダについてのプリント処理が実行される(#112)。一方、プリント処理不可能と判定された場合(#104No分岐)は、当該オーダの印画紙Pの使用予定量と別マガジンに収容されている印画紙Pの残量とを比較して別マガジンでのプリント処理の適否について判定する(#105)。ここでの判定処理の形態は#104における判定処理と同様である。そして、別マガジンでプリント処理可能であると判定された場合(#105Yes分岐)は、図6Aに例示するように「このマガジンではプリントできません。別のマガジンでプリントしますか?」というメッセージが示された報知画面90Aが表示される(#107)。この報知画面90Aには、「OK」ボタン、「Cancel」ボタンが併せて表示される。そして「OK」ボタンを選択した場合(#107Yes分岐)は、プリント条件設定部76において別マガジンが選択され、この別マガジンを用いて当該オーダについてのプリント処理が実行される(#112)。一方、「Cancel」ボタンを選択した場合(#107No分岐)は、次のオーダの有無についての判定が行われる(#106)。なお、#104から#106の判定処理はプリント処理判定部77において行われる。
【0046】
別マガジンでプリント処理が不可能である場合(#105No分岐)又は別マガジンでのプリント処理をキャンセルした場合(#107No分岐)は、次のオーダの有無についての判定が行われる(#106)。ここで次のオーダがある場合(#106Yes分岐)は、図6Bに例示すように「セットされているマガジンではプリントできません。保留して次のオーダを処理しますか?」というメッセージが示された報知画面90Bが表示される(#108)。この報知画面90Bにも、「OK」ボタン、「Cancel」ボタンが併せて表示される。そして、「OK」ボタンを選択した場合(#108Yes分岐)は、プリント情報管理部75Aにおいて当該オーダの保存処理が行われ(#109)、次のオーダの画像について#101から#106までと同様の処理が行われる。そして、次のオーダがプリント処理可能であれば、プリント処理のオーダ順序が変更され、次のオーダについて優先してプリント処理が行われる。なお、複数のオーダがある場合は同様の処理が行われ、プリント処理不可能なオーダは保存され、プリント処理可能なオーダは優先してプリント処理される。
【0047】
次のオーダが無い場合(#106No分岐)又は次のオーダの処理をキャンセルした場合(#108No分岐)は、図6Cに例示すように「プリントできません。マガジンを交換してください。」というメッセージが示された報知画面90Cが表示される(#110)。かかるメッセージが表示された場合は、オペレータがマガジンの交換を行うことにより(#111)、当該オーダ又は保存されたオーダのプリント処理を実行することができる(#112)。
【0048】
上述したように、マガジンに収容されている長尺の印画紙の残量とプリント処理に使用される印画紙の使用予定量との比較を1オーダ毎のプレジャッジにおけるプリント枚数確定時(プレジャッジ終了時)に行い、プリント処理不可能である場合はその旨を表示するようにしている。したがって、オペレータが入力操作を行っているときにその判定結果が表示されるので、オペレータは判定結果に対して確実かつ迅速に対応することができる。すなわち、写真プリント装置から離れている間にプリント処理不可能である旨の表示がなされて確認が遅れるなど、時間のロスが生じることを回避することができる。また、プリント処理が不可能と判定された場合に代替してプリント処理するための代替手段として、別マガジンを用いてプリント処理する手段とオーダ順序を変更してプリント処理する手段が備えられており、この代替手段を報知する表示がなされるので、かかる手段を用いることにより、マガジンの交換という時間を要する作業を回避して、1オーダ分のプリント処理を中断することなく完了することができる。これにより、オペレータの作業効率を向上させ、スムーズなプリント処理を実現することができる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、1オーダのプリント処理をまとめて行う場合を示したが、印画紙の残量が不足している場合、その残量でプリント処理できる枚数についてオーダを分割してプリント処理を行うようにしてもよい。例えば、プリント処理判定部においてプリント処理可能な枚数を判定し、この判定結果に基づいてプリント情報管理部においてその枚数だけ先行してプリント処理するようにオーダの分割を行うような処理形態を構成することもできる。
【0050】
また、上述した実施形態では、代替手段としての別マガジンを用いたプリント処理とオーダ順序を変更したプリント処理について、別マガジンを用いたプリント処理を優先して選択するように構成したが、もちろんオーダ順序を変更したプリント処理を優先して選択するように構成してもよく、また、両者をオペレータが選択できるように選択画面を表示するように構成してもよい。
【0051】
さらに、上述した実施形態では、プリント枚数の確定時をプレジャッジ終了時としたが、プレジャッジの途中でプリント枚数を確定するように構成してもよい。例えば、プレジャッジ画面にプリント枚数確定ボタンを表示させ、オペレータがプリント枚数の入力完了の後、このボタンを操作することによりプリント枚数を確定して判定処理を行うように構成してもよい。また、プレジャッジ画面の各画像に対するプリント枚数の入力毎に判定処理を行うように構成してもよい。これにより、プレジャッジのより早い段階で、プリント処理の適否について判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る写真プリント装置を示す外観図
【図2】図1の写真プリント装置の概略説明図
【図3】制御構造を示すブロック図
【図4】プリント処理選択画面を示す図
【図5】プレジャッジ画面を示す図
【図6】報知画面を示す図
【図7】プリント処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0053】
21 オペレート部コントローラ(プリント制御部)
36 処理部コントローラ(プリント制御部)
72A プレジャッジ画面表示部
72B 報知画面表示部
75A プリント情報管理部
76B プリント詳細設定部
77 プリント処理判定部
78 使用予定量算出部
79 残量算出部
M マガジン
MS マガジンセンサ(検出手段)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
マガジンから供給される長尺の感光材料に画像データの露光処理を行うプリント処理を制御するプリント処理制御部を備えた写真プリント装置において、
前記マガジンに収容されている前記長尺の感光材料の情報を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて前記長尺の感光材料の残り長さを算出する残量算出部とを備えるとともに、
プリント処理する各画像と、各画像のプリント枚数とプリントサイズとを含むオーダ情報とを順次表示するプレジャッジ画面を表示するプレジャッジ画面表示部と、
前記プレジャッジ画面で表示された前記オーダ情報に含まれる各種設定項目について設定をするプリント詳細設定部と、
設定されたプリントサイズとプリント枚数とに基づいて、プリント処理に使用される感光材料の長さを算出する使用予定量算出部とを備え、さらに、
プレジャッジにおけるプリント枚数確定時に、前記残量算出部において算出された前記長尺の感光材料の残り長さと、前記使用予定量算出部において算出された前記プリント処理に使用される感光材料の長さとを比較して、プリント処理の適否について判定するプリント処理判定部と、
前記プリント処理判定部の判定結果を表示する報知画面表示部とを備えた写真プリント装置。
【請求項2】
前記プリント処理判定部においてプリント処理が否と判定された場合に代替してプリント処理するための代替手段を備え、
前記報知画面表示部は、前記代替手段も表示する請求項1に記載の写真プリント装置。
【請求項3】
少なくとも2つのマガジンを備えるとともに、プリント処理において前記プリント処理制御部は一のマガジンを選択するように構成され、
前記代替手段は、前記プリント処理判定部において、選択された一のマガジンでプリント処理が否と判定された場合、他のマガジンを選択してプリント処理を行う手段である請求項2に記載の写真プリント装置。
【請求項4】
画像データとオーダ情報とを含むプリント情報をオーダ毎に記憶するとともに、プリント処理のオーダ順序を管理するプリント情報管理部を備え、
前記代替手段は、前記プリント情報管理部によりオーダ順序を変更してプリント処理を行う手段である請求項2又は3に記載の写真プリント装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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