説明

写真プリント装置

【課題】感光材料を副走査方向に搬送しながら主走査方向にライン露光を行う走査露光部と、長尺の感光材料をマガジンから引き出して走査露光部に送り込む感材供給機構と、長尺の感光材料を画像サイズに対応した長さに切断するカッタと、走査露光部とカッタとの間に感光材料のループを形成するループ形成部とを備える写真プリント装置において、切断中のみならず、切断後に画像に形成されるバンディング状の欠点を抑制可能な写真プリント装置を提供する。
【解決手段】ループ形成部に備えられた感光材料のガイド部材45,46,48,49に摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減手段80a,80b,81を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光材料を副走査方向に搬送しながら前記副走査方向と交差する主走査方向にライン状に露光を行う走査露光部と、長尺の感光材料を蓄積したマガジンから感光材料を引き出して前記走査露光部に送り込む感材供給機構と、前記マガジンから引き出された感光材料を前記走査露光部にて形成する画像サイズに対応した長さに切断するカッタと、前記走査露光部と前記カッタとの間に弛まされた感光材料によるループを形成可能なループ形成部とを備え、前記ループ形成部に感光材料を少なくともその感光面と基材面との一方側から支持案内するためのガイド部材が備えられている写真プリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の写真プリント装置としては、本発明に関連する先行技術文献情報として下記に示す特許文献1がある。すなわち、このような写真プリント装置において感光材料Pを正しく直角に切断するには少なくとも感光材料の局部を一時的に停止させて実施する必要がある。しかも、従来技術による写真プリント装置の構成例を示す図13(a)から理解されるように、画像サイズに対応した感光材料Pの適正長さが、カッタ42から走査露光部Gの露光ポイントEPまでの長さLを越える場合には、走査露光部Gでの露光実施中にカッタ42による切断を行う必要があるので、感光材料Pがカッタ42から走査露光部Gまで直線状に延ばされた状態で切断したのでは、この切断時の停止動作が走査露光部Gで形成される画像にバンディングと呼ばれる筋状の欠点を生じさせる虞がある。しかし、この特許文献1に記された写真プリント装置では、同じく図13(a)に示すように、走査露光部Gとカッタ42との間に感光材料Pを弛ませたループを形成できるので、カッタ42付近での停止動作が画像に影響を及ぼし難くなっている。さらに、この特許文献1に記された写真プリント装置では、ループ形成時に感光材料Pを感光面側か基材面側かのいずれかの決まった側に弛ませるための手段として、ループ形成部に感光材料Pを少なくともその感光面と基材面の一方側から支持案内するガイド部材48を設けてあるので、感光材料Pが装置内の部品などと不用意に接触して損傷を受ける虞が抑制されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−103806号公報(段落番号0042、0049、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記された写真プリント装置では、ループ形成部を設けてあるにも拘らず、上記のように適正長さが長尺の感光材料をカッタで切断した場合に、切断完了後のタイミングで形成される画像部位にバンディング状の欠点が生じるという現象が見られることがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術による写真プリント装置の持つ前述した欠点に鑑み、切断の動作中に発生するバンディング状の欠点のみならず、ループ形成部を設けてもなお切断完了後のタイミングで形成される画像部位に生じるバンディング状の欠点を抑制可能な写真プリント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、感光材料を副走査方向に搬送しながら前記副走査方向と交差する主走査方向にライン状に露光を行う走査露光部と、長尺の感光材料を蓄積したマガジンから感光材料を引き出して前記走査露光部に送り込む供給機構と、前記マガジンから引き出された感光材料を前記走査露光部にて形成する画像サイズに対応した長さに切断するカッタと、前記走査露光部と前記カッタとの間に弛まされた感光材料によるループを形成可能なループ形成部とを備え、前記ループ形成部に感光材料を少なくともその感光面と基材面との一方側から支持案内するためのガイド部材が備えられている写真プリント装置であって、
前記ガイド部材に前記感光材料に対する摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減手段が設けられている点にある。
【0007】
すなわち、出願人は、一般にマガジンMから引き出された感光材料Pは、感光面側と基材面側との間の特性の相違や長期間にわたってロール状に蓄積されている際に形成される巻き癖などに基づいてカールする傾向があることのみでなく、図13(b)に示すように、切断完了後に走査露光部Gでの露光の進行に伴ってループ形成部に位置するループが次第に小さくなり、最終的に感光材料Pの下流側端部が前記カール傾向に基づいてガイド部材48に特に感光材料Pの感光面が触れた状態でループが消滅することに着目した。また、種々の条件下での試験の結果、写真プリント装置を用いる環境が高温多湿になるほど、このようなバンディング状の欠点は顕著になる傾向があるという知見をも得た。そして、特許文献1に記された写真プリント装置では、上記のように適正長さが長尺の感光材料Pをカッタで切断した場合に、切断済みの感光材料Pの下流側端部付近P′などがカール癖に基づいてガイド部材48などに押し付けられ、この押し付けによって生じる摩擦抵抗によって、走査露光部Gに位置する感光材料Pの部位が上流側に僅かな力で引っ張られるために、ループ形成部を設けているにも拘らず、走査露光部Gで形成される画像にバンディング状の欠点を生じさせるものと推測した。特に、写真プリント装置を用いる環境が高温多湿になると、感光面に含まれるゼラチン成分が吸湿して、感光面の実質的な摩擦係数が高まるためにバンディング状の欠点が顕著になるものと推測した。すなわち、これに対して、本発明の請求項1に記された写真プリント装置では、ガイド部材に感光材料に対する摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減手段を設けてあるので、もしも湾曲状のカール傾向に基づいて感光材料がガイド部材に押し付けられても、感光材料を切断後の露光工程において、感光材料に対する摩擦抵抗が生じ難くなり、結果的にバンディング状の欠点が解消されるという効果が得られたものである。
【0008】
前記摩擦抵抗低減手段のより具体的な構成としては、前記ガイド部材を構成する板状ガイドの表面に設けられた面状の摩擦係数低減部材を用いることができる。
【0009】
本構成であれば、従来の写真プリント装置に設けてあるガイド部材をそのまま利用して、そこに塗布、接着或いは溶接やネジによる固定などの方法を用いて面状の摩擦係数低減部材を取り付けるだけで摩擦抵抗低減手段を得ることができる。
【0010】
本発明の他の特徴構成は、前記摩擦係数低減部材は、前記ガイド部材を構成する板状ガイドの表面に被覆形成された低摩擦コート層からなる点にある。
【0011】
本構成であれば、湾曲状にカールして突出した感光材料の部位がガイド部材に押し付けられながら下流側に搬送されても、この感光材料の部位は低摩擦コート層の表面を大きな摩擦抵抗を生じることなく滑るので、バンディング状の欠点が効果的に解消される。また、板状ガイドの表面に例えばフッ素樹脂などの薄い層を低摩擦コート層として塗布して被覆形成するという、簡単で特別なメンテナンスが不要で且つコストアップを招き難い方法で摩擦抵抗低減手段が得られる。
【0012】
本発明の他の特徴構成は、前記摩擦係数低減部材は、前記ガイド部材を構成する板状ガイドの表面に設けられた多数の毛状支持体からなる点にある。
【0013】
本構成であれば、湾曲状にカールして突出した感光材料の部位がガイド部材に押し付けられながら下流側に搬送されても、この感光材料の部位は多数の毛状支持体が協働して形成する表面積の著しく小さな擬似ガイド面の上を大きな摩擦抵抗を生じることなく滑るので、バンディング状の欠点が効果的に解消される。また、例えば多数の毛状支持体が表面に設けられた布帛などを板状ガイドに接着剤などで貼付するという、簡単で且つコストアップを招き難い方法で摩擦抵抗低減手段が得られる。
【0014】
本発明の他の特徴構成は、前記摩擦係数低減部材は、前記ガイド部材として前記供給機構による搬送方向に沿って並置された複数の湾曲状隆起部からなる点にある。
【0015】
本構成であれば、湾曲状にカールして突出した感光材料の部位がガイド部材に押し付けられながら下流側に搬送されても、この感光材料の部位は複数の湾曲状隆起部が協働して形成する表面積の比較的小さな擬似ガイド面の上を大きな摩擦抵抗を生じることなく滑るので、バンディング状の欠点が効果的に抑制される。また、プレス加工などで形成された複数の湾曲状隆起部を備えた金属製の板材などをガイド部材に接着、溶接、或いはネジで固定するという、簡単で比較的特別なメンテナンスが不要で且つコストアップを招き難い方法で摩擦抵抗低減手段が得られる。
【0016】
本発明の他の特徴構成は、前記摩擦抵抗低減手段が、前記ガイド部材として前記感光材料の幅方向と平行な軸芯回りで遊転自在に支持されたローラ状の回転ガイドからなる点にある。
【0017】
本構成であれば、湾曲状にカールして突出した感光材料の部位がガイド部材に押し付けられながら下流側に搬送されても、この感光材料の部位の移動に応じてローラ状の回転ガイドが容易に転動することで、摩擦抵抗の発生が食い止められるので、バンディング状の欠点が特に効果的に解消される。
【0018】
本発明の他の特徴構成は、前記感光材料の裏面に画像関連情報をプリント可能なバックプリントヘッドと、前記感光材料を感光面側から支持するために前記バックプリントヘッドと対向配置されたプラテンとが前記ループ形成部の上流側に設けられており、前記摩擦抵抗低減手段は、前記感光材料の幅方向と平行な軸芯回りで遊転自在に支持されたローラ状の前記プラテンからなる点にある。
【0019】
すなわち、一般に用いられる固定ざれた面状の部材でプラテンを構成した場合には、湾曲状にカールして突出した感光材料の部位がプラテンに押し付けられながら下流側に搬送された時にプラテンと感光材料の間で摩擦抵抗が生じ易いために走査露光部で形成される画像にバンディング状の欠点が発生し易いが、本構成であれば、湾曲状にカールして突出した感光材料の部位がガイド部材に押し付けられながら下流側に搬送されても、この感光材料の部位の移動に応じてローラ状のプラテンが容易に転動することで、摩擦抵抗の発生が食い止められるので、バンディング状の欠点の発生が効果的に抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明による最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1及び図2に示す写真プリント装置は、暗箱構造の筐体10を有し、この筐体10の内部には、印画紙P(感光材料の一例)に露光を行う露光処理部Exと、露光済みの印画紙Pの現像処理を行う現像処理部Deと、この現像処理部Deからの印画紙Pを乾燥する乾燥処理部Drとを備え、この乾燥処理部Drで乾燥された印画紙Pを筐体10の端部の排出部11から排出し、搬送ベルト12で受け止めて水平方向に搬送し、複数のトレイ13Aの何れかにオーダ単位で回収可能なソータ13を備えている。露光処理部Exと現像処理部Deとの間には、露光処理部Exから送り出された印画紙Pを反転することで表裏を入れ換えた状態で現像処理部Deに手渡す縦搬送部CVが設けられている。また、筐体10の外部には、オペレータが画像データの取得と、プリント処理に必要な操作とを行う操作端末として機能するオペレート部Aが設置されている。
【0021】
(オペレート部A)
オペレート部Aには、操作テーブル20に設置された汎用コンピュータで成る画像処理装置21と、画像処理装置21の上面に設置されたディスプレイ22と、現像処理後の写真フィルムFのコマ画像から画像データを取得するフィルムスキャナ23と、2つのキーボード24と1つのマウス25とを備えている。画像処理装置21の前面にはコンパクトフラッシュ(登録商標)等各種の半導体型の記憶媒体(図示せず)、あるいは、CD−ROM、DVD、MO等の磁気式や光学式の記憶媒体(図示せず)等から画像データを取得する複数のメディアドライブ26を備えている。
【0022】
(縦搬送部CV)
図2に示すように、縦搬送部CVは、露光処理部Exで露光された印画紙Pを圧着型のローラ対15で受け取り、圧着型のローラ対の姿勢の変換によって表裏を入れ換え、ガイドレール16に沿って上方に搬送し、現像処理部Deに送り出す作動を行う。
【0023】
(現像処理部De・乾燥処理部Dr)
現像処理部Deは、発色現像槽と漂白定着槽と安定槽とで成る複数の処理槽を樹脂によって一体形成した現像処理槽30を備え、露光処理部Exから供給された印画紙Pを夫々の現像処理槽に搬送するように複数の圧着型の複数のローラ対を有した搬送機構31を備えている。また、乾燥処理部Drは、現像処理部Deから送り出された印画紙Pを搬送する複数の圧着ローラ対32と、この圧着ローラ対32で搬送される印画紙Pに対して加熱された乾燥空気を供給するブロワ33とを備えている。
【0024】
(露光処理部Ex)
露光処理部Exは、ロール状に巻き取られた印画紙Pを収容した印画紙マガジンMから印画紙Pを引き出して、水平方向に送り出す圧着型の供給搬送ローラ41と、供給搬送ローラ41から印画紙Pを受け取り、印画紙Pの先端付近を挟持したまま水平に移動する挟持搬送手段としてのチャッカーCと、チャッカーCの水平方向への移動によって、印画紙Pを受け取って露光操作を行う露光ユニットG(走査露光部の一例)とを備えている。供給搬送ローラ41とチャッカーCとの間には、供給搬送ローラ41が送り出した印画紙PをチャッカーCに受け渡す排出ローラ対43、及び、印画紙Pを露光ユニットGにて形成する画像サイズに対応した長さに切断するカッターユニット42が設けられている。露光ユニットGでは、露光搬送機構Gcによって印画紙Pを水平方向(副走査方向)に搬送しながら、露光ヘッドGhによって主走査方向に沿ったライン露光を行うように構成されている。
【0025】
図3、図4及び図6に示すように、この露光処理部Exにおいて供給搬送ローラ41から露光ユニットGに印画紙を搬送する部位には、枠状のフレーム35を配置しており、供給搬送ローラ41、カッターユニット42、チャッカーCの作動系等は、このフレーム35に支持されている。この露光処理部Exには、この露光処理部Exでの印画紙Pの搬送、及び、露光ユニットGによる露光を制御するためにマイクロプロセッサーを有した露光制御手段としての制御ユニット36を備えている(図2を参照)。
【0026】
印画紙マガジンMは、ケース5の内部にロール状の印画紙Pを支持する巻芯6を備えると共に、印画紙Pに搬送力を作用させる圧着型のフィードローラ対7を備えている。図面には示していないが、ケース5の内部には巻芯6とフィードローラ対7とを連動して駆動回転するように複数のギヤを有した伝動系を備えており、印画紙マガジンMの外部にはフィードローラ対7の駆動軸に動力を伝えて印画紙Pの送り出しと、巻き戻しとを行うマガジンモータ8を備えている(図5を参照)。
【0027】
図3に示すように、供給搬送ローラ41には、互いに離間配置された一対の従動ローラ41Aが付勢手段によって圧着されており、供給搬送モータM41で駆動される。カッターユニット42は固定刃42Aと可動刃42Bとで構成され、可動刃42BはカッターモータM42で駆動される。排出ローラ対43は、従動ローラ43Aが圧着する構造を有しており、排出モータM43で駆動される(図5を参照)。
【0028】
図3、図4及び図7に示すように、排出ローラ対43の付近には、供給搬送ローラ41から送り出される印画紙Pを排出ローラ対43に案内し、排出ローラ対43から送り出される印画紙Pを、後述する最も排出ローラ対43に近接した待機位置Q1にあるチャッカーCに案内する左右一対の上ガイドプレート45(ガイド部材の一例)と下ガイドプレート46(ガイド部材の一例)とが備えられている。これらの上ガイドプレート45と下ガイドプレート46とは、処理可能な最も幅広の印画紙Pを越える幅を備えており、印画紙Pの通過を許すように、印画紙Pの厚さより幾らか広い距離を隔てた位置関係で配置され、排出ローラ対43から送り出された印画紙Pの位置を上下から規制してチャッカーCに案内する機能を有している。
【0029】
カッターユニット42と露光ユニットGとに挟まれる領域には、チャッカーCを水平方向に案内する一本のガイドロッド47が延びている。また、このガイドロッド47の下方には、ガイドロッド47と平行で水平となる姿勢で配置され、上方に開いたコの字状の断面を備えた上部ガイドフレーム48(ガイド部材の一例)と、この上部ガイドフレーム48の下方に配置され、水平に延びた板状の断面を備えた下部ガイドフレーム49(ガイド部材の一例)とを備えている。上部ガイドフレーム48と下部ガイドフレーム49とは、通常に処理される最も幅狭の印画紙Pを下回る幅を備えているので、特に幅広の印画紙Pを処理する際にはその中央部付近の限られた箇所のみを案内する。尚、下部ガイドフレーム49の上流側端部付近には、排出ローラ対43から送り出される印画紙Pの裏面側に補正データなどの画像関連情報をプリントするためのバックプリントヘッド44が設けられている。
【0030】
チャッカーCで印画紙Pを搬送する搬送経路の下側で、カッターユニット42と露光ユニットGとの中間の位置には、該印画紙Pを下方に弛ませた状態で収容するループ形成空間S(ループ形成部の一例)が配置されている。このループ形成空間Sは、フレーム35の底壁35Aを深くし、下部ガイドフレーム49の中央位置49Sをループ形成空間Sの底部に沿う側面視で逆台形を呈する形状に屈曲して形成したものであり、印画紙Pの搬送方向で、このループ形成空間Sの中央部位の底壁35Aが最も低レベルとなり、カッターユニット42の側と露光ユニットの側とに近接する位置の底壁35Aは、後述する露光ユニットGの露光ポイントEPにおける印画紙Pの搬送経路の高さレベルと等しいレベルとなる形状に設定されている。
【0031】
下部ガイドフレーム49のうち、カッターユニット42に近接する部位を挟む領域の両側部には幅の広い補助ガイドプレート51(ガイド部材の一例)が配置されている。この補助ガイドプレート51は、ステンレス板材や樹脂板等、弾性変形自在な板状素材の一方の端部(印画紙Pの搬送方向で上流側の端部)をカッターユニット42の方向に向かわせることで、印画紙Pの搬送方向での上流側の端部を下ガイドプレート46の底面に対して弾性付勢力によって接触させ、他方の端部をフレーム35の底壁35Aに固定した片持ち状の構造を有している。
【0032】
補助ガイドプレート51は、上部ガイドフレーム48及び下部ガイドフレーム49と異なり、処理可能な最も幅広の印画紙Pを越える幅を備え、下ガイドプレート46からループ形成空間Sの底部に対して円滑に幅広の印画紙Pの後端の左右両端を案内する傾斜姿勢の案内面を形成している。チャッカーCがカッターユニット42の側(後述する待機位置Q1)に移動した場合には、このチャッカーCの底面が補助ガイドプレート51に接触して、この補助ガイドプレート51の上流側端部付近を押し下げて弾性変形させることで、チャッカーCが後述する待機位置Q1へ移動することを許している。
【0033】
(摩擦抵抗低減手段)
本発明によれば、前述した各ガイド部材、すなわち、上ガイドプレート45、下ガイドプレート46、上部ガイドフレーム48、下部ガイドフレーム49、及び、補助ガイドプレート51には印画紙Pに対する摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減手段が設けられている。
摩擦抵抗低減手段は、一方では、図7に示すように、上ガイドプレート45及び上部ガイドフレーム48に印画紙Pの幅方向と平行な水平軸芯回りで遊転自在に支持された多数のローラ状の回転ガイド部材80からなる。また、摩擦抵抗低減手段は、他方では、図8と図9に示すように、下ガイドプレート46、下部ガイドフレーム49、及び、補助ガイドプレート51の上面に被覆形成された低摩擦コート層81からなる。
【0034】
より具体的には、上ガイドプレート45には、図7に示すように、左右各5個の回転ガイド部材80aが印画紙Pの幅方向に沿って一列に配置されている。また、上部ガイドフレーム48には、より多くの回転ガイド部材80bが平面視で縦横に、すなわち印画紙Pの幅方向に沿って数cm程度の僅かな距離を隔てて左右に隣接配置された合計3個が一列に配置されており、このような列が搬送方向に沿って互いに数cm程度の僅かな距離を隔てて10列以上配置されている。したがって、図8等に例示するように、処理される印画紙Pの感光面側は、仮に上方に凸部を備えたカール癖を持っていても、固定されたプレート状のガイド45,48に直接触れることなく、遊転自在な外径が約5〜15mmの回転ガイド部材80によって、摩擦抵抗の小さな形態で案内される。回転ガイド部材80は表面の摩擦係数が小さく軽量なPPS(ポリフェニレンサルファイド)などのエンジニアリングプラスチックによって形成されたスリーブ状の部材で構成されており、上ガイドプレート45に貫通形成された矩形の窓部内に収納され、同窓部内に固定された金属製などの水平軸上に遊転自在に外嵌支持されている。
【0035】
また、低摩擦コート層81の具体的な構成としては、下ガイドプレート46、下部ガイドフレーム49、及び、補助ガイドプレート51を構成する金属製の板材の表面に塗布形成されたポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂によって構成されている。
尚、図10に示すように、上部ガイドフレーム48の最も上流側の3個の回転ガイド部材80のうち左右の中央に配置された回転ガイド部材80は、下ガイドプレート46に配置されたバックプリントヘッド44がプリントする際に印画紙Pを基材面側から支持するプラテンとして機能するプラテンローラ80pとなっている。言い換えれば、通常は印画紙Pを裏面側から支持するためのプラテンは固定された平面状の部材によって構成するのに対して、ここでは、そのような固定された平面状のプラテンが摩擦抵抗を生じる現象を解消するために、遊転自在に支持されたプラテンローラ80pとしている。プラテンローラ80pを構成する回転ガイド部材80は樹脂ではなく、サーマルタイプのバックプリントヘッド44から受ける衝撃と熱の作用を考慮してステンレス鋼などで形成されている。
【0036】
(チャッカー)
図6に示すように、チャッカーCは、ガイドロッド47の長手方向にスライド移動自在に支持されたスライダ54と、このスライダ54に対して縦向き姿勢の揺動軸55周りで揺動自在に支持された支持アーム56とを有する。また、この支持アーム56の下部に連結し、印画紙Pの上面(感光面)に位置する左右一対の上部アーム57と、支持アーム56の両端部に連結し、印画紙Pの下面に位置する左右一対の下部アーム58とを設け、これらの上部アーム57と下部アーム58との間に印画紙Pを導入するスリット状の印画紙導入空間Tを形成している。上部アーム57と下部アーム58とのうち、印画紙Pの搬送方向で上流側には、印画紙導入空間Tに印画紙Pを案内する傾斜姿勢のガイド面57A、58Aを備えている(図10を参照)。
【0037】
上部アーム57はバネ59で下方に突出付勢された一対のチャックピン60を備えており、下部アーム58には、チャックピン60と対向する位置に接当ピン61を備えている。また、チャックピン60の上端に形成した操作ピン60Aに対して挟持解除方向に操作力を伝える挟持解除モータ62を支持アーム56の上面に備えている。このチャックピン60をバネ59の付勢力によって接当ピン61側に押し付けることによって、印画紙Pを挟み込む挟持機構が機能する。
【0038】
図4と図6に示すように、フレーム35の両側壁の部位には、印画紙Pの搬送方向に沿う姿勢となるガイドレール65を形成しており、夫々のガイドレール65の上面に接触するガイドローラ63を支持アーム56の両端に備えている。フレーム35の両側部の内面側には、ステッピングモータ型の駆動モータM66で駆動される駆動プーリ66と、遊転プーリ67とに亘って巻回した駆動ベルト68を配置しており、この左右の駆動ベルト68の一部には支持アーム56の両端が固定されている(図5を参照)。
【0039】
チャッカーCは、図3及び図11に示すように、駆動プーリ66の回転駆動に基づいて、排出ローラ対43から印画紙Pを受け取るための待機位置Q1と、露光搬送機構Gcに印画紙Pを受け渡すための排出位置Q2との間で往復移動自在に構成されている。待機位置Q1では上ガイドプレート45の端縁の一部と、下ガイドプレート46の端縁の一部とが、ガイド面57A、58Aに入り込み、また、排出位置Q2では図3に示す如く、チャッカーCの印画紙Pの搬送方向に関する下流側が露光ユニットGに隣接する。図4に示すように、フレーム35には、このチャッカーCを排出位置Q2に設定した際において、支持アーム56の両端位置を独立して検出する位置検出センサ69を設けてある。
【0040】
尚、チャッカーCの支持アーム56、上部アーム57、下部アーム58は、ガイドロッド47の長手方向に沿ってスライド移動自在であると同時に、揺動軸55の軸芯周りで一体的に揺動可能に構成されている。すなわち、露光処理部Exを構成する各ユニットどうしの組付け精度の問題から、排出ローラ対43からチャッカーCに印画紙Pを受け渡す際に印画紙Pの平面視における姿勢が不適正となる傾向、或いは、チャッカーCから露光ユニットGに対して受け渡す印画紙Pの平面視における姿勢が不適正となることがある。このような場合には、左右の駆動ベルト68の駆動量に僅かな差を作り出し、チャッカーCを揺動軸55周りで揺動させることにより、前述した不適正な姿勢を矯正する方向に印画紙Pの姿勢を変更して露光ユニットGに受け渡す処理を実現している。
【0041】
(露光ユニット)
図3に示すように、露光ユニットGは、印画紙Pの主走査方向に沿うライン露光を行う露光ヘッドGhと、この露光ヘッドGhの下方の露光位置において印画紙Pを搬送する露光搬送機構Gcとで構成されている。
露光ヘッドGhは、ここでは、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に対応した3種のレーザビームを、音響光学式の変調器から回転作動を行うポリゴンミラーに導き、このポリゴンミラーで反射させたレーザビームを更に、ミラー等の光学系を介して印画紙の感光面に導くことでライン露光を行うレーザ露光エンジンによって構成されている。
【0042】
露光搬送機構Gcは、第1駆動ローラ71と、第2駆動ローラ72と、第3駆動ローラ73とを印画紙Pの搬送方向に沿って、この順序で配置している。第1駆動ローラ71はチャッカーCからの印画紙Pが受け渡される位置に配置され、第2駆動ローラ72は、印画紙Pの搬送方向で露光位置より上流位置に配置され、第3駆動ローラ73は、印画紙Pの搬送方向で露光位置より下流位置に配置されている。
第1駆動ローラ71は、圧着状態と圧着解除状態とに切り換え自在な従動ローラ71Aを備え、この第1駆動ローラ71の端部のプーリに巻回する無端ベルトV1を介して該第1駆動ローラ71を駆動する第1モータM1を備えている。
【0043】
従動ローラ71Aは揺動自在な支持体71Bに両端が支承されることで圧着状態と圧着解除状態とに切換え自在となっており、圧着方向に向けてバネ(図示せず)で付勢されている。また、図4に示すように、この従動ローラ71Aの一方の端部にはカムフォロア71Cを備えており、この従動ローラ71Aの近傍位置にはカムフォロア71Cに接当することで従動ローラ71Aを圧着状態と圧着解除状態とに切り換える回転カム74と、この回転カム74を駆動するカムモータM74とを備えている。
【0044】
第2駆動ローラ72は、圧着状態と圧着解除状態とに切り換え自在な従動ローラ72Aを備え、第3駆動ローラ73は、圧着状態と圧着解除状態とに切り換え自在な従動ローラ73Aを備えている。第2駆動ローラ72と第3駆動ローラ73との端部に備えたプーリと中間プーリ75に亘って無端ベルトV2を巻回し、更に、この中間プーリの大径部に巻回する無端ベルトV3を駆動することにより、第2駆動ローラ72と第3駆動ローラ73とを駆動する第2モータM2を備えている。
【0045】
従動ローラ72A、73Aは揺動自在な支持体72B、73Bに夫々の両端が支承されることで圧着状態と圧着解除状態とに切換え自在となり、圧着方向に向けてバネ(図示せず)で付勢されている。また、夫々の従動ローラ72A、73Aの一方の端部にはカムフォロア72C、73Cを備えており、夫々の従動ローラ72A、73Aの近傍位置にはカムフォロア72C、73Cに接当することで従動ローラ72A、73Aを圧着状態と圧着解除状態とに切り換える回転カム75、76と、夫々の回転カム75、76を駆動するカムモータM75、M76を備えている。
【0046】
制御ユニット36は、オペレート部Aで取得した画像データから露光ユニットGに供給すべき印画紙Pの搬送方向での長さ寸法を取得し、この長さ寸法が予め設定された値、すなわちカッターユニット42の刃先から露光ポイントEPまでの基準距離=L未満である場合には、ループ形成空間Sにて印画紙Pのループを形成することなく露光ユニットGで露光操作を行うループレスモードを選択し、印画紙Pの長さ寸法がL以上である場合には、ループ形成空間Sにて印画紙Pのループを形成させながら露光ユニットGで露光操作を行うループモードを選択するように処理形態が設定されている。以下では後者のループモードを中心に処理工程を説明する。
【0047】
(ループモード)
ループモードでは、先ず、挟持解除モータ62の駆動によってチャックピン60を解除状態に設定し、左右の駆動モータM66を同期駆動することで、チャッカーCを待機位置Q1にセットする。この状態においてマガジンモータ8の駆動によって印画紙マガジンMから印画紙Pを送り出し、この送り出しと連係して供給搬送モータM41を駆動することにより、印画紙マガジンMから送り出された印画紙Pを供給搬送ローラ41で水平方向に送り出し、カッターユニット42の部位を通過させる。
【0048】
このように印画紙Pを水平方向に搬送することにより、図11−(a)に示すように、カッターユニット42の部位を通過した印画紙Pの先端は、更に排出モータM43によって駆動される排出ローラ対43によって、上ガイドプレート45及び下ガイドプレート46の間を通過し、待機位置Q1に設定されているチャッカーCのチャックピン60と接当ピン61との間に進入させる。
【0049】
次に、図11(b)に示すように、制御ユニット36は、挟持解除モータ62の制御によってチャックピン60と、接当ピン61との間に印画紙Pの先端を挟持し、これに続いて、供給搬送モータM41と、排出モータM43と、左右の駆動モータM66を同期駆動することにより、印画紙Pを送り出すと同時にチャッカーCによって印画紙Pを水平方向に搬送する。尚、この水平搬送の途中の所定のタイミングで印画紙Pの基材面側にバックプリントヘッド44による画像関連情報バックプリントが行われる。
【0050】
尚、このように排出ローラ対43とチャッカーCとで印画紙Pを水平方向に搬送する際には、排出ローラ対43とチャッカーCとの間の印画紙Pに張力が作用しないように、排出ローラ対43による印画紙Pの排出速度を、チャッカーCによる印画紙Pの搬送速度より少し高速に設定している。
【0051】
この搬送時には、図11(c)に示すように、制御ユニット36は、第1モータM1を駆動して回転カム74の姿勢を制御することにより、第1駆動ローラ71の従動ローラ71Aを予め圧着解除状態に設定しておき、印画紙Pの先端が第1駆動ローラ71と従動ローラ71Aとの間に進入した排出位置Q2でチャッカーCの移動を停止する。
【0052】
次に、印画紙Pの先端を第1駆動ローラ71と従動ローラ71Aとの間で圧着後、チャッカーCのチャックピン60を挟持状態から解除し、排出ローラ対43から印画紙Pの排出が継続的に行われると、図10(a)及び図11(d)に示すように、上方向きの湾曲は上部ガイドフレーム48の回転ガイド部材80によって規制されているので、印画紙Pの中央部が下方に垂れ下がったループがループ形成空間Sに形成される。
更に、第1モータM1で駆動される第1駆動ローラ71によって印画紙Pの搬送を開始する。第1駆動ローラ71での搬送を開始した直後には、カムモータM75を駆動して回転カム75の姿勢を制御することにより、第2駆動ローラ72の従動ローラ72Aを圧着解除状態に設定して印画紙Pの先端を受け入れる。
【0053】
ここで、図11(e)に示すように、この印画紙Pの先端を受け入れた直後に従動ローラ72Aを圧着状態に切り換え、この第1駆動ローラ71と第2駆動ローラ72の圧着力で印画紙Pの搬送を継続する。制御ユニット36は、搬送経路上に存在する印画紙Pの先端位置と後端位置とを把握しており、この搬送によって印画紙Pの先端位置が露光ポイントEPに進入する直前から露光ヘッドGhによるライン露光が開始される。また、走査露光開始後には、カムモータM76を駆動して回転カム76の姿勢を制御することにより、第3駆動ローラ73の従動ローラ73Aを予め解除状態に設定して印画紙Pの先端を受け入れる。
ライン露光が開始されても排出ローラ対43による印画紙Pの送り込みは継続され、供給搬送ローラ41が送り出した印画紙Pの長さが露光中の画像サイズに対応する長さに達すると、制御ユニット36は、ライン露光を継続したまま、供給搬送ローラ41と排出ローラ対43とによる印画紙Pの送り出しを一時停止し、カッターモータM42からの駆動力でカッターユニット42が印画紙Pを切断する。
【0054】
印画紙Pの先端が第3駆動ローラ73の圧着位置に達すると、この従動ローラ73Aを圧着状態に切り換え、この圧着と連係して第1駆動ローラ71の従動ローラ72Aを解除状態に切り換える。
尚、前述したカッターユニット42による印画紙Pの切断の直後には、排出モータM43を切断前の排出速度より高速で駆動させることで、図3に一点鎖線で示すように、ループ形成空間Sに印画紙Pのループが保持されたまま、印画紙Pの後端を排出ローラ対43から抜け出させる。切断された印画紙Pの後端は上ガイドプレート45と下ガイドプレート46との間に放置される。
【0055】
引き続き、第2駆動ローラ72と第3駆動ローラ73とによるライン露光が進むのに従って、ループ形成空間Sにある印画紙Pのループは次第に小さくなり、最終的には、図10(b)及び図11(f)に示すように、切断された印画紙Pの後端が第2駆動ローラ72と第3駆動ローラ73とによって下流側に移動開始する。
尚、印画紙Pの後端がチャッカーCを抜け出ると、チャッカーCは次の画像処理のために待機位置Q1に戻される。
【0056】
ところで、この印画紙Pの後端が上ガイドプレート45と下ガイドプレート46との間で下流側に移動開始する時には、たとえ印画紙Pの下流側端部付近が上下方向のいずれかにカールした湾曲部を持っていても、この湾曲部は、いずれも摩擦抵抗低減手段を施された上下のガイド部材の間を、すなわち上ガイドプレート45の回転ガイド部材80aと下ガイドプレート46の低摩擦コート層81とで支持された摩擦抵抗の小さな状態で抜け出ていくので、第2駆動ローラ72と第3駆動ローラ73とを用いたライン露光で形成される画像に実質的な影響を及ぼさない。また、更に走査露光が進行して、印画紙Pの後端が上ガイドプレート45と下ガイドプレート46との間を抜け出て、上部ガイドフレーム48及び下部ガイドフレーム49との間を印画紙Pの後端が下流側に移動する時にも、図8及び図9に例示するように、上部ガイドフレーム48の回転ガイド部材80b(プラテンローラ80pを含む)と下部ガイドフレーム49(或いは補助ガイドプレート51)の低摩擦コート層81とで支持された摩擦抵抗の小さな状態で抜け出ていくので、ライン露光で形成される画像に実質的な影響を及ぼさない。
【0057】
尚、露光ユニットGに供給すべき印画紙Pの搬送方向での長さ寸法が、前述した基準距離=L未満である場合に実施されるループレスモードでは、印画紙Pを適正サイズに切断した後で露光ユニットGでの露光を開始することができるので、基本的に、切断のために行われる搬送の一時停止操作が形成される画像に影響を及ぼすことはない。
【0058】
〔別実施形態〕
〈1〉一般に印画紙は特に高温多湿の環境下では、ゼラチン質の成分を含む感光面側の方が基材面側に比較してガイド部材などとの間での摩擦抵抗が高くなり易く、上記の実施形態では、露光処理部Exで印画紙Pを感光面が上向きの状態で搬送する形態を採っているので、下向きのガイド面を備えたガイド部材には回転ガイドからなる摩擦抵抗低減手段を適用し、上向きのガイド面を備えたガイド部材には低摩擦コート層からなる摩擦抵抗低減手段を適用したが、必要に応じてこれを逆にして、上向きのガイド面を備えたガイド部材に回転ガイドからなる摩擦抵抗低減手段を適用し、下向きのガイド面を備えたガイド部材に低摩擦コート層からなる摩擦抵抗低減手段を適用しても良い。
また、印画紙Pの感光面側を案内するガイド部材と、印画紙Pの基材面側を案内するガイド部材との双方に回転ガイドからなる摩擦抵抗低減手段を適用することも可能であり、逆に、印画紙Pの感光面側を案内するガイド部材と、印画紙Pの基材面側を案内するガイド部材との双方に低摩擦コート層からなる摩擦抵抗低減手段を適用することも可能である。
【0059】
〈2〉図12(a)に示す実施形態では、摩擦抵抗低減手段は、ガイド部材として上部ガイドフレーム48の下面に搬送方向に沿って並置された複数の湾曲状隆起部48aからなる。個々の湾曲状隆起部48aは平面視で概して菱形を呈しており、最も近接した湾曲状隆起部48aどうしは搬送方向に対して斜め方向に並置されている。この湾曲状隆起部48aは、ステンレス鋼など金属製の板材をプレス加工することによって形成されており、印画紙Pとの接触面積を大幅に低下させることによって、上部ガイドフレーム48の単位面積当たりの摩擦抵抗を減らす作用をもたらしている。
【0060】
〈3〉図12(b)に示す実施形態もまた、摩擦抵抗低減手段は、ガイド部材として上部ガイドフレーム48の下面に搬送方向に沿って並置された複数の湾曲状隆起部48bからなるが、ここでは、個々の湾曲状隆起部48bは、上部ガイドフレーム48における印画紙Pの幅方向の中心部を、搬送方向に沿って延びた垂直平面で切断した時の切断面が滑らかに連続した波状を呈するという表現で定義される。この波の波長は1cm前後またはそれ以下が望ましい。この湾曲状隆起部48bもまた、ステンレス鋼など金属製の板材をプレス加工することによって形成されており、印画紙Pとの接触面積を大幅に低下させることによって、上部ガイドフレーム48の単位面積当たりの摩擦抵抗を減らす作用をもたらしている。
【0061】
〈4〉図12(c)に示す実施形態では、摩擦抵抗低減手段は、ガイド部材として上部ガイドフレーム48の下面に搬送方向と交差するように並置された複数の湾曲状隆起部48cからなる。個々の湾曲状隆起部48cは、上部ガイドフレーム48を、印画紙Pの幅方向に沿って延びた垂直平面で切断した時の切断面が滑らかに連続した波状を呈するという表現で定義される。この波の波長は2cm前後またはそれ以下が望ましい。この湾曲状隆起部48cもまた、ステンレス鋼など金属製の板材をプレス加工することによって形成されており、印画紙Pとの接触面積を大幅に低下させることによって、上部ガイドフレーム48の単位面積当たりの摩擦抵抗を減らす作用をもたらしている。
【0062】
〈5〉図12(d)に示す実施形態では、摩擦抵抗低減手段は、ガイド部材として上部ガイドフレーム48の下面に設けられた多数の毛状支持体49dからなる。この毛状支持体49dは、上部ガイドフレーム48の下面に接着剤で貼付された布帛の下面に無数に植え込まれた樹脂製の毛状体からなり、個々の毛状体は吸湿性がなく、適度な剛性と柔軟性を持ち、布帛に固定された基端側から先端側に向かって、搬送方向に関する下流側に向かって湾曲状に傾倒している。毛状体としては例えば直径が0.1〜0.3mmの繊維状のナイロン又はポリエステルなどで構成することができる。また、毛状支持体49dの代わりに、市販されている面ファスナを構成する一対のテープ状部材のうち無数のループ状繊維が同一方向に向かって延びたループテープを用いても良い。
【0063】
〈6〉図12(a)から図12(d)に示した各実施形態に示した摩擦抵抗低減手段は、他のガイド部材、すなわち、上ガイドプレート45、下ガイドプレート46、下部ガイドフレーム49、及び、補助ガイドプレート51にも同時に適用可能である。
【0064】
〈7〉ループ形成部に設けられた感光材料をその感光面側から支持案内するための上部ガイドフレーム48の幅を従来よりも十分に狭くした構成でも、前述した摩擦抵抗低減手段としての作用を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】写真プリント装置の斜視図
【図2】写真プリント装置の縦断正面図
【図3】露光処理部の縦断正面図
【図4】露光処理部の印画紙搬送系を示す平面図
【図5】露光処理部の印画紙搬送系を示す斜視図
【図6】チャッカーの一部を切り欠いた側面図
【図7】印画紙搬送系に設けられたガイド部材の斜視図
【図8】図7のガイド部材の一部を拡大した側面図
【図9】図7のガイド部材の他の一部を拡大した側面図
【図10】印画紙搬送系の縦断正面図
【図11】ループモードでの搬送ルーチンのフローチャート
【図12】摩擦抵抗低減手段の別実施形態を示す斜視図
【図13】従来技術による印画紙搬送系の縦断正面図
【符号の説明】
【0066】
P 印画紙(感光材料)
M 印画紙マガジン
Ex 露光処理部
De 現像処理部
Dr 乾燥処理部
A オペレート部
G 露光ユニット(走査露光部)
Gh 露光ヘッド
C チャッカー
EP 露光ポイント
S ループ形成空間(ループ形成部)
36 制御ユニット
41供給搬送ローラ
42 カッターユニット
43 排出ローラ対
44 バックプリントヘッド
45 上ガイドプレート(ガイド部材)
46 下ガイドプレート(ガイド部材)
47 ガイドロッド
48 上部ガイドフレーム(ガイド部材)
49 下部ガイドフレーム(ガイド部材)
51 補助ガイドプレート(ガイド部材)
57 上部アーム
58 下部アーム
60 チャックピン
61 接当ピン
68 駆動ベルト
80 回転ガイド部材(摩擦抵抗低減手段)
80p プラテンローラ(摩擦抵抗低減手段)
81 低摩擦コート層(摩擦抵抗低減手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光材料を副走査方向に搬送しながら前記副走査方向と交差する主走査方向にライン状に露光を行う走査露光部と、長尺の感光材料を蓄積したマガジンから感光材料を引き出して前記走査露光部に送り込む感材供給機構と、前記マガジンから引き出された感光材料を前記走査露光部にて形成する画像サイズに対応した長さに切断するカッタと、前記走査露光部と前記カッタとの間に弛まされた感光材料によるループを形成可能なループ形成部とを備え、前記ループ形成部に感光材料を少なくともその感光面と基材面との一方側から支持案内するためのガイド部材が備えられている写真プリント装置であって、
前記ガイド部材に前記感光材料に対する摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減手段が設けられている写真プリント装置。
【請求項2】
前記摩擦抵抗低減手段は、前記ガイド部材を構成する板状ガイドの表面に設けられた面状の摩擦係数低減部材からなる請求項1に記載の写真プリント装置。
【請求項3】
前記摩擦係数低減部材は、前記ガイド部材を構成する板状ガイドの表面に被覆形成された低摩擦コート層からなる請求項2に記載の写真プリント装置。
【請求項4】
前記摩擦係数低減部材は、前記ガイド部材を構成する板状ガイドの表面に設けられた多数の毛状支持体からなる請求項2に記載の写真プリント装置。
【請求項5】
前記摩擦係数低減部材は、前記ガイド部材として前記供給機構による搬送方向に沿って並置された複数の湾曲状隆起部からなる請求項2に記載の写真プリント装置。
【請求項6】
前記摩擦抵抗低減手段は、前記ガイド部材として前記感光材料の幅方向と平行な軸芯回りで遊転自在に支持されたローラ状の回転ガイドからなる請求項1に記載の写真プリント装置。
【請求項7】
前記感光材料の裏面に画像関連情報をプリント可能なバックプリントヘッドと、前記感光材料を感光面側から支持するために前記バックプリントヘッドと対向配置されたプラテンとが前記ループ形成部の上流側に設けられており、前記摩擦抵抗低減手段は、前記感光材料の幅方向と平行な軸芯回りで遊転自在に支持されたローラ状の前記プラテンからなる請求項1に記載の写真プリント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−226015(P2007−226015A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48530(P2006−48530)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】