説明

写真プリント装置

【課題】 感光材料の現像搬送経路のクリーニングを容易に行い得る写真プリント装置を構成する。
【解決手段】 露光部から現像部の現像搬送機構Cに印画紙Pを送る中継搬送ユニットの搬送ローラR対を開閉自在に構成し、プリントブロックの筐体10のうち中継搬送ユニットの搬送ローラ対Rの近傍部位に開閉扉部10Zを備える。露光部と現像部とを制御するこのコントローラは、露光部での処理を停止した状態で現像搬送機構Cを駆動するクリーニングモードでの処理を実行する。このクリーニングモードでは、開閉扉部10Zを開放し、搬送ローラR対を開放位置してクリーニングシートSを現像搬送機構Cに送り込む形態でのクリーニングを実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光部で露光された感光材料を現像処理液が貯留された現像部に導入して現像処理を行うように複数の圧着型の搬送ローラを有した現像搬送機構と、この現像搬送機構を制御する制御手段とを備えている写真プリント装置に関し、詳しくは、前記感光材料の搬送経路をクリーニングする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された写真プリント装置に関連する技術として特許文献1及び特許文献2に記載されるものが存在する。つまり、特許文献1では感光材料の現像処理後に経過時間をカウントし、現像処理が終了してから所定時間が経過していない場合には、搬送機構の洗浄を行い、現像処理が終了してから所定時間が経過している場合には、ペーパーマガジンから引き出したクリーニング用印画紙を搬送機構に送り込むことで搬送機構のクリーニングを行う。
【0003】
特許文献2では写真プリント装置におけるネガフィルムの搬送経路に対してクリーニングするために送り込むクリーニングテープが記載されている。このクリーニングテープは、シート本体に形成した粘着面に対して編み地を有したポーラススクリーンを重ね合わせた構造を有しており、このクリーニングテープネガフィルムを経路に送り込む中間挿入口から搬送経路に送り込むことにより、搬送機構における搬送ローラから圧力の作用によって、ポーラススクリーンのメッシュ部分から粘着面が露出して搬送ローラのクリーニングを行う。
【0004】
【特許文献1】特開2002−351035号公報 (段落番号〔0021〕〜〔0028〕、図2〜図4)
【特許文献2】特開平11−202463号公報 (段落番号〔0013〕〜〔0026〕、図1〜図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
写真プリント装置の現像部には感光材料を搬送する経路に多数の搬送ローラを配置しており、その搬送ローラの多くが現像処理槽の現像処理液中に配置されている。このような構造の現像処理槽では、印画紙に付着して持ち込まれた塵埃が搬送ローラに付着することや、現像処理液との化学反応によって生成された物質が搬送ローラに付着することがあった。また、現像処理液の液面上に存在する搬送ローラでは、感光材料からの現像処理液が付着した後に時間が経過により現像処理液から水分が蒸発して現像処理液に含まれる薬剤が結晶化することもあった。このように作り出される搬送ローラの付着物は搬送機構に対して継続的に感光材料を搬送することにより、ある適度は除去されるものである。
【0006】
しかしながら、感光材料を継続して搬送した場合でも、搬送ローラの汚れを完全に除去することは出来ず、汚れた搬送ローラで感光材料を搬送した場合に、感光材料に搬送ローラの汚れが移り感光面を汚すこともあった。
【0007】
この種の不都合は、特許文献1に示された技術を用いることや、特許文献2に示された技術を用いることによって改善するものである。しかしながら、特許文献1のように感光材料を搬送することによって搬送ローラをクリーニングするものでは、クリーニングを行う幅が感光材料の幅に限られるばかりか、感光材料を無駄に消費する点において改善の余地があった。また、特許文献2では、クリーニング専用の部材を用いるので特許文献1のように感光材料に無駄が発生せず、必要とする幅でクリーニングを行え、しかも、感光材料を搬送した場合より良好にクリーニングを行えるものの、現像処理を行わないタイミングにおいて搬送機構にクリーニング専用の部材を搬送する制御を行う必要があるため、感光材料の処理を完全に終了し、次の現像処理を行わない状況を作り出したタイミングでクリーニング専用の部材の搬送を行う必要がある等、クリーニングを行うための環境を作り出さねばならず手間が掛かるものであった。
【0008】
因みに、従来の写真プリント装置では、写真プリント装置を停止させた状態で、搬送ローラを備えたラック等を現像処理槽から取り出し、ブラシを用いた人為的な水洗作業により搬送ローラの汚れを取り除いていており、手間が掛かるものであった。
【0009】
本発明の目的は、感光材料の搬送経路のクリーニングを容易に行い得る写真プリント装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、露光部で露光された感光材料を現像処理液が貯留された現像部に導入して現像処理を行うように複数の圧着型の搬送ローラを有した現像搬送機構と、この現像搬送機構を制御する制御手段とを備えている写真プリント装置において、
前記現像搬送機構の搬送方向で前記現像部の上流位置にクリーニングシートを送り込むシート挿入部を形成し、
前記制御手段は、前記露光部での露光処理を停止した状態で前記現像搬送機構を駆動することで前記シート挿入部に挿入された前記クリーニングシートを前記現像部を通過させるクリーニングモードを備えている点にある。
【0011】
この構成から、露光部での露光処理を停止する状況を人為的に作り出す操作を行わずとも、クリーニングモードを選択するだけで露光部での露光処理が停止し、シート挿入部からクリーニングシートを送り込むことが可能となる。そして、シート挿入部からクリーニングシートを送り込むことにより、このクリーニングシートを搬送する形態でクリーニングを行える。また、現像搬送機構で搬送される感光材料の最大幅より少し広い幅のクリーニングシートを用いることも可能であり、このようなクリーニングシートを用いることにより、搬送ローラに形成される結晶や、汚れの除去を確実に行える。しかも、印画紙等の感光材料と比較して汚れの除去を効率的に行える素材で成るクリーニングシートを用いることにより、結晶や汚れを確実に除去できる。その結果、クリーニングを行う環境を簡単に作り出し、搬送ローラやガイド等の汚れをクリーニングシートによって除去して、現像処理時に感光材料を汚損する不都合が解消された。
【0012】
本発明は、前記露光部は、マガジンに収容された長尺の前記感光材料を引き出して露光位置に供給する形態での露光を行うように処理形態が設定され、前記制御手段は、前記クリーニングモードでの処理が選択された際には、引き出されている感光材料を前記マガジンに収容する作動を行っても良い。
【0013】
この構成により、クリーニングモードでの処理が選択された際には、マガジンから引き出されている感光材料をマガジンに収容する作動が行われ、この後に、例えば、クリーニングシートを挿入するために感光材料を搬送する経路を露出させても、その露出部位からの光線によって感光材料が露光される不都合を回避できる。
【0014】
本発明は、前記露光部と前記現像部とが暗箱構造の筐体の内部に収容されると共に、前記シート挿入部が前記露光部と前記現像部との中間位置に形成され、前記筐体のうち前記シート挿入部の近傍位置を開放して前記クリーニングシートの挿入を許す扉部を形成しても良い。
【0015】
この構成により、扉部を開放し、露光部と現像部との中間の現像搬送機構に対してクリーニングシートを挿入することにより、そのクリーニングシートは現像部に送り込まれ、その現像部の搬送ローラ等をクリーニングできる。
【0016】
本発明は、前記露光部と前記現像部との中間位置において前記感光材料を搬送する中継搬送ユニットを備えると共に、この中継搬送ユニットに備えた前記搬送ローラを構成するローラ対が前記感光材料を圧着する圧着位置と、夫々の搬送ローラが離間する開放位置とに切換自在に構成され、この搬送ローラ対を前記開放位置にセットすることにより形成される開放空間から前記現像搬送機構に対する前記クリーニングシートの挿入を許しても良い。
【0017】
この構成により、露光部と現像部との中間位置の中継搬送ユニットの搬送ローラを構成するローラ対を開放位置にセットし、この開放位置への切り換えによって形成される開放空間からクリーニングシートを挿入して現像部の現像搬送機構に送り込み、クリーニングを行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕 図1に示すように、現像済みの写真フィルムFのコマ画像のデジタル信号化を行い、デジタル信号化された画像データの処理を行い、システム全体の基本的な制御を行うオペレートブロックAを備えると共に、感光材料としての銀塩式の印画紙Pに対して露光処理と現像処理とを行い、かつ、乾燥処理を行った後に送り出すプリントブロックBを備えてデジタルミニラボと称せられる写真プリント装置が構成されている。
【0019】
〔オペレートブロック〕 前記オペレートブロックAは、コンソール1に対し前記写真フィルムFのコマ画像を光電変換によりデジタル信号化して画像データとして取り込むフィルムスキャナ2と、各種情報を表示するディスプレイ3と、画像処理とプリントに必要な各種処理とを行う汎用コンピュータで成る画像処理装置4とを配置している。コンソール1の上面には前記画像処理装置4に対して情報を入力するためキーボード5と、ポインティングデバイスとして機能するマウス6とを備えている。
【0020】
前記画像処理装置4には、CDやMOやFD等のディスク型のメディアからの画像データを取得する、あるいは、半導体型のメディア(図示せず)からの画像データを取得するように夫々のメディアの構造に対応したメディアドライブ7を備えている。この画像処理装置4は、前記ディスプレイ3に表示に従って前記キーボード5やマウス6を操作することにより、色補正やコントラスト補正等の画像処理ばかりでなく、プリントに関連する処理を実現するインタフェースを具備している。
【0021】
前記フィルムスキャナ2は、下部に発光ダイオードやハロゲンランプ等を有した光源部を配置し、中間部にズームレンズを配置し、上部にズームレンズからのコマ画像をR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に色分解して取り込むラインCCD型の光電変換部を配置している。このフィルムスキャナ2では、写真フィルムFのスキャニングを行う場合、その写真フィルムFのサイズに適合したフィルムキャリア2Aを光源部の上面に装着してスキャニングを開始することにより、写真フィルムFを副走査方向(長手方向)に搬送する作動と同期して光電変換部において写真フィルムFのコマ画像を主走査方向に沿ってデジタル信号化して取り込む処理が行われ、取り込まれた画像データは前記画像処理装置4に転送され保存される。
【0022】
〔プリントブロック〕 前記プリントブロックBは、図1及び図2に示すように、露光部Exと、現像部Deと、乾燥部Drとを暗箱構造の筐体10に収容して成ると共に、乾燥処理の後に筐体10の上部の排出部11から送り出される印画紙Pを搬送ベルト12で水平方向に送り、その印画紙Pをソータ13のトレー13Aにオーダー単位で仕分けて集積する。
【0023】
前記露光部Exは、下部に2つの印画紙マガジンM、M(マガジンの一例)を配置すると共に、上部位置に露光ヘッドHを配置し、露光ヘッドHの近傍に制御手段としてのコントローラ15を配置している。この露光部Exでは、印画紙マガジンM、Mからの印画紙Pを供給搬送ユニットUFから露光搬送ユニットUEに供給して露光を行い、この露光搬送ユニットUEからの印画紙Pを中継搬送ユニットUDを介して前記現像部Deに送り込むように印画紙Pの搬送経路が形成されている。
【0024】
前記供給搬送ユニットUFは、印画紙マガジンMにロール状で収容した長尺のカラーの印画紙Pを圧着型のアドバンスローラ16で引き出し、カッター17でプリントサイズに切断し、この切断された印画紙Pの裏面側に印字ヘッド18によって色補正情報等の情報をプリントし、この後、印画紙Pを挟持搬送する圧着搬送体19によって前記露光搬送ユニットUEに受け渡す。
【0025】
前記露光搬送ユニットUEは、前記圧着搬送体19からの印画紙Pを受取ローラ20で受け取ると共に、この印画紙Pを一対の駆動ローラ21と、これに対応する一対の従動ローラ22とで圧着して上方(副走査方向)に搬送する。この搬送によって前記印画紙Pが露光位置Xに達すると前記露光ヘッドHからのレーザビームで主走査方向に沿って露光が行われる。
【0026】
前記中継搬送ユニットUDは、複数の圧着ローラ23(搬送ローラの一例)を備えた前搬送機構U1と、一対のチャッカー24によって印画紙Pを2つの振分け経路に振り分ける振分機構U2と、印画紙Pを前記現像部Deに受け渡す受渡搬送機構U3とを備えている。
【0027】
図面には示していないが、前記供給搬送ユニットUFは、印画紙マガジンM、Mに収容された印画紙Pの送り出しと巻き戻しとを行う電動モータを備えると共に、前記アドバンスローラ16、カッター17、圧着搬送体19夫々を駆動する電動モータを備えている。また、前記露光搬送ユニットUEでは、複数のローラを駆動する電動モータを備えており、中継搬送ユニットUDでは、複数のローラを駆動する電動モータと、チャッカー24を駆動する電動モータとを備えている。これらの電動モータは前記コントローラ15で制御される。
【0028】
前記前搬送機構U1は複数の圧着ローラ23の駆動回転によって印画紙Pを圧着状態で搬送する機能を有するものであり、前記一対のチャッカー24は、印画紙Pを挟持(チャック)する作動と、印画紙Pの挟持を解除する作動とを行うと共に、このチャッカー24を印画紙Pの搬送方向に沿う方向と、この作動方向と直交する方向への移動とを行えるように構成されている。
【0029】
前記受渡搬送機構U3は本発明のシート挿入部Zとして機能させ得るようにも構成されている。つまり、この受渡搬送機構U3は、図3に示すように、受け入れ側に配置された導入ローラ25と一対の従動ローラ26とで成る搬送ローラR(搬送ローラ対)を備えると共に、受け入れた印画紙Pを斜め下方に案内する下側・上側の案内プレート27・28と、この案内プレート27、28に沿って印画紙P搬送するように下側の案内プレート27の側に配置された3つの駆動ローラ29と、これに対向する上側の案内プレート28の側に配置された3つの従動ローラ30とを備えている。
【0030】
前記3つの駆動ローラ29と対応する3つの従動ローラ30とで複数の搬送ローラR(搬送ローラ対)が構成されている。図面には示していないが、前記導入ローラ25と前記3つの駆動ローラ29に電動モータからの駆動力を伝える伝動系が形成されている。
【0031】
また、前記上側の案内プレート28は、上流側の2つの従動ローラ30に対応する可動プレート28Aと下端位置の1つの従動ローラ30に対応する固定プレート28Bとで構成され、この可動プレート28Aと固定プレート28Bとを横向き姿勢の支軸31周りで揺動自在に連結しており、可動プレート28Aに対して前記上流側の2つの従動ローラ30が遊転支承され、固定プレート28Bに対して下端の従動ローラ30が遊転支承されている。更に、前記3つの駆動ローラ29は下側の案内プレート27に一体形成したフレームに支持されている。
【0032】
この受渡搬送機構U3では、前記可動プレート28Aを図3に示す閉姿勢に設定することにより、駆動ローラ29と従動ローラ30とが圧着する圧着位置となり、この可動プレート28Aを図4に示す開放姿勢に設定することにより、駆動ローラ29と従動ローラ30とが離間する開放位置に達する。
【0033】
このような構成であるため、中継搬送ユニットUDでは、前記露光搬送ユニットUEから上方に送り出される印画紙Pを前記前搬送機構U1の複数の圧着ローラ23での搬送により搬送方向を水平方向に変換して振分機構U2に受け渡す。振分機構U2では、比較的小さいサイズの印画紙Pは夫々のチャッカー24で挟持し、予め設定されて2列の振分経路に振り分けて送り出し、また、大きいサイズの印画紙Pは幅方向の両端部を一対のチャッカー24で同時に挟持して振り分けを行わずに送り出す。前記受渡搬送機構U3は振分機構U2のチャッカー24から受け渡された印画紙Pを導入ローラ25と従動ローラ26とで圧着する状態で搬送を開始し、この印画紙Pを前記案内プレート27、28の間で案内する状態で、3つの駆動ローラ29と対応する従動ローラ30とで順次圧着して搬送し、現像部Deの圧着型の受入ローラ35(搬送ローラRの一例)に受け渡す。
【0034】
前記現像部Deは、発色現像槽と漂白定着槽と安定槽とで成る複数の処理槽を一体形成した現像処理槽36を備えている。夫々の処理槽には印画紙Pの現像処理を行う現像処理液が貯留されると共に、印画紙Pを搬送するための複数の圧着ローラ37(搬送ローラRの一例)を有した搬送ラック38と、夫々の搬送ラック38において上部に送り出された印画紙Pを次の搬送ラック38に受け渡すように複数の圧着ローラ39(搬送ローラRの一例)を有したオーバーヘッドラック40とを備えている。
【0035】
前記複数の圧着ローラ37を備えた搬送ラック38と、前記複数の圧着ローラ39を備えたオーバーヘッドラック40とで本発明の現像搬送機構Cが構成されている。また、図面には示していないが、搬送ラック38に備えた圧着ローラ37と、オーバーヘッドラック40とに備えた圧着ローラ37、39は電動モータによって同期駆動される。
【0036】
前記乾燥部Drは、現像部Deから送り出された印画紙Pに対してブロワ45からの乾燥空気を供給して乾燥を行う。
【0037】
本発明の写真プリント装置は、図5及び図6に示すクリーニングシートSを前記露光部Eと現像部Deとの中間位置のシート挿入部Zから現像部Deに送り込むことによって、このシート挿入部Zを基準にして下流側の前記現像搬送機構Cに備えられた複数の搬送ローラRのクリーニングを行えるように構成されている。
【0038】
このクリーニングシートSは、幅WがプリントブロックBにおいて処理可能な印画紙Pの幅より僅かに広く、長さLが該クリーニングシートSを安定的に搬送するに充分な値に設定され、厚さTが印画紙Pより少し厚い値に設定されている。このクリーニングシートは柔軟で耐水性能に優れた性質の樹脂製で両面に多数の凹部Saと凸部Sbとを連続的に形成した形状であり、現像部Deの搬送経路に送り込むことにより、搬送ローラに対して多数の凸部Sbが接触することにより、結晶化物や汚れを拭き取るように除去する。
【0039】
そして、このクリーニングシートSは使用後には水洗いすることにより表面が清浄化して再使用が可能となる性能のものである。また、このクリーニングシートSは多数の凹部のみを形成したものや多数の凸部を形成したものであって良く、特開平11−202463号公報(特許文献2)に記載されたもののように粘着する性質のものを使用することや、表面に微細な研磨剤を含むものを使用しても良い。
【0040】
図1に示すように、前記プリントブロックBの筐体10の側面には露光部Exと現像部Deと乾燥部Drとを開放する複数の扉10Aが開閉自在に備えられ、この筐体10の上面において、前記中継搬送ユニットUDを構成する前記受渡搬送機構U3の上方位置にはヒンジ50を介して開閉する開閉扉部10Z(扉部の一例)を形成している。
【0041】
前記プリントブロックBのコントローラ15はマイクロプロセッサを備えており、前記露光部Exでの印画紙Pの搬送と露光ヘッドHでの露光を制御すると共に、現像部Deでの印画紙Pの搬送を制御する。また、前記オペレートブロックAの画像処理装置4はプリント対象とする画像データとオーダデータとを前記コントローラ15に伝送することによりプリント処理を実現する。
【0042】
〔制御形態〕 前記コントローラ15は、図7のフローチャートに示す搬送ルーチンを実行する。つまり、電源を投入してプリントブロックBを稼動させた場合にはイニシャライズの後に、通常搬送モードが設定される(#01、#02ステップ)。
【0043】
この通常搬送モードでは、プリント処理に対応して前記供給搬送ユニットUF、露光搬送ユニットUE、中継搬送ユニットUD夫々において印画紙Pを搬送すると共に、現像部Deにおいて設定された速度で印画紙Pを搬送し、乾燥部Drにおいて印画紙Pを設定速度で搬送し、排出部11から送り出す制御が行われる。また、この通常搬送モードでの搬送時に搬送系で印画紙Pの詰まりを発生した場合には、搬送を停止し、詰まりが発生したことを示す情報を前記画像処理装置4に伝送して、ディスプレイ3に詰まりが発生した情報の表示を行う。
【0044】
次に、オペレートブロックAのキーボード5あるいはマウス6の操作によってクリーニングモードが選択された場合には、この情報が前記コントローラ15に伝送され、このコントローラ15が、露光処理中の印画紙Pの露光の完了後に、露光済の印画紙Pを送り出して現像処理を行い、印画紙マガジンMから引き出されている印画紙Pを印画紙マガジンMに巻き戻し、現像部Deと乾燥部Drとの搬送は継続する(#03、#04ステップ)。
【0045】
この#04ステップでは、印画紙マガジンMに対して印画紙Pを巻き戻したことを判別する信号と、露光済の印画紙Pを現像部Deに送り出したことを確認する信号とを取得するよう処理系が構成され、これらの信号を取得した場合には、クリーニング可能であることを示す情報をオペレートブロックAに伝送し、ディスプレイ3に表示する(#05ステップ)。
【0046】
この#05ステップの状態に達したことをオペレータが確認すると、図4に示すように、前記開閉扉部10Zを人為的に開放すると共に、前記可動プレート28Aを人為的に開放して前記駆動ローラ29と従動ローラ30とで成るローラ対を開放位置にセットする。このクリーニングモードでは、現像部Deと乾燥部Drとの搬送が継続しているため、ローラ対を開放することで開放空間として作り出されるシート挿入部ZからオペレータがクリーニングシートSを挿入することでクリーニングシートSは受渡搬送機構U3に引き込まれ、更に、前記受入ローラ35に送り込まれる。
【0047】
このように受入ローラ35に送り込まれたクリーニングシートSは、搬送ラック38の複数の圧着ローラ37と、オーバーヘッドラック40の複数の圧着ローラ39を通過する形態で搬送され、この搬送時に、夫々の圧着ローラ37、39に接触して結晶化物や汚れを拭き取るように除去する。
【0048】
この制御形態では、クリーニングモードが選択された後には現像搬送機構Cが継続的に作動するものであるが、シート挿入部ZからクリーニングシートSを挿入した後にオペレータがキーボード5等を操作することにより受渡搬送機構U3と現像搬送機構Cとが作動を開始してクリーニングシートSの搬送を開始するように制御形態を設定しても良い。
【0049】
このようにクリーニングシートSを現像部Deに送り込み、排出部11から排出されたクリーニングシートSを回収した後には、オペレートブロックAのキーボード5あるいはマウス6の操作によってクリーニングが終了したことを示す情報を入力することにより、クリーニングモードでの処理を終了し、通常搬送モードでの搬送が可能となる(#06ステップ)。そして、搬送ルーチンを終了する情報を入力することで搬送ルーチンが終了する(#07ステップ)。
【0050】
このように本発明の写真プリント装置では、クリーニングモードを選択した後に開閉扉部10Zを開放した場合でも、露光部Exの内部で印画紙Pにカブリを発生させる不都合を招くことがない。また、受渡搬送機構U3の可動プレート28Aを開放することでシート挿入部Zを大きく開放した状態で印画紙Pの搬送経路に対して直接的なクリーニングシートSの挿入を許すものとなり、クリーニングシートSを容易に挿入して搬送ローラRのクリーニングを行えるのである。
【0051】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い。
【0052】
(a)単一の制御装置によって受け付け処理からプリント処理までを行う写真プリント装置に適用することや、3つ以上の制御装置を備えた写真プリント装置に適用しても良い。このように3つ以上の制御装置を備えたものでは、夫々の協働によってクリーニングのための制御を実行することになる。
【0053】
(b)クリーニング時には、シート挿入部に挿入するクリーニングシートの送り込みを補助する駆動ローラを取り付けるように構成する。このようにクリーニング時にのみ駆動ローラを備えることにより、長尺のクリーニングシートでも円滑に送り込める。
【産業上の利用可能性】
【0054】
予め設定された量の現像処理を実行した後には、自動的にクリーニングモードに切り換わるように処理形態を設定する。これにより、オペレータがクリーニングが必要であることを確実に認識して、現像搬送機構の汚れの除去を行える。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】写真プリント装置の斜視図
【図2】プリントブロックの縦断正面図
【図3】受渡搬送機構の部位の搬送構造を示す断面図
【図4】クリーニングシートを挿入する際の受渡搬送機構の状態を示す断面図
【図5】クリーニングシートの斜視図
【図6】クリーニングシートの拡大断面図
【図7】搬送ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
【0056】
10 筐体
10Z 扉部:開閉扉部
15 制御手段:コントローラ
C 現像搬送機構
M マガジン
P 感光材料:印画紙
R 搬送ローラ
S クリーニングシート
Z シート挿入部
Ex 露光部
De 現像部
UD 中継搬送ユニット
X 露光位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光部で露光された感光材料を現像処理液が貯留された現像部に導入して現像処理を行うように複数の圧着型の搬送ローラを有した現像搬送機構と、この現像搬送機構を制御する制御手段とを備えている写真プリント装置であって、
前記現像搬送機構の搬送方向で前記現像部の上流位置にクリーニングシートを送り込むシート挿入部を形成し、
前記制御手段は、前記露光部での露光処理を停止した状態で前記現像搬送機構を駆動することで前記シート挿入部に挿入された前記クリーニングシートを前記現像部を通過させるクリーニングモードを備えている写真プリント装置。
【請求項2】
前記露光部は、マガジンに収容された長尺の前記感光材料を引き出して露光位置に供給する形態での露光を行うように処理形態が設定され、前記制御手段は、前記クリーニングモードでの処理が選択された際には、引き出されている感光材料を前記マガジンに収容する作動を行う請求項1記載の写真プリント装置。
【請求項3】
前記露光部と前記現像部とが暗箱構造の筐体の内部に収容されると共に、前記シート挿入部が前記露光部と前記現像部との中間位置に形成され、前記筐体のうち前記シート挿入部の近傍位置を開放して前記クリーニングシートの挿入を許す扉部が形成されている請求項1又は2記載の写真プリント装置。
【請求項4】
前記露光部と前記現像部との中間位置において前記感光材料を搬送する中継搬送ユニットを備えると共に、この中継搬送ユニットに備えた前記搬送ローラを構成するローラ対が前記感光材料を圧着する圧着位置と、夫々の搬送ローラが離間する開放位置とに切換自在に構成され、この搬送ローラ対を前記開放位置にセットすることにより形成される開放空間から前記現像搬送機構に対する前記クリーニングシートの挿入を許す請求項3記載の写真プリント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−3803(P2007−3803A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183548(P2005−183548)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】