説明

冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、一枝血管又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システム

【課題】冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システム。
【解決手段】冠状動脈又は末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システムであって、少なくとも、一つの閉塞注入カテーテル10を含み、この近位部分に配置されたバルーン11が備えられ、前記閉塞注入カテーテル10の表面にガイドワイヤを挿入しスライドさせて出すための複数の穿孔と、薬剤を放出するために前記バルーン11の遠位端部に配置された1及び1を超える穿孔14とを有し;少なくとも、一つの閉塞カテーテル20とを含み、この遠位部分に配置されるバルーン21と、前記閉塞カテーテル20の表面上のガイドワイヤを挿入しスライドさせて出すための複数の穿孔とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システムに関する。特に、本発明は、ステント内再狭窄病変を予防し治療するカテーテル・システムを包含する。前記カテーテル・システムは血流を止め同時に薬剤を投与する少なくとも、一つの閉塞注入カテーテルと、治療されるべき動脈部分に注入された薬剤を保持する少なくとも、一つの閉塞カテーテルを含む。
【背景技術】
【0002】
血管壁の病変は様々な血管成分にダメージを与え、内皮細胞の減少、血管の内膜と中膜(内皮と内皮細胞下の組織)の破裂(剥離)及び炎症を引き起こす。上記の三つの影響に対する血管の反応が内膜新生及び再狭窄に多大に関与する。
【0003】
再狭窄とは、バルーンの膨張又は高圧下でのステントの移植がきっかけとなって血管壁が異常に増厚することによって引き起こされる動脈の狭まりをいう。
【0004】
閉塞動脈病変においてバルーンを膨張させることによって、適切な組織内かん流を回復させるために動脈の内腔径を増大させる。動脈穿刺の領域を決めた後、前記動脈にカテーテルを挿入し、患者に抗凝固療法を行う。そして、ガイドワイヤを介してバルーンカテーテルが挿入される。バルーンが膨らみ、かつ/又はステントが狭窄の領域に移植される。
【0005】
ブラジル特許第BR0415518号には、血管の分岐点又は分岐血管においてステントを移植するためのカテーテル・システム及びその方法に関する発明が開示されている。前記カテーテル・システムは第一のバルーンカテーテルと、第二のバルーンカテーテルと、前記第一と第二のバルーンカテーテルが縦軸に沿って互いに一直線になるか、又は互いに隣接するように配置を維持する切り離し連結装置とを含む。前記切り離し連結装置は前記カテーテル・システムを一体で前方向へ動かすようにできるので、カテーテルのステントが時期尚早に又は不注意に移動することを阻止するのに役立つ。しかし、前記切り離し連結装置は切り離し可能であり、要すれば、片方又は両方のバルーンカテーテルは前記切り離し連結装置から切り離してもよいし、前記カテーテル・システムの残りの部分から独立して操作してもよい。前記方法は開示された前記カテーテル・システムを分岐血管に設置するために「同時に膨張されるバルーン」という改良された技術を用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ブラジル特許第BR0415518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記技術文献は動脈又は血管の壁内に薬剤を送達するバルーンカテーテルを開示しているが、バルーンの近位部分及び遠位部分に薬剤が拡散されて凝血現象が生じ、投与量が必要量より多く必要となり副作用を伴う。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、冠状動脈又は末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システムは、血流を止めて動脈又は血管壁内に薬剤を送達する少なくとも、一つの閉塞注入カテーテルと、両カテーテルが膨張している間動脈に形成された区画に薬剤を一時的に保持する少なくとも、一つの閉塞カテーテルとを用いることができる。このような冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するためのカテーテル・システムについて以下に詳細に記載し、特許請求の範囲に記載する。
【発明の効果】
【0009】
一般的に、本発明は冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システムに関する。前記カテーテル・システムは、血流を止めて、同時に薬剤を送達する少なくとも一つの閉塞注入カテーテルと、治療されるべき動脈部分に注入された薬剤を保持する少なくとも一つの閉塞カテーテルとを含む。
本発明は、冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システムとして特徴づけられ、冠状動脈又は末梢動脈においてステントの移植後、又はバルーンカテーテルによる血管形成術後の再狭窄を予防しかつ/又は治療することを目的とする。
【0010】
本発明は、冠状動脈又は末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システムとして特徴づけられ、少なくとも、一つの閉塞注入カテーテルと、少なくとも、二つの閉塞カテーテルとを用いることによって、再狭窄の発生率がより高い分岐動脈におけるステント内再狭窄病変を予防し治療する。前記二つの閉塞カテーテルの片方は主血管に、他方は側枝血管に配置される。
【0011】
本発明は、冠状動脈又は末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システムとして特徴づけられ、新生内膜の過剰増殖を阻止するために薬剤を動脈壁内に透過させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】閉塞注入カテーテルを示す。
【図2】閉塞カテーテルを示す。
【図3】冠状動脈における閉塞注入カテーテル及び閉塞カテーテル・システムの配置を示す。
【図4】分岐動脈における一つの閉塞注入カテーテルと二つの閉塞カテーテルとからなるシステムの配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の主題である、冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システムは、膨張すると血流を止めると同時に前記動脈又は血管壁内に薬剤を送達するバルーン(11)が備えられた少なくとも、一つの閉塞注入カテーテル(10)と、膨張すると治療されるべき動脈部分(100)に注入された薬剤を保持するバルーン(21)が備えられた少なくとも、一つの閉塞カテーテル(20)とを含む。
【0014】
前記閉塞注入カテーテル(10)は、バルーン(11)、好ましくは柔軟な(complacent)バルーン(11)を有する。前記バルーン(11)は前記閉塞注入カテーテル(10)の遠位部分に配置され、前記閉塞注入カテーテル(10)の近位部分に配置された管腔(12)を介して膨らますことができる。前記閉塞注入カテーテル(10)の表面にはガイドワイヤを挿入しスライドさせて出すための穿孔(13)を有し、かつ前記バルーンの遠位端部に薬剤を放出することを目的とする1及び1を超える穿孔を有する。
前記閉塞カテーテル(20)は、バルーン(21)、好ましくは柔軟なバルーン(21)を有する。前記バルーン(21)は前記閉塞カテーテル(20)の遠位部分に配置され、前記閉塞カテーテル(20)の近位部分に配置された管腔(22)を介して膨らますことができる。さらに、前記閉塞カテーテル(20)の表面にはガイドワイヤを挿入しスライドさせて出すための穿孔(23)を有する。
【実施例1】
【0015】
図3に示すように、冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において予防し治療するような状況下の実施例において、一つの前記閉塞カテーテル(20)を動脈中又は血管(100)中に挿入し、前記閉塞注入カテーテル(10)を挿入して近位に配置する。次に、前記閉塞注入カテーテル(10)の前記バルーン(11)を膨張させ、血管の通路(100)を塞ぎ血液の流れを止める。その後、前記動脈を洗浄するために生理食塩水を添加した後に薬剤を注入する。薬剤を注入する間、治療する前記動脈の部分(100)の内側に薬剤を保持するためにバルーン(21)を膨張させ、このような方式で区画を形成する。薬剤を前記閉塞注入カテーテル(10)の遠位表面上に配置した穿孔(14)を介して放出し、前記カテーテル(10、20)の前記バルーン(11、21)により区切られた範囲内に薬剤を止め、薬剤は血液循環に拡散することなく動脈又は血管の壁(100)を透過する。上記過程が終了すると、前記バルーン(11、21)を収縮させ前記カテーテル(10、20)を除去する。
【実施例2】
【0016】
図4に示すように、冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、分岐血管において、予防し治療するような状況下では、二つの前記閉塞カテーテル(20)を挿入し、片方の前記閉塞カテーテル(20)を主血管に挿入し、他方の前記閉塞カテーテル(20)を側枝動脈に挿入する。そして、前記閉塞注入カテーテル(10)の前記バルーン(11)を膨張させ、血管の通路(100)を塞ぎ血液の流れを止める。その後、薬剤を注入する。薬剤を注入する間、治療すべき動脈の部分(100)の内側に薬剤を保持するために区画を形成するような方式でバルーン(21)を膨張させる。薬剤は前記閉塞注入カテーテル(10)の遠位表面上に配置した穿孔(14)を介して放出し、前記カテーテル(10、20)の前記バルーン(11、21)により区切られた範囲内に薬剤を止め、薬剤は血液循環に拡散することなく動脈又は血管の壁(100)を透過する。上記過程が終了すると、前記バルーン(11、21)を収縮させカテーテル(10、20)を除去する。
【0017】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0018】
10 閉塞注入カテーテル
20 閉塞カテーテル
11、21 バルーン
12、22 管腔
13、23 穿孔
14 薬剤放出のための穿孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システムであって、
少なくとも、一つの閉塞注入カテーテル(10)と、少なくとも、一つの閉塞カテーテル(20)とを含み、
a)前記閉塞注入カテーテル(10)には、前記閉塞注入カテーテル(10)の遠位部分に配置され、前記閉塞注入カテーテル(10)の近位部分に配置された管腔(12)を介して膨張可能なバルーン(11)が備えられ、前記閉塞注入カテーテル(10)の表面にガイドワイヤを挿入しスライドさせて出すための複数の穿孔(13)と、薬剤を放出するために前記バルーン(11)の遠位端部に配置された1及び1を超える穿孔(14)とを有し、
b)前記閉塞カテーテル(20)には、前記閉塞カテーテル(20)の遠位部分に配置され、前記閉塞カテーテル(20)の近位部分に配置された管腔(22)を介して膨張可能なバルーン(21)と、前記閉塞カテーテル(20)の表面上のガイドワイヤを挿入しスライドさせて出すための複数の穿孔(23)とが備えられていることを特徴とするカテーテル・システム。
【請求項2】
冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システムであって、
前記閉塞注入カテーテル(10)の前記バルーン(11)は好ましくは柔軟であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル・システム。
【請求項3】
冠状動脈及び末梢動脈における再狭窄を、一枝血管において又は分岐血管において、予防し治療するカテーテル・システムであって、
前記閉塞カテーテル(20)の前記バルーン(21)は好ましくは柔軟であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル・システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−194300(P2010−194300A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288663(P2009−288663)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(508198199)ビーアールゼット バイオテクノロジア エルティーディーエイ (3)
【Fターム(参考)】