説明

冠状動脈性心疾患と卒中の新しい検査装置

本発明は動脈硬化による冠状動脈性心疾患と卒中の診断・予防・治療に用いられる新しい検査装置に関わるものである。本発明の検査法により、個人別、疾患の段階別にそれぞれ疾病の危険度を予告し、疾病の主たる原因を確定し、治療の有効性を評価し、優先順位をつけて治療目標を選択することができる。この検査法は、疾病に寄与している複数の危険要因を総合させたものである。本発明は現在当該疾病の診断の際に一般的に用いられている二種類の方法、即ち、血清LDL濃度の検査と血漿中のCRP濃度の測定を統合させたものである。本発明の検査法は、MMA.exe(▲c▼ワン・シンファ、2004年)という名のコンピュータエグゼクティブプログラムとして作成されており、これは本検査法の実行にあたり多大な利便性を提供している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動脈硬化による冠状動脈性心疾患または卒中の診断・予防・治療に用いられる新しい検査装置に関わるものである。
【背景技術】
引用文献
国際特許文書:適用すべきものなし
その他の文献:
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【0002】
動脈硬化は一種の進展性の疾患であり、特徴として動脈の内壁が厚く堅くなり弾性がなくなる。この病理過程でほとんどが冠状動脈性心疾患や卒中にかかる。動脈硬化による冠状動脈性心疾患と卒中は人類の死亡と罹患の最大の原因であり、この疾病の予防と治療のため、二百年あまりに亘って多くの研究が行われ、多数の研究者が動脈硬化のメカニズムの理解と効果的な診断法の開発に関心を寄せてきた[1−2]。
【0003】
1913年にAnitschkowが食べ物のコレステロールが動脈硬化の原因であると発表して以来、50年間以上にわたって、低脂質療法が動脈硬化による冠状動脈性心疾患と卒中の予防・治療に中心的な役割を果たしてきた。この治療法は、血液の低密度脂タンパク(LDL)或いはコレステロール濃度の上昇を動脈硬化の主要な原因であるとみなしている[3]。患者がこの病気の予防・治療を必要としているか否かを決定するため、医師は患者の血液のLDL濃度の測定に大きく依存していた。米国・ヨーロッパ・イギリス・カナダの専門家からなるグループは、血清LDL濃度検査のガイドラインを作成した[4−7]。米国の成人のうち5500万人はLDL濃度を減らす必要があると報告されている[8]。この脂質理論は、LDL濃度の上昇と当該疾病との因果関係を強調している。しかしながら臨床の証明するところでは、動脈硬化による冠状動脈性心疾患にかかっている患者の多くはLDL濃度が正常である[9]。
【0004】
この疾患の最近の診断法は、いわゆる血漿のC反応性タンパク(CRP)濃度の測定である[9−10]。この方法は動脈硬化を炎症性の疾患とみなす。1852年にRokitanskyは動脈内壁にある小血栓が病気を引き起こすと述べた。1856年にはVirchowが初期の動脈硬化は損傷した動脈内壁に与える炎症の反応であると発表した。1973年にRossとGlomsetが上記の二つの仮説を結合させ、損傷反応理論として提唱した[11]。これらの炎症理論は,炎症が動脈硬化を引き起こす主要な原因であることを強調している[9−11]。上記の二大方法は、排斥しあうことはないが、一体化することはできない。
【0005】
Caroらは1969年に動脈硬化の病巣が動脈内壁の剪断ストレスの低い場所に発生することを発見した[12]。1980年にはTexonが動脈硬化の血液動力学の原理を示した[13]。1983年にはFriedmanらが動脈の幾何形状と動脈硬化との因果関係を発表した[14]。臨床と実験によって、心拍数の増加が動脈硬化を引き起こすことが証明された[15−16]。1991年Schwantzらは病巣が形成されやすい部位に焦点を当てた統一的な仮説を示した[17]。最近では,Wangが動脈硬化の分析模型を作成し[2]、KruthはLDL、の動脈内壁への浸透が動脈硬化の主な原因であるとした[18]。しかしながら、疾病に対するこれらの危険要因の作用を確定できる検査方法はない。
【0006】
疫学の研究によれば、動脈硬化には多くの危険要因があり、それらは主に、高LDL濃度・高血圧・喫煙・家族病歴・全身性炎症(例えばリウマチ性関節炎)・病原体(例えばクラミジア肺炎)・高脂肪飲食・精神的要因(例えばうつ病)などである[3,19]。しかしながら、現在の検査方法ではこれらの危険要因の当該疾患に対する寄与を総合的に診断することができないため、臨床における検査能力と信頼性が欠如している。Lusisは「動脈硬化」と題する最新の評論の中で、当該疾患を検査する効果的な方法が早急に求められていると指摘している[19]。
【発明の開示】
【0007】
概要
本発明の目的は冠状動脈性心疾患と卒中の多元パラメーター検査法を進展させることによって上記の問題を解決することである。それは、動脈硬化による冠状動脈性心疾患や卒中の診断・予防・治療を必要とする各人・各段階において、疾病の総危険度と危険レベルを予測し、第一位の原因を確定し、治療の有効性を評価し、優先的に治療目標を選択することに用いられる。
【0008】
この検査法は、複数の動脈硬化の危険要因の疾病への寄与を総合するのにも用いられる。血清のLDL濃度の検査と血漿のCRP濃度の測定という、二大診断方法が本発明において結合された。
【0009】
本発明は、動脈硬化による心疾患や卒中は複数の要因に起因する疾病であり、しかも異なる組合せの危険要因が、各人の疾病の各段階を支配するとみなし、血液中のLDLと単核白血球からプラークを作りやすい部位の動脈内壁までの質量転移流量が疾病の主な原因であるとする。本発明の特徴と長所の詳しい説明は以下のセクションを参照されたい。
【0010】
発明の詳細内容
本発明は動脈硬化による心疾患と卒中の診断・予防或いは治療のための多元パラメーター検査装置であり、以下で構成される。
ある個人は動脈硬化パラメーターの測定値を有する。
上記動脈硬化パラメーターの正常値を確定する。
これらの動脈硬化パラメーターの測定値と正常値との差による疾病危険度を確定する。
全ての危険度を加算して疾病の総危険度を得る。
総危険度を含む疾病危険レベルを確定する。
疾病の治療目標の第一位とするために、総危険度に最も寄与している動脈硬化パラメーターに関わる危険要因を一つ選択する。
疾病の原因の第一位とするために、LDL質量転移流量と単核白血球の質量転移流量の大きい方を選択する。
疾病の治療目標の第二位とするために、血清のLDL濃度と血漿のCRP濃度の大きい方を選択する。
疾病の治療有効性を得るために、最新の疾病総危険度と過去の疾病総危険度の相対比率を計算する。
動脈硬化による冠状動脈性心疾患または卒中の予防・治療を必要としている個人のために、疾病の危険レベルが正常レベルに減ずるまで上記の検査法を繰り返す。
【0011】
上記の検査法はMMA.exeと名づけられたコンピュータエグゼクティブプログラムとして作成され、実行される。
【0012】
本発明の検査法を構成する各段階
第一段階:
プラークが形成されやすい部位、例えば動脈分岐部・動脈分枝部・動脈彎曲部・動脈錐体部において、血液から当該部位の動脈内壁までのLDLと単核白血球の質量転移流量を、疾病を引き起こす主要な原因として確定する。これには以下の段階を含む。
【0013】
1.1 血液から動脈内壁の表皮に転移し、かつこの表皮の内層に蓄積されるLDLと単核白血球が初期のプラークを形成することは、主要な臨床研究[9−10,1]により言明されている。
【0014】
1.2 これらの臨床的証拠により、本発明者は生物複相反応模型・自然対流模型及び境界値模型を用いて動脈硬化の多元要因模型を作成した。これらの模型は質量・運動量・エネルギーの不変の原理を用いられて作成されたものである[1]。
【0015】
1.3 これらの模型は、プラークが形成されやすい部位では、血液からその部位の動脈内壁までのLDL及び単核白血球の質量転移流量が動脈硬化を引き起こす主要な原因であるとみなしている[1]。
【0016】
1.4 これらの模型は血液溶質の質量転移流量を得る以下の表現式に用いられる(この表現式の詳しい導出については文献[1]及び発明者のノートを参照されたい)

ここでは、J=LDL或いは単核白血球の質量転移流量、g=重力加速度、c=血液中のLDL或いは単核白血球の濃度、f=心拍数、ν=プラークが形成されやすい部位の血液の渦流速度、u=この血液の動脈血管の軸方向の平均速度、v=この血液の血漿動粘度、z=プラークを形成しやすい部位が動脈内壁に沿って拡散する軸方向の長さ、a=この血液の平均速度と重力

る。
【0017】
1.5 これらの模型と表現式(A)は動脈硬化のメカニズムの理解への助けと、臨床及び実験の結果[1]の説明に用いられ、それは臨床及び実験の証拠によって裏付けられている[2−3,9−10,12−21]。本発明は表現式(A)に関わるものである。
【0018】
第二段階
動脈硬化の危険要因に関わる動脈硬化パラメーターを定義する。これには以下の段階を含む。
【0019】
2.1 血漿のCRP濃度は全身性炎症或いは病原体の標識であり[9]、血液の単核白血球の濃度は以下のように表される。
=Hc (B)
ここでは、c=CRP濃度、或いはH=lの時c=LDL濃度であり、Hはcとは関わらないパラメーターである。
k及び方程式(B)を方程式(A)に代入し、(1.1)を得る。

【0020】
2.2 Poiseuille定理によれば、層流液体の平均速度は圧力勾配と円管半径との平方に正比例し、以下のように表される。
u=Hpa (C)
ここでは、u=血液の平均速度、p=血圧勾配、a=動脈血管の半径、Hはp、aに関わらないパラメーターである。
【0021】
2.3 円管の中の液体の渦流速度はこの液体の平均速度に正比例するため、渦流速度は以下のように表される。
ν=Hu (D)
ここでは、ν=渦流速度,Hはuとは関わらないパラメーターである。
(C)を(D)に代入し,(E)を得る。
ν=Hpa (E)
【0022】
2.4 Stokes−Einstein方程式によれば、拡散係数は流体の温度に正比例し、以下のように表される。
D=HT (F)
ここでは、D=拡散係数,T=血漿の温度,HはTとは関わらないパラメーターである。
【0023】
2.5 (C)、(E)、(F)を(1.1)に代入し,(1.2)及び(1.3)を得る。

ここでは、Jは10−5g/(cms)を単位とする質量転移流量である。動脈硬化パラメーターは下記のものが含まれる。c=mg/dLを単位とするLDL濃度パラメーター、或いはc=mg/dLを単位とするCRP濃度パラメーター、p=mmHgを単位とする血液収縮期圧パラメーター、或いはp=mmHgを単位とする血液拡張圧パラメーター、f=s−1を単位とする心拍数パラメーター、T=℃を単位とする血漿の温度パラメーター、α=°を単位とする角度パラメーター、a=cmを単位とする動脈血管の半径パラメーター、z=cmを単位とする拡散流の軸方向のパラメーター、或いは拡散流の長さ、D=cm/sを単位とする拡散係数。

は(1.3)のc、D、a、zとは関わらない変数である。
【0024】
2.6 (1.1)によって確定される総質量転移流量は、モーメント慣性力pfuの作用のもとで(1.2)により確定される流量、及び重力場pgの作用のもとで(1.3)により確定される流量の双方から成る。
【0025】
2.7 本発明者は(1.1)或いは(1.2)、(1.3)のc、p、T、f、a、α、zを動脈硬化パラメーターと定義する。複数の動脈硬化の危険要因の疾病に対する寄与がこれらのパラメーターを通してこの三つの方程式にまとめられるからである。
【0026】
2.8 主な動脈硬化の危険要因はこれらの動脈硬化パラメーターと密接に関わる。例えば,高LDLの危険要因はLDL濃度パラメーターの増加に相当し、高血圧の危険要因は血液の収縮期圧或いは拡張期圧の上昇に相当し,喫煙或いはうつ病の危険要因は心拍数パラメーターの増加に関わり,血漿のCRP濃度パラメーターは病原体或いは全身性炎症の危険要因の標識である。
【0027】
2.9 これらの動脈硬化パラメーター及び表現式(1.1)或いは(1.2)・(1.3)は、本発明の検査法の実行に関与するものである。
【0028】
第三段階
これらの動脈硬化パラメーターの測定値と正常値の差から得られる疾病危険度を確定する。これには以下の段階を含む。
【0029】


を得る。
このRは上記のLDL濃度パラメーターに由来する疾病危険度である。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、血清の高LDL濃度・高コレステロール・高脂肪飲食、或いはLDL濃度を増加させるその他の危険要因である。
【0030】

を得る。
このRは上記のCRP濃度パラメーターに由来する疾病危険度である。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、全身性炎症・病原体・血漿の高CRP濃度、或いはCRP濃度を増加させるその他の危険要因である。
【0031】
3.3 3.1節のRと3.2節のRの間の等量要因Fを確定する。これは以下の二種類の方法から成る。


流量である。

を得る。

(G)により、3.2節の方程式(2)は以下のように書き換えられる。

ここでは、CRP濃度パラメーターの測定値cと正常値cとの差による病気危険度Rは、(3)によって、LDL濃度パラメーターによる病気危険度Rに転換される。
2.第二の方法:等価係数は「本発明の詳細説明」の第五段階において得られる。
【0032】

ここでは、

を得る。
このRは上記の血液収縮期圧パラメーターに由来する疾病危険度である。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、高い血液収縮期圧・家族歴・高脂肪飲食、或いは血液収縮期圧を増加させるその他の危険要因である。
【0033】

ここでは、

を得る。
このRは上記の血液拡張期圧パラメーターに由来する疾病危険度である。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、高い血液拡張期圧・高血圧の家族歴、或いは血液拡張期圧を増加させるその他の危険要因である。
【0034】

は、

を得る。
このRは上記の心拍数パラメーターに由来する疾病危険度である。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、高い心拍数・喫煙・うつ病などの精神的要因、或いは心拍数を増加させるその他の危険要因である。
【0035】
3.7 プラークが形成されやすい部位の動脈血管半径パラメーターの測定値aを(1.2)


を得る。
このRは上記の血管半径パラメーターに由来する疾病危険度である。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、プラークが形成されやすい部位の動脈血管半径の増大、或いはプラークが形成されやすい部位の動脈血管の半径を増大させるその他の危険要因である。
【0036】
3.8 プラークが形成されやすい部位の血漿の温度パラメーターの測定値Tを(1.2)に

を得る。
このRは上記の血漿温度パラメーターに由来する疾病危険度である。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、プラークが形成されやすい部位の血漿温度の上昇・体温を上昇させる疾病、或いは血漿温度を上昇させるその他の危険要因である。
【0037】

こでは、

を得る。
このRは角度パラメーターに由来する疾病危険度である。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、重力とプラークが形成されやすい部位の血液平均速度との間の夾角の減少・動脈の分岐に生じた鋭角、或いは角度の減少を引き起こすその他の危険要因である。
【0038】

を得る。ここでは、

を得る。
このR10は軸方向パラメーターに由来する疾病危険度である。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、プラークが形成されやすい部位の動脈内壁に沿った拡散流の軸方向の長さの減少、或いは軸方向の長さの減少を引き起こすその他の危険要因である。
【0039】
第四段階
疾病の総危険度を得るために3.1節のR,3.3節のRから3.10節のR10までを加算する。これには以下の段階を含む。
動脈硬化パラメーターの最新測定値と正常値の差から最新の疾病総危険度を得る。
動脈硬化パラメーターの過去測定値と正常値の差から過去の疾病総危険度を得る。
【0040】
第五段階
第四段階における疾病総危険度を含む疾病危険レベルを確定する。これには以下の段階を含む。
米国国家コレステロール教育プログラムの専門医師団が定めたガイドラインに基づき、血清LDL濃度の危険度の範囲を100mg/dL〜300mg/dLとみなし、33mg/dLごとに六個のサブレベルに分割する。
米国心臓学会の定めたガイドラインに基づき、血漿CRP濃度危険度の範囲を1.0mg/L〜4.0mg/Lとみなし、0.5mg/Lごとに六個のサブレベルに分割する。
LDL濃度とCRP濃度の範囲の比率を計算し、等価係数F=2/3=0.66を得る。
F=0.66とc=1.0mg/L及びCRP危険度の六つのサブレベルの間隔値を測定値としてそれぞれ3.3節の方程式(3)に代入する。
方程式(3)から間隔値としての六つの疾病危険度を算出する。
LDLの質量転移流量とCRPの質量転移流量が総合されて下記の七つの疾病危険レベルとなるよう、これらの間隔値を2倍にする。

危険レベル>4.70、 第七危険レベル>5.80
上記の七つのレベルから第四段階で得られた疾病総危険度が含まれるレベルを選び、それを疾病危険レベルとする。
【0041】
第六段階
当該疾病の治療目標の第一位とするために、第四段階における疾病総危険度に対して最も寄与している動脈硬化パラメーターに関わる動脈硬化の危険要因を選択する。
【0042】
第七段階
当該疾病の原因の第一位とするために、LDL質量転移流量と単核白血球の質量転移流量の大きい方を選択する。これには以下の段階を含む。

る。
3.1節のR<3.3節のRである時、単核白血球の質量転移流量を疾病の原因の第一位として選択する。
【0043】
第八段階
当該疾病の治療目標の第二位とするために、3.1節の血清のLDL濃度測定値と3.3節の血漿のCRP濃度測定値の大きい方を選択する。これには以下の段階を含む。

択する。
3.1節のR<3.3節のRである時、血漿のCRP濃度を疾病の治療目標の第二位として選択する。
【0044】
第九段階
疾病の治療有効性を得るために、第四段階で得られた疾病の最新総危険度と過去総危険度との相対比率を算出する。
【0045】
第十段階
動脈硬化による冠状動脈性心疾患・卒中の予防或いは治療を必要とする個人のために、第四段階における危険レベルが正常レベルに下がるまで第三段階の検査法から第九段階の検査法までを繰り返す。
【0046】
第十一段階
第三段階から第九段階までの検査法は、これらを容易かつ簡便に実行するために、MMA.exeという名前のコンピュータエグゼクティブプログラムとして作成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0047】
この患者は、血清のLDL濃度の測定値が150mg/dL、血漿のCRP濃度の測定値が2.3mg/Lである。当該疾病の専門医師団によるLDL濃度の正常値は100mg/dL、CRP濃度の正常値は1,0mg/Lである。これらの測定値と正常値を上記のMMA.exe入力画面にインプットし、この患者の一回目のMMA.exeの出力結果を以下のように得た。疾病総危険度は1.82(または182%)であり、うちLDL濃度パラメーターに関わる総危険度は0.64(または64%)、CRP濃度パラメーターに関わる総危険度は1.18(または118%)で、第三危険レベルにある。疾病の第一の原因は単核白血球の質量転移流量であり、第一位の治療目標はリウマチ性関節炎などの全身性炎症・病原体、或いは血漿のCRP濃度を上昇させるその他の危険要因である。
【0048】
全身性炎症の治療後、この患者のCRP濃度は2.3mg/Lから1.6mg/Lまで減少した。この患者に対するMMA.exeの二回目の出力結果は以下のようであった。疾病総危険度は1.16(または116%)であり、うちCRP濃度パラメーターによる総危険度は1.18から0.52まで減少し、第二危険レベルとなった。病気の第一位の原因はLDLの質量転移流量であり、治療有効性は36.32%、第一位の治療目標は血清の高LDL濃度・高脂肪飲食或いはLDL濃度を上昇させるその他の危険要因である。
【0049】
この実例によって、本発明の検査法が動脈硬化による冠状動脈性心疾患と卒中の臨床治療に広く用いうることが証明される。なぜならば、現在当該疾病の診断に用いられている血清のLDL濃度検査および血漿のCRP濃度の測定という二大方法が、本発明において結合されているからである。
【実施例2】
【0050】
図1−2は治療に対する本発明の典型的な適応性を詳細に示したものである。この患者の動脈硬化パラメーターの過去測定値は、図1のように、血清のLDL濃度が150mg/dL、血漿のCRP濃度が1.0mg/L、血液収縮期圧が195mmHg、血液拡張期圧が85mmHg、心拍数が1.5S−1、動脈血管の半径が1.5cm、血漿の温度が37.1℃、拡散の長さが0.4cm、角度パラメーターが40°であった。
【0051】
これらの測定値を上記のMMA.exeに入力し、過去についての出力結果が図2のように得られた。疾病総危険度1.074(または107.41%)で第二危険レベルである。第一位の原因はLDLの質量転移流量であり、第一位の治療目標は血清の高LDL濃度・高脂肪飲食、或いはLDL濃度を上昇させるその他の危険要因である。
【0052】
血脂減少の治療後、この患者の動脈硬化パラメーターの最新測定値は図2のように、LDL濃度101mg/dL、CRP濃度1.2mg/L、血液収縮期圧193mmHg、血液拡張期圧84mmHg、心拍数1.5S−1、動脈血管の半径1.45cm、血漿温度37.2℃、拡散の長さ0.35cm、角度パラメーター40°となった。MMA.exeによって得られた最新の出力結果は図2のようになった。疾病の総危険度は1.074から0.622に減少し、第一危険レベルとなった。治療効率は43.02%、第一位の原因は単核白血球の質量転移流量であり、第一位の治療目標は血液収縮期圧の上昇、或いは血液収縮期圧の上昇を起こすその他の危険要因であり,第二位の治療目標はCRP濃度の上昇である。
【0053】
この実例は、本発明の検査法は動脈硬化の複数の危険要因の当該疾病に対する寄与を総合させることができるために、非常に有効な検査法であることを示している。
【実施例3】
【0054】
個人の血液のLDL濃度が1.0%減少すると、動脈硬化による心疾患の危険性は1.5%減少することが主な臨床研究によって報告されている[20]。MMA.exeは、血液のLDL濃度が1.0%減少すると、当該疾病の危険性が1.22%減少するという結果を得ている。
【0055】
この実例は、本発明の検査法が臨床の証明によって協力に支えられていることを示している。
【実施例4】
【0056】
死体解剖検査と臨床研究[13−14,17,21]によって,動脈の分岐区域は動脈硬化を起こしやすい部位であると示されている。しかしながら、動脈の幾何形状の等脈効果に対する寄与を確定できる検査法は存在しない。文献[22]は、70人の主動脈の分岐内角が10°から70°まで大きく異なっていたことを証明した。内角が異なれば、方程式(1.3)において角パラメーターαもまた異なって得られる。
【0057】
Aさんの角パラメーターの測定値αが15°であり、Bさんの角パラメーターの測量値αが45°である場合、AさんはBさんより血液のLDL濃度が1%多くなる。MMA.exeは45°のほうが15°より疾病危険度が7.2%少ないという結果を得る。動脈分岐の内角の差による危険度の低下率7.2%は、文献[20]に記載された血液のLDL濃度の1%減少による危険度の低下率1.5%より著しく大きい。このことは、ある場合においては、動脈の幾何形状は、LDL濃度のみの時より、大きな役割を果たすことができるということを示している。
【0058】
この実例により、本発明の検査法は、動脈硬化が複数の要因に起因する疾病であり、異なった複数の危険要因が複合的に異なった個人を支配するということが明らかになった。
【実施例5】
【0059】
第一段階では、図1のように、個人の動脈硬化パラメーターの最新測定値、過去測定値及び正常値を、MMA.exeの入力画面にインプットする。
【0060】
第二段階では、入力画面にある「更新」ボタンと「危険度の計算」ボタンを押し、最後に出力画面にある「数値計算」ボタンを押して、図2に示す典型的な出力画面の結果を得る。この出力結果には、動脈硬化に関わる心疾患・卒中の予防または治療が必要な個人に対して、疾病の総危険度・第一位の原因・第一位の治療目標・第二位の治療目標及び治療の有効性が含まれている。
【0061】
この実例は、MMA.exeは本発明の検査法を容易かつ簡便に実行できることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の臨床における適応性と主な優位性は以下のとおりである。
【0063】
1. 本発明の検査法により、動脈硬化による冠状動脈性心疾患や卒中の診断・予防・治療を必要とする各人・各段階に対して、医師は当該疾病の総危険度及び疾病の危険レベルを予告し、疾病の第一位の原因を確定し、治療の有効性を評価し、優先的な治療目標を選択することができる。
【0064】
2. 本発明の検査法は信頼性が高い。なぜならば、ヒトの循環血液は質量・運動量・エネルギーの不変の原理に従っており、同時に、本検査法に関わる方程式(A)・(1.1)・(1.2)・(1.3)はこれらの原理に由来するものであるからである。
【0065】
3. 本発明の検査法は有効性が高い。なぜならば、当該疾病に対する複数の動脈硬化危険要因の寄与を総合させることができるからである。また本発明は、動脈硬化による冠状動脈性心疾患や卒中を、複数の危険要因のうち異なった組合せの要因が各人・各段階を制御する疾病であること提唱する。このことは大量の臨床と実験による証拠によってサポートされている[3,19,13−21]。
【0066】
4. 本発明の検査法が動脈硬化による心疾患と卒中の予防・治療に広く用いられうるのは、血清のLDL濃度の検査および血漿のCRP濃度の測定という、現在この疾病の診断に主に用いられている二種類の方法が、この検査法において組み合わされているからである。
【0067】
5. 本発明の検査法は、MMA.exeという名前のコンピュータエグゼクティブプログラムとして作成されており、これは本検査法の実行にあたり多大な利便性を提供している。
【0068】
本発明の具体的原理・方法・技術は、上記明細書において詳細かつ正確に示され説明されているが、これらの原理・方法・技術は、この開示に恩恵を受けた技術により、その他の方式を用いて示すことが可能であり、別の検査測定法や代替のコンピュータエグゼクティブプログラムによって同等のものに到達することが可能である。従って、本発明は、上記の詳細かつ正確な説明のみならず、附加の権利要求によっても定義される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】 図1はMMA.exe入力画面の例である。ここには、mg/dLを単位とするLDL濃度パラメーター、mg/Lを単位とするCRP濃度パラメーター、mmHgを単位とする血液収縮期圧パラメーター、mmHgを単位とする血液拡張期圧パラメーター、s−1を単位とする心拍数パラメーター、℃を単位とする血漿の温度パラメーター、°を単位とする角度パラメーター、cmを単位とする動脈血管の半径パラメーター、LDL或いは単核白血球の拡散流の長さと呼ばれるcmを単位とする拡散流の軸方向パラメーター等の動脈硬化パラメーター、およびcm/sを単位とするLDLの拡散係数(D)、或いはcm/sを単位とするCRPの拡散係数(Dc)が表示されている。
【0070】
【図2】 図2はMMA.exe出力画面の例である。動脈硬化による冠状動脈性心疾患または卒中の診断・予防・治療を必要とする個人の疾病総危険度・疾病の第一位の原因・疾病の第一位の治療目標・疾病の第二位の治療目標及び治療有効性が表示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は動脈硬化による冠状動脈性心疾患と卒中の診断・予防・治療のための多元的危険要因の検査方法であり、以下の段階を含む。
動脈硬化による冠状動脈性心疾患と卒中を疾患と定義する。
当該疾患がない場合を正常と定義する。
以下のパラメーターを動脈硬化パラメーターを構成するものと定義する:
cとはmg/dLを単位とするLDL濃度パラメーター、或いはmg/Lを単位とするCRP濃度パラメーター、pとはmmHgを単位とする血液収縮期圧パラメーター、或いはmmHgを単位とする血液拡張期圧パラメーター、fとはs−1を単位とする心拍数パラメーター、aとはcmを単位とする動脈血管の半径パラメーター、Tとは℃を単位とする血漿の温度パラメーター、aとは°を単位とする動脈の角度パラメーター、zとはcmを単位とする拡散流の軸方向のパラメーターを言う。
ある個人は以下の表現式の動脈硬化パラメーターの測量値を有する。

或いは

及び

ここに於いてJは10−5g/(cms)で測定される質量転移流量である。A、B及びEは動脈硬化パラメーターとは関わらない変数である。νとuは上記pとaに関わる変数であり、Dはcm/sで測定される拡散係数である。gは重力加速度定数である。
動脈硬化パラメーターの正常値を決定する。
各動脈硬化パラメーターの測定値と正常値との差から得られる疾病危険度を確定する。
全ての危険度を合計して病気の総危険度を得る。
総危険度を含む疾病危険レベルを確定する。
疾病の総危険度に最も寄与している危険要因に関わる動脈硬化パラメーターを、第一の治療目標として選択する。
LDLの質量転移流量と単核白血球の質量転移流量のうち、大きい方を疾病の第一の原因として選択する。
血清のLDL濃度と血漿のCRP濃度のうち、大きい方を疾病の第二の治療目標として選択する。
最新の動脈硬化パラメーター測定値より得られた疾病総危険度と、過去の動脈硬化パラメーター測定値により得られた疾病総危険度との相対比率を計算し、これを疾病の治療有効性とする。
動脈硬化による心疾患や卒中の予防或いは治療が必要とされる患者の疾病危険レベルが正常のレベルに至るまで上記の方法を繰り返す。
上記の検査法は、その実行のためにMMA.exe(版権所有者ワン・シンファ、2004年)というコンピュータエグゼクティブプログラムとして作成されている。
【請求項2】
請求項1の検査法は、動脈硬化パラメーターの測定値と正常値との差を求めて疾病危険度を確定するものであり、それは以下のステップから成る:
mg/dLを単位とする個人の血清LDL濃度の測量値cを、血液成分濃度を測定する医療技術或いは医師によって確定する。
mg/dLを単位とするLDL濃度の正常値cは、当該疾患の専門医師団によって決定されるか、成人の正常値をc=100mg/dLとする。

方程式(1)によってLDL濃度パラメーターに由来する疾病危険度Rを計算する。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、血清LDL濃度の上昇・高脂肪飲食・高コレステロール、或いは血清LDL濃度を増加させるその他の危険要因である。
mg/dLを単位とする個人の血漿CRP濃度の測定値cを、血液成分濃度を測定する医療技術或いは医師によって確定する。
mg/Lを単位とするCRP濃度の正常値c及び等価係数Fは、当該疾患の専門医師団によっ

拡散係数、DはLDL拡散係数である。あるいはF=0.66とする。

方程式(2)によってCRP濃度パラメーターに由来する病気危険度Rを計算する。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、血漿CRP濃度の上昇・全身性炎症・病原体、或いは血漿CRPの濃度を増加させるその他の危険要因である。
mmHgを単位とする個人の血液収縮期圧の測量値pを、血液収縮期圧を測定する医療技術或いは医師によって確定する。
mmHgを単位とする血液収縮期圧の正常値pは、当該疾患の専門医師団によって決定されるか、成人の正常値をp=120mmHgとする。

方程式(3)によって血液収縮期圧パラメーターに由来する病気危険度Rを計算する。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、血液収縮期圧の上昇・高血圧の家族歴、或いは血液収縮期圧の上昇を起こすその他の危険要因である。
mmHgを単位とする個人の血液拡張期圧の測量値pを、血液拡張期圧を測定する医療技術或いは医師によって確定する。
mmHgを単位とする上記の血液拡張期圧の正常値pは、当該疾患の専門医師団によって決定されるか、成人の正常値をp=70mmHgとする。

方程式(4)によって血液拡張期圧パラメーターに由来する病気危険度Rを計算する。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、血液拡張期圧の上昇・高血圧の家族歴、或いは血液拡張期圧の上昇を起こすその他の危険要因である。
−1を単位とする個人の心拍数の測量値fを、心拍数を測定する医療技術或いは医師によって確定する。
−1を単位とする上記の心拍数の正常値fは、当該疾患の専門医師団によって決定されるか、成人の正常値をf=1.2s−1とする。

方程式(5)によって心拍数パラメーターに由来する病気危険度Rを計算する。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、心拍数の上昇・喫煙・うつ病、或いは心拍数を増加させるその他の危険要因である。
プラークを生じやすい部位,例えば,動脈分岐部・動脈分枝部・動脈彎曲部・動脈錐体部におけるcmを単位とする個人の動脈血管半径の測量値aを、動脈血管の半径を測定する医療技術或いは医師によって確定する。
cmを単位とする上記の動脈血管半径の正常値aは、当該疾患の専門医師団によって決定


方程式(6)によって動脈血管半径パラメーターに由来する病気危険度Rを計算する。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、動脈硬化プラークを形成しやすい部位における動脈血管半径の増大、或いは動脈硬化プラークを形成しやすい部位における動脈血管半径の増大を起こすその他の危険要因である。
プラークを生じやすい部位における℃を単位とする個人の血漿温度の測量値Tを、血漿温度を測定する医療技術或いは医師によって確定する。
℃を単位とする上記の血漿温度の正常値Tは、当該疾患の専門医師団によって決定されるか、成人の正常値をT=37℃とする。

方程式(7)によって血漿温度パラメーターに由来する病気危険度Rを計算する。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、プラークを形成しやすい部位における血漿温度の上昇・体温を上昇させる疾病、或いは血漿温度の上昇を起こすその他の危険要因である。
プラークを形成しやすい部位における°を単位とする個人の平均血流速度と重力との角度の測量値αを、動脈血管の幾何形状を測定する医療技術或いは医師によって確定する。 °を単位とする上記の角度の正常値αは、当該疾患の専門医師団によって決定されるか、

方程式(8)によって角度パラメーターに由来する病気危険度Rを計算する。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、上記角度の減少、或いは上記角度の減少を起こすその他の危険要因である。
プラークを形成しやすい部位におけるcmを単位とする動脈内壁に沿った拡散流量の軸方向の長さzを、動脈血管の幾何形状を測定する医療技術或いは医師によって確定する。
cmを単位とする上記の軸方向の長さの正常値zは、当該疾患の専門医師団によって決定


方程式(9)によって軸方向パラメーターに由来する病気危険度Rを計算する。このパラメーターに関わる動脈硬化の危険要因は、拡散流量の軸方向の長さの減少、或いは拡散流量の軸方向の長さの減少を起こすその他の危険要因である。
【請求項3】
請求項1の検査法には、請求項2のRからRまでをプラスして得られる当該疾病の総危険度が含まれ、それは以下からなる。
動脈硬化パラメーターの現在の測定値と正常値の差によって得られた最新の疾病総危険度、及び動脈硬化パラメーターの過去の測定値と正常値の差によって得られた過去の疾病総危険度。
【請求項4】
請求項1の検査法には、請求項3の疾病総危険度を含む疾病危険レベルの確定が含まれ、それは以下のステップからなる。
疾病危険レベルは、当該疾病の専門医師団によっていくつかのレベルに分けられる。或いはそれを以下の七つのレベルに分ける。

>4.70、第七危険レベル>5.80
そして七つの危険レベルからレベルを一つ選択する。ここには請求項3の疾病総危険度が含まれる。
【請求項5】
請求項1の検査法には、治療目標の第一位とするために、請求項3における疾病の総危険度に最も寄与している動脈硬化パラメーターに関わる危険要因を選択することが含まれる。
【請求項6】
請求項1の検査法には、疾病の原因の第一位とするために、LDL質量転移流量と単核白血球の質量転移流量の大きい方を選択することが含まれ、且つ以下のステップも含まれる。

選択する。
請求項2のR<請求項2のRである時、単核白血球の質量転移流量を疾病の原因の第一位として選択する。
【請求項7】
請求項1の検査法には、疾病の治療目標の第二位とするために、血清のLDL濃度と血漿のCRP濃度の大きい方を選択することが含まれ、且つ以下のステップも含まれる。

て選択する。
請求項2のR<請求項2のRである時、血漿のCRP濃度を疾病の治療目標の第二位として選択する。
【請求項8】
請求項1の検査法には、疾病の治療有効性を得るために、請求項3の最新の疾病総危険度と請求項3の過去の疾病総危険度の相対比率を決定することが含まれる。
【請求項9】
請求項1の検査法には、当該疾病の予防或いは治療を必要とする個人のために、請求項4の正常レベルに減ずるまで請求項2から請求項8までの検査法を繰り返すことが含まれる。
【請求項10】
請求項1の検査法には、請求項2から請求項8までの検査法が含まれ、それらはMMA.exeという名前のコンピュータエグゼクティブプログラムとして作成されている。これの実行は以下による。
個人の動脈硬化パラメーターの最新の測定値・過去の測定値及び正常値を、MMA.exeの入力画面にインプットし、「更新」及び「危険度計算」ボタンを押す。次に、動脈硬化による冠状動脈性心疾患と卒中の診断・予防・治療を必要とする個人の、当該疾病の総危険度・第一位の原因・第一位の治療目標・第二位の治療目標・治療の有効性を得るために、「数値を求める」ボタンを押す。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−528282(P2007−528282A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504937(P2007−504937)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/031669
【国際公開番号】WO2005/102329
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506293856)
【Fターム(参考)】