説明

冷凍システム

【課題】バイパス配管を流れる流量を低減できるようにして省エネ化を図ることができる冷凍システムを得る。
【解決手段】冷凍システムは、冷凍装置1a〜1dからの2次冷媒が流入すると共に負荷20の上流側に設けられた上流側ヘッダ7、負荷の下流側に設けられた下流側ヘッダ8、該下流側ヘッダの2次冷媒を各冷凍装置に供給する1次側ポンプ5a〜5d、上流側ヘッダの2次冷媒を負荷に供給する2次側ポンプ6a〜6d、上流側ヘッダと下流側ヘッダを接続するバイパス配管11を備えている。また、負荷上流側温度検出手段10で検出された温度が、冷凍装置の出口側温度検出手段4a〜4dで検出された温度よりも高い場合、1次側Aを流れる2次冷媒流量が増大するように制御され、入口側温度検出手段3a〜3dで検出された温度が所定温度よりも低い場合、1次側を流れる2次冷媒流量が減少するように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次側に並列に複数台設けられた冷凍装置により2次冷媒を冷却または加熱して2次側に設けられた負荷に供給する冷凍システムに関し、特に2次側の流量が負荷の増減に応じて可変する2次側変流量システムに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
1次側に並列に複数台設けられた冷凍装置により2次冷媒(例えば、水、ブライン或いは空気など)を冷却または加熱して2次側に設けられた負荷に供給する冷凍システム、特に2次側の流量が負荷の増減に応じて可変する2次側変流量システムとしては特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
上記特許文献1に記載の冷凍システムでは、1次側に並列に複数台設けられた冷凍装置からの2次冷媒が流入すると共に負荷の上流側に設けられた上流側ヘッダ、前記負荷の下流側に設けられ負荷からの前記2次冷媒を前記複数台の冷凍装置に分配するための下流側ヘッダと、この下流側ヘッダの前記2次冷媒を前記各冷凍装置に個々に供給するための1次側ポンプと、前記上流側ヘッダの前記2次冷媒を前記負荷に供給するための2次側ポンプと、前記上流側ヘッダと下流側ヘッダを接続するバイパス配管とを備えている。また、負荷側の2次冷媒の出入口温度差、負荷機器への流量、及び負荷熱量に基づいて冷凍装置の運転台数を決定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−294290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のものは、前記2次側ポンプは負荷を流れる2次冷媒の出入口温度差に応じて増減されるため、負荷増加時には2次側ポンプの流量が増加して必要な熱量を確保しようとする。このため、前記バイパス配管を流れる流量が増加するが、負荷からの戻り温度は直ちには上昇しないため、冷凍装置入口側水温の上昇は遅れる。従って、1次側の2次冷媒流量及び冷凍装置の容量はなかなか増加しない。このため、前記バイパス配管を流れる流量が多くなり、その分2次側ポンプの仕事量が増大し、システム全体の効率低下を引起すという課題があった。また負荷の減少時には2次側ポンプの流量が低下するため冷凍装置からの余った流量は前記バイパス配管を流れて再び1次側ポンプで圧送されるため、1次側ポンプは余分な動力を消費し、やはりシステム全体の効率低下を引起す。
【0006】
本発明の目的は、バイパス配管を流れる流量を低減できるようにして省エネ化を図ることができる冷凍システムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、1次側に並列に複数台設けられた冷凍装置からの2次冷媒が流入すると共に負荷の上流側に設けられた上流側ヘッダと、前記負荷の下流側に設けられ負荷からの前記2次冷媒を前記複数台の冷凍装置に分配するための下流側ヘッダと、この下流側ヘッダの前記2次冷媒を前記各冷凍装置に個々に供給するための1次側ポンプと、前記上流側ヘッダの前記2次冷媒を前記負荷に供給するための2次側ポンプと、前記上流側ヘッダと下流側ヘッダを接続するバイパス配管とを備えた冷凍システムにおいて、前記各冷凍装置を流れる前記2次冷媒の流量を検出するための流量検出手段と、前記各冷凍装置に流入する前記2次冷媒の温度を検出するための入口側温度検出手段と、前記各冷凍装置から流出した前記2次冷媒の温度を検出するための出口側温度検出手段と、前記上流側ヘッダと前記負荷との間の前記2次冷媒の温度を検出する負荷上流側温度検出手段と、前記負荷上流側温度検出手段で検出された温度が、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記出口側温度検出手段で検出された温度よりも高い場合、前記1次側を流れる前記2次冷媒全体の流量が増大するように制御し、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記入口側温度検出手段で検出された温度が所定温度よりも低い場合、前記1次側を流れる前記2次冷媒の流量全体の流量が減少するように制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の特徴は、1次側に並列に複数台設けられた冷凍装置からの2次冷媒が流入すると共に負荷の上流側に設けられた上流側ヘッダと、前記負荷の下流側に設けられ負荷からの2次冷媒を前記複数台の冷凍装置に分配するための下流側ヘッダと、この下流側ヘッダの2次冷媒を前記各冷凍装置に個々に供給するための1次側ポンプと、前記上流側ヘッダの2次冷媒を前記負荷に供給するための2次側ポンプと、前記上流側ヘッダと下流側ヘッダを接続するバイパス配管とを備えた冷凍システムにおいて、前記各冷凍装置を流れる2次冷媒の流量を検出するための流量検出手段と、前記各冷凍装置に流入する2次冷媒の温度を検出するための入口側温度検出手段と、前記各冷凍装置から流出した2次冷媒の温度を検出するための出口側温度検出手段と、前記上流側ヘッダと前記負荷との間の2次冷媒の温度を検出する負荷上流側温度検出手段と、前記負荷上流側温度検出手段で検出された温度と、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記出口側温度検出手段で検出された温度を比較すると共に、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記入口側温度検出手段で検出された温度と予め決められている所定温度または負荷出口側温度とを比較して、前記バイパス配管を流れる2次冷媒の流量が減少するように1次側を流れる前記2次冷媒の流量を制御する制御手段とを備えていることにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バイパス配管を流れる流量を低減できるので、冷凍システムの省エネ化を図ることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の冷凍システムの実施例1を示す系統図。
【図2】本発明の実施例1における制御フローを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明の実施形態の基本的な構成を説明する。
本実施形態では、1次側に並列に複数台設けられた冷凍装置からの2次冷媒が流入すると共に負荷の上流側に設けられた上流側ヘッダと、前記負荷の下流側に設けられ負荷からの前記2次冷媒を前記複数台の冷凍装置に分配するための下流側ヘッダと、この下流側ヘッダの前記2次冷媒を前記各冷凍装置に個々に供給するための1次側ポンプと、前記上流側ヘッダの前記2次冷媒を前記負荷に供給するための2次側ポンプと、前記上流側ヘッダと下流側ヘッダを接続するバイパス配管とを備えた2次側変流量システムの構成とされている。
【0012】
前記冷凍装置は、連続的に運転容量の変化が可能な圧縮機を備え、前記圧縮機から吐出される冷媒(1次冷媒)により2次冷媒(水など)を冷却または加熱する熱交換器を有している。前記熱交換器の入口側には2次冷媒の入口温度を検知する入口側温度検出手段(入口温度検知用サーミスタ)が設けられ、また出口側には出口温度を検知する出口側温度検出手段(出口温度検知用サーミスタ)が設けられている。また、各冷凍装置に前記2次冷媒を供給するための1次側ポンプが各冷凍装置毎に備えられており、この1次側ポンプは連続的に流量の変化が可能な構成となっている。
【0013】
前記上流側ヘッダでは、前記複数台の冷凍装置から流入する2次冷媒と前記バイパス配管から流入する2次冷媒が合流し、その後前記2次側ポンプを介して前記負荷に供給されるが、この上流側ヘッダには合流後の2次冷媒の温度を検知するための負荷上流側温度検出手段(合流後温度検知用サーミスタ)が設けられている。更に、前記複数台の冷凍装置のそれぞれを流れる2次冷媒の流量(一次側流量)を検出する流量検出手段も有している。
【0014】
前記冷凍装置の圧縮機は、前記熱交換器の出口温度が一定となるように容量制御が行なわれる。また、前記負荷上流側温度検出手段で検出された温度と、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記出口側温度検出手段で検出された温度を比較すると共に、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記入口側温度検出手段で検出された温度と予め決められている所定温度とを比較して、前記バイパス配管を流れる2次冷媒の流量が減少するように1次側を流れる前記2次冷媒の流量を制御する制御手段(コントローラ)を備えている。
【0015】
例えば、負荷を冷却する運転の場合、前記制御手段は、前記負荷上流側温度検出手段で検出された温度が、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記出口側温度検出手段で検出された温度よりも高い場合、前記1次側を流れる前記2次冷媒全体の流量が増大するように制御し、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記入口側温度検出手段で検出された温度が所定温度よりも低い場合、前記1次側を流れる前記2次冷媒全体の流量が減少するように制御する。
【0016】
また、前記負荷を加熱する運転の場合、前記制御手段は、前記負荷を冷却する場合とは逆の動作となる。即ち、前記負荷上流側温度検出手段で検出された温度が、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記出口側温度検出手段で検出された温度よりも低い場合には前記バイパス管を通じて下流側ヘッダから上流側ヘッダへの流れが生じているから、前記1次側を流れる前記2次冷媒全体の流量が増大するように制御し、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記入口側温度検出手段で検出された温度が所定温度よりも高い場合には前記バイパス管を通じて上流側ヘッダから下流側ヘッダへの流れが生じているから、前記1次側を流れる前記2次冷媒全体の流量が減少するように制御する。
【0017】
以上のように制御することにより、前記バイパス配管を流れる2次冷媒流量を低減することができるから、前記1次側ポンプや2次側ポンプの動力を低減することができ。冷凍システムの省エネ化を図ることができる。
以下、本発明の具体的実施例を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の実施例1を示す冷凍システムの系統図である。この実施例では、前記2次冷媒が水であり、この水を冷凍装置で冷却して負荷に供給する水冷却設備としての冷凍システムとして説明する。
【0019】
図1において、Aは1次側、Bは2次側である。1次側Aには複数台(この例では4台)の冷凍装置1a〜1dが並列に設けられ、それぞれの冷凍装置には連続的に回転数を制御して2次冷媒を圧送する1次側ポンプ5a〜5dも設けられ、この1次側ポンプ5a〜5dの回転数を変化させることで前記各冷凍装置1a〜1dを流れる2次冷媒の流量を制御する。
【0020】
前記2次側Bには前記2次冷媒で冷却される負荷20と、該負荷20の上流側に設けられた上流側ヘッダ7及び前記負荷20の下流側に設けられた下流側ヘッダ8が設けられ、上流側ヘッダ7からの2次冷媒は複数台の2次側ポンプ6a〜6dにより圧送され、中間ヘッダ9を介して前記負荷20に供給されて負荷20を冷却する。負荷20を冷却後の2次冷媒は前記下流側ヘッダ8に送られる。2次側Bを流れる2次冷媒の流量は、前記複数台の2次側ポンプ6a〜6dの台数制御か、或いは少なくとも1台の2次側ポンプを回転数制御することにより制御される。13は負荷20への2次冷媒の入口温度を検出する負荷入口温度検出器(サーミスタ)、14は負荷20から出た2次冷媒の出口温度を検出する負荷出口温度検出器(サーミスタ)であり、これら温度検出器13,14で検出された2次冷媒の温度差に応じて前記2次側ポンプ6a〜6dが制御され、前記温度差が設定値(所定の温度差)より大きければ負荷20に供給される2次冷媒の流量を増加させ、前記温度差が設定値より小さければ負荷20に供給される2次冷媒の流量を減少させるようにして、前記温度差が設定値に近づくように制御される。
【0021】
なお、15は流量制御弁、16は中間ヘッダ9の圧力が上昇した際に圧力を下流側ヘッダ7に逃すための逃し弁である。この2次側Bの2次側ポンプ6a〜6dや流量制御弁15などの制御は2次側に設けられた2次側コントローラ(図示せず)により制御される。
【0022】
前記下流側ヘッダ8の2次冷媒は前記1次側ポンプ5a〜5dを介して冷凍装置1a〜1dに圧送される。前記各冷凍装置1a〜1dには、1次冷媒を圧縮するための圧縮機(図示せず)が備えられ、この圧縮機は連続的に運転容量を制御可能な構成となっている。また、1次冷媒と前記2次冷媒を熱交換させるための熱交換器2a〜2d、前記熱交換器への2次冷媒の入口側温度を検出する入口側温度検出手段(入口温度検知用サーミスタ)3a〜3d、前記熱交換器の出口側温度を検出する出口側温度検出手段(出口温度検知用サーミスタ)4a〜4dが備えられている。冷凍装置1a〜1dは前記出口側温度検出手段4a〜4dで検出された温度が所定の一定温度になるように前記圧縮機の容量(例えば回転数)が制御される。前記各冷凍装置1a〜1dに流れる2次冷媒の流量を検出するために、本実施例では、前記1次側ポンプ5a〜5dの回転数に基づいて流量を算出する流量検出手段を備えている。なお、この流量検出手段としては各冷凍装置に流出入する配管を流れる2次冷媒の量を直接流量計で測定するように構成しても良い。
【0023】
11は前記上流側ヘッダ7と下流側ヘッダ8とを接続するバイパス配管で、前記2次側Bを流れる2次冷媒の流量が1次側Aを流れる2次冷媒の流量よりも多いときには、前記バイパス配管11を介して、2次冷媒の一部が下流側ヘッダ8から上流側ヘッダ7側へ流れ、逆に1次側Aを流れる2次冷媒の流量が前記2次側Bを流れる2次冷媒の流量よりも多いときには、上流側ヘッダ7の2次冷媒の一部がバイパス配管11を介して下流側ヘッダ8に流れる。10は前記上流側ヘッダ7における2次冷媒の温度を検出する負荷上流側温度検出手段(合流部温度検知用サーミスタ)で、この負荷上流側温度検出手段10では、各冷凍装置1a〜1dから流入する2次冷媒と前記バイパス配管11を介して流入する2次冷媒が合流して混合された温度を検出するものである。この負荷上流側温度検出手段10で検出される値は、前記負荷入口温度検出器13で検出される温度と略同一となるから、負荷入口温度検出器13で代用することも可能である。前記負荷上流側温度検出手段10で検出される温度は、バイパス配管11から上流側ヘッダ8に流入する2次冷媒がない場合、前記複数台の冷凍装置1a〜1dのうちの動作中の冷凍装置における前記出口側温度検出手段4a〜4dで検出された温度の平均値と同じになる。即ち、本実施例では、動作中の冷凍装置の1次側ポンプ5a〜5dの流量は同じになるように制御されるので、動作中の冷凍装置の前記出口側温度検出手段4a〜4dで検出された温度の平均値は、動作中の前記冷凍装置から流出した2次冷媒を混合した温度と等しくなる。
【0024】
バイパス配管11から上流側ヘッダ7に流入する2次冷媒がある場合には、前記負荷上流側温度検出手段10で検出される温度は、前記複数台の冷凍装置1a〜1dのうちの動作中の冷凍装置における前記出口側温度検出手段4a〜4dで検出された温度の平均値よりも高くなる。その理由は、冷凍装置で冷却されずに、下流側ヘッダ8からバイパス配管11を介して温度の高い2次冷媒が、上流側ヘッダ7で混合されるためである。
【0025】
一方、前記上流側ヘッダ7から下流側ヘッダ8へバイパス配管11を介して流入する2次冷媒がない場合、冷凍装置1a〜1dの入口側温度検出手段3a〜3dで検出された温度は前記負荷出口温度検出器14で検出された温度と略等しくなる。負荷出口側の温度は所定温度(設定温度)になるように制御されるから、入口側温度検出手段3a〜3dで検出された温度は前記所定温度(設定温度)とも略等しくなる。
【0026】
バイパス配管11から下流側ヘッダ8に流入する2次冷媒がある場合には、前記入口側温度検出手段3a〜3dで検出された温度は前記負荷出口温度検出器14で検出された温度或いは前記所定温度(設定温度)よりも低くなる。その理由は、冷凍装置で冷却された温度の低い2次冷媒の一部が、上流側ヘッダ7からバイパス配管11を介して下流側ヘッダ8に流入し、負荷20により昇温されている2次冷媒と混合されるためである。
【0027】
従って、前記負荷上流側温度検出手段10で検出された温度と、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記出口側温度検出手段4a〜4dで検出された温度を比較すると共に、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記入口側温度検出手段3a〜3dで検出された温度と予め決められている所定温度(或いは前記負荷出口温度検出器14で検出された温度)とを比較すれば、前記バイパス配管11を2次冷媒が流れているかどうか、またどちらの方向に流れているかを知ることができる。本実施例では、バイパス配管11を流れる2次冷媒の流量が減少または無くするように1次側を流れる前記2次冷媒の流量を制御するコントローラ12(制御手段)を備えている。
【0028】
次に、上記コントローラ12による制御の例を図2に示すフローチャートで説明する。 図1に示すコントローラ12は、負荷上流側温度検出手段10、冷凍装置1a〜1dの出口側温度検出手段4a〜4d、入口側温度検出手段3a〜3d、流量検出手段からの検出値に基づいて、1次側Aに設けられた冷凍装置1a〜1d及び1次側ポンプ5a〜5dを制御するものである。なお、2次側Bに設けられている2次側ポンプ6a〜6dや流量制御弁15などは、前述したように、2次側コントローラ(図示せず)で制御される。
【0029】
図2において、ステップ101では、最初に起動される冷凍装置が設定され、また冷凍装置への入口温度Ta及び出口温度Tbが設定され、更に1次側ポンプ5a〜5dの最大流量Umaxと最小流量Uminも設定される。
【0030】
次に、ステップ102では、コントローラ12は、冷凍装置1a〜1dの入口側温度検出手段3a〜3dから各冷凍装置への入口水温Ti〜Tiを検知する。また、出口側温度検出手段4a〜4dから各冷凍装置からの出口水温To〜Toを検知する。更に、負荷上流側温度検出手段10から上流側ヘッダ内の2次冷媒水温(合流部水温)Tjを検知する。また、1次側ポンプ5a〜5dの回転数から各冷凍装置1a〜1dを流れている2次冷媒の流量Uを算出して検知する。
【0031】
ステップ103では、コントローラ12は、動作中の冷凍装置における出口水温To〜Toの平均温度Toを算出し、この平均温度Toと上流側ヘッダ内の2次冷媒水温Tjとを比較する。「Tj>To」の条件を満足すれば、ステップ104に移り、現在の1次側を流れている2次冷媒の前記流量Uと、動作中の1次側ポンプ5a〜5dの最大流量Umaxとを比較する。
【0032】
「U=Umax」の条件を満足すれば、駆動する冷凍装置の運転台数を増段することで1次側を流れる2次冷媒全体の流量を増加させる(ステップ105)。「U=Umax」の条件を満足していない場合は、動作中の1次側ポンプ5a〜5dの流量を増量させるように制御する(ステップ106)。
【0033】
前記ステップ103で、「Tj>To」の条件を満足しない場合、ステップ107に移り、ステップ101で設定されている入口温度(設定温度)Taと、動作中の冷凍装置への前記入口水温Ti(Ti〜Tiの平均値でも良いし、Ti〜Tiの何れかの入口水温でも良い)とを比較し、「Ta>Ti」の条件を満足すれば、動作中の冷凍装置を流れている2次冷媒の流量Uと、動作中の1次側ポンプ5a〜5dの最小流量Uminとを比較する(ステップ108)。「U=Umin」の条件を満足すれば、運転台数を減段することで1次側全体を流れる2次冷媒の流量を減少させる(ステップ109)。「U=Umin」の条件を満足しない場合、動作中の1次側ポンプ5a〜5dの流量を減少させるように制御する(ステップ110)。
【0034】
なお、前記ステップ107において、「Ta>Ti」の条件を満足しない場合は、前記バイパス配管11を2次冷媒が流れていないか微小量であるから、1次側ポンプ5a〜5dの流量はそのまま維持する(ステップ111)。
【0035】
次に、ステップ112に移り、効果待ち時間を経過した後に、再び前記ステップ102に移り、前回と同様に、入口水温Ti1〜Ti4、出口水温To〜To、上流側ヘッダ内の2次冷媒水温Tj、各冷凍装置1a〜1dを流れている2次冷媒の流量Uを検知し、以下、上記と同様の動作を繰り返す。
【0036】
なお、図1では、上記コントローラ(制御手段)12が冷凍装置1a〜1dの外部に設置されている例で説明したが、冷凍装置1a〜1dにはそれぞれの冷凍装置を制御するための制御基板が備えられているので、冷凍装置1a〜1dのうちの何れかの冷凍装置の制御基板に対し、図1に示すコントローラ12と同様の制御機能を組み込むようにすれば、図1に示す外付けのコントローラ12は不要となり、冷凍装置に備えられている制御基板に前記制御手段としての機能を組み込ませることができるから安価に製造できる。
【0037】
本実施例によれば、負荷上流側温度検出手段10、冷凍装置1a〜1dの出口側温度検出手段4a〜4d、入口側温度検出手段3a〜3d、及び流量検出手段からの検出値に基づいて、1次側Aに設けられた冷凍装置1a〜1d及び1次側ポンプ5a〜5dを図2に示したような制御フローで制御するので、2次側B(負荷側)での2次冷媒の流量の変動に対して、すばやく1次側Aにおける2次冷媒の流量も調節することが可能となるから、バイパス配管11を流れる2次冷媒の流量を短時間で無くすることができる。従って、1次側ポンプ5a〜5dや2次側ポンプ6a〜6dが余分な動力を消費しないので、省エネ化を図れる冷凍システムを実現できる。
【0038】
なお、冷凍装置における圧縮機の容量制御は、段階的に容量制御するものでも良いが、圧縮機を段階的に容量制御するものである場合、冷凍装置では、出口温度を一定に保つ必要があるため、1次側ポンプの流量も一定幅でしか制御できない。このため、1次側ポンプと2次側ポンプの流量を等しくすることが困難で、バイパス配管11を流れる流量を無くすることはできず、ポンプが余分な動力を消費して搬送動力に無駄が発生する。
【0039】
上記実施例では、圧縮機は連続的に容量制御されるものであるため、1次側ポンプと2次側ポンプの流量を等しくすることができる。このため、圧縮機を段階的に容量制御する場合に比べて、2次側ポンプの搬送動力の無駄をより低減できる。
【0040】
また、上記実施例を用いることにより、冷凍システムの1次側Aの機器を制御するコントローラ(制御手段)12は、2次側Bの機器を制御する2次側コントローラとは独立した制御とすることができるので、冷凍システムの冷凍装置1a〜1dだけを新しい冷凍装置と交換する場合でも、交換前の冷凍装置と同一のものである必要はなく、適宜好みの冷凍装置に交換することができ、省エネ性の高い最適な冷凍装置を選択できるという効果もある。
【0041】
なお、上述した実施例では、1次側ポンプ5a〜5dの流量は、それぞれ等しく増減されるように制御される例で説明したが、1次側ポンプ5a〜5dの流量が各々異なって増減する場合であっても、各冷凍装置を流れる流量とその出口側温度を考慮すれば、複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における出口側温度の平均値(複数台の冷凍装置から出た2次冷媒を混合した温度)を求めることは可能である。従って、1次側ポンプ5a〜5dの流量が異なる冷凍システムにも本発明は適用できる。
【0042】
また、上記実施例では、2次冷媒が水で、この水を冷凍装置で冷却して負荷に供給する冷凍システムとして説明したが、2次冷媒は水の他に、ブラインや空気なども使用可能である。
【0043】
更に、本発明は負荷を冷却する場合だけでなく、負荷を加熱する冷凍システムとしても、前述した通り、同様に適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1a〜1d…冷凍装置
2a〜2d…熱交換器
3a〜3d…入口側温度検出手段(入口温度検知用サーミスタ)
4a〜4d…出口側温度検出手段(出口温度検知用サーミスタ)
5a〜5d…1次側ポンプ
6a〜6d…2次側ポンプ
7…上流側ヘッダ、8…下流側ヘッダ、9…中間ヘッダ
10…負荷上流側温度検出手段(合流部温度検知用サーミスタ)
11…バイパス管
12…コントローラ(制御手段)
13…負荷入口温度検出器
14…負荷出口温度検出器
15…流量制御弁
16…逃し弁
20…負荷。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側に並列に複数台設けられた冷凍装置からの2次冷媒が流入すると共に負荷の上流側に設けられた上流側ヘッダと、前記負荷の下流側に設けられ負荷からの前記2次冷媒を前記複数台の冷凍装置に分配するための下流側ヘッダと、この下流側ヘッダの前記2次冷媒を前記各冷凍装置に個々に供給するための1次側ポンプと、前記上流側ヘッダの前記2次冷媒を前記負荷に供給するための2次側ポンプと、前記上流側ヘッダと下流側ヘッダを接続するバイパス配管とを備えた冷凍システムにおいて、
前記各冷凍装置を流れる前記2次冷媒の流量を検出するための流量検出手段と、
前記各冷凍装置に流入する前記2次冷媒の温度を検出するための入口側温度検出手段と、
前記各冷凍装置から流出した前記2次冷媒の温度を検出するための出口側温度検出手段と、
前記上流側ヘッダと前記負荷との間の前記2次冷媒の温度を検出する負荷上流側温度検出手段と、
前記負荷上流側温度検出手段で検出された温度が、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記出口側温度検出手段で検出された温度よりも高い場合、前記1次側を流れる前記2次冷媒全体の流量が増大するように制御し、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記入口側温度検出手段で検出された温度が所定温度よりも低い場合、前記1次側を流れる前記2次冷媒の流量全体の流量が減少するように制御する制御手段と
を備えていることを特徴とする冷凍システム。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍システムにおいて、前記制御手段は、前記負荷上流側温度検出手段で検出された温度が、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記出口側温度検出手段で検出された温度の平均値よりも高い場合で、動作中の冷凍装置における流量がその最大流量よりも少ない状態であれば、流量を増大させ、動作中の冷凍装置における流量が最大流量の状態であれば、停止中の冷凍装置を動作させるように制御することを特徴とする冷凍システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の冷凍システムにおいて、前記制御手段は、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記入口側温度検出手段で検出された温度が所定温度よりも低い場合で、動作中の冷凍装置における流量がその最小流量よりも多い状態であれば、流量を減少させ、動作中の冷凍装置における流量が最小流量の状態であれば、動作中の冷凍装置を停止させるように制御することを特徴とする冷凍システム。
【請求項4】
1次側に並列に複数台設けられた冷凍装置からの2次冷媒が流入すると共に負荷の上流側に設けられた上流側ヘッダと、前記負荷の下流側に設けられ負荷からの2次冷媒を前記複数台の冷凍装置に分配するための下流側ヘッダと、この下流側ヘッダの2次冷媒を前記各冷凍装置に個々に供給するための1次側ポンプと、前記上流側ヘッダの2次冷媒を前記負荷に供給するための2次側ポンプと、前記上流側ヘッダと下流側ヘッダを接続するバイパス配管とを備えた冷凍システムにおいて、
前記各冷凍装置を流れる2次冷媒の流量を検出するための流量検出手段と、
前記各冷凍装置に流入する2次冷媒の温度を検出するための入口側温度検出手段と、
前記各冷凍装置から流出した2次冷媒の温度を検出するための出口側温度検出手段と、
前記上流側ヘッダと前記負荷との間の2次冷媒の温度を検出する負荷上流側温度検出手段と、
前記負荷上流側温度検出手段で検出された温度と、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記出口側温度検出手段で検出された温度を比較すると共に、前記複数台の冷凍装置のうちの動作中の冷凍装置における前記入口側温度検出手段で検出された温度と予め決められている所定温度または負荷出口側温度とを比較して、前記バイパス配管を流れる2次冷媒の流量が減少するように1次側を流れる前記2次冷媒の流量を制御する制御手段と
を備えていることを特徴とする冷凍システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の冷凍システムにおいて、前記負荷に流入する前記2次冷媒の温度と、前記負荷から流出する前記2次冷媒の温度との温度差に応じて前記2次側ポンプの流量が制御されることを特徴とする冷凍システム。
【請求項6】
請求項5に記載の冷凍システムにおいて、前記2次側ポンプは複数台のポンプで構成され、前記負荷に流入する前記2次冷媒の温度と、前記負荷から流出する前記2次冷媒の温度との温度差が所定の温度差になるように前記2次側ポンプ全体の流量が制御されることを特徴とする冷凍システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の冷凍システムにおいて、前記2次側ポンプは連続的に回転数が制御されるポンプを有することを特徴とする冷凍システム。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の冷凍システムにおいて、前記冷凍装置は、連続的に運転容量の変化が可能な圧縮機を備え、該冷凍装置の出口側温度が所定の温度になるように前記圧縮機容量が制御されることを特徴とする冷凍システム。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の冷凍システムにおいて、前記1次側ポンプは連続的に回転数が制御されるポンプであり、該1次側ポンプの回転数を変化させることで前記各冷凍装置を流れる流量を制御することを特徴とする冷凍システム。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかに記載の冷凍システムにおいて、前記負荷上流側温度検出手段は前記上流側ヘッダにおける2次冷媒の温度を検出するものであることを特徴とする冷凍システム。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかに記載の冷凍システムにおいて、前記各冷凍装置を流れる2次冷媒の流量を検出するための流量検出手段は、各冷凍装置に2次冷媒を供給する前記1次側ポンプの回転数に基づいて流量を算出するものであることを特徴とする冷凍システム。
【請求項12】
請求項1〜11の何れかに記載の冷凍システムにおいて、前記制御手段は、各冷凍装置に備えられて各冷凍装置を制御するための制御基板の中に組み込まれていることを特徴とする冷凍システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−231955(P2011−231955A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100883(P2010−100883)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】