説明

冷却および電力を供給する方法およびシステム

【課題】冷却および電力を供給するシステム(200)を提供すること。
【解決手段】本システムは、第1の軸(252)によって発電機(250)に回転可能に結合される第1のタービン(248)を具備する冷却ユニット(226)を含むタービンアセンブリ(204)を備える。電力アセンブリは、第2の軸(236)によって圧縮機に回転可能に結合される第2のタービン(234)を具備する電力ユニット(228)をさらに含み、電力ユニットは、第1の軸および第2の軸が相互に対して独立して回転可能であるように冷却ユニットに流れ連通状態で結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、一般に冷却および電力を供給する方法およびシステムに関し、より詳細には航空機用の統合型冷却および電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの知られた航空機冷却および電力システムは、冷却または電力を航空機に供給する数多くの独立したサブシステムを駆動するために、航空機の推進機関からの抽気を必要とする。しかし、抽気を使用すると、機関燃料消費および負荷の増大によって機関効率が低下する。加えて、多数の独立したサブシステムを使用することによって航空機に重量および体積が加わり、これも燃料消費の増大をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、推進機関からの抽気を多用することなく、冷却および電力の両方を航空機に供給する統合型システムが、機関効率を高めかつ燃料消費を減らすために有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、冷却および電力を供給する方法が提供される。本方法は、第1の軸によって発電機に回転可能に結合される第1のタービンを具備する冷却ユニットを提供するステップと、第2の軸によって圧縮機に回転可能に結合される第2のタービンを具備する電力ユニットを提供するステップとを含む。本方法は、タービンアセンブリを形成するために電力ユニットを冷却ユニットに流れ連通状態で結合するステップをさらに含み、第1の軸および第2の軸は、相互に対して独立して回転可能である。
【0005】
別の態様では、冷却および電力を供給するシステムが提供される。本システムは、第1の軸によって発電機に回転可能に結合される第1のタービンを具備する冷却ユニットを備えるタービンアセンブリを含む。本システムは、第2の軸によって圧縮機に回転可能に結合される第2のタービンを具備する電力ユニットをさらに備える。電力ユニットは、第1の軸および第2の軸が相互に対して独立して回転可能であるように冷却ユニットに流れ連通状態で結合される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ガスタービン機関の模式図である。
【図2】図1に示したガスタービン機関に使用するための冷却および電力システムの模式的な流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明は、限定によってではなく、例を挙げることによって典型的な冷却および電力システムを例示するものである。本明細書は、当業者が本開示を製作しかつ使用することを可能にし、本明細書は、本開示を実施する最良の様式であると現時点で思われているものを含めて、本開示の幾つかの実施形態、改造、変更、別法、および利用を説明するものである。本開示は、本明細書では、好ましい実施形態、すなわち、航空機上で使用するための冷却および電力システムに応用されるものとして説明される。しかし、本開示は一般に、広範なシステムでかつ多様な産業および/または一般消費者向け用途における冷却および電力の供給に応用されることが企図されている。「空気」という言葉は、本明細書で使用されるように、任意のガスまたはガスの組合せを指し、一般に「空気」と呼ばれる地球の大気ガスの組合せに限定されるものではない。
【0008】
図1は、航空機の推進に使用される典型的なコアエンジン100(すなわち、ガスタービン機関)の模式図を示す。コアエンジンは、ファンアセンブリ102、高圧圧縮機104、および燃焼器106を具備する。またコアエンジン100は、高圧タービン108および低圧タービン110を具備する。動作に際して、空気の流れがファンアセンブリ102を通過して、圧縮空気がファンアセンブリ102から高圧圧縮機104に供給される。この高度に圧縮された空気は、燃焼器106に送出される。燃焼器106からの空気流が、タービン108および110を駆動し、排気システム118を通り抜けてコアエンジン100から流出する。典型的な実施形態では、コアエンジン100(例えば、高圧圧縮機104)が、下で説明されるように、統合型冷却および電力システム200(図2に示す)に流れ連通状態で結合される。
【0009】
図2は、冷却および電力システム200の模式的な流れ図である。システム200は、始動器アセンブリ202、タービンアセンブリ204、冷却アセンブリ206、および電気アセンブリ208を具備する。始動器アセンブリ202は、コアエンジン100とタービンアセンブリ204との間に、第1の供給弁210を横切って流れ連通状態で結合され、かつ/または圧縮空気源212とタービンアセンブリ204との間に、第2の供給弁214を横切って流れ連通状態で結合される。典型的な実施形態では、圧縮空気源212が空圧容器(例えば、可搬式カート上に搭載された空気タンク)である。別法として、圧縮空気源212は、システム200が本明細書の説明のように機能することを可能にする任意適切な圧縮空気源でよい。典型的な実施形態では、第1の供給弁210および第2の供給弁214は、圧縮空気がコアエンジン100および/または圧縮空気源212からそれぞれ始動器アセンブリ202に向かう流れを許容することを容易にする「入/切」弁(すなわち、玉弁)である。
【0010】
典型的な実施形態では、始動器アセンブリ202が圧力制御装置216、方向性流量弁218、燃焼器220、および質量流制御装置222を具備するが、これらはコアエンジン100および/または圧縮空気源212からタービンアセンブリ204に至る流路に沿って相互に流れ連通状態で順次に結合されている。一実施形態では、圧力制御装置216が、圧縮空気流の圧力調整を容易にする空圧弁である。一実施形態では、方向性流量弁218が、一方向(すなわち、第1の供給弁210および/または第2の供給弁214からタービンアセンブリ204に至る方向)のみに空気の流れを許容することを容易にする逆止め弁である。一実施形態では、燃焼器220が燃料噴射器(図示せず)および燃焼室(図示せず)を具備するが、これらは、高温の燃焼ガスの流れをタービンアセンブリ204にもたらすために、燃料(すなわち、プロパン、自然ガス等)をコアエンジン100および/または圧縮空気源212からの圧縮空気流と混合しかつこの混合気を点火することを容易にする。一実施形態では、質量流制御装置222が、燃焼器220および/または圧力制御装置216からタービンアセンブリ204に向かう燃料流の量の調整を容易にする可変面積流量ノズルを具備する。別法として、圧力制御装置216、方向性流量弁218、燃焼器220、および/または質量流制御装置222は、始動器アセンブリ202が本明細書の説明のように機能することを可能にする任意適切な装置でよい。
【0011】
典型的な実施形態では、タービンアセンブリ204が冷却ユニット226および電力ユニット228を具備するが、これらは筐体230の内部に搭載される。電力ユニット228は、第1の軸236によって電力タービン234に回転可能に結合された圧縮機232(すなわち、ターボ圧縮機)を具備する。電力タービン234は、燃焼器220に流れ連通状態で結合された入口238と、環境に流れ連通状態で結合された出口240とを具備する。圧縮機232は、冷却アセンブリ206にかつ/または第1の入口弁244を横切って環境に流れ連通状態で結合された入口242と、冷却アセンブリ206に流れ連通状態で結合された出口246とを具備する。冷却ユニット226は、第2の軸252によって発電機250(例えば、永久磁石発電機)(すなわち、ターボ発電機)に回転可能に結合された冷却タービン248を具備する。冷却タービン248は入口254および出口256を具備するが、これらは冷却アセンブリ206に流れ連通状態で結合される。
【0012】
典型的な実施形態では、第1の軸236および/または第2の軸252が、磁気軸受258によって回転可能に支持され、相互に軸方向へ一線に揃って、かつ/または、電力ユニット228の動作効率と冷却ユニット226の動作効率とを同時に容易に最適化するために、電力ユニット228が第1の速度で回転可能であり、他方では冷却ユニット226が第1の速度とは異なる第2の速度で動作するように、相互に対して独立して回転可能である。別の実施形態では、第1の軸236および第2の軸252が、相互に対して任意の方向へ配向されてよく、かつ/または同じ速度で動作してよい。
【0013】
典型的な実施形態では、冷却アセンブリ206が、タービンアセンブリ204(すなわち、圧縮機232)に、圧縮機232から放出された空気流の圧力を制御する可変圧力調整弁262(VPRV)を横切って流れ連通状態で結合された第1の熱交換機260を具備する。第1の熱交換機260は、VPRV262からの圧縮空気流の温度を低下させかつその圧力を維持する予冷用熱交換機である。一実施形態では、第1の熱交換機260が、VPRV262から放出された圧縮空気流の温度を低下させるために環境から抽出した空気を活用するラムダクト熱交換機(すなわち、「空気対空気」熱交換機)である。別の実施形態では、第1の熱交換機260が、VPRV262から放出された圧縮空気流の温度を低下させるためにコアエンジン100(図1に示す)内部の高圧圧縮機104から抽出した環境空気を活用するファンダクト熱交換機(すなわち、「空気対空気」熱交換機)である。一実施形態では、VPRV262が、圧縮空気流をVPRV262から再び燃焼器220に通すように再誘導する第1の迂回弁264を横切って燃焼器220に結合される。
【0014】
典型的な実施形態では、冷却アセンブリ206が、第1の熱交換機260に第2の迂回弁268を横切って流れ連通状態で結合された第2の熱交換機266も具備する。第2の熱交換機266は、第1の熱交換機260からの圧縮空気流の温度を低下させかつその圧力を維持する予冷用熱交換機である。一実施形態では、第2の熱交換機266が、第1の熱交換機260からの圧縮空気流の温度を低下させるために、第2の入口弁272を横切る、空気入力装置270からの環境空気流を活用し、かつ/または第3の迂回弁276を横切る、第3の熱交換機274からの冷却空気流を活用する復熱式熱交換機(すなわち、「空気対空気」熱交換機)である。別の実施形態では、第2の熱交換機266が、圧縮空気流をVPRV262から第2の熱交換機266に直接誘導するために、VPRV262に第4の迂回弁278を横切って流れ連通状態で結合される。別法の実施形態では、VPRV262が、冷却タービン248に流入する圧縮空気の温度を上昇させるために(すなわち、第3の熱交換機274の凍結防止を容易にするために)、一定量の圧縮空気が第1の熱交換機260および第2の熱交換機266を迂回することを選択的に許容するように、冷却ユニット226に第5の迂回弁280および混合弁282を横切って直接結合される。
【0015】
典型的な実施形態では、第3の熱交換機274が、タービンアセンブリ204(すなわち、冷却タービン出口256)と第2の熱交換機266の間に第3の迂回弁276を横切って、かつ/またはタービンアセンブリ204と環境との間に第1の放出弁284を横切って流れ連通状態で結合される。第3の熱交換機274は、冷却回路286を通過し、少なくとも一部が第3の熱交換機274を通過する液体の温度を低下させるために、冷却タービン248からの空気流を使用する「液体対空気」熱交換機(例えば、ポリアルファオレフィン(POA)熱交換機)である。別法として、冷却回路286を通り抜けてガスが流れてよく、したがって第3の熱交換機274は「空気対空気」熱交換機でよい。一実施形態では、冷却回路286の一部が、熱エネルギーを電気アセンブリ208から液体に容易に移転するために電気アセンブリ208の近傍に位置決めされる。別の実施形態では、冷却回路286が、液体を冷却回路286に通して(すなわち、第3の熱交換機274に通して)循環させる際に使用するためのポンプ288および貯槽290を具備する。
【0016】
典型的な実施形態では、電気アセンブリ208が、発電機250に配線292を介して電気的に結合される。一実施形態では、電気アセンブリ208が、システム制御装置294、電力調整装置296、少なくとも1つの航空電子装置298(例えば、レーダ)、電力変換器300、および抵抗加熱器302を具備する。電力調整装置296は、発電機250によって電力の供給を受けるべき構成要素の所定の電気的要件を満たすために発電機250の出力を調整する電気装置であり、電力変換器300は、一定量の電力を発電機250から航空機母線304に分流する電気装置である。一実施形態では、電力調整装置296および/または電力変換器300が、発電機250からの交流(AC)出力を直流(DC)に変換する装置を具備してよい。一実施形態では、電力調整装置296および/または電力変換器300が、発電機250からの3相AC電力を、例えば、400ヘルツで実効値115ボルトにある米軍規格704D/E調整済み電力に変換する。
【0017】
典型的な実施形態では、抵抗加熱器302が、第2の熱交換機266からタービンアセンブリ204(すなわち、冷却タービン入口254)に至る流路に沿って位置決めされる。一実施形態では、抵抗加熱器302が、発電機250の回転速度を維持するために、第2の放出弁306を横切って第3の熱交換機274からタービンアセンブリ204に向かって(すなわち、圧縮機入口242に向かって)流れ、かつ/または第3の放出弁308を横切って環境の中へ流れる冷却空気流に熱エネルギーを移転することによって、発電機250からの電力を熱エネルギーに変換するトリム負荷モジュール(TLM)である(すなわち、TLMは、定負荷を発電機250に供給することを容易にするために、電気アセンブリ208の要件を超える発電機250からの一定量の電力を熱エネルギーの形態で放散する)。
【0018】
典型的な実施形態では、システム制御装置294が、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書に説明の機能を実行できる任意の他の回路またはプロセッサを含む、コンピュータシステムのような、任意のプロセッサを基本とするかもしくはマイクロプロセッサを基本とするシステムを包含しうる。「プロセッサ」という言葉は、本明細書で使用されるように、当業でプロセッサと呼ぶ集積回路のみに限定されるものではなく、広くコンピュータ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ、特定用途向け集積回路、および任意の他のプログラマブル回路を指す。さらには、システム制御装置294は、例えば、2メガビットの読出し専用メモリ(ROM)および64キロビットの等速呼出し記憶装置(RAM)を有する32ビットのマイクロコンピュータのような、ROMおよび/またはRAMを含むマイクロプロセッサでよい。典型的な実施形態では、システム制御装置294は、メモリ310、システム200全体を通して位置決めされた複数のセンサ、ならびに/またはシステム200(例えば、機上コンピュータ)内部にかつ/またはシステム200から遠隔に(例えば、航行制御装置に)配置された様々な他の装置と通信する(すなわち、これらの装置からの信号を受けかつ/またはこれらの装置に信号を送る)。
【0019】
コアエンジン100の第1の動作様式では、十分な量の圧縮空気が、コアエンジン100の動作効率特徴を実質的に低下させることなく、システム200を始動するためにコアエンジン100から抽出可能である(例えば、航空機が巡航しているとき)。この第1の動作様式では、システム200は、所定量の圧縮空気がコアエンジン100から(例えば、高圧圧縮機104から)、圧力制御装置216を通り、方向性流量弁218を通り抜けて、燃焼器220に流入することを許容するために、第1の供給弁210を開放することによって始動される。燃焼器220は、質量流制御装置222を通りかつ電力タービン入口238を通り抜ける燃焼ガスの流れを生成するために、圧縮空気を燃料と混合してこの混合気を点火する。燃焼ガスは、電力タービン234を駆動し、引き続いて電力タービン出口240に通して環境の中へ排出される。電力タービン234は、第1の軸236を回転させて圧縮機232を駆動する。圧縮機232が電力タービン234によって駆動されている間に、第1の入口弁244は、圧縮機232が所定量の環境空気をこの入口弁に通して引き込むように開放される。引き続いて第1の入口弁244は閉鎖される。
【0020】
圧縮機232は、第1の入口弁244からの環境空気を圧縮して、圧縮空気流を圧縮機出口246に通してVPRV262に向かって放出する。VPRV262からの圧縮空気流の第1の部分が、第2の軸252を回転させ、かつ発電機250を駆動することを容易にするために、第1の熱交換機260を通り、第2の熱交換機266を通り抜けて冷却タービン248の中へ誘導される。VPRV262からの圧縮空気流の第2の部分が、第1の迂回弁264を横切って誘導されて再び燃焼器220に通される。圧縮空気の第2の部分が燃料器220を通過すると、第1の供給弁210が閉鎖されて、システム200は閉ループシステムになる。
【0021】
一実施形態では、第2の熱交換機266からの圧縮空気流が、混合弁282を通って冷却タービン248の中へ誘導される。冷却タービン248に流入する圧縮空気の温度および圧力が、冷却タービン248を横切って低下し、冷却空気流が、冷却タービン248から第3の熱交換機274に向かって放出される。混合弁282は、冷却タービン248から放出された冷却空気の温度調整を容易にするように、冷却タービン248の中へ誘導された圧縮空気流の温度を上げるために、第2の熱交換機266からの圧縮空気流と第5の迂回弁280を横切る圧縮空気流とを混合する。第3の熱交換機274は、冷却タービン248からの冷却空気流を使用して、冷却回路286を通過する液体の温度を下げる。第3の熱交換機274を通過する冷却空気は、第1の熱交換機260から第2の熱交換機266を通過する圧縮空気の温度を下げる際に使用するために、第2の熱交換機266に向かって誘導される。第3の熱交換機274から第2の熱交換機266を通過する冷却空気は、抵抗加熱器302を越えて圧縮機入口242の中へ誘導され、かつ、閉ループシステムに通して再利用されるために、圧縮機出口246を通って冷却アセンブリ206の中へ誘導される。
【0022】
コアエンジン100の第2の動作様式では、十分な量の圧縮空気が、システム200を始動するためにコアエンジン100から抽出されるわけではない(例えば、航空機が地上にあるとき)。この第2の動作様式では、システム200は、所定量の圧縮空気が、圧縮空気源212から圧力制御装置216を通り、方向性流量弁218を通り抜けて、燃焼器220に流入するのを許容するために、第2の供給弁214を開放することによって始動される。燃焼器220は、質量流制御装置222を通りかつ電力タービン入口238を通り抜ける燃焼ガスの流れを生成するために、圧縮空気を燃料と混合してこの混合気を点火する。燃焼ガスは、電力タービン234を駆動し、引き続いて電力タービン出口240に通して環境の中へ排出される。電力タービン234は、第1の軸236を回転させて圧縮機232を駆動する。圧縮機232が電力タービン234によって駆動されている間に、第1の入口弁244は、圧縮機232が所定量の環境空気をこの入口弁に通して引き込むように開放される。引き続いて第1の入口弁244は閉鎖される。
【0023】
圧縮機232は、第1の入口弁244からの環境空気を圧縮して、圧縮空気流を圧縮機出口246に通してVPRV262に向かって放出する。VPRV262からの圧縮空気流の第1の部分が、第2の軸252を回転させ、かつ発電機250を駆動することを容易にするために、第1の熱交換機260を通り、第2の熱交換機266を通り抜けて冷却タービン248の中へ誘導される。VPRV262からの圧縮空気流の第2の部分が、第1の迂回弁264を横切って誘導されて再び燃焼器220に通される。圧縮空気の第2の部分が燃料器220を通過すると、第2の供給弁214が閉鎖されて、システム200は閉ループシステムになる。
【0024】
一実施形態では、第2の熱交換機266からの圧縮空気流が、混合弁282を通って冷却タービン248の中へ誘導される。冷却タービン248に流入する圧縮空気の温度および圧力が、冷却タービン248を横切って低下し、冷却空気流が、冷却タービン248から第3の熱交換機274に向かって放出される。混合弁282は、冷却タービン248から放出された冷却空気の温度調整を容易にするように、冷却タービン248の中へ誘導された圧縮空気流の温度を上げるために、第2の熱交換機266からの圧縮空気流と第5の迂回弁280を横切る圧縮空気流とを混合する。第3の熱交換機274は、冷却タービン248からの冷却空気流を使用して、冷却回路286を通過する液体の温度を下げる。第3の熱交換機274を通過する冷却空気は、第1の熱交換機260から第2の熱交換機266を通過する圧縮空気の温度を下げる際に使用するために、第2の熱交換機266に向かって誘導される。第3の熱交換機274から第2の熱交換機266を通過する冷却空気は、抵抗加熱器302を越えて圧縮機入口242の中へ誘導され、かつ、閉ループシステムに通して再利用されるために、圧縮機出口246を通って冷却システム206の中へ誘導される。
【0025】
別法の実施形態では、コアエンジン100および/または圧縮空気源212からの圧縮空気が、方向性流量弁218および燃焼器220を迂回することによって質量流制御装置222の中へ誘導されてよい。他の実施形態では、圧縮機232からの圧縮空気が、第4の迂回弁278を通って第2の熱交換機266に誘導されてよく、それによって第1の熱交換機260を迂回する。他の実施形態では、空気入力装置270からの環境空気が、第2の熱交換機266を横切って抵抗加熱器302を越えて環境の中へ誘導され、かつ/または第3の熱交換機274を通過する冷却空気が、環境の中へ排出されるように、第1の放出弁284、第3の放出弁308、および第2の入口弁272が開放されてよく、他方では第3の迂回弁276および第2の放出弁306が閉鎖される。
【0026】
他の別法による実施形態では、タービンアセンブリ204が、コアエンジン100および/または圧縮空気源212からの圧縮空気を使用することなく、システム200を容易に始動するために選択的に動作可能である磁気継手314を具備してよい。具体的には、コアエンジン100および/または圧縮空気源212からの圧縮空気が利用できないかもしくは望ましくないときに、第1の軸236および第2の軸252を回転可能に一体に結合するために、磁気継手314が、第1の軸236と第2の軸252との間で励磁される。磁気継手314が励磁されると、発電機250は、外部電源316および/または航空機母線304からの電力を使用して第1の軸236および第2の軸252を回転させ、それによってシステム200を始動する際に利用するために環境空気を圧縮機232の中へ吸い込むためのモータとして動作する。
【0027】
典型的な実施形態では、システム制御装置294が、以下の仕事、すなわち、(1)コアエンジン100の効率特徴を最適化することを容易にするために圧縮空気源212および/またはコアエンジン100から圧縮空気流を選択的に解放すること、(2)タービンアセンブリ204の少なくとも1つの動作特徴を調整すること(例えば、質量流制御装置222に通して空気の流量を調節することによって圧縮機232および/または電力タービン234の動作速度を調整すること)、(3)コアエンジン100の非動作時間の間に電力ユニット228を動作させること(例えば、電力がコアエンジン100の始動動作を実施するために必要とされるときおよび/または非常用電力が航空機の構成要素に電力を供給するために必要とされるときに、電力ユニット228を動作させること)、(4)定負荷を発電機250に与えることを容易にするために、電力を発電機250から抵抗加熱器302に分流すること、ならびに/あるいは(5)システムエラー検出を実行しかつ/または航空機に配置されている主航空機制御システムおよび/もしくは航空機から遠隔に配置されている航行制御装置に知らせることを実行するようにプログラミングされる。別法として、システム制御装置294は、本明細書に説明のシステム200の任意の動作を容易にするようにプログラミングされてよい。
【0028】
一実施形態では、システム制御装置294が、所望量の圧縮空気をコアエンジン100からタービンアセンブリ204に所望の圧力および/または温度で供給するために、抵抗加熱器302内部の複数の高速電力切換回路(図示せず)を調整することによって、かつ/または圧力制御装置216を動作させることによって、システム200のエネルギー均衡を制御する。別の実施形態では、システム200用の初期電力が、航空機母線304から入手され、一旦システム200が安定動作状態に達すると(すなわち、一旦閉ループが確立されると)、システム制御装置294は、電力を磁気軸受258から、かつ/または他の電力要件を航空機母線304から、発電機250からの出力電力に切り換える。
【0029】
別の実施形態では、過剰な電力が発電機250によって生成されるとき(すなわち、電気アセンブリ208が電力よりも冷却を多く必要とするとき)、システム制御装置294は、実質的に電力品質を損なうことなく、発電機250からの高周波AC電力を航空機母線304に分流し、それによって発電機250の負荷を除去してシステム200を航空機母線304から隔離し、かつ電力変換器300は、航空機母線304に伝送するために発電機250によって生成された高周波電力の調整および/または同期を行って、抵抗加熱器302に分流される電力の削減、コアエンジン100から抽出される圧縮空気のより効率的な利用、システム200から排出される空気の温度の低減、および/または航空機の主発電機(図示せず)に対する電気負荷の軽減をもたらす。
【0030】
別の実施形態では、システム制御装置294が、発電機250の回転速度に基づいて抵抗加熱器302に分流される電力を調節する。一実施形態では、システム制御装置294が、抵抗加熱器302に分流される電力の量を監視してシステム200に対する最小バイアス電力水準を維持する。航空機の主発電機の負荷除去を防止するために、システム制御装置294は、航空機母線304に設定されうる最大電力量を測定するために、主発電機によって供給される電力量を絶えず監視しかつ主発電機によって供給される電力を最小電力量設定点と比較する。主発電機の電力が、この電力量設定点を下回れば、システム制御装置294は、追加的な電力を発電機250から航空機母線304に分流することを防止する。
【0031】
当業者が理解するようにかつ以上の明細書に基づいて、本発明の上記説明の実施形態は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはこれらの任意の組合せもしくはサブセットを含むコンピュータプログラミングまたは工学技術を使用して実施可能であり、その場合の1つの技術的効果は、冷却および電力の供給を容易にすることである。コンピュータ可読符号手段を有する、得られるプログラムはいずれも、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体の中で具現または実現可能であり、それによって本発明の論じられた実施形態にしたがってコンピュータプログラム製造物、すなわち、製品を製作するものである。コンピュータ可読媒体とは、例えば、限定するものではないが、固定(ハード)ドライブ、ディスケット、光ディスク、磁気テープ、読出し専用メモリ(ROM)のような半導体メモリ、および/あるいはインターネットまたは他の通信ネットワークもしくはリンクのような任意の送信/受信媒体でよい。コンピュータ符号を含む製品は、1つの媒体から直接符号を実行することによって、媒体から媒体に符号を複写することによって、かつ/またはネットワーク上で符号を伝送することによって製作および/または使用可能である。
【0032】
本明細書に説明の方法およびシステムは、航空機上における冷却および電力の供給を容易にする。具体的には、本明細書に説明の方法およびシステムは、航空機の推進機関による燃料消費を最小化するために、電力タービンのおよび圧縮機の速度を最適化することを容易にする。さらには、本明細書に説明の方法およびシステムは、冷却効率を最大化しかつ発電機の所望の出力を維持するために、冷却タービンの速度を最適化することを容易にする。加えて、本明細書に説明の方法およびシステムは、航空機上に冷却および電力システムを収容するために必要な空間要件を最小化することを容易にし、かつ航空機上で冷却および電力システムを動作させることに関連する燃料費を最小化することを容易にする。
【0033】
冷却および電力を供給するための方法およびシステムの典型的な実施形態が、以上に詳細に説明されている。本明細書に説明の冷却および電力を供給する方法およびシステムは、本明細書で説明した特定の実施形態に限定されるものではなく、これらの方法およびシステムの構成要素が、本明細書で説明した他の構成要素とは独立してかつ別個に活用されてもよい。例えば、本明細書で説明した方法およびシステムは、他の産業および/または一般消費者向け用途を有することが可能であり、本明細書で説明した航空機に実施することに限定されるものではない。さらに正確に言えば、本発明は、他の産業に関連して実施されかつ活用されうるものである。
【0034】
本発明を具体的な実施形態で説明してきたが、当業者は、本発明には特許請求の趣旨および範囲内で変更が実施可能であることを認識しよう。
【符号の説明】
【0035】
100 コアエンジン
102 ファンアセンブリ
104 高圧圧縮機
106 燃焼器
108 高圧タービン
110 低圧タービン
118 排気システム
200 本システム
202 始動器アセンブリ
204 タービンアセンブリ
206 冷却アセンブリ
208 電気アセンブリ
210 第1の供給弁
212 圧縮空気源
214 第2の供給弁
216 圧力制御装置
218 方向性流量弁
220 燃焼器
222 質量流制御装置
226 冷却ユニット
228 電力ユニット
230 筐体
232 圧縮機
234 電力タービン
236 電力ユニット軸
238 電力タービン入口
240 電力タービン出口
242 圧縮機入口
244 第1の入口弁
246 圧縮機出口
248 冷却タービン
250 発電機
252 冷却ユニット軸
254 冷却タービン入口
256 冷却タービン出口
258 磁気軸受
260 第1の熱交換機
262 可変圧力調整弁(VPRV)
264 第1の迂回弁
266 第2の熱交換機
268 第2の迂回弁
270 空気入力装置
272 第2の入口弁
274 第3の熱交換機
276 第3の迂回弁
278 第4の迂回弁
280 第5の迂回弁
282 混合弁
284 第1の放出弁
286 冷却回路
288 ポンプ
290 貯槽
292 配線
294 システム制御装置
296 電力調整装置
298 航空電子装置
300 電力変換器
302 抵抗加熱器
304 航空機母線
306 第2の放出弁
308 第3の放出弁
310 メモリ
314 磁気継手
316 外部電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却および電力を供給するシステム(200)であって、
第1の軸(252)によって発電機(250)に回転可能に結合される第1のタービン(248)を具備する冷却ユニット(226)と、
第2の軸(236)によって圧縮機に回転可能に結合される第2のタービン(234)を具備する電力ユニット(228)とを備え、前記電力ユニットは、前記第1の軸および前記第2の軸が相互に対して独立して回転可能であるように前記冷却ユニットに流れ連通状態で結合されるタービンアセンブリ(204)を備える、冷却および電力を供給するシステム(200)。
【請求項2】
前記発電機(250)に電気的に結合されるシステム制御装置(294)を含む電気アセンブリ(208)をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のシステム(200)。
【請求項3】
前記タービンアセンブリ(204)は、複数の磁気軸受(258)をさらに備え、前記第1の軸(252)および前記第2の軸(236)は、前記磁気軸受によって磁気的に浮上されることを特徴とする請求項1記載のシステム(200)。
【請求項4】
前記タービンアセンブリ(204)は、前記第1の軸(252)と前記第2の軸(236)との間に位置決めされる磁気継手(314)をさらに備え、前記磁気継手は、前記第1の軸および前記第2の軸が一体に回転可能であるように、前記第1の軸を前記第2の軸に結合するために選択的に駆動可能であることを特徴とする請求項1記載のシステム(200)。
【請求項5】
前記タービンアセンブリ(204)と圧縮空気源(212)との間に流れ連通状態で結合される始動器アセンブリ(202)をさらに備え、前記始動器アセンブリは燃焼器(220)を備えることを特徴とする請求項2記載のシステム(200)。
【請求項6】
前記始動器アセンブリ(202)は、前記電力タービン(234)を通る質量流を調整するように構成される質量流装置(222)をさらに備えることを特徴とする請求項5記載のシステム(200)。
【請求項7】
前記タービンアセンブリ(204)に流れ連通状態で結合される冷却アセンブリ(206)をさらに備え、前記冷却アセンブリは、第1の空気対空気熱交換機(260)と液体対空気熱交換機とを備えることを特徴とする請求項5記載のシステム(200)。
【請求項8】
前記冷却アセンブリ(206)は、前記第1の空気対空気熱交換機(260)および前記液体対空気熱交換機に流れ連通状態で結合される第2の空気対空気熱交換機(266)をさらに備えることを特徴とする請求項7記載のシステム(200)。
【請求項9】
前記冷却アセンブリ(206)は、前記液体対空気熱交換機を通って延びる冷却回路(286)をさらに備え、前記冷却回路の少なくとも一部が、前記電気アセンブリ(208)の近傍に位置決めされることを特徴とする請求項7記載のシステム(200)。
【請求項10】
前記電気アセンブリ(208)は、前記発電機(250)に電気的に結合される抵抗加熱器(302)を備え、前記抵抗加熱器は、前記冷却アセンブリ(206)の流路に沿って位置決めされることを特徴とする請求項9記載のシステム(200)。

【図1】
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【図2】
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