説明

冷却および/または加熱機器用の熱化学反応装置

温度上昇の影響下で、タンクから来るガス流を化学結合によって吸収し、逆の熱化学反応によってこのガス流を脱着するのに適している少なくとも一つの反応体ブロック(2)を備える冷却および/または加熱機器用の熱化学反応装置(1)であり、反応体ブロック(2)は、壁を有する容器(3)内に配置され、該壁の少なくともいくつかはガス流を分配することを可能にする散気手段(7)を備えるものであり、反応体ブロック(2)は、ガス流の吸収のとき膨張し、ガス流の脱着のとき収縮することができる型のものであり、また、加熱手段に接続されている。壁の少なくともいくつかは、変形の連続する現象を可能にするように反応体ブロック(2)の縦方向の運動に従うのに適した可動壁からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度上昇の影響下でガス流がタンクに戻るよう、タンクから来るガス流を化学結合によって吸収し、逆の化学反応によってこのガス流を脱着するのに適した少なくとも一つの反応体ブロックを備える冷却および/または加熱機器用の熱化学反応装置に関するものであり、前記反応体ブロックは、パイプによって前記タンクに接続され、容器内に配置され、そして複数の壁を有しており、少なくともそのいくつかは反応体ブロックとタンクとの間の両方向にガス流を分配することを可能にする散気手段を備えるものであり、前記反応体ブロックはガス流の吸収のときに膨張し、ガス流の脱着のときに収縮することができる型のものであり、加熱手段に接続されている。
【0002】
本発明はまた、このような熱化学反応装置ならびに、それ自身が前記冷却および/または加熱機器を備える等温装置を備えた、冷却および/または加熱機器に関するものである。
【0003】
本発明は、特に、熱化学システムからの冷気および/または熱の製造の分野に関するものである。
【背景技術】
【0004】
既知のように、そのようなシステムは、弁によって分離された二つのタンクに各々内蔵されたアンモニアのようなガスと塩化カルシウムなどの反応性塩との間の化学反応から発生する熱交換に基づくものである。この弁が開くと、化学反応が起こり、その間にガスが気化して塩と結合する。この気化は熱を消費し、その結果ガスを内蔵するタンクの位置で冷気の生成が起こる。また、ガスおよび塩の間の化学反応は発熱を伴い、塩のタンクの位置での熱の放出を促す。
【0005】
ガスの完全な気化後、または塩が飽和したとき、化学反応は停止し、同様に冷気および熱の生成も停止する。そのとき単純に反応性塩を加熱することによってシステムを再生成することが可能であり、これにより塩とガスの分離が促され、これにおいて該ガスは源のタンクに戻り、そこで再凝縮されるものである。反応性塩の再生成の後、新たな冷却および/または加熱サイクルを計画することが可能となる。
【0006】
産業的な状況における熱化学システムの段階的な実施は、熱化学反応の展開を最適化、遂行そして制御するのに適した手段を有し、そして大きな応力、特に圧力と温度に耐えうる、信頼性の高い材料を使用して設計された適切な機器の開発をも同時に必要とする。
【0007】
この背景において、数多くの研究が反応装置、すなわち反応性塩、それが内臓される容器、そして該容器が備える様々な手段によって構成された装置の開発に向けて行われた。該研究は、反応体がガスによって押し流されることがなくガスの最大量を吸収、そして脱着することができるだけでなく、損傷したり、反応特性が失われたり、さらには破裂することなく、前記容器での容積変化に耐えることができる解決法を提案することを目的とした。
【0008】
現在、この分野で実現された技術革新が記載された複数の文献が既知である。
【0009】
例えば、仏国特許発明第2455713号明細書は、結合剤によって自己支持式にされ、複数の容器要素を有する可撓性の容器内に密集して入っている複数の反応体によって構成可能な熱化学反応装置について参照している。隣接する容器要素の間に設置される通路は、様々な反応体の間にガス流の循環を可能にする導管となる。反応装置は、また、循環導管と連通し、容器要素のサイズの変化に適応するように設計された分配構造を備える。これらの分配構造は、互いに押し合って、前記分配構造の長さを変更することができる伸縮式要素を備え得る。
【0010】
そのような熱化学反応装置は、大きな脆弱性によって特徴づけられる複雑な構造という短所を有する。
【0011】
米国特許第2649700号明細書には、内側壁と周縁壁との間に閉じ込められた、環状の形状の複数の反応体基本ブロックを備える熱化学反応装置について記載されている。基本ブロックを互いに分離させる多孔質の壁面が、該基本ブロックの上面および下面と到着および出発導管との間にガス流を分配する。基本ブロックは、焼結金属によって作製されており、特に上述の圧力と温度の応力においては寸法が安定している。
【0012】
この実施態様が多数の欠点を有することが使用により明らかになった。実際、ブロックの金属の種類が吸収できるガスの量を大きく制限するものであり、吸収粒子の保持の低下として特徴づけられる。これによって、フィルターの役割を果たす壁面を介してガス流を通過させることが必要になり、それは、装置の構造を複雑にし、重くすることになる。
【0013】
また、欧州特許第0206875号明細書では、塩化物と炭素の膨張誘導体との混合物によって構成され、容積単位あたり大量のガスを吸収することができ、そして大量輸送の問題に応える反応体ブロックが既知である。しかしながら、この固体の反応体ブロックの物理的耐性は低下しており、受ける圧力と体積の変化率の作用下で急速に変形する傾向があり、それにより、そのガスの保持能力が冷却−再生成の周期中段階的に低下する傾向がある。最終的には、大量交換に備えられた反応体の表面は、完全に無効なものとなってしまうほどに大きく変形してしまい得る。
【0014】
米国特許第2384460号明細書によって提案された解決方法では、反応性物質は閉じ込め壁間の限定された容積に閉じ込められており、前記反応性物質を保持するためのグラスウールで充填されている、穿孔されたガス管によって横断されている。狭い状態で閉じこめるという点から、反応性物質は飽和段階の間のみならず吸収−脱着の連続する周期の間も同じ容積と同じ形状を維持する。
【0015】
全く類似の熱化学反応装置が欧州特許第0692086号明細書に同様に提案されており、特に、そのいくつかが質量交換において透過性である閉じ込め壁の間にあり、容器に閉じこめられている固体の反応体ブロックを備える熱化学反応装置について記載されている。この反応装置の特徴は、使用された反応体ブロックが、閉じ込め壁が前記体積変化の傾向に反してブロックの形状の安定性を保証することができるのに対し、吸収されたガスの量に応じて体積変化を受け得るという事実によって定義される。従ってこの文献においては、固体の反応体ブロックを厳密にサイズを合わせられた容器内に閉じ込めることが提案されており、この反応体ブロックが異なる吸収−脱着の周期の間にそのサイズを保持し、そして当初のその物理的耐性を維持し、その膨張、さらには破裂による劣化を防ぐ。
【0016】
特に上記の最後の二つの文献に記載されているように、反応性物質を限定された空間に閉じ込めることは、システムの劣化の防止、特に反応体ブロックの破裂を防止するのに必要ではあるが、期待される熱化学反応の最適な展開の障害となることが確認された。実際、反応体の膨張を妨げることは、特に連続的に吸収、そして脱着されるガスの最大量を大幅に低減させるものであり、とりわけシステムの自律期間に影響を与えるものである。
【0017】
既知の他の類似の装置が仏国特許発明第2723438号明細書に記載されており、容器の壁に対する固体反応体の解離の抑止を試みているが、この解離は熱転移係数の低下による反応装置の出力の損失として現れている。このため、液体を反応体と容器の壁の間に導入し、これにおいて前記液体は反応体と容器との間の熱結合を実現している。さらに、液体閉じ込め装置を容器の内部に加えることで前記液体の移動を制限し、それが反応体の上に蓄積することを防止する。
【0018】
しかしながら、この装置は、液体の使用やその液体の閉じ込めの補足手段を介在させるため、作製が困難であるという欠点がある。
【特許文献1】仏国特許発明第2455713号明細書
【特許文献2】米国特許第2649700号明細書
【特許文献3】欧州特許第0206875号明細書
【特許文献4】米国特許第2384460号明細書
【特許文献5】仏国特許発明第2723438号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って、本発明の目的は、反応性物質の膨張が妨げられず、しかしながら制御され、その結果、破裂によるその劣化を恐れることなく、その吸収−脱着能力が十分に利用される新たな熱化学反応装置を提案することである。
【0020】
そのため、本発明は、温度上昇の影響下でガス流がタンクに戻るよう、タンクから来るガス流を化学結合によって吸収し、逆の化学反応によってこのガス流を脱着するのに適している少なくとも一つの反応体ブロックを備える冷却および/または加熱機器用の熱化学反応装置を提案するものであり、前記反応体ブロックは、パイプによって前記タンクに接続され、容器内に配置され、そして複数の壁を備えており、少なくともそのいくつかは反応体ブロックとタンクとの間の両方向にガス流を分配することを可能にする散気手段を備えるものであり、前記反応体ブロックは、ガス流の吸収のとき膨張し、ガス流の脱着のとき収縮することができる型のものであり、また、該熱化学反応装置は、加熱手段に接続されている反応装置において、前記壁の少なくともいくつかは前記容器の内部での反応体ブロックの膨張または収縮のときに、該反応体ブロックによって実施される縦方向の運動に従うことができる可動壁からなり、前記反応体ブロックの膨張による変形および収縮による初期形状への復帰の連続する現象を可能にするようになされることを特徴とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
好ましい実施態様によると、本発明はまた、前記容器が管によって形成されており、該管の端部は各々半球が取り付けられることで延長されており、また、その直径は反応体ブロックとの間にほとんど隙間無く導入されており、該反応体ブロック自身は円筒形の形状をしており、そして反応体ブロックの膨張の作用下では各半球形に向かって、または反応体ブロックの収縮の影響下では管の中心区域の方向に縦方向に滑動するのに適した、二つの円盤の間に挟まれていることを特徴とする。
【0022】
さらに、有利な特徴によると、本発明はまた、反応体ブロックおよびタンクの間で両方向にガス流の配分を可能にする散気手段は、中心に通路を画定し、ガス流を通過させるのに適した材料から各々作製された互いにうろこ状に重ねられた複数の壁からなる集合体によって形成され、前記集合体は、前記反応体ブロックと前記可動壁にそのために作製された穿孔を介して挿入されるのに適しており、また前記集合体は、その端部のうちの一つの位置で容器とタンクとを互いに接続するパイプと連通するものとする。
【0023】
本発明による実施態様によると、熱化学反応装置は、反応体ブロックが内部に配置されている容器の外側に位置する、環または加熱リボンの集合体によって形成された加熱手段を備えている。
【0024】
さらに、本説明はまた、弁を備えたパイプによってガス流タンクに接続された、本発明による熱化学反応装置を備える冷却および/または加熱機器、およびそのような冷却および/または加熱機器を備える等温装置に関するものである。
【0025】
本発明は、また、以下の説明から明らかになり、そして、単独またはそれらの可能なあらゆる組み合わせによって考察すべきである特徴に関するものである。
【0026】
これらの実施例に関する説明は、例示であり、何ら限定する趣旨のものではないが、添付図面を参照することにより本発明がどのように実現されるかがより良く理解されるであろう。
【実施例】
【0027】
図1は、本発明による熱化学反応装置の実施態様の分割された概略的な斜視図である。
【0028】
図2は、本発明による冷却および/または加熱機器の概略的な斜視図である。
【0029】
図3および4は、各々、ガス吸収前および後の本発明による熱化学反応装置の長さ方向の断面の概略図である。
【0030】
図5は、図2の冷却および/または加熱機器を備える装置の概略的な斜視図である。
【0031】
図1に示した熱化学反応装置1は本発明の特定の実施態様に関するものであり、該装置は、管によって形成された容器3に導入されている少なくとも四つの円筒形ガレットの形状を有する固体の反応体ブロック2によって構成されており、該管は好ましくはステンレス鋼によって作製されており、その内側壁30と反応体ブロック2の外側面20との緊密な接触を、それらを組立てた後に保証するのに適した直径を有する。また、図3に示されているように、反応体ブロック2は容器3を形成する管の内部に中心を合わせて滑動し、それは前記管の各端部34、35にある程度の空間32ができることを想定してなされる。
【0032】
さらに、容器3を形成する管の端部34、35は、各々、反応装置1の製造のときに溶接によって固定した、半球または半球形ドーム(その一つだけを図1に概略的に図示している)の形状を有する閉塞手段31によって閉じられている。
【0033】
容器3は、弁40、バルブおよび/または逆流防止弁41を備えるパイプ4によって、図2に示したように、加圧されたガス、例えばアンモニアを内蔵するためのタンク5に接続される。
【0034】
好ましくは、本発明による熱化学反応装置に使用される反応体ブロック2の性質は、二つの成分、すなわち、熱化学反応の間不活性のままである膨張天然黒鉛(Graphite Naturel Expanse(GNE))とアルカリ塩、アルカリ土類塩または金属塩などの反応性塩の組み合わせに基づくものである。GNEを含むそのような構造は、本方法の熱化学性能を向上させることができることが明らかにされた。
【0035】
図1に図示した実施例では、反応体ブロック2には、見えないが三つの孔が穿孔されており、一つは中央に、二つはその両側に位置づけられており、該穿孔は各々、散気手段7を通過させるためのもの、反応体ブロック2およびタンク5間の両方向にガス流を配分することができるもの、加熱抵抗のような加熱手段を収容するためのシース6用のものである。
【0036】
この提案に対し、別の実施態様では、本発明による熱化学反応装置はまた、反応体ブロック2内に挿入される加熱抵抗ではなく、前記容器3の外側に配置される環または、加熱リボンの集合体によって形成される加熱手段をも想定している。
【0037】
加熱抵抗のシース6は、従来、容器3を一方の側から他方の側に横断するステンレス鋼製の管の形状を有し、そしてその両端部の位置において半球の形状の閉塞手段31の底部に固定されているものであるが、その一方でその構造が本発明の別の特殊性を示す散気手段7が複数の透過性の壁の組み合わせの形状を有している。
【0038】
そのように、これらの散気手段7は、さらに詳しくは、互いにうろこ状に重ねられた複数の壁の集合体によって形成され、該壁は中心に通路を画定し、各々ガス流の通過を可能にするのに適した材料から作製されており、前記集合体は、このために前記反応体ブロック2に作製された前述の穿孔を介して挿入されるのに適している。前記壁の集合体はその一方の端部の位置でパイプ4と連通しており、該パイプはその両端の間で容器3とタンク5を接続し、ガス流をこれら二つの要素の間を通じさせる。
【0039】
実際、散気手段7を形成する集合体は、特に、例えばR2T4型の穿孔されたシートメタルを二つの点で折り曲げて製造した断面が三角形の形鋼によって形成された内側壁、ならびに、穿孔されたシートメタルに巻き付けられた、メッシュのサイズが好ましくは10〜100ミクロンのステンレス鋼製の布によって構成された中間壁を備える。さらに、その集合体は、また、孔のサイズが好ましくは100〜800ミクロンである、延伸された金属製の多孔質の管によって形成された外側壁を備える。
【0040】
また、本発明によれば、散気手段7を備えるこの複数の壁の集合体は容器3を形成する管とほぼ同等の長さを有しており、それはその端部の各々が閉塞手段31の半球の各々の底部と接触することができるようになされている。
【0041】
既知のように、散気手段7の役割は、熱化学反応の時間における展開および再現性において最も重要である。本発明の範囲内で散気手段に付与された構造は、そのために多数の利点を有する。実際、穿孔されたシートメタルは反応体ブロック2に作製された散気孔が詰まるのを防止するが、ステンレス鋼製の布は、弁40の開口の際に回路に場合によって吸い込まれることのある塩の粒を反応体ブロック2内に保持するのに適したフィルターとして働く。また、延伸された金属製の管は、反応体ブロック2の膨張に起因する応力が穿孔されたシートメタルの穴を介してステンレス鋼製の布に穴を開けることを防止する。
【0042】
熱化学反応装置1のそのような構造により、反応体ブロック2を構成する物質は、容器3の内側壁30、シース6の壁および散気手段7を備える壁の集合体の外側壁の間で、放射状に閉じ込められる。
【0043】
本発明によると有利には、反応体ブロック2はさらに一方の側で、シース6および散気手段7が各々通過するための孔80、81、82を備えた二つの円盤8の間に挟まれており、これらの孔80、81、82は、反応体ブロック2のもう一方の側に同じ理由により作製された孔の正面に配置されている。
【0044】
本発明によると、これらの円盤8は有利には縦方向に、場合によっては、冷気の生成の際の反応体ブロック2の膨張の作用下では空間32に沿って閉塞手段31の方へ、その気体の再生成の際の反応体ブロック2の収縮の作用下では容器3の中央区域33の方へと滑動し、そして反応体ブロック2の運動に従うのに適した可動式の壁を形成するものである。
【0045】
好ましい実施態様によると、円盤8は各々反応体ブロックの下面21または上面22の一方に押し当てられており、それらは適切な連結手段を介して連結されている。
【0046】
従来、弁40が開く際に、タンク5の中に加圧下で液体状態に維持されたガスは気化し、散気手段7によって反応体ブロック2の塩の方へ拡散され、該塩は、本発明によれば、図3および4に参照されるように、縦方向に膨張するのに完全に適するようにして固定される。発熱性であるガスと塩との間の反応により、同時に容器3の位置で熱の放出が行われ、ガスの気化によりタンク5の位置で冷気が起こされる。反応体ブロック2の塩が完全に飽和すると、加熱抵抗はその間に接続され、それにより熱を供給し、また、反応体ブロック2が収縮して当初の容積に戻る一方で、逆流防止弁41を介して、タンク5に戻り、そこで再凝縮するガスを脱着させる。
【0047】
空間32に沿って、反応体ブロック2を呼吸させ、縦方向に膨張させることにより、有利には従来の装置では心配された反応装置の損傷の問題を防止することが可能であるが、それは、このことが特に従来閉じ込め壁の役割も果たす散気手段7が受ける強い応力を避けることを可能にするためである。
【0048】
また、本発明の他の特徴によれば、円盤8は容器3を形成する管の内径とほぼ同等の直径を有しており、同様に閉塞手段31の各々の位置で前記管の内側壁に各々固定されるのに適したものであるが、これはこの位置における管の直径の縮小によってなされるものであり、これによって反応体ブロック2の膨張の間に該反応体自身によって行われる運動を停止させ、そして該反応体が閉塞手段31の各々の底部と接触しようとするのを阻止することが可能となる。
【0049】
このように円盤8の存在は、有利には散気手段7の端部が反応体ブロック2の膨張の際に詰まることを防止する。
【0050】
本発明は同様に、例えば図2に図示されているような冷却および/または加熱機器10に関するものであり、該機器は、前述の特徴を有する二つの熱化学反応装置1を備えており、それぞれの反応装置は弁40と逆流防止弁41とを具備するパイプ4によってガス液体タンク5に接続されている。
【0051】
図5を参照すると、このような冷却および/または加熱機器10は、一定温度で維持される生成物を保持するケース101を有する等温装置100と該装置の冷気を生成する前記タンク5が配向されるところの内部に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による熱化学反応装置の実施態様の分割された概略的な斜視図
【図2】本発明による冷却および/または加熱機器の概略的な斜視図
【図3】ガス吸収前の本発明による熱化学反応装置の長さ方向の断面の概略図
【図4】ガス吸収後の本発明による熱化学反応装置の長さ方向の断面の概略図
【図5】図2の冷却および/または加熱機器を備える装置の概略的な斜視図
【符号の説明】
【0053】
1 熱化学反応装置
2 反応体ブロック
3 容器 (管状)
4 パイプ
5 タンク
6 シース
7 散気手段
8 円盤
10 冷却または加熱機器
20 反応対ブロックの外側面
21 反応体ブロックの下面
22 反応体ブロックの上面
30 容器の内側壁
31 半球ドーム状閉塞手段
32 容器端部の空間
33 容器の中央区域
34 管(容器)の端部
35 管(容器)の端部
40 弁
41 逆流防止弁
80 孔
81 孔
82 孔
100 等温装置
101 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度上昇の影響下でガス流がタンク(5)に戻るよう、タンク(5)から来るガス流を化学結合によって吸収し、逆の化学反応によってこのガス流を脱着するのに適している少なくとも一つの反応体ブロック(2)を備える冷却および/または加熱機器(10)用の熱化学反応装置(1)を提案するものであり、前記反応体ブロック(2)は、パイプ(4)によって前記タンク(5)に接続され、容器(3)内に配置され、そして複数の壁を備えており、少なくともそのいくつかは反応体ブロック(2)とタンク(5)との間の両方向にガス流を分配することを可能にする散気手段(7)を備えるものであり、前記反応体ブロック(2)は、ガス流の吸収のとき膨張し、ガス流の脱着のとき収縮することができる型のものであり、また、該熱化学反応装置は、加熱手段に接続されている反応装置において、前記壁の少なくともいくつかは前記容器(3)の内部での反応体ブロック(2)の膨張または収縮のときに、該反応体ブロック(2)によって実施される縦方向の運動に従うことができる可動壁からなり、前記反応体ブロック(2)の膨張による変形および収縮による初期形状への復帰の連続する現象を可能にするようになされることを特徴とする、熱化学反応装置。
【請求項2】
容器(3)が管によって形成されており、該管の端部は各々少なくとも一つの半球の形状の閉塞手段(31)を取り付けられることによって延長されており、また、その直径は反応体ブロック(2)との間にほとんど隙間が無いように導入されるようになっており、該反応体ブロック自身は円筒形の形状をしており、そして反応体ブロック(2)の膨張の作用下では各閉塞手段(31)の方向に、または反応体ブロック(2)の収縮の影響下では管の中心区域(33)に向かって縦方向に滑動するのに適した、二つの円盤(8)の間に挟まれていることを特徴とする、請求項1に記載の反応装置(1)。
【請求項3】
円盤(8)は容器(3)を形成する管の内径とほぼ同等の直径を有しており、同様に閉塞手段(31)のうちの一つの内側壁に各々固定されるのに適したものであるが、これによって反応体ブロック(2)の膨張の間に該反応体自身によって行われる運動を停止させ、そして該反応体が閉塞手段(31)の各々の底部と接触しようとするのを阻止することが可能となることを特徴とする、請求項2に記載の反応装置(1)。
【請求項4】
円盤(8)は各々反応体ブロック(2)の下面(21)または上面(22)の一方に押し当てられており、それらの面は適切な連結手段を介して連結されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の反応装置(1)。
【請求項5】
反応体ブロック(2)およびタンク(5)の間で両方向にガス流の配分を可能にする散気手段(7)は、中心に通路を画定し、ガス流を通過させるのに適した材料から各々作製された互いにうろこ状に重ねられた複数の壁からなる集合体によって形成され、前記集合体は、前記反応体ブロック(2)と前記可動壁にそのために作製された穿孔を介して挿入されるのに適しており、また前記集合体は、その端部のうちの一つは容器(3)とタンク(5)とを互いに接続するパイプ(4)と連通することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の反応装置(1)。
【請求項6】
集合体は、穿孔されたシートメタルを適切に折り曲げることによって形成された断面が三角形の形鋼によって形成された内側壁と、前記内側壁の周囲の巻きつけられたステンレス鋼製の布によって形成された中間壁と、そして多孔質の金属管によって形成された外側壁とによって形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の反応装置(1)。
【請求項7】
穿孔されたシートメタルはR2T4型であることを特徴とする、請求項6に記載の反応装置(1)。
【請求項8】
ステンレス鋼製の布のメッシュのサイズは、10〜100ミクロンの間に含まれることを特徴とする、請求項6または7に記載の反応装置(1)。
【請求項9】
多孔質の金属の孔のサイズが、100〜800ミクロンの間に含まれることを特徴とする、請求項6に記載の反応装置(1)。
【請求項10】
複数の壁の集合体は容器を形成する管とほぼ同等の長さを有しており、それはその端部の各々が閉塞手段(31)の各々の底部と接触することができるようになされていることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか一つに記載の反応装置(1)。
【請求項11】
加熱手段は、容器(3)の外側に位置する環または加熱リボンの集合体によって形成されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の反応装置(1)。
【請求項12】
弁(40)を備えるパイプ(4)によってガス流タンク(5)に接続された請求項1〜11のいずれか一つに記載の熱化学反応装置(1)を備える、冷却および/または加熱機器(10)。
【請求項13】
請求項12に記載の冷却および/または加熱機器(10)を備える、等温装置(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−505828(P2009−505828A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528545(P2008−528545)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050696
【国際公開番号】WO2007/026056
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508062421)
【氏名又は名称原語表記】COLDWAY
【Fターム(参考)】